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研究と教育の両面で使い倒す (アジ研図書館を使い倒す 第7回)

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Academic year: 2021

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研究と教育の両面で使い倒す (アジ研図書館を使い

倒す 第7回)

著者

松尾 昌樹

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

214

ページ

53-53

発行年

2013-07

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003683

(2)

●統計、センサス資料を求めて

  私は近年ではセンサスや統計資料を用いて中 東諸国の政治経済を分析している。この分析の ために古い時代のセンサス資料を購入しようと しても、現地の統計局が古い資料を保存してい ないことがよくある。このため、最新版ではな く、二、三〇年前のセンサス(つまりは二、三 回前のセンサス)を調査し、さらに複数の国で 比較しようとするなら、中東地域に関しては、 現地を訪問するよりもアジ研図書館に行く方が 便利だ。ただし、センサスや統計資料に収録さ れている情報は、資料の各号で項目が異なるこ とがあり、実際に目を通してみないと研究に使 えるものかどうか分からない。また、電子化さ れる以前の時代の資料を利用する場合、調査項 目で検索をかけることができず、大量の項目に 一 つ 一 つ 目 を 通 さ な け れ ば な ら な い。 こ の た め、アジ研図書館に足繁く通うことになるが、 三階の各国別統計資料の書架と机の間を行った り来たりしながらデータを収集していると、調 査国の社会・経済が生き生きと立ち現れてくる ため、いつまで続けても飽きない。   当然のことながら、アジ研図書館には統計資 料以外にも、多種多様な専門書や新聞、雑誌が 所蔵されているため、それこそ一日中、情報収 集を続けることが可能だ。アジ研図書館は基本 的に開架式図書館なので、目的の資料を探して 書架の間を歩くことは、まるで情報の森を散策 するかのようで、時に全く予想していなかった 資料に出会うこともあり、楽しい。如何にすば やく目的の情報にたどり着くか―この効率は非 常に重要だが、しかし一方で、情報の森をあて もなく散策するという非効率な行為が、新たな 発見に繋がることは多い。その蔵書資料の多様 さだけではなく、高度に専門的な情報が、開架 書架によって読者に開かれている空間、それが アジ研図書館の最大の魅力である。

●学生を連れて利用

  た だ し、 こ う し た 非 効 率 な 情 報 収 集 の 魅 力 は、それをやったことのない人には、なかなか 伝わらない。特に卒論作成前の、文献調査それ 自体にあまりなじみがない大学生にはなおさら だ。このため、私はゼミ生を連れてアジ研図書 館の見学を行う際には、彼らがそれらの一つ一 つに手を触れる経験を重視している。学生達は レ ポ ー ト や 卒 論 の 作 成 を 行 う 場 合、 「 資 料 が な い」という言葉をしばしば口にするが、アジ研 図書館に来れば、少なくとも現代アジア・途上 国に関する情報は豊富に存在している。資料の 豊 富 さ を 実 際 に 目 で 確 認 し た 学 生 等 は、 「 資 料 がない」という言葉を口にしなくなる。もちろ ん、アジ研図書館が全ての情報を揃えているわ けではないのだが、あまりにも多様な書籍、新 聞、統計、雑誌資料を目にすることで、学生達 は 自 分 達 の 求 め る 情 報 が「 ど こ か に あ る は ず だ」という確信を持つようになる。また、目的 とする情報を入手するという当初の目的だけで はなく、膨大な資料に圧倒されながらも、広大 な資料の森を散策し、新たな発見をすることそ れ自体の楽しさを、徐々に獲得するようになっ てゆく。   私が学生を連れて見学するときにいつもお願 いするのは、地図の保管室の見学だ。前記の通 り、アジ研図書館は開架図書館だが、地図とマ イクロフィルム等の一部の資料は別室に保管さ れており、利用者はこれらの保管室に入ること はできない。図書館見学の時は特別にお願いし て、地図の保管室をみせて貰っているが、脱酸 素パウチ加工された地図が整然と(場合によっ ては整理中の地図が雑然と)置かれた様を眺め ると、資料がいかに収集され、整理されている のか、その一端を垣間見ることができる。必要 とする情報に辿り着けた時に感じる、その情報 を作成した人間が存在する(した)ことへの驚 きと感動、そうした人々の末席に自分の名を連 ねる喜びが、研究活動の原動力だと思う。図書 館という巨大な知識の森が、人間の手で常に整 備され続けている様子を眺めることは、英知を 生み出し、保存し、伝えるという人間の営みを 理解する上で非常に重要なことだ。アジ研図書 館の見学を通じて、学生にこういった営みのす ばらしさを感じて欲しいと思っている。 (まつお   まさき/宇都宮大学国際学部准教授)

第七回

53

アジ研ワールド・トレンド No.214 (2013. 7)

研究と教育の両面で使い倒す

参照

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