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介護職員が描く「福祉の心」

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Academic year: 2021

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Ⅰ.はじめに  団塊の世代が 75 歳以上になるいわゆる 2025 年問 題など、少子高齢社会となった我が国にとって、介 護人材の量的質的確保は早急な課題である。とりわ け、質を担保する上で、介護福祉専門職に求められ る専門性「価値・知識・技術」のうち「価値」は、 重要な要素であると考えられている1,2。しかしなが ら、介護福祉の視点や捉え方の基盤となる、介護福 祉の価値に焦点を当てたもの、介護福祉の哲学・思 想・心の観点からの研究は少ない3  「価値」の一部を表す言葉として、「福祉の心」が 用いられていることが散見できる。これまで社会福 祉界を牽引してきた研究者らによって語られてき た「福祉の心」をみると、阿部(2000)は「苦しみ などを共有すること、分かち合うこと」4とし、京 極(2000)は、「社会的条件に恵まれない人々やそ の周囲の人々と人格的にふれあい、思いやりの態度 をもってそれらの人々と共に生きようという社会連 帯の意志と情念」5としている。また、一番ヶ瀬ら (2002)は、「自分も相手も一人の人間であると認め、 相手に対する想像力を持ち、おかしいものを「おか しい」と感じる心」6と述べているなど、様々な定 義がなされている。これに対し、谷川(2007)や篠 原(2016)は「福祉の心」を曖昧であるとし、「福 祉の心」概念や構造化が課題であると指摘した7,8  「福祉の心」に関する数少ない実証研究のうち、 対人援助職である看護師や社会福祉士を目指す学生 を対象としたアンケート調査の結果に基づき、「福 祉の心」の概念の可視化を試みた調査研究がある9 しかし、臨床で対人援助職の従事者を対象とした研 究はほとんど見受けられない。  そこで本研究は、介護職員に対する価値育成に向 けた基礎資料を得ることをねらいに、介護職員が描 く「福祉の心」の特徴を明らかにすることを目的と した。 Ⅱ.研究方法 1.調査対象と方法  介護老人福祉施設および介護老人保健施設で勤務 する介護職員とした。まず、独立行政福祉医療機構 の福祉保健医療情報ネット(WAMNET)に登録さ れている A 県内の介護老人福祉施設および介護老 人保健施設から各市町村単位に分類し、乱数表を用 いて無作為抽出した。次に、各施設の担当者に研究 の趣旨を説明し、承諾が得られた施設に調査票を郵 送し、調査票配布及び返送を依頼した。調査は 2018        * 特別養護老人ホームにしのみや聖徳園      〒663-8006 兵庫県西宮市段上町6丁目24-1 ** 岡山県立大学保健福祉学部       〒719-1197 岡山県総社市窪木111

介護職員が描く「福祉の心」

鈴木星 * 趙敏廷 **

要旨 本研究は、介護職員に対する価値の育成に向けた基礎資料を得ることをねらいに、介護職員が描く「福 祉の心」の特徴を明らかにすることを目的とした。A 県内の介護老人福祉施設および介護老人保健施設で勤務 する介護職員を対象にアンケート調査を行った。505 名の回答をもとに分析を行った結果、「福祉の心」に関 する項目の因子分析では 8 つの因子が抽出された。次に、「福祉の心とはどのようなものであるか」(自由記述) については、308 名の回答をもとにクラスター分析を行った。結果、9 つのクラスターが抽出された。看護学 生を対象とした先行研究と比較したところ、いずれの結果も介護職員が描く「福祉の心」の特徴が示唆され た。今後は在宅介護事業所などに従事する介護職員を対象に調査を行い、さらに介護職員の「福祉の心」を検 証していくことが課題である。 キーワード:福祉の心、介護、価値

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126 年 6 月 18 日〜 7 月 31 日に実施した。結果、638 名 の回答が得られた(回収率 88.0%)。量的分析は欠 損値のない 505 票を、質的分析は 308 票の自由記述 を用いた。 2.調査項目 1)「福祉の心」に関する項目  先行研究で谷川(2007)が作成した「福祉の心」 に関する 65 項目を用いて、「大変よくあてはまる」 「よくあてはまる」「あまりあてはまらない」「あて はまらない」の 4 段階で評定を求めた。また、基本 属性ならびに『「福祉の心」とはどのようなもので あるか』に対して自由記述の回答を求めた。 2)対象者の基本属性  対象者の基本属性の回答分布を示す(表 1)。 3.分析方法 1)量的分析  介護職員が描く「福祉の心」を構成する因子を明 らかにするため因子分析を行った。分析には、IBM SPSS Statistics 19 for windows を使用した。 2)質的分析  選択肢型質問の分析の結果から得られる知見に加 えて追加的探索を行うことを意図し、関連する自由 記述回答の計量テキスト分析を行った。テキストマ イニングでは頻出語の確認を行い、階層的クラス ター分析を行った。分析には、樋口が開発した KH Coder Ver.2(2015)を使用した。 4.倫理的配慮  調査に協力していただいた施設の施設長と対象者 には調査目的と方法、研究への不参加にともなう不 利益が生じないこと、プライバシーへの保護、デー タの取り扱い、データの公表に関する説明等につい て説明した文書を添付し、同意が得られた場合のみ 回答をするよう求めた。本研究は、本調査の実施に あたり岡山県立大学倫理委員会の承認を得た(承認 番号 18-21)。KH Coder の使用に関しては、本研究 内に KH Coder の使用を記載することにより使用許 諾を得た。 Ⅲ.研究結果 1.量的分析 1)回答分布  回答分布にはある程度ばらつきが認められた(表 2)。また床効果と天井効果みられなかったため、 すべての項目を分析に用いた。 2)因子分析  「福祉の心」を構成する因子を明らかにするため に探索的因子分析を行った。因子の抽出には重み付 けのない最小 2 乗法を用い、因子数は固有値 1 以上 の基準を設けて急落法によって検討し、累積率を考 慮して決定した。65 項目に対して因子数を 8 に指定 し、因子分析を行った。結果、比較的単純構造を有 した因子パターン行列が得られた(表 3)。  因子負荷量が 0.30 以上の項目において、各因子を 構成する項目に着目し、因子名を解釈した。第 1 因 子は「思いやりの心」(α =0.928)、第 2 因子は「環 境からの自然な学び」(α =0.879)、第 3 因子は「普 遍的理解」(α =0.847)、第 4 因子は「人間尊重の願 い」(α =0.837)、第 5 因子は「幼少期から育まれる もの(α =0.844)、第 6 因子は身近な取り組み」(α =0.691)、第 7 因子は「将来の社会連携」(α= 0.816)、 第 8 因子は「自己育成」(α =0.710)と命名した。 表 1 対 象 者 の 基 本 属 性 n = 5 0 5 度数(%) 性別 男性 165(32.7) 女性 340(67.3) 1設種別 介護老人福祉1設 316(62.6) 介護老人保健1設 189(37.4) 年齢 30歳未満 134(26.5) 30歳代 143(28.3) 40歳代 136(26.9) 50歳代 92(18.2) 経験年数 5年未満 119(23.6) 5年以上10年未満 138(27.3) 10年以上15年未満 129(25.5) 15年以上 119(23.6) ボランティア経験 あり 312(61.8) なし 193(38.2) 所持資格(複数回答) 介護職員初任者研修 186(36.8) 介護支援専門員 69(13.7) 介護福祉士 416(82.4) 社会福祉士 24( 4.8 ) その他 48( 9.5 ) 項目 3. 分 析 方 法 1) 量 的 分 析 介 護 職 員 が 描 く「 福 祉 の 心 」を 構 成 す る 因 子 を 明 ら か に す る た め 因 子 分 析 を 行 っ た 。 分 析 に は 、 I B M S P S S S t a t i s t i c s 1 9 f o r w i n d o w s を 使 用 し た 。 2) 質 的 分 析 選 択 肢 型 質 問 の 分 析 の 結 果 か ら 得 ら れ る 知 見 に 加 え て 追 加 的 探 索 を 行 う こ と を 意 図 し 、関 連 す る 自 由 記 述 回 答 の 計 量 テ キ ス ト 分 析 を 行 っ た 。テ キ ス ト マ イ ニ ン グ で は 頻 出 語 の 確 認 を 行 い 、階 層 的 ク ラ ス タ ー 分 析 を 行 っ た 。分 析 に は 、 樋 口 が 開 発 し た K H C o d e r Ve r . 2 ( 2 0 1 5 )を 使 用 し た 。 4. 倫 理 的 配 慮 調 査 に 協 力 し て い た だ い た 施 設 の 施 設 長 と 対 象 者 に は 調 査 目 的 と 方 法 、研 究 へ の 不 参 加 に と も な う 不 利 益 が 生 じ な い こ と 、プ ラ イ バ シ ー へ の 保 護 、デ ー タ の 取 り 等 に つ い て 説 明 し た 文 書 を 添 付 し 、同 意 が 得 ら れ た 場 合 の み 回 答 を す る よ う 求 め た 。本 研 究 は 、本 調 査 の 実 施 に あ た り 岡 山 県 立 大 学 倫 理 委 員 会 の 承 認 を 得 た( 承 認 番 号 1 8 - 2 1 )。 K H C o d e r の 使 用 に 関 し て は 、 本 研 究 内 に K H C o d e r の 使 用 を 記 載 す る こ と に よ り 使 用 許 諾 を 得 た 。 Ⅲ . 研 究 結 果 1. 量 的 分 析 1) 回 答 分 布 回 答 分 布 に は あ る 程 度 ば ら つ き が 認 め ら れ た( 表 2 )。表 2 挿 入 ま た 床 効 果 と 天 井 効 果 み ら れ な か っ た た め 、す べ て の 項 目 を 分 析 に 用 い た 。 2) 因 子 分 析 「 福 祉 の 心 」を 構 成 す る 因 子 を 明 ら か に す る た め に 探 索 的 因 子 分 析 を 行 っ た 。因 子 の 抽 出 に は 重 み 付 け の な い 最 小 2 乗 法 を 用 い 、 因 子 数 は 固 有 値 1 以 上 の 基 準 を 設 け て 急 落 法 に よ っ て 検 討 し 、累 積 率 を 考 慮 し て 決 定 し た 。6 5 項 目 に 対 し て 因 子 数 を 8 に 指 定 し 、因 子 分 析 を 行 っ た 。結 果 、比 較 的 単 純 構 造 を 有 し た 因 子 パ タ ー ン 行 列 が 得 ら れ た ( 表 3 )。表 3 挿 入 因 子 負 荷 量 が 0 . 3 0 以 上 の 項 目 に お い て 、各 因 子 を 構 成 す る 項 目 に 着 目 し 、因 子 名 を 解 釈 し た 。第 1 因 子 は 「 思 い や り の 心 」( α = 0 . 9 2 8)、第 2 因 子 は「 環 境 か ら の 自 然 な 学 び 」( α = 0 . 8 7 9 )、 第 3 因 子 は 「 普 遍 的 理 解 」( α = 0 . 8 4 7 )、 第 4 因 子 は「 人 間 尊 重 の 願 い 」( α = 0 . 8 3 7)、第 5 因 子 は「 幼 少 期 か ら 育 ま れ る も の( α = 0 . 8 4 4 )、第 6 因 子 は 身 近 な 取 り 組 み 」( α = 0 . 6 9 1 )、 第 7 因 子 は「 将 来 の 社 会 連 携 」( α = 0 . 8 1 6 )、第 8 因 子 は「 自 己 育 成 」 表 1 対象者の基本属性 (n=505)

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3 n(%) 全くあてはま らない あまりあてはまらない まぁまぁあてはまる 大変よくあてはまる 1.一人一人が互いをかけがいのない存在として尊重することである 0(0) 20(4.0) 207(41.0) 278(55.0) 2.助け合って共によりよく生きようとすることである 0(0) 23(4.6) 218(43.2) 264(52.3) 3.幸せを願う気持ちである 1(0.2) 51(10.1) 226(44.8) 227(45.0) 4.社会の基本である 6(1.2) 77(15.2) 252(49.9) 170(33.7) 5.人の命の尊さを知る心である 2(0.4) 33(6.5) 190(37.6) 280(55.4) 6.相手の立場になって考えることのできる視点である 2(0.4) 8(1.6) 156(30.9) 339(67.1) 7.ボランティア活動の実践によって育まれる 33(6.5) 173(34.3) 224(44.4) 75(14.9) 8.拠り所となるものである 15(3.0) 113(22.4) 273(54.1) 104(20.6) 9.大きな耳と小さな口である 43(8.5) 171(33.9) 220(43.6) 71(14.1) 10.コミュニケーションから養われるものである 2(0.4) 57(11.3) 232(45.9) 214(42.4) 11.相互扶助の精神そのものである 7(1.4) 89(17.6) 293(58.0) 116(23.0) 12.誰かに教えてもらうものではない 42(8.3) 188(37.2) 188(37.2) 87(17.2) 13.自分の手で育んでいくものである 17(3.4) 139(27.5) 262(51.9) 87(17.2) 14.幼いころから子供達の心に植え付けられることが必要である 20(4.0) 126(25.0) 244(48.3) 115(22.8) 15.幼少時からの福祉教育に負うところが大きい 19(3.8) 172(34.1) 234(46.3) 80(15.8) 16.環境問題を憂える心である 36(7.1) 189(37.4) 229(45.3) 51(10.1) 17.環境と共生しようとする心である 28(5.5) 169(33.5) 247(48.9) 61(12.1) 18.基本的人権に根ざすものである 3(0.6) 49(9.7) 234(46.3) 219(43.4) 19.社会連帯の広がりへと展開する可能性をもつものである 4(0.8) 67(13.3) 279(55.2) 155(30.7) 20.福祉コミュニティ形成へと展開する可能性を持つものである 3(0.6) 63(12.5) 286(56.6) 153(30.3) 21.すべての人たちが人格的にふれあって共感していくことである 5(1.0) 95(18.8) 263(52.1) 142(28.1) 22.誰もが可能な限り住み慣れた地域社会の中で快適に暮らしていくことである 4(0.8) 58(11.5) 253(50.1) 190(37.6) 23.お母さんの心である 50(9.9) 211(41.8) 179(35.4) 65(12.9) 24.相手のニーズを把握して援助活動を展開していく際に土台となるものである 4(0.8) 49(9.7) 276(54.7) 176(34.9) 25.何者にも代えがたい大切な宝のことである 26(5.1) 158(31.3) 233(46.1) 88(17.4) 26.大海の一滴のしずくと同じである 66(13.1) 226(44.8) 162(32.1) 51(10.1) 27.教室で先生との会話の中からも学び取れるものである 71(14.1) 275(54.5) 141(27.9) 18(3.6) 28.友人とのコミュニケーションのなかからも学びとれるものである 29(5.7) 168(33.3) 257(50.9) 51(10.1) 29.メンツ(立場)で仕事をするのではないということである 17(3.4) 114(22.6) 242(47.9) 132(26.1) 30.役目で仕事をしていくことが大事だということである 43(8.5) 210(41.6) 199(39.4) 53(10.5) 31.自らが育むものである 1(0.2) 74(14.7) 296(58.6) 134(26.5) 32.学び合って共によりよく生きようとすることである 1(0.2) 60(11.9) 281(55.6) 163(32.3) 33.思いやりの心 1(0.2) 7(1.4) 146(28.9) 351(69.5) 34.自分たちの周りで困っている人がいれば互いに助け合おうという心である 1(0.2) 16(3.2) 184(36.4) 304(60.2) 35.一律に定義されるべきものではない 1(0.2) 47(9.3) 240(47.5) 217(43.0) 36.一人ひとりが考え醸成していくものである 4(0.8) 59(11.7) 299(59.2) 143(28.3) 37.他者に尽くすこころのことである 14(2.8) 117(23.2) 273(54.1) 101(20.0) 38.言葉が通じなくてもどの国でも共通なものである 7(1.4) 52(10.3) 239(47.3) 207(41.0) 39.崇高な精神ではない 34(6.7) 164(32.5) 241(47.7) 66(13.1) 40.自分にできることをすることである 5(1.0) 53(10.5) 273(54.1) 174(34.5) 41.できることがら始めればいいことである 1(0.2) 36(7.1) 226(44.8) 242(47.9) 42.特別なものではない 6(1.2) 47(9.3) 225(44.6) 227(45.0) 43.すべての人々の心の中に本来ある支え合いの精神である 11(2.2) 44(8.7) 268(53.1) 182(36.0) 44.自然に湧いてくるものである 25(5.0) 163(32.3) 236(46.7) 81(16.0) 45.幼児期から様々な体験を通して育まれるべきものである 13(2.6) 110(21.8) 276(54.7) 106(21.0) 46.感謝の心 5(1.0) 43(8.5) 246(48.7) 211(41.8) 47.身のまわりの小さなところから芽生える 2(0.4) 51(10.1) 293(58.0) 159(31.5) 48.他人の痛みを自分のものと感じることである 5(1.0) 77(15.2) 261(51.7) 162(32.1) 49.十分力を出せない人たちと社会の力で生きる喜びをともに分かち合っていく心である 10(2.0) 97(19.2) 296(58.6) 102(20.2) 50.幼児期から地域全体で育むことが大切である 10(2.0) 91(18.0) 274(54.3) 130(25.7) 51.教育の底流を流れる大事な教育と認識できるものである 11(2.2) 128(25.3) 291(57.6) 75(14.9) 52.教え込みするものではない 8(1.6) 99(19.6) 257(50.9) 141(27.9) 53.暗記するものではない 6(1.2) 50(9.9) 193(38.2) 256(50.7) 54.同情だけのいたわりではない 2(0.4) 27(5.3) 227(45.0) 249(49.3) 55.形だけのいたわりではない 2(0.4) 23(4.6) 231(45.7) 249(49.3) 56.for youではなく、with youでなくてはならないものである 13(2.6) 80(15.8) 300(59.4) 112(22.2) 57.人に喜びを提供することである 9(1.8) 84(16.6) 282(55.8) 130(25.7) 58.一番困っている人に誠実に対応することである 15(3.0) 92(18.2) 279(55.2) 119(23.6) 59.待つ心が大事である 5(1.0) 75(14.9) 271(53.7) 154(30.5) 60.素敵なこと 10(2.0) 76(15.0) 245(48.5) 174(34.5) 61.他を思いやることである 3(0.6) 17(3.4) 234(46.3) 251(49.7) 62.共に生きようとすることである 5(1.0) 37(7.3) 244(48.3) 219(43.4) 63.励まし合って共によりよく生きようとすることである 5(1.0) 41(8.1) 248(49.1) 211(41.8) 64.立場が異なる人たちが互いに支え合うことである 4(0.8) 44(8.7) 267(52.9) 190(37.6) 65.協力し合うことで環境・社会をつくっていくことである 3(0.6) 40(7.9) 242(47.9) 220(43.6) 回答肢 項目 表 表 2 項表 2 項目群の回答分布:介護職員の福祉の心項 目目 群群 のの 回回 答答 分分 布布 :: 介介 護護 職職 員員 のの 福福 祉祉 のの 心心

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1 2 3 4 5 6 7 8 共生の 思いやり 環境から の自然な 学び 普遍的 理解 人間尊重 の願い配 慮 幼少期か ら育まれ るもの 身近な 取り組み社会連帯 自己育成将来の 63.励まし合って共によりよく生きようとすることである 0.90 0.00 0.05 0.02 -0.18 -0.12 0.05 0.06 0.53 61.他を思いやることである 0.88 -0.14 0.07 -0.08 0.04 0.00 0.02 -0.07 0.59 62.共に生きようとすることである 0.85 -0.07 0.05 -0.01 -0.05 -0.04 0.02 -0.01 0.54 65.協力し合うことで環境・社会をつくっていくことである 0.81 0.07 0.02 -0.09 -0.15 -0.13 0.19 0.04 0.58 64.立場が異なる人たちが互いに支え合うことである 0.81 0.12 0.08 -0.08 -0.17 -0.16 0.12 0.07 0.54 60.素敵なこと 0.70 0.03 0.02 -0.04 -0.02 -0.01 -0.02 -0.02 0.46 57.人に喜びを提供することである 0.61 0.08 -0.13 -0.05 0.12 0.01 -0.07 -0.04 0.49 58.一番困っている人に誠実に対応することである 0.57 0.18 -0.07 -0.06 0.14 -0.04 -0.12 -0.02 0.49 46.感謝の心 0.50 0.03 -0.05 0.20 0.05 0.15 -0.13 -0.01 0.48 37.他者に尽くすこころのことである 0.49 0.13 -0.13 0.10 0.05 0.08 -0.13 0.06 0.40 48.他人の痛みを自分のものと感じることである 0.45 0.06 0.06 0.05 0.22 0.01 -0.07 -0.11 0.52 43.すべての人々の心の中に本来ある支え合いの精神である 0.44 0.12 -0.03 0.13 0.01 0.18 -0.10 0.02 0.47 34.自分たちの周りで困っている人がいれば互いに助け合おうという心である 0.43 -0.20 -0.05 0.19 0.13 0.13 0.14 -0.03 0.54 49.十分力を出せない人たちと社会の力で生きる喜びをともに分かち合っていく心である 0.42 0.28 0.03 0.01 0.03 0.09 -0.02 -0.05 0.61 59.待つ心が大事である 0.40 -0.03 0.00 -0.08 -0.01 0.18 0.09 0.07 0.62 33.思いやりの心 0.39 -0.37 -0.07 0.27 0.16 0.15 0.13 0.01 0.72

56.for youではなく、with youでなくてはならないものである 0.31 0.09 0.25 0.12 0.16 -0.06 -0.15 0.05 0.73 22.誰もが可能な限り住み慣れた地域社会の中で快適に暮らしていくことである 0.29 0.09 -0.03 0.09 -0.03 -0.02 0.21 -0.03 0.49 38.言葉が通じなくてもどの国でも共通なものである 0.28 0.13 0.10 0.11 0.01 0.19 -0.09 0.03 0.73 32.学び合って共によりよく生きようとすることである 0.27 0.05 -0.06 0.21 0.07 0.14 0.11 0.03 0.72 29.メンツ(立場)で仕事をするのではないということである 0.24 0.24 0.13 0.01 0.00 0.06 -0.11 0.04 0.48 21.すべての人たちが人格的にふれあって共感していくことである 0.24 0.16 -0.12 0.08 0.04 0.01 0.23 0.11 0.41 26.大海の一滴のしずくと同じである -0.01 0.76 0.06 -0.03 -0.02 -0.01 -0.09 0.07 0.45 27.教室で先生との会話の中からも学び取れるものである 0.14 0.68 -0.12 -0.16 0.04 -0.05 -0.03 -0.07 0.47 16.環境問題を憂える心である -0.08 0.67 0.00 -0.04 0.01 -0.03 0.23 0.03 0.60 17.環境と共生しようとする心である -0.05 0.61 0.03 -0.07 0.01 -0.02 0.30 0.01 0.53 25.何者にも代えがたい大切な宝のことである 0.09 0.58 0.02 0.15 0.05 -0.07 0.01 -0.04 0.50 9.大きな耳と小さな口である -0.10 0.54 0.11 0.28 -0.08 -0.02 -0.01 0.01 0.45 23.お母さんの心である 0.08 0.53 -0.02 0.05 0.09 -0.09 -0.06 0.03 0.32 44.自然に湧いてくるものである 0.12 0.46 0.05 0.01 -0.07 0.27 -0.22 0.08 0.29 8.拠り所となるものである -0.07 0.43 0.02 0.29 -0.04 0.04 0.13 -0.11 0.51 7.ボランティア活動の実践によって育まれる 0.13 0.42 -0.06 0.22 0.00 -0.02 0.00 0.00 0.57 28.友人とのコミュニケーションのなかからも学びとれるものである 0.04 0.35 -0.05 -0.11 0.03 0.16 0.12 0.07 0.54 54.同情だけのいたわりではない 0.10 -0.04 0.94 -0.05 0.02 -0.13 0.08 -0.08 0.56 55.形だけのいたわりではない 0.12 -0.05 0.92 -0.02 0.00 -0.11 0.06 -0.04 0.38 53.暗記するものではない -0.09 -0.01 0.75 0.00 -0.06 0.15 0.02 0.02 0.40 52.教え込みするものではない -0.03 0.17 0.41 -0.03 -0.06 0.18 -0.12 0.16 0.49 1.一人一人が互いをかけがいのない存在として尊重することである 0.14 -0.10 0.00 0.79 -0.09 -0.10 -0.08 0.05 0.44 3.幸せを願う気持ちである -0.09 0.16 -0.03 0.72 0.09 -0.08 -0.07 -0.04 0.30 5.人の命の尊さを知る心である -0.03 0.10 0.00 0.69 -0.04 0.00 0.02 -0.04 0.55 2.助け合って共によりよく生きようとすることである 0.27 -0.01 -0.01 0.63 -0.07 -0.13 -0.02 0.02 0.60 4.社会の基本である -0.09 0.41 -0.04 0.48 0.06 -0.10 0.07 -0.06 0.39 6.相手の立場になって考えることのできる視点である 0.11 -0.13 0.07 0.44 -0.11 0.08 0.21 0.02 0.54 30.役目で仕事をしていくことが大事だということである 0.08 0.25 -0.21 -0.26 -0.04 0.23 0.10 0.06 0.46 11.相互扶助の精神そのものである 0.04 0.24 -0.01 0.26 -0.06 0.02 0.22 0.16 0.54 10.コミュニケーションから養われるものである 0.07 0.22 -0.05 0.23 -0.07 0.10 0.18 -0.07 0.57 14.幼いころから子供達の心に植え付けられることが必要である 0.02 -0.01 -0.06 0.01 0.87 -0.24 -0.05 0.15 0.57 15.幼少時からの福祉教育に負うところが大きい -0.12 0.03 -0.04 -0.04 0.83 -0.16 0.13 0.13 0.48 45.幼児期から様々な体験を通して育まれるべきものである 0.00 0.03 0.04 -0.07 0.64 0.16 -0.02 -0.03 0.58 50.幼児期から地域全体で育むことが大切である 0.15 0.09 0.11 -0.06 0.62 0.01 0.01 -0.14 0.62 51.教育の底流を流れる大事な教育と認識できるものである 0.03 0.32 0.02 -0.13 0.44 0.03 0.16 -0.12 0.56 41.できることがら始めればいいことである 0.03 0.00 -0.02 0.01 -0.16 0.80 0.05 -0.16 0.41 40.自分にできることをすることである 0.02 0.02 -0.08 -0.07 -0.10 0.77 0.07 -0.08 0.59 42.特別なものではない 0.05 -0.18 0.08 0.02 -0.04 0.57 -0.07 0.13 0.86 39.崇高な精神ではない -0.07 0.18 0.03 -0.25 -0.09 0.45 -0.02 0.14 0.85 35.一律に定義されるべきものではない -0.22 -0.14 0.33 0.07 0.09 0.35 0.08 0.04 0.46 47.身のまわりの小さなところから芽生える 0.28 0.10 0.07 -0.04 0.17 0.30 0.02 -0.08 0.49 36.一人ひとりが考え醸成していくものである -0.09 0.01 0.13 0.09 0.17 0.28 0.06 0.10 0.47 19.社会連帯の広がりへと展開する可能性をもつものである -0.02 0.12 0.09 -0.05 -0.01 0.03 0.79 0.00 0.41 20.福祉コミュニティ形成へと展開する可能性を持つものである 0.03 0.09 0.04 -0.05 0.04 0.05 0.71 -0.04 0.51 18.基本的人権に根ざすものである 0.13 -0.07 -0.02 0.09 0.20 -0.07 0.45 0.10 0.68 24.相手のニーズを把握して援助活動を展開していく際に土台となるものである 0.12 0.17 -0.02 0.10 0.01 0.02 0.33 -0.09 0.70 13.自分の手で育んでいくものである 0.09 0.02 -0.06 0.00 0.08 -0.02 0.06 0.77 0.75 12.誰かに教えてもらうものではない -0.06 0.03 0.02 0.00 0.08 -0.01 -0.06 0.70 0.71 31.自らが育むものである -0.04 0.00 0.12 0.06 0.15 0.19 0.12 0.31 0.67 因子抽出法:重み付けのない最小二乗法 固有値 19.62 2.79 2.44 1.54 1.34 1.20 1.04 0.78 因子寄与率 30.19 4.29 3.75 2.36 2.06 1.85 1.60 1.21 因子相関行列 因子 1 2 3 4 5 6 7 8 1 共生の思いやり 1.00 2 環境からの自然な学び 0.61 1.00 3 普遍的理解 0.42 0.23 1.00 4 人間尊重の願い配慮 0.69 0.57 0.43 1.00 5 幼少期から育まれるもの 0.55 0.60 0.37 0.55 1.00 6 身近な取り組み 0.56 0.54 0.44 0.49 0.55 1.00 7 将来の社会連帯 0.55 0.54 0.26 0.61 0.52 0.47 1.00 8 自己育成 0.16 0.32 0.23 0.24 0.22 0.34 0.17 1.00 項目 抽出された因子 共通性

3

項 目

表 3 項目群の探索的因子分析:介護職員の福祉の心の福祉の心

目 群

群 の

の 探

探 索

索 的

的 因

因 子

子 分

分 析

析 :

: 介

介 護

護 職

職 員

員 の

の 福

福 祉

祉 の

の 心

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2.質的分析 1)頻出語  自由記述回答で得られた 548 文を形態素に分解し た。その結果、異なり語数が 936 語、総抽出語が 8,796 語抽出された。頻出語は、もとの文章中でどのよう に使われているのかを確認し、本研究の分析の対象 に値しないと判断した語「思う」を「使用しない語」 として指定した。抽出された頻出上位 150 語を示す (表 4)。 2)階層的クラスター分析  頻出語の詳しい構造を調べるため、出現回数 10 回以上の頻出語を対象に、Ward 法 Euclid 距離にて 階層的クラスター分析を行い、デンドログラムを作 成した。結果、9 つのクラスターに分類された(図 1)。 表4 頻出上位 150 語 抽出語 出現回数 抽出語 出現回数 抽出語 出現回数 心 145 関係 9 生まれる 5 人 135 差し伸べる 9 捉える 5 自分 78 人間 9 答え 5 気持ち 63 精神 9 働く 5 福祉 61 他人 9 部分 5 考える 59 忘れる 9 暮らせる 5 相手 59 理解 9 無い 5 思いやり 49 押し付ける 8 目 5 大切 49 楽しい 8 問題 5 思いやる 45 職員 8 理想 5 助け合う 37 他 8 良い 5 持つ 35 当たり前 8 お手伝い 4 必要 33 たくさん 7 ケア 4 生きる 28 一番 7 コミュニケーション 4 生活 27 環境 7 プロ 4 支える 25 共感 7 異なる 4 立場 25 現実 7 育つ 4 幸せ 24 考え 7 温かい 4 利用 23 行う 7 学校 4 他者 22 助け 7 嬉しい 4 困る 21 常に 7 求める 4 寄り添う 20 身 7 協力 4 介護 19 痛み 7 教育 4 仕事 18 ボランティア 6 経験 4 お互い 17 家族 6 見返り 4 感じる 17 過ごす 6 作る 4 自身 17 関わる 6 思える 4 尊重 17 願う 6 時間 4 共に 16 喜ぶ 6 自ら 4 違う 15 現場 6 自己 4 思い 14 高齢 6 自然 4 社会 14 今 6 心がける 4 いろいろ 13 手助け 6 人々 4 一人ひとり 13 笑顔 6 生きがい 4 学ぶ 13 多い 6 接す 4 言う 13 大事 6 尊敬 4 互いに 12 日々 6 尊厳 4 行動 12 余裕 6 対応 4 少し 12 力 6 知る 4 優しい 12 さまざま 5 地域 4 一緒 11 アンケート 5 提供 4 感謝 11 意識 5 得る 4 特別 11 一言 5 難しい 4 すべて 10 喜び 5 認める 4 それぞれ 10 見る 5 範囲 4 支援 10 重要 5 きれい 3 手 10 障る 5 サービス 3 助ける 10 身体 5 愛 3 接する 10 人生 5 安心 3 立つ 10 成り立つ 5 安全 3 表 4 頻 出 上 位 1 5 0 語

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Ⅳ.考察  ここでは、谷川ら(2007)による先行研究10(以下、 先行研究という)と比較しながら、看護学生と介護 職員との共通点や相違点を中心に介護職員の「福祉 の心」の特徴について考察していく。 1.量的分析 1)回答分布  「福祉の心」に関する項目のうち、50%以上「大 変よくあてはまる」と回答した項目を注目した。先 行研究の結果と照らし合わせてみると、「5. 人の命 の尊さを知る心である」を除く 6 項目は福祉学生及 び看護学生においても高い適合度を示している。た だ、「5. 人の命の尊さを知る心である」の項目は、 介護職員の方のみ、50%を上回った。薄井(2014) れるもの、命の尊さを知り個人の人格を敬愛するこ と」11としている。介護職員は終末期ケアなどの体 験から命の尊さを身近に実感することが多く、限ら れた時間の中で利用者の命の尊さをいかに実現する かを福祉的な観点から探求していることから、介護 職員の「福祉の心」の特徴としてとらえることがで きるといえる。 2)因子分析  因子分析の結果 8 つの因子が抽出された。各因子 を構成する項目を先行研究の各因子の項目と照らし 合わせながら、因子名を検討した。結果、看護学生 と介護職員が描く「福祉の心」8 つの因子のうち、7 つの因子は似通った因子で構成されていた(表 5)。  一方、「身近な取り組み」と命名した因子は、「で 7 ク ラ ス タ ー 1 相 手 の 立 場 に 立 ち 、 相 手 の こ と を 考 え て 行 動 す る こ と 立立 立つ 相相 行行 考ええ 介介 仕仕 持つ 学ぶ 気持ち 寄り添う 尊尊 お互い 思いいえ 他他 自自 自自 大大 生きえ 共に 社社 必必 助けえ 人 困え 相 特特 思い 接すえ 生生 支支 一人ひひり 利利 いいいい そそそそ 言う 福福 違う 一一 優しい 幸せ すすす 感じえ 少し 助け合う 支ええ 思いいり 感感 互いに 心 立立 立つ 相相 行行 考ええ 介介 仕仕 持つ 学ぶ 気持ち 寄り添う 尊尊 お互い 思いいえ 他他 自自 自自 大大 生きえ 共に 社社 必必 助けえ 人 困え 相 特特 思い 接すえ 生生 支支 一人ひひり 利利 いいいい そそそそ 言う 福福 違う 一一 優しい 幸せ すすす 感じえ 少し 助け合う 支ええ 思いいり 感感 互いに 心 0 15 30 0 50 100 図 1 階 層 的 ク ラ ス タ ー の デ ン ド ロ グ ラ ム ク ラ ス タ ー 2 介 護 を 通 し て 学 ぶ も の ク ラ ス タ ー 3 お 互 い に 尊 重 し 思 い や り 、 相 手 の 気 持 ち に 寄 り 添 う こ と 介 護 を 通 し て 学 ぶ も の ク ラ ス タ ー 4 他 者 だ け で な く 自 分 自 身 も 大 切 に す る こ と ク ラ ス タ ー 5 社 会 の 中 で 共 に 生 き て い く 上 で 必 要 な も の ク ラ ス タ ー 6 困 っ て い る 人 の 手 助 け を す る こ と ク ラ ス タ ー 7 利 用 者 一 人 ひ と り を 思 い な が ら 接 し 、 生 活 を 支 援 す る こ と ク ラ ス タ ー 8 優 し さ が 基 盤 に あ り 人 そ れ ぞ れ が 持 っ て い る も の ク ラ ス タ ー 9 互 い に 助 け 合 う こ と 、 幸 せ を 感 じ 、 感 謝 や 思 い や り の 心 図 1 階層的クラスターのデンドログラム

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きることをすることである」「特別なものではない」 などの項目で構成されていた。志田(2006)は「福 祉は一部の国民をたすけるための事業ではない、国 民全体のくらしにかかわる役割を担っており、老人 介護はその一つなのである」12と述べているように、 介護は誰しもに関係するものである。また、浜渦 (2005)は「「老いと死」は生きている間に確実にやっ て来るものであり、人間は生きている間も、他者か ら「ケア」され、他者を「ケア」するなかで生きて いく」13と述べている。「老い」は誰しもが迎える ものであり、「ケア」つまり介護は自分自身にも関 係あり、身近に存在しているという認識が反映され ていることから、介護職員が描く「福祉の心」の特 徴としてとらえることができるといえる。 2.質的分析 1)頻出語  「心」「人」「福祉」「相手」などが上位を占めていた。 先行研究の結果と似通った傾向であり、看護学生と 実際に現場で従事している介護職員いずれも「福祉 の心」の趣が類似していることが示唆された。 2)階層的クラスター分析  クラスター分析によって得られた概念構成は 9 つ あった。各クラスターを構成する語に着目し、クラ スター 1 は「相手の立場に立ち、相手のことを考え て行動すること」、クラスター 2 は介護を通して学 ぶもの」、クラスター 3 は「お互いに尊重し思いやり、 相手の気持ちに寄り添うこと」、クラスター 4 は「他 者だけでなく自分自身も大切にすること」、クラス ター 5 は「社会の中で共に生きていく上で必要なも の」、クラスター 6 は「困っている人の手助けをす ること」、クラスター 7 は「利用者一人ひとりを思 いながら接し、生活を支援すること」、クラスター 8 は「優しさが基盤にあり人それぞれが持っているも の」、クラスター 9 は「互いに助け合うこと、幸せ を感じ、感謝や思いやりの心である」と解釈した。 これらの結果を先行研究の自由記述の分析の結果と 照らし合わせてみると表 6 の通りであった(表 6)。  各クラスターを構成する語の意味合いを考える と、介護職員と看護学生の自由記述による「福祉の 心」は、6 つの概念構成が似通っていた。  一方、「介護を通して学ぶもの」については、関 連する回答記述をみると、「介護」を含む記述として、 「介護士として常に相手(ご利用者様)の立場を考 えて行動する」「介護職員として持つべきもの」な どが見受けられた。また、「学ぶ」を含む記述として、 「学校で学ぶことに加えて実習やボランティア等を 通して、実践の現場での経験から身につくこと」「親 だけでなく、自分の身の回りの人すべてから学ぶこ とができる心」などが見受けられた。また、高原ら (2004)は、「介護を通じて介護の知識や技術だけで なく、周囲の人との関わりによる心の成長があった」 14など、介護によって学び得るものを述べているよ 8 2. 質 的 分 析 1) 頻 出 語 「 心 」「 人 」「 福 祉 」「 相 手 」な ど が 上 位 を 占 め て い た 。先 行 研 究 の 結 果 と 似 通 っ た 傾 向 で あ り 、看 護 学 生 と 実 際 に 現 場 で 従 事 し て い る 介 護 職 員 い ず れ も 「 福 祉 の 心 」 の 趣 が 類 似 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。 2) 階 層 的 ク ラ ス タ ー 分 析 ク ラ ス タ ー 分 析 に よ っ て 得 ら れ た 概 念 構 成 は 9 つ あ っ た 。 各 ク ラ ス タ ー を 構 成 す る 語 に 着 目 し 、 ク ラ ス タ ー 1 は 「 相 手 の 立 場 に 立 ち 、 相 手 の こ と を 考 え て 行 動 す る こ と 」、 ク ラ ス タ ー 2 は 介 護 を 通 し て 学 ぶ も の 」、 ク ラ ス タ ー 3 は 「 お 互 い に 尊 重 し 思 い や り 、 相 手 の 気 持 ち に 寄 り 添 う こ と 」、 ク ラ ス タ ー 4 は 「 他 者 だ け で な く 自 分 自 身 も 大 切 に す る こ と 」、 ク ラ ス タ ー 5 は 「 社 会 の 中 で 共 に 生 き て い く 上 で 必 要 な も の 」、 ク ラ ス タ ー 6 は 「 困 っ て い る 人 の 手 助 け を す る こ と 」、 ク ラ ス タ ー 7 は 「 利 用 者 一 人 ひ と り を 思 い な が ら 接 し 、 生 活 を 支 援 す る こ と 」、 ク ラ ス タ ー 8 は 「 優 し さ が 基 盤 に あ り 人 そ れ ぞ れ が 持 っ て い る も の 」、 ク ラ ス タ ー 9 は 「 互 い に 助 け 合 う こ と 、 幸 せ を 感 じ 、 感 謝 や 思 い や り の 心 で あ る 」 と 解 釈 し た 。 こ れ ら の 結 果 を 先 行 研 究 の 自 由 記 述 の 分 析 の 結 果 と 照 ら し 合 わ せ て み る と 表 6 の 通 り で あ っ た ( 表 6 )。表 6 挿 入 各 ク ラ ス タ ー を 構 成 す る 語 の 意 味 合 い を 考 え る と 、介 護 職 員 と 看 護 学 生 の 自 由 記 述 に よ る「 福 祉 の 心 」 は 、 6 つ の 概 念 構 成 が 似 通 っ て い た 。 一 方 、「 介 護 を 通 し て 学 ぶ も の 」 に つ い て は 、関 連 す る 回 答 記 述 を み る と 、「 介 護 」を 含 む 記 述 と し て 、 「 介 護 士 と し て 常 に 相 手 ( ご 利 用 者 様 ) の 立 場 を 考 え て 行 動 す る 」 「 介 護 職 員 と し て 持 つ べ き も の 」 な ど が 見 受 け ら れ た 。ま た 、「 学 ぶ 」 を 含 む 記 述 と し て 、「 学 校 で 学 ぶ こ と に 加 え て 実 習 や ボ ラ ン テ ィ ア 等 を 通 し て 、実 践 の 現 場 で の 経 表 5 2 者 間 の 因 子 構 成 の 比 較 看 護 学 生 介 護 職 員 普 遍 的 な 理 解 普 遍 的 理 解 人 間 尊 重 の 願 い 人 間 尊 重 の 願 い 配 慮 将 来 の 社 会 連 帯 将 来 の 社 会 連 帯 環 境 か ら の 学 び 環 境 か ら の 自 然 な 学 び 幼 少 期 か ら 育 む も の 幼 少 期 か ら 育 ま れ る も の 共 生 の 思 い や り 共 生 の 思 い や り 自 己 育 成 自 己 育 成 個 別 ニ ー ズ へ の 対 応 実 践 へ の 根 拠 身 近 な 取 り 組 み 表 5 2 者間の因子構成の比較

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うに、介護職員は「福祉の心」が介護実践の経験や 周りの人々から学ぶものであるととらえているとい える。  次に「他者だけでなく自分自身も大切にすること」 については、関連する回答記述をみると、「自分」 を含む記述として、「自分自身を大切にできる力を 養ってこそ、他への思いやりが生まれる」「自分自 身を大切に、他者を大切にしようとする心」などが 見受けられた。介護職員は腰痛有訴率が高く、健康 への問題を理由に離職することが少なくない15。言 い換えると、心身の健康を保つためには、まずは自 分自身を思いやり、大切にすることであり、それが 利用者への質の高いケアにつながる。介護職員は、 介護が介護者の質に大きく左右されることを認識 し、質の高いケアの実践を継続していく上で、自分 自身をも大切にすることを「福祉の心」としてとら えているといえる。  続いて、「優しさが基盤にありそれぞれが持って いるもの」について、関連する回答記述をみると、「優 しい」を含む記述として、「余裕だったり、気持ちだっ たり、健康だったり、優しさ」「優しく見守り、困っ ていることのお手伝いをし、自分らしく生活してい ただくよう援助する」などが見受けられた。また、「そ り “ それぞれが違っていること ”“ それぞれが必要な 存在であること ” それらを当たり前に大切にできる 心」「決まったものではなく一人ひとり形の異なる ものであり、それぞれに異なる想いである」などが 見受けられた。阪野(2003)は「福祉の心」につい て、「個人の尊重と人権の尊重を前提にした思いや り、優しさ、いたわり等の豊かな人間性のもとに培 われた福祉意識」16としている。介護職員は「福祉 の心」を、人間性のもとに培われることから、想い や考えなどは個人によって違っていても、その一人 ひとりが持っているもの、そして優しさなどの人間 性がその根底にあるものとしてとらえているといえ る。  以上から、「介護を通して学ぶもの」「他者だけで なく自分自身も大切にすること」「優しさが基盤に ありそれぞれが持っているもの」は、介護職員が描 く「福祉の心」の特徴であるととらえることができ る。 Ⅴ.まとめ  本研究は、介護職員が描く「福祉の心」の特徴を 明らかにすることを目的とした。  先行研究における看護学生が描く「福祉の心」と 9 験 か ら 身 に つ く こ と 」「 親 だ け で な く 、自 分 の 身 の 回 り の 人 す べ て か ら 学 ぶ こ と が で き る 心 」な ど が 見 受 け ら れ た 。ま た 、高 原 ら( 2 0 0 4 ) は 、「 介 護 を 通 じ て 介 護 の 知 識 や 技 術 だ け で な く 、周 囲 の 人 と の 関 わ り に よ る 心 の 成 長 が あ っ た 」な ど 、介 護 に よ っ て 学 び 得 る も の を 述 べ て い る よ う に 1 3、 介 護 職 員 は 「 福 祉 の 心 」が 介 護 実 践 の 経 験 や 周 り の 人 々 か ら 学 ぶ も の で あ る と と ら え て い る と い え る 。 次 に「 他 者 だ け で な く 自 分 自 身 も 大 切 に す る こ と 」 に つ い て は 、 関 連 す る 回 答 記 述 を み る と 、「 自 分 」を 含 む 記 述 と し て 、「 自 分 自 身 を 大 切 に で き る 力 を 養 っ て こ そ 、 他 へ の 思 い や り が 生 ま れ る 」「 自 分 自 身 を 大 切 に 、他 者 を 大 切 に し よ う と す る 心 」な ど が 見 受 け ら れ た 。介 護 職 員 は 腰 痛 有 訴 率 が 高 く 、 健 康 へ の 問 題 を 理 由 に 離 職 す る こ と が 少 な く な い 1 4。 言 い 換 え る と 、 心 身 の 健 康 を 保 つ た め に は 、 ま ず は 自 分 自 身 を 思 い や り 、大 切 に す る こ と で あ り 、そ れ が 利 用 者 へ の 質 の 高 い ケ ア に つ な が る 。介 護 職 員 は 、介 護 が 介 護 者 の 質 に 大 き く 左 右 さ れ る こ と を 認 識 し 、質 の 高 い ケ ア の 実 践 を 継 続 し て い く 上 で 、自 分 自 身 を も 大 切 に す る こ と を 「 福 祉 の 心 」 と し て と ら え て い る と い え る 。 続 い て 、「 優 し さ が 基 盤 に あ り そ れ ぞ れ が 持 っ て い る も の 」に つ い て 、関 連 す る 回 答 記 述 を み る と 、 「 優 し い 」を 含 む 記 述 と し て 、「 余 裕 だ っ た り 、 気 持 ち だ っ た り 、 健 康 だ っ た り 、優 し さ 」「 優 し く 見 守 り 、困 っ て い る こ と の お 手 伝 い を し 、自 分 ら し く 生 活 し て い た だ く よ う 援 助 す る 」な ど が 見 受 け ら れ た 。ま た 、「 そ れ ぞ れ 」を 含 む 記 述 と し て 、「 す べ て の 人 の 心 に あ り “ そ れ ぞ れ が 違 っ て い る こ と ” “ そ れ ぞ れ が 必 要 な 存 在 で あ る 表 6 2 者 間 の 概 念 構 成 の 比 較 ( 自 由 記 述 ) 看 護 学 生 介 護 職 員 困 り 人 に 差 し の べ ら れ る 手 困 っ て い る 人 を 助 け る こ と 尊 重 さ れ る 個 人 と し て の 考 え 方 そ の 人 個 人 を 思 い 、 そ の 人 の 生 活 を 支 援 す る こ と 身 近 に 感 じ る 思 い や り の 行 動 相 手 の こ と を 考 え て 行 動 す る こ と お 互 い を 尊 重 し 、 相 手 を 思 い や り そ の 気 持 ち に 寄 り 添 う こ と 自 分 が 相 手 の こ と を 考 え て で き る 幸 せ お 互 い に 助 け 合 い 思 い や る こ と で 、 幸 福 感 を 得 ら れ る と 同 時 に 感 謝 の 心 を 与 え る も の 協 力 し て 生 き る こ と 社 会 の 中 で の 共 生 に 欠 か す こ と が で き な い も の 人 間 社 会 に お け る 助 け 合 い の 気 持 ち 介 護 を 通 し て 学 ぶ も の 他 者 だ け で な く 自 分 自 身 も 大 切 に す る こ と 優 し さ が 基 盤 に あ り 人 そ れ ぞ れ が 持 っ て い る も の 表 6 2 者間の概念構成の比較(自由記述)

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として、回答分布からは「人の命の尊さを知る心」 の項目が高い適合度を示していた。また、因子分析 から「身近な取り組み」が特徴的な因子として抽出 された。階層的クラスター分析から「介護を通して 学ぶもの」「他者だけでなく自分自身も大切にする こと」「優しさが基盤にありそれぞれが持っている もの」が特徴的な構成概念であることが示唆された。 Ⅵ.今後の課題  今後は在宅介護事業所などに従事する介護職員を 対象に調査を行い、さらに介護職員の「福祉の心」 の特徴について検証していくことが課題である。 謝辞  本研究の調査にあたり、ご協力いただきました A 県内の介護老人福祉施設および介護老人保健施設の 皆様に感謝いたします。また、分析にあたり、情報 提供およびご助言をいただきました関西福祉大学谷 川和昭先生に感謝申しあげます。 引用文献 1 平塚良子(2004).人間福祉における価値.(秋 山智久・平塚良子・横山穣著,人間福祉の哲学: 68-106.ミネルヴァ書房) 2 岩崎晋也(2014).価値(岩崎晋也・岩間伸之・ 原田正樹編,社会福祉研究のフロンティア:2-3. 有斐閣) 3 趙敏廷・谷口敏代・原野かおり・ほか(2013). 介護福祉教育の研究傾向と今後の課題についての 一考察 ―テキストマイニングによる分析から―. 介護福祉教育,18(2):87-94. 4 阿部志郎(2000).〈社会学部社会学科開設記 念講演〉福祉の心.関西学院大学社会学部紀要, 85:9-15. 5 京極高宣(2000).福祉の心(社会福祉学小辞典: 144.ミネルヴァ書房) 6 一番ヶ瀬康子(2002).「おかしい」と感じる心 を育てたい.(一番ヶ瀬康子・河畠修編,福祉の こころ:21.旬報社) 7 谷川和昭(2007).福祉の心の構造化の試み. メンタルヘルスの社会学,13:50-57. 8 篠原拓也(2016).福祉のこころ論を再考する ─プラグマティズムの立場から─.社会問題研究, 65:153-157. 9 谷川和昭・趙敏廷(2011).看護学生アンケー トによる福祉の心の素描.関西福祉大学社会福祉 学部紀要,15(1):49-58. 10 薄井洋子(2014).福祉の心を育てチームで働 くことができる人材育成の取り組み.介護福祉, 93:63-72. 11 志田利(2006).民間福祉の理念・その重要性 について ─山川忠洋氏の実践に学ぶ─.身延山 大学仏教学部紀要,7:1-9. 12 浜渦辰二(2005).高齢者ケアのために.(ケア の人間学入門:1-14.知泉書館) 13 高原万友美・兵藤好美(2004).高齢者の在宅 介護者における介護継続理由と介護による学び. 岡山大学医学部保健学科紀要,14:141-155. 14 鈴木哲・木村愛子・田中亮・ほか(2013).介 護職員における腰痛の程度および心理的因子が日 常生活活動障害に与える影響 ─パス解析による 検討─.理学療法学、40(2):79 ‐ 86. 15 阪野貢(2003).福祉の心(硯川眞旬監修、国 民福祉辞典:355.金芳堂)

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A study of the welfare mind of care workers

AKARI SUZUKI*,MINJEONG CHO**

* Nishinomiya Seitokuen Nursing Home, 6-24-1, Nishinomiya, Hyogo, Japan

** Department of Health and Welfare Science, Okayama Prefectural University, 111 Kuboki, Soja, Okayama, Japan

Abstract The purpose of this study was to determine the characteristics of care workers' “welfare mind”. A survey of 505 care workers who were registered as staff at welfare facilities for the elderly was conducted. Factorial analysis resulted in eight factors were extracted. Next, we conducted a cluster analysis on the free descriptions of 308 care works; nine clusters were extracted. When compared to studies of nursing students, different factors characterized care workers in both the factor analysis and cluster analysis. In the future, it will be important to investigate care workers engaged in home-care services.

参照

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