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てんびん課題における解決方略の発達的研究 : Sieglerの発達モデルの検討

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(1)てんぴん課題における解決方略の発達的研究 Sieglerの発達モデルの検討 野中. Developmental. 陽一*・福日. study. of. strategies. of Siegler's. -Veri丘cation Yoichi. 幸男**. NoNAKA*. balance・scale. the. on. developmental. model-. Sachio. FtJEUDA**. replicate. Siegler's. and. tasks. StJ加R4ARY Tbe development. on. MISPeaCe. found′ that. caused. the. it a. was. found.. not. rule. Both. was. changed.. change. of rules. and. examine. condition. butまtcording found. we. in the. second. は. 新ピアジェ沢と呼ばれているSiegler,. that. of to. (1976). according. lack. number. different. to. of. of tasks presentation. rule and but. age,. feedback,. about. study. bet∇een. the relation. developed. were. the. consistent Also. tasks,. of them. Under. to. was. study. balance-scale. (Case, 1978). was. relation. blem. of tbe丘rst. purpose. clear. it has or. type. been pro・. of. of tasks. were. study.. じ め に. C粥eの学習理論には共通点が多く,ピアジェ課. 題に対してそれぞれが詳細な分析を行っているo. また,その理論を基に発達的な観点か. ら,現存の知識とそれを規定する能力の双方に視点を当て,実践的な教授の問題を考えよ うとする立場も同じであるoしかし,.二人の理論を考え合わせた研究や実際の授業実践に 活用された例はないo. そこで,小学校理科で学習するてんびん課題を取り上坑Siegler. の発達モデルにCaseの理論を当てはめることによって両者の理論を融合し,乗除の教授 場面-の導入の可能性について考察する。 Sieglerは発達的な差異を規定しているものとして符号化,学習能力をあげているが, Caseの主張する作業記憶範囲の増大がこれらの発達に関与していることは十分予測され るo調査Ⅰでは,現存の知識と作業記憶範囲との関係からこの問題紅ついて考察する。現 存の知識の分析についてはCaseもその重要性を述べており,基本的な考え方ほSiegler *横浜市立本町小学校(Honch6. Primary. School). **心理学教室(Dept.. 注)本論文は,昭和62年度大学院教育学研究科修士論文の一部である.. of. Psychわlogy).

(2) 42. 野中. 陽一・福田. 幸男. のルール評価アプローチと変わらない.課題分析の時点から作業記憶範囲に着日する Caseの実行制御構造の考え方は,着目できる次元の数という観点から問題を分類し方略. を疫えようとするSieglerのものに比べ,より詳細ではあるが適用が困難である.また, Caseの発達段階における第3段階は,ルール3,ルール4を含んだものであり,この段 階に関してはSieglerの方が分析的である。ここでは,横断的にル-ルの発達を捉える ことを目的とするため,拡菜性が高くプログラムでの記述が容易であるルール評価アプロ. ーチを適用する.一方,作業記憶範囲の測定を逆唱課題によって行い,子どものルールと の関係を考察する。. 調査2では,調査1で明らかとなったル-ルの発達的変化と,作業記憶範蹄との関係を 踏まえ, SieglerやCaseが主蛋する教授方略による処遇をフィードバックなしの条件下 で与えた場合の方略の変化を調べる。そして,発達のどの段階で,あるいは能力に応じて どんな処遇が有効であるのかを考察する.フィ-ドバックなしの条件下でむま,正解に行き 着く可能性は低いが,符号化,作業記憶への負担の軽減といった処遇の効果に焦点を当 て,発達段階や作業記憶範囲との関係を明確にしたい. 調. 査. 方 披. 験. 者. 1 法. 横浜市内のH小学校児童, りo. S中学校生徒,及びK大学学生。内訳は以下の通 (小1-33名,小2-56名,小3-74名,小4-76名,小5-62名,小. 6-97名,小学生合計398名,ヰ1-42名,中2-43名,中3-42名,中学 生合計127名,大学1年生及び2年生-104名) 調査時期. 昭和62年6・7月(小学校),. 7月(中学校),. 8月(大学)。なお,小学校紅お いて調査した時点で,てんびん課題の学習が含まれる6年生の教材「てこの. はたらき+は兼学習であった。一方,中学生及び大学生は,小学校6年時に てんびん課題の学習を経験している。 課. 題. ①・てんびん課題 予備調査として,小学校各学年1クラス(合計199人)に12問めてんぴん問題を質問紙. 形式で実施した(質問紙Ⅰ)。この予備調査の結果から,問題の構成及び出題数を変更し たo均衡問題,重さ問題については,. 95ro以上の正答率だったため問題数を減らし,逆に その他の間熟まル-ル判別の確実性を高めるために問題数を増やした.このよう′にし、て, 24聞からなる問題用紙を作成し(質問紙Ⅱ),予備詞査を実施していない-クラス(1年生 のみ予備調査実施クラスと同一クラス,合計201人)'紅葉施した. 中学生削ま,質問紙Ⅱ、をそのまま使用した.大学生用は問題の構成を変えて,新た紅作 成した(質問紙Ⅲ)0 なお・質問紙は担任の先生にお願い.し,全員が全て.の問題を終えるまで時間を珠証して もらい,各クラスで一斉牢実施していただいた。またi r切フィードバ_ツタは与えないよ.

(3) 43. てんびん課題における解決方略の発達的研究 う留意していただいた。. このてんびん課題は,小学校4年生の単元「ものの重さとてんびん+で釣り合いについ て学習し,. 6年生の「てこのはたらき+で重さと距離の関係を学習することになっている。 6種の問題タイプは,次の通りで. 各質問紙の問題の構成は表ト1の通りである。また, ある。 *均. 衡. 問. 題:. おもりの数も支点からの距離も等しい問題. *重. さ. 問. 題:. 等しい距離に異なる数のおもりがある問題. *距. 離. 問. 題:. 異なる距離に同数のおもりがある問題 片側はおもりの数が多く,他方は距離が遠いが,おもりの数の多い. *喜藤一重さ問題:. 方に傾くような問題 *菖藤一距離問題:. ④の条件と輯似するが,距離の遠い方に傾くような問題. *蔦藤一均衡問題:. ④や⑤の条件と類似するが,. (両側のおもりの数)×(支点からの. 距離)の結果が等しく,釣り合う問題 轟I. 1. -. てんぴん同母の構成 質同紙Ⅰ 2間. ・①甲衡・同.題 ̄ ②重さ問題. 質・_間組Ⅲ. -・、2問.. d・一間. Siegler. 4問. Ferr・etti. 4間. 2問. 2間. 0間. 4問. 年間. 3間.. 4間. 4悶 4悶. ③距港間題. 1間. 5問. ㊨.葛藤一重さ問題. 串間. 5間. 3問. 6間. ⑤葛藤-乾生問題■. 2間. 5開. 3間. ・-8間. 4開. ⑥葛#一均衡問題. 2間. 5問. 3間. 6・問. 4間. * *. ②. 苦悶紙n. siegler(1976)の実験では、実際にてんぴんの横型を用いて同居を提示. し て い る,。 Ferretti. et. al.(1985)は、. 質問紙形式で実施。. 道唱課題. 作業記憶範囲の滑走には、Wechsler. (1974)-の道唱課題甲ackwardDigit Span)を用. いたo各段階の問題数が2問と少ないため,それぞれ3問ずつを付け加えたo実施に当た 2間の練習試行の後,数字2個から始め,同じレベル内で2間ミスした時 っては,教示, 点で打ち切った。得点は,. 4間以上正答した最も高いレベルの数字の個数に,次のレベル. で正答した数一つにつ草0・2を加算したものである。 なお,この課題は小学生のみ(合計398人)に実施し,一人当り5-10分程度の時間を 要した。. 1.てんびん課題における解決方略の分析 (1)ルールの設定 Siegler. (1976)のル-ル3. (重さ-距離混乱)匠対して,小倉ら(1980)は発達段階モデ. ルの整合性・連続性という観点から,加法ルTルに、よる代替えを提唱しているoまた, & Andersen (1982)も距離と重さの二つの次元を統合化した場合(ルール3). Wilkening.

(4) 44. 野中. のルールの細分化を主張し,. Ferretti. 陽一・福田 et. al.. 幸男. (1985)が実際に加法ル-ルに則った子ども. の反応を確認している。 そこで,ルール3に加えてルール4. (加法)をその発展型として加えることにした. (Sieglerのルール4はルール5とした)0 また,予備調査からルール1,ル-ル2,ル-ル3のそれぞれにいくつかの下位パター ンを見出したので,それらも加えた.分析に当たって位定したルールは以下の通りであ る。. とニ生_L土塁旦旦過払 おもりの数だけ紅着目し,数の多い方に懐くと判断する.. と=∠ヒ旦軸 おもりの数だけ紅着日し,数の少ない方に傾くと判断する.. 生二∠ヒ+リ重呈二重里垂壁塵遡担 おもりの数だけに着目するが,おもりの数が同じ場合には支点からの距離の遠い方 に傾くと判断する.. 坐:±ヒ_蔓圭_上垂遥二重竺通運適塾迎担 おもりの数だ桝こ着日するが,おもりの数が同じ場合には支点からの距離の近い方 に傾くと判断する。. 生±必壁整=塾聖旦星星型艶 支点からの距離だ桝こ着目するが,支点からの距離が同じ場合にはおもりの数の多 い方に傾くと判断する。. 空ニ迎 おもりの数と支点からの距離の両方に着日するが,おもりの数が多い方が支点から の距離が近く,逝に支点からの距離が遠い方がおもりの数は少ないという条件では, 暮春に陥り一貫した解決法がもてずでたらめな判断を行うoそれ以外の条件では,お もりの数の多い方,支点からの距離の遠い方に懐くと判断する。. ヱヒ瑚 菩藤間題は全て釣り合うと判断する。 ルール4. (加法) おもりの数と支点からの距離を加算した縫合点をもと紅して,点数の多い方に懐く. と判断する。 ルール5. (乗法-正解). おもりの数と支点からの距離を乗算を使って算出した縫合点をもとにして,点数の 多い方紅傾くと判断する. (2)判別基準. 俊定したルールにBflった場合の答と,子■どもの廓答との一致度を調べ,原則七して最も -敦度が高いものをその子どもの用いている解決方略(ルール)とした. 判別基準は,・ Siegler.(1976)のもの紅従い,問題数の違いに応じて変更した。.

(5) 45. てんぴん課題における解決方略の発達的研究. *ルール判別基準(質問紙Ⅱ) ルール1・ル-ル11. 24間中20問一致し,距離問題5間中4問以上を釣り合うと答える。 ルール2・ルール22. 24間中20間一致し,距離問題5間中4間以上を正答するo ルール22. 24間中20間一致し,距離問題5間中4間以上を距離の近い方が重いと判断する. ルール3. 非幕藤問題では9間中の6間以上正答し,かつその内の距離問題は5間中4間以上 正答する.蔦藤問題では,重さ(または距離)のみによる判断で一貫して答えず, 間中4間以上を異なった判断で答える。. 15. ルール32. 非蔦藤問題では9間中6問以上正答し,かつその内の距離問題は5間中4問以上を 正答する。苦藤問題では,. 15間中11問以上を釣り合うと答える。. ルール4・ル-ル5. 24間中22問一致し,かつ距離問題5間中4問以上を正答する。 全体としてほ, Sieglerのものよりも甘い基準となっているが,距離問題,葛藤問題に ついては,基準が厳しくなっている.また,ルール4,ル-ル5についても,基準を厳し くしたが,ニつの次元を統合した解決方略を用いていれば,単純な計算ミスによる誤答し か有り得ないと判断したためである。実際馴ま,ルール32を設定したことによって,ル ール4との違いを明確化する必要も生じたのである.なお,ルール判別紅際しては,分析 プログラムを作成し処理を行った。. ところで,この基準によってルールの判別を行った結果,約257o. もの子どものルール. が特定できなかった.この原因は,距離問題での答えが一貫した方略に基づいていないた めである。不明と判断された子どもの多くが,問題の前半部分と後半部分とで異なった方 略を用いているのである。 そこで,. 12問の間者を前半と後半の12問ずつにわけて,それぞれル-ルの判別を行い. 24問全体でル-ル判別をした場合の結果と比較してみることにしたo 前半・後半の判別基準は,全体のものに準じたが,距離問題が前半2問となるので,こ の部分に修正を加えた.新たにル-ル1とルール2の中間段階として,ルール15を設定. し,距離問題2問を一貫して解答せず,なおかつ全体ではルール1. ・ル-ル2との一致が. 10問以上という基準を設けたのである。 この基準を設定した結果,不明と判断された51人の内29人がルール15となった。ま た,. 7人ほ前半後半で異なったレベルのルールを用いたため全体でのル-ルの判別ができ. なくなっていたo他の7人は前半でのルールは判別できないが,後半は⊥定のル-ル旺・従 っており,逆に前半でのみル-ルの判別が可能なものが4人いた。なお,後半でルールを 判別できた場合にはそれをその子どものルールとした。従って,不明となったのは全くル.

(6) 46. 野中. 陽一・福田. 幸男. -ルの判別ができなかった5人と前半のみ判別可能であったL4人の合わせて9人であるo 質問続Ⅰの判別基準は,この前半の基準に準じたが,距離問題が1題しかないためルー ル15は設定できなかった。質問駄Ⅲは,後半部分の基準をそのまま用いた。 (3)質問紙Ⅰと質問紙Ⅱの結果の比較 園ト1から,質問紙Ⅱでレベルの高い方略の占める割合が高くなっていることがわか る.特にル-ル3とルール4を合わせた割合が22.6%から32.8%と10%の増加がみら. れた。質問航Ⅱの前半と後半とを比較した場 合も同じ債向を示している。一方,質問耗I. 砕レAl.. 笛問削. と質問紙Ⅱの前半とを比較すると,ルール1. E:トal.5 55. 箪PL.q.紙E. A,-8L2. 琵- l・-IL3. とルール15を合わせた割合をルール1の割. 合とみれば,二つのルールの分布はほぼ同じ. 前. 半. 後. 半. と考えられる。. 圏I・一朗 ⊂? 8. ル-ルの変化の内容としては,重さのみの 判断(ルール1,ルール15)から重さが一致. 2¢. 60. J伯. 88. 188. (ち). 図Ⅰ-1質問紙朋ルールの割合. した歩合のみ距離を判断するルールへの移行がみられる表(I-2).特に,前半ル-ル15 であった子どもの60%がル-ル2に移行しているoルール2からル-ル3への移行も 28rv見られるが,ルール3からル義. ル4,ルール4からルール5といっ. N. また,ルールの変化は,ほとんどが 移行であり,段階を飛び越えてのル. 6. rl. 1. 15. 4. -2 3/ 1. 4. ル. 同. 2. ル. ー. 紙It:. 1. N. ール変化をま少ない. なお, 1年生は同一クラスで二つ の質問紙を行っているが,質問紙Ⅰ と質問紙IIの前半部分との比較にお. 2. -. (貫. た変化ほほとんどみられなかった。 設定したルールの一つ上の段階への. I. 前. 2. 化 後. 一. 3 2. 45. ま 半. の. 半) 5. 4. 10. 10. 2. 4. 18. 4. 4. 37. 16. A.I 1. 19. 2'. 7. .I. '5. いて,ルール2の増加が見られるも. (. 人. のの前半と後半での変化,・質問紙Ⅰと質問耗Ⅱでの変化と比較した場合,その変化が大き な意味をもたないと判断したため蓑に含めてある。 学年別に変化の内容を調べてみると,ルール1. (15)からルール2への変化は,. 1・2年. 生からみられ,. 3・・4年生では半数近くの子どもにみられる。ル-ル2からルール3への 変化は, 2年生でも-苛みられるが, 4年生以上になると約30Yoの子どもにみられるよう 甘こなJjている.. ( ̄、4)ルールの発達 質問続Ⅰの結果を学年別にまとめた′もめが園Ⅰ-2であヾる.ル-ル3までは学年が上が る紅従っ′てその割合の増加が認められるo 3∴年生までは,80%以上がル-ル1,ル-ル2. ).

(7) 47. てんびん課題紅おける解決方略の発達的研究. fJ卑. 6年. gん-血1. 5年 4年. 圏 4年. Eヨ山一A.3. 3年. EB E3. 3年. 国A・-”. 2年. 書. 5年. E3レふ2. 囲 [コ. 2年. [コ`?. 1年. 1年 8. 囲Ⅰ-2. 28. J旭. 68. 怠8. 18B. (.J。). 学年Bf)ルールの割合(質問紙Ⅰ). となっており,. さミ 由. ii8. 国Ⅰ-3. 4替. ら8. 手8. じゃ・. 188. 学年別ルールの割合(質問紙Ⅱ). 4年生になるとルール2が減って,ルール3が増えているo. 5,6年生でほ. ほとんど差がなくなっているが,ルール4=の増加が認められる.. また,ルール5を用いている子供は一人もおらず,安定した解決方略であるル-ル4も 14人しか認められなかった。. 学年によってルールの分布に差は認められるが(x忠(15)-63.94,. p<.01),隣接する学年. 間においてはいずれも差が認められなかった. 間額数が倍になった本調査では,かなり異なった結果となった(園Ⅰ-3).全体的に!L/ル1の割合が減り,ルール3の割合が増えている。. 3の割合が2年生で30%なのに対し,. 2年生と3年生を比較すると,ルール. 3年生では10%以下となっており逆転している。. この道転のため比較はしにくいが, 2, 3年生と4年生とでは,ルール1(15),ルール3の 割合が大きく異なっており, 3年生と4年生のルールの分布には差が認められる[z2(3)22.84, p<.01].この他,. 1-2年生間[x宅(3)-8.09,. 415年生間[x2(3)-8.42,. p<.05],. p<.05]でも差が認められた。 次vL,中学生の結果をみると1年生と,. 2, 3. 年生の間で大きな差が認められる(園ト4)。 1年生では60%以上が正答(ル-ル5)してい るのに対し,. 2,. 3年生では20%. しか正答して. 大字生 甲. 3. 中. 2. 田山一山2 窃A・-A,3 歯A,-” tE) A,一路 [コ?. 中1. いないo一度学習した内容でも数年の内に忘却. 8. 2白. 48. 68. 8B. laO. (!i). してしまっているのである。ただし,小学生の よう紅ルールが途中で変わることは少なく.なっ. 図ト4. ル-ルの朝食(中学生・大学生). ており,安定した一貫性を示している。大学生になってもこの傾向は変わらないが,ノ正答 率ほ低く約40%しか正答できていない.. 2.逆唱課題による作業記憶範囲の測定. 逆境課額得点の学年別平均点を示したものが図ト5である。学年が上がるに連れて得 点が高くなっている。 この得点の小数第一位を四捨五入したものを作業記憶範囲としたが,学年別にその割合 を示し恵ものが園ト6である。 2, 4,. 6年生がほぼ同時期に教研式知能検査を実施していたので,その知能偏差値と道唱.

(8) 48. 野中. 陽一・福田. 幸男. 逆4.5 喝. S年 5年 4年. 4. 課?・51. 得2・5. 2. 団,3. 3年 2年. 3. 題. d. 団 4 監ヨ5. 1年 2. 貞. 1. 図Ⅰ-5. 2. 3. 4. 5. 昏. 6(学年〉. 逆唱課題平均得点の推移. 課題得点の相関を調べた。. 4,. 2匂. 図Ⅰ-6. 48. 68. 金8. 柑8. r/A. 学年別作業記憶範囲の割合. 6年生では,それぞれγ-0.61,. 0.53の妥当な値を得たが,. 2年生はγニー0・02となり相関関係が全く認められなかっ.た。 なお,質問紙Ⅰを実施した子どもと質問紙Ⅱを実施した子どもの作業記憶範囲を学年別 に比較した結果,どの学年においても有意な差は認められなかった。 3.作業記憶範囲とルールの関係 作業記憶範囲及びルールがそれぞれ年齢と共に発達していくことは明らかになったoそ れではこの二つにも関連があるのだろうか。園Ⅰ-7は,作業記憶範囲ごとに質問紙Ⅰで 明らかになったルールの割合を示したもので JI. ある。作業記憶範囲の値が大きくなるに従っ. 墓室. て,より上位のルールの占める割合が増して. いる。また,処理する次元の数が多くなって いるル-ル3が作業記憶範囲の値が2の子ど. 8. もではみられない。. 囲Ⅰ-7. 質問紙Ⅱでほ,上位のルールが作業記憶範 囲が小さくてもみられるようになり,作業記 憶範囲の値が5以上ではルール1を用い. 28. 義 ト3. 6eI. 人数. 平均. ル「ル.1. 1`泊rzJ. -_共同拭tI. 8.6. 2.87. O.59. 平野. 46. 2・串_7. 2?. 2..98. ルール2. 55. 3.43. 0.・81. 52 ̄ 3.3.I. ル「ル3. 31. 3.85. 0.63. 58. ル÷ル4. 14. 3.83■. 0. ̄98. 13. ・31.26.. SD. .8.58 0.69. .0..73. J?. にも差が認められる。質問耗Ⅱでは,ル ール15の平均得点が設定通りルール1と, ル-ル2の中間Ft_位置し,しかもル-ル. 8e-. _人欺. ール2の間には大きな差が認められる。. 質問紙Ⅰでは,ルール2とル-ル3の間. ⊂]?. SD. ルール15. ルールでの得点が高くなっている。二つ (15)とル の質問紙において,ルール1. 困レJ,4・. 作業記憶範囲別ルールの割合 (質問耗Ⅰ). 質問紙Ⅰ. いずれの場合にも,明確な関係は認め. 国レA・3. ルール刑遭喝課題平均得点. る子どもは一人もいなくなっている。. られないがルールごとの道唱課題得点の 平均点を求めると表I-3のように上位. 48. A・-ll. 国l-ほ. 合計. 199. 1に近い値となっている.質問紙Ⅰと質問紙Ⅱとを比べると, 耗Ⅱの平均得点が低い値となっている。. 3.27. ・-■o.81 0.7・9. 3.56. 6Ll 3+83. 0.76 0.了2. 18.  ̄3.2■8 18二`畠5. 2OIp・. 3.2i 白.ね. ・ルール2,ルール3で質問.

(9) 49. てんびん課題における解決方略の発達的研究. Ferretti. et. al.. (1985)紘,佼足した′<ターンとの一致度を数学的なモデルに当てはめ. て考えることによって新たな基準設定を行い,ルール判定のヒット率を上げている。しか し,ここでは問題を前半・後半に分けてみることで判定できなかったケースのルールへの 当てはめが可能であるという結果を得た。しかも,今回の判定されたルール結果をSie・ gler. (1976)やFerretti. (1985)らのものと比較した場合,大きな差は認められない。ま. た,新たな基準設定のために数値を変えてルール判定を繰り返したが,問題となるのほ不 明と判断される子ども達だけであり,ほとんどの子どもは数値の設定を変えても判定され るルールは変わらないのである。. 12問という問題数に関しても,先行研究と比較するとか. なり少ないが,ル-ル評価アプローチの考え方をつきつめれば,各タイプの問題1問ずつ で理論上はルール判定が可能であり,問題数の増加はルールが一貫しているという前提の もとで信痕性を増すことを保証するだけであるo従・jて,フィードバックなしの条件下に おいてもルール変化が生じるという結果は,問蔦数,基準の設定といった要因には帰せら れないだろう。. このルール変化を貌明するものとして,問題の構成が考えられるo質問航Ⅱにおいて, 距離問題を蔦藤問題と同数用意したこと,後半部分に距離問題,葛藤問題のみを配置した ことによってル-ル2,ルール3への移行が促進されたのではないだろうか.. 質問紙Ⅱの前半と後半でルールの変化が認められた子供の作業記憶範囲を詞づてみる と,ルール1,ル-ル15からルール2-変化した28人の内,作業記憶範囲が4のものは 8人,. 3が18人,. 2が2人であった.ルール2以下のルールからル-ル3-変化した22人. の内,作業記憶範囲の値が4以上のものは12人,. 3のものは10人である。この結果から,. 作業記憶範囲が3あればルールの変化の可能性があることがわかる。. 作業記憶範囲の値が3であれば,左右のおもりの数の差を先に処理してしまうことによ って,左右の中心からの距離を記憶にとどめられ,重さ,距離の両次元が符号化可能な状 態となる。さらに,自発的な符号化が行われれば,距離問葛,暮春問題が続く後半部分で は幕藩状態が続くことになり,これを解消するために距離の次元を処理に取り込み,ルー ルを変化させることになると考えることもできるのである。 しかし,ルールの変化がどの子どもにもみられるわけではなく,作業記憶範囲が3以上 でルール変化がみられた子どもは約40%に過ぎず,他の要因の影響も考慮しなければな らないだろう。. 作業記憶範囲の値に関しては,知能テストの結果との相関から4,. 6年生では妥当性が認. められたが, また,. 2年生でをま無相関であり思考過程に影響を与えているかどうかはわからない. & Serlin, 1979)と比較した Pascual・Leoneの俊説によるMISPACEの値(Case. 場合全体的に低い値となっており,遭唱課題の得点化の基準設定の違いが反映されている. 可能性もあるo従って,ルールとの間に明確な対応関係があるとはいえないが,最も負荷 の少ない質問紙Ⅰのような状況下では, れる可能性はあるだろう。. Caseの言うよ・うな課題との明確な対応が認めら.

(10) 50. 野中. 陽一・福日. 章夷. ル-ルの発達は,一部で逆転がみら叫たもののほぼ学年に応じたものであった.3年生 と4年生の問で大きな差が見られたが,この差を作業記憶範囲だけで説明するの剛ま無理 がある○-また,他の教材との関連からも検討したが,てんぴん課題に影響を及ぼしそうな. 単元は見っからなかった。この差を説明するものを追究することが,ルール変化の他の要 因(能力)を見つけ出すこと紅つながるかもしれない。 ルール設定の段階で,ルーノレの細分化を試みたが,結果的には数が少なく,同次元のル ールとの差も見い出せなかったため,すべて同次元のル-ルに含めて結果をまとめた。こ. の中で,距離問題を距離の近い方に答えるルール21が学年に1-2人の割合でみられ,ル ール3の段階でも距離問題を間違える場合が多かった。このことから距離問題での距離次 元の扱いは,その後のルールの改善に重要な意味をもつと考えられる。 ところで,小学生ではルール3は多く認められたがルール4は非常に少ない.このよう. な条件下では,ルール4のような二つの次元を統合した解決方略は台巨力的に余裕があって. も生成セきないと考えられるo中学生になっても,ルール3は40%近くもみられること からも,このルール4郎日当高いレベルの方略なのであろう.大学生になるとルール5を 忘れてしまった場合にはルール4を用いる場合が多くなっているが,この時点になると能. 力的な問題ではなく,知識活用の仕方による差と考えられる。なお,大学での結果はサン プルによる影響を受け易いため,全ての大学生がこのレベルにあるとは言えないだろう。. ルール5に至っては-,手続き的知識として教わった子どものみが利用できる方略であり, 忘れてしまうとん-ル4,ルール3へと後退してしまうのである。 小学校6年時に一度だけでてくる教材という特異性があるとはいえ,解き方をすくやに忘 れてしまう学習が行われているのである。四則計算などは,方略が自動化されるノまで繰り 返し練習をすることによって忘却が防がれているが,それも基本的なものだけで,中学, 高校の数学の内容になるとおそらくてんびん課題と同じような結果が得られるに違いな い.しかも,経とんどの場合忘れてしまったものを思い出す必要はなく,それで済んでし まうのである。手続き的知識を習得することの意味を問い直す必要があるのではないだろ うか。. 調 方. 被. 験. 者. 2. 査 法. 横浜市内のH小学校児童(小2-56名,小3-74名,小4-76名,小5-62 名,小6-62名),横浜市内のS小学校児童(小6-35名),横浜市内のN小 学校児童(小6-23名). 調査時期. 昭和62年7,. 8月o質問紙Ⅰ,Ⅱを実施していた子どもたちには,め-ケ月後. に実施した.実施していない子どもたちは,夏休み前に一回日を実施し,夏 -休み明け旺二回目を実施した.なお,この時点でもてんびん課題の学習が含 まれる4年生の教材「ものの重さとてんびん+及び,ノ 6年生の教材,rてこの をまたらき+は未学習であった..

(11) てんびん課題紅おける解決方略の発達的研究 課. .51. 題. 調査Ⅰで使用した質問紙の他に課題提示の方法が異なる3種類の質問紙を用意した。質 問紙の内容と設定の意図は下記の通りである。. ①各問題ごとに解答の理由を問うもの(質問紙Ⅳ). 理由を記入させることによって,より深い洞察へと導く.また,理由の記述内容かち, その子どもが符号化している次元と実際のル-ルとの比較を行う. ②てんびんのおもりの数と支点からの距離を数値で記入したもの(質問紙Ⅴ) おもりの数や支点からの距離を数えるという作業を省くことによって,作業記憶への 負担を軽減する。作業記憶範囲が小さい子どもに有効であると予想される。ただし, 数えるという作業が自動化されている場合紅は効果は現れないと考えられる.. ③解答に先立って,左右のおもりの数と支点からの距離を表に記入するもの(質問紙Ⅵ). 強制的に二つの次元に着目させると同時に,作業記憶-の負担を軽減する。表に記入 した数値を操作することによって,加法ル丁ルに移行す畠ことが可能となるだろうム 各質問紙の問題の構成は,質問紙Ⅳ,. Ⅵが各タイプの問題2問ずつ合計12間,質問紙. Ⅴが質問紙Ⅱと全く同じ問題である.理由や表への数値の記入剛ま時間がかかり,特に低 学年では集中力を持続できない可能性があるため問題数を12問とした。 質問紙Ⅳに関して,・ルールの変化が時間経過によるものなのか,課題提示方法の違いに よるものなのかを明らかにするために以下の4条件を設定したoなお,質問紙Ⅰ改では質 問紙Ⅳと全く.同じ問題で構成したため,距離問題は2問となり,各タイプの問題が2問ず つとなった。 条件1. 質問紙Ⅰ. 条件2. 質問紙Ⅳ. 6年. 31名. 6年. 23名. 条件3. 一質問紙Ⅰ改 質問紋I改-質問航IL改. 6年. 35名. 条件4. 質問紙Ⅳ. 6年. 31名. -質問紙Ⅳ. -質問紙Ⅳ. この他の質問紙の組合せ株, 以下の通りである。 質問紙Ⅰ 質問紙Ⅳ 3年36名, 5年33名 -. 質問紙Ⅱ. -. 質問紙Ⅴ. 2年28名,. 質問紙Ⅰ. -. 質問耗Ⅴ. 4年38名. 質問紙Ⅱ. -. 質問紙Ⅵ. 4年38名,. 質問紙Ⅰ. -. 質問紙Ⅵ. 2年28名. 3年38名 5年29名. 質問紡Ⅴでは,作業記憶範囲の小さい子どもに有効であると予潤されるので,低学年を 対象とした.質問紙Ⅵでは,高次のルールへの移行が予測されるため高学年を対象とし. た.また,簡足するために一回目に質問紙Ⅰを行った4年生と2年生の子どもに質問紙 Ⅴ,質問紙Ⅵを実施した。 調査Ⅰと同じ道唱課題を条件4の23名に新たむち実施したo タを用いた。なお,条件2の35名については実施できなかった。. それ以外は,調査Ⅰのデー.

(12) 野中. 52. 陽⊥・福田. 幸男. 1.理由記入によるル-ルの変化 各条件ごとにルールの変化を表にまとめたものが表ⅠⅠ-1から表II-4である.・なお,ル ール15は,すべてルール1に.含めている。 この調査V-関して旺,実施した学校が異なり子どもの実態がかなり違ったこと,条件3 で逆唱課題が実施できなかったこと,間に夏休みが入ったことにより塾で学習してしまっ. た専横々、な要田が重なり合っているため比較が難しくなっている。 鼓]卜1ルールの変化(免件ュ) 2回目 Ⅳ N 1. N. 抵. ■ ̄l ̄. 目. .1. 2. 3. 4. 5. 1. 1. ルールの変化(条件2) 2回目 Ⅰ敢. 轟lト2. 3. 1. 2. 5. 5._. 3. 1. 1:. N 1. ∼. Lg). 1. El. 2. 2. 5. 3. i. 5. 4. 1. 2. 3. 4. 壷Iト3. 5. 1. 1. 2 2. 1. 3. 3. 1. ルールの変化(条件°) 2回目 l改 2. 1. lV. 3. 1. N. 1. Li). 1. 1. 日. 2. -2. 4. 義lト4. 5. i. N. 1. 2. 3. 1. 1. 5. 4. 2. 2. 8. ルールの射ヒ(条件4〉 之Lg目 Ⅳ. 1. l.. 2. 1. ”. 1. 回. 1■. 2. 1. 目. 2. 1. 2. 3. 1. 1. 3. 4. 1. 1. 5.. 1. I 4. 1. 1. 4. 4. 3. 5. u. 改 5. 7. 5. 8. .5 (31^). (23人). (35人). (31人). 条件3は,. 2回とも処遇を与えないものだがルール5への変化が6人もみられ,全体で もより上位のjL,-ル-の移行が40%以上もみられるなど他の条件とはかなり異質であるo 条件4では,. 2回とも解答の理由を説明するという負荷がかけられたが,上位へのルー. ル変化は4人のみ(12.9%)であった。またルール4の11人に全くルール変化がみられな いことから,ルールへ5の移行はこの処遇によって促進されないという結果となった。 条件2では,. 2回目について何も処遇を与えられなかったが,下位のル-ルへの移行が 他の条件と比べても変わらず,上位)i,-ルへの移行も約20%みられただけであった. 処遇の効果が最も現れたのは,やはり条件1であり, 移行している。また,. 48.4%の子どもが上位ル-ルへと. 1回目の時点でルール5の子どもは1人もおらず,. 2回目になって. もルール5が1人しかみられないことから他の要因がはとんど入り込んでいないと考えら もみられること,. れる。この中で,ルール2,ルール3からルール4への移行が32.2Yo ル-ル5への移行が1人しかみられない. 垂Il-5. n・-ルの変化(条件1-3年). ことからこの処遇は,ルール4ヘの移行 を促進すると考えてよさそうである。 同じ条件で3年生と′L5年生にも実施し たが,その結果からも同じことが言えそ. うである(表ⅠⅠ-5,表II-6)o. 特に5年. 生ではルール3からルール5への移行が 7人でみられ,ル∴ル3であった子ども. 2匝=∃. 表Ⅰト6. 1レー)I,の変化(条件115年). Ⅳ. 2回目. Ⅳ 3. 1. 2. 3. 4. l・. 1. ■2--. 1. 12. 2. 1. 1. 回. ・1. 1. 10. 1. I. E]. 2. 7. 1. 3. ・1. i. 3. 1. 2′ ・7. 4. 1. 1. 4.. I. 2. 1. N. 回. 1. E). 2. 5・. 2. ”. ち. N. 1. 2. 3. 5. 4. .2 1. 3. 5. ・1. (36^J. の托とんどがル-ル4に変わっているこ とがわかる。 3年生では,変化がそれほどみられないが(22.2%),. (33人). ル-ル3であった3人.

(13) 53. てんびん課題における審決方略の発達的研究 の内,. 2人がルール4へと移行しているo. 2.作業記憶への負担軽減の効果 2年生の結果をみると上位ルール-の移行は8人(28.67o)でみられたが,いずれもル ール1,ルール2からル-ル3-の移行であり,.それ以上のルールは全くみられていない. (表ⅠⅠ-7)o逆に,ルール3の子ども8人の内, るo. 5人がル-ル1,ルール2に移行してい. l回目の質問紙Ⅱの結果でル-ル3の割合が3年生を上回っていたが,この時点で他. の要因が加わっていた可能性が示唆される. 3年生になるとル-ル変化のみられる子どもの割合が30.5% と増加し,特紅ルール1 だった子どもの半数がルール2-と移行している(表Ⅰト8)。しかし,ルール4以上のも のは,ル-ル5が1人みられるだけであり,この処遇紅よっては,ルール3までの変化し か望めないようである。. 1回目の質問紙が異なるが,. 4年生の結果からも同様のことが言える(表Ⅰト9)o・上位. ルールへの移行は全体の39,5Yoでル-ル1,ルール2からルール3-の移行が多くみら れる.また,この処遇によってルール4紅移行したものは1人もいない。 ところで,作業記憶への負荷を減らす目的で,おもりの数と中心からの距離を数値表示 したわけであるが,結果としてこの効果は現れていない。数値の表示は,数えるという作 業記憶-の負担を減らすことになるわけであるから,距離の次元がルールに反映されるル 4年生ではその債向がみられるもの. ール3-の移行が促進されるはずである。ところが,. の3年生ではル-ル2への移行が中心となっているoまた,作業記憶範囲との関係を詞ベ 7:みると,変化がみられる子どもは,その値が3以上のものが92%を占めており,値が 2である子どもの70%は上位ルールへの変化がみられないのであるQ 表II-7. ルールの変化(2年I hT. 1. ”. 回. 1. 目. 2 3. 2回目. Ⅴ. 1. 3. ”. 3. 4.. 表Il-8. 5. ルールの変化(3年) Ⅴ 2匝旧 ∼,.. 1. ..2. 2. 轟Ⅰト9. 3. hJ. 1. ∼. .5=. .4 l. I. 1. h'. 1. 2. Ld. 1. 1B. ”. 1. 回. 1. 早. 臼. 2. 1. 8. 3. 良 ■2. 2. 3. Il. J!. .3. 4.. 、4. 5. a. (28)”. 1_. 3.. ヰ ̄ 5. .2. 1. 3. l. ルーJレの射ヒ(4年) 2回目・ V.  ̄3. 4、. I. 2 1. 4. 2. 7. 2. 6. 1L. 9. .1. 皇′_. ■声 (38人). (38人). 3.表記入紅よるル-ルの変化 4年生では, 52・6%の子どもが上位ルールへ車移行している.特徴的であるのほ)し-ル 3への移行が全くみられないことであり,ルール3を飛び越えてル∵ル4-車移行してい るのである(表Ⅰト10)o表紅数値を書き込むことによって敦値上の操作が可能になヮた冬 め一定の判定基準が形成されたのであろう.一方,ル-ル1カラらルール2への移行は,;基 準がうまく形成できなかったため距離の次元を-部しか取り込まなかったと推翻される.,.

(14) 54. 野中 轟Il-10. ”. 同. 1. ■2. 、2て■. lI. 1. 2. 3. 4. ■1,. 7・.. ・3.. き・■2.一二 -3. 8. hy 1. :,写. N. I. 2. Ld. 1.. 臼. 2. I. 3.. 1. 8. 幸男. ル⊥ルの変化(5年) Ⅵ 2凶日. 5. 1. 一El. 3. 垂n-u. JL・-)レの変化14年) 2匝旧 Ⅵ N. 1. 陽一・福田. 1 1. 2. ・3. 1. 1. 表lI-12. 5. 4. N 1. ”. 、ト. 回. ・1.. 串■ 2. 写■. 目. 2. 1. 5. 3. ルールの変化(2年) 2匝旧 Ⅵ. 2. 1. 2. 1. i. lo. 4. 3. 3. 3. 4.. 1. 2. 5. I. 3. 打. 4_. 4. 5. 5. 3. I. 4 5. (38'^). (29人). (28人). 5年生では, 37.9%の子どもが上位ルールへ移行しているが,中心はルール4への移行 セあり,ルール5への移行も1人いる(表ⅠⅠ-ll)oルール2からルール3-移行している ものが2人いるが,全体のルール3の人数は2回目では減っており,ルール3にはなりに (lい条件下であると考えられる。 このことは, 2年生の結果からも支持できる(表ⅠⅠ-12).上位ルール-の移行は28.6% しかみられないが,ルール1からル-ル4への移行が3人みられるのである.. 2年生でル. ール4が去られたのは,今回め調査ではこの条件下においてのみであるが,この時点でも 処遇の仕方によってをまてんびんの学習が可能であることが示唆されたわ吋である. 考 Siegler. 察. (1976)の発達モデルによれば,符号化の進歩が知識の進歩の前提条件の一つと. して上げられている。ところで,理由をかかせた条件下で理由の中におもりの数と距離の 両次元について触れているものを符号化しているとするとi確かにルール1ではおもりの 数にしか着目していないことがわかる。しかし,ルール2では,最初の時点では両次元に 着目しているのにもかかわらず,嵩藤間題になるとおもりの数のみで判断してしまう.ル ール3でも蔦藤間額の一部でこの憤向がみられることから,単に符号化を促進するだけで はルールの進歩馴ま十分とはいえないことが確認された.ノこのことはSieglerも認めて ぉり,次に必要となる進歩は学習能力の進歩であると述べている.そして,フィード,1ッ クを与え,その情報をいかに活用できるかといった能力に視点をあて,てんびん課題にお ける発達過程のモデルを示しているのである。今回の調査では,フィードバヅクは一切与 えていない。にもかかわらず,かなりのルール向上がみられたことは,学習能力として他 のものが存在するか,符号化を促進することだけでも知識の進歩が可能な子どもが存在す ることを意味している.後者について,作業記憶範囲というCaseの考えを導入したが,. ルールの変化との対応関係はみられず,この要因だけ七説明することには無理がある.節 者については,具体的に能力を特定できないが,ルール変化の学年差から年齢発達に応じ た鹿力が影響していることは十如こ考えられる.また,この観点からいえば経験の差が反 映きれている可能性もある。. 理由の記述からもう一つのことが明らかになった.加法ル-ルとして位置づけたルー)し p同一次元で 4あ子ともの処理は;・膚接次元間で加法を行い左右の比較をするのではなく,.

(15) てんびん課題における解決方略の発達的研究. 55. 比較した結果同士を比較するという手続きを踏んでいるのである.つまりi理由の記入で の′<ターンが「おもりの数はいくつ違うが,距離はいくつ違うから+といったものが多い のである。このことは,ルール4からルール5-の移行を考えたとき,次元を組み合わせ. て比較することに気付かせることの必要性を示唆している。残念ながら,この問題に関す. る知見は今回の調査からは得られなかったが,処理方略形成の過程で重雫な課題となるだ ろう。 ところで,. 3種塀の質問紙によるルール変化から理由を書かせたり,蓑におもりの数と. 中心からの醸離を記入させることはルール4-の到達を目標とすればかなりの効果が期待 できそうである。特にルール3の混乱状態に至らず,二つあ次元を統合した一定の基準設 定が完成するルール4への到達が可能な表記入の方法札実際の授業において活用できる だろうoしかし,フィードバックの効果を考え合わせたとき,上の処遇をどの時点で与え るかは閑居となろう。. RE FERENCES Case,. R・. 1972. mental Case,. R・. Validation. of Neo-Piagetian Psychology, 14, 287-302.. Child 1974. Mental. lnvestigation. Case,. R.. 1974. Strategies,. Journal Stmctures. cognitive groⅦ・tb・ Case・ R・ & Globerson, Development, Case,. R・. 1978. Mental. Mental. Construct.. lnstruction : A and Psychology, 18, 382-397.. Child. Some functional and strictures: Congnitive Psycbolo宮y, 6, 544-574. T・. 1974. Field. lndepe-ndence. and. limitations. Central. Case・. R・. of. &. Piaget. Beyond. and lmstruction・. Ronald. Serlin. Pasctlal-Leone's Case・. R・. 1980. of. Experi・. Neo-Piagetian. on・. the. Computing. course. Space.. of. Child. 45, 772-778.. In. Toward. :. R・. Developmentally. a. Glaser. (Ed・), Advanc?s Inc. Erlbatlm Associates, (Volnme 1), Lawrence (青田甫訳1984ピアジェを越えて-教科教育の基礎と技法3)サイエンス社) nology. Journal. Capacity,. Experimental. of. Capacity. 1979. Test. A. Nev. Processing. of M-Space・. Congnitive. Model. Based in. Theory. and. lmstructional. Tech・. Psychology. (ライブラ.)教育方法の心理学 for. Psychology,. Predi・cting. Perfo血ance. on. ll, 308-326.. 青田甫訳1981教授設計の問題に対する発達的接近法(上).サイ七ロジー,. No.. 19, 60-65. case・. R・. 1980膏円甫訳1981教授設計の間断対する発達曲接近法(下)・サイヲ--I. No・. 20, 74-79. Case,. R・・. Kurland,. Short・Term Case・. R・. tive ence,. Ferretti・. &. Bereiter, 3,. E凪ciency Child. I. 1982 0perational Journal of Experimental. 1984. From. Steps. in the. Butter丘eld・ Knowledge. C・C・, :. of Experimental. 波多野完治(監) 社. cence.. :. Goldberg, Span・. Behaviourism. to. Evolution. the. and Psychology,. Cognitive. Gr.wth.∫. 33, 386-404.. Behaviourism. of Instructional. Design,. to. Cogni・. Instructional. Sci-. 141-15乳. R・P・・. Journal. &. C・. Development. Children's. Inhelder・. R・ Memory. B・・ & New. 1982. A・. Child. on. &. Kerkman, the. Psychology,. J・ 1958 :. Basic. The books.. growth. D.. 1985. Balance-Scale. The. Classi点cation. of Tasks.. Inclined-Plane. and. 39, 13ト160.. ピアジェ・派心理学の発展Ⅱ. Piaget, York. Cahn,. Development. of. -認知発達研究logical thinking. (ピアジェ双書5),国土 from. children. t.. ad.1es_.

(16) 野中. 56. +→谷津孝明1982 章, 89-106. Klahr,. D., &. 作業記憶.小谷津孝明(編) _記憶(現代基礎心理学4).東京大学出版会,第4. Wal1ance,. Cognitive. 1976. J.G.. Hillsdale, NJ : Erlbaum. view. Klahr, D.. & Siegler, R. S. 1978 The &. L.P.. York Kubn,. Lipsitt. D.,. &. of. M.. of. Is it Constrait. :. Psychology,. 1966 G.. Child. M-Space. a. Psychology,. Shebo,. B.J.. In. E・. Vol・. Reese. 12,. Nev. Conservation. on. development. the. of. of. Ability?. Reasoning. formal. Journal. by. humans. during. discrimination. learning.. Journal. 71, 331-336.. 1982. of Experimental. Jonrnal. processing. 22, 40-49.. behavior. Hypotbesis. Experimental. Mandler,. An stlユdy experimetal Development, 47, 697-706.. ∫. 1976. tbougbt.. Experimental. Le∇in,. information. Press.. Angelev,. operational Lawson. A. 1976. An. development:. of children'sknowiedge・ repre?entation in child development behavior, and. (Eds.), Advances. Academic. :. 幸男. 陽一・福田. An. Subitizing:. Psychology. :. Analysis. General,. Its. of. Processes・. Component. 111,ト22.. 九野俊一1982 ル-ル評価アプp-チ波多野完治(監)ピアジェ派心東学の発展I[一語知発達 第4章, 113-139. 研究- (ピアジェ双書5)国土社 肝1982 日本教育 小倉康仁,紫波和明,横山信文,佐伯 てんびん課題における加法性の発達 52-53. 心理学会 第24回総会発表論文集 ∫. 1970. pascual-Leone,. A. Stages.. velopmental Siegler, R.S・ 1976. Mathematical Acta. Tbree. Model. Psycbologica,. aspects. of. for. the. in. Rule. Transition. Piaget's. De-. 32, 301-345・ development・. cognitive. Cognitive. Psycbology・. 8・. 481-520. R.S.. siegler,. 1978. siegler,. R. S・ the. of. siegler,. Developmental. 1981. Society. R.S.. origins of scienti&c develops? Hillsdale, NJ. What. :. tbinking. The. &. for. Vago,. S.. Fullness.. Relative. No.. 氏.S.. ジー, wilkening,. 1979. R.S.. ジー, Siegler,. Ricbards,. D・D・. The. Child. No.. within Development.. Development. of. of Experimental 1979 Development. and. R・S・. between No.. Psychology, of. (Ed・). Chidren's. Monograph. concepts・. 189・. Proportionality. a. Child. Siegler. Time,. Concept:. Judging. 25, 371-395・. Speed,. and. Distance. Con-. 15, 288-298・. DevelopmentalPsychology,. cepts.. siegler,. &. R.S・. in. 1978. Journal. \. siegler,. sequences. Research. :. In. reasoning. Erlbaum.. 丸野俊一訳1981認知発達に対するル-ル評価アプローチ(上)サイコP. 13. 60-65. 1979. 丸野俊一訳1981認知発達に対するル-ル評価アブp-チ(下)サイコロ. 14, 62-67.. F・. 皮 Anderson,. for studying ologleS Bulletin, 92, 215-237.. N・ H・ cognitive. 1982. Comparison. development. and. of. the. tworu1e-assessment. knowledge. structure・. method・ Psychological.

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