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推論における論理変形と認知的関連性の計算

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Academic year: 2021

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Kobe Shoin Women’s University Repository

Title

推論における論理変形と認知的関連性の計算

Logical Transformation on Reasoning Tasks and

Statistical Computation of Cognitive Relevance

Author(s)

松井 理直(Michinao Matsui)

Citation

Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin,

No.6:95-121

Issue Date

2003

Resource Type

Bulletin Paper / 紀要論文

Resource Version

URL

Right

(2)

推論 に お ける論 理 変形 と認知 的 関連 性 の計 算*

松井 理直

LogicalTransformationonReasoningTasksandStatistical ComputationofCognitiveRelevance MichinaoF.MATSUI Abstract Forsolvingcomplexproblemsinourrealworld,itisimportantnotonlytoget explicitinformation,butalsotoidentifyappropriateinformationbyselectingit fromahugeamountofknowledgestoredinmemory.Themostimportantprocess istoselectappropriateknowledgewhichisessentialtointerpretationofcurrent information,andtoignoreinappropriateknowledgewhichisirrelevant.InRele-vanceTheory,itisclaimedthatanoptimalrelevancegivesthemostappropriate interpretationbymeansofdeductiveinference.Thispaperprovidesacomputa-tionalmethodandaquantificationofthecognitiverelevancebasedonRelevance Theoryto"Wasonselectiontask",whichisoneofthemostfamousexperiments oflogicalproblem-solvingtasks. 1.関 連 性 理 論 人 間 と い う認 知 主 体 を取 り巻 く環 境 は極 め て 範 囲 が 広 く、 か つ 常 に 情 報 が 流 動 的 に 変 化 して い る 世 界 で あ る 。 そ れ に 対 し、 認 知 主 体 の持 つ 知 覚 ・思 考 ・伝 達 と い っ た 情 報 処 理 能 力 に は 限 界 が あ る 。 した が っ て 、 認 知 主 体 は 環 境 の 持 つ 膨 大 な 情 報 の 一 部 分 し か 処 理 す る こ とが で きな い 。 こ う し た 限 界 に よ っ て 引 き起 こ さ れ る 問 題 を フ レ ー ム 問 題 とい う。 認 知 主 体 は 、 フ レ ー ム 問 題 を少 しで も回 避 す る た め 、 部 分 情 報 を手 が か り に 、 可 能 な 限 り安 定 した 体 制 化 と推 論 を 行 お う とす る 。 認 知 の 本 質 は 、 巨 大 な 認 知 環 境 が 内 包 す TheoreticalandAppliedLinguisticsatKobeShoin6,95--121,2003. OKobeShoinInstituteforLinguisticSciences. ヰ本 研 究 の 一 部 は、 日本 学 術 振 興 会 科 学 研 究 費 補 助 金(基 盤 研 究(B)「 言 語 に お け る 制 約 間 の イ ン タ ー フ ェ ー ス に 関 す る 総 合 的 研 究 」(平 成12年 度 ∼ 平 成15年 度 、 研 究 代 表 者:西 垣 内 泰 介 、 課 題 番 号12410129)を 受 け て い る 。

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る多 様 性 に適 応 し て い く能 力 とい っ て も よ い 。 人 工 知 能 の 設 計 に も 、 こ う した 認 知 能 力 の 形 式 化 が 必 要 不 可 欠 で あ る。 ス ペ ル ベ ル と ウ ィ ル ソ ン に よ っ て 提 案 され た 関 連 性 理 論(Sperber&Wilson,1986)は 、 認 知 主 体 が どの よ う に 情 報 の 体 制 化 を行 う か とい う 問 題 に 対 す る 極 め て 興 味 深 い 理 論 で あ る。 現 在 、 こ の 理 論 は 、 言 語 ・思 考 ・知 覚 か ら社 会 文 化 に至 る 認 知 活 動 の 幅 広 い 分 野 に応 用 さ れ て お り、 人 間 の 知 的 活 動 全 般 を支 配 す る性 質 を 考 え る 上 で 、 大 変 に 重 要 な モ デ ル を提 案 して い る。 ま た 、 理 論 の 基 盤 とな る前 提 や 原 理 が 明 示 的 に 規 定 さ れ て い る た め 、 形 式 化 の 可 能 性 を 持 っ て い る点 も魅 力 で あ る。 こ こで 、 簡 単 に 関 連 性 理 論 の 枠 組 み に つ い て 見 て お こ う。 ま ず 、 関 連 性 理 論 は 、(1)の よ う な前 提 を持 つ 。 (1)a,あ る 事 実 や 刺 激 を 持 つ 状 況 が 認 知 主 体 に 表 象 さ れ 、 そ の 表 象 を 「真 実 あ る い は 真 実 で あ ろ う」 と して 受 理 可 能 で あ る 時 、 そ の状 況 を 顕 在 的(manifest)で あ る とい う。 b.あ る 認 知 主 体 に お け る 顕 在 的 事 実 の 総 体 を 認 知 環 境(cognitiveenvironments)と 呼 ぶ 。 c.認 知 環 境 の 改 善 を もた らす 作 用 を 認 知 効 果(cognitiveeffects)と い う。 認 知 効 果 は(a)新 しい 顕 在 的 事 実1の 獲 得 、(b)不 確 実 な 顕 在 的 事 実 の 確 定 、(c)誤 っ た顕 在 的 事 実 の 棄 却 、 に よ っ て もた ら さ れ る 。 d.不 必 要 な コ ス トを 払 う こ と な し に 認 知 効 果 を も た らす 情 報 の こ と を 、 関 連 性 (relevance)を 持 つ 情 報 とい う。 認 知 主 体 は 、 部 分 情 報 に 一 貫 性 を 持 た せ 、 体 制 化 さ れ た も の に す る た め 、 外 界 の 情 報 間 あ る い は 自 ら の 想 定 の 間 に 、 常 に 関 連i生 を 求 め る 存 在 で あ る 。Speエber&Wilsonは 、 こ う し た 性 質 を 関 連 性 の 認 知 原 理(cognitiveprincipleofrelevance)と 呼 ん で い る 。 (2)関 連 性 の 認 知 原 理: 人 間 の認 知 系 は 自 らに とっ て 関 連 の あ る情 報 に注 意 を払 う よ う デ ザ イ ン され て い る。 さ ら に 、 情 報 の 受 け 取 りが 動 的 に行 わ れ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン で は 、 関 連 性 の 伝 達 原 理 (communicativeprincipleofrelevance)が 存 在 し、 情 報 的 意 図 と伝 達 的 意 図 が 関 与 す る 。 本 論 文 で は 、 こ れ ら関 連 性 原 理 の う ち 、 認 知 機 構 の 本 質 と考 え ら れ る 認 知 的 関 連 性 が ど の よ う に 計 算 さ れ て い る の か と い う 点 に つ い て 議 論 を行 う。 具 体 的 な テ ー マ と し て 、 wason選 択 課 題 と して 知 られ て い る 推 論 課 題 を取 り上 げ る 。 議 論 の 要 点 は 以 下 の 通 りで あ る 。 ・ 人 間が 推 論 を行 う際 に 取 り う る方 略 の 一 つ は、 論 理 式 の 恒 等 的 な 変 換 に よ る トー ク ン レベ ル の 事 象 共 起 へ の マ ッ ピ ン グ で あ る 。 1本 稿 で は 顕 在 的 事 実 の 意 味 で 、 想 定(assumption)と い う 用 語 を 使 う こ と も あ る

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推 論 にお け る論 理変 形 と認 知 的関連性 の計算 97 ・ 人 間 の 推 論 に お け る誤 りの 原 因 と して 、仮 説 保 持 に 関 す る 制 限 と、 環 境 の 中 に存 在 す る 顕 示 的情 報 の 相 互 作 用 に よ り、 認 知 的 な エ ラ ー が 引 き起 こ さ れ る 。 ・想 定の確信 度 お よび想 定 間の関連性 に関す る定量 的 な計算 は、確 率 事 象 にお ける回 帰係 数 と して表 現 で きる。

2.推

論 課題 の実 験

2.14枚 カ ー ド問 題 人 間 の 推 論 能 力 に 関 す る研 究 で 、 最 も重 要 な 実 験 の 一 つ に 、PC.Wasonに よ っ て見 い だ され た 選 択 課 題 の 問題2(Wason,1966)が あ る 。 こ れ は、 「も しxな ら ばy」 とい う条 件 命 題 の真 偽 を判 断 す る 際 、 人 間 が 条 件 文 のx(前 件)やy(後 件)の 情 報 を どの よ う に処 理 して い る の か を 調 べ る実 験 で あ る 。 以 下 の 問題 を 見 て い た だ き た い 。 あ る 工 場 で は 、次 の 規 則 に従 っ て 、 表 に文 字 、裏 に数 字 を 印 刷 した ラ ベ ル を製 造 し て い ます 。 ・ ラベ ル 製 造 規 則1表 に 興'を 印 刷 す る な ら、 裏 は"7'を 印 刷 し な さ い 。i 今 、 こ の 工 場 で 作 ら れ た 次 の よ う な4枚 の ラ ベ ル が あ り ま す 。 ラ ベ ル1,2は 表 が 見 え て お り、 ラベ ル3,4は 裏 が 見 え て い ま す 。 こ の4枚 の ラベ ル に つ い て 、 上 の 規 則 が 守 られ て い る か ど う か 確 か め る時 、最 低 限 どの カ ー ドを ひ っ く り返 して 調 べ る 必 要 が あ りま す か 。

團 圏 團 團

条 件 文 を論 理 学 の 「含 意(implication)」 と して 捉 え た 場 合 、囚 と 回 の カ ー ドを選 択 す る と正 解 に な る 。 しか し、 実 際 に は か な りの被 験 者 が 囚 と 回 の カ ー ド を選 択 して し ま う。3こ の タ イ プ のWason選 択 課 題 に お け る 正 答 率 は大 学 生 で も極 め て 低 く、 ほ ぼ 20%前 後 の 正 答 率 しか 得 られ な い こ と が 多 い 。 け れ ど も、 面 白 い こ と に 、 ほ ぼ 同 じ よ う なWason選 択 課 題 で あ っ て も、 実 験 事 態 に よ り正 答 率 が 劇 的 に 上 が る こ と も よ く知 られ て い る 。 例 え ば 、 活 動 主 体 が 合 目 的 的 に取 り組 め る 課 題 の 実 験 や 、 あ る い は 実 用 場 面 に お け る 義 務 ・許 可 とい っ た ス キ ー マ に当 て は ま る実 験 課 題 な どが 有 名 で あ る(Chengetal, 1985,Criggsetal.1982)。 こ れ らの 結 果 は 、 条 件 文 の 解 釈 を行 う際 、 状 況 に よ り何 らか の バ イ ア ス が 掛 る こ と を示 して い る 。 2一 般 に 「4枚 カ ー ド問 題 」 あ る い は 「Wason選 択 課 題 」 と い わ れ る 。 本 稿 で は 「Wason選 択 課 題 」 と い う 表 現 を用 い る 。 3後 述 す る よ う に、 条 件 文 を 「同 意(equivalent)」 と し て 解 釈 した 場 合 は 、 全 て の カ ー ドを 選 択 す る の が 正 解 に な る。

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2.2推 論 に お け る バ イ ア ス こ れ まで に 、 論 理 的 推 論 とは 直 接 関 係 しな い あ る 種 の 認 知 的 バ イ ア ス と して 、 確 証 バ イ ア ス(con血rmationbias,(Wason,1966))や マ ッチ ン グ バ イ ア ス(matchingbias,(Evans& Lynch,1973))と い っ た 考 え 方 が 提 案 され て い る 。 さ ら に 、 近 年 、 関 連 性 理 論 の 立 場 か ら の説 明 も行 わ れ て い る(Sperber,Cara,&Girotto,1995)。 確 証 バ イ ア ス と は 、 あ る条 件 文 が 与 え られ た 時 、 認 知 主 体 は 「ル ー ル が 正 し い 」 こ と を証 明 し よ う と し、 条 件 文 が 真 に な る 事 例 を探 索 す る傾 向 に あ る と い う もの で あ る 。 こ の確 証 バ イ ア ス は 、 語 用 論 の 立 場 か ら見 る と、Griceの 「質 の 公 準 」 に 近 い もの で あ り、 興 味 深 い 方 略 とい え る。 しか し、EvansandLynch(1973)は 、 前 節 の 実 験 例 で 用 い た カ ー ドに対 し、 「も し表 が Aな ら裏 は7で は な い 」 と い う否 定 型 の 条 件 文 を提 示 し た 時 、 確 証 バ イ ア ス が 成 立 しな い こ と を見 い だ した 。 確 証 バ イ ア ス 説 。こ従 う と、 被 験 者 は 囚 と 回 の カ ー ドを 選 ぶ1ま ず で あ るが 、 実 際 に は 囚 と6の カ ー ドが 選 択 さ れ た の で あ る 。 そ こ で 、 彼 ら は 、 認 知 主 体 は 確 証 バ イ ア ス よ り も さ ら に 単 純 な 「マ ッチ ン グ バ イ ア ス」 と い う考 え方 を提 案 した 。 マ ッチ ン グバ イ ア ス と は 、 条 件 文 の 形 式 が ど う で あ れ 、 条 件 文 で 用 い られ た 項 目 と合 致 す る カ ー ドが 選 択 さ れ る と い う傾 向 の こ とで あ る 。 一 方、Sperberetal.(1995)は 、 マ ッチ ン グバ イ ア ス の よ う な 効 果 は 、 談 話 に お け る 関 連 性 か ら説 明 で き る と考 え て い る。4す な わ ち 、 「も し表 がAな ら裏 は7で は な い 」 とい う規 則 に お い て 、 図 の カ ー ドが 選 択 さ れ や す い の は 、 回 の カ ー ドが 実 際 に存 在 す る た め 処 理 効 率 が 高 く、 か つ 「回 の カ ー ドに つ い て の 話 題 」 とい う解 釈 に よ り、回 の カ ー ドが条件 文 の真 偽 に 関連 性 が高 い と判 断 され るた め と考 え られ る。 こ う した 認 知 的 バ イ ア ス の 妥 当 性 を検 討 す る た め 、 次 節 で 、Wason選 択 課 題 の 簡 単 な 実 験 を紹 介 す る。 これ らの 実 験 に よ り、Sperberら の い う関 連 性 の 説 明 が マ ッチ ン グバ イ ア ス の 考 え方 よ り も有 効 で あ る こ とが 分 か るで あ ろ う。 次 に 、Wason択 課 題 の 誤 答 が 、 恒 等 的 な論 理 変 形 と タ イ プ レベ ル か ら トー ク ン レベ ル へ の マ ッ ピ ン グ エ ラ ー に よ り起 こ る こ と を議 論 す る 。 最 後 に 、 推 論 課 題 に お け る仮 説 生 成 の メ カ ニ ズ ム を、 定 性 的 な命 題 論 理 と、 定 量 的 な 関 数 を用 い て 考 察 し、 関 連 性 理 論 の 形 式 化 へ の 足 が か り と し た い 。 3.Wason選 択 課 題 の 実 験 3.1実 験1 最 初 の 実 験 は 、 オ リ ジ ナ ル のwason選 択 課 題 と完 全 に 同 型 と考 え られ る 「伝 票 課 題 」 に 関 す る も の で あ る(上 野,1982)。 実 験 の 被 験 者 は18才 か ら20才 の 女 子 大 生37名 で 、 い ず れ の被 験 者 も論 理 学 の 授 業 は 受 講 して い な い 。 (3)本 学 科 で は 、 「1万 円 以 上 の 伝 票 で あ る な ら ば 、裏 に郡 司 先 生 の サ イ ンが 必 要 で す 」 とい う規 則 が あ り ます 。 今 、 こ こ に4枚 伝 票 が あ りま す 。2枚 は 金 額 の 面 が 見 え て 4Evansも 、 マ ッチ ン グバ イ ア ス は 関 連 性 判 断 と 関 係 が あ る 考 え て お り、 こ の 点 で はSperberら の 立 場 と 大 き な 違 い は な い 。

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推論 にお け る論 理変 形 と認知 的 関連性 の計 算 9s お り、 残 りの2枚 は サ イ ンの 面 が 見 え て い ます 。 (3a)(3b)(3c) 金 額:金 額:サ イ ン: 3万 円4千 円 郡 司 (3d) サ イ ン 松 田 こ の4枚 の 伝 票 に つ い て 、 本 学 科 の 規 則 が 守 ら れ て い る か ど う か 確 か め る 時 、 最 低 限 どの 伝 票 をめ く っ て 調 べ る必 要 が あ り ます か 。 3.2実 験2 次 に 対 照 実 験 と して 、 実 験1の 伝 票(3d)の み を変 更 し た 以 下 の よ う な 実 験 を行 っ た 。 このWason選 択 課 題 は 、Mandler(1983)で 言 及 され て い る もの と同 じ構 造 と な っ て い る 。 実 験 の 被 験 者 は女 子 大 生44名 で 、論 理 学 の 授 業 は 受 講 して お らず 、 ま た 実 験1,3と 重 複 して参 加 し た 者 は い な い 。 (4)本 学 科 で は 、 「1万 円 以 上 の伝 票 で あ る な らば 、裏 に 郡 司 先 生 の サ イ ンが 必 要 で す 」 とい う規 則 が あ り ます 。 今 、 こ こ に4枚 伝 票 が あ りま す 。2枚 は 金 額 の 面 が 見 え て お り、 残 りの2枚 は サ イ ン の面 が 見 え て い ま す 。 (4a)(4b){4c)(4d} 金 額:金 額:サ イ ン: 3万 円4千 円 郡 司

[]

こ の4枚 の 伝 票 に つ い て 、 本 学 科 の 規 則 が 守 ら れ て い る か ど う か 確 か め る 時 、 最 低 限 どの 伝 票 を め くっ て 調 べ る必 要 が あ り ます か 。 3.3実 験3 3番 目 の 実 験 も実 験1の 対 照 実 験 で あ る が 、 実 験2と は異 な り、 伝 票 の 形 式 は 同 じで あ る が 、 規 則 の 指 示 を 二 重 否 定 に変 更 し た もの で あ る 。 実 験 の 被 験 者 は 女 子 大 生41名 で 、 論 理 学 の授 業 は 受 講 し て お らず 、 実 験1,2に 参 加 し た者 は い な い 。 (5)本 学 科 で は 、 「1万 円 以 上 の 伝 票 で あ る な ら ば 、 裏 に 郡 司 先 生 以 外 の サ イ ン が あ っ て は い け ませ ん 」 とい う規 則 が あ りま す 。 今 、 こ こ に4枚 伝 票 が あ り ま す 。2枚 は 金 額 の 面 が 見 え て お り、 残 りの2枚 は サ イ ンの 面 が 見 え て い ま す 。 (Sa)(Sb)(Sc)(Sd) 金 額:金 額:サ イ ン:サ イ ン: 3万 円4千 円 郡 司 松 田 こ の4枚 の 伝 票 に つ い て 、 本 学 科 の 規 則 が 守 られ て い る か ど うか 確 か め る 時 、 最 低 限 ど の伝 票 を め く っ て 調 べ る 必 要 が あ り ま す か 。

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3.4実 験4 最 後 の2つ の 実 験 は 、Wason選 択 課 題 の基 礎 と な る 条 件 文 そ の も の の 解 釈 に 、 状 況 が どの よ う な 影 響 を与 え る の か を見 る た め に 行 っ た も の で あ る 。 本 稿 で は 、 実 験4 ,5の 課 題 を 「一 致 選 択 課 題 」 と呼 ぶ 。 被 験 者 は実 験1に 参 加 し た も の の 一 部 お よび 実 験2に 参 加 した者 の 一 部 で 、計40名 で あ る。 い ず れ の 被 験 者 も、 実 験1あ る い は 実 験2を 受 け た 後 、 本 実 験 の テ ス トを受 け て い る 。 (6)本 学 科 で は 、 「1万 円 以 上 の 伝 票 な らば 、 値 段 の 下 に郡 司 先 生 の サ イ ンが 必 要 で す 」 と い う規 則 が あ ります 。 今 、 こ こ に4枚 伝 票 が あ りま す 。 こ の4枚 の 伝 票 に つ い て 、 本 学 科 の 規 則 を全 く守 っ て い な い 伝 票 は ど れ で し ょ う。 (6a)(6b)(6c)(6d} 伝 票:伝 票:伝 票:伝 票: 3万 円4千 円3万 円4千 円 郡 司 郡 司 松 田 松 田 3.5実 験5 こ の 実 験 は 、 実 験4の 一 致 選 択 課 題 の対 照 実 験 と な る もの で 、 提 示 さ れ る伝 票 の う ち (c),(d)の タ イ プ が 異 な っ て い い る 。 被 験 者 は 実 験1に 参 加 した も の の 一 部 お よ び 実 験2 に参 加 した 者 の 一 部 で 、 計41名 で あ る 。 い ず れ の 被 験 者 も、 実 験1あ る い は 実 験2を 受 け た後 、 本 実 験 の テ ス トを受 け た 。 (7)本 学 科 で は 、 「1万 円以 上 の伝 票 な らば 、 値 段 の 下 に郡 司 先 生 の サ イ ン が 必 要 で す 」 とい う規 則 が あ り ます 。 今 、 こ こ に4枚 伝 票 が あ りま す 。 こ の4枚 の 伝 票 に つ い て 、 本 学 科 の 規 則 を全 く守 っ て い な い伝 票 は ど れ で し ょ う。 {7a){7b){7c)(7d) 伝 票:伝 票:伝 票:伝 票: 3万 円4千 円3万 円4千 円 郡 司 郡 司 実 験 は い ず れ も授 業 中 に 集 団 実 験 の 形 で 行 っ た 。被 験 者 は 一 列 置 きに 座 っ て い る た め 、 他 人 の 解 答 を 見 た も の は い な い と思 わ れ る 。 実 験 に は3分 間 の 制 限 時 間 を設 け、 制 限 時 間 内 で 解 答 さ せ て い る 。 3.6実 験 結 果 の 概 要 以 下 に 、 各 実 験 の 結 果 を見 る 。 ま ず 、Wason選 択 課 題 型 の 実 験1,2,3に お い て 、 選 択 さ れ た伝 票 の 全 て の 反 応 パ タ ー ン を 、 表1(被 験 者 数)お よ び 表2(反 応 率)示 す 。 第4節 で 詳 し く見 る よ う に 、 い ず れ の 実 験 に お い て も、 教 示 を 条 件 法 的 に解 釈 し た場 合 に は 、

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推論 にお ける論理 変形 と認 知 的関連 性 の計 算 101 条 件 文 の 前 件 が 真 ・後 件 が 偽 とな る可 能 性 を 持 つ伝 票 、 す な わ ち(a)お よ び(d)の 伝 票 の 組 み 合 わ せ が 正 解 とな る 。5 表1:選 択 さ れ た伝 票 の 反 応 パ タ ー ン{被 験 者 数) acabacadabcabdacdabcd

実験1 実験2 実験3

7131072141 6007260140 50110160072 37 44 41 一 一 表2:選 択 され た 伝 票 の 反 応 パ タ ー ン 仮 応 率)

a C ab ac ad abc abd acd abcd

実 験1 実 験2 実 験3 1 18.9 13.6 12.2 2.7 a.0 0.0 8.1 0.0 2.4 27.0 15.9 24.4 18.9 59.1 39.0 5.4 0.O o.o 2.7 2.3 0.o 10.8 9.1 17.1 2.7 0.0 4.9 100 100 100 実 験1,2,3で は 、 提 示 され て い る 伝 票 の 片 側 が 見 え て い な い た め 、 被 験 者 は教 示 条 件 文 の 前 件/後 件 の い ず れ か の み を 手 が か りに 、 真 理 値 を推 論 す る 必 要 が あ る 。 まず 前 件 に 関 して 見 る と、 前 件 の 手 が か り と な る 金 額 が 見 え て い る伝 票(a),(b)の う ち 、 い ず れ の 実 験 で も 、 ほ ぼ 全 て の被 験 者 が(a)の 伝 票 一 す な わ ち前 件 が 「真 」 と な る伝 票 一 を 選 択 し て お り、 前 件 が 偽 と な る(b)の 伝 票 を選 択 して い る被 験 者 は、 実 験1で 約18%,実 験 2で は2.3%,実 験3で は7.3%し か 存 在 し な い 。 後 件 を証 拠 と す る 推 論 につ い て い え ば 、 実 験1で は後 件 が 真 と な る(c)の 伝 票 を選 択 し た被 験 者 が 、 後 件 が 偽 と な る(d)の 伝 票 を選 択 した被 験 者 よ り も13.5%多 く、 全 体 の ほ ぼ半 数 近 くに 達 す る 。(a),(d)と い う正 しい 組 み 合 わ せ を答 え た 被 験 者 の 割 合 は 、 わ ず か18.9%で あ り、 これ は 一 般 的 なWason選 択 課 題 の 結 果 とほ ぼ 同 じ傾 向 で あ る。 これ に 対 し、 実 験2で は 後 件 が 偽 と な る(d)の 伝 票 を 選 択 した 被 験 者 が60%以 上 存 在 し、 問 題 の 正 答 率 自体 も59.1%に 達 す る 。 実 験1と 実 験2の 違 い は 、 刺 激 と して 提 示 され た 伝 票 の 性 質 に しか な い 。 した が っ て 、 実 験2の 刺 激 が 持 つ 刺 激 の 逸 脱(サ イ ンそ の も の が な さ れ て い な い とい う、 後 件 の 逸 脱)の 明 確 さが 、 正 答 率 に貢 献 し た と考 え ら れ る。 実 験2と 同 じ く、 実 験3に お い て も、 後 件 の 逸 脱 性 が 「郡 司 先 生 以 外 の サ イ ン」 とい う表 現 に よ っ て教 示 の 中 に 暗 示 さ れ て い る 。 こ の 実 験 に お い て も、 後 件 が 真 と な る(c)の 伝 票 を選 ん だ被 験 者 よ り、後 件 が 偽 とな る(d)の 伝 票 を選 ん だ被 験 者 の率 が 高 くな り、 そ の 分 、 正 答 率 も実 験1に 比 べ2倍 近 くま で 上 昇 し て い る 。 こ う した 逸 脱 度 の 影 響 は 、 教 示 の 条 件 文 に お け る前 件 と後 件 の 真 理 値 を 同 時 に直 接 調 べ る こ と の で き る一 致 選 択 課 題 の 場 合 に も影 響 を及 ぼ して い る。 表3,4に 、 実 験4,5の 結 果 を 示 す 。 後 件 の 反 例 が 顕 在 的 で な い 場 合 に 比 べ 、 反 例 が よ り明 確 で あ る実 験5に お 5もし教示の条件 を双条件的に解釈 した場合 には、全ての伝票を選択する必要がある。

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い て は 、約 半 数 の 被 験 者 が 「Xな らばY」 と共 に 「Yな ら ばX」(あ る い は 「Xで な い な らYで な い」)と い う解 釈 を行 っ て い る こ とが わ か る 。 表3:選 択 さ れ た 伝 票 の 反 応 パ ター ン(被 験 者 数) cbebcd計 実 験4346040 実 験52019241 表4:選 択 され た伝 票 の 反 応 パ タ ー ン(反 応 率) cbebcd

実 験4 実 験5 幽 85,015.00.0 48,846.34.9 100 100 実 験2,3に お け る 正 答 率 の上 昇 お よ び 実 験5に お け る条 件 法 解 釈 の 変 化 は 、 マ ッチ ン グ バ イ ア ス よ り も、Sperberetal。(1995)の 主 張 す る 「関 連 性 」 の 影 響 と考 え る ほ う が よ り妥 当 で あ る 。 マ ッチ ン グバ イ ア ス の 仮 説 で は 、 条 件 文 の 形 式 が 肯 定 文 ・否 定 文 ・二 重 否 定 文 に 関 わ らず 、 条 件 文 で 用 い ら れ た 「項 目」 と合 致 す る カ ー ドが 選 択 さ れ る こ と を 予 測 す る 。 ま た 、 マ ッ チ ン グ バ イ ア ス 説 は 、 後 件 の 反 例 の 性 質 は正 答 率 に影 響 を 与 え な い こ と を予 測 す る 。 した が っ て 、 マ ッチ ン グバ イ ア ス 説 は 、 実 験2 ,3,5に お ける解答 率 の 変 化 が 説 明 で き な い 。 一 方 、 関 連 性 理 論 で は 、 認 知 環 境 の 中 で 顕 在 性 の 高 ま っ た 情 報 は 、 そ れ だ け 処 理 さ れ や す い こ と を予 測 す る 。Wason選 択 課 題 の 典 型 的 な 誤 答 が 、 後 件 が 真 と な る カ ー ドを 選 択 して し ま う点 に あ る こ と を思 い 出 そ う。 こ の 後 件 の 性 質 に お い て 、 「偽 と い う情 報 」 が 何 らか の形 で 明 確 に な っ て い る6場 合 、 正 答 率 が 顕 著 に上 昇 す る い う傾 向 は 、 関 連 性 理 論 に お け る認 知 原 理 の 考 え方 に 一 致 す る 。 次 節 で は 、 認 知 環 境 の形 成 お よび 関連 性 の 計 算 の観 点 か ら、 推 論 課 題 に お け る 心 的 プ ロ セ ス に つ い て考 察 を行 う。 4.問 題 解 決 の 心 的 過 程 4.1論 理 構 造 最 初 に、 まずWason選 択 課 題 の 論 理 的 な 構 造 を 、命 題 論 理 の レベ ル で ご く簡 単 に見 て お こ う。 今 、 「金 額 が1万 円 以 上 で あ る」 とい う前 件 命 題 をx、 「郡 司 先 生 の サ イ ンが 必 要 で あ る 」 と い う後 件 命 題 をyと す る 。 こ の原 子 命 題X,)/の 真 理 値 に 対 し、 結 合 子 →(含

意)あ る い は結 合 子o(同 値)で 繋 が れ た 複 合 命 題x→y,x《 →yの 真 理 値 は 、 表5の よ う に

な る。 以 下 、 これ ら の 複 合 命 題 に 対 応 す る解 釈 を、 「条 件 法 的 解 釈7」 お よび 「双 条 件 法

6刺 激 自体 の性 質(伝 票 の裏 にサ イ ンそ の ものが ない)で あっ て も、提 示 文 の性 質(「 郡 司 先 生 以 外 の サ イ ン」)で あ って も

よい。-7「 金額 が1万 円 以上 な ら郡 司先 生 のサ イ ンが必 要 で あ る(金 額 が一 万 円未 満 な らど うで もよい)」 とい う解 釈 であ る 。

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推論 にお け る論 理変形 と認 知 的関連 性 の計算 103 的 解 釈8」 と 呼 ぶ 。 表5:含 意 お よ び 同値 の 真 理 値 xy x→y xHy

真 偽

偽 偽

Wason選 択 課 題 は 、x→yの 条 件 命 題 の 真 偽 を 決 定 す る の に、 前 件xの 真 理 値 の み 、 あ る い は 後 件yの 真 理 値 に 関 す る 情 報 の み で 必 要 十 分 で あ る か を検 討 す る 問 題 で あ る 。 被 験 者 は 、 伝 票 の 片 面 の 情 報 に 基 づ い て 仮 説 を 立 て 、 そ の 仮 説 の 元 で 複 合 命 題x→yの 真 理 値 が 「一 意 」 に 定 ま る か を考 え な け れ ば な らな い 。 換 言 す る な ら、wason選 択 課 題 を 「正 し く」 解 決 す る 上 で 必 要 な 心 的 過 程 は 、 仮 説 演 繹(deduction)に 関 す る 思 考 力 な の で あ る 。 も し、 仮 説 演 繹 を正 じ く用 い る こ と が で きた 場 合 、wason課 題 は次 の よ うに 解 か れ る 。 まず 、 被 験 者 が 提 示 され た 規 則 を 条 件 法:x→yと して 解 釈 し た と しよ う。 も し、 伝 票 の 金 額Xが 真 で あ る こ とが 分 か っ て い る 場 合 、 裏 面 の サ イ ンyを 真 と仮 定 す る とX→yは 真 に な り、偽 と仮 定 す る とX→yは 偽 に な る 。 す な わ ち 、 前 件 命 題Xが 真 で あ る とい う情 報 だ け で は 、複 合 命 題x→yの 真 理 値 を決 定 す る こ とが で きな い。 し た が っ て 、被 験 者 は金 額 が1万 円 以 上 の 伝 票 に 対 して 、 そ の 用 紙 の 裏 を見 て 、 サ イ ン を チ ェッ ク す る必 要 が あ る 。 同 様 に 、後 件 命 題yが 偽 で あ る こ と が 分 か っ て い る 時 も、 前 件 命 題xが 真 の 場 合 と 偽 の 場 合 とで 、x→yの 真 理 値 が 異 な る た め 、 裏 面 に郡 司 先 生 の サ イ ンが な い 伝 票 に つ い て は 、用 紙 を 裏 返 し て価 格 を確 認 しな け れ ば な ら な い 。 一 方 、 前 件xが 偽 で あ る 時 に は 、

X→yは 後 件 の 真 理 値 に 関 わ らずX→yは 常 に 真 で あ り、 後 件yが 真 で あ る 時 も 前 件 の 真

理 値 に 関 わ らず 条 件 文 は 常 に真 に な る た め 、 こ れ ら の 場 合 に は伝 票 は 裏 返 す 必 要 が な い 。 被 験 者 が 伝 票 の規 則 を双 条 件 法:XHYと し て解 釈 した 場 合 に は 、 前 件 の 真 理 値 が 真/ 偽 ど ち ら の 場 合 にお い て も、 後 件 の 真 理 値 に よ って 複 合 命 題x→yの 真 理 値 は 変 化 して し ま う。 同 様 に、 後 件 が 真 理 値 が 一 方 に 決 定 した 場 合 に お い て も 、 前 件 の 真 理 値 に よ っ て 複 合 命 題 の 真 理 値 は変 化 す る 。 した が っ て 、Wason課 題 の規 則 を双 条 件 的 に解 釈 し た 場 合 に は 、 「全 て の 刺 激 」 を調 べ る 必 要 が あ る こ と に な る 。 一 致 選 択 課 題 に お い て は、 条 件 法 的 解 釈 で は 「前 件 が 真 か つ 後 件 が 偽 」 に な る伝 票 を 1枚 の み 、 双 条 件 法 的 解 釈 の 元 で は 「前 件 が 真 か つ 後 件 が 偽 」 に な る伝 票 と 「前 件 が 偽 か つ 後 件 が 真 」 に な る伝 票 の2枚 を 選 択 す る の が 正 解 で あ る 。 表6に 選 択 す べ き伝 票 の パ タ ー ン を ま と め て お く。 8「金 額 が1万 円以 上 な ら郡司 先 生 のサ イ ンが 必 要で あ り、 かつ 郡 司先 生 のサ イ ンが あ る伝 票 な ら金額 は1 万 円以 上 で ある」、 「金額 が 一万 円 以上 な ら、そ の場 合 に限 り郡 司 先生 の サ イ ンが必 要 であ る」 な どに対応 す る 解 釈 であ る 。

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表6:条 件 法 の 解 釈 と各 実 験 の 正 答 パ タ ー ン

条件法的解釈

双条件法的解釈

Wason選 択 課 題 一 致 選 択 課 題 a,d C a,b,c,d b,c 4.2条 件 法 解 釈 の 非 一 貫 性 Wason選 択 課 題 の 興 味 深 い 点 は 、 人 間 の 仮 説 演 繹 の 特 性 を 明 らか に した と こ ろ に あ る 。 3節 で 示 し た 実 験 結 果 を見 る と 、 人 間 は推 論 を行 う際 、 条 件 法 的 解 釈 で あ れ 双 条 件 法 的 解 釈 で あ れ 、 い ず れ も う ま く使 わ れ て い な い こ とが 分 か る 。 例 え ば 、Wason選 択 課 題 の 実 験1と 一 致 選 択 課 題 の 実 験4を 比 較 し て み よ う。 この 二 つ の 実 験 で 用 い ら れ て い る 刺 激 は 、 ど ち ら も後 件 の 逸 脱 が 明 示 的 で な い 点 で 共 通 して い る 。 した が っ て マ ッチ ン グ バ イ ア ス にせ よ と 関 連 性 の バ イ ア ス にせ よ 、 何 らか の 認 知 的 バ イ ア ス が 掛 っ た 場 合 に は 、 後 件 と直 接 一 致 す る 「郡 司 先 生 の サ イ ン」 の あ る伝 票 が 選 択 さ れ や す くな る と考 え られ る 。 確 か に、 実 験1で は他 のWason選 択 課 題 に 比 べ 、 条 件 法 解 釈 に合 う(d)の 伝 票 を 選 択 した 被 験 者 は ほ と ん ど い な い 。 む しろ 双 条 件 法 に近 い 解 釈 が な さ れ て い る よ う に 思 え る 。 しか し、 既 に 述 べ た よ う に 、 双 条 件 的 に解 釈 し た 場 合 に は 全 て の 伝 票 を検 査 す る必 要 が あ る た め 、 厳 密 に論 理 を適 用 した と は全 く言 え な い 。 一 方 、 実 験4で は 、 前 件 が 真 で 後 件 が 偽 と な っ て い る 伝 票 を選 ん だ被 験 者 が85%存 在 す る こ とか ら、 ほ と ん どの 被 験 者 が 条 件 法 的 解 釈 を 取 っ て い る よ う に見 え る 。 実 験2と 実 験5で は 逆 の こ とが 起 こ っ て い る 。 こ れ らの 実 験 で は 、 偽 の 後 件 が 、 「サ イ ンの な い伝 票 」 と い う形 で か な り明 確 に刺 激 の 中 に現 れ て い る 。 した が っ て 、何 ら か の 認 知 的 バ イ ア ス が 掛 っ た とす る な ら、 条 件 法 解 釈 を よ り助 け る 方 向 に 働 くはず で あ る 。 Wason選 択 課 題 で は 、 予 測 通 り、 条 件 法 解 釈 が 実 験1よ り も増 加 し て い る(提 示 文 に 反 例 が 示 さ れ て い る 実 験3で も、 実 験1よ り も条 件 法 解 釈 が 増 加 して い る)。 しか し、 一 致 選 択 課 題 で あ る 実 験5で は、 半 数 近 くの 被 験 者 が 双 条 件 法 解 釈 を行 っ て い る よ うで あ る 。 い ず れ にせ よ 、 論 理 的 な推 論 とい う観 点 か らは 、Wason選 択 課 題 や 一 致 選 択 課 題 の 食 い 違 い を う ま く説 明 す る こ と が で き な い 。 ま た 、 典 型 的 なWason選 択 課 題 に お け る 条 件 法 と双 条 件 法 の 中 間 的 な 選 択 パ タ ー ン の 説 明 もで きな い 。 残 る 可 能 性 は 、 人 間 は 、 仮 説 演 繹 推 論 が 必 要 な状 況 や 条 件 選 択 的 な 状 況 に お い て は 、 含 意 や 同 値 と い っ た論 理 計 算 を直 接 行 っ て い る の で は な く、 な ん らか の 認 知 的 方 略 に よ り、 問 題 を疑 似 的 に 解 い て い る と い う もの で あ る 。 推 論 課 題 や 一 致 選 択 課 題 に お け る エ ラ ー の パ タ ー ン に 一 貫 した 性 質 が あ る こ とか ら 、 こ の 認 知 的 方 略 は場 当 た り的 な も の で は な く、相 応 の 論 理 に裏 づ け ら れ て は い る こ と は確 か で あ る 。 しか し、 擬 似 問 題 解 決 で あ る が 故 に 、 あ る種 の 認 知 的 バ イ ア ス が 掛 か っ て しま い 、 そ れ が エ ラ ー を引 き起 こ す 要 因 に な っ て い る と考 え ら れ る 。 次 節 で は 、 こ の 擬 似 問 題 解 決 に お け る 心 的 方 略 につ い て 議 論 して み よ う。

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推論 にお け る論 理変形 と認 知 的 関連性 の計 算 105 4.3認 知 環 境 の 構 成 (1)で 見 た よ う に、 外 界 情 報 を認 知 主 体 が 「お そ ら く真 実 で あ る」 と受 理 可 能 で あ っ た 場 合 、 認 知 主 体 は顕 在 的 事 実(想 定)を 表 象 と して持 つ 。 こ こ で 、 認 知 主 体 が 受 け 取 る外 界 情 報 を顕 示 的 情 報(ostensiveinfolmation)と 呼 ぶ こ と に し よ う。 す な わ ち 、 顕 示 的 情 報 とは 、 実 在 す る事 象 や 事 物 あ る い は 言 語 形 式 に よ る 明 示 的 な 表 現 な ど に よ り、 何 らか の 形 で 外 界 に 実 在 と して 現 れ る 情 報 を意 味 す る 。 今 、 実 験1∼5に お い て 、 顕 示 的 情 報 と な り得 る も の は 、 教 示 と して 与 え られ た言 語 表 現 に よ る条 件 規 則 、 お よ び刺 激 と して 与 え られ た 伝 票 で あ る 。 こ の 時 、 認 知 主 体 が 構 成 し得 る全 認 知 環 境 は表7の よ う に表 現 で き る 。Xは 「伝 票 の 金 額 」 に 関 す る 一 般 的 事 象 で あ り、 タ イ プ と して の性 質 を持 っ て い る。 こ れ に対 し、xは 「伝 票 の 金 額 が1万 円 以 上 で あ る」 と い う個 別 の 事 象 、 ヨxは 「伝 票 の 金 額 が1万 円 以 上 で は な い 」 とい う事 象 を 意 味 す る 。 こ れ らは トー ク ン と して の 性 質 を持 つ 。 与 え ら れ れ ば 、 事 象xは 顕 示 的 情 報 で あ る 。 同 様 に、Yは 「伝 票 の サ イ ン」 に 関 す る一 般 的事 象 で 、yは 「郡 司 先 生 の サ イ ンが あ る 」 とい う事 象 、,yは 「郡 司 先 生 の サ イ ンが な い 」 と い う事 象 を 表 す 。 こ れ らの 情 報 は 、 い ず れ もは 顕 示 的 情 報 に な り得 る。 例 え ば 、 「も し1万 円 以 上 の 伝 票 が あ れ ば_」 と い う教 示 が あ れ ば 、xは 顕 示 的 情 報 とい う こ と に な る 。 こ れ に 対 し、 夙わ,,図厨,例ヵ,囲 万 は、 認 知 主 体 が 持 つ 想 定(assumption)の 「相 対 的 確 信 度 」 を 表 す 。例 え ば 、詔測 は外 界 の 事 象xか つy(XAy)に 対 応 して想 定 され る顕 示 的 事 実 の 相 対 的 確 信 度 を 、尻 厨 はXバyに 対 す る想 定 の相 対 的確 信 度9を 意 味 す る。図κφは 「伝 票 の 金 額 」 に 関 す る情 報 しか 入 手 で きな か っ た場 合 に形 成 され る想 定 で 、1"11か 図。ラの い ず れ か と一 致 す る 。 これ を 図κφ=夙ηV図 厨 と表 現 す る な ら ば 、 み φ=3{x},V3{xy,図φ戸 尻 ηV例 わ, 図φヲ=図廼v例 元yが 同 様 に成 立 す る 。 表7:構 成可 能 な全認 知環 境 サ イ ン(Y) y-1y

未知

金 額 σo X コX 図 κy∬ ず タ防5{牙 ア 4【xφ 例 牙φ 未 知 ジ{φy図 φヲ {副η,図 可,図 わ,図 創 は い ず れ も 「真 で あ る と い う想 定(顕 在 的 事 実)」 の 度 合 な の で 、 も し認 知 主 体 が あ る 外 界 情 報 を 「虚 偽 で あ る」 と受 理 した 場 合 に は 、 そ の 外 界 情 報 に対 応 す る想 定 の 確 信 度 は0と な る 。 例 え ば 、"図 琢二〇"は 、 「伝 票 の 額 が1万 円 以 上 で あ り、 か つ 伝 票 に 郡 司 先 生 の サ イ ン が な い 、 とい う状 況 は あ り得 な い 」 とい う確 信 を 認 知 主 体 が 持 って い る こ と を意 味 す る。 同様 に 、副。φ=0な らば ∬ η=0あ る い は 図厨=0と な る 。全 て が 未 知 情 報 で あ る 囲 φφは 、 認 知 環 境 の 中 に は 入 り込 ま な い 。 9,は 外界の事象に対 してのみ用い、それに対応す る想定はoverlineで示す こととする。これは、想定の 「 しさ」や想定の存在の否定ではない ことを明確にするためである。

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今 回 の 実 験 で 用 い たW註son選 択 課 題 で は 、 事 象Aと 事 象Bが 同 時 に 顕 示 的 情 報 に な る こ とは な い 。 し た が っ て 、Wason課 題 に 関 して 認 知 主 体 が 持 つ 想 定 は 、(実 際 に 伝 票 を 裏 返 した り し ない 限 り)表8に 示 す もの に 限 られ る 。 一 方 、 一 致 選 択 課 題 は事 象A,事 象 Bが 共 起 し て い る 実 験 事 態 で あ る た め 、 表9の よ うな 想 定 が 形 成 さ れ る 。 表8:Wason択 課 題 に お け る想 定 サ イ ン(Y} v,v

未知

金額 {X) X 門X み ψ ご珂聯

未知

鞠1詔 表9:一 致選 択課 題 にお け る想 定 サ イ ン(Y} v,v 金 額 (X) X -1X 興 り 礁, 訊む 男 珊 な お 、{訊剛,砺,砺,み ヲ}の数 値 が 、 情 報 の 価 値 す な わ ち 認 知 効 果 を 表 現 す る も の で は な い こ と に注 意 さ れ た い 。Pの 数 値 は、 あ く ま で も 「正 しい とい う確 信 度 」 を示 す もの で あ る 。 も し 、図 ゆ=0で 、 か つ 現 実 に 「金 額 が1万 円 以 上 で 郡 司 先 生 の サ イ ンが な い伝 票 」 が 存 在 し な け れ ば 、 認 知 主 体 は こ の 点 で 正 しい 想 定 を 持 っ て い た こ と に な る 。 もち ろ ん 、 そ う し た伝 票 が 実 在 す れ ば 、 認 知 主 体 は誤 っ た想 定 を持 っ て お り、 こ の 事 実 を 知 っ た段 階 で 、 想 定 の 変 更 を迫 ら れ る 。 こ の 認 知 効 果 の 度 合 に つ い て は 、 後 に議 論 を行 う。 4.4反 例 探 索 の仮 説 生 成 多 くの 事 象 か ら成 立 して い る 外 界 を 認 識 す る際 、 最 も ア ク セ ス しや す い 情 報 は事 象 の 共 起 性 で あ る 。 事 象 の 因 果 関 係 に は 抽 象 的 な思 考 能 力 が 要 求 さ れ る が 、 事 象 の 共 起 関 係 は 単 純 な 観 察 とマ ッ チ ン グ に よ っ て 確 認 で き るか ら で あ る 。 実 際 、 上 記 の 実 験4の 一 致 選 択 課 題 で も分 か る通 り、 こ う した マ ッチ ン グ課 題 の 正 答 率 は か な り高 く、 認 知 タ ス ク と して 容 易 な もの と い っ て よ い 。 演 繹 推 論 に お い て も、 も し共 起 し う る事 象 が 想 定 で き れ ば 、 あ と は現 実 の デ ー タ と照 ら し合 わ せ る と い う単 純 な事 例 探 索 問 題 に 置 き換 え る こ とが で き る 。 一 般 に、 あ る複 合 命 題 は 他 の複 合 命 題 に書 き換 え可 能 で あ る 。 例 え ば 、 含 意 表 現x→y

は,y→ ヨxや 選 言(disjunction)で 表 現 さ れ る"ヨxvy"、 あ る い は連 言(conjunction)で 表 さ れ る"門(Xバy)"な ど と等 価 で あ る。 今 、 条 件 文 の こ う した論 理 変 形 をWason択 課 題 に

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推論 にお ける論 理変 形 と認 知 的 関連 性 の計算 107 適 用 した 場 合 、 数 あ る 恒 等 式 の 中 で も特 に ヨ(XA¶y)と い う論 理 形 式 が 極 め て 妥 当 な 表 現 で あ ろ う。単 純 な表 現 形 と い う ば か りで な く、 反 例 がXバyと い う事 象 の 共 起 性 と い う 形 で 直 接 表 現 され て い る か らで あ る 。 本 稿 の 実 験 で い う な ら、 「伝 票 の 値 段 が1万 円 以 上 で あ る(x)」 か つ 「伝 票 に郡 司 先 生 の サ イ ンが な いey)」 とい う 条 件 が 、 提 示 さ れ た 規 則 の 反 例(-1(_))と い うわ け だ 。 同 値 表 現xHyも 同 様 で あ る 。 この 場 合 、XE→y-,=((xバy)vCxAy))と い う恒 等 式 か ら 、 規 則 の 反 例 が 見 つ か る 。 す な わ ち 、 「伝 票 の値 段 が1万 円 以 上 で あ る(x)」 か つ 「伝 票 に 郡 司 先 生 の サ イ ン が な い(-1y)」 とい う条 件 か 、 あ る い は 「伝 票 の 値 段 が1万 円 以 上 で な い(-1x)」 か つ 「伝 票 に 郡 司 先 生 の サ イ ンが あ る(y)」 条 件 の い ず れ か((_)v(_))が 反 例 (ヨ(_))と い う こ とが わ か る。 以 上 の論 理 変 形 が 実 際 に 心 の 中 で 行 わ れ 、 選 択 課 題 の 問 題 を解 く た め の 仮 説 と して 生 成 さ れ た と し よ う。 この 時 、Wason選 択 課 題/一 致 選 択 課 題 に お け る仮 説 の 表 象 は 、各 々 表8,表9で 示 した 認 知 環 境 に お け る 想 定 副 を用 い て 、 次 の よ う に表 さ れ る 。 (8)Wason選 択 課 題 に お け る仮 説 形 成 a・x→y=-1(XAコy) ⇒ 詔 κφ=0か つ 図 φア=0 b.x← 》y=-1((xA-v)V(-1xAy)) ⇒(興 、φ=0か つ 調 φア=0)ま た は(囲 元φ=0か つ 例 φy=0) (9)一 致 選 択 課 題 に お け る仮 説 形 成 a.X→y二 ・-1(XA-ly) ⇒ 副 琢=0 b.x← 》y=¶((X八 一1y)V(-IXAy)) ⇒ 渕5=Oま た は 、興 殉=0 こ の よ う に仮 説 が 形 成 さ れ る と 、 あ と は外 界 の 中 か ら適 合 す る刺 激 を探 索 す る だ け で あ る 。Wason選 択 課 題 の 場 合 で あ っ て も 、(8)の 仮 説 を形 成 し た被 験 者 は 、演 繹 推 論 に頼 ら ず に 、 課 題 の 正 解 に 辿 り着 け る 。 例 え ば 、(8a)の 仮 説 形 成 を行 っ た 被 験 者 は 、 興 φの想 定 か ら刺 激x(1万 円 以 上 の 伝 票)を 、 図 φ,の想 定 か ら刺 激 一,y(郡司 先 生 の サ イ ン が な い 伝 票)を 探 し出 せ ば よ い 。 一 致 選 択 課 題 に な る と さ らに 話 は 単 純 で あ る。(9a)の 仮 説 を持 つ 被 験 者 は 、 詔厨 の 想 定 か ら刺 激X-1y(1万 円 以 上 で 郡 司 先 生 の サ イ ン の な い 伝 票)を 探 し出 せ ば よい 。 一 方 、(9b)の 仮 説 を持 つ 被 験 者 は 、 図炉 の想 定 か ら刺 激x-1y(1万 円 以 上 で 郡 司 先 生 の サ イ ン の な い伝 票)を 探 し当 て た 後 、 次 に想 定 みyに 対 応 す る 刺 激 ヨxy(1 万 円 未 満 で 郡 司 先 生 の サ イ ンの あ る伝 票)を 実 世 界 の 中 で 探 索 す る こ と に な る 。 同 じ く、 Wason選 択 課 題 で 双 条 件 法 的 な 変 形 を 辿 っ た 場 合 に は 、4種 類 全 て の伝 票 を検 査 し な け れ ば な ら な い 。

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な お、 自然 言 語 の 条 件 文 が 論 理 表 現 と して は含 意 と同 値 の 曖 昧 性 を持 つ こ と と同様 、選 言 に つ い て も包 括 的 選 言(inclusivedisjunction)と 排 他 的 選 言(exclusivedisjunction)と の 曖 昧 性 が あ る。 した が って 、x〈→yを 変 形 した場 合 、包 括 的 選 言 を 用 い た表 現 コ((Xバy)VeXAy)) と排 他 的 選 言 を 用 い た 表 現 ヨ((XA一y)㊤CXAy))の2種 類 が 考 え ら れ る 。 複 合 命 題 の 真 理 値 に 関 して両 者 の 表 現 は 完 全 に 一 致 す る た め 、XHyの 論 理 変 形 と して は 頑 強 で あ る 。 し か し、 仮 説 の 「心 的 運 用 」 と い う 点 に つ い て は 、2種 類 の 表 現 間 で 違 い が 出 る 。 排 他 的 選 言 を 用 い た 論 理 変 形 を辿 っ た 場 合 の 仮 説 形 成 は 以 下 の よ う に な る 。 (10)a.Wason探 索 課 題 の 場 合: X←>y=-1((XA門y)㊤(コXAy)) ⇒(渕 。φ=0か つ 図 φア=0)ま た は(詔 王φ=0か つ 副 φy=0)の い ず れ か 一 方 b.一 致 選 択 課 題 の 場 合: X←>y=-1((XA-ly)㊥(-IXAy)) ⇒ 夙 ザ0ま た は みy=0の い ず れ か 一 方 包 括 的 選 言 の 場 合 は 、 前 述 した よ う に2種 類 の 仮 説 探 索 が 行 わ れ る 。 一 方 、 排 他 的 選 言 を用 い た変 形 を行 っ た 場 合 は 、 ま ず ど ち らか 片 方 の 仮 説 を 探 索 し、 実 例 が 見 つ か っ た 場 合 に は そ の 時 点 で探 索 タ ス ク 自体 を終 了 す る 。 も う一 つ の 仮 説 検 証 は 、 最 初 の 仮 説 に 対 す る 実 例 が 見 つ か ら な か っ た 時 に 初 め て 開 始 され る 。 した が っ て 、 条 件 文 を 双 条 件 法 的 に 理 解 す る 人 で あ っ て も、 排 他 的 選 言 へ の 変 形 を行 い 、 か つ 図、φ=0(Wason選 択 課 題 の 場 合),図 琢=0(一 致 選 択 課 題 の 場 合)か ら探 索 を 開 始 し た 時 に は 、 条 件 法 的 に 提 示 文 を 解 釈 した 人 と表 面 上 同 じ行 動 を行 う こ と に な る 。 い ず れ にせ よ 、(8),(9)と い う仮 説 形 成 の も と で は 、wason選 択 課 題 で あ っ て も一 致 選 択 課 題 で あ っ て も、 ど ち ら も比 較 的単 純 な反 例 一 致 探 索 課 題 に まで 落 と し込 ま れ る 。 演 繹 推 論 の 能 力 は必 要 が な い 。 しか し、 反 例 一 致 探 索 問 題 と し て擬 似 解 決 を 行 お う と した 場 合 、Wasonk.択 課 題 の 本 質 的 問 題 が 現 れ る。 一 致 選 択 課 題 に お い て は 、 問 題 自体 が 実 例(ト ー ク ン)を 探 索 す る こ と を 要 求 して い る た め 、 反 例 一 致 探 索 と い う 形 で 問 題 解 決 を 行 っ た と こ ろ で 、 探 索 す べ き範 囲 の 性 質 に大 き な 違 い は な い 。 しか し 、Wason選 択 課 題 は 、 前 件 と後 件 の 「命 題 レベ ル」 の 真 理 値 を 問 う 問 題 で あ り、 これ を トー ク ン レベ ル で の 探 索 課 題 と して 解 く場 合 、 正 確 に探 索 しな け れ ば な ら な い 範 囲 が 劇 的 に 広 くな る 。 こ こで 認 知 主 体 は 「フ レ ー ム 問 題 」 に直 面 す る 。Wason選 択 課 題 を 反 例 探 索 問 題 と して 解 く場 合 、 探 索 範 囲 に フ レー ム を は め て し ま い 、 十 分 な 認 知 環 境 を構 成 で き な か っ た 時 に 誤 りが 起 こ る 。 次 節 以 降 で は 、Wason択 課 題 に お い て 、 認 知 主 体 が 取 り得 る探 索 範 囲 を限 定 す る方 略 に つ い て議 論 を行 う。 4.5仮 説 保 持 に 関 す る方 略 一 般 に 、認 知 機 構 が あ る 単 独 の タ ス ク を遂 行 す る際 、 「同 時 」 に保 持 さ れ る仮 説 は 極 め て 少 な い こ とが 知 ら れ て い る 。 複 数 仮 説 の 同 時 保 持 に は 大 き な コ ス トが 必 要 と され る の で あ る。 こ こ で 、 あ る種 の 被 験 者(で き る だ け 楽 を した い 人)は 、 同 時 保 持 され て い る仮 説 に 関 して 、 以 下 の 方 略 を採 る と し よ う。

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推論 にお け る論 理 変形 と認知 的 関連性 の計 算 104 (11)仮 説 保 持 の 方 略: 同 時 に保 持 しな け れ ば な ら な い心 的 仮 説 が あ った 場 合 、顕 示 的 な情 報 に 支 え られ な い もの は 、 関 連 性 の 低 い 想 定 と して 棄 却 す る 。 こ の 方 略 の も と で 、 実 験1の 事 態 を(8a)の 仮 説 形 成 に よ り解 決 す る 場 合 を 考 え て み よ う。 こ の 場 合 、 生 成 さ れ る仮 説 は 凡 φお よ び 図 ψアで あ る か ら、 「同 時 」 に2つ の 仮 説 を 保 持 し な け れ ば な ら な い 。 一 方 、 実 験1に お い て 顕 示 的 情 報 に な り得 る もの は 、 教 示 と し て 与 え られ た条 件 文 お よ び刺 激 と して 与 え られ た 伝 票 の 片 面 の 情 報 で あ る。 ま ず 、 教 示 文 の 効 果 に つ い て の み考 え て み よ う。 教 示 文 か ら は 、 「1万 円 以 上 の 金 額(x)」 と 「郡 司 先 生 の サ イ ン(y)」 が 、顕 示 的 な情 報 と して 直 接 得 られ る 。 した が っ て 、 顕 示 的 情 報 に 支 持 さ れ る心 的 仮 説 は 、{訊。φ,図φア}の うち 、 図。φと い う こ と に な る ・ す な わ ち ・ 「1万 円 以 上 の 伝 票 の 中 に誤 りが あ る」 可 能 性 が あ る と い う わ け だ 。 そ こ で 、 被 験 者 は 「3万 円 の 伝 票 」 を選 択 し、Wason選 択 課 題 の タス ク を 修 了 す る 。 一 方、(8b)の 論 理 変 形 を行 っ た 被 験 者 は 、 同 時 仮 説 と して{訓 。φ,久φア}と{図 王φ,詔φy}の 2種 類 を 持 つ こ と に な る。loこ の2種 類 の 同 時 仮 説 に お い て 、 教 示 文 に お け る 顕 示 的 情 報 の 支 持 を 得 る も の は 、 各h図 。φ と 詔 φyであ る 。 そ の 結 果 、 被 験 者 は 「3万 円 の 伝 票 」 と 「サ イ ンが 郡 司 先 生 の 伝 票 」 を選 択 す る こ と に な り、 条 件 法 的 解 釈 と し て は誤 り、 双 条 件 法 的 解 釈 と して は不 完 全 な解 答 に な っ て し ま う。 な お 、仮 説 と して 排 他 的 選 言(10a) の論 理 変 形 を辿 っ た 場 合 は 、{詔 。ψ,例耐 の 仮 説 検 証 か ら始 め た 被 験 者 は 、 条 件 法 解 釈 と 同 じ く 「3万 円 の伝 票 」 を選 択 し、 そ の 時 点 で タ ス ク そ の もの を 終 了 す る 。 した が っ て 、 (8a)の 仮 説 検 索 と 同 じ結 果 に な り、 条 件 法/双 条 件 法 い ず れ の 観 点 か ら も不 完 全 な 解 答 と な る 。 一 方 、{夙勲,詔 φン}の仮 説 検 証 か ら始 め た 被 験 者 は 、 「サ イ ン が 郡 司 先 生 の 伝 票 」 の み を選 択 す る こ と に な り、 完 全 に不 正 解 で あ る 。 実 験1∼3に お い て 、伝 票(c)の み を選 択 し た被 験 者 は ほ と ん ど観 察 さ れ な い こ とか ら(実 験1に お い て 、 一 人 い た だ け で あ る)、 仮 説 形 成 に お い て 、 排 他 的 選 言 の 形 で 論 理 変 形 を 行 う こ とは な い とい っ て よ い だ ろ う。 こ れ は 、 排 他 的 選 言 を用 い た 場 合 、 仮 説 は ど ち ら にせ よ 一 つ しか 得 ら れ な い た め 、 条 件 法 的 解 釈(8a)の 変 形 を行 っ た ほ うが 、 コ ス トの 点 で 有 利 で あ る こ とが 要 因 と思 わ れ る 。 問 題 解 決 に コス トを か け た く な い 被 験 者 は 、 仮 説 の 数 が 増 え る 双 条 件 法 的 変 形(8b) を選 択 す る よ り、 条 件 法 的 変 形(8a)を 選 ぶ で あ ろ う。 4.6顕 示 的 情 報 の 影 響 論 理 変 形(8a)/(8b)の 選 択 や 、仮 説 保 持 の 限 界 に つ い て は 、 被 験 者 の タ ス ク にか け る コ ス ト以 外 に 、 環 境 に お け る 顕 示 的情 報 の 性 質 も絡 む 。 例 え ば 、 実 験1で は 、 刺 激 か ら 得 ら れ る情 報 と して 「3万 円 の 伝 票 」、 「8千 円 の 伝 票 」、 「郡 司 先 生 の サ イ ン」、 「松 田先 生 の サ イ ン」 の4種 類 が 存 在 す る 。 こ の 「郡 司一 松 田 」 の 対 立 が 、 も と も と教 示 に お い て 顕 示 的 情 報 で あ っ た 「郡 司 」 の 情 報 量 を よ り強 くさ せ る 効 果 を持 つ 。 こ う し た効 果 は 、 条 件 法 的 な論 理 変 形(8a)よ り も、双 条 件 法 的 な変 形 で あ る(8b)の 選 択 を促 進 させ る 可 能 lo{詔⑩ ,訊 φヲ}と{残 φ,5㌔1は 、 互 い に 選 言 で 繋 が れ て い る た め 、 「同 時 」 に 検 証 す る 必 要 が な い 点 に 注 意 さ れ た い 。

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性 が 十 分 に考 え ら れ る。 こ う し た 環 境 の 影 響 は 、 実 験2,5で は よ り顕 著 に な る 。 こ れ らの 刺 激 で は 、 あ る伝 票 に 「サ イ ンが な い 」 た め 、後 件yだyの 対 立 が 際 立 つ 。 そ の 結 果 、 指 示 物 レベ ル の み な ら ず 、 後 件 の 命 題 レベ ル で の 情 報 量 を 増 大 させ る 。 例 え ば 、 実 験2に お け る教 示 は 実 験1 と 同 一 の もの で あ る か ら ・ 前 述 した よ う に 、詔 。φあ る い は 図 φッ とい う 仮 説 が 心 的 に 強 く な っ て お り、郵 勲 図 の とい う仮 説 は ア ク セ ス し に く い 状 態 に あ る 。 こ の 時 、 「サ イ ンが な い 」 とい う刺 激 が 出 現 す る と・,yは 新 情 報 と して 機 能 し、5㌔ とい う仮 説 を支 持 す る 関 連 性 を持 っ た情 報 と な る。 こ う して 、 この 「サ イ ンが な い 」 と い う刺 激 は 、 教 示 に お け るxの 顕 示 性 と も相 ま っ て 、1図。φ,図耐 とい う 同 時 仮 説 の 複 数 保 持 を 促 進 す る効 果 を 持 つ 。 一 方 、,yの 顕 示 性 は相 対 的 に教 示 文 に お け るyの 顕 示 性 の 効 力 を 弱 め る た め 、 双 条 件 法 的 な変 形(8b)に お け る 仮 説 図 ψッの 選 択 が 行 わ れ に く く な る 。 し た が っ て 、 実 験2 に お い て は 、 条 件 法 的 変 形 を行 っ た 被 験 者 で あ ろ う と、 双 条 件 法 的 変 形 を 行 っ た被 験 者 で あ ろ う と、{図.φ,図耐 とい う 同 時 仮 説 の 探 索 の み を行 う確 率 が 増 え 、 そ の 結 果 、 実 験 1に 比 べ 、 実 験2の 正 答 率 は(見 か け 上)飛 躍 的 に 上 昇 す る。 一 方、 同 様 の 「サ イ ンが な い 」 伝 票 を刺 激 に 持 つ 実 験5で は 、 こ れ が 異 な っ た効 果 と し て現 れ る 。 実 験5に お い て は 、 教 示 文 が 与 え られ た 時 点 で 、 条 件 的 変 形(9a)で あ っ て も、 双 条 件 的 変 形(9b)で あ っ て も、 例 厨 と い う仮 説 は 心 的 に 生 成 され て い る 。 した が っ て 、 後 件y/ヨyの 対 立 の うち 、,yは ど ち らの 変 形 に対 して も 、 同 じ効 力 を持 つ 。 しか し 、yの 支 持 し得 る仮 説 は 、 双 条 件 法 的 変 形(9b)に しか 存 在 し な い 。 こ う し て 、 実 験2 と は異 な り、 実 験5に お い て は 、 「サ イ ンが な い」 伝 票 が 、双 条 件 法 的 解 釈 を促 進 す る効 果 と して働 くの で あ る 。 外 界 に お け る顕 示 的 情 報 が 論 理 変 形 の 選 択 に影 響 を 及 ぼ す と い う こ と は 、 仮 説 保 持 の 制 約(11)と 共 に 、 仮 説 生 成 に 関 す る 以 下 の よ う な 制 約 も存 在 す る と考 え られ る 。 (12)仮 説 生 成 の 制 約 a.生 成 す る仮 説 が 複 数 あ っ て は な らな い 。 b.よ り多 くの 情 報 が 関 与 す る仮 説 を 生 成 しな け れ ば な ら な い 。 方 略(ll)が あ る タ イ プ の被 験 者 が 取 る一 時 的 な方 略 で あ る の に対 し、 制 約(12)は 一 般 的 に 存 在 す る認 知 的 制 約 で あ る 。(12a)は 仮 説 の コス トに 関 す る 制 約 、(12b)は 仮 説 の 信 頼 性 に 関 す る 制 約 とい っ て も よ い 。 状 況 に よ り、(12a)と(12b)は 競 合 す る制 約 に な っ て し ま う。 例 え ば 、 実 験1に お い て は 、(12a)に 従 う と条 件 法 的 変 形(8a)の ほ う が 良 い 仮 説 生 成 と な り、(12b)に 従 う と 、 教 示 の 顕 示 的 情 報x,yを 満 た す 双 条 件 法 的 変 形(8b)の ほ う が 良 い 仮 説 生 成 と な る。 普 通 は(12b)》(12a)が 成 立 す る で あ ろ うが 、 問 題 解 決 の 制 限 時 間 や 顕 示 的 情 報 の 強 さ に よ っ て 、(12a)が 優 先 さ れ る事 態 も考 え ら れ る 。 最 後 に 実 験3に つ い て 述 べ て お こ う。 この 実 験 は 、 実 験2と 同 様 、 反 例 が 外 界 に 明 示 的 に示 さ れ て い る 実 験 で あ る が 、 そ の 情 報 の 顕 示 性 が 言 語 処 理 過 程 に影 響 さ れ て い る 点 に 特 徴 が あ る 。 ま ず 、 実 験3の 刺 激 は 実 験1と 同 一 で あ る た め 、 特 に顕 示 的 情 報 は 存 在

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推論 にお け る論 理変 形 と認知 的 関連性 の計 算 111 し な い 。 一 方 、 教 示 に お い て は 、 「一 万 円以 上 の 伝 票 」 と い う顕 示 的 情 報 と、 「郡 司 先 生 以 外 の サ イ ン」 と い う顕 示 的 情 報 が 存 在 す る 。 問 題 は 、 後 者 の 「郡 司 先 生 以 外 」 と い う 表 現 で あ る 。 郡 司(2000)で 述 べ ら れ て い る よ う に 、 日本 語 の 名 詞 句 の タ イ プ は あ る一一つ の も の に 固 定 さ れ て い る わ け で は な い 。 固 有 名 詞 の 場 合 は 基 本 的 に タ イ プeと 考 え られ る が 、Mizuno(2003)は 、 「太 郎 以 外 の(人)」 とい っ た 句 に な っ た 場 合 、 タ イ プe以 外 に <e,t>に タ イ プ シ フ トを起 こす 必 要 が あ る と述 べ て い る 。 こ の タ イ プ シ フ トが 強 制 さ れ て い るか 否 か に よ り、 「郡 司 先 生 以 外 」 と い う情 報 は,yと して 顕 示 性 的 情 報 に な る 場 合 と 、顕 示 性 を持 た な い 場 合 が あ り得 る 。 実 験3に お け る 可yの 伝 票 の 選 択 率 が 、 実 験1よ り も高 い が 、 実 験2よ り も低 くな る理 由 は 、 こ う した 言 語 理 解 の 曖 昧 性 に 基 づ く と考 え て よい だ ろ う。11 4.7推 論 課 題 に お け る定 性 的 性 質 の ま と め 本 節 の 議 論 か ら、 推 論 課 題 に お け る論 理 的 構 造 お よ び定 性 的 性 質 は 、 次 の よ う に ま と め ら れ る 。 (13)a.wason選 択 課 題 の よ う な 推 論 を必 要 とす る事 態 に お い て 、 人 間 は必 ず し も演 繹 推 論 そ の もの を行 う と は 限 ら な い 。 b.命 題 レベ ル の 推 論 課 題 を 、 恒 等 的 な論 理 変 形 に よ り、 索 課 題 と して 解 決 す る こ とが で き る 。 トー ク ン レベ ル の 反 例 探 c.問 題 解 決 にお け る仮 説保 持 の方 略お よび仮 説 生成 にお け る認 知 的制 約 は、推論 問題 を解 決す る上 で の認知 効 果 の コス トの一種 で あ る。 d,し た が っ て 、 関 連 性 の 原 理 に よ り、 これ ら の 方 略 ・制 約 に基 づ い て 、 関連 性 を 持 つ 情 報 の 範 囲 が 決 定 さ れ る 。 e.推 論 にお け る エ ラー は 、 こ の 関 連 性 を持 つ 情 報 の 範 囲 、 す な わ ち認 知 環 境 にお け る 探 索 範 囲 の 制 限 に よ っ て もた ら さ れ る。 f,論 理 変形 を行 う際 の変形 選 択(条 件 法 的解釈 か双 条件 法 的解釈 か)も 、認知 効果 の コス トに左 右 され る。 仮 説 保 持 方 略 お よび 仮 説 生 成 制 約 が 認 知 効 果 の コ ス トに 与 え る 影 響 を 明 確 に す る た め 、 各 実 験 事 態 に お け る顕 示 的 情 報 の 関 与 を表10に 示 して お く。"〈="は 、 方 略(11)や 制 約 (12)に よ り、 選 択 され や す くな っ て い る仮 説 を 、"*"は 制 約(12)の 違 反 度 を示 す 。 以 上 、 推 論 課 題 の 擬 似 解 決 に 関 わ る仮 説 保 持 お よ び 顕 示 的 情 報 と い う性 質 につ い て 、二 値 的 な命 題 論 理 に基 づ い た考 察 を行 っ た 。 本 節 で の 議 論 は 、 仮 説 を保 持 す る か 否 か 、 顕 示 的 情 報 が 存 在 す る か 否 か と い う二 項 対 立 に基 づ く もの で あ る た め 、 二 値 論 理 の 形 で の 形 式 化 で 問 題 な い 。 しか し、Wason選 択 課 題 に お け る フ レ ー ム 問 題 に は 、 も う 一 つ 重 要 11Sperbereta1 .(1995)も 、 反 例 概 念 の 語 彙 化 が 正 答 率 を増 加 させ る こ と を 報 告 し て い る。

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表10:各 実 験 に お け る顕 示 的 情 報 顕 示 的 方 略(11)に よ る 制約 仮 説 に基 づ く

情報

反例 の仮 説 生成 (12b)(12a)

伝票選択

実 験1(→) X,y 詔 κφ * 一 (3a)

H x,y タ{κφ,囲 φy * (3a),(3c)く=

実 験2(→) X,、y,(y) 囲 κφ,副 φア * (4a),(4d)〈= (H) X,ヨy,(y) 図 ψ 図 φ,,(図 φン) *(*)

(4a),(4d),((4c))

実 験3(→) x,y 図 κφ * (Sa) X,-1y 詔 ψ5冤 φヲ X (5a),(5d)〈= (←) x,y ∬{ψ ∬{φy * (5a),(5c)〈= X,-1y 3{xφ,タ{φ ヲ * (5a),(5d)〈= 実 験4(→) X,y 詔琢 * (6c)仁 H X,y ク 【炉,ク 【わ *** (6c),(6b) 実 験5(→) X,コv,(y) 図厨 * (7c) {H} X,コy,(y) 図 が,例 力 * (7c),(7b)・ ≒ な 要 因 が 関 わ っ て い る 。 そ れ は、 認 知 主 体 が 持 つ 想 定(顕 在 的 事 実)の 強 さ に 関 す る もの で あ る 。 想 定 の 確 信 度 は 、言 語 表 現 、一 般 常 識 、 対 象 と な る顕 示 的 事 実 の種 類 な ど、様 々 な要 因 の 影 響 を 受 け る 。例 え ば 、 「テ ス トの 点 数 が100点 だ っ た ら、 ご ほ うび を あ げ ます 」 とい う表 現 か ら多 くの 人 の 持 つ 想 定 は 、 「100点 が 取 れ な け れ ば 、 ご ほ う び は も ら え な い 」 と い う もの だ ろ う。 しか し、 「松 蔭 生 が バ イ トに応 募 して き た ら、 女 性 ス タ ッ フ を採 用 で き る」 とい う表 現 の 場 合 で は 、 バ イ トに応 募 して き た 学 生 が 神 大 生 で あ っ た と して も、 女 性 ス タ ッ フ の 採 用 が で き な い と判 断 が 即 座 に な さ れ る こ と は な い 。 関 連 す る 想 定 の 起 こ り易 さ や 探 索 す べ き フ レ ー ム 設 定 の 広 さ に は 、 状 況 が 大 き く影 響 す る の で あ る。 こ う した認 知 主 体 の 内 部 に お け る 想 定 の行 い や す さ と い う 心 理 状 態 は 、 連 続 量 の 性 質 を持 つ た め 、 二 値 論 理 で の 表 現 は必 ず し も適 切 で は な い 。 そ こ で 、 本 論 文 の 最 後 の 議 論 と し て 、(13)の 定 性 的 性 質 を保 っ た 定 量 的 表 現 を 導 入 す る こ と に し よ う。 こ の よ う な定 量 的 性 質 は 、 特 に フ ァ ジ ィ論 理 の よ う な 多 値 論 理 の 枠 組 み の 中 で 用 い れ ば 、 想 定 の 確 信 度 か ら 関連 性 の 計 算(認 知 効 果 の 計 算)ま で を 、 一 つ の 枠 組 み で 取 り扱 え られ る 可 能 性 が あ る 。 ま た 、 こ う し た計 算 方 法 は 、 想 定 す な わ ち顕 在 的 事 実 の 相 互 作 用 を重 視 す る 関 連 性 理 論 を 形 式 的 に表 現 す る 一 つ の 手 が か りに も な る で あ ろ う。 5.定 量 的 計 算 5.1回 帰 直 線 に よ る含 意 関 係 の 表 現 X→yと い う条 件 表 現 の 最 も基 本 的 な 意 味 は 、 要 因Xが 要 因yの 生 起 に どの よ う に 影 響 す る か とい う もの で あ る 。 こ う した2要 因 の 関 係 を定 量 的 に 表 す 方 法 と して 、 数 理 統 計

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推 論 にお ける論 理変 形 と認 知 的関連 性 の計 算 113 学 で 用 い られ る 回 帰 直 線 の 概 念 が あ る 。 回帰 直 線 とは 、xとyの デ ー タ の ペ ア が い くつ か 与 え ら れ た 時 、 な る べ く誤 差 の少 な い 形 でy=a+β κ とい う 関 係 式 に当 て は め た 時 の 直 線 の こ と をい い 、 この 式 の β を 回帰 係 数 と呼 ぶ 。 回 帰 係 数 は 回 帰 直 線 の 傾 き を 表 す 係 数 で あ り、xがyに ど の 程 度 影 響 を 及 ぼ して い る か を示 す 係 数 で もあ る 。 図1に 回 帰 直 線y=fixの 回帰 係 数 β を変 化 させ た 時 の 直 線 を 示 す 。 回 帰 係 数 が 小 さ け れ ばx軸 に 近 づ き、 回帰 係 数 が 大 き くな る に 従 っ てy軸 に近 づ く こ とが わ か る。 (a} {b) (c) 図1:回 帰 係 数 と要 因 の 関 係 この 回 帰 直 線 の 性 質 を条 件 文x→yに 合 わ せ て 考 え て み よ う。 回 帰 係 数 がoで あ れ ば 、 yはxの 状 態 に 関 わ らず 一 定 と な る(図1の 場 合 だ と、 回帰 係 数 が0な ら ばyは 常 に0と

な り、 要 因yは 生 起 しな い)。 す な わ ち 、 回 帰 係 数 がoと い う こ との 意 味 は 、x→yと い

う含 意 関 係 が 成 立 しな い(偽 に な る)と 解 釈 で き る。 回 帰 係 数 が0よ り大 き く な る に した が っ て 、 程 度 の 差 こ そ あ れ 、X→yが 成 立 す る こ と を 意 味 し、 回帰 係 数 が1に な る と 、 同 値 関 係XHyが 成 立 す る 。 図1-bか ら分 か る 通 り、β=1の 状 態 で は 要 因xと 要 因yの バ ラ ン ス の 完 全 に取 れ て お り、Xか ら予 測 さ れ るyの 値 と 、yか ら予 測 され るXの 値 が 一 致 す る一一す な わ ちx→yとy→xを 同 時 に 満 た し、 同 値 関係x→yが 成 立 す る。 一 方 、 回 帰 係 数 が マ イ ナ ス に な れ ば 、 要 因xが 強 くな る に つ れ て 、 要 因 一yが 起 こ りや す くな る た め 、 こ れ はx→ 可yの 関 係 と解 釈 で き る 。 な お 、 回 帰 係 数 が1以 上 に な っ た 場 合 あ る い は 一1以 下 に な っ た 場 合 は 、 各 々y→X, ,y→xと い う条 件 文 にお け る 真 理 値 計 算 とな る 。 こ れ は 図1-cを 裏 返 して90度 回転 さ せ ・ 横 軸 にy軸 を 、 縦 軸 にx軸 を 持 っ て くれ ば 直 感 的 に 分 か る で あ ろ う。 数 学 的 に は 、 こ れ は 図1-aと 図1-cの グ ラ フ は 逆 関 数 の 関 係 に あ る 。 こ の 数 学 的 性 質 は 、 条 件 文 の 量 的 計 算 に お い て も保 存 され て い る 。 す な わ ち 、 図1-aはx→yの 計 算 で あ り、 図1-cは こ れ の 「逆 」 の 関 係 で あ るy→Xの 計 算 を表 し て い る 。12 こ う して 、Xが 正 の 値 を 取 る 場 合 を 考 え る と 、X→yが 偽 に な る条 件 、 徐 々 に 関 係 が 強 く な っ て い く条 件 、XHyが 成 立 す る条 件 、 ま たy→X,X→,y,y→ ヨXの 関 係 が 各 々 連 続 的 に 変 化 す る 条 件 と い う、xが 真 で あ る 時 の 条 件 関 係 全 て を定 量 的 に表 現 で き て い る こ と が 分 か る 。 要 因xの 否 定 は 、x軸 の マ イ ナ ス 方 向 を考 え れ ば よい 。 した が っ て 、 回 帰 係 12回 帰 係 数 ±1がxeyの 一 つ の 限 界 点 に な っ て い る 点 に つ い て は 、p.ll6に お け る 詔κ→Yの 値 に 関 す る 議 論 も参 照 の こ と 。

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数 の 値 とxの 値 域 の 設 定 に よ り、 要 因Xとyの 間 に 成 立 す る 条 件 関 係 の 全 て が 表 現 可 能 で あ る 。 こ の よ う に 、 回 帰 係 数 は 条 件 文 の 定 量 的 表 現 と して 妥 当 な 指 標 で あ る とい っ て よ い だ ろ う。 5,2含 意 の 想 定 に お け る確 信 度 の 計 算 次 に 回帰 係 数 、す な わ ち条 件 の想 定 に お け る 確 信 度 を実 際 に計 算 し て み よ う。 まず 、 要 因X,yが 存 在 す る 時 の 全 認 知 環 境 を 、 表7を 少 し変 更 し た 形 で 再 度 示 し て お く。 表11:構 成 可 能 な全 認知 環 境 サ イ ン(Y) v,v

合計

金額 (X) X 門X 詔 郭y・9{炉 タ{力 詔 壇 飢 κ 盈 王

合計

調 ッ3{ヲ L {図。ッ,図琢,詔ヵ,詔 元ア}は各 事 象 が 共 起 す る で あ ろ う と い う 想 定 の 相 対 的 確 信 度 で あ り、 詔η+5㌔+尻 均+詔 万=1が 成 り立 つ 。 各 想 定 の 値 は0∼1ま で の 正 の 値 と な る(値 が0の 場 合 に は 、 そ の 想 定 が 偽 で あ る こ と を確 信 して い い る こ と を意 味 す る)。 ま た 、 タ イ プ レベ ル 事 象xに 対 応 す る 想 定 図。 と 、個 別 の トー ク ン レベ ル の 想 定 詔 η,例 呼 との 問 に は み=詔 。y+詔厨 が 成 り立 つ 。 同 様 に み=5㌦+刻 万,図 ッ=灘剛+詔 ヵ,殉=珊 炉+詔 靭 も成 立 す る 。 こ れ ら の 性 質 か ら 、{図η,図炉,詔 均,み ア}は、2つ の 事 象 が 同 時 に 生 起 す る こ と に 関 す る 「主 観 的 確 率 」 を 表 す と考 え て も よ い 。 この 表 の 元 で 、 「xな ら ばyで あ る 」 と い う言 語 表 現 に よ り もた ら さ れ る想 定 凡 →yの

強 さ(YのXへ の 回 帰 係 数)は 、 変 数X,Yの 共 分 散Cov(X,Y)をXの 分 散V(X)で 割 る こ

と に よ っ て 求 め ら れ る。 今 、 事 象xとyが 顕 示 的 で あ る の で 、xに 確 率 変 数x=1,ヨxに

確 率 変 数X=o,yに 確 率 変 数Y=1,,yに 確 率 変 数y=oを 当 て は め る と 、 各 変 数 の 確

率 は P(X=1)二 図 剛+例 廼,P(X=0)=詔 力+5死 琢, P(Y=1)=」 πη+・タ{xy,P(y=0)=3{xY+5聾 ヲ と な り、 こ こ か ら変 数X,Yの 期 待 値 E(X)=,pixy+尻 琢,E(x2)=例 ヵ+み ア, Eα り=鞠+み ツ,E(r2)=砺+図 、ア, E(XY)=図 矧 が 得 ら れ る 。 し た が っ て 、 変 数Xの 分 散V(X)お よ びX,Yの 共 分 散Cov(X,Y)は 、

(22)

推論 にお ける論理 変形 と認知 的 関連 性 の計 算 115 V(X)=E(X2)一(E(X))2 =(図xy+詔 厨)一(図 η+図 琢)2 =(図 η+砺)((1-(負 η+調 酉)) =(渕 剛+3輸)(例 力+み ア) Cov(X,Y)=E(XY)‐E(X)・E(Y) =詔 剛一(侃η+編)(侃 力+詔 元ア) =砺(1-(殉+5㌃+砺))-5㌔ 鞠 =馬 詔野 一 図炉訊力 と な る 。 こ れ らの 値 を 用 い て 、Xのyへ の 回帰 係 数 β,す な わ ち 「Xな らばy」 とい う条 件 文 に 対 応 す る 想 定 図。→yの 確 信 度 は 次 の よ う に 求 め られ る 。 Cov(X,Y)(14} 式(14 .1) み →Y=v(X) =殉 癒 一 鰯 砺 式(14 .2}(砺 +詔 拶)(鞠+訊 元ア) =殉 一 鞠 式(14.3) 図 岬+訊 琢 飢 力+5覗野 砦 藷r'{14.4) (14)か ら 、 図 。→ン の 値 に 関 し て 、 い く つ か の 示 唆 が 得 ら れ る 。 ま ず 、 図 η+図 炉 ≠0, 夙 剛 図 ヵ+興 酉 ≠0の 条 件 下 で 、0≦{馬,5㌃,みy,詔 元,}≦1よ り 、0≦ 1,3{ 江y+例 琢 ・誘 無 ≦1が 成 り立 つ・ した が って ・-1≦ 編 ≦1が 成 立 す る・鞠+卿 (前 件 の 想 定 が 偽:礁=0)13の 時 は5死。→y=+。 。、 同 様 に 鞠+図 静=0(後 件 の 想 定 が 偽: 詔 摂0)の 時 は 凡 →y=一 。。で あ る。 他 の 条 件 文 に お け る 想 定 確 信 度 も 同様 の 方 法 で 求 め る こ とが で きる 。 例 え ば 、y→xの 想 定 詔y寛は 、 (15)vr(ア)=E(y2)一(E(η)2 =(図 η+図 ヵ)一(亀,+砺)2 =(殉+鞠)(5賜+図 野) Cov(X,Y) 殉 →x= V(Y) 図 岬 3{酉 詔剛+鞠 詔 ゆ+例 死ア 13この時5㍉+鰯+鞠+ゐ ,=1よ り 殉+飢 野 ≠0

参照

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