日本語教育の教員養成課程における「現場力」の育成
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(2) 橋本ゆかり. 100. の日本語教育の教員養成課程を説明し,先行知見である「多文化教員養成のための理想の教育課 程構成案」と照らし合わせ, 「現場力」を育成する科目が実習であることを示す(4 節) 。4)日本 語教育の実習内容を具体的に説明し(5 節),5)実習生が提出した教案の一部と振り返りから, 実習が「現場力」の育成に役立っていることを示す(6 節) 。横浜国立大学の日本語教育教員養 成課程の充実を図ると共に,多文化教員養成プログラムの具体案として日本語教育の実習が有効 であることを示したい。 まずは,平成 26 年度より実施される「特別の教育課程」とは何かについて,文部科学省の記 載事項を参照しながら,以下に説明する。. 2. 「特別の教育課程」について 「特別の教育課程」の指導内容については,次のようにまとめられている(上記文部科学省ホ ームページ参照) 。 (Ⅰ)指導の内容 児童生徒が学校教育において各教科その他の教育活動に,日本語で参加できる能力の向上を目的と する指導。 ※ 学校生活を送るために必要な日本語の能力の向上に資する指導も含まれる。 (Ⅱ)指導の対象とする児童生徒 小学校,中学校,中等教育学校の前期課程,特別支援学校の小学部及び中学部に在籍する日本語指 導が必要な児童生徒。 ※ 指導の要否は校長が判断。 (Ⅲ)指導者 ①. 日本語指導担当教員(主たる指導者) : 免許状を有する教員(常勤・非常勤講師を含む). ②. 日本語指導補助者: 日本語指導や教科指導等の補助を行う支援者,子どもの母語がわ かる支援者. ※ ②日本語指導補助者は必置ではない。 (Ⅳ)授業時数 年間 10 単位時間から 280 単位時間までを標準とする。 ※1 授業時数の1単位時間は学校教育法施行規則別表に定める小・中学校等の1単位時間(45 分又は 50 分)に準じるものとする。 ※2 なお,児童生徒の実態に応じて特別の必要がある場合に年間 280 単位時間を超えて指導すること を妨げるものではない。 (Ⅴ)指導の形態及び場所 ・児童生徒の在籍する学校における「取り出し指導」 ・他校における指導 ※1 「取り出し指導」 : 児童生徒の在籍学級以外の教室で指導を行うもの。.
(3) 日本語教育の教員養成課程における「現場力」の育成. 101. ※2 ただし,学校に空き教室がない場合や地理的条件等により学校内に当該指導を行う場所を設ける ことが困難である場合など,やむを得ない事情がある場合には,一定の要件の下,例外的に,学 校外施設における指導も認めることとする。 (Ⅵ)指導計画の作成及び学習評価の実施 ・児童生徒一人一人の実態を踏まえたきめ細かな日本語指導の実現 ・指導を受けた児童生徒の各教科その他の教育活動に日本語で参加できる能力の向上 ・地域や学校において日本語指導に携わる関係者の意識の啓発及び指導力の向上. さらに, 「期待される効果」として次の 2 点が挙げられている(上記文部科学省ホームページ 参照)。 1.学校教育の一環として行う日本語指導の全国的な質の担保 2.日本語指導が必要な児童生徒が学校において主体的に学び,希望する進路を選択できる機会の保 障. 一言でまとめると,児童生徒一人一人の日本語及び学習能力を見極め,それに見合った適切な 指導を取り出しの授業の中で行い,教科学習,および諸活動に支障なく参加できるようにする, ということになる。しかし実際には万人に共通する指導案などないため,子ども一人一人,つま り多様な個に柔軟に対応し,児童の能力の伸長を図る「現場力」が多文化教員により一層要求さ れることになると考える。 それでは,多文化教員養成についてどのような研究が進んでいるのかを,次に説明する。. 3.多文化教員養成に関する先行研究 齋藤・浜田(2011)は,多文化教員に求められる能力を構造化し「多文化教員養成モデル(仮)」 を提示している(図 1) 。当該モデルは,日本語指導が必要な児童生徒に向き合い,直接的に関 わるために必要な「教育実践力」,教育実践力を高めつつ,異領域との協働や,教育実践の内省 を行う「教師として成長する力」,そして,社会 の中の教育として「理念」を形成し,それに基 人間性 コミュニケーション力. づく意思決定を行うことや,社会・地域という 教育コミュニティをデザインする,といった「社 会的実践力」の 3 層からなる。 「教育実践力」は, 「現場力」, 「共感的批判的理解」, 「知識・教養」 から成り,「現場力」は,「子ども,および学校 の個別の事情を鋭敏に捉え,その現場にあった 具体的な方法を探る力,つまり現場の状況に応 じて実践を行う力」と定義されている。. 図 1 多文化教員養成モデル(仮) (齋藤・浜田 2011).
(4) 橋本ゆかり. 102. これらの結果を踏まえて,齋藤・浜田(2011),浜田他(2012)においては,多文化教員に求 められる資質・能力をまとめ上げ,理想とされる教育課程構成案が提案されている(4.3 節 表 1 参照)。そこで,次に,横浜国立大学で行われている日本語教育の教員養成の概要を説明し,齋 藤・浜田(2011)において提示された教育課程構成案と対応させることで日本語教員養成課程の 現状を明らかにする。. 4.横浜国立大学における日本語教育の教員養成 日本語教育の教員養成の概要は以下の通りである。 4.1. 日本語教員養成の位置づけ. 横浜国立大学の日本語教育専門領域は,教育人間科学部学校教育課程の中の一専門領域である。 学校教育課程というのはいわゆる教員養成課程であり,日本語教育専攻が設置されている人間形 成コースでは, 「小学校教員免許状(1 種)」を取得することが必須(卒業要件)となっている。 日本語教育のプログラムは,国立大学の日本語教員養成学科・課程の設置(1985 年)に伴って 文部省が示した「学部日本語教育副専攻課程の標準的教育内容(26 単位以上) 」に準拠しており, 所定の単位を修得した者には修了書が授与される。よって,卒業生は小学校教員免許状(1 種) と日本語教育課程の修了書の両方を取得する。 4.2. 日本語教育コースのねらい. 日本語教育コースのねらいは,多様な言語や文化背景をもつ人間社会において,日本語という 一言語を通じて相互に理解・扶助・共生できるようにするために日本語教育に関する基礎実践的 な方法を学ぶことである。 横浜国立大学の卒業生が教職員となった場合,神奈川県の教職員になることが多い。多言語・ 多文化の背景をもつ子どもが在籍するクラスの担任として,あるいは,国際教室の担当教員とし て,大学で養成された能力とスキルを生かすことができる。そのような機会がなかったとしても, マイノリティの立場にある児童,アイデンティティが揺らぐ児童,家庭に問題を抱える児童など と向き合う際に能力は生かされるものと思われる。 4.3. 授業実践の内容. 日本語教育の授業科目は,発音,文法,文字などの日本語に関する基礎的科目と,日本語教授 法,教材研究などの日本語教育の実践的方法に関する科目,さらに第二言語習得,バイリンガル などの言語習得理論や認知と言語との関係を探る科目などがある。日本語教育の実習は,4 年次 に行われる。学生は,2 年次にバイリンガルに関する理論,児童の抱える問題等について主に講 義形式で学び,3 年次には教員免許取得のための実習を済ませている。. 次に,授業内容を,3 節で述べた多言語・多文化教員に求められる資質・能力をまとめ上げた 理想の教育課程構成案(齋藤・浜田 2011,浜田他 2012)と対応させてみる。表 1 は,多文化教 員養成のための教育課程構成案に,横浜国立大学が行っている授業内容の対応部分を記したもの である。.
(5) 日本語教育の教員養成課程における「現場力」の育成. 103. 表 1 多文化教員養成のための教育課程構成案(齋藤・浜田 2011)における 横浜国立大学における教授内容(橋本他 2013b 参照) 講 義形 式(知 識). 参 加 型 の 授 業 (技術). 現 場 で(現 場力・ 共 感 力). 教育実践・授業実践 ・言語/日本語学 ・教育・発達心理学 ・第二言語習得論 ・バイリンガル教育 ・学習論・日本語教育方法論 ・(異文化)コミュニケーション ・コースデザイン ・教材開発 ・事例分析を通して子どもの言 語習得,心理的社会的状況の分 析力を強化 ・模擬授業や授業案作成などの活 動を通して,授業の設計力,教材 開発力,授業運営力を養成. 自己の成長 ・教育論 ・教師論 (教師の成長) ・キャリア形成 ・実践研究の方法 ・自律的学習. 学習環境づくり ・異文化間教育 ・比較教育学 ・ネットワーク論 ・組織論 ・言語政策・移民政策 ・民族政策の歴史 ・社会情勢. ・報告書などによる地域の状況の理解 ・文化摩擦の事例による自文化の自省的捉え直し ・課題解決活動による他者と「協働する力」及び内省 力の養成. ・学校や授業の参観と記録 ・支援活動(学校で,地域で) ・実習(授業,教育活動) ・学校現場へのフィードバック これらの活動を通して,教育実践力,社会的実践力,自己成長の力を養成. 注:横浜国立大学における教授内容は□で囲んで示す。. 2 節において, 「特別な教育課程」の実施にあたって, 「現場力」の一層の強化が必要であるこ とを指摘した。表 1 の「現場力,共感力をつける」に該当する授業は実習である。そこで,次に, 実習に焦点当てて,実際に,学生は「現場力」を身につけているのか,そして,そうであれば, どのような「現場力」を獲得しているのかを探ってみることにする。 2013 年に行われた実習を対象に分析を試みる。 まずは,実習授業の概要説明を行う。. 5.日本語教育の実習授業の概要 5.1. 実習の目的. 実習の目的は次の通りである。 1) 日本語指導が必要な児童の諸問題(アイデンティティ,教科学習など)を実感し,実態を 把握する。 2). 諸問題の原因を追究すると共に,その対応策を考える。. 3). 児童との 1 対 1 の対話を通して教授法を模索し,スキルを獲得する。.
(6) 橋本ゆかり. 104. 5.2. 実習の形態と時期. 実習は,小学校における見学・支援と,小学校,あるいは,ボランティア団体が主催する学習 教室での支援と 2 種類ある。以下の通りである。 1). 横浜市公立小学校 2 校において母学級と国際教室の参観と支援を行う。. 2). 小学校・ボランティア団体が主催する学習教室に参加し,支援を行う。. 実習対象の小学校は,両校とも横浜市の集住地区にあり,日本語指導が必要な児童数が比較的 多い。A 小学校と B 小学校の置かれている環境は異なる。A 小学校は団地が近くにあり比較的 地域定住者が多く,1 学年 1 クラスである。一方,B 小学校は,京浜工業地帯に隣接し日系人が 多く,入れ替わりが激しい。1 学年 3 クラスほどある。 2013 年度の実習は,2012 年の実習の反省を踏まえ,次の通り行った。*は 2013 年度における 変更点である。 I.. A 小学校における実習 4 月~7 月. II.. 月 1 回のペースで 3 日. 8 時 20 分から夕方まで. B 小学校における実習 4 月~7 月. 月 1 回のペースで 3 日. 10 時 20 分から給食終了. (あるいは 5 校時終了*)まで III.. 7月. B 小学校の生徒向けの学習教室. 放課後 IV.. 8月. 2 時間. 5 日間. A 小学校の生徒向けの学習教室. B ボランティア団体主催の学習教室. 夏休みの期間. 毎日 2 時間. 4 日間. 日本語教育の実習は,通常の実習のように,母学級のクラス全体に教えるのではなく,授業を 参観することと,児童のそばに行き分からないところがあればサポートする,という 2 つの目的 をもつ。さらに国際教室(取り出し授業)でも見学とサポートの両方を行う。ボランティア団体 主催の学習教室はボランティアのメンバーに混じって同様に学習支援を行う。学習教室では,教 材が用意されているが,A 小学校の学習教室においては,実習生が作成した教材も用いる。. 上記,I,II,IV の小学校における実習,ボランティア団体主催の学習教室は,すべて担当教 員である筆者も同行し,実習生と同様に見学と支援を行っている。. 5.3. 実習授業の内容と流れ. 2012 年度の実習授業では,以下の 3 つを行った。 ① 授業,国際教室の参観と支援.
(7) 日本語教育の教員養成課程における「現場力」の育成. 105. ② 学習教室の参加 ③ 教材作り 2013 年度は実習授業のさらなる充実を図り,以下の 3 つを加えた。実習授業の流れは,概ね 図 2 の通りである。 ④ B 小学校の国際教室における授業 (授業形式「教えてみよう」15 分(但し,グループ希望者 4 名は 45 分とした) ) 対象児童は,各実習生が授業で見学し支援した子どもである。 ⑤ A 小学校の学習教室における学年ごとのグループ運営 ⑥最近接発達領域,生活的概念・科学的概念(概念形成,発達プロセス),数学的概念形 成に関する本と論文の講読. 講読文献 吉田甫・多鹿秀継編著『認知心理学からみた数の理解』 吉田香織(1988) 「Vygotsky 理論に基づく. 北大路書房. 数学的概念の教授・学習過程の研究(2). -ことばを手がかりとした ZPD の考察」 『第 31 回数学教育論文発表会論 文集. 論文発表の部』. 247-252. 吉田香織 (2000) 「Vygotsky の「複合的思考の段階」に基づく分数の生活的概念の 考察」『全国数学教育学研究』第 6 巻. 139-148. 吉田香織(2002) 「分数概念の素地となる子どもの生活的概念の解明」 『全国数学教 育学研究』. 第8巻. 39-54. ⑥は,2012 年度にみられた教科学習,特に数学における躓きに対し,どのように対応し たらよいのかを考えてもらうために取り入れたもので,大学の授業で行った。 2012 年度の実習でみられた躓きが概念の欠如に起因すると考えられたため(橋本 2013a), 以下のビゴツキーの理論の説明も行った(Vygotsky 1934,吉田 2002 等参照)。 ・「最近接発達領域」とは,子どもの現下の発達水準(自力で解決する問題によって規 定される水準)と可能的発達水準(大人に指導されたり,自分よりもできる仲間との 協同で子どもが解く問題によって規定される水準)との間の隔たりのことである。. ・「科学的概念」とは,論理性,客観性,系統性があり,高次に組織化された学校教育 において子どもに導入される概念である。. ・「生活的概念」とは,子どもが家族や地域の人々とやりとりをする日常生活に起源を.
(8) 橋本ゆかり. 106. もつ概念であり,それゆえ,現実世界の文脈に制限されている。子どもなりの考え方 や捉え方に現れ,体系的でなく,子ども自身の言葉で表現される。また数学的概念の 素地となり得るもので,数学的概念の発達はこれに依存している。. 小学校での 見学 支援. 理論. 国際教室. •母学級での児童の様子を観察する。 •入り込み支援を行う。 •児童の教科学習における躓きを探る。 •コミュニケーションをとりながら、子どもの性格や心理状態、及び背景を探る。. •理論をもとに、子どもの状況を解釈する。 •理論をもとに、教案、教材を考える。. • 国際教室での教え方を学ぶ。 • 教案を立案し、実際に教えてみる。. 授業. 学習教室. •マンツーマンでの支援の仕方を学ぶ。 •教材を作成し、実際に使用してみる。. 支援. 図2. 実習授業の流れ. 6.日本語教育実習の成果 本稿では,2013 年度の実習における活動④の教案シートの内容と実習生の振り返りから, 「現 場力」の育成について探ってみる。④の教案シートは,実習生一人一人が能動的に考案したもの であるため,分析資料とする。 6.1. 「教えてみよう」の教案からみえる成果. 教案シートの骨格となる,「目標」 ,「参考にした理論」, 「作成した教材」に相当する部分を抜 粋し,表 2 にまとめた。.
(9) 日本語教育の教員養成課程における「現場力」の育成. 表2. 107. 2013 年度実習生の考案した授業の目標・参考にした理論・作成した教材. 実習. 目標. 参考にした理論. 作成した教材. 生・担当 学年 A. ①. 1 年担当. ②. 算数の知識:足し. ・学習言語能力(カミンズ). 算の文章題が解け. ・オカモトの発達理論(第一段. ①. 3 年担当 ②. 足し算,引き算の文章題と絵。. るようになる。. 階-一つの基数の提示,第二. 日本語の知識:算. 段階-基数が一つだけ定位,. オカモトの発達理論の第一段階,. 数における文章題. 第三段階-可逆的思考がで. 第二段階に照らし合わせて文章. を理解し,求めら. きる). 題を作成した。. れていることを判. B. 作成した教材:. 教材の工夫点:. 補助教材:. 別できるようにな. 視覚的に理解できるように文章. る。. 題とリンクさせた絵。. 3 桁の足し算と引. ・認知発達論に基づいた文章題. 作成した教材:. き算ができる。. の問題解決過程「低学年の文. 文章題の足し算と引き算. 日本語の知識:文. 章題」. カラーの挿絵. 章題の意味を理解. 教材の工夫点:. して式をつくるこ. 文章題のもつ意味構造と未知数. とができる。. の違う問題を用意したこと (例)a+b=c の場合(1)c を求める 問題,(2)b を求める問題,(3)c を 求める問題. C. ①. 日本語の知識. (教科学習でなかったため使. 3 年担当. ②. コミュニケーショ. 用せず). ンにおいて重要と. 理由:. なる聞くこと,話. 来日してまもない子どもた. すことを応用し,. ちは日本語が分かっている. 自分で判断する,. ようでも完璧には身につい. 言葉を作る。. てはおらず,聞いているよう. 写真カード. 教材の工夫点:大きく分かりやすい ものを探す。. 補助教材:王冠バッジ. で聞いていない。そこで,聞 く力,また自分で考えて言葉 にする練習が必要だと思っ た。そこで「聞かなきゃでき ない授業」にしようと考え た。 D. ①. 算数の知識:割り. ・オカモトら―情報処理心理学. 作成した教材(問題文) :.
(10) 橋本ゆかり. 108. 4 年担当. 算の筆算(3 桁÷1 桁)を用いて,文. ②. 6 本入りのアイスを 1 箱買い,570. の問題解決の理論 ・ケイスの認知発達の理論を統. 円でした。アイス一本あたりいく. 章題を解く。. 合させた文章題の問題解決. らでしょう。. 日本語の知識:問. のモデル。 (『認知心理学から. 教材の工夫点:. 題文から割り算の. みた数の理解』p94 前後). 身近な題材を使用し,「分ける」. 筆算を用いること. という言葉ではなく,「一つあた. を読み取り,求め. り」「いくら」など直接的でない. たいものを把握す. 言葉を使用する。1 つめの商が0. る。. となる(商を書かない)割り算の 筆算となるように設定する。 補助教材: 570 円を数直線に表し,それを 6 つに分けた長さ(値段)が求めた いものであることを目で見える ように示す。. E. ①. 5 年担当. 算数の知識:お金 ・ヴィゴツキーの「生活的概念」 作成した教材:わり算と筆算につい の計算とわり算の. ②. と「科学的概念」. て考える. 構造を理解できる. ・『認知心理学からみた数の理. 日本語の知識:わ. 解』 「第 3 章小数と分数」. 教材の工夫点:日常生活で実際に使 っている 100 円玉などの硬貨を使. られる数,わる数. うことで,わり算を身近に感じて. を理解できる. もらおうと思った。 補助教材:硬貨のモデル. F グルー. ①. 自らの語彙をアウ. ①. アウトプット仮説. Swain. 巻物. (例. 書. 道草. → 草花). →. 書道. →. プ. トプットする活動. 5年. を通して,ことば. 書くことに関してのアウト. 担当. 遊びの面白さに気. プット能力はあまり高くな. 教材の工夫点:今まで習ってきた漢. づく。. い。学習の躓きは国語だけに. 字を使った熟語しりとり「漢字リ. 書くことへの導入. 留まらず,多くの教科に影響. レー」を行う。しりとりを通して,. 的な成功体験を持. を与えている。学習意欲を向. 漢字の読み方の多様性を再認識. てるようにする。. 上のためにも,アウトプット. したり,漢字をヒントに言葉を思. の充実や成功体験が必要で. いついたり,漢字を書く練習をし. ある。. たりできるようにする。「漢字リ. ②. (1985). 作成した教材:「漢字リレー」用の. ②状況的認知における授業構. レー」の際,思いついた熟語は巻. 成(『認知心理学からみた数. 物のようにしてまとめ,授業の最. の理解』第 9 章). 後にそれを広げて,どれだけつな. 子どもたちは「生徒」として. げることができたか確認し,達成.
(11) 日本語教育の教員養成課程における「現場力」の育成. 授業に参加する役割を持つ. 感を持てるようにする。最終的な. ことで,社会的役割において. 語数の集計が容易になるよう,巻. 必要なアウトプットをする. 物は異なる複数色の紙を貼り合. に至らず,実際の生活とは文. わせて作成し,紙一枚分のスペー. 化的に異なった環境に置か. スには一語を書くルールとする。. れてしまう。ことば遊びを通. 補助教材:導入では「漢字リレー」. して学習をしていくことで,. のルールを共有できるよう,まず. 通常の形式的な学校の「授. 各児童は個人作業として簡単な. 業」の枠に留まらず,前向き. 例題に取り組み,ウォーミングア. な学びが可能だと考える。. ップを図る。そこで使用する説明 用の模造紙やワークシートを用 意し,補助教材とする。. G. ①. 6 年担当. ②. 算数の知識:通分. ビゴツキーの「生活的概念」と. の意味と方法を知. 「科学的概念」 , 「概念群と伝統. る。. 群における分数単元の学習内. 日本語の知識:. 容と指導順序」 (『認知心理学か. 板書で示し,考えさせる. らみた数の理解』p78,図 3-5). 表 2 から,実習生が自分の担当する児童の状態を,見学を通じて把握しかつ推測しながら,明 確な目標を立て教案を作成していることがわかる。例えば,実習生 C は普段あまり日本語を話 さない児童が対象であったため,写真を用いた日本語表現を当てるゲームのような活動にしてい る。また,実習生の多くは学んだ理論を参考にしながら教案を作成し,具体的な教具を用意して いる。例えば,実習生 E や実習生 G はビゴツキーの理論を参考にしている。また,実習生 A は, 数学的概念の発達理論に従って問題作成をしている。理論と実践の往還が窺える。 授業において,実習生は,子どもたちとコミュニケーションを取りながら,慎重に教授活動を 進めていた。C が心配していた児童も含め,全員が積極的に参加していた。さらに,授業後に子 どもたちから「楽しかった」「またやりたい」「今度いつやるの?」などの声掛けがあったことを 実習生は報告している。このことから,実習生と児童との間に信頼関係が生まれ児童に安心感を 与え,かつ学習意欲を掻き立てていたことがわかる。成果については,実習生の声から,さらに 探ってみる。 6.2. 実習生の振り返りからみえる成果. 実習生の振り返りから「現場力」に関係すると思われることばを抽出し,実習生の学びを明ら かにする。以下は,学びのカテゴリーごとに実習生のことばを記したものである。 1)子どもの性格,心理を重視した対話式の指導方法を模索の中から学ぶ。 ① 先生からのアドバイスと子どものもつ背景,態度とを照合させ,かつ子どもの心理状態を配. 109.
(12) 橋本ゆかり. 110. 慮しながら対話式支援方法を学ぶ。 ・ 「 「召使いにはなってはダメ。 」とアドバイスをいただいた。児童を叱りしつけ,生活上の必要なことなど も並行して鍛えていかなければならないことを再認識した。甘やかすだけではいけない。この時に限っ てはマンツーマンの学習指導であったので先生としてというよりも親の心境に近かったのだが,一歩踏 み込んで指導する勇気が,児童に対する愛情がなければうわべだけのその場しのぎの関係になってしま う。 」→指導の姿を模索する ・ 「実習で勉強をあまりやりたがらない児童を教えることになった。周りの先生や友達たちは「どうしたの? 早く勉強しよう。 」とせかし,勉強するようにと指導していた。私は児童がどうして勉強したくないのか, 勉強が嫌なら何をしたいのかなどから話をはじめ,雑談をよくしていた。こうすることで心を開いてく れ学習を含めた私との活動を楽しく感じてくれているようだった。児童の気持ちを汲み,まずは私と活 動することや話をすることが楽しいと感じてくれることを大切にしたい。 」→子どもの気持ちを汲みなが ら学習に向けさせる ・ 「気分の波や,苦手なものにあたっている時のモチベーションに関しては,教える側がサポートしないと いけない部分だと思った。 」→気分,モチベーションなどを管理する ・ 「5 年生という段階や,彼の性格を今までの授業参観の中で知ることができたため,彼に対する声かけは, 手を貸したり,甘やかすのではなく,見守ることが効果的だと判断した。実際にその対応については正 解だったと思うが,彼が休み時間に家庭環境のことを話してくれたことで,なぜ彼がここまでわがまま な態度をとってしまうことがあったのか,理解することができた。やはり,家庭環境は子どもにとって 大きな影響力を持っていることを改めて再確認することができた。 」→性格や背景を知ることで対応の仕 方を探る. 2)指導における小ステップの積み重ねと具体物利用の有効性を知る。 ②小さなステップを積み重ねることの必要性を学ぶ。 ・「全員が何を書けばいいのかわからない様子だった。一緒になって「いつのこと?」「誰と遊んだの?」 と一つ一つ尋ねると。そういうことを書けばいいのかと気づき書き進めることはできていた。 」→声掛け と小さなステップの重要性を知る ・ 「問題を解く上で量をこなすことも大切だが,それぞれの児童の様子や問題によっては質を重視してじっ くりと教えることが大切だと学んだ。 」→理解の確認と徹底による思考の深化を重視する ・「国際教室の授業は,他のクラスの授業と違い,言葉を一つ一つ丁寧に確認したり, ,, 」 →一つ一つの理解の確認が必要であることを知る. ③生活的概念の想起を促すための具体物の教材の有効性を知る。 ・ 「教えて見よう」教材作成では,児童が学ぶべきことを明確にすること,実物を用いたりして児童が問題 をイメージしやすくするなどの工夫が大切だと学んだ。 (中略)今後は本実習や学習教室で学んだことを 生かした教材作りに取り組みたい。 」→教材作成のヒントを得る ・ 「国際教室の授業は,他のクラスの授業と違い, (中略) ,具体物を使って理解を助けたり,ノートの使い.
(13) 日本語教育の教員養成課程における「現場力」の育成. 方や筆順の指導を丁寧にやったり,国際教室ならではの工夫が凝らされていることを知った。 」→具体物 の使用の効果を知る. 3)子どもの背景や内省を通して,躓きの原因と最適な支援の方法を学ぶ。 ④自分の経験と照らし合わせながら,躓きの原因と,支援方法を追究する。 「今回はただ感想を書くのではなく,自分の意見を具体的なエピソードを交えながらまとめるものであっ ・ た。そもそもの課題が難しいというのもあるだろうし,文章を書きなれていないこともあると思う。そ れに加えて外国につながりを持つ児童は家庭での学習や言語状況なども関与している。文章を書いてき た量が日本の児童と比べて少ないのではないか。 」→躓きの原因を推測し,支援の仕方と得る ・ 「私も小,中学校時代自分の意見を言うことや文章を書くことに苦手意識を持っていた。その理由は,明 確な答えがない分,自分の答えに自信を持つことができなかったためである。 (中略)自分の書いた文章 そのものに対して花丸や判子を押されていただけで,どこが良くて次につながるためにはどう工夫すれ ばよいのかはわからなかった。 」→内省を踏まえて支援の仕方を考える」. 4)理論を教育に活かす。 ⑤理論から教案,教材を考える。 ・ 「オカモトの発達理論(数学の概念の発達理論)と CALP の概念を含めて教材を作成した。オカモトの発 達理論による段階に当てはめた問題を一つずつ行っていくことで,児童がどの段階に問題を抱えている のかが把握できると考え,授業を行ったのだ。このように,一つの授業を行うにしても,私が行ったよ うに様々な理論を当てはめて授業をすることにより,新たな発見があるのではないかと気づいたことも 学びの一つと言えるだろう。 」→理論から子どもの発達段階を捉え,問題作りに生かす. ⑥ 理論から躓きの原因を捉える。 ・「日常生活で話すことができるからと言って,言葉の問題がないというわけではないということを学ん だ。ある程度,日本語を使うことができるからと言って,教師が安心してしまうのではなく,より細か く見てあげるようにしなければならないと思った。 」→バイリンガル理論(生活言語能力と学力言語能力 との違い 2)と実体験を対照させ,実態を理解する. 6.3. 実習から育まれる現場力. 学習教室の教案シート(6.1)と実習の振り返り(6.2)から,実習生の学び(成果)を次のよ うにまとめることができる。 1.. 児童との相互作用の中から支援のあり方を探る。. 2.. 児童の背景,心理的側面を配慮した支援方法を学ぶ。. 3.. 躓きの原因を推測しながら,あるいは見極めながら支援を行う。. 4.. 内省することで支援の方法を判断し選択する。. 5.. 小さな対話式ステップの積み重ねの重要性を知る。. 111.
(14) 橋本ゆかり. 112. 6.. 教案,教材を作成したり,躓きの原因を考える際に,理論を活用する。. 7.. より生活に密着した,具体的な教材の有効性を知る。. 実際の支援では,具体的な教材をなるべく取り入れ,身近な生活の文脈に寄り添った問題を取 り上げていた。認知的にやさしいものから難しいものへと進め,児童との関わりの中でビゴツキ ーの生活的概念に揺さぶりをかけ,科学的概念へと,そして生活言語能力 2 から学力言語能力 2 へ と,低次元から高次元へと発展させていく様相が浮かび上がった。 以下の通り,支援のプロセスを歯車に見立ててまとめることができる(図 3 参照)。生活的概 念を科学的概念へと繋げるには,生活的概念を活性化させ内的な発達を促しつつ,小さなステッ プからなる粘り強い補完的教授活動を行うことが必要であった。また,並行して生活言語能力を 確認しつつ,学力言語能力へと高めていく必要もあった。つまり,支援者は,生活的概念と科学 的概念との相互作用,生活言語能力と学力言語能力との相互作用を促す役割を果たすのである。. 高次レベル 抽象的 科学的概念 学力言語能力 (CALP). 相互作用・発展. 低次レベル 小さな歯車支援の介入・. 具体的. 最近接発達領域の見極めによ. 生活的概念. りスキャフォルディング(足. 生活言語能力(BICS). 習. 場作り)を行う. 図3. 歯車式支援モデル. 歯車式支援モデル 第一段階. 生活的概念を活性化させる。日常生活における具体物を用いて,より具体的に考えさ. せる。 第二段階. 歯車の歯の噛み合わせを確認しながら対話式に進める。一人で行わせると負荷が掛か. りできない。最近接発達領域を見極める。.
(15) 日本語教育の教員養成課程における「現場力」の育成. 第三段階. 113. 支援の歯車は小さな歯を多くし,スモール・ステップで進める。科学的概念を理解さ. せるよう工夫する。生活的概念を科学的概念へと繋げ,相互作用を促進する。 第四段階. 生活的概念と科学的概念の噛み合わせを確認しながら,科学的概念の論理性,客観性,. 系統性のある内容を自律的に考え進めさせる。噛み合わせがうまくいかない時は,生活的概念に 戻りながら進める。 支援者との関係で獲得された学習スキルは,次第に内化し,子どもの能力を引き出し,現下の 発達レベルを高めていくことになる。. 支援は行きつ戻りつしながらも前進していたといえる。A 小学校の学習教室最終日に,実習生 が子どもたちへ一言添えながら表彰状を渡した。学習教室初日は「勉強したくない」と言ってソ ッポを向いていた児童が何人かいたが,最終日に見せた子どもたちの表情からは,満足感と共に 新たに芽生えた自信が伝わってきた。実習生から子どもたちに向けられたことばは,小さな進歩 を褒め讃えるものであり,そこからは子どもに向けられた細やかな心配りと観察が窺えた。実習 生と子どもたちの間には確かな絆が生まれていた。実習生が,さまざまなリソースをもとに,模 索を繰り返すことで「現場力」を獲得し,成長していった証である。. 7.まとめ 本稿では,平成 26 年度から実施される「特別の教育課程」に向けて,多文化教員の「現場力」 育成の必要性を述べた。さらに,横浜国立大学の日本語教育の教員養成課程の実態を説明し,そ の特色の 1 つである実習に焦点を当てて, 「現場力」育成の成果を実習生が作成した教案と振り返 りにより示した。 実習では,実習生が積極的かつ密接に児童と関わることで,問題の根源を探る力,さらに原因 を踏まえて支援や教育の仕方を模索し考案する力を獲得していることがわかった。 さらに,理論と実践との往還を繰り返す中,目の前で起きている現象を理論から解釈したり, 理論を教案や支援方法に活かしたりしていた。支援モデル(図 3 参照)で示したように,子ども のもつ生活的概念の中から,科学的概念を理解する鍵となるものを一緒になって探し出し,低次 から高次へと進め,科学的概念へと止揚させる経験を積んだといえる。異なる背景,学習レベル, 学習態度,モチベーションに柔軟に対応し,少しずつ前進させていくリアルな体験は,多文化教 員として成長していくプロセスの核となり,その一方で次なる課題を課すものであった。 「特別の教育課程」の実施は目前に迫っている。日本語教育の実習は,教員養成系大学におい ても行われているところは少ない。実習の有効性を発信すると共に,引き続き,実習生の振り返 りを蓄積することで,多文化教員養成に力を注ぎたい。. 注. 1.. 齋藤・浜田(2011) ,浜田他(2012) ,橋本他(2013)等は,国内の公教育の場で多言語・多文化の背 景をもつ子どもの指導(日本語指導を含む)に当たる教員を「多文化教員」と称している。.
(16) 橋本ゆかり. 114. 2.. 言語能力には,生活言語能力と学力言語能力と 2 種類の言語能力がある(Cummins & Swain 1986 参照) 生活言語能力(BICS. Basic Inerpersonal Communicatives Skills)は,生活の中で必要な基礎的な言語能. 力のことで,1~2 年で獲得できるとされている。学力言語能力(CALP. Cognitive Academic Language. Proficiency)は,学習する時に必要な言語能力のことで,抽象的な思考が要求される認知活動に必要な 能力とされている。CALP は,モノリンガルと比べると同じレベルに達するのに,相当期間必要であ る(保育園以降では,4~7 年とされている)。. 参考文献 齋藤ひろみ・浜田麻里(2011) 「多文化化する学校で求められる教員の資質・能力とその養成のための教育 課程」『学校の多文化化で求められる教員の日本語教育の資質・能力とその育成に関する研究』平成 19-22 年度科学研究費補助金基盤研究(C)研究成果報告書(代表者:齋藤ひろみ) ,54-65. 橋本ゆかり(2013a) 「教育をデザインする-実習を基盤とした年少者教育問題の探究-」 『教育デザイン研 究』4:77-85. 橋本ゆかり・市瀬智紀・上田崇仁・金田智子・川口直巳・河野俊之・齋藤ひろみ・浜田麻里(2013b) 「多 文化教員養成プログラムの立案を目指して-教員養成系大学における大規模アンケート調査と教育実 践から考える-」 『2013 年度日本語教育学会春季大会予稿集』321-322. 浜田麻里・金田智子・齋藤ひろみ・徳井厚子・河野俊之・橋本ゆかり・上田崇仁・川口直巳・市瀬智紀(2012) 「日本語を母語としない子どもに対する大学生の認識-学校教員養成課程と日本語教師養成課程で養 成すべき資質とは?-」 『日本語教育国際研究大会名古屋 2012 予稿集第 1 分冊』182. 浜田麻里・齋藤ひろみ・川口直巳・橋本ゆかり・金田智子(2013) 「特別の教育課程」としての日本語指導 を担う多文化教員の養成プログラム-教員養成課程と現職教員研修における実践の展開に向けて-」 『2013 年度日本語教育学会秋季大会予稿集』23-34. 文部科学省ホームページ(2013) 「日本語指導が必要な児童生徒を対象とした指導の在り方について(審議 のまとめ) 」 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/kaigi/__icsFiles/afieldfile/2013/05/16/1334901_01.pdf(2013 年 9 月 23 日参照) 山根俊喜(2011) 「教育内容編成における教師の権利と子どもの発達保障」 『障碍者問題研究』38-4:242-250. 吉田香織(1998) 「Vygotsky 理論に基づく. 数学的概念の教授・学習過程の研究(2)-ことば. を手がかりとした ZPD の考察」『第 31 回数学教育論文発表会論文集 論文発表の部』 247-252. 吉田香織 (2000) 「Vygotsky の「複合的思考の段階」に基づく分数の生活的概念の考察」 『全国数学教育学 研究』6:. 139-148.. 吉田香織(2002) 「分数概念の素地となる子どもの生活的概念の解明」 『全国数学教育学研究』8:39-54. 吉田甫・多鹿秀継編著(1995) 『認知心理学からみた数の理解』 Cummins, J. and Swain, M. (1986) Bilingualism in education. Longman. Vygotsky, L.S. (1934) 『思考と言語』柴田義松訳(2001) 新読書社.. 北大路書房.
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