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女子短大生の栄養素および水分摂取状況

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Academic year: 2021

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はじめに

学生が昼食を食べている様子を目にすることが多いが、それを見て思うのは持参し た弁当箱の小ささと飲み物無しで食べている者が多いことである。弁当箱は幼児用と 思われる大きさで、容量としては300∼350ml程度であり、詰め方はぎっしり詰まって いる状態ではなく余裕のある状態である。このような弁当では300kcal程度の昼食に なると思われ、この量では18∼19歳の学生にとって少なすぎ、好ましい状態ではない。 そこで栄養学各論等の授業時において学生の指導などに役立てることを目的として栄 養素等摂取状況および水分摂取量の調査を行った。 要 約 本学食物栄養学科1年生学生を対象として2007∼2010年の5月に食事および水分 摂取調査を行った。 1)エネルギー摂取量は時間調査によるエネルギー消費量に対して78.1%であった。 2)たんぱく質摂取量は食事摂取基準の推奨量を超えていた。 3)脂質エネルギー比率は多少高めであった。 4)カルシウム、鉄、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC摂取量に ついては、国民健康・栄養調査の結果より何れも低値であり、食事摂取基準の 推定平均必要量にも達していなかった。 5)食物繊維も目標量の6割弱しか摂取していなかった。 6)水分摂取量は必要最低量に近い量しか摂取していなかった。 7)ほとんどのビタミン、ミネラルおよび水分は不足している者が多いと考えられ、 学生に対して食事に対する指導の必要性を実感した。

女子短大生の栄養素および水分摂取状況

保 屋 野 美 智 子

(2010年10月27日受理) キーワード 食事調査、食事記録法、栄養素等摂取量、水分摂取量、女子短大生

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食事調査

1.調査対象:本学食物栄養学科1年生女子学生170人のうち記入不備などを除いた141人 2.調査時期および期間:2007∼2010年5月初旬の連続する2日間 3.調査方法:授業中に調査用紙を配布し自記式で行った。調査用紙は間食、水分の 記入漏れを防ぐため、朝食・間食、昼食・間食、夕食・間食と書いて ある用紙を2日分、計6枚配布した。調査用紙を配布する時、希望者 には持ち運びがしやすい秤を貸し出し、できるだけ食べる量を計量し て記載するように指示した。水分については、水道水も含め、摂取し た全ての量を記入するように指示した。 4.集計:授業中に学生に計算させたが、全て再計算を行った。

生活時間調査

エネルギー摂取量の適否を決めるには消費エネルギー量も必要なため、食事調査と 同時に実施した。本来、連続する3日間程度の調査が必要であるが、学生の負担を考 慮して1日とした。

結果および考察

対象者の身長は158.7±6.0cm、体重53.1±8.4kgであった。平成19年国民健康・栄養 調査1)では18歳女子の平均値は、身長157.8±4.8cm、体重51.3±6.5kg、19歳女子は身 長159.0±5.0cm、体重53.0±7.0kgであることから平均的な体格であった。生活時間調 査による消費エネルギー量は2,151±426kcal、身体活動レベルは1.76±0.24であり、こ れは2010年版日本人の食事摂取基準2) では「ふつう」にあたる。 表1に本調査の栄養素等摂取量を示す。比較のため平成19年国民健康・栄養調査18 ∼29歳女、2010年版日本人の食事摂取基準18∼29歳女性の数値を併記した。本調査の 食事調査は記録法によるが、秤量して記録する方法である。これは国民健康・栄養調 査による方法と同じである。エネルギー摂取量は1,681±367kcalであり、生活時間調 査により算出した消費エネルギー量2,151±426kcalに対して78.1%にあたる。エネル ギー消費量とエネルギー摂取量の比較のために実施した生活時間調査についてである が、本調査は1日の記録であり、個人の消費エネルギー量を推定するのには短すぎる が、集団の場合1日の調査でも問題はないと考える。消費エネルギー量に比較し、摂 取エネルギー量は低値を示しているが、国民健康・栄養調査の成績とはそれほど差は 認められなかった。たんぱく質の摂取量は食事摂取基準の推奨量を超えており問題は ない。脂質については脂質エネルギー比率を計算すると30.6%となり、多少脂質の摂 取量が多くなっている。カルシウム、鉄、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビ 2

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タミンC、食物繊維総量いずれも国民健康・栄養調査の成績より低値であった。2010 年版日本人の食事摂取基準と比較すると本対象者の摂取量はカルシウム、鉄、ビタミ ンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCいずれの栄養素も推定平均必要量にも達 していなかった。国民健康・栄養調査の成績でもカルシウム、鉄、ビタミンB1は推定 平均必要量に達していないが、ビタミンA、ビタミンB2については推定平均必要量は 超えている。本調査の対象者の栄養素の摂取量が低いことが明らかになった。本調査 の対象者は18∼19歳の学生であるのに対し、比較した国民健康・栄養調査の年齢は18 ∼29歳で年齢が少し高いため社会人や主婦などの割合が多いと考えられる。それゆえ 本調査の対象者より国民健康・栄養調査の対象者の方がしっかり食事をしていた可能 性も考えられる。また、本調査の対象者の栄養素の摂取量が低い理由として考えられ るのは、一つには最近の学生は、夜アルバイトをしている人が多く、夕食は家族と家 で食べるのではなく、アルバイト先で食べている場合も多く、その場合バランスのと れた献立というわけにはいかない。二つ目としては当然のことながら、最近のやせ志 向からの節食である。これらの理由から本調査の対象者の栄養素等摂取量が特に低く なっているのではないかと考える。また国民健康・栄養調査でも栄養素摂取量が低く なっているが、野菜の摂取量が最も低い年代であることから、ビタミン、ミネラルの 摂取量の不足が起こっていると考える。推定平均必要量はこれだけ摂取すれば、母集 団の50%が足りている(50%が不足している)と考えられる値である。推定平均必要 量より栄養素の摂取量が低いということは不足している者の割合が多いことを意味す 3 表1 栄養素等摂取量(1日平均) (n=141) 国民健康・栄養調査 18∼29歳女 本調査 本調査:2007∼2010年18∼19歳女子短大生、平成19年国民健康・栄養調査18∼29歳女、 210年版食事摂取基準18∼29歳女性の比較 2010年版食事摂取基準18∼29歳女性 推定平均必要量 推奨量 平均値 ± 標準偏差 エネルギー( kcal ) 水分( g ) たんぱく質( g ) 脂質( g ) 炭水化物( g ) カルシウム( mg ) 鉄( mg ) ビタミンA(μgRE) ビタミンB1( mg ) ビタミンB2( mg ) ビタミンC( mg ) 食物繊維総量( g ) 食塩相当量( g ) 平均値 ± 標準偏差 1,681 ± 367 1,277.6 ± 534.0 57.4 ± 19.5 57.2 ± 20.2 223.2 ± 54.9 353 ± 186 6.1 ± 4.8 355 ± 444 0.74 ± 0.27 0.96 ± 0.48 73 ± 78 10.0 ± 10.3 8.6 ± 2.6 40 550 8.5 450 0.9 1.0 85 50 650 10.5 650 1.1 1.2 100 17以上(目標量) 7.5未満(目標量) 1,696 ± 525 62.8 ± 22.9 56.4 ± 26.2 225.1 ± 68.1 444 ± 245 (通常の食品) 7.0 ± 3.5 (通常の食品) 624 ± 1,030 0.80 ± 0.37 (通常の食品) 1.06 ± 0.50 (通常の食品) 76 ± 58 (通常の食品) 12.5 ± 5.8 9.3 ± 3.6 1.950(推定必要量、身体活動レベル・ふつう)

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る。これらの結果から、学生に対して、食事に対してもっと気を使いしっかりと食事 をするように指導することが必要であることが分かった。また栄養素等摂取量を算出 していて感じたのは年々加工食品の使用が多くなっていったことである。加工食品の 多用はリンの過剰摂取を引き起こし、不足しがちな葉酸等の摂取量の減少も引き起こ す。安易な食事形態に流れている様子も見受けられることから、日頃の指導(教育) も必要であろう。 表1に示すように水の摂取量は飲料水と食物中の水分合わせて1,277.6±534.0gで あった。若年女性の水分摂取量についての報告は、飲料についての報告が多く3∼7) 全水分摂取量についての報告は少ない。大貫ら8)は東京と仙台の栄養士養成施設の1 ∼2年生の学生に対する7月の調査で食品および飲料からの水分摂取量は1,379gで あったと報告している。また馬場ら9)は看護系女子学生に対して5月初旬から6月初 旬に行った調査で飲料および食物から水分は1,543ml摂取していたと報告している。 5月初旬に行った本調査の水分摂取量は大貫らの7月の調査の水分摂取量より約100 g少ないが、飲料の摂取量は冬期より夏期の方が多かったとの報告4)もあり、本調査 の水分摂取量は時期的に考えてみると大貫らの報告とはそれほど違わないと考える。 馬場らの調査は時期的にもあまり変わらないため、265g(ml)の違いは大きく、本対 象者の水分摂取量は馬場らの調査より少ないと考える。 水は生命維持のためには不可欠なものである。摂取量が少なく、排泄量が多い場合 は脱水症を引き起こすことになる。一般的には10)水は飲料水として800∼1,200ml、食 物中の水分900∼1,000ml、代謝水として300ml摂取されるとされている。本調査の場 合、代謝水を加えると1,578mlとなる。水分の排泄については10)不感蒸泄として900ml、 不可避尿として500ml、糞便中に100∼150ml排泄される。従って、最低1,500mlの水の 摂取が必要となり、調査時期は5月初めで、季節的にはそれほど汗もかかない時期で はあるが水分の摂取量は少なすぎる。本調査の対象者の水分摂取量は最低必要量に近 い量となっており、積極的な水分摂取が望まれる。 文献 1)『国民健康・栄養の現状−平成19年厚生労働省国民健康・栄養調査の報告より−』第一 出版,2010,p.76. 2)厚生労働省「日本人の食事摂取基準」『策定検討会報告書:日本人の食事摂取基準』 (2010年版)第一出版,2009. 3)関千代子,加藤栄子,岩瀬靖彦,君羅満,高橋東生,飯樋洋二,赤羽正之「女子短大生 とその両親の飲料摂取の実態」『栄養学雑誌』55(6),1997,p.315-326. 4)北村奉正,高橋滋「女子短大生の夏期および冬期休暇における飲料摂取状況の比較」 『栄養学雑誌』62(1),2004,p.31-35. 5)関千代子,加藤栄子「飲料の摂取状況に関する研究(第2報)」『淑徳短期大学紀要』 33,1994,p.123-134. 6)北村奉正,高橋滋,金子悦子「女子短大生の冬期における飲料摂取状況」『國學院大學 4

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栃木短期大學紀要』34,2000,p.155-163. 7)北村奉正,金子悦子,高橋滋「女子短大生の夏期における清涼飲料摂取に関する検討− 両親との比較−」『國學院大學栃木短期大學紀要』43,2008,p.43-51. 8)大貫和恵,棚橋伸子,佐藤靖子,峯木真知子「市販飲料に対する学生の嗜好と摂取状況 −第2報−」『東京医療保健大学紀要』1,2006,p.7-15. 9)馬場敦子,合田典子,白井喜代子,岡崎愉加「看護系女子学生の飲食物による1日の水 分摂取量と排尿量に関する調査研究」『栄養学雑誌』59(1),2001,p.19-25. 10)飯塚美和子,奥野和子,保屋野美智子編『基礎栄養学』(改訂7版)南山堂,2010, p.75. 5

参照

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