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西湖湖底表層堆積物中の珪藻 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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'LDWRPVLQWKHVXUIDFHVHGLPHQWRI/DNH6DL<DPDQDVKL3UHIHFWXUH

石 垣 武 久

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$EVWUDFW  $WD[RQRPLFVXUYH\ZDVFDUULHGRXWRQWKHGLDWRPDVVHPEODJHLQWKHVXUIDFHVHGLPHQWRI/DNH6DL <DPDQDVKL3UHIHFWXUHFHQWUDO-DSDQ$WRWDORI87WD[DEHORQJLQJWR37JHQHUDZHUHLGHQWLILHG7KHGRPLQDQW VSHFLHVZHUH$VWHULRQHOODIRUPRVD(QF\RQHPDVLOHVLDFXP)UDJLODULDFURWRQHQVLVDQG3XQFWLFXODWD SUDHWHUPLVVD 1.はじめに  西湖は富士山の北麓にあり、面積は21NP2で富 士五湖の中では精進湖に次いで小さいが、最大水 深は717Pで本栖湖に次ぐ二番目の深さを持つ湖で ある。西湖と精進湖、本栖湖の三湖は、かつては「セ の海」という一つの湖だったものが西暦800年と 864年の二度の大噴火による溶岩流によって分断さ れてできたことが知られている。このため、これ ら三湖の水位は連動する傾向にあり、湖面標高は いずれも900Pである。西湖に流入する河川は、す べて北側の御坂山地からの小河川で、西湖の西端 に西入川、本沢川、東入川が、中央部に桑留尾川、 東端に三沢川がある。流出する河川は、本来存在 していなかったが、現在では人工的な排水路によっ て湖面標高の低い東側の河口湖へ放流して発電に 利用されている。  西湖の珪藻については、橋爪(1975)、山岸ら (1982)などのプランクトン性藻類の報告があり、 田中(1992)による総括があるが、湖底堆積物中 の珪藻について公表されたものは見当たらない。 今回、化石珪藻から古環境を推定するための一資 料として西湖湖底表層堆積物中の珪藻について調 査し、珪藻類の群集組成が得られたので報告する。 2.試料と方法  2008年10月7日に湖心に近い北緯35度29分58秒東経138度41分10秒水深443Pの地点において、小 型採泥器により湖底の表層泥を試料として採取した()LJ1)。採取した湖底泥を15%の過酸化水素で 処理したのち、光学顕微鏡観察用にマウントメディアで封入したプレパラートと、走査型電子顕微鏡 での観察用にアルミニウム台上で乾燥させて金蒸着した試料を作製した。光学顕微鏡と走査型電子顕

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微鏡を併用して同定作業を進めたあと、次の 方法によって相対頻度を求めた。まず、試料 をカバーグラス上に滴下して乾燥させ、スラ イドグラス上に置いて封入せずに光学顕微鏡 下で観察と写真撮影をおこなった。低倍率広 視野で撮影された写真を合成することによ り、カバーグラス上の試料全体の珪藻殻の 分布図を作成した。次に、このカバーグラ スを走査型電子顕微鏡用試料台に固定して 金で蒸着し、先に作製した分布図と照らし 合わせながら電子顕微鏡により順に1000個 体を写真撮影した。この1000個体を同定し て、相対頻度を求めた。種の同定は主に小林 ら(2006)と渡辺ら(2005)に基づいてお こ な い、 副 次 的 に.UDPPHU /DQJH%HUWDORW (198619881991D1991E)を参考にした。 3.結果と考察  1000殻を同定計数した結果検出された珪 藻類は、29属57分類群であった(7DEOH1)。 相対頻度が10以上の珪藻は、$VWHULRQHOOD IRUPRVD(QF\RQHPDVLOHVLDFXP)UDJLODULD FURWRQHQVLV3XQFWLFXODWDSUDHWHUPLVVDで あった。これら4種で全体の581を占めて い た。 た だ し、3XQFWLFXODWD属については 同定が難しく、3SUDHWHUPLVVDと3UDGLRVD の判別が困難であったため、これらについ てここでは全て3SUDHWHUPLVVDとして記録 したが、3UDGLRVDとすべきものが含まれて いるかもしれない。山岸ら(1982)の1980 年から1981年にかけての西湖のプランクト ン・ネットによる調査では、明らかな優占 種として、$WWKH\D]DFKDULDVL$VWHULRQHOOD IRUPRVD &\PEHOOD PLQXWD )UDJLODULD FURWRQHQVLVの4種があげられている。これら の う ち、$VWHULRQHOODIRUPRVDと)UDJLODULD FURWRQHQVLVは、今回の調査でも多産してお り、プランクトンと堆積物中の珪藻がよく 対応している。山岸ら(1982)の&\PEHOOD PLQXWDについては、今回それとよく似た (QF\RQHPDVLOHVLDFXPが多数出現している ので、あるいはこの種の誤同定かもしれない。

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また、$WWKH\D]DFKDULDVLは、渡辺ら(2005)によれば、「殻が薄いので、生のままの試料を、スライ ドグラス上で乾燥させたプレパラートでないと観察できない。」とのことなので、堆積物中から検出 されなかったのは当然であろう。以上のことから考えると、今回の湖底表層堆積物中の珪藻群集は湖 水中の群集をほぼ反映しているといえる。  計数した1000個体以外にも、いくつかの種が検出された。計数の際には見られなかったが、試料 中から検出された分類群は以下の20属30分類群である。これらを合わせると、今回検出された珪藻は 37属87分類群となる。 $FKQDQWKHVSXVLOOD(*UXQRZ)'H7RQL $FKQDQWKLGLXPFRQYHUJHQV(+.RED\DVL)+.RED\DVL $XODFRVHLUDGLVWDQV((KUHQEHUJ)6LPRQVHQ &RFFRQHLVSODFHQWXOD(KUHQEHUJYDUSODFHQWXOD &RFFRQHLVSODFHQWXODYDUOLQHDWD((KUHQEHUJ)9DQ+HXUFN &\PEHOODFLVWXOD((KUHQEHUJ).LUFKQHU &\PEHOODQRYD]HHODQGLDQD.UDPPHU 'HQWLFXODNXHW]LQJLL*UXQRZ 'LSORQHLVHOOLSWLFD(.W]LQJ)&OHYH 'LSORQHLVRYDOLV(+LOVH)&OHYH (SLWKHPLDVRUH[.W]LQJ (XQRWLDDUFXV(KUHQEHUJ )UDJLODULDQHRSURGXFWD/DQJH%HUWDORW )UDJLODULDUXPSHQVYDUIUDJLODULRLGHV(*UXQRZ)&OHYH(XOHU )UXVWXOLDUKRPERLGHV((KUHQEHUJ)'H7RQL *RPSKRQHPDFXUYLSHGDWXP+.RED\DVLH[.2VDGD *RPSKRQHPDJUDFLOH(KUHQEHUJ *RPSKRQHPDLQWULFDWXPYDUYLYULR((KUHQEHUJ)&OHYH *RPSKRQHPDWUXQFDWXP(KUHQEHUJ *\URVLJPDSURFHUXP+XVWHGW 0DUW\DQDPDUW\L(+HULEDXG)5RXQG 1DYLFXODEDFLOOXP(KUHQEHUJ 1DYLFXODFRQWHQWDIELFHSV($UQRWWH[*UXQRZLQ9DQ+HXUFN)+XVWHGW 1DYLFXODKDVWDYDUJUDFLOLV6NYRUW]RZ 1DYLFXODSVHXGRODQFHRODWD/DQJH%HUWDORW 1DYLFXODUDGLRVDIDOOD[/DQJH%HUWDORW 6\QHGUDUXPSHQVYDUIDPLOLDULV(.W]LQJ)*UXQRZLQ9DQ+HXUFN 6\QHGUHOODSDUDVLWLFD(:6PLWK)5RXQG 0DLGDQD 1LW]VFKLDGLVVLSDWD(.W]LQJ)*UXQRZ 7DEHOODULDIHQHVWUDWD(/\QJE\H).W]LQJ  富士五湖のうち、山中湖の珪藻については、原口(1998)によって湖底泥中から1000個体を計 数するという今回の調査と同様な方法で得られた珪藻群集の組成が報告されている。それによる と、山中湖の群集における優占種は、$XODFRVHLUDJUDQXODWD&\FORVWHSKDQRVGXELXV$VWHULRQHOODIRUPRVD &\FORWHOODUDGLRVD7DEHOODULDIHQHVWUDWD)UDJLODULDFDSXFLQDであるが、最も多産する$XODFRVHLUDJUDQXODWDで も約13であり、これら6種の全体に占める割合は27に過ぎない。また、37属221分類群という多

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数が検出されている。西湖では、上位4種で占める割合が58で、検出された分類群は57にとどまり、 計数外で検出された30分類群を加えても、山中湖に比べて多様度は、はるかに低い。これは、両湖水 の富栄養化の程度の差を示している。 文 献 原口和夫,1998,山中湖の湖底泥から得た珪藻,'LDWRP145162 橋爪健一郎,1975,国立公園内湖沼の植物プランクトン調査結果(Ⅰ)−関東近縁10湖沼(その1)−,用 水と廃水,176736753 小林 弘・出井雅彦・真山茂樹・南雲 保・長田敬五,2006,小林弘珪藻図鑑 第1巻,内田老鶴圃,531SS .UDPPHU.DQG/DQJH%HUWDORW+1986%DFLOODULRSK\FHDH17HLO1DYLFXODFHDH876SS,Q(WWO-*HUORII+DQG 0ROOHQKDXHU'(HGV)'LH6VVZDVVHUÀRUDYRQ0LWHOHXURSD%G21*XVWDY)LVFKHU6WXWWJDUW .UDPPHU.DQG/DQJH%HUWDORW+1988,ELG27HLO%DFLOODULDFHDH(SLWKHPLDFHDH6XULUHOODFHDH596SS%G22 .UDPPHU.DQG/DQJH%HUWDORW+1991D,ELG37HLO&HQWUDOHV)UDJLODULDFHDH(XQRWLDFHDH576SS%G23 .UDPPHU.DQG/DQJH%HUWDORW+1991E,ELG47HLO$FKQDQWKDFHDH.ULWLVKH(UJlQ]XQJHQ]X1DYLFXOD/LQHRODWDH)XQG*RPSKRQHPD437SS%G24 田中正明,1992,日本湖沼誌,名古屋大学出版会,530SS 渡辺仁治,2005,淡水珪藻生態図鑑,内田老鶴圃,666SS 山岸高旺・大島海一・渡辺真之,1982,富士五湖のプランクトン性藻類,国立科博専報,159197

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参照

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