研究主題 根拠を明らかにすることができる生徒を育てる数学科学習指導法の研究 −論証における思考方法を移行する追求活動を通して− 第2学年数学科指導案 指導者 ○○ ○○ 1 単元名 平行四辺形 2 指導観 ○ 本単元のねらいは,演繹的な方法を用いての証明のしくみについての理解を深めることとそ の証明ができることである。そのために 「平行四辺形の性質」と「平行四辺形になるための, 条件」を利用して,図形の性質を確かめていく。平行四辺形は,公園や遊園地の遊具としても 利用されており,平行四辺形の性質や角の関係を身近にとらえることができ,身の回りに存在 する物を図形として見なし考察するという考え方を身に付けることができる。 図形の性質を確かめる中で利用する「平行四辺形の性質」と「平行四辺形になるための条件」 は 「平行線と角の性質」や「三角形の合同条件」などを根拠となることがらとして導きださ, れる。そのため,既に証明した性質を利用して,新しい性質を確かめることができ,基礎とな る内容を学習することの価値に気付くことができる。 ○ 生徒は,これまで図形の性質に関する内容を,次のように学習してきている。小学校では, 三角形や平行四辺形の角や辺についての性質を,実験,実測,観察などによって学習してきて いる。中学校においては,第1学年では,平面図形における作図の場面で,それまで学習して きた事柄を根拠にして条件にあてはまる図形を作図する方法を学習している。また,その理由 を述べてきている。そこで,第1学年で図形領域おける知識・理解度を分析すると次のような 結果が見られる。 ・記号を用いて,平行や垂直を表すことができる。………80% ・多様な図形の中から合同な図形を見つけることができる。…90% ・三角形の合同条件を理解している。………72% ・図形の性質の簡単な理由を述べることができる………40% 第2学年の「平行線と角 「三角形」の学習では,演繹的な推論による証明の必要性を学習」 してきている。また,前年度の第2学年の生徒に対して,図形の学習についての総括テスト及 び意識調査を行ったところ,次のことが明らかになった。 ・ 対頂角は等しい」や「三角形の内角の和が180°である 」や「平行四辺形の性質」など小「 。 学校で学習してきた内容を再度,演繹的に証明しなければならないのかと疑問に思ってるこ と。 ・条件を満たす仮定や結論を図形の中に見いだすことができず,どのように証明を記述すれば よいのか分からないこと。 ○ 指導にあたっては,生徒は,演繹的な方法を用いての証明のしくみについての理解が容易で ないので,証明チャート図を作成することによって,解析的な思考によるアプローチと総合的 な思考によるアプローチの両方から結論までの根拠を考えさせ,証明の仕方を徐々に理解でき るようにする。具体的には,次のような活動や手だてを仕組む。 ・具体物を用意し,観察,操作を通して,平行四辺形の性質を予想する。 ・解析的な思考によるアプローチと総合的な思考によるアプローチの両方を紹介し,2通りの 思考方法を理解させる。その後,2つの思考方法を基に各自で証明する。 ・証明チャート図作成のために,個人用定理カードを用いる。その個人用定理カードは,学習 プリント上で,証明チャート図を完成するとき使用できるように大きさ,色,図を工夫し作 成する。 ・個人の思考を深めるために,証明チャート図を簡略化し,記入する項目が増えるように学習 プリントを工夫する。 3 目標
平行四辺形 になるための条件を見つけることに意欲的に取り組んでいる 。
○平行四辺形の性質や 【関心・意欲・態度】 ○証明の根拠となることがらに,平行四辺形の性質や平行四辺形になるための条件を加えながら, 図形の性質を証明することができる。 【数学的な見方・考え方】 ○平行四辺形 の性質をその定義を基にして,導き出すことができる。
【数学的な表現・処理】 ○平行四辺形の定義や性質を理解している。 【知識・理解】4 単元計画・評価計画(6時間) 次 時 主な学習活動・内容 ○手だて 【観点】評価規準〈方法〉 1 証明チャート図の作成の仕方をつかみ,平行四辺形の性質を調べよう。 【関】平行四辺形の性質を 1,平行四辺形の性質をさぐる ( ) 重なった 部分から辺や角につ1 見つけようと意欲的に 一 いて関係を予想する。 取 り組 む こ と が で き 次 ( ) 2組の向かい合う辺がそれぞ2 る。 〈自己評価表〉 れ等しいこと 証明することを 知 ○図 1 のように,等しい辺や角のに注目さ 【知】平行四辺形の定義を つ る。 せるために,3枚のテープを重ねた資料 かくことができる。 か ( ) 平行四辺形の定義を知る。3 を提示し,重なった部分の辺や角の関係 〈評価テスト〉 む 2,証明チャート 図の作成の仕方 を予想する活動を仕組む。 【表】平行四辺形の性質を ○総合的な思考による追求も大切であるが 記 入す る こ と が で き について理解する。 , ( )解析的な思考による追求につい1 解析的な思考による 追求を学ぶために, る。 〈評価テスト〉 て知る。 証明チャート図を完成させる際に,定理 。 ( ) 黒板で説明されるのに 対応し2 カードを使って逆思考することを告げる て,個人用定理カード を使い, ○平行四辺形の性質を証明するために,個 証明チャート図を作成する。 ( ) 証明に用いた根拠の妥当性 に3 ついて交流活動を行う。 ( ) 証明する。4 ( ) 学級全体で証明を確認する。5 人用定理カードを使って,証明チャート 図を作成する活動を仕組む。 ○平行四辺形の性質を証明するために ,三 角形に分けるために補助線を引くことに 気付かせる。 1,平行四辺形を性質をさぐる 1 ( ) 操作活動をする。1 二 ( ) 予想する。2 次 ( ) 課題を知る。3 2,証明チャート 図の作成の仕方 つ について理解する。 ○図2のように ,班で,平行四辺形の模型 く ( ) 証明チャート図を作成する。1 を与え,平行四辺形の模型を操作させ, る ( ) 証明に用いた根拠の妥当性 に 平行四辺形の対角線がそれそれの中点で2 ついて交流活動を行う。 交わることを視覚的に捉える活動をしく ( ) 証明する。3 み,結論(対角線がそれぞれの中点で交 わる)を証明しなければならないことを 3 平行四辺形の性質をまとめる, 。 ・2組の向かい合う辺がそれぞ 意識付けする。 れ平行である (定義)。 ・2組の向かい合う辺がそれぞれ 等しい。 ・2組の向かい合う角がそれぞれ 等しい。 。 ・対角線はそれぞれ中点で交わる 1 平行四辺形の性質を新たな証明の根拠に加えた証明チャート図を作成し,図形の性質を調べよう。 図1 問題及び課題 図2
【考】平行四辺形の性質を 導く証明について考察 1,図2の課題に取り組む。 ( ) 課題を把握する。1 することができ,それ ( ) 証明チャート図を作成する。2 を使った証明をするこ ( ) 個人追求する。3 とができる。 〈 〉 ( ) 証明の中で,根拠となること4 プリント分析 がらの妥当性について交流活動 をする。 ( ) 証明を学級で確認する。5 ○三角形の合同条件と平行四辺形の性質を 証明の根拠として 利用する証明と平行 四 辺形の性質だけを証明の根拠として 利用 する2種類の課題を提示し,証明 チャー ト図を作成し,証明に取り組ま せる。 ○証明としては ,証明チャート 図の作成は 図3の課題が容易であるので,図4の課 題については図3の証明を学級で確認し た後に提示する。 1 四角形が平行四辺形になるための条件を予想の基,証明チャート図を作成し,その条件を証明しよう。 【関】四角形が平行四辺形 1,四角形が平行四辺形になるた になる条件を見つける めの条件を調べる。 ( )図5のように,平行になるため1 ことに意欲的に取り組 。〈 〉 の条件を予想する。 んでいる 様相観察 〈 〉 ( )めあてを知る。2 自己評価表 ( )平行四辺形の性質を利用した証3 【考】四角形が平行四辺形 明チャート図を作成する。 になる条件を見つけ, 証明によって確かめる 2,四角形が平行四辺形になるた ○図5のように ,どのような条件(2組の ことについて考察する めの条件を証明する。 ( )2組の向かい合う辺がそれぞれ1 向かい合う辺が等しい)のときに 平行 ことができる。 〈 〉 等しいことを証明する。 四 辺形になるのか予想する活動を仕組 プリント分析 〈 〉 む。 評価テスト ○その他に,四角形がどのような条件を加 えれば,平行四辺形になるのか予想する 活動を仕組む。 ○なるための条件を証明する場合は,結論 を,平行四辺形 の定義(2組の向かい合 う辺がそれぞれ 平行である)を導くこと である確認する場を設定する。 ○平行四辺形の性質3つのうち残り2つ 向 1,課題を知る。 ( 1 ( ) 四角形が平行四辺形になるた1 かい合う角がそれぞれ等しい。対角線が 三 めの条件(2組の向かい合う角 それぞれの中点で交わる )の条件も平。 次 が等しい。対角線 がそれぞれの 行四辺形になることを予想させ,証明す 中点で交わる。1組の向かい合 る活動を仕組む。 つ う辺が平行で,その長さは等し か い )証明する。。 2,証明する。 う ( ) 課題追求する。1 ( ) 証明チャート図を作成する。2 ( ) 証明をする。3 ○図6のように ,平行四辺形になるための 条件(1組の向かい合う辺が平行で, そ の長さが等しい)を実際に作図する 活動 を仕組み,証明に取り組ませる。 【表】反例の図をかくこと 3,成り立たない 場合の反例の図 ○成り立たないことを 証明するには,反例 ができる。 を作図する。 〈 〉 を一つあげればよいこと ,作図により確 プリントチェック かめる活動を仕組む。 ○平行四辺形になるための 条件5つを文章 【表】平行四辺形を5つの 4,平行四辺形になるための条件 で記入し定着することに 加えて,作図す 方法で作図することが をまとめる。 ( ) なるための条件に従い,5つ1 る体験の中で定着を図る。 できる。 の方法で平行四辺形を作図する。 〈プリント分析〉 ( ) 平行四辺形になるための条件2 をまとめをする。 ・2組の対辺がそれぞれ平行であ る。 = = A E D A D B O C B F C E 図3 図4 → 図5 A D (ア)ノートに等しい長さの線分AD,BCを ひく (イ)AとB,CとDを結ぶ。 B C 図6
・2組の対辺がそれぞれ等しい。 ・2組の対角がそれぞれ等しい。 ・対角線 がそれぞれの 中点で交わ る。 ・1組の対辺が平行でその 長さが 等しい。 , , 1 平行四辺形になるための条件を新たな証明の根拠となることがらに加え 証明チャート図を念頭で作成し 図形の性質を証明しよう。 【考】四角形が平行四辺形 1,三角形の合同条件 を使わずに になる条件を使った証 証明する課題に取り組む。 ( ) 図7の問のように ,平行四辺1 明 を す る こ と が で き 。 〈 〉 形になるための条件だけを利用 る プリント分析 したカッコ穴埋め式の証明の流 ○図7の課題については,新たに証明の根 【表】四角形が平行四辺形 れを知る。 拠として,平行四辺形 になるための条件を になる条件を使った証 ( ) 個人追求する。2 加えて証明することを ,証明チャート 図を 明を読みとったり,表 ( ) 証明を確認する。3 作成する中で気付かせる。 したりすることができ ○仮定と結論を誤用しないように,仮定の る。 〈 〉 2,証明の仕組みについてまとめ 平行四辺形 ABCD と平行四辺形BEF プリントチェック Cの図に斜線を入れる活動を仕組む。 【知】四角形が平行四辺形 る。 ( ) 図8の問のように ,平行四辺 ○カッコ穴埋め式の証明を準備し,証明チ1 になる条件を理解して 。 〈 〉 形になる四角形を予想する。 ャート図を作成せずに,証明の仕組みを いる 評価テスト ( ) 個人追求する。2 理解できるように学習プリント に証明過 ( ) 証明を確認する。3 程を記載しておく。 ○図8の課題については,3通りの平行四 辺形を予測させ,その証明を発表し合う 活動を仕組む。 = = A D A D B C E B C E F F 図7 図8
5 本時 (単元計画6時間のうち3時間目) ( )1 日時及び場所 12月14日10:45∼11:35 2年△組の教室にて ( ) 本時の授業仮説2 、 , , , 定理カードを使い証明チャート図を作成し その根拠を確かめる交流活動を課題Ⅰ Ⅱで仕組めば 生徒は 証明をすることができるであろう。 ( )3 本時の主眼 ○ 証明チャート図を作成し,それを基に図形の性質を証明することができる。 ( )4 準備 ①学習プリント ②個人用定理カード③掲示用証明カード 学習活動・内容 ○手だて ◇評価 体 配 形 時 1,学習課題 を知り、本時の方向性 を知る。 ○定義を受けて,2つの定理(2組の向かい合い辺はそれぞれ 等 全 2 しい,2組の向かい合う角がそれぞれ等しい)を証明したことを 体 ( )前時を想起する。1 確認する。 ( )本時のめあてを知る。2 めあて……証明チャート図を作成し,証明を完成させよう。 2,課題Ⅰを追求する。 ( )課題を知る。1 【課題Ⅰ】 四角形ABCDが平行四辺形であるとする。このとき,対角線がそれ ぞれの中点で交わることを証明しよう。 全 3 体 ( )仮定と結論を確認する。2 ○仮定の平行四辺形 ABCDでいえる定義や定理(AB CD, = BC = DAとAB=CD,BC=DAと∠A=∠C,∠B=∠ D)を確認するために,生徒が発表する時間を仕組む。 【解析的な思考による追求】 ○結論から逆に思考し,合同な図形の性質(線分)のカードを提 示する。 ○合同を証明するためには ,三角形 の合同条件 のいずれかを満た さなければいけないことを確認する。 ( )個人追求する3 ○合同な三角形 2つを選択する際,結論に関係する三角形を選択 個 することを机間指導する。 人 ( )班で,証明チャート 図を確認す ○選択する合同な三角形が2組あることを確認する。4 班 る。 5 15 ( )証明チャート図を基に,証明に ○証明する三角形を設定する。 班 ( ) 取り組む。 ○班体型のまま,両隣を見ずに自力で解決するように告げる。 個 ○証明する時間を保証する。 ( )証明を確認する。6 ○早く確認し終えた班の生徒を指名し、板書をさせる。 班 ○答えをあわせをする。 ◇証明チャート 図を作成し,カッコ 穴埋めの証明を完成すること ができたか 〈挙手チェク〉。 3,課題Ⅱに取り組む。 班 【課題Ⅱ】 平行四辺形ABCDの対角線を交点Oとする。このときOE=OFとな ることを証明しよう。ただし,交点Oを通る直線が辺AD,BCと交わる 点をそれぞれE,Fとする。 8 ( )仮定と結論を確認する。1 ○仮定と結論を記号で表す。その際 「対角線がそれぞれの中点で, 交わる」定理を使ってよいことを確認する。 【解析的な思考よる追求】 班 ( )証明チャート図を作成する。2 ○証明に使う合同な三角形の組に斜線を書き込むよう机間指導 す る。 ( )班で,証明チャート 図を確認す3 る。 ( )個人で証明する。4 ○証明チャート図を基に,証明するように助言する。 個 15 人 ( )証明を確認する。5 ○2通りの証明を全体に紹介するため,2名の生徒に証明を板書 全 するように指示する。 体 ◇平行四辺形の性質を利用して,証明チャート 図を作成し証明を することができたか 〈プリントチェク〉。 4,本時のまとめをする。 2 = = E D A O B F C = = A D O B C