帰納的な考え方の指導に関する二,三の調査
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(2) 帰納的な考え方の指導に関する二,三の調査. 209. これを伸ばすことが算数・数学教育のねらいの一つである. 上の引用からわかるように,帰納的な考え方は,問題に遭遇したときに,これを解決す るために一般的法則を発見しようとするときに使われる発見的思考であり,常に一般化を 指向する思考である。そして,幾つかのデータの組合わせにより,これらに共通にみられ る性質・法則を見いだし,この性質・法則が未知の同種の事象全体,すなわち考察の対象 としている集合全体に対して成り立つであろうと推測することである0 (2)帰納的な考え方の段階 この帰納的な考え方を伸ばすには,次のような捜階をふませ,これを漸次意識的にふん でいかせるようにすることが大切である。. (i)一般的性質・法則発見のために,実験や観察によって,適切な幾つかのデータ を積極的に集める。 幾つかのデータがあるとき,これらにみられる共通な性質を見いだそうとすることば, もちろん大切であるが,このような受動的な態度だけを考えておくのではなく,問題に 遭遇したら,それの解決を含む一般的法則を自ら求めよう、とし,そのために進んで個々 のデー・タを求めていこうとする態度・能力を強調することが肝要である。 (ii)集めたデータの間に,どのような共通な性質・法則があるかを見つけようとす ることば当然必要であるが,さらに,データを集めるときに,これこれの共通性質・法 則が成り立つのではないだろうかという予想を積極的にもとうと努め,予想をもちなが ら,データを集めていくことが肝要であるo. (iii)このようにして見いだされた性質・津別は,単に一つの推測に過ぎないので あって,集合全体について成り立つといいきれるものではない。それは暫時的なもので ある。このことを忘れてはならない。そこで更に新しいデータについても,見いだした 性質・法則が真であるかどうかを確かめてみることが必要である。これによって真なら ば,その見いだした性質・法則はより確かなものとなる。 (iv)もし新しいデータについて成り立たないときは,. 「集合全体について真+とは. いえないということが証明されたこととなる。そこで成り立つ範囲を限定するか,命題 を修正しなくてはならない。 また,新しいデータについて成り立つことがいえても,これが「常に真+とはいえな いのであるから,このことを主張するには,演えきがなされなければならない。ここに 演えき的な考え方の必要をつかませる一つの有効な場があるのである。8). (3)算数教育における帰納的な考え方の位置 算数では,帰納的な考え方を使う場は極めて多い。例えば,低学年で数概念をとらえさ せるときも,初めは,種々の集合の要素の多少を比べさせ,数えさせる。これらを通して, 次第に,数3や4を抽象させる。すなわち集合の要素の種類の如何にかかわらず,指3本 と1対1に対応がつけられる集合は,同等と認めさせ,この性質を数3といい「3+とかい てよいことを抽象するのである。ここには,幾つかの同等な集合について,共通な数的性 質をとり出し,これがいえるどんな集合についても,常にその大きさは3といってよいと.
(3) 210. 片. 桐. 重. 男.. いう帰納的な考え方が使われるのである。. また,身のまわりにある種々のものについて,同じ形とみられるものを集め,これらか ら「しかく+や「長方形+という概念を抽象し,一般化していくのも帰納である。 中学年や高学年で,ことばの式,公式を見つけること,図形の性質や合同・対称などの. 関係などを,幾つかの図形のモデルをとりあげて,比較させることによって見いださせる のも帰納である。 このようにあげていけば,限りがないほどに数多くの場がある。帰納的な考え方は,寡 数のほとんど毎時間の投業で使われているといっても過言でない程である。従って算数の 授業をすれば,自ら帰納的な考え方が身につくのではないかとも考えられる。 しかし,このようにしばしば用いられる重要な考え方でありながら,帰納的な考え方ば 必ずしも指導されているとはいい難い。考え方というのは,繰り返えしとりあげられてい れば,自然と身につくというものではないのである。それぞれの考え方に指導者もこども も気付かずに学習を進めていれば,それが身につくとは期待できない。それぞれの考え方 が,どこでどのように指導できるかを指導者が十分考慮を払い,こどもたちにも,具体的 行動を通してこれを積極的に意識させていくように仕向けなくては,望ましい姿で身につ けさせていくことにはならないのである。 そこで,考え方を伸ばすには,どんな点に留意して指導しなくてはならないかを,明確 におさえ,これをふまえで臨重に指導しなくてはならない。 そこで,帰納的な考え方を伸ばすには,どんな点に留意して指導したらよいかというこ とと,一般によくみられる指導で欠けがちであるとみられる問題点を,上述の帰納的な考 え方の意味をふまえて挙げると,次のようになる。 (4)、帰納的な考え方指導の問題点. (i)帰納するときに,先ず幾つかのデータを集めてから(時には与えられてから), それらのデータに共通なルールを見いだすということがなされるが,そうではなくて, 問題によっては,ルールを予想しながらデータを集めていくということがなされる.更 には,見いだしたいルールが先ず気付かれ,これを確かめたい,これをもとに他の性質 を見いだしたりするためにデータを集めるということもあるはずである。一般的には, 第1のように,データを集めてから,ルールを見いだすという立場で指導がなされてい るが,第2や第3のように思考がなされるのであれば,この方が望ましいことであるし, こどもがこのように思考を進めているときに,第1のようなし方で指導をしたら,∴指導 者とこどもたちとの考えの進め方がくいちがい,授業そのものが失敗に終ることとなる。 もちろん帰納的な考え方を伸ばすことはできない。 このいずれの考え方がなされるかば,個々の問題の性質とそれに対するこどもの能力 に依るのである。この点についての教師の的確な予測と,こどもの思考の実際の流れの 正確には握ならびに思考にあった適切な展開が重要である。 従って,この点について調査を行い,こどもの思考を明らかにするのを,この研究の 一つのねらいとした。.
(4) 帰納的な考え方の括導に関する二,三の調査. 211. (ii)先に述べたように,幾つかのデータから見いだした性質・法則は,これだけで は常に真とはいいきれないものであるから,これが真であることの証明をすることが望 ましい。しかし,この証明は,算数の範囲では,常に行なえるとは限らないので,帰納 だけですませるということがむしろ多い。そしてこれだけでも発見的能力態度を伸ばす という上から望ましいことである。そこで,推測したルールについて更に新しいデータ を求め,これに適するかどうかを調べてみるように指導をし,こどもたちもそのように 行ってみるようになることが望ましいことである。 しかるに,このことば,これまで必ずしも十分注意してなされていたとはいえないの である。 例えば,長方形の紙を右図のように,一方の向き. に,常に喜の大きさになるように折っていったと する。このとき,. (む10回折ったら,折り目の数が何本になるか を考えさせる。 このとき,こどもが右の表のように,. 3回折っ. たときまで数えて,このデータから,「折り目の数. I. が2,4とふえていくから,折り目の数は,2,4, 6,. 8,・-と2から2とびに増えていく+と一般的. 法則を帰納したとしよう。 このとき,恐らくどの指導者も,このように考 えたこどもに対して,「折る回数がもっと増えたと きでも,その見いだしたきまりがいえるだろうか。 念のために,もう一度折って確かめてみなさい。+ と更に新しいデータについて確めるように指示す. I. るであろう。そして,その折り目の数が7+6の 13でな`く, 15になることを分らせ,. 「今推測した. ことが誤りであったことがわかったろう。このよ うに,数少ないデータから一般化しては誤ること がある.もっと多くのデ-タで調べたり,推測し ても,それで正しいと考えないで,このように新 しいデータで確めることが大切です。+といった 指導をするであろう。 一方,上の問題で,. (勤「10回折ったとき,小さい長方形は幾つでき るか+という問題に対して,こどもたちが,次ペ ージのようにデータを集めて,「このことから,折 る回数を1回ずつ増すと,長方形の数は2倍ずつ. 折る回数. 】折り目の数!. 1. 1. 2. 3. 3. 7. >. 2. >. 4.
(5) 桐. 212. 甲る回薮桓方形の数l 1. 2. 2. 4. 3. 8. 重. 男. になっていく。+といった一般法則を帰納したとし よう。このとき指導者は,この結果の正しいこと. >2倍. を知っているので,. 「大変良いこ,とを見つ.けた。. >2培. この表でわかるように,長方形の数は2倍ずつに なっていくのですね。では,このことを使って, 10回のときの長方形の数を求めましょう。+といっ. たように,ルー/レを認め,用いさせていくということが,よくなされる。 これらは,何れも3組のデータの組合わせから,ルー}t,を帰納している点では変わり はない。しかるに一方は,. 「更に新しいデータを調べよ。+といい,他は,見いだした. ルールを承認し,新しいデータで調べることなく用いさせようとしている。同じような 填で,同じように帰納的活動をさせながら,その指示が異っていたのでは,帰納的な考 え方はどのようにしたらよいかを指導していることにならないし,こどもにこの考えが 身につくとはいえないのである。 この例は,やや特別なものではあるが,これと同様な指導の不一致は,しばしばみら れることである。すなわち,一般に,こどもが誤ったことを帰納すると(こどもには, これが誤りであることは分っていないのは,もちろんである。). 「新しいデータで確かめ. よ。+といい,正しいことを帰納すると(これば指導者の知っていることで,こどもは 正しいか誤りか明確ではない。),. 「良いことを見つけた。ではそれを用いよう。+といっ. た指導の上での不一致がよくみられるのである。 そこで,この点について指導者はどのように考えているのであろうか,ということを 明らかにし,もし指導者たちの考えが不十分なら,これを是正していかなくてはならな い。これを明らかにするのがもう一つのねらいである。 また,こどもたちに,自主的に帰納活動をさせれば,こどもたちが自分で見いだした ことに対して,より確信をもちたいために,更に新しいデータで調べてみたり,証明し ようとするのではないかと思える。 この点についても,こどもたちがどんな行動をとるかということ(これも問題と,こど もの能力の程度によるのであろうが)を調べ明らかにすることも,一つのねらいである。 (iii)こどもたちに帰納させるには,何組ぐらいのデータを用いさせたらよいかとい うことも,実際の指導でよく課題になることである。しかし,これこそ問題とこどもの 能力によるととであって,一概にどうとはいえないことであろう。むしろ個々の問題に ついて,これを指導者が調査しとらえておくように努めることと,実際の指導で,こど もたちに自主的に活動させて,その間にこのことをとらえるように努めることこそ大切 であろう。 そこで,ここでは,この点についてもーつの調べ方を試みてみることとした。 (iv)ある問題について,その解法,着眼点は一つとは限らない。数十名のこどもに 考えさせると,多様な方法が見られるものである。そこでできるだけこどもたちの思考. に合った指導をすすめるには,こどもたちがどんな考え,とき方をするかを的確に予測.
(6) 帰納的な考え方の指導に関する二,三の調査 することが大切である。このことば帰納的考え方をさせる場合についても全く同様にい えることである。 そこで,この点についても,調査にとりあげる問題について,どんな考え,解法がな されるかを調べ,こどもの思考をとらえる一つの示唆をうることをねらいとしたo. 2.調査の方法 一つの具体的問題をとりあげて,この間題に対するこどもの反応を調べ,前希の(4) にあげた4つの問題点について一つの解決を試みることとする。 又,指導者が特に(4)め(iii). 「ルールを見いだしても,更に新しいデータについて調. べ確かめるようにさせる。+ということを,帰納的な考え方の一つの大切な段階と考えて いるかどうかということについて,二つの調査問題により,教師を対象に調査を試み,そ の間題点を明らかにすることとした。 それぞれの調査問題,調査対象,調査時期は次の通りである。 (1)児童対象の調査 (i)調査問題と方法 下の図を板書して,次の問題を説明し,さらに考え方,解答のかき方についても,下 の文のように説明する。この間題と考え方,解答のかき方がこどもたちによく理解でき たところで,自由に考えさせ約束に従って記入させる。考えさせる時間は約20分であるo 問題. 国のように,マッチ棒を並べて. いって,正三角形を50こ作っていきた いと思います。マッチ棒は何本いりま すか。 考え方. 50こも正方形をかいたり,マ. ッチ棒を並べたりするのは大変です。 また図をかかなかったり,マッチ棒を 並べることをしないで,正三角形の数 と,マッチ棒の数との関係を見つけるのも難しいでしょう。そこで,正三角形の数が もっと少ない場合にマッチ棒が何本いるかを調べて,これをもとにして,この間題を解 くことにしましょう。 解答の書き方. 下の[=]の中に自由に図をかいて考えて下さい。そして,その下の枠を. 使って,適当な表を作っていき,それをもとにして問題を解きなさい。そのとき下の枠 の全部を使わなくてもかまわないし,足りなかったら付加えてもかまいません。そして, それぞれの欄に書き入れていったとき,それについてどんなことが頭に浮んだかを,矢. 印で結んである下の⊂コの中に書いていって下さい。何も浮ばないときは,書かなくと もよいですo最後に50このときの本数を求める式と,その式になるわけを書きなさい.. 213.
(7) 214. 柄 解答用紙. 氏名. ・図をかくところ(略) ・表. I. I. I. ㌔ ㌔ ㌔. )わけ(. ・式(. (ii)この調査のねらい 上述のように,前節の(4)の(i)-(iv)についての子どもの反応を調べるためのも のである。. ①. この間題は,帰納的方法でなくとも解決できるであろうし,表を作らなくとも,. 図をかいただけでもできるかもしれないが,ここでは帰納的な考え方の傾向を知ること. がねらいであるので,登星互で,そのような方向に裁定したのである。又図だけでは, 考え方がとらえられないので,表を作らせることにした。実際の指導でも,この間題は 表を作らせてルールを帰納させることがなされるので,この扱いは不自然ではない。 なお問題の意味の分らない子がいたのでは調査のねらいに合わないので,十分理解で きるまで説明するようにする。. ⑧ 正方形の数. 1. 2. 3. 4. マッチ棒の数. 3. 5. 7. 9. この間題は,マッチ棒の本数が,三角形を1. こ増すごとに2本ずつ増えていくということを,左 のような表を作らせて,見つけさせようとするのが,. 一般になされていることであるが,この2本ずつふ えるということを,先ず問題からよみとって,(又は. ヽ. 正三角形を作る過程でよみとって)これを用いて. ヽ ヽ ヽ_. T+-2-… ̄ユ. マッチ棒の数やその求め方を見い出していく子ども. が,相当にいろのではないかと考えられる。特に, 自分で図をかいたり,マッチ棒を並べていくときに. は,例えば,下のように正三角形を2つ作る。そして3つ目の三角形を作るときに,先 ずマッチ棒を2本もってきて(かいて),これをほじめの5本に加えて,. 7本とする方.
(8) 215. 帰納的な考え方の指導に関する二,三の調査 が自然であり,望ましい活動である。. 1,2,3,.4,-と数えて7本あることとする方が望. ましい活動とはいえな.い。そこで,このような考えをする子どもが相当いるなら,この 思考に沿った指導をすべきである。 即ち,教科書などにとりあげられている上の表のようにマッチ棒の捻数を順次求めて から,これをもとにして,そのふえていく数を求めさせるという指導のすすめ方は不自 然である。マッチ棒の増加分が先ず分り(これを今までば発見させたいルールと考えて いた。)これを用いて,. 3+2+2+-という総数の求め方を見いださせる方が望ましいこ. とである。しかもこれの方が自然であるといえよう。もしそうなら,このような展開を すべきである。 そこで,このことを調べるのが本間のねちいである。そのためにも,こどもがどう考 えたかをできるだけ的確にとらえたい。そのために,真の各欄をうめるごとに,東に浮 んだことを書かせるようにしたのである。 これによって又,幾つのデータから一般的ルールを帰納し,更に幾つのデータを確め のために求めていたかをよみとることができるであろうと考えた。・ (iii) _対象児童および調査時期 6年5クラス(3校) 156名. 51年4月実施. 4年1クラス. 51年7月実施. 38名. (2)教師対象の調査■ (i)調査問題と方法 次のように二'3の問題に対して,自由記入をしてもらった。 調査Ⅰ ・教職経験年数(5年未満,. 10年未満,. 10年以上),性別(男,女)1(○で囲む). ・(対象4年)平行四辺形を一つかいたプリントを子供たち1人ひとりに与え,これ について,辺の長さや角の大きさを測って,どんな性質があるかを調べさせた。そ して,ある子供に発表させたところ, 平行四辺形は, ○向い合っている辺の長さが等しくなっている。 ○向い合っている角の大きさが等しくなっている。 ○対角線をびくと,交わった点で,. 2本の対角線が2等分されているo. と答えた。これについて,あなたならこの後どのように指導すすめていきますか。 この後の2,. 3のステップ(質問,説明,子供への作業指示など)を書いて下さい。. 調査ⅠⅠ ・. (対象6年)長方形の紙を,たての方向に常に2等分するように10回折ったとき, 折り目が幾つできるかという問題を提示した。そして10回折ったときをいきなり考 えるのは難かしいから,回数の少ない場合1回,. 2回,. -と折ったときの折り目の. 数を調べたらよいだろうということになった。 そこで子供たちに調べさせ,ある子に発表させたどころ,上のような表を板書し,.
(9) 216. 折る回数折り目の数. 妻1童…… 折り目の数のふえる分が2倍ずつになっているから,この後も次々とふえる分が2 倍ずつになって,. 16,. 32,. 64ずつふえていくと考えた。これに対して,あなたなら,. この後どのように指導をすすめていきますか。この後の2,. 3のステップ(質問や. 説明など)を書いてください。 i) 調査のねらい i阜 問題の(iii)にあげた幾つかのデータから一般的性質・法則を推測したら,これは推 測であるから,更に新しいデータについて確かめてみるということが必要であり,更に,. できることなら,演えき的な説明を試み常に真であることを明らかにすることが必要で ある。しかし,算数では,どの問題についても証明するということば難かしい。そこで 尚更新しいデータについて確かめるということが必要である。しかるに,これが一般に はなされていることが少なく,正しい結果を子どもたちが推測すると,それをとりあげ て,正しいものとして話を進めていってしまうことが多いようである。そこで,この点 について指導者たちがどのように考えているかをみるのが,この調査の目的である。 (iii)調査の対象および時期. 調査対象は,ある算数研究会のメンバーである小学校教師39名で,算数教育に関心の 強い教師たちである。その分布は次表のようになっている。. 深!. 5年未満. 男 女 計. F. F IO年未満. 計. 4. 9. 10. 23. 3. 2. ll. 16. 7. E. ll. 1. 調査時期ほ51年10月である。. 3.調査の結果と解釈 (1)こどもた引こ対する調査の結果 (i)考え方.t算数成績との関係. 10年以上. 21. 1. 39.
(10) 217. 帰納的な考え方の指導に関する二,三の調査. 6年(156名) I-----------■・■・・・・・・・-・・-. ----I-. 算数成績の評定. 5. 考え方 (1). マッチ棒が2本ずつますことを用い (表からこのことが明らか改もの). を件る. 4. 形. 3. 2. 計. 1. 6. 8(2)L13( 1)t 3(1). (2)同上(説明からこのことがわかる). 3. 6(1). (3)表から2本ずつますことを見つけた. 3. (4)その他 (5)解決でき覆い. 7(1)1. 3. ! 4(1). 8( 4)1. 6(4). 0. I 4(2). 8(1)】. 3. 0. 【 0. 5( 5). 4(4). 0. 30( 4) 20( 2). 2(1). 23. (10). 16( 3) 2(2). ll(ll). L空 22(6)l41(12) 19(9) (3)レoo(30) 6. 計. 4年(38名) 算数成墳. 3. 考え方 (1). 2. ことを用いて表を作る (表に明示). 計. 1(1). 【2. 2(1). I 5(2). (3)表から2本ずつますことを見つけたl. 2(1). t. 2. 】`4(2). 9( 3). (4)その他. 3(2). 【 7(2). 】 2(1). 12( 5). (5)でき凌い. 2(2). 1 1(1). 1 10(7). 17(5). 同上. (2). (鋭明から)I. 計. 1.. 〔注〕. 6年は百分率,. 1 1(1). 4( 2) 9( 3). 1(1). 【 9(4). 】1. l 1(1). 4( 4) 38(17). )は,それぞれの考え方をし. 4年は実数である。表中の(. たものの中で,結果の誤ったものの数(浴)である。 2.算数の評定は,担任教師による5段階評定である。 3.こどもたちの作った表のタイプを分類すると次のようになる。. A型. 棒. の. 数. 棒の合計. B型. 234. 三角形の数11. 棒. の. A′型. 3. 2. 2. 2. 3. 2. 2. 2. 三角形の数i1234. 3. 5. 7. 9. 棒の合計13579. 数l3579. 三角形の軌1 上の二つの差. ふやす棒の数. 2. c型. 三角形の劉1. 234. 数; 3. 5. 7. 9. 3. 2. 2. 2. 2. 3. 4. 棒. 3. 4. 5. 棒のふえる軌. の.
(11) 218. 片. 桐. 重. 男. A型. この度数が真の第3項である。 一般にとりあげられるのは,上のC型であるo とA′型は,棒の加えていく数をきめてから,これを用いて棒の絵数を求めていること が,表から明らかにわかるものである。この度数が表の第1項である。そして,この表 から,総数として3+2(n-1)又は,. 1+2nを見いだすのが帰納である。. B型ばA型と同様に棒の加える数看きめてから,これを用いて総数を求めているの であろうということで,推測される表である。ただしそれが確実にはいいきれないので, 「表を作る過程で東に浮んだことをかいた+欄をよんで,. A型と同じ考えかどうかを判. 断することとした。こ.の度数が真の第2項である。なお,.「その他+として,どんな解 であったかは,後に述べる。 (ii)データはA,B,C型の何れも, に続けて,. 4組,. 2粗か3組からルールを帰納しているが,さら. 5組目のデータを作り,見いだしたルールを確めているのが大部分で. あった。 (iii) 「その他+の内容:A,B,C型の解は3+2×. 三角形の数. 1. 棒. 3'1. 1 2. i 3. 5. 1 7. (50-1)又は1+2×50であったが,その他の中には, さらに次のような解法がみられた。. ①. 右表で差が2から1ずつ増すから,三角形が 50なら,差は2+49-51従って50+51となる。. の. 数. この二つの差l2i314. (一般に三角形の数をnとするとn+(n+1)となる.) 三角形がnこなら,各三角形は3辺ずつあるから3n,このうち共通な辺がn-1. ⑧. あるから,. ④. 3n-(”-1). 25×2+(25×2+1)これは,一般に,上,下段の棒が三角形と1対1に対応し, 半分ずつある(これは三角形の数が偶数のとき,一般には不要である。従って上の 25×2は50でよい。)斜めの棒は,その右の三角形と1対1に対応している(これも 25×2でなく50でよい)そして,最後の1本だけ余分だからn+(n+1)となる.. ④. 上向きの三角形だけが着目すると,これが5-n9ぁり,これらに辺が3本ずつあるか 2 ら. 3×510. それに上段の讐を加えて・さらに右はしの1本を加えて3×5 一般に,これはnが偶数のときで,このとき. 普+号.1-2n+1 nが奇数のときは,. 3ipii)-.空手-2n・1 2. といずれも2n+1となる.. (2)こどもた引こ対する調査の結果の解釈 ①. この調査でわかることば,. 50%のものがA,AF型やB塑の考え方をしているとい.
(12) 帰納的な考え方の指導に関する二,三の調査. うことである。そして成績の上位のものほどこの傾向が大きい。. 219. 6年の成績5のもので C型の考え方. 描,-12%中9%(約言)がこの考えをしているo従って,この間題 A,B型とC型との両方のタイプが, で授業を展開するということば,不自然である。 一つの教室の中で表われるという予想のもとで,この両者をうまく生かしていく指導を 考えることが必要であるといえよう。 また,このA,B塑とC型との何れがなされるということは,問題の種類と問題の難 しさによるのであって,問題が難しいと,まずデータを集めてから,ルールを見つける ことになる。このことば,成績のよいものほどA,B型が多いという点にもみられるこ とである。 このように,データを集めてからルールを見つけると考えられ勝ちであるが,実は, 表を作るときに,そのルールを用いていると考えられる本例のような場合が他にも多く あろう。そして,その何れであるかば,これまでの学習経験やそのこどもたちにとって の問題の難しさ,問題の与え方によるのであるから,これを的確にとらえることが必要 である。 例えば,. 「1こ12円のものを買ったときの個数と代金との関係+を3年で問題として. とりあげたとき,下のような表を作らせてから,この裏を見てどんなことが見つかるか をいわせる。そして,次のようなことが見つけられるというように指導することがある。 個. 数. 代. 金. 12. 2. 3. 4. 24. 36. 48. ①. 代金-12×個数,代金は個数の12倍. ④. 個数が1ますと,代金は12ずつます。. ところが,この表を作るときに,どのようにして. 作ったかを考えてみれば,恐らくこの①か④を使っ 直. 線. の. 数. 2. 3. 4. 5. 交. 点. の. 数. 1. 3. 6. 10. 1. 2. 3. 4. たことがわかろう.従って例えば(力を使って表を 作ったなら, 循環論となる。. 交点の増す数1. ①が,表から見つけられたというのは, ⑨も同様である。従って,この場合. には先ず,この表をどのようにして作ったかを明ら. かにさせることこそ大切である。. その上で,表を作るのに使ったことこと以外に何が見. いだせるかを考えさせなくてはならないb 又例えば,. rn本の直線を引くと,交点は最大でいくつできるか。+という問題に対し. て,上のような表を作り,交点が1,2,. 3,4,-と増していくことを見いださせるのがよ. -いと考えられ勝ちであるが,これも,自分で図をかいて交点の数を数えていかせる■よう 2, 3, 4, 5の場合を別々の図をかいて数えるのはめんどうであ にすれば,直線の数か, って,一つの図に次々と直線を追加していく方が簡単である。そしてこのようにすると, 交点の数を直線を1本追加するごとに,初めから1,2, 3,-と数えるのでなく,直線を 加えることによって,増えた交点の数だけ数えて, ̄これ以前にあった交点の数に加えて いくという方が優れた方法であり,'この考えが出ると期待して授業計画を立てることが 必要であろう。即ち,上の衰の交点の増す数が,交点の数より先に見い出されることも. あるということが考えられるべきであろう。高校生を対象として,この間題をとりあげ.
(13) 220. 片. 桐. 重. 男. たら,このような考え方がでてくるであろう。 ただ,これは先にのべたように,生徒の力と問題の難しさの程度によるのであって, 私が,中学生(1-3年)を対象にした実験では,交点の増す数を先に出したもの,一 つの図で考えたものは1人もいなかった。すなわち中学生には,このように考えるには, この間題は難しすぎるといえるようであった。 次に,このように自主的にルールを見いださせると,自ら進んで新しいデータについ て,それをさらに調べているということがみられる。このように見いだしたルールを, 新しいデータで調べるということが,あまりなされていない。. (次の教師の調査も参照). しかし,このようにこどもたちに自主的にルールを発見させると,自ら新しいデータ で調べるのであるから,できるだけこどもたち自身にルールを見つけさせるような展開 を行ない,帰納するときには,見いだしたルールを,新しいデータで更に確かめること が大切であることに気付かせていくようにしたい。またこれは可能であろう。 また,このように簡単な問題でも,. 「その他+に述べたように,多様な考え方がなさ. れるのであるから,できる限り,予め可能な考え方を指導者が研究しておいて,指導に 当り,こどもの自由な発想をできるだけ生かす指導が大切であるといえよう0 (3)教師に対する飼査の結果 調査Ⅰは「さらに,他の平行四辺形についても,いま見つけた性質が成り立つかを調べ させる。+という意味のことが述べてあるものを正解(本調査のねらいに合ったもの)と した。これは,演えき的貌明はこどもには無理であると考えられるので。 調査ⅠⅠは, A「さらに5回, る。+か,. 6回と折っても,差が2倍ずつになっていくかを調べさせ. Br見いだした法則が常にいえることかどうかについて一般的説明のし方を考え. させるo+という意味のことを述べたものを,良しとした。その結果は,次の通りであっ た。 10年. 計. 5. 12. 裏芸E詣以上 男1. 2. 5. 旦止_し_3. 1. 計ト15. 6. 調査Ⅰの正解は,左の表のようになり,. の者だけ正解であった。調査ⅠⅠでは,答Aが男の 5年未満1名,. 】 13. 10年以上が1名の計2名,答Bは,. 男の10年未満が2名,. 10年以上が1名,女の10年以. 上2名の計5名に過ぎなかった。. (4)教師に対する調査の結果の解釈 これは,問題が漠然としているために,十分に答えきれなかったという面もあったが, ルールを見いださせることが中心であって,見いだしたものを更に新しいデータで調べる ということが,帰納的思考の一部として重要であることをとらえているとはみられなかっ たo. しかし,上述のように,こどもたちに自主的にルールを見つけさせると,更に新しい. データで確かめようとする傾向がみられることであるし,誤った性質や法測を帰納したと きは,必ず他のデータで調べさせるのであるから,帰納的な考え方を伸ばすために,教師 自身が,この考え方を正しくとらえて,この面の指導を忘れずに行うように努めることが 大切である。.
(14) 帰納的な考え方の指導に関する二,三の調査. 4.まとめと今後の問題点 こどもに対する調査結果も,教師に対する調査結果についても,大体予想されたものが えられた。一般になされる指導のすすめ方と,こどもの反応・考え方とは必ずしも一致し ているとはいえないことが示されて,それだ桝こ,こどもの反応をできるだけ的確に予想 し,又こどもの反応に合った指導を進めるという努力が特に大切であるといえようoそれ にしても,帰納的な考え方を伸ばすという点からみたとき指導の一貫性が保たれていると はいい難い。この帰納的な考え方の一般的段階とその指導のすすめ方をより明確にし,寡. 数の指導者に徹底することが必要なことであるといえよう。 ただこの調査は,僅か-,二の問題についてのものであるので,今後この種の調査を他 の多くの問題について行い,その結果を累積していくことが必要である。掛こ今回こども に対する調査でとりあげた問題は,やや特別なものであったが,いわゆる「指導の内容+ としてきめられている内容をとりあげて,調査を重ねていくことが必要だと考えている。. 引 哲学事典 1)平凡社 G. Polya Mathematical 2). Discovery. Vol I・. 3)片桐編著「数学的を考え方とその指導+近代新書. 用. 文. 献. 221.
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