IRUCAA@TDC : 酸化マグネシウム配合可視光線重合型裏層材の歯髄創傷に及ぼす影響に関する実験ならびに臨床病理学的研究
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(2) 19. 原 著酸化マグネシウム配合可視光線重合型裏層材の歯髄創傷に 及ぼす影響に関する実験ならびに臨床病理学的研究* 渡 部 光 弘 東京歯科大学大学院歯学研究科 歯科保存学第一講座 (指導:浅井康宏教授) 年10月5日受付) 年10月11日受理). HistopathologlCal and Clinico-pathologlCal Studies on the Influence of. New Visible-Light-Cured Magnesium Oxide Liner to Exposed Pulp Tissues Mitsuhiro WATANABE Department of Endodontics, Tokyo I)ental College (Director : Prof. Yasuhiro Asai). が予防壊塞材 の硬化反応に応用したこ. 緒 言 冒常臨床において裏層ならびに歯髄覆軍法は,生活歯. とを噛矢とする が,重合深度や人体への為害作用な. 髄保護の観点から必要不可欠な処置法として重要視され. どが指摘され 現在では後者の可視光線重合型が主. ている。一般に前者は嵩洞深部を補強し,外来刺激を遮. 流となっている。 本システムを応用した処置の利点としては. 断するとともに,雷洞外形の修正を行う補強裏層と,形 成面を-層の被(罪)膜で保護する被(罪)漠裏層とに分奪 される1)。また後者は生活歯髄の保護効果を期待するも. ぺ-ストタイプの場合,練和の必要性がないこと, 2) 1ペーストタイプのものは,繰和に伴う気泡の混入がな. のとして,間接歯髄覆軍法と直接歯髄覆軍法とに分戴さ. いこと, 3)壊塞後の成形などに要する時間の設定が任. れている.臨床の実際では,各々の症例に応じた選択が. 意にできること, 4)処甚時間の大幅な短縮が可能であ. 行われている実状にある。. ること,などが挙げられるo. ところで近年,処置操作の単純化と臨床効率の向上と. すなわち,可視光線重合型の材品を裏層あるいは歯髄. を目的として,光重合(硬化)型の裏層材ならびに間接歯. 豪軍法に採用することは,処置藻作性を向上させる観点. 髄覆軍材が開発され,往昌を集めるに至っている )0. から,臨床上極めて有用である。いうまでもなく,これ. 本システムは光線照射により,重合開始剤を活性化させ. ら処置法に応用される材(刺)品の特徴としては,歯髄に. るものであるが,波長域により紫外線重合型と可視光線. 対する刺激が緩和で,しかも機械的強度を有し,かつ迅. 重合型とに大別されている。前者は. 速な処置を可能ならしめるため,臨床操作性に優れてい ること,などが必≠貢条件とされている。 また,これら材(刺)品中の配合成分も,主に水酸化カ. ♯本論文の要旨は,第97回日本歯科保存学会秋季学会 (平成4年11月 鹿児島),第249回東京歯科大学学会 例会(平成5年6月12日,千葉),第99回日本歯科保存学 会秋季学会(平成5年11月18日,横浜)において発表した。 -. ルシウムやハイドロキシアパタイトを始めとする生体材 料などといった,新生硬組織の形成を招来させ得るよう なものが採用されてきた。しかしながら水酸化カルシウ 19-.
(3) 産部:酸化マグネシウム配合光重合塑裏層材に関する研究. 20. ムは極めて優れた生物学的性寛を有する反面,本剤と接. 本研究に採用した材品の処方は,当該社の公表データ. した組織の一部に壊死を惹起せしめたり,また各種の製. によれば以下の通りである。. 刺(材)中に配合された場合,その優れた性薯が覆飾され る場合もあることが明らかにされてきたo. ウレタンジメタクリレート. 以下FLと略称). すなわち当教室の大和田 は,水酸化カルシウ. トリエチレングリコールジメタクリレート. ム配合の可視光線重合型裏層材. (TEGDMA). と とを採りあげ,その生物学的性状を明. メタクリル酸2-ハイドロキシエチル. 確にするため,実験病理学的見地から検討を行った。そ. (2 -HEMA) 6.5%. の結果,水酸化カルシウムのような生物学的活性を有す. フルオロアルミノシリケートガラス. 27.2%. る剤品が高分子化合物に配合された場合,その化学的あ. 酸化マグネシウム. 22. 6%. るいは生物学的な活性が覆飾され,本来の効果が充分に. その他. 発揮され待ない可能性を示唆している。. (ニッシン社製). 一方,水酸化カルシウムに代わる剤DDHとして,これと 同系列の酸化マグネシウムが着目され,種々な観点から. ⊃⑪ (以下UBと略称) フッ化ナトリウム. 検索が実施されるに至っている 。当教室において. ウレタンジメタクリレート. も,本剤は歯髄や歯薯に対して障害作用を示さず,新生. 水酸化カルシウム. 硬組織の形成を促進し,水酸化カルシウムと同様に極め. ハイドロキシアパタイト. て高い臨床応用価値を有することを明らかにしてい. 硫酸バリウム. る. その他. そこで当教室では以上の諸研究を参酌し,生物学的活 性を有する剤品の特徴を充分活かしつつ,かつ臨床操作 性の向上を計ることを目的とした,可視光線重合型裏層 材の開発を企図し,蓋礎的見地から種々な検討を重ねて きた。その結果,新たに酸化マグネシウムを主成分とし た可視光線重合型裏層材 を処方するに 至った。. (処方非公開 社製) 被験例として産後4-5年,体重 の健康な ニホンザル 頭から得られた小臼歯 および大臼歯,総数20歯を採用し,これらを表1, 2に 示すように,各被験材につき10歯ずつ2群を設定した。 また観察期間を2週間, 8週間とし,各期間別の症例数 は5例とした。. そこで著者は,この種の材品に関する研究の一環とし. 2)研究方法. て本製材を採り上げ,その臨床応用価値を検討すること を企図した次第である。. ケタラール⑪ 三共社製)の. 処置に先立ち,各体重に応じて塩酸ケタミン(動物用. 被験材として ならびに対照として水酸. 筋肉内庄射による全身麻酔を施した後,手術野をヨード. 化カルシウム配合の市販可視光線重合型裏層材 ② 社製)を採りあげ た。なお本研究では,この種の材孟自体の塗物学的性状 を基本的に把産する目的で,不顕性露髄や偶発露骸部へ. チンキおよび70%エタノールにて清掃消毒し,局所に1/. 応用された場倉を想定し,これら材晶の歯髄創傷に及ぼ す影響について検索を行った。そこで先ず両材品を成績 歯髄創傷面に対して直接的に応用し,その影響について 実験病理学的に比較検討した。次いで,この成績をもと にこれらの材孟をと卜歯髄創傷面に対して直接的に応用 し,臨床病聾学的見地からも検討を加えたo. ス モリタ社製)およびダイヤモンドイ. エビネフリン含有2%リドカイン(歯科用キシロカ イン⑪,藤沢薬品工業社製)を用いて浸潤麻酔を施し た。その後,各歯牙に対してエアータービンハンドピー ンスツルメント 松風社製)を用いて嵩洞形 成を行い,滅菌等張食塩波を滴下しつつ電気エンジンンドピース モリタ社製)および直径0.7 mmの滅菌スチールラウンドバ 社製)にて霧髄させた。そして滅菌等張食塩液で穿孔部 を充分洗浄し,滅菌中綿珠にて止血,乾燥を行った。次. 実重病建学的検針 上 研究材料および方法 1)研究材料. いで該部に各被験材を可及的無圧下に壊塞応用し,光照 射器(コ-クPMライト 社製)にて30秒間光照 射を行い,重合させた。その後,嵩洞の修正を行い, 一20-.
(4) 21. 歯科学報 表1 FL群 病理組織所見および成績 症 例 香. 戟. 病. 部. 察. 充. 出. 期 間 (過). Fq/. 理 化. 形 細 胞≠ ∃ 竺 云 : 潤. 位. 血. 血. 1. 也. ≠. -. -. 2. 也lL. ≠. -. -. -. -. -. -. -. ⊃ 7【 j-. 3. 2. l再. 組 堰. 膿. 織. 所. 見. 腔牙 壁賛 吸 収. 新 壁 痩 組形 織成. 象 牙 繋 席形 成 -. 疲. 髄象. 髄象. 痕. 腔牙 壁寛 港 加. 死. 化. -. ≠. ±. -. +. -. ≠. ±. -. -. ≠. ±. -. -. -. -. B l2J. 捕. +. ±. -. -. ≠. ±. -. 5. 高相. ≠. -. -. -. -. ≠. ±. -. 6. l LJ. ≠. -. ±. 】. ≠. +. +. -. 7. B it. +. -. -. -. 辛. ≠. +. +. 蓮 田. +. ∼. ±. -. ≠. ≠. ±. i. 9. よ」. +. -. ≠. ≠. ≠. +. 10. 也. -. ≠. ≠. +. -. 8. -. ±. -. I. 附. 良好. 図1. 図. 良好. 4. 8. 宿 壁 組 紘 成 績. -. 良好 良好 良好 良好 良好. 図2. 良好 良好 良好. 表2 UB群 病理組織所見および成績 症 例. 観. 病. 部. 秦. 充. 出. 期. 理 化. Fq/ 形 価 胞 享 ∃ 文 潤. 組 壊. 織. 所. 見. 癖. 髄 象. 髄象. 垣. 腔牙 壁賛 吸 収. 節 塗 硬 組形 織成. 象 牙 賛 魔形 成. 膿. 死. 化. 腔 牙 壁 薯 港 加. ±. -. 】. ≠. -. ±. +. -. l十. -. ±. -. -. -. ±. ≠. ±. +. +. -. -. 捕. -. -. 】. 】. ≠. ±. ±. -. -. 高 相. +汁. ±. ±. ∼. i. +. ±. -. -. -. 6. 立 田. ≠. +. ±. -. ±. -. 捕. -. -. 7. LEI. -. ≠. ±. ±. ±. -. -. -. ≠. 辛. -. +. +. 香. 間 位. 血. 血. 1. 圭 LJ. ≠. +. 2. rPlT. ≠. 亨「. ≠. 4. lF ;1. 5. 【 =】 ラ. 3. (過). 2. +. ≠. 9. 坦」. +汁. ±. +. +. -. ±. +. ≠. -. -. 10. 也. ≠. -. ≠. ±. -. ±. +. 捕. 】. -. 8. -. 附. 図.. 良好. -. 臥し. 8. 病 理 組 織 成 績. 概良 概良 良好 良好. 図3. 良好 概良 良好 概良 概良. 図4. ガッタバーチャ仮封材(ガッタバーチャ・テンポラリー ストッピング, GC社製)にて裏層,残余の雷洞に銀ア. 被験歯を術後2週間および8週間経過後抜去し,直ち に10%中性ホルマリン水溶液中に浸達し, 2週間固定を. マルガム充嚢を施し,処置を完了した。 3)観察方法. 行った.次いで 迅速脱灰液にて脱 灰,エタノール系列で脱水後,ツェロイジン包埋切片標 -21-.
(5) 涯部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 22. 本を作成し,ヘマトキシリン・エオジン複染色を施し,. 応用群 ・症例5 : 2週間経過例(図3). 病聾組織学的検索を行った.. 露髄部直下には埋大した象牙薯削片が認められ,以下 の歯髄に充血,出血,円形編胞浸潤が観察されるも健康 に生存しており,成績良好と判定されたo. 2.研究結果 歯髄および象牙寛に観察された病変は, 1)充血, 2)出血, 3)円形編胞産潤, 4)化膿, 5)壊死, 6)疲痕化 7)髄腔壁象牙薯添加, 8)髄腔壁象牙質 吸収, 9)新生硬組織形成 象牙宴席形成などで. ・症例 週間経過例(図4 ) 被験材応用部直下の歯髄には化膿が観察され,これに. 来当教室で行われてきた病聾組織学的検索における基準. 接して円形綿胞浸潤が認められるo以下の歯髄に,肉芽 組織の形成ならびに髄腔壁象牙繋吸収が観察され,成績 概良と判定された。. を参酌し,以下のような判定基準を設定,全症例を画一 的に調査した。. 3.考 察. あった.病聾組織所見および成績の判定に際しては,従. ① 成績良好 露出歯髄には破壊性変化の発現を認めず,修復性変化 の発現を示すもの。あるいは処置に蓋づく外傷性被害以 外には,破壊性変化を認め得なかった場合。または若干 の破壊性変化を来したとしても,これを上回る明らかな 修復性変化を認め待た場合。 ② 成績概良 たとえ露出歯髄表層に炎症性あるいは破壊性変化を示 したとしても,健康部との境界に何らかの防禦機転を認 め待た場合。または周薗組織への病変の拡大傾向を示さ ず,いまだ著明な修復性変化を認め待ないものの,他の 幾似症例から類推すれば,当然,将来修復機転の発現を 期待し得ると判定された場合。 ③ 成績不良 露出歯髄が表層から広範に,あるいは全部性に破壊さ れ,将来修復の見込みがないか,または極めて乏しいと 判定された場合o 以上のような基準に従い,各群における病聖組織所見 および成績を一括表示すれば,表1, 2の通りであるo 次に各被験材群別に,その代表例について記述すれば 以下の通りである。 応用群 ・症例1 : 2週間経過例(図1) 応用された被験材に接する歯髄には充血を認めるも,痴 痕化が進捗しているOまた霧髄部直下の歯髄には,処置時 に埋大した象牙賛削片を核とした新生硬組織の形成が観察 されるO以下の歯髄は,健康に生存しており,成績良好と 判定された。 ・症例7 : 8週間経過例(図2) 応用された被験材に接して,新生硬組織の形成が観案 され,以下の歯髄は痴痕化が進捗しており,成績良好と 判定された。 -22. 1 )病理組織所見について 群について 2週間経過例では也傷性変化としての充血が4例,出 血が1例,円形細胞浸潤が1例認められた.またその程 度は,垂敏から強度と様々であったo これらの者病変は 露髄部ならびに被験材に接する部位に限局して認められ たことから,主として処置時の器械的刺激,ならびに材 品応用時の外傷性因子に起因するものと思われた。また 修復性変化としての威痕化機転は全例に認められ,その 程度はいずれも中等度であった。 8週間経過例では損傷性変化としての充血が4例,円 形綿胞浸潤が3例認められた。また修復性変化としての 痴痕化機転は全例に認められ,その程度はいずれも中等 度であった。また,新生硬組織形成も全例に認められ, その程度は軽微から中等度と様々であった。さらに象牙 質塘形成が観察された症例は2例であったo 以上のことから組織反応の推移について考察すれば, 以下のようである.すなわち被験材応用当初,外傷性因 子に起因すると恩われる所見が認められたが,期間の延 長に伴い消適する傾向を示したOまた円形細胞浸潤は, 2週間経過例に比較して, 8週間経過例において発現例 数が多く認められたものの,その程度はいずれも軽微で あり,増悪する傾向は認められなかった。 ところで周知のように重合硬化物中には,未反応のモ ノマーが存在することが報害されており,これが歯髄へ の為害性,溶血性などに影響を及ぼすという報吾も見ら れる 今回用いた被験材も有機モノマーをベース とする可視光線重合型材量であることから,残留モノ マーの存在が推察され,この微弱な刺激が持続したもの とも考えられる。しかしながら,両期間群ともに全症例 に痴症化機転が観案されたことから, FLの残留モノ マーの刺激は,歯髄の痴痕化機転を何等阻害しないもの.
(6) 23. 歯科学報. 図1 FL群 症例 観察期間 病理組織成績 M :被験材 新生硬組織 Bv :充血. 図2 FL群 症例7 Lh 観察期間 良好 病理組織成績 M :被験材 NHt :新生硬組織 Cz :痴痘化 23-. 2週間 良好.
(7) 涯部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 図3 UB群 症例5 高璃 観察期間 2週間 病理組織成績 良好 露髄部 DF :象牙質削片 円形綿胞浸潤 Bv :充血 H :出血. 図4 UB群 症例10 j由 観案期間 病理組織成績 M Sp Rs Gt Inf. 8週間 概良. 被験材 化膿 髄腔壁象牙質吸収 肉芽組織 円形細胞浸潤. 一24-.
(8) 25. 歯科学報 VoL. と推察された。すなわち両期間群ともに,材晶自体に起. いる。すなわち, FLは酸化マグネシウムが配合された. 因すると患われる損傷性変化はほとんど観察されず,期 間の延長に伴い新生硬組織形成が観察されたことから, F Lは歯髄に対して無刺激性で,修復性機転を何ら阻害 しないばかりでなく,むしろある程度積極的に新生硬組. ことにより, UBに比較して材品自体の化学的安定性が. 織を形成させ待る材品であると考えられた。 群について UB啓では2週間経過例において,損傷性変化として の充血が全軋 出血が2例,円形細胞浸潤が4例,化膿 が2例認められた。また,その程度は車微から強度と. 向上しているものと思われた。 2) 病理組強成綾について 実験病聾学的検討における病理組織成績を一括表示す れば,表3, 4に示す通りである。すなわち, FL群で は2週間経過例, 8週間経過例ともに全例良好であっ た.一方, UB群では2週間経過例において,良好3 例,概良2例, 8週間経過例において良好2例,概良3. 様々であったo これらの病変は霧髄部ならびに被験材に 接する部位に限局しているものも見られたが,冠部歯髄. 例であった。. 中央部まで及んでいるものも観察された。一方,修復性 変化としての疲痘化機転は全例に観察され,その程度は 軽微から中等度と様々認められたが,過半数例が軽度以. 病理組織成績を示した。特にF L群は全例が良好であっ. 下であった。また髄腔壁象牙賛添加,髄腔壁象牙繋吸収 はいずれも3例に認められた。 一方, 8週間経過例においては,損傷性変化としての 充血が4例,出血が2例,円形細胞浸潤が4例,化膿が. すなわち今回応用した両被験材は,大多数例が良好な たことから,歯髄に対して緩和に作用し,新著な為害性 を有さないものと推察されたoしかしながら, UB君羊で は不良例は認められなかったものの, 2過間経過例, 8 週間経過例ともに約半数例が概良であった。すなわち, U BはF Lに比較して成績が若干劣る傾向を示した。. 表3 FL群 病聾組織成績総括. 3例に認められ,その程度は軽微から強度と様々であっ た。修復性変化としての疲痕化機転は全例に観察された が,その程度は大多数例が軽微であった。また新生硬組. 病理組織成績. 織形成,象牙質播形成は1例のみ,同一症例に認めら れ,その程度は軽度であった。さらに髄腔壁象牙薯添 加,髄腔壁象牙薯吸収は,いずれも4例に認められたo. 5. 5. 概. 良. 0. 0. 不. 良. 0. 0. 5. 5. 病理組織成績. 群, UB群の組織反応の相違について 両被験材に含有されている薬効成分は, F Lが酸化マ グネシウムであるのに対し, UBは水酸化カルシウムで. と,硬化型水酸化カルシウム製材の場合とでは,その組 織反応に相違を生じ,後者の場合では特に水酸化カルシ ウム製剤の特徴とされる象牙賛席の形成がやや遅延する 傾向にあるとされている。 このような剤品の不安定性から,近年同系統の酸化マ グネシウムが往目され,各種材品-配合されるに至って. 好. 表4 UB群 病聾組織成績総括. 性を有し,しかもそれが長期にわたって持続する傾向を 示した。また,新生硬組織形成が殆ど観察されなかった ことから,硬組織形成促進作用はF L群に比較して若干 劣る傾向を示した。. ある。周知のように水酸化カルシウムは高いpH値のた め,各種材品への配合が困難であることが知られてい る.すなわち,糊剤状の水酸化カルシウム製剤の場合. 8 週間経過例. 良. 症 例 総 数. 以上から組織反応の推移について考察すれば,以下の ようである。すなわち, UB群では応用当初の外傷性因 子に加えて,被験材自体によるものと思われる組織刺激. 2 週間経過例. 2 週間経過例. 8 週間経過例. 良. 好. 3. 2. 概. 良. 2. 3. 不. 良. 0. 0. 5. 5. 症 例 総 数. 4.小 括 の基本的生物学的性状を把擾する目的で, 木材を成猿歯髄に対して直接的に応用し,実験病聖学的 に検索した結果,以下のように総括することができたo 君羊では2週間経過例, 8週間経過例ともに,顔 著な損傷性変化は認められなかった。また全症例に痴痕 化機転が観察され, 8週間経過例では全症例に新生硬組 25-.
(9) 産部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 26. 織の形成が認められた。. は良好5例,概良5例であった。. 群では2週間経過例, 8週間経過例ともに充 血,出血,円形細胞浸潤が観察され,半数例に化膿が認. 以上からしてF Lを直接歯髄創傷面に対して応用した 場合,ほとんど組織障害性を有さず,塗物学的見地から 安全な材品であると思われた。. められた。すなわち,也傷性変化が長期にわたり残存す る傾向を示した.また,全症例に疲痕化が観察された が,その程度はFL群に比較し若干劣っていた。また新生 硬組織の形成が認められたのは1例のみであった。. 臨床病建学的検討 1.研究材料および方法 1) 研究材料. 3)病理組織成績はF L群では全症例が良好, UB君羊で. 表5 FL君羊 臨床所見および成績ならびに病理組織所見および成績 症. 午. 性. 部. 戟 蛋. 例. 劫 香. 臨 自. 発. 床. 所. 逮. 温 知 度 覚 的 過 敬. 和 冷. 間. 見. 鑑. 臨 打 診 不. 病 充. 出. 床. 円. 聾 化. 組. 織. 所. 壊. 癖. 髄 腔 壁 象 牙 薯 港 加. 形 細. 成. 痩. 脂. 快. : ;隻. 見 髄 腔 壁 象 守 賛 吸 収. 「.1 ラ. 齢. 1. 29. M. 甘. 7. 良. 捕. -. 潤 +. 2. 25. F. jJ. 9. 良. ≠. -. 】. 3. 20. F. 司1. 15. 良. 捕. ±. ±. i. ±. -. 4. 23. F. 蓬」. 25. 良. +汁. ≠. +. ∼. ±. ∼. 5. 23. F. La. 32. 良. +. +. -. ≠. 6. 48. M. jJ. 35. ≠. +. -. -. +. ±. i. 7. 25. F. jJ. 39. + 当 E] よ り3 日間 概 + 1 ー 当 目より 6 [∃間 概 ± I l ± 檀 20 日目よ り 3 冒間. ≠. -. +. I. +. -. +. 刺. 位. (日) 痛. +. 感. 水. 水. 感. 績. 血. 血. 膿 +. 】. ∼. 死 -. 化. 30. M. ⑥. 50. 良. 10. 50. F. 8I. 55. 良. ≠. ±. +. -. +. ll. 44. F. 甘. 57. 良. +. -. i. -. ≠. 12. 24. M. jJ. 76. + + 概 2 日目より3 日間. +. 】. i. -. -. 13. 21. F. 8l. 77. 良. ≠. -. ±. 14. 24. M. ≠. i. 15. 22. M. +. -. 16. 25. M. i8. 85. 17. 35. M. 且. 94. 良. ≠. 18. 51. F. A -. 95. 良. 19. 30. F. LBl. 110. 良. 20. 23. F. LB-. 114. 良. 21. 50. F. 8 1 125. L8 8l. 80 84. ±. -. i. 級 ノ 形 成. 脂 ノ / 形. ≠ +. +. + +. ∼. -. ±. 鶴 成 績. 図. 級 良. 図 5. 概 概. ∼. ±. 附. 成. -. 9. ±. 組. 質. -. 49. l十. 硬 組. ≠. 8+. -. 理. 牙. -. F. -. 象. 生. -. 49. ±. 新. ±. 8. +. 宿. 】. 良. 図 6. 良 概. 図 7. ±. 良. 図 8. +. 良. 図 9. -. -. 良. +. ∼. ±. ±. i. ≠. +. -. +. 良. I+. +. ∼. ±. -. 概. ±. -. ≠. +. ±. -. 良. 図 11. ±. -. ≠. +. -. ±. -. 良. 図 12. ±. 】. ≠. ≠. ±. ≠. -. ′ 良. 図 13. ±. +. -. ≠. +. ±. +. -. 良. 図 14. +汁. ±. +. ≠. +. -. +. -. 良. 図 15. +. i. ∼. +. ≠. -. +. 良 ′≠. -. -. +. l I 徳 より7 日間 + F ー 樵 10 日目より5 日間 + i 概 4 日目より 6 冒間. +. -. ∼. -. i. ≠. 良 図 10. 良. ≠. +. -. +. +. 良. ≠. ±. -. +. +. 良. 図 16. (読)良:良好,概:概良を示す. -26-.
(10) 歯科学報. 27. 2)研究方法. 採用した材品の処方は,前述の実験病理学的検討に用 いたものと同様である。被験歯としては,東京歯科大学. 本研究に採用した術式は,以下の通りである.すなわち. 千葉病院保存料臨床を訪れた年麻 歳の被験者から. 処置に先立ち, 2%リドカイン(歯科用キシロカイ. 待られた,臨床上健康と診断された智歯,転位歯,矯正. ン③,藤沢薬品工業社製)を用いて局所麻酔を図り,防. 治療上要抜去と診断されたと卜生活永久歯総数42例で,. 産を施した後,手術野をヨードチンキおよび局方70%エ. いずれも患者の諒解のもとに研究に供された。これらを. タノールにて清掃消毒,乾燥を施した。その後,各歯牙. 表5, 6に示すように,各被験材につき21歯ずっ応用し. に対してエアータービンハンドピース. た。. モリタ社製)およびダイヤモンドインスツルメント. 表6 UB群 臨床所見および成績ならびに病理組織所見および成績 症. 年. 性. 部. 秦 例 期 番. 臼 l〒. 臨. 戟 自. 発. 床. 逮. 別. 位. 見. 温 知 度 覚 的 過 敬. 和. 打 診. 濫. 充. 感. 水. 水. 感. ≠ ≠ ≠ 3 日 目よ り抜歯 日まで. 績. 「㌃. 7. 2. 20. F. 「丁. 8. 良. 3. 20. F. l可. 10. 4. 30. F. 匝l. 17. 5. 32. M F. ー 甘. 38. 7. 51. M. 千. 40. 8. 35. M. ⑧. 42. 9. 61. M. ∼. 46. 10. 23. F. L8. 61. ll. 27. F. JBJ. 63. +. 1 I 3 E] 目よ り 2 日間. 織. 壊. 廃. 不. 血. 潤. 膿. 新. 象. 理. 隻. 牙. 組. 痩. 管. 組 級 形/. 雁. -. +. -. -. -. 成. 形 ノ 成. -. ≠. -. -. ±. -. +. -. ∼. -. 良. 捕. -. ±. +. -. +. -. -. -. 不. -. -. -. 捕. -. -. -. -. 良. ≠. ±. ±. ∼. +. -. -. ∼. -. 概. +. ±. -. -. -. +. -. ±. -. -. 良. ≠. -. ±. -. -. +. ±. -. ±. -. -. -. -. 捕. -. -. -. ∼. 捕. -. +. +. -. ±. -. ±. -. -. -. -. -. +汁. +. -. -. -. +汁. -. +. ≠. +. ±. ≠. -. ≠ ±. -. ±. -. 良 1 + I 概 8 EjE] より 7 冒間 + l l 概 9 日冒より5 日間. ±. +. +. ±. -. -. -. -. ±. -. -. -. i. ≠. +. -. +. -. +. ±. ≠. 宜. 70. 13. 25. M. LL. 77. 14. 52. F. 甘. 80. 良. +. -. 15. 19. F. 85. 良. ±. -. 16. 19. F. 甘. 90. 良. +. -. +. -. 】. +. 17. 19. F. ⑧. 99. 良. +. -. +. -. -. +. 18. 19. F. Å. 100. 概. 捕. -. ±. -. -. 19. 51. F. Lap. 105. -. -. 捕. 20. 35. M. jJ. 112. 良. +. ∼. ±. 21. 23. M. LL. 133. 良. ≠. -. +. 概. ±. -. -. -. F. 附. 戟 成 症. 図. 良 概. 図 17. 概. 図 18. 不. +. -. 42. + 3 E] 首よ り 3 日間 + .+ I + 2 日冒より 7 日間. 髄 腔 !1 =≡ と 象 牙 薯 吸 収. -. + L+ I + 不 4 目白よ り20日問 + ∼ 不 2 日目より 8 日間 l I± 概 2 日目より3 日間. +. 宿. 化. 12. 8-. 見. 死. 症. 胞. 血. 所 髄 磨 靡 ≡ ヒ 象 守 繋 添 加. ご ∃ 症. F. 8l 21. 化. 組. 形. 成. 25. + + + + 6 El Ej より抜歯 日 まで. 円. 理. 細. 1. 44. 出. 床. 快. (日) 痛. 6. 病. 臨. 不 袷. 間 ㈲. 所. -. 良. 図 19. 良. 図2 0. 良 不 概 不 良. 図 21. 概. 図 22. 概 良. 図 23. 良. 図 24. 概. 図 25. -. -. -. +. -. +. -. 良. 図 26. +. -. -. +. -. 概. 図27. -. -. i. -. -. -. -. ≠. -. +. -. -. ≠. ±. -. +. 不 良. 図28. 良. (読)良:良好,概:概良,不:不良を示す. -27-.
(11) 28. 漢部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 松風社製)を用いて のI扱高渦を形 成し,滅菌等張食塩液を滴下しつつ,電気エンジンハン. 〔臨床成績判定基準〕 (1)成績良好:処置直後から抜歯臼に至るまで,全観察. ドピース モリタ社製)および恵径1.0 mmの滅菌スチールラウンドバ. 期間を通じて自他覚的不快症状を終始示さなかったか, たとえ示したとしても,その程度が軽微で1週間以内に. 社製)を用いて狭小な露髄面を作成した。そして滅菌等. 消失し,以後無症状に経過したものo (2)成績概良:処置後,軽微とはいえ不快症状が1週間 を超えて持続したもの。あるいは軽度ないし中等度の不. 張金塩液で該部を充分洗浄し,滅菌中綿球にて止血,乾 燥を行ったo次いで該郭に各被験材を可及的無圧下に壊 塞応用し,光照射器(コークPMライト 社製) にて30秒間光照射を行い,重合させた。その後,嵩洞の 修正を行い,ガッタバーチャ仮封材(ガッタバーチャ・ テンポラリーストッピング, GC社製)にて裏層,残余 の嵩洞に泉アマルガム充嬢を施し,処置を完了した。 3)観察方法 被験歯は処置直後から素養133日にわたる種々な期間. 快症状を現しても, 1週間以内に消失し,以後無症状に 経過したものo (3)成績不良:処置後,一時的でも強度の不快症状を発 現したか,または軽度ないし中等度の不快症状を1週間 以上持続したもの。あるいは種々な期間を経てから自他 覚的不快症状を発場し,しかもこれが1週間を経過して も緩解しないか,むしろ増悪したもの。. 臨床的に観察後,抜去し,直ちに10%中性ホルマリン水 溶液中に浸漬し, 2週間固定を行ったo次いで成績歯髄 応用例と同様に,適法に従いツェロイジン包埋切片標本 を作成し,へマトキシリン・エオジン複染色を施し,演 理組織学的検索を行った。. 以上の判定基準に従って,全被験例を各被験材群別に判 定した結果を表5, 6に示す。 2 )病理組織所見および成績. 臨床的観察にあたっては,できるだけ慮繁に患者の来 院を求め,自他覚的症状の有無,およびその経過,消長 などを詳細に記録した。. 6)痴痕化, 7)髄腔壁象牙賛添加, 8)髄腔壁象牙質 吸収, 9)新生硬組織形成 象牙質播形成などで あった.なお各所見の程度および成績の判定蓋準は,成 猿歯髄応用例の場合と同様である.全被験例の各被験材 群別に検討した結果を表5, 6に示す。. 2.研究結果 1)臨床所見および成績 臨床所見の記録にあたっては,臨床的不快症状の種類 を, 1)自発痛, 2)違和感, 3)冷水に対する温度的 知覚過敏, 4)濫水に対する濫度的知覚過敏, 5)打診 不快感の5種楽に分楽した。さらに,それら不快症状の 程度を,軽微(±),重度 中等度(≠),強度(捕)の 4段階に純分し,記録した。なお,各々の程度および成 績判定基準は,従来当教室で行われてきたこの種の研究 に準じて以下のように定め,全被験例を画一的に 調査した。 [程度判定基準] (1)軽放(±) :術者の精査により,初めて患者が臨床的 不快症状を感知し待たもの。 (2)軽度(+) :患者自身によって臨床的禾快症状が認知 されたが,しかし日常生活になんら支障を与えなかった もの。 (3)中等皮(≠) :比較的強い臨床的不快症状を示した が,患者が耐え待られたもの。 (4)強度(捕) :患者が臨床的不快症状に,もはや耐え待 られなかったもの。. 歯髄および象牙葉に観察された病変は, 1)充血, 2)出血, 3)円形編胞浸潤, 4)化膿, 5)壊死,. 次に各被験材群別に,その代表例について記述すれば 以下の通りである。 応用群 ・症例2 : 9日間経過例(図5) 臨床的には全観察期間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された。病聾組織学的には応用された被 験材直下の歯髄に充血を認めるも,廠症化が進捗してお り,成績良好と判定された. ・症例 日間経過例(図6) 臨床的には全観察期間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定されたo病理組織学的には被験材直下の 歯髄に充血を認めるも,痴痕化が進捗しており,成績良 好と判定された。 ・症例 日間経過例(図7) 臨床的には処置当日より6日間,重度の冷水に対する 温度的知覚過敏を発壊し,成績概良と判定された。病理 組織学的には露髄部直下の歯髄に化膿が観察され,周囲 には肉芽組織の増産が認められる。以下の歯髄に充血を 認めるも,痴痕化が進捗しており,成績概良と判定され た。. -28-.
(12) 歯科学報. ・症例 冒間経過例(図8) 臨床的には処置後 目より3日間,軽激の違和感, 打診不快感,ならびに軽度の自発痛を発現し,成績概良 と判定された。病理組織学的には応用された被験材に接 して,肉芽組織の増生が観察される。以下の歯髄は痴痘 化が進捗しており,成績良好と判定された。 ・症例 日間経過例(図9) 臨床的には全観察期間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された。病理組織学的には露髄郭直下の 歯髄には新生硬組織の形成が観察され,以下の歯髄に充 血,出血,円形細胞浸潤を認めるも,疲症化を来してい るO さらに髄腔壁には象牙賛添加が認められ,成績良好 と判定された。 ・症例 日間経過例(図10) 臨床的には処置後2日目より3日間,軽度の冷水,な らびに温水に対する温度的知覚過敏を発現し,成績概良 と判定された。病理組織学的には応用された被験材に接 して新生硬組織の形成が観察され,これが処置時に迷大 した象牙察削片と癒合しているのが認められる。 J以下の 歯髄に充血を認めるも,髄腔壁象牙賛添加ならびに痴痕 化が進捗しており成績良好と判定された。 ・症例 日間経過例(図11) 臨床的には処置後7日目より7日間,軽度の冷水に対 する温度的知覚過敏を発環し,成績概良と判定された。 病理組織学的には被験材直下の歯髄には,充血,円形細 胞浸潤が観察されるも,以下の歯髄は疲痕化が進捗して いる.また,周囲の髄腔壁には象牙賛添加が観察され成 績良好と判定された。 ・症例 日間経過例(図12) 臨床的には処置後10日目より5日間,軽度の冷水に対 する温度的知覚過敏を発現し,成績概良と判定された. 病理組織学的には応用された被験材に接して,新生硬組 織の形成が観察される。以下の歯髄に充血 円形細胞浸 潤を認めるも,痴痕化が進捗しており,成績良好と判定 された。 ・症例 日間経過例(図13) 臨床的には処置後4日目より6 E]間,軽度の自発病を 発現し,成績概良と判定された.病聖組織学的には応用 された被験材に接して,新庄硬組織の形成が観察され るo以下の歯髄に充血,円形細胞浸潤を認めるも,戚痕 化が進捗しており,成績良好と判定された。 ・症例 日間経過例(図14) 臨床的には全観察期間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された。病理組織学的には応用された被. 29. 験材に接して,新生硬組織の形成が観察される。以下の 歯髄に充血,出血,円形細胞浸潤を認めるも,痴痕化が 進捗しており,成績良好と判定された。 ・症例 日間経過例(図15) 臨床的には全観察親間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された。病理組織学的には応用された被 験材に接して,新生硬組織の形成が観察されるO以下の 歯髄に充血,出血 円形細胞浸潤を認めるも,痴痕化が 進捗しており,成績良好と判定された。 ・症例 日間経過例(図16) 臨床的には全観察斯間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された。病理組織学的には応用された被 験材に接して,新生硬組織の形成が観察される。以下の 歯髄に象牙繋癌を認め,充血,円形細胞浸潤が観察され るも痴痕化が進捗しており,成績良好と判定された。 応用群 ・症例2 : 8日間経過例(図17) 臨床的には全観察期間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された。病理組織学的には露髄部表層に 化膿が観察される。 J以下の歯髄に充血を認めるも,疲痘 化を来しており,成績概良と判定された。 ・症例 日間経過例(図18) 臨床的には全観察期間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された。病理組織学的には霧髄部直下に は,化膿が観察される。以下の歯髄に充血 円形細胞浸 潤を認めるも,疲症化が進捗しており,成績概良と判定 された。 ・症例 日間経過例(図19) 臨床的には全観察斯間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された。病理組織学的には応用された被 験材直下の歯髄に充血 出血,円形細胞浸潤を認める も,廠痕化が進捗しており,成績良好と判定された。 ・症例 日間経過例(図20) 臨床的には処置後3日目より2日間,軽度の違和感を 発現し,成績概良と判定された。病理組織学的には応用 された被験材直下の歯髄に充血が観察されるも,廃疾化 が進捗しており,成績良好と判定された。 ・症例 間経過例(図21) 臨床的には全観察期間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された.病丑組織学的には応用された被 験材に接して,新生硬組織の形成が観察され,これが処 置時に迷大した象牙愛別片と癒合しているのが認められ る。以下の歯髄に充血,円形細胞浸潤,髄腔壁象牙賛吸 収が観察されるも,痴痕化が進捗しており,成績良好と 29-.
(13) 30. 産部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 判定された。. り,成績概良と判定されたO ・症例 日間経過例(図28). ・症例 日間経過例(図22) 臨床的には処置後8日目より7日間,軽度の冷水に対 する温度的知覚過敏を発現し,成績概良と判定された。 病理組織学的には応用された被験材直下に化膿が観案さ れるo以下の歯髄に充血,出血,円形編胞浸潤が観察さ れるも,髄腔壁象牙賛添加ならびに癖疲化が認められ, 成績概良と判定された。. 臨床的には全観察新聞を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された。病理組織学的には応用された被 験材に接して新庄硬組織の形成が観察され,その周囲に は肉芽組織が認められる。以下の歯髄に充血,円形編胞 浸潤が認められるも,疲痕化が進捗しており,成績良好 と判定された。. ・症例14 : 80日間経過例(図23). 3. % * 1 )臨床所見について 表5, 6に示す通り,症例総数42例中術後に何らかの. 臨床的には全観察斯間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定されたo病聖組織学的には応用された被 験材に接して,新庄硬組織の形成が観察され,これが処 置時に迷大した象牙薯削片と癒合しているのが認められ る.以下の歯髄に充血,円形編胞浸潤が観察されるも, 髄腔壁象牙賛添加ならびに痴痕化が進捗しており,成績 良好と判定された。 ・症例 日間経過例(図24) 臨床的には全観察期間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された。病理組織学的には応用された被 験材直下の歯髄に充血,円形綿胞浸潤が観案されるo ま た,処置時に迷大した象牙賛削片が観察され,以下の歯 髄は痴痕化が進捗しており,成績良好と判定されたo. 不快症状を惹起したものは17例であった。その内訳は FL群7例, UB群10例であった。また発現した不快症 状は,分類した5種頚のものすべてが観案されたが,大 多数例が冷水に対する濫度的知覚過敏であったo また,本研究において発窮した不快症状の程度は, F L群においては全症例が垂微あるいは軽度例であった が, UB群においては中等度,強度例も観察されたo持 続期間については1週間を超えるものがFL群では皆 無, UB君羊では3例観案された。一方,禾快症状の発塊 状況は,単独の場合が10例, 2種併発が2例, 3種併発 が4例, 4種併発が1例であった。 すなわち今回使用した被験材は,いずれも冷水に対す. ・症例16 : 90日間経過例(図25) 臨床的には全観察期間を通じて終始短症状に経過し, 成績良好と判定された。病理組織学的には応用された被 験材直下に組織欠損が観察され,その周囲には肉芽組織 の増生が認められる。以下の歯髄に充血,円形細胞浸潤. る濫度的知覚過敏を発現しやすい傾向が認められたが, その程度についてはF L群の方がUB群より軽度であっ た。. が観察されるも癖痕化が認められ,成績概良と判定され た。 ・症例17 : 99日間経過例(図26) 臨床的には全観察斯間を通じて終始無症状に経過し, 成績良好と判定された。病理組織学的には応用された被 験材に接して,新生硬組織の形成が観察され,これが処 置時に迷大した象牙寛削片と癒合しているのが認められ る。以下の歯髄に充血,円形編胞浸潤が観察されるも, 痴痕化が進捗しているQまた周園の髄腔壁には象牙賛添 加が観察され,成績良好と判定された。 ・症例 日間経過例(図27) 臨床的には処置後3日目より3日間,重度の違和感, および軽微の冷水に対する濫度的知覚過敏を発現し,成 績概良と判定された。病理組織学的には応用された被験 材に接して,組織欠損が観察されるも,新生顔組織が認 められ,これを肉芽組織が被包しているo以下の歯髄に 充血,円形細胞浸潤が観察されるも,疲痕化を来してお. 2)臨床成篠について 本研究において待られた臨床成績を-括表示すれば, 表7の通りである。 すなわち, F L群では全例が良好例あるいは概良例で あった。一方, UB群では大多数例が良好例あるいは概 良例を示したが, 4例に不良例が観察されており,病理 組織学的には良好1例,概良1例,不良2例であった。 これらの症例における不快症状の発魂は,いずれも術直 後ではなく数日を経て発覚したことから,材品憂金後, 数日経過後に歯髄に何らかの器覚的変化が生じた可能性 も推察された。 ところで従来より当教室で実施されてきた,各種歯内 療法材(刺)品に関する臨床病聾学的検討結果33)璃 司3) より,代表的な材(刺)晶の不快症状発現率ならびに臨床 的成功率を調査し,一括表示したものが表8である。 すなわちF L群の不快症状発寛率は,水酸化カルシウ. -30-.
(14) 歯科学報. 31. 図5 FL群 症例 2 25歳 F jJ 観案期間 9日 臨床成績 良好 病聾組織成績 良好 M :被験材 Bv :充血. 図6 FL群 症例 5 23歳 観察期間32日 臨床 成績 良好 病理組織成績 良好 M :被験材 Bv :充血 -31-.
(15) 産部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 図7 FL君羊 症例7 25歳 観察期間 39日 臨床成績 概良 病理組織成績 概良 Exp :霧髄部 Sp :化膿 Gt :肉芽組織 Bv :充血. 図8. FL群 49歳 F 博一. 臨床成績 概良. 症例 8 観察期間 49日 病聾組織成績 良好. M:被験材 Gt :肉芽組織 32-.
(16) 歯科学報. 33. 図9 FL君羊 症例 9 30歳 観察親間 50日 臨床成績 良好 病理組織成績 良好 霧髄部 新生硬組織 Bv :充血 H :出血 円形細胞浸潤 Cz :痴痕化 Rd :髄腔壁象牙繋添加. 図10 FL君羊 症例12 24歳 M jJ 観察期間 76日 臨床成績 概良 病理組織成績 良好 M :被験材 新生硬組織 DF :象牙質削片 Bv :充血 Rd :髄腔壁象牙質添加 Cz :痴痕化 -33.
(17) 涯部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 図11 FL君羊. 24歳 臨床成績 概良 M Bv Inf. Cz Rd. 図12 FL群 症例15 22歳M jJ 観案期間 84日 臨床成績 概良 病理組織成績 良好 M :被験材 新生硬組織 Bv :充血 円形細胞浸潤 Cz :癖症化 -34一. 症例14 観察期間 80日 病聾組織成績 良好. 被験材 充血 円形細胞浸潤 顧痕化 髄腔壁象牙賛添加.
(18) 歯科学報. 35. 図13 FL君羊. 25& M La 臨床成績 概良. M:被験材 新生硬組織 Bv:充血 円形細胞浸潤 Cz :痴症化. 図14 FL群 症例17 35歳 M L旦 観察斯間 94日 臨床成績 良好 病理組織成績 良好 M :被験材 新生硬組織 Bv :充血 H :出血 円形細胞浸潤 Cz :痴痕化 -35. 症例16 観察期間 85日 病理組織成績 良好.
(19) 涯部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 図15 FL群 症例18 51歳 F A 観察斯間 95日 臨床成績 良好 病理組織成績 良好 M :被験材 新生硬組織 Bv :充血 H :出血 円形編胞浸潤 Cz :戚痘化. 図16 FL群 症例 20 23歳 F L旦 観察斯間114日 臨床成績 良好 病聾組織成績 良好 M :被験材 新庄硬組織 Dc :象牙 癌 Bv :充血 円形糸田胞浸潤. Cz :癖痕化 36.
(20) 歯科学報. 37. 図17 UB群 症例 2 20歳 F 「f 観察新聞 8日 臨床成績 良好 病聾組織成績 概良 Exp : S%S Sp :化膿 Bv :充血. 図18 UB群 症例 3 20歳 F 甘 観察期間 臨床 成績 良好 病理組織成績 概良 露髄部 Sp :化膿 Bv :充血 円形細胞浸潤 ー37.
(21) 鹿部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. ∩口. 521. 願顕新. 例間 症期. 潤 浸 胞. 材 純化 験血血形痕 被売出円疲. MFq >Hmc. 材 化. 験血痕 被充痴. M翫C. 38. 通績績. U32臨病. 44歳 F 「㌃ 観察期間 38日 臨床成績 概良 病理組織成績 良好. M威服 蛸歳床醜. 図20. UB群.
(22) 歯科学報. 39. 図21 UB群 症例11 27歳 F 亜 観察期間 63日 臨床成績 良好 病理組織成績 良好 M :被験材 新生硬組織 DF :象牙質削片 Bv :充血 円形綿胞浸潤 Rs :髄腔壁象牙寛吸収 Cz :疲痕化. 図22 UB君羊 症例12 42歳 観察期間 70日 臨床成績 概良 病理組織成績 概良 M Sp Bv H Imf. Rdー. 被験材 化膿 充血 出血 円形細胞浸潤 髄腔壁象牙質添加 - 39.
(23) 産部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 図23 UB群 症例14 52歳 F 甘 観察期間 臨床成績 良好 病理組織成績 良好 M :被験材 新生硬組織 Bv :充血 Inf :円形糸田胞浸潤 Rd :髄腔壁象牙質添加. F績. 9臨. 群 成. U1. B歳床. 図24 症例15 観察期間 85日 病理組織成績 良好. 団 良好. 潤. 浸片 胞削 材 柏葉化 験血形牙痕 被充円象廠. MP3>mD Fc. -40 一.
(24) 41. 歯科学報. 図25. UB群 19歳 F 「㌃ 臨床成績 良好. M:被験材 Df :組織欠掻 Gt :肉芽組織 Bv:充血 円形細胞浸潤 Cz :痴痕化. 図26 UB群 症例17 19歳 F 甘 観察斯間 99日 臨床成績 良好 病理組織成績 良好 M :被験材 新生硬組織 DF :象牙賛削片 Bv :充血 円形細胞浸潤 Cz :痴痕化 Rd :髄腔壁象牙質添加 41 -. 症例16 観察期間 90日 病理組織成績 概良.
(25) 涯部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 図27. UB群 19歳 F L星 臨床成績 概良. M:被験材 Df :組織欠損 新生硬組織 Gt :肉芽組織 Bv:充血 円形細胞浸潤 Cz :疲痕化. 図28 UB君羊 症例 20 35歳 M 3J 観察期間112日 臨床成績 良好 病理組織成績 良好 M :被験材 NHt :新生硬組織 Gt :肉芽組織 Bv :充血 円形細胞浸潤 Cz :疲痕化 -42 一. 症例18 観察期間 病理組織成績 概良.
(26) 歯科学報. 95, No. 1 (1995). ム系,アパタイト系,さらにエポキシ樹脂系よりも若干. 43. 多数例に観察された。. 高い傾向を示すものの,従来の話材(刺)品と比較した場. 程度: FL群においては軽度(+)から強度(価)の3種. 合,特に遜色はないものと考えられた。一方, UB群で. 類, UB群においては軽微(±)から強度(捕)の4種薬で. はパラホルム系以外の他の全ての材晶に比較し,高い禾. あり,両群間に大きな差異は認められなかった。. 快症状の発塊率を示した。さらに臨床的成功率はF L群. 観察親間別発≠射犬況:両被験材ともに全観察新聞,ほ. では であり,従来の材(刺)品に比較して同等,あ. ぼ同様な発寛傾向を示し,両群間に顕著な差異は認めら. るいはより優れた結果を示した。しかしながらUB群で. れなかった。 大概 はコンポジットレジンおよびモノマー単. は,他の諸材(剤 に比較して若干劣る結果を示した。 したがってF LはUBに比較し,臨床的禾快症状の発. 体を成績歯髄に対して間接的に応用し,病理組織学的に. 現という観点からは,若干刺激が緩和な材孟であると考. 検索を行った。その結果 応用群. えられた。. には術後3日,および30日間経過例において高度な充血 が観察されたと報吾している.本研究では多数例に充血 が観察されたことから,未重合層における残留モノマー. 表7 臨 床 成 績 総 括 臨. 症. 床. 成. 績. の溶出が本病変発現の一因となっていることも考えられ. F L 群. U B 群. 良. 好. 14. ll. 概. 良. 7. 6. 不. 良. L 0. 4. 21. 21. 例. 総. 数. る。しかしながら久保ら は,本病変が抜歯時の 器械的刺激によっても惹起され待ることを報害しており, 本研究において認められた充血が,すべて被験材の影響に よるものと断定することは,困難であると恩われた。 (2)出血について 発現例数: FL君羊においては7例, UB群においては 3例に観察された。 程度:両群ともに軽微(±),軽度(+)の2種黄であっ. 表8 不快症状発現率および臨床的成功率. た。 被験材 (刺)品. 不快症状発 項率. 臨床 的成功率. 4∼36%. 76∼ 100%. ユー ジノ】ル系. 観案斯問別発環状況: U B群においては観察期間の延 長に伴い,漸次消退傾向を示していた.またFL群では UB群に比較し,本病変が若干多く発窮する傾向を示し. 水酸化カルシウム系33)璃6). 12∼16%. 10000. パ ラホル ム系. 32∼60%. 96∼ 100%. エポキ シ樹脂系. 29%. 96%. アパ タイ ト系. 16%. 96%. F L. 33%. 100%. このような本剤の有する基本的性状から,本研究におい. 81%. てもF L群に配合されている酸化マグネシウムの影響が. 48%. U B. ていた。 ところで枝 は,成犬歯髄に対し酸化マグネシ ウムを直接的に応用し,病理組織学的検索を行った結 莱,出血性変化が多く観察されたことを報吾している。. 関与しているものとも考えられる。また,本研究におけ. (荏)臨床的成功率とは成績良好および概良例の割合を合 算したものである.. る成猿歯髄に対する実験病理学的検討では,本病変が1 例のみに認められたが,その程度も軽度で,木材青封こ特 有な反応とは考え難かった。. 3)病理組織所見について 病聖組織所見を考察するにあたり,著者は便宜上観察. なお先に当教室の青木 は,本剤を配合した新. 期間を3群に大別した。すなわち処置直後から40日を短. 根管充嚢材について,成犬の根管を用いて検索を行って. 報間 目を中期問, 81日以上を長期間とした。こ. いるが,被験材中の酸化マグネシウムの含有量と,根端. れに従って本研究の結果得られた病理組織所見を総括す. 部周囲組織の出血性変化との間には,何ら相関が見出さ. れば,表 に示す通りである。 Jar,本研究におい. れなかったと報害した。 これらのことから,酸化マグネシウムが配合成分とし. て観察された各種病変について考察を加える。. て応用された材品の場合,本剤の有する直接的な作用. (1)充血について 発現例数: FL群においては全例, UB群においては. が,ある程度滅弱される可能性も推察されたo. 一 43 -.
(27) 産部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 44. 表9 FL群 病理組織所見総括 症 病 理 組 織 所 見. 例 紘 数. 発 覗 例 敬. 日間経過例. ±. 血. 21. 出. 血. 7. 5. 円形 細 胞 浸 潤. 12. 4. 1. 1. 5. 3. 1. 3. 0. 7. 膿. 壊. 死. 疲. 痕. 化. (7). +. 充. 化. 日間経過例. (7). 1. ≠. 捕. 3. 3. 2 1. ∼. ±. + 4. 4. 3. 3. 3. 6. 1. 81冒間以上経過例 .. ≠. 捕. 髄腔壁象牙薯添加. 12. 6. 1. 商腔壁象牙賛吸収. 9. 4. 1. 新 生 硬組 織 形 成. ll. 6. 1. 象牙 宴 席 形 成. 2. 7. 2. 1. +. 5. 2. 2. 3. ≠. +汁. 3. 1. 2. 7 7. 2. 3. 2. ±. 3. 7 3. -. 3. 21 21. (7). 4. 7. 2. 1. 4. 1. 1. 3. 3. 1. 5. 2. 4. 1. 2. 1. 7. 5. 4. 1. 5. 1. 2. ( )内は当該観案期間の被験例数. 表 群 病理組織所見総括. 病 理 組 織 所 見. 症. 発. 例 紘 敬. 覗 例 数. 冒間経過例 (7) ±. I. 日間経過例. ≠. 捕. 】. 3. 1. 2. 1. 2. 6. つ. 4. 3. 2. 2. 2. 8. 4. 1. 3. 1. 1. 1. 7. 化. 17. 1. 髄 腔壁 象牙 葉 添加. 6. 6. 髄 腔壁 象牙 賛 吸収. 5. 新生硬組織形成 象 牙 質 播 形 成. 充. 血. 16. 2. 出. 血. 3. 5. 円 形 細 胞 浸 潤. 14. 化. 畢. 壊. 死. + 1. 1. 1. 痕. ±. 6. 21 痴. 8 1 日間以上経過例. (7). 6. +. (7) ≠. 捕. 2. 2. 2. 2. 1. 5. 1. 1. 6. 1. 5. 2. 6. 6. 1. 5. 0. 7. 2. 7. 1. +. 1. 3. 3. 3. ≠. +汁. 1. 1. 7 1. 1 2. 1. 2. ±. 6. 1. 7 1. 1. 4. 4. 1. 5. 1. 4. 2. 2 1 3. 7. ( )内は当該観察新聞の被験例数. また,木病変も充血と同様に器械的刺激によっても,. 発現例数: FL君羊においては12例, UB群においては. 発窮することが指摘されており さらに今回観察され. 14例に観察された。. た変化は,いずれも軽度以下であったことから, FL. 程度:両群ともに垂微(±),軽度 ならびに中等 皮(≠)の3種美亘であった。. 群, UB群ともに特に憂うべき問題点を有さないものと 考察された。. 観察期間別発現状況:両群とも,応用期間の長短に拘 わらず観察された。. (3)円形細胞浸潤について -44.
(28) 歯科学報. 45. 95.. 今回用いた両被験材は,可視光線重合型の裏層材であ. は壊死層が形成される。これは一般的に水酸化カルシウ. り,本重合型の場合,重合硬化物中に未反応のモノマー. ムの有する強アルカリ性に由来するものであると言われ. が残留することは以前から報吾されている.すなわち門. ている。ところで大和田 は ⑪VLC. 磨ら は可視光線重合型の製品で の残留. ⑪および を用いて,表層のⅩ線光電. モノマーが存在すると述べ,平林ら も化学重合. 子分析および原子吸光分析を行い,両者の間に水酸化カ. 型レジンに比較し,可視光線重合型レジンは光線が到達. ルシウム溶出室の差異が認められることを報吾したoま. しにくい高底部において,硬化体中に存在する未反応モ. た,両被験材を成猿歯髄に対して直接的に応用し,病理. ノマーが, 2乃至7倍多いと報吾しているo. 組織学的に検索を行った結果,壊死層の形成は少数例に. さらに古屋 は,コンポジットレジンのモノ. のみ観察されていた.さらにTamら は数種の. マー単体を成犬歯髄に対して間接的に応用し,透過型電. 可視光線硬化型材品を用いて,硬化後の表面のpH値. 子顕放鏡および走査型電子顕微鏡を用いて検索を行っ. の測定を行った。その結果, 1ペーストタイプの のpH値は5. 5から7. 4の間で. た。その結果 ⊃MA応用群では術後120 日間経過例においても,象牙芽細胞に変化が認められた. あったと報害している。 したがって水酸化カルシウムが含有されている材品で. と報吾している。本研究で観察された円形細胞浸潤は, 両群ともに大多数例が材品応用部直下に限局して観察さ. も,組成などにより表層のカルシウム溶出量ならびにp. れ,深部への拡大傾向は認められなかった。したがって,. H値が異なる可能性があるものと思われる。本研究にお. 材 重合後に未反応の残留モノマーが存在し,これが溶出. いても,水酸化カルシウムを含有するUB群で壊死が1. した結果,本病変が発現した可能性を有するものと推案さ. 例のみに認められた。しかしながら,本剤特有の壊死層. れた。. の形成とは言い難く,材品の有効成分が他の配合材品に 覆飾される可能性を有するものと考えられた。. (4)化膿について. 一方,酸化マグネシウムも で強アルが)性を. 発項例数: FL群においては5例, UB群においては. 示し,水酸化カルシウムと同様の性葉を有しているが,. 8例に観察された. 程度: FL群においては軽微(±),軽度(+)の2種. F L君羊においても壊死層の発寛が皆無であった。 したがって本研究の結果から,今回用いた両被験材. 幾, UB群においては軽微(±),軽度(+)ならびに強度. は,従来からの水酸化カルシウムや酸化マグネシウムが. (≠)の3種楽であったo 観察期間別発現状況: F L群においては観察期間の延. 配合されている材品とは,配合形態が異なっている可能. 長に伴い漸次消退傾向を示し,長新聞経過例においては. 性を有することが推察された。すなわち,通常材品が重. 皆無であった。一方, UB群では中期間経過例において. 合した後も,未重合層から水酸化カルシウムならびに酸. 鼻も多く観察されていた。. 化マグネシウムが溶出するものと患われるが,その有効. F L群においては発現例数も比較的少なく,その程度. 濃度は糊剤状の剤(材)品よりも可成り減少すると推察さ. も軽度以下であったO また,長期間経過例では観察され. れることから,これが壊死層の形成には開与しないもの. なかったことから,特に憂うべき問題点を有さないもの. と考えられた。 (6)痴痕化について. と思われた。. 発現例数: FL群においては全症例, UB群において. 一方, UB群においては強度例が4例観察され,長期間 経過例でも認められたことから, UBはFLに比較し,起. も過半数例に観察されたo 程度:両群ともに軽放(±),軽度 ならびに中等. 炎性が若干高い材鼠であることが推察されたo. 皮(≠)の3種革であったO. (5)壊死について. 観察新聞別発現状況:両群とも,全観察斯間を通じて. 発現例数: FL群においては皆無, UB群においては. 高頻度に観察された。. 1例のみに観察されたo. 周知のように歯髄組織の廃疾化機転は,歯髄創傷の修. 程度:重度(+)であった。 観察期間別発現状況:中期間経過例において観察され. 復状態を示す指針として,極めて重要な意義を有してい る。今回用いた被験材は裏層材であり,不束性霧髄に対. た。 周知のように水酸化カルシウムを単味あるいは製剤と. して応用することを考慮した場合,痴痕化機転は最も重. して直接的に歯髄に応用した場合,これに接した歯髄に. 要な病理組織変化であると思われる。本研究においては. -45-.
(29) 産部:酸化マグネシウム配合光重合型裏層材に関する研究. 46. 両群ともに,大多数の症例に本機転を発現した。特にF. よるものか否かを考察することは困難なものと思われた。. L群においてはUB群に比較して発寛例数が多く,全症. (9)新生硬組織ならびに象牙宴席形成について. 例に認められており,しかも観察期間の延長に伴い,そ. a)新生硬組織形成. の程度も若干増加する傾向を示した。したがってFLは UBに比較して,歯髄創傷の治癒機転をより阻害しない. 発現例数: U B群に比較しF L群では高頻度に観察さ れた。. 材品であると考えられた。. 程度: FL群においては軽微(±),重度 ならび. (7)髄腔壁象牙薯添加について. に中等度(≠)の3種類, UB群においては軽放(±),餐. 発現例数: UB群に比較しF L群では高額度に観察さ れた。. 皮(+)の2種楽であった. 観察期間別発現状況:両群とも,観察期間の延長に伴. 程度: FL群においては垂微(±),軽度 ならび. い漸次増加傾向を示し,特にF L群においては長期間経. に中等度(≠)の3種楽, UB君羊においては軽微(±),軽. 過例全症例に観察された。. 皮(+)の2種幾であった。. b)象牙賛播形成. 観察期間別発き射犬況:両君とも観察斯問の延長に伴 い,漸次増加傾向を示した。. 皆無であった。. 発現例数: FL群において2例観察され, UB群では. 本機転は,露出歯髄創傷部における硬組織形成による. 程度:いずれも重度(+)であった。. 修復状態を示す目安として重要な意義を有している。す なわち露髄部周囲の象牙薯に対する二次的な象牙寛の添. 観察期間別発現状況:いずれも長期間経過例に観察され たo. 加により該部が狭小化し,終局的には霧髄部の閉亀に至 るとされている。. 新生硬組織形成の初発時期は, F L群で35日間経過 後, UB群で40日間経過後であり,両群問に薗著な差異. 本研究においては,本機転のみによる霧髄部の閉負は. は見出されなかった。またFL群では84日間経過例以降. 認められなかった。しかしながら両群ともに,本機転と. は,全症例に新生硬組織形成が観察されたのに対し,. 材孟由来と思われる新生硬組織との癒合により,露髄部. U B君羊では長期間経過例中3例に観察されたのみであっ. を閉鎖しつつある症例も観察されたo特に本研究では,. た。したがってFLはUBに比較して,新生硬組織形成. F L群において本機転が高虜度に観察された。したがっ. を促進させやすい材品であると考えられた。. てFLはUBに比較し,本機転をより進捗させるものと. ところで今回用いた被験材には,歯髄に対して硬組織. 推察されるが,本機転は嵩洞形成などの外来刺激によっ ても,惹起され待ることが知られている したがって. 形成促進作用を有する水酸化カルシウム,ならびに酸化 マグネシウムが配合されている。壊死の項目で述べたよ. 被験材以外の種々な因子によっても,影響をうける可能. うに,被験材直下に壊死層の形成は認められず,観案さ. 性があるものと思われた。. れた硬組織が,被験材に直接接触する形態を示した。し. (8)髄腔壁象牙質吸収について. かしながら観察期間の延長によっても,その厚径が増大. 発現例数: F L群で若干その発現例数が多く観察され た。. している症例は観察されなかった。 本研究において観察された新庄硬組織の形成形態は,. 程度: FL群においては軽微(±),軽度(+)の2種. 壊死層が認められなかったことから,一部の硬化型水酸. 楽, UB群においては軽微(±),中等皮(≠)の2種寿で あった。. 化カルシウム製材やハイドロキシアパタイトなどの生体. 観察期間別発現状況:両群とも観察期間の長短に拘わ らず観察された。. 形成の初発時期については,各種水酸化カルシウム製剤. 材料に車似したものであった。しかしながら新生硬組織 (材)についての研究成績33ト と比較した結果,これ. 本機転は歯髄創傷の修復過程において,単に髄腔壁象. ら剤(材)宗より若干遅延する傾向が認められた.また,. 牙質の改造機転として認められることもあり,処置後に. F L群においては象牙宴席の形成が2例観察されたが,. 形成された肉芽組織に由来する破歯細胞により惹起され. いずれも被験材に直接添加した新生硬組織が,髄腔壁添. ると思われる。本研究においても,形成された肉芽組織. 加象牙質と痴合することによる,いわゆるI型Cの席を 形成52)していた。. と接する部位の髄腔壁象牙薯に,吸収機転の発現が観察 された。 したがって本研究においては,すべてが被験材の影響に. ところで材品の表層成分と組織反応との関係について は,加我ら が ⑱ ⑱を用いて. -46 -.
(30) 歯科学報. 47. 細胞毒性試験を行い,重合後の表層からの水酸化カルシ. られた.しかしながら,コンポジットレジン修復におけ. ウムの溶出が 象牙質雁)の形成に関与. る材料の刺激は,一過性であるとの報吾もあり 今回. する可能性を示唆している。また,同種の材鼠を応用し. の検索では長新聞経過例が全例良好であったことから,. た場合の硬組織形成を検索した研究では ら. 期間の延長に伴いそれらの刺激は消失し,修復性変化が. が成績歯髄に対して ③ ⑪を. 発窮するものと恩われた。一方, UB群では長期間経過. 直接的に応用し 日間経過例においてほとんどの. 例においても概良が2例,不良が1例認められた。 大串ら はコンポジットレジン修復時におい. 症例に象牙質雁の形成が認められたと報吾している。 さらに大和田 は ⑪およ. て,硬化型水酸化カルシウム製材がレジンの重合を阻害. び を成績歯髄に対して直接的に応用し,. する可能性を有していることを示唆している。 UBも光. 病理組織学的に検索を行い,両被験材の治癒経過の差異. 照射による重合硬化物であり,水酸化カルシウムを含有. について言及した。すなわち,可視光線重合型の裏層材. することにより重合性が低下する可能性も考えられる。. であっても硬化体の表層あるいは溶出成分中にカルシウ. 長親間経過例において認められた概良例および不良例. ムが充分含有され,それが有効に作用するならば,水酸. は,配合材孟中の水酸化カルシウムの影響による垂合性. 化カルシウム製剤特有の組織反応が斯待できると述べて. の低下が,一因となっている可能性も推察されたo 以上からFLは,時日の経過とともにその刺激性が緩. いる。 以上のことから壊死層の形成と同様に,新生硬組織の. 和となり,歯髄の自然治癒を何等阻害することなく,む. 性状も硬化体表層のpH値や,水酸化カルシウムあるい. しろある程度積極的な治癒を招来せしめる材品であると. は酸化マグネシウムの濃度に密接な関係があるものと推. 考えられた。 -方, UBは長期にわたり多少の刺激が残. 察された。すなわちFLはUBに比較して,材品表層に. 留し,歯髄の治癒を大きく阻害することはないものの,. 有効成分がある程度覆飾されることなく存在し,これが. 積極的な治癒促進には若干乏しい材品である可能性が示. 歯髄に対して効果的に作用しているものと考えられた。. 唆された。. しかしながら新生硬組織の形成程度は,従来の酸化マグ ネシウムを含有した糊剤状剤 に比較すると可成り弄薄. 4.小 括 可視光線重合型裏層材であるF LならびにUBをと卜. で,象牙宴席の形成という観点からは優れた材且とは言 い難いものと思われた。. 歯髄創傷面に対して直接的に応用し,臨床病理学的に検 索した結果,以下のように総括することができた0 1.臨床的不快症状の発現はFL群では7例において. 4)病理組穐成産について 本研究における病聖組織成績を一括表示すれば,義ll. 詰められ,大多数例が冷水に対する濫度的知覚過敏であ. の通りである。すなわちF L群では症例総数21例中,良. り,その程度も軽度であった.一方, UB群では10例に. 好16例,概良5例,不良皆無であった。また, UB群で. 臨床的不快症状の発現が観察され,各種の不快症状が見. は良好10例,概良7例,禾良4例であった。 FL群に認. 出された。また,その程度も軽敏から強度と種々なもの. められた概良例は,短期間ならびに中期間経過例であっ. であった。. た。. 2.臨床成績はFL群がUB群に比較して,若干優れ. これらの原因については,処置時の外傷性損傷あるい. た結果を示した。 3.病理組織学的には両群ともに壊死層の形成は認め. は未重合層からの残留モノマ二の影響によるものと考え. られず,観察された新生硬組織は被験材に直接接して形 成された。. 表11病理組織成績総括. 4.病理組織成績はF L群では良好16例,概良5例, 病理組織成績. F L群. U B群. 良. 好. 16. 10. 概. 良. 5. 7. 禾. 良. 0. 4. 21. 21. 症例 総数. 不良皆無であったのに対し, UB群では良好10例,概良 7例,禾良4例であった. 結 鎗 著者は,酸化マグネシウム含有の可視光線重合型裏層 材の臨床応用価値を検討する目的で本研究を行った。す -47一.
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