アジアのデザイン文化の比較研究/山車の造形と祭礼文化を中心にして(3) 神 戸 芸 術 工 科 大 学 紀 要「 芸 術 工 学 2 0 1 4 」 ( 共 同 研 究 )
アジアのデザイン文化の比較研究
山車の造形と祭礼文化を中心にして
(3)
COMPARATIVE STUDY OF DESIGN CULTURE IN ASIA
Focusing On The Forms Of Mountain Floats And Festival Cultures (3)
………. 今村 文彦 基礎教育センター 教授 杉浦 康平 アジアンデザイン研究所 所長 齊木 崇人 デザイン学部環境・建築デザイン学科 教授
松本 美保子 名誉教授
山之内 誠 デザイン学部環境・建築デザイン学科 准教授 黄 國賓 デザイン学部ビジュアルデザイン学科 准教授 さくま はな 先端芸術学部クラフト・美術学科 助教 尹 聖喆 大学院芸術工学研究科 助手 曽和 英子 デザイン学部プロダクトデザイン学科 非常勤講師 Fumihiko IMAMURA Center for Liberal Arts, ProfessorKohei SUGIURA Research Institute of Asian Design, Director
Takahito SAIKI Department of Environmental Design, School of Design, Professor Mihoko MATSUMOTO Professor Emeritus
Makoto YAMANOUCHI Department of Environmental Design, School of Design, Associate Professor Kuo-pin HUANG Department of Visual Design, School of Design, Associate Professor
Hana SAKUMA Department of Craft & Arts, Progressive Arts, Assistant Professor Seongcheol YUN Graduate School of Arts and Design, Assistant
Eiko SOWA Department of Product Design, School of Design, Adjunct Lecturer
………. 要旨 本報告は、アジアンデザイン研究所の活動としてアジアの 山車文化についてデザイン的視点から調査、研究を進めるも のである。研究所では開設以来、アジア各地域でみられる祭礼 の多様な山車の造形的特徴、象徴性、世界観、その仕組みと社 会や環境との関係性などについて、継続的に取り組んできた。 2013 年度は第 2 回国際シンポジウムを開催した。アジア各 地に分布する舟形の山車とそこにみられる蛇や鳥のモチーフ やデザインの象徴性、神話性をめぐって、ミャンマー、タイ、 日本からの報告を中心に活発で意欲的な議論を重ね、アジア の山車の構成原理についての興味深い知見を得ることができ た。 さらに山車イメージと密接に関連する山や木の造形を巧み に表現しているインドネシアの影絵ワヤン・クリに用いられ るグヌンガンについて、現地で調査を実施し、その造形的特 徴、使用法や構成原理等が明らかになった。また日本で活躍す るバリ島の人形遣い(ダラン)を招き、バリ島のワヤン・クリに ついての研究会および上演会を開催した。 これらの一連の活動により、アジアの山車と山、木などとの 関連性について把握し、アジアのデザイン語法を解明する手 がかりを得ることができた。 Summary
This report deals with the main research theme of Research Institute of Asian Design (RIAD), focusing on the cultures of mountain floats in Asia from design-centered approach. We want to make clear design technique (language) of mountain floats from their wide variety of forms, symbolic meanings, cosmology and their relationships of society and natural environments.
We held this year 2nd international symposium on boat-shaped mountain floats and motifs of sacred bird and dragon (or snake). Researchers from Myanmar, Thailand and Japan made visual presentations about the symbolic meanings and structures of characteristic mountain floats of their each country.
We had also investigation of symbolic meanings and structural principles of Gunungan used in Indonesian shadow puppet theater, shaped just like a mountain and depicted Naga, sacred creatures and wide variety of tree of life in Jogyakarta, Indonesia.
RIAD got very useful insights from these activities and research for deep understanding about design cultures of Asia.
神 戸 芸 術 工 科 大 学 紀 要 「 芸 術 工 学 2 0 1 4 」 ( 共 同 研 究 ) アジアのデザイン文化の比較研究/ 山車の造形と祭礼文化を中心にして (3) 1. 研究目的 本 研 究 は、 ア ジ ア の 山 車 文 化 に つ い て デ ザ イ ン 的 視 点 か ら 調 査、 研 究 を 進 め る も の で あ る。 ア ジ ア 各 地 域 の 祭 礼 で み ら れ る 多 種 多 様 な 山 車 の 造 形 的 特 徴、 象 徴 性、 そ れ ら の 背 景 と な る 世 界 観 や 祭 礼 の 仕 組 み、 社 会 や 環 境 と の 関 係 性 な ど に つ い て、 現 地 調 査、 比 較 研 究 を 通 じ て 総 合 的 に 検 討 し、 そ の 全 体 像、 デ ザ イ ン 手 法( 語法 ) を明らかにすることを目的としている。 こ れ ら の 一 連 の 調 査 研 究 を 通 し て、 さ ま ざ ま な 山 車 の 形 態、 造 形、 地 域 的 固 有 性 の 背 後 に あ る 基 底 的 共 通 性 に 着 目 し、 ア ジ ア の デ ザ イ ン に お け る 文 化 的 特 徴、 独 自 性 を 追 求 し、 把 握 す る こ と を 目 指 し て い る。 本 研 究 は2011 年 度 か ら ア ジ ア の 山 車 文 化 に 焦 点 を あ て て 継 続 的 か つ 集 中 的 に 実 施 し て き た が、2013 年 度 は 舟 形 の 山 車 の 造 形 性、 象 徴 性 に 焦 点 を あ て た 第2 回 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム 「送 る 舟 ・ 飾 る 船 - 鳥 と 龍 が 支 え る ア ジ ア の 舟 山 車 -」 を 開 催 し た。 さ ら に 山 車 の 造 形 と 深 く 関 わ る 山 の 象 徴 性 を 探 る た め に、 イ ン ド ネ シ ア に お い て 影 絵 ワ ヤ ン ・ ク リ に 用 い ら れ る 「グ ヌ ン ガ ン ( ク カ ヨ ン )」 の 役 割 や そ の 構 成 原 理 を 現 地 で 調 査 し た。 そ の 後、 日 本 で 活 躍 す る バ リ 島 の ワ ヤ ン ・ ク リ 研 究 者 で ダ ラ ン( 人形遣い ) としても活躍されている梅 田 英 春 氏( 静岡文化芸術大学 ) を招いて、 研究会およ び 影 絵 人 形 芝 居 の 公 演 を 開 催 し た。 以 下 に そ の 概 要 を 記 す。 2. 第 2 回国際シンポジウム 「送る舟 ・ 飾る船-鳥と龍 が 支 え る ア ジ ア の 舟 山 車 -」の 開 催(2013 年 5 月 25 日 ) シ ン ポ ジ ウ ム の 冒 頭 で は、 イ ラ ン の 生 命 樹 の 山 車 ナ ク ル( モ ジ ュ ガ ン・ ジ ャ ハ ン ア ラ )、 バ リ 島 の 葬 儀 山 車 バ デ( ナンシー・タケヤマ ) の映像を上映した。 そ の 後 の 発 表 で は、ミ ャ ン マ ー 出 身 の ゼ イ ヤ ー・ウ ィ ン 氏( 神 戸 芸 術 工 科 大 学 RIAD 特 別 研 究 員 /JICA 研 究 員) が、〈鳥 を 象 る 仏 像 巡 行 の 舟 山 車 「カ ラ ウ ェ ー 船」〉 と 題 し て、 ミ ャ ン マ ー 中 部 イ ン レ ー 湖 の パ ウ ン ド ー ウ ー 祭 礼 に つ い て 報 告 し た。 湖 の 中 に あ る パ ゴ ダ( 寺 院) に祀られている仏像が乗せられる、 伝説の鳥カラ ウ ェ イ を 模 し た 黄 金 船 「 カ ラ ウ ェ イ 船 」 の 造 形 的 特 質 と 神 話 的 意 味 に つ い て、 現 地 取 材 を も と に 発 表 し た。 タ イ か ら は 〈 龍 を 飾 る 仏 像 巡 行 の 舟 山 車 「 ル ア ・ プ ラ ・ ナ ー ム 」〉 の タ イ ト ル で、ス リ ヤ ー・ ラ タ ナ ク ン( マヒドン大学 / 原稿のみ読み上げ )、ホー ム ・ プ ロ ム オ ン( マヒドン大学 ) の両氏がタイ南部の チ ャ ク ・ プ ラ 祭 に 曳 き だ さ れ る 舟 山 車 に つ い て 報 告 し た。 雨 季 の 雨 安 居 明 け に お こ な わ れ る こ の 祭 礼 で は、 仏 像 を 載 せ た 舟 山 車 の 装 飾 に ナ ー ガ( 龍 ) のモチーフ が 多 用 さ れ る。 報 告 で は、 仏 教 説 話 と 深 い 関 連 が あ る ナ ー ガ の 神 話 性、 象 徴 性 に つ い て 言 及 し た。 さ ら に、 2012 年度に実施した現地調査の報告映像 ( 黄國賓 ) も 上 映 さ れ た。 タ イ で は ナ ー ガ や さ ま ざ ま な 鳥 の イ メ ー ジ、 モ チ ー フ が 建 築 や 装 飾 な ど で 多 く 見 ら れ る が、 ソ ー ン ・ シ マ ト ラ ン 氏( シラパコーン大学 ) は 〈タイの伝統文化に み る「鳥」と「蛇」の シ ン ボ リ ズ ム 〉において、ガルー ダ や ハ ム サ( 白 鳥 )、 ナ ー ガ な ど の 象 徴 的 役 割 や 意 味 に つ い て 豊 富 な 事 例 を 元 に 解 説 し た。 三 田 村 佳 子 氏( 日本民俗学会 ) は〈意匠としての「舟・ 船」 ― 日 本 の 舟 山 車〉 と 題 し た 発 表 に お い て、 日 本 の 多 様 な 舟 山 車 の 系 譜 的 特 徴 を 整 理 す る と と も に、 長 野 県 諏 訪 に 集 中 的 に 分 布 す る オ フ ネ と い う 舟 山 車 に つ い て 報 告 し た。 と く に そ の 形 態 的 分 類、 歴 史 的 な 変 遷 や 伝 播 の 過 程、 背 景 と な る 信 仰 や 出 自 伝 承 と と も に、 信 濃 へ の 移 入 経 路 に も 言 及 し た。 写真1 シンポジウム発表風景 写真2 活発なディスカッション
神 戸 芸 術 工 科 大 学 紀 要 「 芸 術 工 学 2 0 1 4 」 ( 共 同 研 究 ) アジアのデザイン文化の比較研究/ 山車の造形と祭礼文化を中心にして (3) バ ン バ ン(H. Bambang Murtiyoso) 氏への聞き取りをお こ な い、 日 本 で は あ ま り 知 ら れ て い な い グ ヌ ン ガ ン の 造 形 原 理 や モ チ ー フ の 意 味 な ど に つ い て 調 査 し た。 現 存 す る 最 も 古 い グ ヌ ン ガ ン は、 中 央 に 一 本 の 巨 大 な 樹 が 佇 立 し、そ の 下 を ナ ー ガ が 支 え て い る( 写真 4)。 現 在 の も の に 比 べ る と 単 純 な 構 成 に な っ て い る。 比 較 的 古 い 「 グ ヌ ン ガ ン 」 の 多 く は、「 山 」 の イ メ ー ジ よ り 「樹」 の イ メ ー ジ の ほ う が 強 い。 神 の 代 理 と し て 人 形 を 操 り、 呪 的 な 力 を も つ と さ れ る ダ ラ ン は 「グ ヌ ン ガ ン」 と い う 呼 び 方 よ り も 「ク カ ヨ ン」 と 呼 ぶ こ と が 多 い が、 ワ ヤ ン ・ ク リ と い う 影 絵 の 起 源 と の な ん ら か の 関 連 性 を 想 定 で き、 示 唆 的 で あ る。 グ ヌ ン ガ ン を 特 徴 づ け る 構 造 的 特 性 と し て 重 要 な の は、 表 象 イ メ ー ジ、 モ ノ そ の も の や 神 話 性 な ど さ ま ざ ま な レ ベ ル で 見 ら れ る 対 照 性 で あ る。 グ ヌ ン ガ ン の 裏 面 に 口 を 開 け 舌 を 出 し た 火 の 神( あるいは火のエネル ギ ー) が描かれた男性原理を表すものと、 口を閉じた 水 の 神( あるいは水のエネルギー ) で女性原理を表す も の が あ り、 女 性 の も の が や や 幅 が 広 い。 バ ン バ ン 氏 の 説 明 に よ る と、 懐 胎 し た 女 性 と 関 連 し て い る と い う。 ま た、 人 形 は 位 の 高 い 神 は 必 ず 幕 の 右 か ら、 戦 い の 場 面 で は 悪 役 は 左 か ら 登 場 し、 右 の 善 神 が 勝 利 す る ほ か、 幕 の 両 端 に 神 々 の 人 形 が 配 置 さ れ る が、 必 ず し も 配 置 が 決 ま っ て い る わ け で は な い。 影 絵 は、 光 と 影、 明 と 暗 か ら 構 成 さ れ る。 人 形 自 体 は て い ね い に 彩 色 さ れ、 精 巧 に 作 ら れ て い る が、 観 客 か ら 見 る と、 影 し か 見 え な い。 従 来、 こ の 点 に 関 し て こ れ ら の 一 連 の 報 告 を 受 け、 ゲ ス ト と し て 参 加 し た 神 野 善 治 氏( 武蔵野美術大学 ) が民俗学的な見地から 船 の 祭 り の 原 型、 風 流( ふりゅう ) としての祇園祭の 鉾 の 先 端 に 祀 ら れ る 小 船 に 祭 り の 原 初 形 態 が 残 存 し て い る こ と な ど を 指 摘 し た。 そ の 後 の デ ィ ス カ ッ シ ョ ン で は、 杉 浦 康 平 ア ジ ア ン デ ザ イ ン 研 究 所 長 か ら、 カ ラ ウ ェ イ 船、 ナ ー ガ の 舟 山 車 に 関 連 し て、平 安 時 代 に 日 本 に 伝 来 し た 「龍 頭 鷁 首」 舟 に つ い て 紹 介 が あ っ た。 鷁( げき ) は風に向って大 空 を 力 強 く 飛 ぶ 鳥 で、 鷁 首 を 舳 先 に つ け る と 沈 没 し な い と さ れ、 龍 頭 舟 と 左 右 一 対 で 池 上 に 浮 か べ て、 極 楽 浄 土 を 願 っ た と い う。 そ の 後 も 活 発 な 議 論 の な か で 舟 形 の 山 車 の ア ジ ア に お け る 広 が り、 鳥 や 蛇 を モ チ ー フ と す る 造 形 性 の 意 味 に つ い て 十 分 な 理 解 を 得 る こ と が で き、 盛 況 裡 に シ ン ポ ジ ウ ム を 終 え た。( 写真 1、2) 3. グヌンガンのインドネシア現地調査 グ ヌ ン ガ ン と は、 イ ン ド ネ シ ア の 影 絵 ワ ヤ ン ・ ク リ に 用 い ら れ る も の で、「 グ ヌ ン( 山 ) のようなもの」 を 意 味 す る と お り、山 を 象 徴 し て い る と さ れ る。 ま た、 「ク カ ヨ ン」と も 呼 ば れ、「樹 木( カヨン )」に由来する。 山 で あ り、 樹 木 で あ る グ ヌ ン ガ ン は、 影 絵 の な か で 最 初 と 最 後 に は 必 ず 幕 の 中 心 に た て ら れ、 演 じ ら れ る 劇 が 神 聖 な も の で あ る こ と を 示 す ほ か、 劇 中 の 重 要 な 場 面 転 換 の 際 に も 用 い ら れ る。 他 の 人 形 と 同 じ く 水 牛 の 皮 で 作 ら れ る グ ヌ ン ガ ン は、 先 端 が 尖 っ た 山 形 の 形 状 を も ち、 表 面 に 樹 木 や 池 の あ る 建 物、 ナ ー ガ を は じ め と す る 聖 獣 な ど が 刻 ま れ、 裏 面 に は 神 の 顔 と 抽 象 的 な 文 様 が 描 か れ る。 ア ジ ア 全 域 で 見 ら れ る 生 命 樹 や 宇 宙 樹 の イ メ ー ジ や 象 徴 性 と も 重 な り、 動 く 山 で あ る 山 車 の 造 形 性 と も 関 連 す る( 写真 3)。 科 学 研 究 費 助 成 事 業( 基 盤 研 究 (B))「日 本、 中 国 に お け る 聖 山 を 象 る カ ミ 迎 え の 祭 礼 装 置 に み る ア ジ ア ン デ ザ イ ン の 構 造 比 較」 の 海 外 調 査 の 一 環 と し て、2013 年8 月 26 日から 9 月 1 日にかけて、 インドネシアの ジ ョ グ ジ ャ カ ル タ に お い て、 ダ ラ ン( 人形遣い ) とし て 活 躍 し、 国 立 芸 術 大 学 で 後 進 の 指 導 に 長 年 あ た っ た 写真3 グヌンガン 写真4 現存最古のもの
神 戸 芸 術 工 科 大 学 紀 要 「 芸 術 工 学 2 0 1 4 」 ( 共 同 研 究 ) アジアのデザイン文化の比較研究/ 山車の造形と祭礼文化を中心にして (3) ジ ャ ワ の 神 秘 主 義 と の 結 び つ き が 指 摘 さ れ る こ と が 多 か っ た が、 バ ン バ ン 氏 は こ の 点 に つ い て は あ ま り 強 調 し な か っ た。 1950 年 代 に ス カ ル ノ が 彩 色 し て い る 人 形 を 見 る こ と を 始 め て か ら、 現 在 で は ダ ラ ン 側 か ら 見 る ス タ イ ル が ジ ャ ワ で は 一 般 的 に な っ て い る( 写真 5、6)。 グ ヌ ン ガ ン を 構 成 し て い る さ ま ざ ま な 対 照 性 は、 造 形 原 理 と し て 二 項 対 立 と そ の 止 揚 と い う ア ジ ア に 広 く み ら れ る デ ザ イ ン 語 法 の ひ と つ と い え る。 そ の 意 味 で 今 回 の 調 査 で、 ア ジ ア の 山 車 も そ の 例 外 で は な い こ と が 確 認 さ れ た。 4. ワヤン・クリ研究会と公演 イ ン ド ネ シ ア で の ワ ヤ ン ・ ク リ 調 査 を 踏 ま え て、 バ リ 島 の ワ ヤ ン ・ ク リ の 唯 一 の 日 本 人 ダ ラ ン で あ り、 日 本 語 で 上 演 す る 活 動 を 続 け て い る 梅 田 英 春 氏( 静岡文 化 芸 術 大 学) を 招 い て、 研 究 会 (2013 年 11 月 11 日 ) と ワ ヤ ン・ク リ の 上 演 会(2014 年 2 月 1 日 ) を開催した。 バ リ 島 の ワ ヤ ン ・ ク リ の 研 究 者 で も あ る 梅 田 氏 は、 ワ ヤ ン(wayang) が 影 (bayang) に 由 来 す る と い わ れ て い る が、 絵 巻 物 の よ う な ワ ヤ ン ・ ベ ベ ー ル が 存 在 す る こ と か ら 初 期 形 態 が 影 絵 で あ っ た 確 証 は な い と い う。 ま た、 ジ ャ ワ で グ ヌ ン ガ ン に 相 当 す る も の は、 バ リ 島 で は カ ヨ ナ ン(kayonan) といい、 植物の葉に近い楕円 形 を し て い る( 写真 7)。 表面には生命樹をはじめとし て 渦 巻 く 紋 様 が 満 ち 満 ち て い る。 樹 木 を 意 味 す る 「カ ヨ ン(kayon)」、 思 考 を 意 味 す る 「 カ ユ ン(kayun)」 と 関 連 し て い る と い う。 バ リ 島 で も っ と も 神 聖 な ワ ヤ ン の 上 演 は、 寺 院 祭 礼 の 際 に 一 番 奥 で 幕 を 使 わ ず に、 神 に 向 か っ て( 観 客 が い な い 状 態 で) お こ な わ れ る も の で、 呪 術 的 な 性 格 を も つ。 ま た、 ダ ラ ン 自 身 も 呪 術 師、 祭 司 と し て 浄 化 儀 礼 を 担 う な ど の 役 割 を も つ。 演 劇 的 な ジ ャ ワ の ワ ヤ ン ・ ク リ と の 相 違 点 で も あ る。 バ リ 島 の カ ヨ ナ ン は、 先 端 が 尖 り 山 形 を し た グ ヌ ン ガ ン と は 異 な っ て い て 「山」 の イ メ ー ジ を 想 像 し に く い が、 や は り 「山」 と し て の 機 能 を も つ。 後 日 開 催 し た ワ ヤ ン・ク リ の 上 演 会 で は、「ス タ ソ ー マ 物 語 - 不 殺 生 の 教 え」 と い う 仏 教 譚 が 演 じ ら れ、 学 外 か ら の 参 加 者 を 含 め た 多 く の 観 客 を 魅 了 し た。 5. 研究会の開催 こ れ ら の 活 動 と は 別 に、 ア ジ ア の デ ザ イ ン の 多 様 性 を 学 部 学 生 に 啓 蒙 す る 教 育 活 動 と し て、 台 湾 を 代 表 す る グ ラ フ ィ ッ ク デ ザ イ ナ ー で あ り、 中 国 文 化 の 研 究 者 で も あ る 黄 永 松 氏 を 招 へ い し、2013 年 11 月 26、27 日 に 〈「 中 国 的 デ ザ イ ン」と は 何 か 〉、〈 福 建「 土 楼」そ の 魅 力〉 の2 回の講演会をビジュアルデザイン学科お よ び 環 境 ・ 建 築 デ ザ イ ン 学 科 に お い て 開 催 し た。 6. まとめ 2013 年 度 の さ ま ざ ま な 活 動 を 通 じ て、 ア ジ ア の 山 車 を 構 成 す る 基 本 原 理 の 把 握、 デ ザ イ ン 語 法 の 追 究 の た め の 大 き な 手 が か り と な り、 豊 富 な 資 料 収 集 が で き た と い え る。 こ れ ら を 踏 ま え、 次 年 度 以 降 は 海 外 お よ び 国 内 で の 調 査 を 始 め と し て、 研 究 成 果 を 整 理、 体 系 化 し、 本 研 究 の 全 体 的 な ま と め を 検 討 し て い く。 写真6 人形を操るダラン 写真5 ワヤン・クリ 写真7 バリ島のカヨナン