著者
松井 理直
雑誌名
Theoretical and applied linguistics at Kobe
Shoin : トークス
巻
11
ページ
25-66
発行年
2008-03-21
URL
http://doi.org/10.14946/00001504
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja想 定 の確 信 度 と真理 値*
松井 理直
Degree of Belief and Truth Value
Michinao F. MATSUI
Abstract
We live in environment filled with various information, and everyday situations re-quire us to reason. For solving complex problems in our real world, it is important not only to get explicit information from the outside world, but also to seek and identify appropriate information by selecting it from a huge amount of knowledge stored in memory. Therefore, reasoning is fundamental to human intelligence. The most important process of reasoning is to select optimal knowledge which is essential to interpretation of current information, to acquire the truth knowl-edge, and to ignore inappropriate information which is irrelevant. However, it is difficult to define Truth, Knowledge, and Correctness for human being. This pa-per proposes that human knowledge isjustified true belief with epistemic necessity and that truth is defined by updating the cognitive environment from the viewpoint of Computational Relevance Theory.
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は じめ に
私 た ち は様 々 な 情 報 が あ ふ れ て い る 環 境 の 中 で 生 き て い る 。 そ れ らの 情 報 の う ち 、 い くつ か の 情 報 は 真 で あ り、 い くつ か の 情 報 は 偽 で あ る 。 こ う した 情 報 の う ち 、 そ の 正 し さ が 明 確 な 形 で 確 認 され て い る も の は 「真 理 」 と 呼 ば れ る 。 ま た 、 私 た ち は た く さ ん の 考 え や 思 い や 想 定 を 持 っ て 生 き て い る 。 こ う した 想 定 の う ち 、 あ る 基 準 を満 た した も の を 知 識 と言 う。 知 識 は 正 しい 思 考 を 行 う 上 で 最 も重 要 な 基 盤 と な る 。 全 知 全 能 の 存 在 が あ る な ら ば 、 そ の 存 在 に と っ て 「真 理 」 は 自明 の もの で あ る 。 ま た 、 全 て の 真 理 を 「知 識 」 と して 持 つ こ とが で き る 。 しか し 、 限 界 の あ る 人 間 は 、 い か に し *本研 究 は、 日本 学 術 振 興 会科 学 研 究 費補 助 金 ・基 盤研 究(C)(1)「 計算 論 的 関連 性 理論 に基 づ く条件 文 理 解 過 程 の 理論 的 ・実 証 的研 究 」(平 成17年 度 ∼平 成20年 度 、研 究 代 表 者:松 井 理 直 、課 題 番号17500176)の 援 助 を受 け て い る。Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin 11,25-66,2008. OKobe Shoin lnstitute for Linguistic Sciences.
て あ る 情 報 が 真 で あ る こ と を 知 る の だ ろ う。 ど う い う信 念 な ら知 識 と い え る も の に な る の だ ろ う。 本 稿 は 、 計 算 論 的 関 連 性 理 論 の 観 点 か ら 、 真 理 値 お よ び 知 識 と呼 び う る 信 念 の 性 質 に つ い て 議 論 し た も の で あ る 。 結 論 と して 、 人 間 に と っ て 「真 」 と は 必 ず し も論 理 学 の 計 算 と は合 致 しな い こ と、 「知 識 」 の 定 義 に お い て 、 認 識 的 必 然 性 と い う概 念 が 重 要 で あ る こ と を 述 べ る 。
2.計
算 論 的 関 連 性 理 論
SperberとWilsonに よ っ て 提 案 さ れ て い る 関 連 性 理 論(Sperber&Wilson,1986)は 、 認 知 主 体 が 部 分 情 報 か らい か に 適 切 に 情 報 の 体 制 化 を行 う か と い う 問 題 に対 す る 極 め て 興 味 深 い 理 論 で あ る 。 現 在 、 こ の 理 論 は 言 語 ・思 考 ・知 覚 か ら社 会 文 化 に至 る認 知 活 動 の 幅 広 い 分 野 に応 用 さ れ て お り、 人 間 の 知 的 活 動 全 般 を 支 配 す る 性 質 を考 え る 上 で 、 大 変 に 重 要 な モ デ ル を提 案 して い る と 思 わ れ る 。 本 節 で は 、 まず 関 連 性 理 論 を代 数 的 に扱 う 手 法 に つ い て 考 察 し て み よ う。 2.1 記 憶 人 間 が 認 知 活 動 を 行 う 際 に利 用 で き る 記 憶 の 情 報 に は 大 き くわ け て2つ の 種 類 が あ る 。 一 つ は 固 定 化 さ れ、 変 更 の 難 し い 記 憶 情 報 で あ り、 も う 一 つ は 比 較 的 自 由 に変 更 で き 、 様 々 な 加 工 や 操 作 が 可 能 な 記 憶 情 報 で あ る 。 心 理 学 の 記 憶 研 究 と 関 連 づ け て い え ば 、 前 者 の タ イ プ は 長 期 記 憶(LTM:long term memory)の デ ー タ で あ り、 後 者 の タ イ プ は 作 動 記 憶(WM:working memory)の 情 報 と い っ て も よ い 。 長 期 記 憶(LTM)の デ ー タ は 減 衰 や 干 渉 と い っ た何 ら か の 理 由 で 忘 却 さ れ な い 限 り、 ず っ と保 持 さ れ る 。 長 期 記 憶 の 内 容 は 陳 述 記 憶 ・非 陳 述 記 憶 の2つ に 分 類 さ れ る 。 陳 述 記 憶 と は 、 簡 単 に い え ば 言 葉 で 表 現 で き る記 憶 で あ り、 宣 言 的 に 表 現 さ れ る記 憶 情 報 で あ る 。 陳 述 記 憶 は エ ピ ソ ー ド記 憶 ・意 味 記 憶 の2つ に 分 類 さ れ る 。 非 陳 述 記 憶 と は 、 言 葉 で 表 現 で き な い 非 宣 言 的 な 記 憶 で あ り、 手 続 き記 憶 と プ ラ イ ミ ン グ記 憶 の2つ に 分 類 で き る 。 一 方、 作 動 記 憶 の 情 報 は 短 期 間保 持 さ れ る 短 期 記 憶(STM:short term memory)と 共 に 、 中 央 制 御 系 、 音 韻 ル ー プ、 視 空 間 ス ケ ッチ パ ッ ド と い っ た 認 知 的 な 情 報 処 理 を 行 う た め の 記 憶 情 報 を 含 む 。 作 動 記 憶 の 情 報 は 、 精 緻 な リ ハ ー サ ル や 検 証 を 経 て 、 長 期 記 憶 に 送 り込 ま れ 、 デ ー タ と し て 貯 蔵 さ れ る こ と に な る 。 こ う し た 概 念 は言 語 に お い て も重 要 な もの で あ り、 こ れ ら の 性 質 を最 も 明 示 的 ・直 接 的 に取 り込 ん だ 理 論 と して 、 田 窪 ・金 水(1996b)に よ る 談 話 管 理 理 論(discourse management theory)を 挙 げ る こ とが で き る 。 こ の 理 論 で は 、 以 下 の よ う な 性 質 を 持 つD一 領 域 、1.領 域 と い う談 話 領 域(discourse domain)を 設 定 し、 各 領 域 に お け る 情 報 処 理 の 指 令 が 言 語 表 現 に 直 接 反 映 さ れ て い る と 考 え る 。 (1)a.D一 領 域 長 期 記 憶 内 に あ る 情 報 で 、 そ の 内 容 や 真 偽 が 既 に 検 証 さ れ て お り、 直 接 経 験想定の確信度と真理値
27 情 報 や エ ピ ソ ー ド情 報 、 対 話 の 現 場 情 報 と リ ン ク さ れ て い る要 素 が 格 納 され て い る 。 b. 1一令頁士或 推 論 や 伝 聞 な ど 間 接 的 に 得 ら れ て い た り、 仮 説 や 仮 定 な ど仮 に 設 定 さ れ て い る 、 ま だ 検 証 さ れ て い な い 情 報 が 格 納 さ れ て い る 。 c.情 報 移 転 制 約 1一領 域 内 の 要 素 は 、 そ の 要 素 が 設 定 さ れ た 談 話 セ ッ シ ョ ン の 間 はD一 領 域 に移 す こ と は で き な い 。 こ う し た概 念 を用 い る と、 た とえ ば 終 助 詞 の 「よ」 と 「ね 」 の 使 い 分 け も、 前 者 が 「1一領 域 に 新 規 情 報 を付 加 し、 そ こ か ら適 切 な 推 論 を 行 わ せ る た め の マ ー カ ー」 で あ る の に対 し 、後 者 は 「情 報 の 内 容 を 計 算 中 で あ る と い う マ ー カ ー 」 と して 分 析 で き る 。 ま た 、 「こ そ あ ど言 葉 」 で も、 ア 系 列 は 「話 し手 がD一 領 域 の 要 素 を 直 接 指 示 して い る マ ー カ ー 」 と して 、 ソ系 列 は 「話 し て が1一領 域 の 要 素 を 指 示 す る マ ー カ ー 」 と して 簡 潔 に 定 義 で き る (金 水 ・田 窪,1990)。 談 話 管 理 理 論 ほ ど 明 示 的 で は な い に せ よ 、 安 定 した 情 報 と 一 時 的 に 変 更 ・操 作 可 能 な 情 報 とい う区 別 は 、Fauconnier(1994)の メ ン タ ル ・ス ペ ー ス 理 論 に お け る 各 種 の ス ペ ー ス 設 定 や 、Sperber and Wilson(1986)に よ る 関 連 性 理 論 に お け る 「認 知 環 境 」 と い う概 念 に お い て も重 要 な 役 割 を 担 っ て い る 。 以 下 の 節 で は 、 ベ ー ス と な る安 定 し た 情 報 と、 一 時 的 な 操 作 可 能 な 情 報 と い う 区 別 を 、 想 定 の 確 信 度 と い う数 的 指 標 に よ っ て 表 現 し、 そ れ に 基 づ い て い か に 情 報 の 更 新 に 関 す る 計 算 を 行 うか 、 ま た 論 理(特 に 真 理 値)と こ う し た想 定 の 確 信 度 とが ど の よ う に 関 係 す る の か と い う 点 に つ い て 議 論 を 行 う。 理 論 の 枠 組 み に は 、 関 連 性 理 論 を 採 用 す る が 、 基 本 的 な ア イ デ ア は 談 話 管 理 理 論 や メ ン タ ル ・ス ペ ー ス 理 論 と い っ た 他 の 言 語 理 論 に も応 用 で き る も の で あ ろ う。 2.2 デ ー タ と 想 定 認 知 主 体 の 感 覚 に よ っ て 取 り込 ま れ た あ ら ゆ る外 界 符 号 物 や 、 長 期 記 憶 に 貯 蔵 さ れ て い る あ ら ゆ る記 憶 は 、 認 知 主 体 に よ っ て 常 に利 用 可 能 に な っ て い る と は 限 ら な い 。 こ う い う種 類 の 情 報 を特 に デ ー タ と呼 ぼ う。 こ れ に 対 して 、 認 知 主 体 が 長 期 記 憶 に ア ク セ ス し た り、 外 界 に 注 意 を 払 う(意 識 的 注 意 か 無 意 識 か は 問 わ な い)こ と に よ っ て 、 一 部 の デ ー タ は 認 知 主 体 に と っ て 利 用 可 能 な 「顕 在 的(manifest)デ ー タ」 と な る 。 こ う し た 顕 在 的 情 報 の こ と を 特 に想 定(a∬umption)と 呼 ぶ こ と に し よ う。 長 期 記 憶(あ る い はD一 領 域)の 想 定 内 容 は 固 定 化 さ れ て お り、 作 動 記 憶(あ る い は1一領 域)に 引 き 出 して 、 相 当 な認 知 的 コ ス トを か け な い 限 り変 更 す る こ と は で き な い 。 一 方 、 外 界 か ら取 り込 ん だ ば か りの 想 定(発 話 や 知 覚 情 報 を)や 認 知 主 体 の 内 部 に生 じ た 仮 説(真 偽 の 検 証 が 行 わ れ て い な い 想 定)は 、 まず 作 動 記 憶(1一領 域)に 取 り込 ま れ 、 そ の 操 作 や 変 更 が 容 易 で あ る 。 作 動 記 憶 の 情 報 は そ の 妥 当 性 に つ い て 検 証 が 行 わ れ 、 相 応 の リハ ー サ ル が 行 わ れ た 後 、 長 期 記 憶 に貯 蔵 さ れ る 。 本 稿 の 後 半 部 で 、 ど う い う プ ロ セ ス が 妥 当 な 検 証 と い え る の か とい う点 に つ い て 議 論 を行 う。 2.3 認 知 環 境 ・認 知 効 果 ・関 連 性 デ ー タ は 様 々 な形 で 構 造 化 さ れ て い る 。 た と え ば 、 認 知 主 体 が 知 っ て い る 個 々 の トー ク ン と して の コ ッ プ は デ ー タ で あ る 。 個 々 の コ ッ プ に 関 係 づ け ら れ た 上 位 カ テ ゴ リー で あ る タ イ プ と して の コ ッ プ も デ ー タ で あ り、 グ ラ ス や 皿 な ど と一 緒 に 関 係 づ け ら れ た 食 器 とい っ た 上 位 カ テ ゴ リ ー も デ ー タ で あ る 。 ま た 、 「2008年1月15日 に健 が 数 学 の 勉 強 を し た 」 「2008年1月27日 に奈 緒 美 の ガ ンが 発 見 さ れ た」 と い っ た 個 々 の 体 験 も デ ー タ で あ り、 外 界 に 今 現 在 実 際 に 起 こ っ て い る 種 々 の 事 象 や 、 聞 い た ば か りの 発 話 、 得 ら れ た ば か りの 情 報 な ど も デ ー タ で あ る 。 こ う した デ ー タ が 、 何 ら か の き っ か け に よ り認 知 主 体 に と っ て 顕 在 的 な 情 報 に な り、 利 用 や 操 作 が 可 能 に な っ た も の が 想 定 で あ る 。 顕 在 的 情 報 で あ る 想 定 の 総 体 を 認 知 環 境(cognitive environments)と 言 う。 認 知 主 体 は 常 に 新 し い 情 報 を獲 得 し、 ま た 推 論 に よ っ て 自主 的 に新 しい 想 定 を 生 み 出 す 存 在 で あ る た め 、 認 知 環 境 は 常 に 変 化 し、 更 新 さ れ て い る 。 こ う した 認 知 環 境 の 変 化 の 中 で 、 特 に 認 知 環 境 の 「改 善 」 を も た ら す 作 用 を 認 知 効 果(cognitive effects)と い う。 認 知 効 果 は (2)a.新 しい 想 定 の 獲 得 b。 不 確 実 な想 定 の 確 定 、 c.誤 っ た 想 定 の 棄 却 の い ず れ か に よ っ て も た ら さ れ る 。 こ の 認 知 効 果 と い う点 か ら 、 関 連 性 理 論 の 中 心 概 念 が 以 下 の よ う に 定 義 さ れ る 。 (3)関 連 性: 不 必 要 な コ ス トを 払 う こ と な し に認 知 効 果 を も た らす 情 報 の こ と を 、 関 連 性(rel- 性(rel- evance)を 持 つ 情 報 と い う。 認 知 主 体 に と っ て 、 こ の 関 連 性 と い う性 質 は と て も重 要 な もの で あ る 。 人 間 と い う認 知 主 体 を 取 り巻 く環 境 は 極 め て 範 囲 が 広 く、 か つ 常 に情 報 が 流 動 的 に 変 化 し て い る 世 界 で あ る 。 しか し 、認 知 主 体 の 持 つ 知 覚 ・思 考 ・伝 達 とい っ た 情 報 処 理 能 力 は 、世 界 に 存 在 す る膨 大 な 情 報 の 一 部 分 しか 処 理 す る こ と が で き な い 。 した が っ て 、 完 全 解 を 常 に 求 め る こ と が で き る と は 限 ら な い 。 そ う し た 限 界 の 中 で 、 認 知 主 体 は を 少 しで も よ り よ い 解 を得 る た め に 、 部 分 情 報 を 手 が か りに して 可 能 な 限 り安 定 し た 体 制 化 と推 論 を行 う。 認 知 の 本 質 は 、 巨 大 な認 知 環 境 が 内 包 す る 多 様 性 に適 応 して い く能 力 で あ り、 無 限 の 情 報 の 中 で 、 必 要 と思 わ れ る情 報 を取 捨 選 択 す る 能 力 だ とい っ て も よ い 。 効 率 的 に 部 分 情 報 を 処 理 す る た め に は 、 当 該 の 情 報 に と っ て 無 関 係 な も の は 無 視 し、 関 係 の あ る も の の み を 選 択 す れ ば よ い 。Sperber&WiIsonは 、 こ う し た性 質 を 関 連 性 の 認 知 原 理(cognitive principle of relevance)と 呼 ん で い る 。l
l情報の受け取 りが動的に行 われる コミュニケーシ ョンでは、関連性の伝達原理(communicative principle of
想定の確信度 と真理値
29 (4)関 連 性 の 認 知 原 理: 人 間 の 認 知 系 は 自 ら に と っ て 関 連 の あ る 情 報 に 注 意 を 払 う よ う デ ザ イ ン さ れ て い る 。 す な わ ち 、 認 知 主 体 は 関 連 性 の 計 算 が で き る が 故 に 、 部 分 情 報 の み を用 い て 、 世 界 に 一 貫 性 を 持 た せ 、 体 制 化 さ れ た も の にす る こ とが で き る と考 え ら れ る の で あ る 。 も ち ろ ん 、 「フ レー ム 問 題 」 に代 表 さ れ る よ う に 、 関 連 性 の 計 算 が 常 に成 功 す る と は 限 らな い し 、 そ も そ も万 能 で は な い 認 知 主 体 に と っ て 、 「完 全 性 」 は 最 初 か ら放 棄 せ ざ る を得 な い 。 しか し、 妥 当 な 関 連 性 が 計 算 で き れ ば 、 多 くの 場 合 、 部 分 情 報 だ け で も適 切 な 処 理 を 行 え る と い う点 が 大 切 な の で あ る 。 2.4 想 定 の 確 信 度 関 連 性 は(意 識 上 か 無 意 識 下 は別 に して)思 考 と 同 じ く一 種 の 推 論 過 程 で あ る 。 関 連 性 に 基 づ く推 論 は 、4.3節 で 議 論 す る 通 り、演 繹 推 論(deduction)と 共 に 、帰 納 推 論(reduction) と仮 説 推 論(abduction)を 含 む 。 し た が っ て 、 常 に 正 しい 推 論 で あ る と は 限 ら な い 。 ま た 、 想 定 そ の も の も、 外 界 か ら獲 得 した ば か りの 想 定 や 、 思 考 ・推 論 か ら得 ら れ た 想 定 は常 に 確 実 な 情 報 で あ る と は 限 ら な い 。 した が っ て 、 各 想 定 が ど の 程 度 信 頼 で き る も の で あ る か とい う 指 標 が 必 要 で あ る 。 こ の 指 標 を想 定 の 確 信 度 と呼 ぼ う。 こ の 想 定 確 信 度 は 、(2), (3)に 対 応 す る 形 で 、 以 下 の よ う な 機 能 を 持 つ 。 (5)a.心 的 情 報 は 一1か ら1ま で の 実 数 に よ っ て そ の価 値 が 示 さ れ 、 こ の う ち0∼1 ま で の 値 を 持 つ 心 的 情 報 が 想 定(顕 在 的 事 実)と し て の 価 値 を持 つ 。 こ の 値 を 想 定 確 信 度 と呼 ぶ 。 す な わ ち 、 想 定Xの 確 信 度 囲(x)は0∼1ま で の 実 数 値 で 表 さ れ 、 確 信 度 が1に 近 い ほ ど強 く確 信 さ れ て い る 想 定 で あ り、0に 近 づ く程 、 信 念 の 弱 い 想 定 で あ る 。 b.0≦ 図(x)≦1な ら ば 、 想 定Xと し て 認 知 環 境 の 中 に 組 み 込 ま れ 、 保 持 さ れ る 。 例(x)<0と な る 心 的 情 報 は 関 連 性 を持 つ 想 定 と見 な さ れ ず 、 認 知 環 境 に 組 み 込 ま れ な い 。 c.認 知 効 果 は 、(i)0以 上 の 想 定 確 信 度 を持 つ 新 規 想 定 を認 知 環 境 に組 み 混 む こ と 、(ii)既 存 の 想 定 確 信 度 を よ り1(あ る い はo)に 近 づ け る こ と、(iii)想定 確 信 度 が0に な っ た もの は 認 知 環 境 か ら棄 却 し、 認 知 環 境 を コ ンパ ク トに最 適 化 す る こ と 、 に よ っ て もた ら され る 。 d.認 知 効 果 を も た らす 関 連 性 の 高 い 想 定 と は 、 効 率 よ く(5b)を 引 き起 こ す 情 報 で あ る 。 す な わ ち 、(i)の 新 規 情 報 に 関 して は 認 知 的 関 連 性 の 確 信 度 が よ り1 に 近 い 情 報 で あ る こ と 、(ii),(iii)の既 存 情 報 に 関 して は 確 信 度 の 変 更 が よ り 容 易 な情 報 が 、 関 連 性 の 高 い 情 報 で あ る 。 2.5 知 ら な い と い う こ と 「知 識 」 と は何 か とい う 問 題 は 古 くか ら哲 学 で 問 わ れ て きた 疑 問 で あ り、 戸 田 山(2002) で 詳 し く議 論 さ れ て い る 通 り、 未 だ に 解 決 し て い る と は 言 い 難 い 。 しか し、 何 が 真 な る知 識 で あ る か を 明 確 に で き な い 限 り、 長 期 記 憶 やD一 領 域 に貯 蔵 す べ き情 報 を選 別 す る こ とが で き な い 。 本 節 で は 、 「知 識 」 や 「真:と い う問 題 を 扱 う前 に 、 「知 ら な い 」 と は ど う い う も の で あ る か に つ い て 考 察 す る 。 一 番 わ か りや す い 例 と して 、 想 定 の 確 信 度 が0.5 とい う 場 合 を 考 え て み よ う。 (6)a.今 、 少 々 い か が わ しい カ ジ ノ で 、 「コ イ ン の 表 が 出 る か 裏 が 出 る か 」 と い う賭 に 参 加 して い る と し よ う。 こ の カ ジ ノ で は 、 時 々 不 正 な コ イ ン を 使 っ て賭 を して い る こ と で 有 名 な の で 、 慎 重 なKさ ん は賭 を始 め る 前 に じ っ く り と600 回 の 賭 を観 察 した と こ ろ 、 ち ょ う ど表 も裏 も ち ょ う ど300回 ず つ 起 こ っ て い た 。 そ こ でKさ ん は 「こ の コ イ ン は ど う や ら正 し い コ イ ン ら しい 。 だ か ら次 に 表 が 出 る か 裏 が 出 る か は 半 々 の 確 率 だ な 」 と考 え た 。 b.同 じ カ ジ ノ で 、 お っ ち ょ こ ち ょい のHさ ん は 、 い き な り賭 に 参 加 す る こ と に した 。Hさ ん は 、 「こ の コ イ ン は不 正 な も の か も しれ な い し、 正 し い も の か も しれ な い 。 正 し い コ イ ン な ら表 も裏 も 同 じ だ ろ うが 、 不 正 な コ イ ン な ら表 が 多 くで る か も しれ な い し、 裏 が 多 くで る か も しれ な い 。 要 す る に今 の 段 階 で は 何 も分 か ら な くて 、 表 が 出 る か も しれ な い し裏 が 出 る か も しれ な い の で 、 ど っ ち に賭 け て も同 じだ ろ う」 と考 え た 。 こ の例 で は 、Kさ ん の 「表 が で る 想 定 確 信 度 」 もHさ ん の 「表 が で る想 定 確 信 度 」 も共 に05と な る 。 しか し、 そ の 実 態 は 全 く異 な る 。Kさ ん の 場 合 は 、 正 しい コ イ ン で あ る こ と を 「知 っ て 」 お り、 だ か ら 「表 も裏 も 同 じ よ う に 出 る だ ろ う 」 と正 し く推 論 し た 結 果 の 想 定 確 信 度 で あ る 。 表 も裏 も 同 じ よ う に 出 る こ と を 知 っ て お り、 実 際 に 表 が 出 る の か 裏 が 出 る の か 「分 か ら な い 」 こ と も理 解 で き て い る の で 、 想 定 確 信 度 が05と 設 定 さ れ る 。 一 方 、Hさ ん の 場 合 は 何 も 「知 ら な い 」 状 態 で あ り、0.5と い う想 定 確 信 度 は 無 知 で あ る が 故 の 数 値 に 過 ぎ な い 。 想 定 確 信 度 と い う 観 点 か ら言 う と 、 今 こ の 瞬 間 の 想 定 確 信 度 か ら は 、 「知 っ て い る が 故 に分 か ら な い 」 とい う想 定 と 、 「無 知 」 で あ る が 故 の 想 定 と を 区 別 す る こ とは で き な い 。2 しか し、 幸 運 な こ と に 認 知 主 体 は 時 間 の 流 れ の 中 に 存 在 して お り、 次 々 に 新 しい 想 定 を 獲 得 し て い く こ とが で き る 。 新 た な 想 定 を 獲 得 で きた 時 点 で 、Kさ ん とHさ ん の 想 定 は 大 き く変 わ っ て い く。 上 記 の 状 況 に続 い て 、Kさ ん もHさ ん も、7回 の コ イ ン投 げ を行 い 、6回 表 が 出 て 、1回 裏 が 出 た と し よ う。Kさ ん に と っ て は 、 「こ の コ イ ン は306回 表 が 出 て 、301回 裏 が 出 た の で 、 正 しい コ イ ン とい う想 定 を 変 更 す る必 要 は な い な」 と考 え る 。Hさ ん は 、 「6回 も表 が 出 て い て 、 裏 は1回 しか 出 て い な い 。 こ れ は不 正 な コ イ ン の 可 能 性 も あ る な」 と考 え る 。 こ れ が 「知 っ て い る」 こ との 想 定 確 信 度 と 「知 ら な い 」 こ と の 想 定 確 信 度 の 本 質 的 な 違 い で あ る 。 つ ま り、 認 知 環 境 が 常 に更 新 さ れ て い る こ とが 、 「知 っ て い る か 否 か 」 と い う こ と に 関 し て きわ め て 重 要 な こ と な の で あ る。 た だ し、 認 知 環 境 が 更 新 さ れ た と し て も、 「知 」 と して の 価 値 が 増 え る こ と は 保 証 され て い な い 点 に 注 2自 分 自身 の心 的 状 態 を観 察 す るメ タな プ ロセ ス を仮 定 す れ ば区 別 す る こ と もで きるが 、本 稿 で は無 限後 退 の 可 能性 を避 け る た め、 こ う した ア プ ロー チ は取 らな い。
想 定の確信 度 と真理値
31 意 さ れ た い 。 「知 っ て い る 」 と い う こ とが 保 証 さ れ る た め に は 、 認 知 環 境 の 更 新 以 外 に も 様 々 な 手 続 きが 必 要 で あ る(戸 田 山,2002;ノ ー ジ ッ ク,1997)。 しか し、 「無 知3で あ る 」 こ とか ら徐 々 に 逃 れ る こ と は 、 知 識 獲 得 に お い て きわ め て 重 要 で あ る 。 そ の た め に 、 認 知 環 境 の 更 新 が 最 低 限 必 要 な の で あ る 。4 さ ら に 、 も う一 つ 、 「知 」 と 「無 知 」 の 違 い が 想 定 確 信 度 に 与 え る 重 大 な 影 響 に つ い て 見 て お こ う。 例 と して2枚 の コ イ ン を投 げ る 事 象 を想 像 して い た だ き た い 。 こ の 時 、 「2 枚 と も表 が 出 る 」 と い う 想 定 の 確 信 度 は ど の よ う に 計 算 さ れ る だ ろ う か 。 「無 知 」 で は な いKさ ん は 、 過 去 の 事 象 に ア ク セ ス で き る た め 、 「一 つ の コ イ ン が 表 、 も う一 つ も表 」 「一 つ の コ イ ンが 表 、 も う一 つ の コ イ ン が 裏 」 「一 つ の コ イ ン が 裏 、 も う 一 つ の コ イ ン が 表 」 「一 つ の コ イ ンが 裏 、 も う一 つ も裏 」 とい う情 報 に ア ク セ ス で き る 。 し た が っ て 、 「2 枚 と も表 が 出 る 」 とい う想 定 の 確 信 度 は0.25と な る 。 こ れ は い わ ゆ る 確 率 論 で い う頻 度 確 率 に 近 い 。 一 方 、 「無 知 」 で あ るHさ ん は 「両 方 が 表 」 「片 方 が 表 、 も う片 方 が 裏 」 「両 方 と も裏 」 と い う想 定 か ら、 「2枚 と も表 が 出 る 」 とい う想 定 の 確 信 度 を1/3と 設 定 す る 。 こ れ は 「構 造 確 率 」 と呼 ば れ る も の で あ る 。 こ こ で 、 認 知 主 体 は 十 分 に証 拠 が あ る 時 に は 「頻 度 確 率 」 に 近 い 形 で 想 定 確 信 度 を計 算 し、 「無 知 」 で あ る 時 に は 「構 造 確 率 」 に よ っ て 想 定 確 信 度 を 設 定 す る と仮 定 し て お く。 こ の 仮 定 は 、 後 述 す る よ う に い くつ か の 心 理 学 的 妥 当 性 が あ る と共 に 、 フ レ ー ム 問 題 を 擬 似 解 決 す る た め の 一 つ の 方 法 で もあ る 。 単 独 想 定 と い え ど も、 実 際 に は 暗 黙 の 前 提 (フ レー ム)や 文 脈(コ ン テ ク ス ト)の 影 響 を 受 け て お り、 正 確 に言 う な ら 当 該 情 報 と文 脈 情 報 と の 複 合 想 定 で あ る 。 「想 定 」 は顕 在 的 な 情 報 で あ る の で 、 暗 黙 前 提 や 当 該 文 脈 以 外 の 状 況 は 計 算 の 必 要 が な い 。 しか し、 逆 に い う と、 い か に 適 切 な 前 提 を設 定 す る か が 問 題 と な る 。 構 造 確 率 の 導 入 は こ う い う場 合 に 有 効 で あ る 。 構 造 確 率 の 計 算 は きわ め て 高 速 に 行 え る た め 、 ま ず 構 造 確 率 に 基 づ い て 不 正 確 で は あ る が と りあ え ず 妥 当 と思 わ れ る フ レ ー ム を設 定 す る 。 そ の 後 、 必 要 が あ れ ば 、 頻 度 確 率 に相 当 す る想 定 確 信 度 お よ び 後 述 す る 関 連 性 計 算 の 数 値 に 基 づ い て 、 よ り適 切 に フ レ ー ム を調 整 を 行 え ば よ い 。 人 間 は 「正 し さ 」 を 最 初 か ら求 め る こ と は で き な い 。 しか し、 時 間 を か け 、 認 知 環 境 の 更 新 を行 う こ と に よ り、 正 しい 解 に 近 づ い て い く こ とが で き る と い う の が 本 稿 の1つ の 主 張 で あ る 。 2.6 相 互 作 用 の あ る想 定 を 持 つ 認 知 環 境 認 知 主 体 が 何 か も の を考 え た り、 推 論 した り、 あ る い は対 話 を 理 解 した りす る 場 合 、 あ る 一 つ の 情 報 だ け で 全 て を判 断 す る と い う こ と は ほ と ん ど な い 。 多 くの 場 合 、 他 の 情 報 と どの よ う に 関 係 し て い る か を 考 慮 した 上 で 、何 らか の 判 断 を 下 す こ と に な る 。 つ ま り、 一 般 に 認 知 環 境 内 に お け る 想 定 は 単 独 想 定 の み で あ る こ と は 少 な く、他 の想 定 と相 互 作 用 を 起 こす 複 合 想 定 で あ る こ とが 多 い 。 認 知 環 境 に お け る こ う した 想 定 の 相 互 作 用 や 共 起 関 係 の 可 能 性 は 、 表1の よ う な 形 で と り あ え ず 表 現 で き る 。 囲(xy)は 「情 報Xと 情 報 3言 う ま で も な く無 知 と未 知 は 異 な る 。 上 の 例 で は 、Hさ ん は 無 知 だ が 、 Kさ ん は そ う で は な い 。 し か し、 608回 目 の 以 降 の 事 象 はKさ ん に と っ て もHさ ん に と っ て も未 知 で あ る 。 4こ の 議 論 は 、 長 期 記 憶 あ る い はD領 域 の 情 報 に 関 す る 想 定 確 信 度 を 変 更 し に くい こ と の 理 由 で もあ る 。γ が 両 立 す る 」 と い う想 定 に 関 す る 確 信 度 、 同 様 に 、 図(xy)は 「情 報Xと 情 報 ヨγ の 両 立 」、渕(xy)は 「情 報 門xと 情 報Yの 両 立 」、渕(xy)は 「情 報 門xと 情 報 門yの 両 立 」 に 関 す る想 定 確 信 度 を示 し、 ま たCは 最 大 の コ ン テ ク ス トを 表 す 。 な お 、 認 知 環 境 に お け る 想 定 は 、3.4節 で 見 る よ う に 、 「Xな らY」 「XはY」 とい っ た 条 件 文 の よ う な 形 で 表 現 さ れ て い る こ とが ほ と ん ど だ と思 わ れ る が 、 こ こ で は 便 宜 上 、 情 報 の 両 立 と い う形 で と りあ え ず 考 え て お く。
表1:認 知環境 における想定 間の可 能性
c情報Y
Y -Y合計
情報
X
X 門x ク{(xy} 負(xy) 負 ⑳)詔(xy) 興(x) 久(x)合計
負(Y) 詔 σ) 1 表1に お い て 、 各 想 定 確 信 度 の 値 は 相 対 的 な 関 係 を 表 して い る 点 に 注 意 さ れ た い 。 し た が っ て 、 烈(xy)+図(xy)+図 ⑳)+囲(xy)=1が 成 り立 つ 。 ま た 、 図(x)=例(xy)+図(xy), 囲(x)=例(xy)+例(xy),詔(y)=例(xy)+躍(xy),図 σ)=烈(xy)+久(xy)も 成 立 す る 。 認 知 環 境 に組 み 込 ま れ て い る 限 り、 各 想 定 値 は0∼1ま で の 範 囲 を 取 り、 ま た 全 想 定 値 の 合 計 が1に な る こ と か ら 、 表1に お け る 各 想 定 確 信 度 は そ の 命 題 の 主 観 確 率 と見 な す こ とが で き る 。 した が っ て 、 表1に お け る 否 定 情 報 は 、 具 体 的 な 複 数 の 下 位 情 報 に展 開 し て も よ い 。 以 下 は 、 情 報Xの 否 定 命 題 「Xで な い(X)」 を 明 示 的 な 情 報X2,X3,… に 、 情 報X の 否 定 命 題y)明 示 的 な 情 報X2,x3,… に 展 開 し た 場 合 の 認 知 環 境 で あ る 。 2.7 想 定 の 両 立 ・制 限 ・独 立 性 本 節 で 述 べ る 内 容 は 、 基 本 的 な 確 率 の 性 質 と 同 一 で あ る 。 ま ず 、 前 節 で 例(xy)は 「情 報Xと 情 報 γ が 「両 立 」 す る とい う想 定 確 信 度 」 を表 す と述 べ た が 、 こ の 「両 立 」 とい う概 念 に 多 少 の 注 意 が 必 要 で あ る 。5今 、 あ る 交 差 点 に 立 っ て い る 信 号 機Aを 考 え る 。 も 5本節 で後述す る 「条件制限」 との混同 しないようにされたい。想定 の確信度 と真理値
33 し 、 こ の 信 号 機Aが 故 障 して い な い と い う保 証 が あ る な らば 、 信 号 機Aが 青 で あ りか つ 同 時 に 赤 で あ る と い う こ と は あ り得 な い 。 す な わ ち 、 あ る 特 定 の 時 間 で 、 「信 号 機Aが 青 で あ る 」 と い う事 象Xと 「信 号 機Aが 赤 で あ る 」 と い う事 象Yは 両 立 しな い 。 し た が っ て 、 詔(xy)=0と い う こ と に な る 。 一 方 、 信 号 機Aと は 異 な っ た 場 所 に あ る 信 号 機 Bを 考 え る と 、 あ る 特 定 の 時 間 で 「信 号 機Aが 青 で あ る 」 とい う 情 報 と 「信 号 機Bが 赤 で あ る 」 とい う 情 報 は 両 立 し得 る 。 し た が っ て 、 例(xy)>0で あ る 。6 次 に 、 事 象 の 「独 立 」 と 「従 属 」 と い う概 念 を 明 確 に し て お こ う。 今 、 日本 に あ る 信 号 機Aが ア メ リ カ に あ る 信 号 機Bを 考 え る 。 こ の 時 、 「信 号 機Aが 青 で あ る」 と い う事 象Xと 「信 号 機Aが 赤 で あ る 」 と い う 事 象Yは 、 同 時 に 、 しか し互 い に 無 関 係 に 成 立 し う る 。 こ の よ う に 、 お 互 い が 無 関 係 に 両 立 す る 想 定 を 、 互 い に 独 立 で あ る と言 う。 一 方 、 信 号 機Bが 信 号 機Aと 同 じ交 差 点 に あ り、 直 角 に ず れ た 位 置 に 立 っ て い る もの だ と し よ う。 こ の 時 、 ほ とん ど の 場 合 で 、 信 号 機Aが 赤 に な る と信 号 機Bは 青 に な る 。7す な わ ち 、 信 号 機Bの 状 態 は 信 号 機Aの 条 件 如 何 に よ りお お よ そ 判 断 が つ く。 こ う した 関 係 を 制 限 関 係 と呼 ぶ こ と に し よ う。 情 報Xの 情 報Yに 対 す る 制 限 の 強 さ は 、 情 報Xが 生 起 し た 時 、 情 報Yが ど の 程 度 「両 立 し て 生 起 し得 る か 」 と い う 観 点 か ら計 算 で き る 。 こ こ で 大 切 な 点 は 、 束 縛 の 強 さ の 計 算 に お い て 、 情 報Xが 生 起 し な か っ た 場 合 は 全 く考 慮 し な くて よ い(情 報Xが 生 起 し な い 時 に は 、 情 報Xの 制 限 力 は 発 揮 さ れ な い の で 、 情 報Yは 自 由 に振 る舞 っ て い て よ い)、 と い う と い う点 に あ る 。 した が っ て 、 情 報Xの 情 報rに 対 す る 制 限 の 強 さ は 、 い わ ゆ る 条 件 付 き確 率P(YjX)=P(x&Y)で 表 現 で き る 。 想 定 の 場 合 も 同 じ で 、想 定xの 生 起 を前 P{X) 提 と した 時 に 、 想 定yの 確 信 度 を ど の 程 度 持 て る か と い う計 算 は 、 想 定xと 想 定yが 両 立 す る と い う確 信 度 を 想 定Xの 確 信 度 で 割 っ た もの に 等 し い 。 す な わ ち 、 ジ{(xy) (7)想 定 xを 前 提 と した 時 の 想 定yの 確 信 度:図(ylx)= 囲(x) が 成 立 す る 。 こ の 式 はStalnaker(1970)が 、 条 件 文 に 対 す る 主 観 的 確 率 の 式 と し て 定 義 し た もの に 等 しい 。 ま た 、Lewis(1973)も 、 条 件 文 の 主 張 可 能 性 を 式(7)に よ っ て 計 算 で き る と主 張 し て い る。 しか し、 条 件 文 の 主 張 可 能 性 は む しろ 関 連 性 の 概 念 か ら考 え た 方 が よ い と思 わ れ る 。 こ の 点 に つ い て は 、3.4節 を 参 照 さ れ た い 。 式(7)は 、 想 定 間 の 「独 立 度 」 を 考 え る 上 で も重 要 で あ る 。 想 定xと 想 定yが 独 立 で あ っ た と した ら、 想 定yが 生 起 を 前 提 に し て い よ う と い な か ろ う と、 想 定Yの 確 信 度 に 変 化 は 生 じ な い は ず で あ る 。 した が っ て 、 詔(ylx)=図(y)と い う関 係 が 成 立 す る 。 こ の 関 係 式 は 、(7)よ り 恥)=殉)と な り、 式(8b)に 変 形 で き る 。 す な わ ち 、 想 定 比 想 定 例(x) 6確 率論 で は、 両 立 不可 能 な関係 を 「相 互 に排 反」 と言 う。 7信 号 の変 化 は 、完全 に同 時 に起 こる もの で は な く、信 号 機Aが 赤 に なっ たほ ん の わず か な 間、信 号 機Bも 赤 に な って い る。 す な わ ち、 「信号 機Aが 赤 で あ る」 とい う状 態 と 「信 号機Bが 青 で あ る」 とい う状 態 は両 立 し得 る し、 「信 号 機Aが 赤 で あ る」 とい う状 態 と 「信号 機Bが 赤 で あ る」 とい う状 態 も両 立 しう る(ど ち ら も 青 とい う状 態 だ け は 、故 障 で な い 限 り起 こ らな い)。 ただ 、 「ど ち ら も赤 」 とい う状 態 よ り 「信 号 機Aは 赤 で 、 信号 機Bは 青」 とい う状態 の ほ うが 起 こ りやす い とい うに過 ぎ ない 。yが 独 立であ る時、 それ らが両立す る とい う想 定確信 度 は、各単独想 定の確信度 の積 に
等 しい。 この関係 は暫定 的な想定確信度 を決め る際 に重要 となる。
(8) 想 定xと 想 定yが 独 立 で あ る 時 、 以 下 が 成 立 す る a。 例(Ylx)=詔(y) b. ご7{(xy)=ご7己(x)・刻(y) 2.8 前 提 情 報 と 焦 点 情 報 情 報 の 両 立 とい う概 念 と情 報 の 制 限 と い う概 念 の 最 大 の 違 い は 、 前 者 に は 情 報 問 の 対 称 性 が 成 立 す る の に 対 し、 後 者 に は 情 報 の 非 対 称 性 が 生 じ る 可 能 性 を 持 つ と い う点 に あ る 。 す な わ ち 、 沼(xy)=詔(yx)は 常 に 成 立 し、 躍(xy)≠ 貿(yx)が あ り得 な い の に対 し 、 図(ア1κ)≠烈 伺y)は 成 立 し得 る(偶 然 例(ylκ)=詔(xly)が 成 立 す る こ と も あ る)。 こ こ で 、 詔(YIX)に お け る 想 定xを 前 提 と呼 び 、 想 定yを 焦 点 と 呼 ぶ こ と に す る 。8前提 情 報 ・焦 点 情 報 は 、 い わ ゆ る 旧 情 報 ・新 情 報 と ほ ぼ 類 似 し た概 念 で あ る が(定 延 利 之 ・熊 谷 吉 治 ・苅 田 修 司,1999)、 こ こ で は1一領 域 ・D一領 域 の 中 で 既 に活 性 化 し て い る情 報 を前 提 情 報 、1一領 域 の 中 で 初 め て 活 性 化 を 起 こ し た 情 報(獲 得 し た ば か りの 情 報 も含 む)を 焦 点 情 報 と考 え る 。 ま た 、 焦 点 情 報 ・前 提 情 報 に 関 して 、 以 下 の 制 限 が 掛 か る と仮 定 す る 。 (9)a.焦 点 情 報 は 、 可 能 な 限 り1つ で な け れ ば な ら な い(Chafe,1994)。 b.焦 点 情 報 は 探 索 しや す い た め 、 頻 度 確 率 に 近 い 形 で 想 定 確 信 度 を 持 て る が 、 前 提 確 率 は 多 くの 場 合 構 造 確 率 に近 い 形 で 想 定 確 信 度 が 設 定 され る 。 な お 、 残 り のx,yは ア ク セ ス 可 能 情 報 と 呼 ば れ る 。 表2.6に お け るxl,x2, x3,y1,y2,y3,… も ア ク セ ス 可 能 情 報 で あ る 。(9)は 焦 点 情 報 の 想 定yに 関 わ る 制 約 で あ り、 こ の 制 約 か ら y,yl,y2,y3と い っ た 想 定Yの 否 定 に 関 わ る 想 定 は 、 想 定xと 同 レ ベ ル ま で 活 性 化 さ れ る こ と は 特 殊 な 状 況 を 除 き 、 基 本 的 に は な い 。 こ れ に 対 し 、x , xl,x2,x3と い っ た 前 提 情 報 の 否 定 に 関 わ る 想 定 は 、 想 定xと ほ ぼ 同 レ ベ ル ま で 活 性 化 さ れ る こ と も あ る 。 2.9 関 連 性 の 計 算 式(7)は 、 前 提 情 報Xが 焦 点 情 報Yの 生 起 を ど の 程 度 制 限 して い る か と い う 指 標 と し て は よ い も の で あ る 。 しか し 、 情 報Xが 情報Yを ど の 程 度 「束 縛 」 し て い る か とい う 指 標 と し て は 不 十 分 で あ る 。 例 え ば 、Sと い う操 作 を し た と こ ろRと い う反 応 が100%の 確 率 で あ っ た とす る 。 こ の 時 、Rと い う反 応 を 引 き出 す の に、 Sと い う操 作 が 「必 要 」 で あ る と は い え な い 。S以 外 の 操 作 を し た 時 に 、 Rと い う 反 応 が 起 こ る か ど う か を 検 証 し て 始 め て 、Sと い う操 作 の 「必 要 性 」 を 主 張 す る こ とが で き る 。 こ の 例 は 、 関 連 性 理 論 に お け る 認 知 的 関 連 性 を い か に 計 算 す れ ば よ い か と い う 点 に つ い て 一 つ の ヒ ン トを 与 え て く れ る 。 想 定Xの 生 起 が 想 定Yの 生 起 を 引 き起 こ す こ と が 多 け れ ば 、 まず そ れ だ け で 、 両 者 の 間 に あ る程 度 の 関 連 性 が あ る と見 な せ そ うで あ る。 しか 8図(κ1ヲ)ならyが 前 提、yが 焦 点 で あ る 。想定の確信度 と真理値
35 し、 こ れ だ け で は 関 連 性 の 計 算 と し て 十 分 で は な い 。 さ ら に 、想 定Xの 生 起 が な か っ た 時 に 、 想 定Yの 生 起 が 起 こ ら な い こ と が 確 認 で き れ ば 、 十 分 な 関 連 性 が あ る とい え る 。9以 上 の こ とか ら、 想 定xの 想 定yに 対 す る 関 連 性 図(x⇒y)に 関 す る 一 般 式 と して 、 式(10) を 考 え る こ とが で き る 。10 (lo) 9{( x⇒y)=kx. 詔(xy) ノ{(x) 図(xy) 例(xy) -kx 烈(x) ジ{(xy) _kz.=kx. 図(x y)+訳(xy) 詔(xy)+図 α,) k、は 情 報Xが 成 立 す る 状 況 を ど の 程 度 考 慮 に す る か 、kxは 情 報Xが 成 立 しな い 場 合 の 状 況 を ど の 程 度 考 慮 す る か とい う バ イ ア ス を 意 味 す る 係 数 で あ る 。 前 節 と の 関 係 で い う と 、kxは 前 提 想 定xの 活 性 度 を 、 kxは 前 提 否 定 の 想 定 活 性 度 を 示 す 指 標 と い っ て も よ い 。 い ず れ の 係 数 も 、0≦kx≦1、0≦kx≦1を 満 た し、 値 が1の 時 は 関 連 情 報 を 完 全 に 考 慮 す る こ と を 、 値 が0の 時 は 当 該 情 報 を全 く参 照 しな い こ と を 意 味 す る 。 一 般 的 に 、Yに 対 す るXの 関 連 性 を 計 算 す る 時 、 想 定xは 認 知 主 体 に と っ て 顕 在 的 に な っ て い る と見 な せ る た め 、kx=1と 置 い て 差 し支 え な い 。 一 方 、 バ イ ア ス 係 数kxの 数 値 は 情 報Xの 与 え ら れ 方 に よ っ て 異 な る 。 例 え ば 情 報Xが 「未 成 年 」 と い う も の で あ れ ば 、 情 報 ヨXで あ る 「20歳 以 上 の 成 人 」 は 想 起 さ れ や す い で あ ろ う か ら 、 バ イ ア ス 係 数 kxの 数 値 は1に 近 く設 定 で き る 。 しか し 、 情 報Xが 「25番 目 の 素 数 」 とい っ た も の で あ れ ば 、 情 報 門Xを ど の 範 囲 ま で 探 索 す べ き か 明 確 で は な い 。 「25番 目 の 素 数 」 以 外 の 数 は 無 限 に あ る た め 、 全 て を探 索 す る の は 不 可 能 で あ る し、 「25番 目 の 素 数 が あ っ た 時 、 そ れ に3を 足 せ ば100に な る 」 とい っ た 文 の 真 偽 を考 え る と き、。 「25番 目 の 素 数 」 以 外 の 数 を 考 え る 必 要 も な い 。 こ う い う場 合 、 バ イ ア ス 係 数kxの 数 値 は0に 近 く設 定 さ れ る で あ ろ う。 な お 、 言 う ま で も な く、 式(7)は 式(10)の 特 殊 な 場 合 で あ り、k、=1, kx=0 と置 い た 場 合 に等 しい 。 関 連 性 の 確 信 度(10)は 、-1≦ 図(x⇒y)≦1の 範 囲 を持 つ 。 こ の う ち 、 認 知 環 境 に 取 り込 ま れ る の は 、(5a)の 定 義 か ら0以 上 の も の で あ る た め 、 関 連 性 に つ い て 次 の よ う な 制 約 を 設 け る こ と に し よ う。(ll) 関連性 に基づ く認知環境 の制約
a.関
連性 の確信度が0以 上 であれば、その情報 は認知環境 に取 り込 まれ る。複
数 の解釈 が可 能であ った時 は、関連性 の高 い解釈 ほ ど優先 される。
b.関
連性 の確信度 が0未 満 であれば、その情報 は無視 されて認知環境 に取 り込
まれないか、あ るいは認知環境 に取 り込み可能な別 の表現 として理解 される。
な お 、a=÷ とい う演 算 に お い て ・cが ゼ ロ で あ る こ と は 避 け ら れ る ・ こ れ は ゼ ロ の 除 算 が い く つ か の 不 安 定 な 性 質 を 持 つ た め で あ る 。a=bOに お い て ・b≠0の 場 合 ・ こ 9十分 な 関連 性 が あ っ た時 に初 め て、 我 々 は両 者 の 間 の 「因果 関 係」 も疑 う こ とが で き る。 た だ し重 要 な こ とだが 、 関連 性 が あ って も、 因 果 関係 が あ る とす ぐに決 めつ け るこ とはで きな い。 因 果関 係 と関連 性 関係 は別 の概 念 で あ る 。 loなお 、 関連 性 の定 義式 は他 の 方 法 も考 え られ る が 、式(10)は そ の中 で最 も単 純 な定義 式 で あ る。の 演 算 は 不 能(演 算 が で き な い)と な る ・ 一 方 、b=0の 時 、 演 算 は不 定(解 が 無 数 に存 在)と な る 。 こ こ で(10)式 に つ い て 見 て み る と 、 分 母 が ゼ ロ に な る 時 に は 、 常 に 分 子 も ゼ ロ に な り、 解 は0∼1ま で の 任 意 の 実 数 と な る 。 した が っ て 、 あ る 想 定 の 確 信 度 が ゼ ロ で あ っ た 時 、 最 悪 の 場 合 に 解 が 不 定 に な る こ と は あ っ て も 、 演 算 が 不 能 に な る こ とは な い 。 ま た 、 関 連 性 の 確 信 度 が 不 定 に な っ て し ま っ た と し て も、 そ の 情 報 は 一 旦 認 知 環 境 に 取 り込 ま れ る 。 た だ し、 確 信 度 が ゼ ロ の ま ま で あ っ た な ら、 認 知 環 境 の 改 善 は 望 め な い た め 、(5c)に した が っ て 、 あ る タ イ ミ ン グ で 認 知 環 境 か ら廃 棄 さ れ る 。 2.10 関 連 性 確 信 度 の 様 々 な解 釈 こ こ で 、 式(10)の 意 味 を 、 統 計 学 の 観 点 か ら解 釈 し て お こ う。 前 述 した よ う に 、 想 定 確 信 度 は ∼ 種 の 主 観 的 確 率 と見 な せ る 。 今 、aと い う条 件 の 元 でbが 起 こ る 条 件 付 き確 率 をPψlo)と 表 す とす る と 、 式(10)は (12) 5孝{(x⇒)ア) =hx・P(ご 月【(y)1ク{(x))-h元 ・P(図(y)1こ7{(x)) と も表 現 で き る 。 同様 に 、 式(10)は 統 計 学 で 用 い ら れ る 回 帰 直 線 の 考 え 方 か ら も解 釈 す る こ と が で き る 。 P(X=1)=詔(xy)+図(xy), P(X=0)=囲(カ)+珊(xy), P(Y=1)=灰(xy)+日 αy), P(Y=0)=図(xy)+図(xy)
E(X)=図(xy)+負(xy), E(x2)=例(xy)+例(xy),
E(Y)=図(xy)+図(xy), E(y2)=烈(切 咽 ⑳ E(XY)=図(xy) V(X)=E(X2)一(E(X))2 Cov(X, Y}=E(XY}-E(X)・E(Y)
=(図(xy)+詔(xy))(詔(xy)+図(xy)) =詔(xy)詔(xy)一 図(xy)図(xy) (13)回 帰 聯=C°v(X,Y) V(X)
=図(謂(xy)一
久(謂(xy)(一
欝
一辮)
した が っ て 、 統 計 学 上 はXとYに よ り構 成 さ れ る 空 間 に 影 響 し 、 係 数 が1の 時 は 規 直 交 基 底 の 空 間 と な り、 係 数 が 小 さ くな る と 共 に 、 空 間 は小 さ くゆ が ん で い く もの と 解 釈 す る こ とが で き る 。 確 率 論 的 に は 、 前 述 した よ う に 、 前 件 の 成 立 ・不 成 立 を ど の 程 度 考 慮 す る か と い う フ レ ー ム の 大 き さ に 対 応 す る 。 な お 、 統 計 学 に お け る相 関 係 数 は 、 r= 詔(x⇒y)・ 図(y→x)に よ り を 計 算 可 能(符 号 は 図(x⇒y)に 一 致)で あ り、 ま た い わ ゆ る 決 定 係 数 はY2に 等 し い 。2.11 認 知 環 境 の 更 新
(1),(2.6)の 想 定 値 は 相 対 的 な も の な の で 、 あ る 想 定 値 が 変 化 す る と、 他 の 想 定 値 に も 影 響 を 与 え る 。 こ れ は(2)に 示 した 認 知 効 果 の 数 量 的 表 現 に もつ な が る 。 簡 単 に想 定 値
想 定の確信度 と真理値
37 の 変 動 に 伴 う効 果 に つ い て 見 て み よ う。 今 、(14)の よ う な 認 知 環 境 が 構 成 さ れ て い る 状 況 下 で 、 想 定XnYの 確 信 度 図(xy)が+δ だ け 変 化 し た と す る 。 こ の 時 、 新 た な認 知 環 境 に お け る 各 想 定 の 確 信 度 は 、(15)に 示 す よ う に い くつ か の 可 能 性 が 考 え ら れ る 。(14)
渕(y) 図 σ)計
ン{(x) 図(x) a b c d a+b c+d計
a+C わ+d 1(15}a.
b C. 刻(y) 図 σ)計
興(x) 図(x) α+δ わ 一 一 1+S 1+S c d 1+b i+8 a+S+b 1+S c+d -1+S計
a+S+c b+d i+s i十s 1 図(y) 図 σ)計
図(x) 囲(x) a+δ わ 一 δ c d a+b c+d計
α+δ+c わ 一 δ+ゴ 1 図( .v) 詔 σ)計
ク{(x) 渕(x) α+δ b c一 δ d a+δ+b -s+d計
a+c b+d 1 d. ... こ の こ と か ら、 あ る 想 定 値 が0で あ る(16-i)と 、 あ る 想 定 が 認 知 環 境 に 組 み 込 ま れ て い な い(16-ii)は 計 算 論 的 な 意 味 が 異 な る こ とが 分 か る 。 (16) (i} 例(y;)詔(y2)計
図(xl) 図(x2) a 1‐a O O 1 0計
a 1-a 1{ii)
囲(yi)例(y2)計
ク{(xl) a 1‐a 1計
a 1-a 1 (16-i)で は 、 想 定X2は 偽 と確 信 さ れ て お り、 変 更 が 困 難 で あ る 。 こ う し た 認 知 環 境 の 効 果 は 、6節 で 見 る 反 事 実 条 件 文 の 解 釈 な ど に 影 響 を 及 ぼ す 。 一 方 、(16-ii)で は 、 新 規 の 想 定X2が 得 られ れ ば 、 既 知 の 想 定Xlの 確 信 度 図(xl)も 変 化 す る 。 こ れ は 、 前 述 し た 「新 規 情 報 の 獲 得 は 関 連 性 の 認 知 効 果 が 高 い 」 こ と に 対 応 す る 計 算 論 的 な 性 質 で あ る 。 新 規 情 報 の 獲 得 と 関 連 性 の 認 知 効 果 に 関 して は 、 認 知 環 境 の 設 定 そ の もの に も影 響 を 与 え る 。(15)か ら分 か る よ う に、 あ る想 定 の 確 信 度 が 変 化 し た 時 、 そ れ が 認 知 環 境 全 体 に ど の よ う な影 響 を及 ぼ す か は 一 意 に は 決 定 で き な い 。 常 に複 数 の 可 能 性 が あ る 。 そ の 可 能 性 の 中 で 、 最 適 な 認 知 環 境 を選 び 出 す の が 関 連 性 の 計 算 で あ り、 関 連 性 の 確 信 度 が よ り1に 近 い 認 知 環 境 ほ ど、 よ り よ い もの で あ る とい っ て よ い 。2.5節 で 見 た と お り、 「知 っ て い る が 分 か ら な い 」 と い う そ も そ も 「知 ら な い 」 とい う こ と は 本 質 的 な 違 い が あ る。 こ の 違 い は 、 認 知 環 境 の 更 新 に よ っ て も た ら さ れ る 。 そ の 認 知 環 境 の 更 新 は 、 よ り関 連 性 の 高 い も の を 目指 し て 行 わ れ る 。 そ して 、 各 想 定 が よ り関 連 性 の 高 い 認 知 環 境 を構 成 し て い る とい う条 件 は 、 「知 識 」 と呼 び う る 情 報 に 関 す る 必 要 条 件 の 一 つ と い っ て も よ い 。 3.想 定 確 信 度 と 真 理 値 3.1 知 識 の 哲 学 A.J.(1981)は 、 Pと い う こ と をSが 知 っ て い る こ と の 条 件 と し て 、 以 下 の3つ を 挙 げ て い る 。 こ れ は 、 『メ ノ ン 』 の 中 で ア リ ス ト テ レ ス が 定 義 し た 「知 識 と は 正 当 化 さ れ た 真 な る 信 念(knowledge is justified true belief.)」 と い う 考 え 方 と 基 本 的 に 同 一 で あ る 。
(17)a.Xが 真 で あ る とい う確 信 をSが 持 っ て い る 。 b.Xは 真 で あ る 。 c.Xが 真 だ と い う こ と にSが 確 信 を持 つ の は 当 然 で あ る 。 戸 田 山(2002)の 表 現 を 借 り る な ら、 これ らの 性 質 は 次 の よ う に 言 い 換 え る こ とが で き る 。 (18)a.SはXを 信 じ て い る 。 b.Xを 信 じ て い るSの 信 念 は 真 で あ る 。 c.Sの 信 念 は 正 当 化 さ れ て い る 。 戸 田 山(2002)は こ う した 知 識 の 定 義 が 適 切 で な い こ と を ゲ テ ィ ア 問 題 な ど の 例 を通 じ て 論 じ、 ま た ゲ テ ィ ア 問 題 を ク リ ア し よ う と す る ド レ ツ キ の 確 率 論 的 ア プ ロ ー チ な ど も 不 十 分 で あ る と主 張 し て い る 。 そ の 上 で 、 戸 田 山 は 認 識 論 は次 の よ う に 作 り直 さ れ る べ きで あ る と指 摘 す る 。 (19)a.自 然 化 さ れ た 認 識 論:知 識 獲 得 の 科 学 的 ・心 理 学 的 な獲 得 手 段 を 決 定 す る こ と。 b.社 会 化 さ れ た 認 識 論:個 人 で は な く集 団 と し て何 か を 知 っ て い る とい う 点 に ま で 知 識 を 拡 張 す る こ と。 c.知 識 の 基 盤 を 信 念 で は な く、 情 報 に置 く こ と。 d.命 題 の 真 偽 を 中 心 概 念 と し な い こ と。 関 連 性 理 論 は 、 こ う した 戸 田 山 の 提 案 に 十 分 で は な い にせ よ 、 あ る 程 度 答 え ら れ る 可 能 性 を 持 っ て い る 。 まず 、(19a)か ら見 て み よ う 。 妥 当 な 認 知 環 境 を 生 成 す る 関 連 性 計 算 (10)を 理 想 的 に行 う た め に は 、 認 知 主 体 は 詔(ylκ)と躍(y陶 に 関 す る確 信 度 を1と0に 設 定 で き る こ と が 要 求 さ れ る 。 言 い 換 え る な ら、 「肯 定 的 前 提 想 定xの 元 で 肯 定 想 定Yを 確 信 し て い る 」 と 同 時 に 、 「否 定 的 前 提 想 定xの 元 で は 想 定yを 完 全 に 否 定 で き る 」 時 に 、 関 連 性 は 最 大 と な る 。 こ れ を認 識 論 に 当 て は め る な ら、 次 の よ う に 言 う こ と が で き る 。 す な わ ち 、 「情 報Yに つ い て 何 か を 知 る 」 た め に は 、 「情 報Xに 関 す る想 定xが 満
想定 の確 信度 と真理値
39 た さ れ た 時 にYに 関 す る 想 定)'を 確 信 で き る」 と 同 時 に 、 「Xが 成 立 しな い と い う想 定x を 持 っ て い る 時 に はrに 関 す る 想 定yを 完 全 に 否 定 で き る 」 よ う な 情 報Xを 見 つ け 出 さ な け れ ば な ら な い 。 こ れ が 知 識 獲 得 の 手 段 の 必 要 条 件 で あ る(十 分 条 件 で は な い)。 (19b)の 提 案 は 多 少 や っ か い で 、 共 有 知 識 の パ ラ ドッ ク ス を 回 避 す る 必 要 が あ る 。 ま ず 、 「(私は 、 で は な く)私 た ち はKを 知 っ て い る 」 と い う 言 明 が 正 当 化 さ れ る に は 、 私 た ち と い う 集 団 の 中 で 、 誰 がKを 知 っ て い て 、 誰 がKを 知 ら な い か が 明 確 で な け れ ば な ら な い 。 そ う で な け れ ば 、 誤 っ た 信 念 が 知 識 と し て 認 定 さ れ て し ま う。 さ て 、 今 、Kと い う命 題 を 知 っ て い るAさ ん が 、 「Bさ ん もKを 知 っ て い る」 と い う こ と を 知 っ て い る と す る 。 こ れ だ け で は 、 集 団 の 知 識 と は ま だ 言 え な い 。Bさ ん か ら見 る と 、 「私BがKを 知 っ て い る こ と をAさ ん が 知 っ て い る 」 と い う こ と をBさ ん が 知 っ て い な け れ ば な ら な い 。 しか し、 こ れ だ け で は 正 当 化 は 十 分 で は な い 。Aさ ん は 、 「Bさ ん がKを 知 っ て い る こ と を私Aが 知 っ て い る とい う こ と を 、 き ち ん とBさ ん が 知 っ て い る 」 と い う こ と も 分 か っ て い な け れ ば な ら な い 。 こ れ が 無 限 に 続 く。 同 様 に 、Aさ ん がKを 知 っ て い て 、 Bさ ん がKを 知 ら な い 場 合 に も、 お 互 い が そ の こ と を確 認 して 正 当 化 を行 お う と した 時 に 、 無 限 後 退 が 発 生 す る 。 こ の よ う に 集 団 の 知 識 の 「正 当 化 」 は 、 極 め て 難 し い 。 田 窪 ・ 金 水(1996b)に よ る 談 話 管 理 理 論 の 美 しい 点 は 、 こ う した 知 識 共 有 の パ ラ ド ッ ク ス を 回 避 で き る と こ ろ に あ る(田 窪 ・金 水,1996a;三 藤,1999)。 談 話 管 理 理 論 で は 、 自分 と他 者 の 知 識 と い う前 提 は 行 わ れ ず 、 あ く ま で 「自分 」 の 持 っ て い る 知 識 を ど の よ う に 管 理 す る か と い う こ と が 問 題 と さ れ る 。 既 に 見 た とお り、D一領 域 は 恒 常 的 な 知 識 を 管 理 す る 場 で あ り、1一領 域 は 検 証 さ れ て い な い 知 識 を管 理 す る 場 で あ る 。 認 知 環 境 は 、 こ のD領 域 と1一領 域 に あ る 情 報 の 総 体 と し て 捉 え ら れ る 。11 (19c)に つ い て も、 認 知 環 境 と い う 点 か ら あ る 程 度 答 え る こ とが で き る だ ろ う。 ま ず 、 認 知 環 境 に組 み 込 ま れ て い る 想 定(顕 在 的 情 報)は 信 念 で は な い 。 認 知 環 境 に お け る 想 定 に は 、確 信 度 が05の よ う な もの も あ れ ば 、0に 近 い も の や1に 近 い もの な どが 全 て 含 ま れ る 。 こ う し た 想 定 の う ち 、 まず 確 信 度 が 完 全 に0で あ る 想 定 は 信 念 と は 呼 べ な い 。 ま た 、 確 信 度 が0よ り大 き な想 定 は 、 信 念 に な り得 る 「可 能 性 」 が あ る が 、 や は り信 念 で は な い 。2.5で 述 べ た よ う に 、認 知 環 境 の 更 新 が 行 わ れ て い く中 で 、 初 め て 「信 念 」 と 呼 べ る 想 定 を判 断 す る こ とが で き 、 そ の 中 で 想 定 確 信 度 が 安 定 し、1に 漸 近 す る も の の み が 「知 識 」 と呼 ん で も よ い もの な の で あ る 。 知 識 が 、 「正 当 化 さ れ た 真 な る 信 念 」 で あ る の は 結 果 に す ぎ な い 。 あ る 瞬 間 「だ け 」 の 心 的 状 態 か ら は 何 が 知 識 で あ る か は 保 証 さ れ な い 。 信 念 や 知 識 を保 証 す る た め に は 、 認 知 環 境 の 更 新 履 歴 、 人 間 の 経 験 累 積 、 時 間 の 流 れ が 必 要 不 可 欠 な の で あ る 。 最 後 の(19d)は 、 戸 田 山(2002)の 提 案 の 中 で 、 最 も難 し い 問 題 と い っ て よ い だ ろ う。 真 理 値 は 、 論 理 の 最 も基 本 的 な 構 成 概 念 で あ り、 論 理 は 意 味 の 基 盤 で あ る 。 つ ま い 、 真 理 値 が 決 ま ら な い 限 り、 認 知 主 体 は 内 容 の 理 解 が で き な い 。 11一般 的 な 関連 性 理論 で は、認 知 環 境 の 内部 を2種 類 に 区別 して い ない が 、計 算 論 的 関連 性 理論 で は、 この 区 別 は必 要 で あ り、1。領域 にお け る想定 の確 信 度 を変更 す るほ うが コス トが低 い。論 理 学 に お い て 、 真 理 値 は モ デ ル と 命 題 に 基 づ い て 決 定 さ れ る 。 今 、 あ る 有 限 集 合 を 一 つ 固 定 し 、 そ の 元 か ら 一 定 の 規 則 に よ っ て 生 成 さ れ る 集 合 を 言 語 と呼 ぶ と き 、 そ の 一 つ の 言 語 に属 す る 記 号 列(文)が 命 題 で あ る 。 モ デ ル と は 一 つ の 状 況 ・世 界 の こ とで あ る 。 真 理 値 は 、 命 題 と モ デ ル の 関 係 を 評 価 し た もの で あ り、 命 題 が モ デ ル に 当 て は ま る 場 合 を 真 と い い 、 そ う で な い 場 合 を偽 と呼 ぶ 。 モ デ ル ・命 題 ・真 理 値 の う ち 、2つ が 所 与 の も の で あ れ ば 、 残 りの1つ を決 定 で き る 。 私 た ち の 言 語 活 動 に お け る 最 も基 本 的 な 性 質 は 、 こ れ を利 用 し た もの で あ る 。 例 え ば 、 我 々 が 意 味 の あ る発 話 を 行 え る の は 、 モ デ ル と真 理 値 が 明 確 で あ る た め 、 何 が 命 題 で あ り、 何 が 命 題 で な い か を 決 め る こ とが で き る か ら で あ る 。 ま た 、 命 題 と真 理 値 が 明 確 で あ れ ば 、 そ の 命 題 を成 立 さ せ る モ デ ル を 構 成 す る こ とが 可 能 に な り、 意 味 を 理 解 す る こ とが で き る 。 言 語 活 動 だ け で な く、 思 考(認 識 ・知 識)に お い て も、 モ デ ル ・命 題 ・真 理 値 の 関 係 は 重 要 で あ ろ う。 命 題 と モ デ ル が 完 全 に 与 え られ て い て 初 め て 、 真 理 に 関 す る 最 も初 歩 的 な 判 断 が 可 能 に な る か ら で あ る 。 一 般 的 な 論 理 学 に お い て 、 世 界 や モ デ ル は 情 報 の 範 囲 が 明 確 に 規 定 さ れ た 完 全 な もの と して 与 え ら れ る 。 しか し、 私 た ち の 日常 的 な 認 知 活 動 に お い て 、 情 報 の 総 体 は 明 確 に 定 め ら れ る も の で は な い 。 そ れ は 暫 定 的 な もの で あ り、 不 安 定 な もの で あ り、 せ い ぜ い 良 くて も あ る種 の 近 似 で あ っ た りす る 。 そ もそ も、 何 ら か の 新 し い 情 報 を獲 得 し、 認 知 環 境 を 更 新 して ゆ く こ と は 、 認 知 に と っ て 本 質 的 な 性 質 とい っ て も よ い 。 命 題 も ま た 常 に 明 確 な も の と は い え な い 。 我 々 が 利 用 で き る 情 報 の 全 て が 命 題 と して 表 現 さ れ る と は 限 ら な い し、 た と え 言 語 に よ り表 現 さ れ た 情 報 で あ っ て も、 命 題 の 形 を成 し て な して い な い 情 報 の 欠 落 した 文 か ら も の ご と を判 断 し な け れ ば な ら な い こ と も し ば し ば あ る 。 そ う な る と、 モ デ ル ・命 題 ・真 理 値 の う ち 、 最 も安 定 し て 使 え な け れ ば な ら な い も の は 真 理 値 ・真 理 判 断 の 能 力 で あ る 。 既 に 見 た よ う に 、 言 語 産 出 や 言 語 理 解 の い ず れ の 場 面 に お い て も、 真 理 値 は 明 確 に な っ て い な け れ ば な ら な い 。 言 う ま で も な く、 否 定 や 連 言 と い っ た 論 理 子 の 機 能 も真 理 値 に よ り定 義 さ れ 、 意 味 の 基 本 と な る外 延 ・内 包 の 定 義 も真 理 値 に依 存 す る 。 真 理 は 確 か に 存 在 す る 。 あ る 命 題 の 真 理 値 も決 ま っ て い る 。 しか し、 現 実 の 認 知 主 体 に と っ て 、 あ る 情 報 が 真 理 か 否 か が 常 に 明 確 で あ る と は 限 ら な い 。 真 理 値 も 認 知 主 体 に は 隠 さ れ て い る こ と が 多 い 。 こ う し た 点 か ら、 二 値 の 真 理 値 に 限 定 さ れ な い 多 値 論 理 も 提 案 さ れ て き た 。 次 節 で は 、 関 連 性 理 論 の 認 知 環 境 に 基 き 、 想 定 確 信 度 か ら認 知 主 体 が 真 理 値 と 見 な し う る 値 を ど の よ う に 計 算 す れ ば よ い か と い う 点 に つ い て 議 論 を行 う。 3.2 想 定 確 信 度 に 基 づ く真 理 値 の 計 算 認 知 主 体 に と っ て 真 理 は 必 ず し も 知 り得 る も の で は な い 。 しか し、 そ の 場 合 で あ っ て も、 二 値 の 真 理 値 が 必 ず し も無 意 味 に な る と は 限 ら な い 。 例 え ば 、 「今 日(2008年2月21 日)の 午 前11時 は 晴 れ で あ る 」 と い う命 題 は 、 必 ず 真 か 偽 か の い ず れ か で あ る 。 ま た 、 私 は そ の 真 理 値 を 今 は 正 確 に は 知 り得 な い が 、 「雨 に な る だ ろ う 」 と い う判 断 に 従 っ て 「傘 を持 っ て 外 出 す る 」 とい う 決 断 をす る こ とが で き、 実 際 に 傘 を 持 っ て で か け る と い う 行 動 を起 こ す こ とが で き る 。 す な わ ち 、 真 理 で あ る か ど う か と は 別 に 、 認 知 主 体 は あ る
想 定の確 信度 と真理値
41 命 題 に つ い て 何 らか の 判 断(区 別)を 下 す こ と は で き る 。 こ の あ る 命 題 に つ い て 何 らか の 判 断(区 別)が 行 え る と い う性 質 は 、 真 理 値 の 必 要 条 件 の 一 つ で あ る 。 特 に 、 あ る命 題 と そ の 否 定 命 題 と の 区 別 が 可 能 で あ れ ば 、 少 な く と も最 低 限 の 「真 偽 」 の 判 断 を行 え る と い う こ と だ 。 こ の 性 質 は 、 「未 知 」 と い う基 準 を 取 り込 ん だ 三 値 論 理 の 真 理 値 を考 え る と よ り明 確 に な る 。 あ る 命 題 が 未 知 で あ れ ば 、 そ の 否 定 命 題 も未 知 で あ る が 、 あ る命 題 の 真 偽 が 明 確 で あ る 場 合 に は 、 そ の 否 定 命 題 の 真 理 値 も 決 定 で き る 。 (20)a .二 値 論 理X真
偽
一1X b.三 値 論 理偽
真
情 報 を 区 別 す る た め の 指 標 は 様 々 な も の が 考 え ら れ る で あ ろ う が 、 最 も妥 当 な 指 標 の 一 つ は 情 報 の エ ン トロ ピ ー(情 報 の 曖 昧 度)で あ る 。 エ ン トロ ピ ー が 高 け れ ば 区 別 が 困 難 で あ る し、 エ ン トロ ピ ー が 低 け れ ば 区 別 は 容 易 で あ ろ う。 そ こ で 、 こ の エ ン トロ ピ ー と い う概 念 を 応 用 して 、 真 理 値 の代 替 物 とす る こ と を考 え る 。 まず 、 想 定 の 確 信 度 を 、 顕 在 化 さ れ た 各 情 報 に対 して 、 一 定 の 基 準 に従 っ て 与 え られ る 定 量 的 な 価 値 と見 な そ う。 こ の 時 、 想 定 確 信 度 の エ ン トロ ピ ー を 計 算 す る こ と で 、 想 定 の 情 報 量 を 定 義 す る こ と が で き る 。 こ こ で 、 情 報Xに 対 す る想 定xの エ ン トロ ピ ー(情 報 の 曖 昧 度)は 、 想 定 確 信 度 久(x)を 用 い て 次 式 で 計 算 で き る 。12 (21)想 定xの エ ン ト ロ ピ ー:ε(x)=一 興(x)・log2沼(x)一(1一 渕(x))・log2(1一 訊(x)) ε(x)は 常 に0∼1ま で の 値 を 取 る 。 ε(x)=1は 、 情 報 が 曖 昧 で あ り、 乱 雑 度 が 高 く、 最 も 不 確 定 な 情 報 で あ る こ と を 示 す 。 ε(x)=0な ら ば 、 確 定 的 な 情 報 で あ り、 曖 昧 性 は な い 。 実 際 に 、渕(X)が1(想 定Xに 絶 対 な 確 信 を 抱 い て お り、 門Xの 可 能 性 は な い)か0で あ る eXし か 想 定 さ れ て い な い)時 、 エ ン トロ ピ ー は 最 小 の ε(x)=0と な り、 図(x)が05の 時 に は エ ン トロ ピ ー 最 大(ε(x)=1)と な る 。13次 に 、 こ の エ ン トロ ピ ー の 数 値 ε(x)か ら 、 多 値 の 判 断 価 値 甲(x)を 定 義 す る 。 (22)想 定Xの 判 断 価 値 Ψ(x): 1+ノ ・(1一 ε(x)) `v( x)= 2 た だ し 、 ノは ± 記 号 で あ り、 詔(x)≧05の 時J=1,詔(x)<05の 時 ブ=-1 こ の 判 断 価 値 Ψ(x)は0∼1ま で の 値 を 取 り、 情 報 の エ ン ト ロ ピ ー の 低 い け れ ば 低 い ほ ど 0か1に 近 い 値 を 、 エ ン ト ロ ピ ー が 高 く な る に つ れ て0.5に 近 い 値 を 取 る 。 具 体 的 に は 、 12以下 の 計 算 で は 、単 独 想 定xを 用 い てい るが 、両 立 想 定 剛 の 場 合 で も同様 に計 算 は可 能 で あ る。 13前述 した よ うに、負(x)が0.5で あ る 時 、想 定xとxを 同程 度 に考 慮 で きる こ と を意味 す る場 合 と、 は想 定 xに 関 して無 知 で あ る こ とを示 す場 合 が あ る。 これ らは認識 論 上 は区 別 すべ き事 柄 で あ るが 、 エ ン トロ ピー と い う観 点 か らは同 一 に扱 っ て よい 。ン{(x)=1の 時 は 甲(x)=1,久(x)=0.5な ら ば 甲(x)=0.5,図(x)=0で は 甲(x)=0と い っ た 関 係 に な る 。 こ の 情 報 の 判 断 価 値 を使 っ て 、 我 々 は そ の 情 報 を 「採 択 」 す る か 「棄 却 」 す る か を決 め る こ とが で き る 。 す な わ ち 、 Ψ(x)が 判 断 の 閾 値Cよ り大 き け れ ば 情 報 を採 択 、 閾 値C以 下 で あ れ ば 情 報 を 棄 却 す れ ば よ い 。 閾 値Cの 決 め 方 は 様 々 で あ る が 、 例 え ばi青報 の エ ン トロ ピ ー が 最 大 に な る 時 、7(x)=0.5と な る こ と か ら 、 閾 値 をC=0.5と し、 甲(x)が0.5よ り も大 き け れ ば 庸 報 を採 択 す る と い っ た こ とが 考 え ら れ る 。 極 端 な 例 で い え ば 、 閾 値 をC=0と し、 甲(x)>0な ら情 報 を採 択 し、 甲(x)=0の 場 合 の み 情 報 を 棄 却 す る と い っ た こ と も考 え ら れ る 。 逆 に 、 最 も厳 し い 判 断 基 準 を 考 え 、 甲(x)=1の 時 の み 情 報 を 採 択 し、 甲(x)<1な ら情 報 を全 て 棄 却 して し ま う と い う こ と も考 え ら れ る 。 こ こ で 、 ご く標 準 的 な 論 理 の 真 理 値 を考 え る 。 特 に 、 こ こ で は 包 括 的 選 言(inclusive disjunction)と 実 質 含 意(material implication)を 取 り上 げ よ う 。
(23}
x y XVy x→y宜 亘 ノ 、 ノ、 7ぺ盲 盲 六