岡 山 医 誌 (1993) 105, 715∼731
PCR-RFLP法
に よ るHLA-DNA-DQ
タ イ ピ ン グ と腎 移 植
岡 山 大 学 医 学 部 第一 外 科 学 教 室(指 導:折 田薫 三 教 授) 平 川 恵 一 (平 成5年5月13日 受 稿)Key words: HLA-DNAタ イ ピ ン グ,PCR-RFLP法,PCR-SSO法,腎 移 植,DQ抗 原
緒 言 腎 移 植 に お い て は,シ ク ロ ス ポ リ ン の 登 場 に よ り近 年 そ の 生 着 率 が 向 上 し て い る が1,2),い か に シ ク ロ ス ポ リ ン 時 代 の 到 来 と は い え 組 織 適 合 性 の 障 壁 を 越 え る こ と は き わ め て 困 難 で,現 在 死 体 腎 移 植 で は 可 能 な 限 りHLAの 合 致 し た レ シ ピ エ ン ト を 選 択 し,貴 重 な ドナ ー 腎 を 最 も 適 合 す る レ シ ピ エ ン トに 移 植 す る 努 力 が 払 わ れ て い る. こ のHLA抗 原 の 検 査 は,抗 血 清 を 用 い た 血 清 学 的 検 査 に よ るHLA-A, B, C, DR, DQの 各 タ イ ピ ン グ3)と MLC (mixed lymphocyte culture)やPLT (primed lymphocyte typing)
法 を 用 い た 細 胞 学 的 検 査4)に よ るHLA-D, DP 抗 原 の タ イ ピ ン グ が 行 わ れ て い る. 一 方 ,従 来 のHLAタ イ ピ ン グ に 代 わ っ て, 遺 伝 子 レ ベ ル でHLAタ イ ピ ン グ を 行 お う と す る,い わ ゆ るHLA-DNAタ イ ピ ン グ が 近 年 報 告 さ れ5-8),さ ら に はPCR (polymerase chain reaction)法9,10)を 用 い たPCR-RFLP (restric
tion fragment length polymorphism)法11-13), PCR-SSO (sequence specific oligonucleotide)
法14,15)な ど に よ る タ イ ピ ン グ が 報 告 さ れ て い る. そ こ で 著 者 は,こ のPCR-RFLP法 お よ びPCR -SSO法 に よ るDNA-DQタ イ ピ ン グ を,腎 移 植 症 例 を 対 象 と し て 行 い,そ の 有 用 性 を 検 討 し, そ れ ら の 結 果 と 腎 移 植 の 臨 床 経 過 と の 関 連 に つ い て 報 告 す る. 対 象 と 方 法 1. 対 象(表1) 1987年7月 か ら1991年1月 まで に 岡 山大 学 第 一 外 科 お よ び そ の 関 連 病 院 に お い て 行 わ れ た 腎 移 植76例 の ドナ ー ・レ シ ピ エ ン ト128例(女 性62 人,男 性66人,年 齢12歳 ∼76歳,平 均 年 齢43.1 歳)を 対 象 と した.内 訳 は,生 体 腎 移 植49例 で は 血 縁 生 体 腎 移 植46例 の う ち,親 子 間 の 生 体 腎 移 植43例 の ドナ ー33例,レ シ ピエ ン ト43例 お よ び 兄 弟 間 の 生 体 腎 移 植3例 の ドナ ー2例,レ シ ピエ ン ト3例,ま た,非 血 縁 生 体 腎 移 植3例 の ドナ ー3例,レ シ ピエ ン ト2例 お よび 死 体 腎 移 植27例 の ドナ ー15例,レ シ ピ エ ン ト27例 で あ る. 表1 対 象 715
PCR-RFLP法 を128例 に, PCR-SSO法 を104 例 に 施 行 し タ イ ピ ン グ を行 っ た.血 清 学 的 タ イ ピ ン グ は96例 に行 わ れ た. 2. HLA-DNA-DQタ イ ピ ン グ の 方 法 1) 高 分 子 ヒ トDNAの 抽 出 PCR反 応 の テ ン プ レー トと し て用 い るDNA は,生 体 腎 移 植 の ドナ ー ・レ シ ピ エ ン トお よ び 死 体 腎 移 植 レ シ ピエ ン トで は,末 梢 血 白 血 球 あ る い は 毛 根 付 き の 毛 髪 よ り,死 体 腎 移 植 ドナ ー で は 脾 臓 よ り各 々 抽 出 した.末 梢 血 か らの 白血 球 の 分 離 は,デ キ ス トラ ン法16)に よ り行 っ た.分 離 さ れ た 白 血 球 を0.5% SDS/TE (100mM Tris -HCl , 1mM EDTA)に 浮 遊 し, proteinaseK (最終 濃 度150μg/ml)を 加 え,50℃ に て3時 間 incubationを 行 っ た 後, phenol/chloroform抽 出 を3回 行 っ て 除 蛋 白 し, ethanol沈 殿 法 に よ り DNAを 糸 状 沈 殿 物 と して 析 出 させ 回 収 し た.脾 臓 か ら は,凍 結 保 存 さ れ た 脾 臓 をFreezer Mill (Spex社)を 使 用 し て 細 胞 破 砕 を行 い,以 後 の 操 作 は 白血 球 か らのDNA抽 出 の 場 合 と同 様 に 行 っ た.毛 髪 か ら のDNA抽 出 は,毛 根 を有 す る 毛 髪3∼5本 を 滅 菌 蒸 留 水,つ い で100% eth anolで 洗 浄 後 乾 燥 さ せ,2∼3mmに 細 切 し, BCL buffer (10mM Tris-HCl pH 7.5, 5mM MgCl2, 0.32M sucrose, 1% TritonX-100), ProteinaseK(最 終 濃 度100μg/ml), SDS(最 終 濃 度0.5%)を 加 え て70℃1時 間incubationを 行 い,以 後phenol/chloroform抽 出 か ら は 白 血 球 ・脾 臓 の 場 合 と 同 様 に 行 っ て,回 収 さ れ たDNA をTE buffer 25μlに 懸 濁 し た.末 梢 血 白 血 球 お よ び 脾 臓 か ら 抽 出 し たDNAはTE bufferに 0.1μg/μlの 濃 度 に 溶 解 し,毛 髪 か ら 抽 出 し た DNAは,溶 解 液 を そ の ま ま テ ン プ レ ー ト と し て PCR反 応 に 用 い た. 2) PCR-RFLP法(表2) (1) プ ラ イ マ ー DQA 1増 幅 用 に はGH26, GH27, DQB1増 幅 用 に はGH28, QB204, QB202の オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ドプ ラ イ マ ー(表2)をDNAシ ン セ サ イ ザ ー(ア プ ラ イ ドバ イ オ シ ス テ ム ズ 社)で 合 成 し て 用 い た17,18). DQA 1増 幅 用 プ ラ イ マ ー は 1組 で,DQB 1増 幅 用 の プ ラ イ マ ー は2組 で あ 表2 方 法
DNA-DQタ イ ピ ン グ と腎 移 植 717 る.つ ま り5'プ ラ イ マ ー(GH28)は 共 通 だ が, 3'プ ラ イマ ー にQB204とQB202と の2種 類 が あ り,こ れ ら2組 の プ ラ イ マ ー で そ れ ぞ れ 増 幅 さ れ る対 立 遺 伝 子 群(後 述)が 異 な る.す な わ ち,GH28・QB204の 組 合 せ で 血 清 学 的 特 異 性 が DQ 1の 遺 伝 子 群 が,GH28・QB202の 組 合 せ で DQ 2∼DQ 4の 遺 伝 子 群 が 増 幅 さ れ る. (2) DQA 1遺 伝 子 お よ びDQB 1遺 伝 子 の 増 幅 PCR反 応 液 は,テ ン プ レー トDNA 10μl, 50mM KCl, 10mM Tris-HCl pH 8.3, 1.5mM MgCl2, 0.01% (W/V) gelatin,各200μMの dNTP (dATP, dCTP, TTP, dGTP),各 プ ラ イマ ー1μM, 2.5 unitsのTaq DNA polymer ase (TAKARA社)を 含 み,滅 菌 蒸 留 水 を加 え
て100μlと し た.反 応 液 を500μlの チ ュー ブ に 入 れ,ミ ネ ラ ル オ イ ル 数 滴 を 重 層 し, Thermal Cycler (PERKIN ELMER CETUS社)を 使
っ てPCR反 応 を 行 っ た.反 応 の 条 件 は,DNA 変 性94℃1分,ア ニ ー リ ン グ62℃1分,DNA合 成72℃1分 で,こ れ を30サ イ クル 行 い,最 後 に 72℃7分 間 反 応 さ せ て 終 了 した(表2). (3) DQA 1遺 伝 子 お よ びDQB 1遺 伝 子 の増 幅 確 認 PCR反 応 終 了 後,反 応 液6μlを12%ポ リア ク リル ア ミ ドゲ ル 上 で 電 気 泳 動(ミ ニ ゲ ル 電 気 泳 動 装 置 ミュ ー ピ ッ ド:コ ス モ バ イ オ 社)し,約 30分 間 の エ チ ジ ウム ブ ロ マ イ ド染 色 後,254nm波 長 紫 外 線 トラ ン ス イ ル ミネ ー ター 上 で写 真 撮 影 し,DQA 1遣 伝 子 お よ びDQB 1遺 伝 子 の 増 幅 を 確 認 し た.サ イ ズ マ ー カ ー に は ΦX174/HaeIII digest (TOYOBO社)を 用 い た. (4) DQA 1遺 伝 子 お よ びDQB 1遺 伝 子 の 制 限 酵 素 処 理 PCR反 応 終 了 後 の 反 応 液8μlに 制 限 酵 素 バ ッ フ ァ ー と各 制 限 酵 素4∼10 unitsを 加 え,37℃ に て1∼2時 間 反 応 させ た.た だ し,BsaJ Iは 60℃ で1時 間 反 応 させ た.制 限 酵 素 処 理 後,DNA 増 幅 確 認 時 と 同 様 に 電 気 泳 動 後,写 真 撮 影 し, 各 制 限 酵 素 に よ る切 断 の 有 無 を 確 認 し た.制 限 酵 素 は,DQA 1遺 伝 子 で は5種 類(ApL I, Fok I, Mbo II, Rsa I, BsaJ I), DQB 1遺 伝 子 で は10種 類(GH28・QB204で 増 幅 され た もの はApa
I, BssH II, Fok I, Hae II, SfaN I, Hph I
の6種 類,GH28・QB202で 増 幅 され た もの はFok I, Bgl I, Sac I, Acy I, Msp Iの5種 類) を 用 い た(表2). (5) DQ亜 領 域 に お け る遺 伝 子 構 成19)(表3) DQ 亜 領 域 に お け る,DQA 1遺 伝 子 お よ び DQB 1遺 伝 子 の 各 対 立 遺 伝 子 と血 清 学 的 特 異 性 お よび ス プ リッ トさ れ る特 異 性 と の 関 係 は 表3 の 如 くで あ る.DQ 1特 異 性 は 基 本 的 にDQA 1 遺 伝 子 に よ っ て 決 定 さ れ る が,ス プ リッ ト抗 原 特 異 性 は 各 々DQB 1遺 伝 子 に よっ て 担 われ て い る.他 の ハ プ ロ タ イ プDQ 2, DQ 3, DQ 4(ス プ リッ ト抗 原 を含 む)の 特 異 性 は 各 々DQB 1遣 伝 子 に よ り決 定 さ れ て お り,こ れ ら の パ プ ロ タ イ プ に 特 定 のDQA 1遺 伝 子 は 存 在 せ ず,ま た各 DQB 1対 立 遺 伝 子 に 対 し て特 定 のDQA 1対 立 遺 伝 子 は 存 在 し な い.こ れ らの 関 係 よ り,あ る 検 体 の 血 清 学 的 特 異 性 は,PCR-RFLP法 に よ っ て 同 定 さ れ たDQA 1遺 伝 子 お よびDQB 1遺 伝 子 そ れ ぞ れ の 対 立 遺 伝 子 を も とに 決 定 し た. (6) DQA 1遣 伝 子 型 お よ びDQB 1遺 伝 子 型 の PCR-RFLP(表4,表5) DQA 1遺 伝 子 お よ びDQB 1遺 伝 子 の 各 対 立 遺 伝 子 の 各 制 限 酵 素 に よ る切 断 パ ター ン を表4, 表5に 示 す.制 限 酵 素 は,既 知 のDQA 1遺 伝 子 お よ びDQB 1遺 伝 子 の 各 第2エ ク ソ ン,つ ま り PCR反 応 に よ る増 幅 領 域 に お け る塩 基 配 列 の 違 い を 識 別 す る制 限 酵 素 の う ち,あ るalleleは 切 断 す るが そ の 他 のalleleは 切 断 せ ず,か つ そ の 切 断 認 識 部 位 は1ケ 所 だ け とい う もの を 選 定 し 用 い た.DQA 1遺 伝 子 に 関 し て は,0101と0102 と は制 限 酵 素Mnl Iに よ っ て 区 別 され るが,今 表3 DQ亜 領 域 に おけ る遺伝 子 構 成19)
表4 PCR-RFLP法 に よ るDQA1タ イ ピン グの 判定 法 (ホモ接 合 体 の 切 断パ ター ン) 〇:切 断 さ れ る ●:切 断 さ れ な い 表5 PCR-RFLP法 に よ るDQB 1タ イ ピ ン グ の 判 定 法 [A] DQ 1(ホ モ 接 合 体 の 切 断 パ タ ー ン) [B] DQ 2∼4(ホ モ 接 合 体 の 切 断 パ ター ン) 〇:切 断 され る +:切 断 片 が あ る ●:切 断 され ない -:切 断 片 が な い 回 は行 わ な か っ た.DQB 1遣 伝 子 に 関 して は, 0602と0603と を識 別 す る制 限 酵 素 は な く本 法 で は 区 別 で き な い.ま た,用 い た 制 限 酵 素 の う ち Hph Iは0501と0503と を 区別 す る場 合 の み 用 い,
Acy Iお よ びMsp IはFok I, Bgl I, Sac I
の3種 類 の 制 限 酵 素 で 区 別 の つ か な い
0301∼0303の う ち い ず れ で あ る か を 同 定 す る た め に 用 い た.
DNA-DQタ イ ピ ン グ と 腎 移 植 719 3) PCR-SSO法(表2) 本 法 は,第11回 国 際 組 織 適 合 性 会 議 に 参 加 し た こ と よ り行 っ た.従 っ て,本 法 に お け るPCR 反 応(プ ラ イ マ ー は 同 会 議 よ り配 布),増 幅DNA の ドッ トブ ロ ッテ ィ ン グ,32Pを 用 いたSSOプ ロー ブ(同 会 議 よ り配 布)の ラ ベ リン グ ,そ し て ハ イ ブ リダ イ ゼ ー シ ョ ン,ウ ォ ッ シ ン グ,オ ー トラ ジ オ グ ラ フ ィ ー ,結 果 の 判 定 に よ る タ イ ピ ン グ な ど,一 連 の 手 順 は す べ て 同会 議 の プ ロ
ト コー ル(11th international HLA workshop DNA component Reference Protocols version
5)に 則 っ た. 4) PCR-RFLP法 に よ るDNA-DQタ イ ピ ン グ と移 植 腎 予 後 との 統 計 学 的 解 析 PCR-RFLP法 に よ っ て 同 定 され たDQA 1遺 伝 子 お よ びDQB 1遺 伝 子 の 対 立 遺 伝 子 を ドナ ー ・レ シ ピエ ン ト間 で 比 較 し ,マ ッ チ ン グ を評 価 した.移 植 腎 予 後 は,腎 機 能 お よ び 腎 機 能 廃 絶 の 有 無 を評 価 し,血 清 ク レ ア チ ニ ン2mg/dl以 下 の症 例 を経 過 良 好,血 清 ク レ ア チ ニ ン2mg/dl 以 上 の 症 例 や 再 透 析 例 を 経 過 不 良 と し,ド ナ ー ・ レ シ ピエ ン ト間 の マ ッ チ ン グ と移 植 腎 予 後 と の 関 連 を検 討 した.統 計 学 的 有 意 差 は, Generalized -Wilcoxon検 定 お よ びX2検 定 を用 い て検 定 し , 危 険 率5%以 下 を有 意 差 あ り と判 定 した . 結 果 1. DQA 1遺 伝 子 お よ びDQB 1遺 伝 子 の 増 幅 確 認(図1) DQA 1遺 伝 子 増 幅 後 の電 気 泳 動 で は,す べ て の 検 体 で240bp付 近 に バ ン ドが 認 め ら れ,そ の 増 幅 が 確 認 さ れ た.DQB 1遺 伝 子 増 幅 後 の 電 気 泳 動 で は,2組 の プ ラ イ マ ー を用 い て両 方 で 増 幅 され た もの と,い ず れ か 一 方 の み で増 幅 さ れ た もの とが 認 め られ た(図1).DQ 1を も た な い検 体 はGH28・QB204で 増 幅 さ れ ず ,ま たDQ 図1 DQB1増 幅 15検 体 の 血 清 学 的 タ イ プ は 写 真 上 部 に 記 し た.検 体1か ら5は,GH28・QB204, GH28・QB202の2組 の プ ラ イ マ ー 両 方 で 増 幅 さ れ,検 体6か ら10はGH28・QB204の プ ラ イマ ー で の み,検 体11か ら15はGH28・ QB202の プ ラ イ マ ー で の み 増 幅 さ れ た.
図2 DQA1-RFLP DQA1遺 伝 子 の 各制 限酵 素 処 理 後の 電 気泳 動 に よるRFLPバ ン ドパ ター ンの 例.各 検体 の対立遺伝子は 写真 上 部 に 記 した.検 体1か ら6は ホモ で,検 体7か ら14は ヘ テ ロで あ る. 2,3,4の い ず れ の タ イプ も もた な い 検 体 は GH28・QB202で 増 幅 さ れ な か っ た. 2. 制 限 酵 素 処 理 後 の 電 気 泳 動 像(図2∼4) 各 制 限 酵 素 処 理 後 の 電 気 泳 動 に よ るRFLPバ ン ドパ タ ー ン に は,増 幅 時 の バ ン ドが 切 断 さ れ ず1本 の もの,切 断 さ れ た2本 の もの,お よ び そ の 両 者 の3本 の もの と3種 類 認 め られ た.ホ モ の 場 合 は,制 限 酵 素 の 種 類 に よ り,バ ン ドが 1本 の もの と,バ ン ドが2本 の もの の2種 類 で あ り,ヘ テ ロ の 場 合 は,ホ モ の2種 類 に 加 え て バ ン ドが3本 あ る場 合 が あ り,3種 類 で あ る. 図2はDQA 1遺 伝 子 の,図3, 4はDQB 1遺 伝 子 の 各 制 限 酵 素 処 理 後 の 電 気 泳 動 に よ る RFLPバ ン ドパ ター ン の 例 で あ る.各 検 体 の 対 立 遺 伝 子 は 写 真 上 部 に 記 し た.図2に お け る検 体1か ら6は ホ モ で,こ れ ら のRFLPバ ン ドパ ター ン に は2つ あ る.す な わ ち,制 限 酵 素 の 種 類 に よ り,増 幅 時 の バ ン ドが切 断 さ れ ず1本 の も の,増 幅 時 の バ ン ドは切 断 さ れ バ ン ドが2本 の もの の2種 類 で あ る.一 方,検 体7か ら14は ヘ テ ロ で,ホ モ の 場 合 と 異 な り,制 限 酵素 に よ っ て は 増 幅 時 の バ ン ドが 切 断 さ れ た2本 と切 断 さ れ ず 増 幅 時 の バ ン ドそ の も の と で 計3本 認 め られ,バ ン ドパ タ ー ン は3種 類 で あ る.DQB 1 の0501と0503と は,他 の5つ の 制 限 酵 素 で は 区 別 が 付 か な い が,Hph Iに よ っ て 判 別 可 能 で あ っ た(図3),DQB 1のDQ 2∼4で は,3種 類 の 制 限 酵 素 で は 同 じ切 断 パ ター ン を示 し た 検 体 3か ら8の6検 体 が,Msp Iに よ り3種 類 に 区 別 さ れ た(図4).な お 図 に は 示 さ な か っ た が, これ ら6検 体 の う ち3,4お よ び7,8の4検 体 は さ ら に 制 限 酵 素Acy Iに よ り0302と0303と に 区 別 され た.
DNA-DQタ イ ピ ン グ と腎 移 植 721 図3 DQB1-RFLP (DQ1) 検 体1か ら10はDQ 1で ホ モ,検 体11,12はDQ 1の 中 で い わ ゆ る ヘ テ ロ で あ る.検 体1,2はHph I で 区 別 さ れ た. 3. 各 ハ プ ロ タ イ プ の 頻 度(表6) DNA-DQタ イ ピン グに よ っ て 判 明 したハ プ ロ タ イ プ の 頻 度 を表6に 示 す.今 回 の 対 象 でDQ 2と 判 定 さ れ た例 は な か っ た.得 られ た ハ プ ロ タ イ プ の う ちDQ 8が7.0%と も っ と も少 な く, つ い でDQ 5が11.3%, DQ 7が13.1%, DQ 9 が16.2%, DQ 4お よ びDQ 6は そ れ ぞ れ24.9%, 27.5%と 比 較 的 高 い 頻 度 で あ っ た. 4. DNAタ イ ピ ン グ と血 清 学 的 タ イ ピ ング との 比 較(表7) あ る検 体 に つ い てDNA-DQタ イ ピ ン グ に よ っ て 同 定 され たDQB 1遺 伝 子 の 対 立 遺 伝 子 よ り 血 清 学 的 特 異 性 を 決 定 し,同 検 体 に つ い て 血 清 学 的DQタ イ ピ ン グ に よ り判 定 さ れ た タ イ プ と 比 較 検 討 し た.2つ のDNAタ イ ピ ン グ お よ び 血 清 学 的 タ イ ピ ン グ で 判 明 し た ハ プ ロ タ イ プ 数 は,PCR-RFLP法 が128例 中229, PCR-SSO法 が104例 中181,血 清 学 的 タ イ ピ ン グ で は96例 中 122で あ り,ハ プ ロ タ イ プ 判 明 率 は そ れ ぞ れ89.5 %, 87.0%, 63.5%とDNAタ イ ピ ン グ法 は ど ち ら も高 い ハ プ ロ タ イ プ 判 明 率 を 示 した が,血 清 学 的 タ イ ピ ン グ 法 で は 低 率 で あ っ た.ま た, 3種 類 の タ イ ピ ン グ法 で そ れ ぞ れ 判 明 し た ハ プ ロ タ イ プ の 一 致 率 は,両DNAタ イ ピ ン グ 間 で 92.0%と 高 い一 致 率 を示 し た が,血 清 学 的 タ イ ピ ン グ とDNAタ イ ピン グ問 での 一 致 率 は,PCR -RFLP法 との 間 で61 .4%, PCR-SSO法 との 間 で は61.0%と い ず れ も低 か っ た.
図4 DQB1-RFLP (DQ2∼4) 検 体1か ら10はDQ 2か らDQ 4の 中 で ホ モ で あ り,検 体11か ら14は ヘ テ ロ で あ る.検 体3か ら8の6検 体 は,Msp Iに よ っ て3種 類 に 区 別 さ れ た. 表7 DNAタ イ ピ ン グ 法 と血 清 学 的 タ イ ピ ン グ 法 の 比 較 * 判 明 ハ プ ロ タ イ プ 数/症 例 数 ×2 N1:2つ の タ イ ピ ン グ法 で 同 一 だ っ た ハ プ ロ タ イ プ 数 ** N1/2N2+N3 N2:ど ち ら か の タ イ ピ ン グ 法 で2つ の ハ プ ロ タ イ プ が 判 明 し た 症 例 数 N3:2つ の タ イ ピ ン グ法 共 に1つ の ハ プ ロ タ イ プ の み 判 明 し た 症 例 数 表6 各 ハ プ ロ タ イプ の頻 度 5. PCR-RFLP法 に よ るDNA-DQタ イ ピ ン グ と 腎移 植 予 後 1) DQA 1タ イ ピ ン グ と死 体 移 植 腎 予 後(表8, 図5) PCR-RFLP法 に よ るDQA 1タ イ ピ ン グが 行 わ れ た 死 体 腎移 植12例 に お い て,DQA 1遺 伝 子 型 の ドナ ー ・レ シ ピエ ン ト間 で の ミス マ ッチ 数 と移 植 後 の 臨 床 経 過 お よ び 生 着 率 に つ い て 検 討 し た.0ミ ス マ ッ チ の2例 は い ず れ も経 過 良 好 で あ っ た が,DQA 1ミ ス マ ッチ 数 と 臨 床 経 過 と の 間 に は 有 意 な 相 関 は 認 め られ な か っ た.生 着
DNA-DQタ イ ピ ン グ と 腎移 植 723 表8 DQA 1タ イ ピン グ と死体 腎 移 植 の 臨 床 経 過 (N=12) * 経過 良 好:血 清 クレ アチ ニ ン2mg/dl以 下 の 症例 ** 経過 不 良:血 清 クレ ア チニ ン2mg/dl以 上や 再 透析 例 経 過 追 跡期 間:28カ 月 ∼42カ 月 表9 DQB 1タ イピング と死 体 腎移 植 お よび非 血 縁 生 体 腎 移植 の 臨床 経 過(N=30) 経 過 追 跡 期 間:18カ 月 ∼49カ 月 表10 DQB 1タ イ ピ ン グ と生 体 腎 移 植 の 臨 床 経 過 (N=33) 経過 追 跡期 間:25カ 月 ∼60カ 月 率 に 関 して は,症 例 数 が 少 な く統 計 学 的 有 意 差 は 認 め られ な か っ た が,0ミ ス マ ッ チ の 症 例 で は,1ま た は2ミ ス マ ッ チ の 症 例 に 比 し そ の 生 着 率 は 良 好 で あ っ た. 2) DQB 1タ イ ピ ン グ と移 植 腎 予 後 PCR-RFLP法 に よ っ て決 定 され たDQB 1遺 伝 子 型 の ドナ ー ・レ シ ピエ ン ト間 で の ミス マ ッ チ 数 と移 植 腎 予 後 との 関 連 を検 討 した. (1) 死 体 腎 移 植 お よ び 非 血 縁 生 体 腎 移 植(表9, 図6) 死 体 腎 移 植27例 お よ び 非 血 縁 生 体 腎 移 植3例 の 計30例 に お け る検 討 で は,臨 床 経 過 に 関 して は,0ミ ス マ ッ チ の1例 は 経 過 良 好 で,1ミ ス マ ッ チ お よ び2ミ ス マ ッ チ で は そ れ ぞ れ4例, 6例 の 経 過 不 良 例 が 認 め られ た.し か し,ミ ス マ ッ チ 数 と臨 床 経 過 との 間 に は 有 意 な 相 関 は 認 め ら れ な か っ た.生 着 率 に 関 して は,0ま た は 1ミ ス マ ッチ と2ミ ス マ ッチ との2群 間 で 差 は 認 め られ な か っ た. (2) 生 体 腎 移 植(表10,図7) 生 体 腎 移 植33例 に お け る検 討 で は,0ミ スマ ッチ の2症 例 は ど ち ら も経 過 良 好 で あ っ た が, 1ミ スマ ッ チ の31例 中 に9例 の 経 過 不 良 例 が 認 図7 DQB 1タ イ ピ ン グ と生 体 腎 移 植 生 着 率 (N= 33)
表11 DQ 5と 腎移 植 臨床 経過(N=63) p<0.01(X2検 定) 経 過 追 跡 期 間:18カ 月 ∼60カ 月 図9 DQ 5ミ スマ ッチ と死体 腎移植 および非 血縁 生 体 腎移 植 の 生 着率(N=30) め ら れ た.し か し ミス マ ッチ 数 と臨 床 経 過 と の 間 に は 有 意 な相 関 は 認 め ら れ な か っ た.な お, こ れ ら9例 の 経 過 不 良例 中2例 は,血 清 学 的 に 2ハ プ ロ タ イ プ ア イ デ ン テ ィ カ ル と判 定 さ れ て い た.生 着 率 に 関 し て は,0ミ ス マ ッチ の2例 の 臨 床 経 過 を 反 映 して,1ミ ス マ ッ チ 症 例 よ り 良 好 な生 着 率 を 示 した が,有 意 差 は 認 め られ な か っ た. 3) DQ 5と 移 植 腎 予 後(表11,図8∼10) DNA-DQタ イ ピ ン グ を行 っ た 結 果,経 過 不 良 の19例 の う ち12例 の ドナ ー ま た は レ シ ピ エ ン ト の い ず れ か がDQ 5を も っ て い る こ とが 判 明 し た.そ こ で,ド ナ ー ま た は レ シ ピエ ン トがDQ 5を もつ 群(以 下DQ 5有 ミ ス マ ッ チ 群)と ド ナ ー ・レ シ ピ エ ン トい ず れ もDQ 5を も た な い 群(以 下DQ 5無 ミスマ ッ チ 群)と の2群 間 で 腎移 植 予 後 を比 較 検 討 し た.臨 床 経 過 に 関 し て は,DQ 5有 ミス マ ッチ 群 はDQ 5無 ミス マ ッ チ 群 に 比 し統 計 学 的 有 意 差 を も っ て 経 過 が 不 良 で あ っ た(p<0.01)(表11).生 着 率 に 関 して は, 生 体 腎 移 植33例 では,DQ 5有 ミス マ ッチ群 はDQ 5無 ミス マ ッ チ 群 に 比 し そ の 生 着 率 は 有 意 に 低 か っ た(p<0.02)(図8).死 体 腎 移 植27例 お よ び 非 血 縁 生 体 腎移 植3例 の 計30例 で は,や は り DQ 5有 ミス マ ッチ群 の 生 着 率 がDQ 5無 ミスマ ッチ 群 よ り低 か っ た が,有 意 差 は 認 め な か っ た (図9).生 体 お よび 死 体 腎 移 植 を含 め た 全 腎移 植 症 例 で の 検 討 で は,DQ 5有 ミス マ ッチ 群 はDQ 5無 ミ スマ ッチ 群 に 比 し そ の 生 着 率 が 有 意 に低 か っ た(p<0.02)(図10). 図10 DQ 5ミ ス マ ッ チ と 全 腎 移 植 生 着 率(N=63) 4) ドナ ー ・レ シ ピ エ ン ト間 のDQB 1増 幅 領 域 に お け る ア ミ ノ酸 配 列 の 違 い と臨 床 経 過(表 12) ドナ ー お よ び レ シ ピエ ン トそ れ ぞ れ に つ い て 同 定 さ れ た対 立 遺 伝 子 が 異 な っ て い る場 合,そ れ を基 に ア ミ ノ酸 配 列 の 違 い と し て 捉 え る こ と が で き る こ と よ り,DQB 1増 幅 領 域 に お け る ド ナ ー ・レ シ ピエ ン ト間 の ア ミ ノ酸 配 列 の違 い と 腎移 植 臨 床 経 過 との 関 連 に つ い て 検 討 した.表 12にDQB 1増 幅 領 域 に お け る各 対 立 遺 伝 子 の ア ミ ノ酸 配 列 と,各 腎 移 植 症 例 ドナ ー ・レ シ ピェ ン ト間 で ア ミ ノ酸 配 列 の 異 な っ た 症 例 の う ち, 経 過 不 良 例 の 占め る割 合 を 示 した.ア ミ ノ酸 番 号14,30,77の3ケ 所 で は ドナ ー ・レ シ ピ エ ン ト間 で ア ミノ 酸 配 列 が 異 な っ て い た症 例 に お け
DNA-DQタ イ ピ ン グ と腎 移 植 725 表12 ドナー ・レ シ ピエ ン ト間 のDQB 1増 幅 領 域 に お け るア ミノ酸 配 列 の違 い と臨 床 経過 る 経 過 不 良 例 の 占め る割 合 が67%, 65%, 67% と他 の 部 位 に 比 較 して 明 ら か に 高 か っ た.ま た, こ れ ら3ケ 所 の ア ミ ノ酸 配 列 が ドナ ー ・レ シ ピ エ ン ト間 で 異 な る頻 度 は,ド ナ ー と レ シ ピエ ン トがDQ 5と そ れ 以 外 の ハ プ ロ タ イ プ との 組 合 せ の場 合 に お い て,ド ナ ー ・レ シ ピエ ン トが 共 にDQ 5以 外 の 異 な る ハ プ ロ タ イ プ の 組 合 せ の 場 合 に 生 じ る 頻 度 よ り高 か っ た. 考 察 近 年,腎 移 植 に お け る生 着 率 お よ び 生 存 率 は 次 第 に 向 上 して い る.こ の こ と は シ ク ロ ス ポ リ ン(CsA)の 登 場 に 拠 る と こ ろが 大 き く,組 織 適 合 性 の 障 壁 を越 した と ま で い わ れ た 時 期 が あ り, 組 織 適 合 性 をあ ま り重 要 で ない とす る報 告20,21)が 散 見 さ れ た.し か し,現 在 で も移 植 を 受 け た 症 例 の 約3∼4割 は 移 植 腎 を喪 失 し て お り,そ れ らの 原 因 と し て は 拒 絶 反 応 に よ る も の が も っ と も多 い.確 か に 急 性 拒 絶 反 応 に よ る 腎 喪 失 は シ ク ロ ス ポ リ ン に よ り減 少 した が,慢 性 拒 絶 反 応 に 対 して は,従 来 の 免 疫 抑 制 剤 の 作 用 を補 完 す る よ りす ぐれ た 免 疫 抑 制 剤 の 登 場 が 待 た れ て お り,こ の 慢 性 拒 絶 反 応 に は や は り組 織 適 合 性 が 大 き く関 与 して い る の で は な い か と最 近 再 び 脚 光 を浴 びて い る.現 に,CsA使 用 群 に おけ るHLA -DR , A, Bの6抗 原 に つ い て,抗 原 不 一 致 数 の 生 体 お よ び死 体 腎 移 植 に お け る生 着 率 へ の 影 響 を検 討 し た報 告 で は,不 一 致 抗 原 数 の 少 な い 群 に お い て 有 意 に 良 好 な生 着 率 が 認 め られ た. ま た,同 じ く死 体 腎移 植 成 績(CsA使 用 群)に お け るHLA-DR, A, B各 抗 原 の 不 一 致 数 に よ る解 析 で は,HLA-DR抗 原 不 一 致 が な く,か つ HLA-Aま た はB抗 原 不 一 致 の な い もの の 生 着 率 は,DR抗 原1コ ま た は2コ の 不 一 致 群 に 比 し てHLA-A, B抗 原 不 一 致 の 有 無 に 拘 らず そ の 生 着 率 が 高 い とい う結 果 が 得 られ て い る22).こ れ ら の 結 果 は,い か に シ ク ロ ス ポ リン 時 代 の 到 来 とは い え,組 織 適 合 性 が 依 然 と して 大 き な 障 壁 と し て 立 ち は だ か り,こ れ を越 え る こ と は き わ め て 困 難 で あ る こ と を意 味 し て い る.従 っ て, 現 在 死 体 腎 移 植 に お い て は,可 能 な限 り組 織 適 合 性 を一 致 さ せ よ う とす る努 力 が な され て い る. 組 織 適 合 性 検 査 は,従 来 よ り血 清 学 的 検 査 と 細 胞 学 的 検 査 が 施 行 さ れ て き た.腎 移 植 の 臨 床 に お い て は,class I抗 原 で あ るHLA-A, B, Cの 各 抗 原,お よ びclass II抗 原 で あ
るHLA-D, DR, DQの 各 抗 原 に つ い て タ イ ピ ン グ さ れ て い る が,DP抗 原 に つ い て は 手 技 上 や 時 間 の 問 題 な どで 行 わ れ て い な い.血 清 学 的 タ イ ピ ン グ で は,ま ずT・B cellの 分 離 が 必 要 で あ り,こ れ に は 比 重 遠 心 分 離 法 で得 ら れ た単 核 球 を トロ ン ビ ン 処 理 し,血 小 板 や 単 球 を除 去 した 後 ナ イ ロ ン ウ ー ル カ ラ ム 法 でT・B cellに 単 離 す る方 法23)が普 及 して い る.し か し,血 液 透 析 患 者 や 死 体 腎提 供 者 な どの 血 液 か ら の 分 離 に 際 し て は, viabilityの 高 い 細 胞 を得 る の が 困 難 な 場 合 が 多 く,免 疫 磁 気 ビー ズ を用 い た タ イ ピ ン グ 法24,25)な ど,従 来 の タ イ ピ ン グ に も改 良 が 加 え ら れ,判
定 ま で の 時 間 も短 縮 さ れ て き て い る.し か し, 血 清 学 的 タ イ ピ ン グ法 で は依 然 と して ホ モか ヘ テ ロ か の 判 定 は 不 可 能 で あ り,ま た,CMLな ど の 白血 病 患 者 で は 表 現 抗 原 の 発 現 が 異 常 な た め か タ イ ピ ン グ で き な い 場 合 が しば し ば あ る な ど の 問 題 点 が あ る. 一 方 ,遺 伝 子 工 学 の 進 歩 に よ り,長 大 な ヒ ト 遺 伝 子 の 解 析 が 進 め られ,こ れ に 伴 っ て ヒ トの 主 要 組 織 適 合 複 合 体major histocompatibility complex (MHC)で あ るHLA抗 原 の 詳 細 が 解 明 さ れ て き た26).そ して1980年 の 初 めHLA抗 原 のcDNAク ロ ー ンが 分 離 され た こ と に よ り, HLAの 遺 伝 的 多 型 性 をサ ザ ンハ イブ リダ イゼー シ ョ ン を用 い てRFLP解 析 に よ りタ イ ピ ン グ す るDNAタ イ ピ ン グ(以 下RFLP法)が 可 能 とな っ た27-33).こ れ は 制 限 酵 素 が 切 断 す る切 断 断 片 長 の 違 い に よ りHLAのallele(対 立 遺 伝 子)を 推 定 す る方 法 で,従 来 の 血 清 学 的 タ イ ピ ン グ法 の 問 題 点 を解 決 し た ほ か,操 作 が 煩 雑 で タ イ プ 判 定 に 熟 練 を 要 す るMLCな ら び にPLT タ イ ピ ン グ に 比 べ,容 易 か つ 正 確 にD抗 原,DP 抗 原 タ イプ を決 定 で き,さ らに は死 細 胞 で もDNA が 抽 出 で き れ ば タ イ ピ ン グ が 可 能 で,従 来 の タ イ プ を さ ら に 細 か くタ イ ピ ン グ で き る な ど の さ ま ざ ま な 利 点 を有 し て い る.下 山 は,こ のRFLP 法 に よ る タ イ ピ ン グ を腎 移 植 症 例 を 対 象 と して 行 い,移 植 後 臨 床 経 過 との 関 連 を検 討 し,DQα, DQβ お よ びDPβ タ イ ピ ン グ で ドナ ー ・レ シ ピ エ ン ト間 のmismatch fragmentが 少 な い 症 例 は 生 着 率 が 有 意 に 良 好 で あ った と報 告 してい る34). しか し,RFLP法 は ア イ ソ トー プ を必 要 と し, タ イ プ 判 定 に 約1週 間 か か る な ど の 問 題 点 が あ り,ま た,HLAタ イ プ を決 定 す る エ ピ トー プ を コー ド して い る塩 基 配 列 そ の もの の 遺 伝 的 多 型 性 を検 出 し て い るの で は な く,それ と連 関(link) し た 遺 伝 的 多 型 性,つ ま り構 造 遺 伝 子 ま た は エ ク ソ ン以 外 の イ ン トロ ン あ る い は 遺 伝 子 外 領 域 の 遺 伝 的 多 型 性 を検 出 して い る こ とが 多 い ため, よ り直 接 的 な タ イ ピ ン グ 法 の 開 発 が 望 まれ て い た.こ れ に 対 し,特 定 の 遺 伝 子 領 域 をDNAポ リ メ ラ ー ゼ を 用 い て 試 験 管 内 で 増 幅 させ るPCR 法 が 考 案 され9,10),こ の 方 法 を用 い てHLAア ロ 抗 原 特 異 性 を示 す 遺 伝 子 領 域 を選 択 的 に 増 幅 し, ア ロ抗 原 特 異 的 な オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ドプ ロー ブ をhybridizeさ せ て タイ ピン グ を行 うPCR-SSO 法14,15),ある い は,増 幅 領 域 の塩 基 配 列 の 違 い を 識 別 す る数 種 類 の 制 限 酵 素 を 用 い て 増 幅 遺 伝 子 処 理 後 のRFLPバ ン ドパ ター ン を解 析 す る こ と に よ リ タ イ ピ ン グ を行 うPCR-RFLP法 も報 告 さ れ た11-13).こ れ ら2つ の タ イ ピ ン グ 法 は,エ ピ トー プ を支 配 して い る塩 基 配 列 の 遺 伝 的 多 型 性 を直 接 的 に 調 べ る こ とが 可 能 で,従 来 の 血 清 学 的 タ イ ピ ン グ さ らに はRFLP法 に 比 しき わ め て信 頼 性 の 高 い タ イ ピ ン グ と期 待 さ れ,現 在 多 くの施 設 で行 われ つつ あ る.PCR-SSO法 とPCR -RFLP法 と で は,前 者 が 一 度 に 多 くの 検 体 を処 理 で き,よ り厳 密 な タ イ ピ ン グが 可 能 な ど,ま た 後 者 は ア イ ソ トー プ や た く さん のSSOプ ロ ー ブ を必 要 とせ ず,操 作 が 簡 単 で か つ 迅 速,結 果 の 判 定 が 容 易 で 再 現 性 も優 れ て い る な どそ れ ぞ れ に 利 点 を有 して い る.著 者 の 行 っ たPCR-RFLP法 で は,増 幅 遺 伝 子 を処 理 す る 制 限 酵 素 は,特 定 のalleleに お け る切 断 認 識 部 位 が1ケ 所 の み と い う もの を選 定 して お り,こ れ に よ り 電 気 泳 動 で の 制 限 酵 素 に よ る切 断 の 有 無 の 判 定 が き わ め て容 易 と な っ て い る.ま た,DQB 1遺 伝 子 に 関 して は,PCR反 応 に 用 い る プ ラ イ マ ー を2組 と す る こ と に よ り,偽 遺 伝 子 で あ るDQB 2遺 伝 子 の 増 幅 が 阻 止 さ れ,タ イ プ 判 定 が よ り 容 易 と な っ て い る.従 来 の 血 清 学 的 タ イ ピ ン グ との 比 較 で は,PCR-RFLP法,PCR-SSO法 の2つ のDNA-DQタ イ ピ ン グ間 で は92.0%と 高 い一 致 率 が 得 られ た の に 対 し,前 者 お よ び 後 者 と血 清 学 的 タ イ ピ ン グ との 間 で は それ ぞれ61.4 %, 61.0%と 一 致 率 が 低 か っ た の は,血 清 学 的 タ イ ピ ン グ に ミス タ イ ピ ン グ が あ っ た ため と考 え られ る.ま た,ハ プ ロ タ イ プ 判 明 率 に 関 し て, 血 清 学 的 タ イ ピ ン グ で は わ ず か63.5%だ っ た の に 対 し,PCR-RFLP法 が89.5%, PCR-SSO法 が87.0%と 高 い 判 明 率 を 示 し た の は,血 清 学 的 タ イ ピ ン グ で ブ ラ ン ク と さ れ て い たハ プ ロ タ イ プ が 同 定 され た た め で あ る.従 来 のDQ抗 原 に 関 す る血 清 学 的 タ イ ピ ン グ法 に は,抗 血 清 の 良 否 や 検 体 の 状 態 な どに よ っ て 判 定 結 果 が 左 右 さ れ 得 る とい う問 題 が あ るが,こ れ は,DNAタ イ ピ ン グ に よ っ て ほ ぼ 解 決 さ れ た と考 え て よ い と
DNA-DQタ イ ピ ン グ と 腎移 植 727 思 わ れ る.な お,ハ プ ロ タ イ プ 判 明 率 に 関 して は,DNAタ イ ピ ン グ で も100%と な っ て い な い の は ホ モ の 存 在 に 起 因 して い る と考 え ら れ る. DNAタ イ ピ ン グ で 判 明 し たハ プ ロ タ イ プ が1つ の 場 合,実 際 的 に は ホ モ と判 定 し て よ い と思 わ れ るが,血 清 学 的 タ イ ピ ン グの 場 合 と同 様family studyを 行 っ て確 認 す る必 要 が あ り,今 回 こ の family studyを 行 っ て い な い た め ホ モ と判 定 せ ず,1ハ プ ロ タ イ プ の み 判 明 と し た. 今 回 の 対 象 で,血 清 学 的 タ イ ピ ン グに よ りDQ 抗 原 の 判 定 さ れ た 症 例 が 少 な か っ た の は,死 体 腎 移 植 症 例 にDQタ イ ピ ン グ の 行 わ れ な か っ た 症 例 が 多 か っ た た め で あ る.現 在,死 体 腎移 植 に お け るDR抗 原 の マ ッチ ン グ の 重 要 性 は 周 知 の こ と で あ る が,DQ抗 原 の マ ッチ ン グ の 意 義 に 関 す る 報 告 は 最 近 ま で あ ま りな か っ た.DR抗 原 とDQ抗 原 とは連 鎖 不 平 衡 の 関 係 にあ り,DQA 1対 立 遺 伝 子 お よびDQB 1対 立 遺 伝 子 にそ れ ぞ れDR-Dw特 異 性 と の 相 関 が 認 め られ て い るた め か,福 田 ら は1ハ プ ロ タ イプ 適 合 腎 移 植 例 に お い て,DQB 1一 致 群 で はDQB 1ミ ス マ ッチ 群 の 廃 絶 率 よ り有 意 に 予 後 不 良 で あ っ た と し, 必 ず し も適 合 す る こ と が 有 利 で は な い 遺 伝 子 群 が 存 在 し,そ れ がDQB 1遺 伝 子 群 で あ る 可 能 性 を報 告 し て い る35).今 回行 っ たDNA-DQタ イ ピ ン グ と 腎 移 植 成 績 との 検 討 で は,生 体 お よ び 死 体 腎 移 植 に お い てDQ抗 原 の ミス マ ッチ 数 と 臨 床 経 過 との 間 に 統 計 学 的 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た.し か し,臨 床 経 過 不 良 の19例 の う ち, 12例(63.2%)に ドナ ー ま た は レ シ ピ エ ン トが DQ 5を も っ て い た が,全 症 例 に お け るDQ 5の 頻 度 が11.3%だ っ た こ とか ら興 味 あ る結 果 で あ っ た.ド ナ ー あ る い は レ シ ピ エ ン トの い ず れ か 一 方 がDQ 5を もつ 症 例(DQ 5有 ミスマ ッ チ群) と ドナ ー ・レ シ ピ エ ン ト共 にDQ 5を もた な い 症 例(DQ 5無 ミス マ ッチ 群)と で 臨 床 経 過 お よ び 生 着 率 を検 討 した 結 果,前 者 は 後 者 に 比 し, 臨 床 経 過 ・生 着 率 と もに 有 意 に 不 良 で あ っ た. この こ と よ り,腎 移 植 に お い てDQ 5を もつ レ シ ピ エ ン トに はDQ 5を もつ ドナ ー が,DQ 5を も た な い レ シ ピエ ン トに はDQ 5を も た な い ド ナ ー が 選 択 さ れ るべ き と思 わ れ た. DQ抗 原 の 腎 移 植 臨 床 経 過 に お け る 意 義 お よ び 重 要 性 に つ い て は,今 後 の 検 討 が 待 た れ るが, 腎 移 植 成 績 が 組 織 適 合 性 の み に 左 右 さ れ る わ け で は な い と し て も,仮 に 純 粋 に 組 織 適 合 性 の レ ベ ル で 考 え た 場 合,ド ナ ー ・レ シ ピエ ン ト間 で 一 致 しな い ハ プ ロ タ イ プ の 組 合 せ に 優 劣 が 存 在 す る可 能 性 が あ るの で は な い だ ろ うか.こ の よ うな 観 点 に 立 っ て 今 回 の 結 果 を考 え る と,ド ナ ー ・レ シ ピ エ ン ト間 で 一 致 しな い ハ プ ロ タ イ プ の 組 合 せ の 中 で,DQ 5と そ れ 以 外 との 組 合 せ と, DQ 5以 外 の 中 で の 組 合 せ との 間 で 臨 床 経 過 にお い て 有 意 な差 が 認 め られ た こ とは,こ の 可 能 性 を 示 唆 す る もの と思 わ れ た. 死 体 腎 移 植 に 関 して は,組 織 適 合 度 が 重 要 で あ る に も拘 ら ず,不 一 致 抗 原 の 存 在 す る ドナ ー ・ レ シ ピエ ン ト間 で の 腎 移 植 が や む な く行 わ れ て い る現 状 を 考 慮 す れ ば,そ こ に望 ま し い 不 一 致, 望 ま し くな い 不 一 致 の 存 在 が 明 ら か に さ れ る こ とは,よ り きめ こ まや か な レ シ ピ エ ン ト選 択 が 可 能 と な り,腎 移 植 に お け る 治 療 成 績 の さ ら な る向 上 に つ な が る もの と期 待 され る.従 っ て, DNAタ イ ピ ン グ法 の さ らな る改 良 や 一 般 ラ ボ に お け る 普 及 に 伴 い,腎 移 植 の 臨 床 経 過 と組 織 適 合 性 との 関 連 が よ り詳 細 に 検 討 さ れ る こ とが 必 要 で あ ろ う と 思 わ れ る. 結 論 1. 腎移 植 症 例76例 の ドナ ー ・レ シ ピ エ ン ト 128例 を対 象 にPCR-RFLP法 お よ びPCR-SSO 法 に よ るHLA-DNA-DQタ イ ピ ン グ を行 い, そ の有 用 性 を検 討 した. 2. 両DNAタ イ ピ ン グ は,従 来 の 血 清 学 的 タ イ ピ ン グ に 比 し,よ り正 確 か つ よ り詳 細 な タ イ ピ ン グ が 可 能 で,き わ め て 有 用 で あ っ た. 3. PCR-RFLP法 に よ るDQA 1タ イ ピ ン グ お よ びDQB 1タ イ ピ ン グ で の ドナ ー ・レ シ ピ エ ン ト間 の ミス マ ッチ 数 と移 植 腎予 後(臨 床 経 過 お よ び 生 着 率)と の 関 連 に つ い て の検 討 で は, 有 意 な相 関 は 認 め られ な か っ た. 4. ドナ ー ・レ シ ピ エ ン ト間 にDQ 5ミ ス マ ッ チ が 存 在 す る症 例 は,DQ 5ミ ス マ ッ チ が 存 在 しな い 症 例 に 比 し,そ の 臨 床 経 過 お よ び 生 着 率 は 共 に 有 意 に 不 良 で あ っ た. 5. 腎 移 植 の 臨 床 に お い て は,ド ナ ー ・レ シ
ピ エ ン ト間 で のDQ 5ミ スマ ッ チ を 回 避 す る こ とに よ り腎 移 植 臨 床 成 績 の 向 上 が 期 待 で き る も の と考 え ら れ た. 稿 を終 え るに あ た り,御 指導 ・御 校 閲 を戴 い た折 田薫 三 教 授 に謝 意 を表 し ます.ま た,直 接 指導 を戴 い た堀 見 忠 司博 士 お よび 岡林 孝 弘 博 士 に 感謝 す ると と もに,共 同研 究 として 多大 な御 協 力 を賜 わ りま し た東 海 大 学分 子 生 命 科 学教 室 の 猪 子英 俊 教 授 に深 謝 い た し ます.
文
献
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