• 検索結果がありません。

軸方向放電励起方式気体レーザの高出力化に関する研究 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "軸方向放電励起方式気体レーザの高出力化に関する研究 利用統計を見る"

Copied!
75
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

軸方向放電励起方式気体レーザの高出力化に関する研究

山梨大学大学院

医学工学総合教育部

博士課程学位論文

2017 年 3 月

對馬 弘朗

(2)

2 目次 第1 章 序論 ... 4 1.1 はじめに ... 4 1.2 紫外線レーザ ... 6 1.3 軸方向放電励起方式レーザ ... 7 1.4 本論文の構成 ... 8 参考文献(第1章) ... 10 第2 章 放電励起方式と励起のメカニズム ... 12 2.1 はじめに ... 12 2.2 横方向放電励起方式 ... 12 2.3 軸方向放電励起方式 ... 15 2.4 N2分子レーザの励起メカニズム ... 15 2.4 KrF エキシマレーザの励起メカニズム ... 17 参考文献 (第2 章) ... 21 第3 章 軸方向放電励起方式 N2分子レーザの高出力化の研究 ... 23 3.1 はじめに ... 23 3.2 計測器及び計測パラメータの定義 ... 23 3.3 高パルスエネルギー化による高出力化の検討 ... 25 3.3.1 はじめに ... 25 3.3.2 実験装置 ... 27 3.3.3 実験結果 ... 29 3.3.4 まとめ ... 32 3.4 高繰り返し化による高出力化の検討 ... 33 3.4.1 はじめに ... 33 3.4.2 実験装置 ... 33 3.4.3 実験結果 ... 34 3.4.4 まとめ ... 48 3.5 まとめ ... 49

(3)

3 参考文献 (第3 章) ... 50 第4 章 軸方向放電励起方式 KrF エキシマレーザの開発 ... 51 4.1 はじめに ... 51 4.2 計測器及び計測パラメータの定義 ... 51 4.3 実験装置 ... 53 4.4 実験結果 ... 57 4.5 まとめ ... 66 参考文献 (第3 章) ... 68 第5 章 結論 ... 69 謝辞 ... 72 業績目録 ... 73

(4)

4 第1章 序論 1.1 はじめに レーザは、1960 年に Mainman によってルビーレーザの発振が観測されて以来、様々な 種類のレーザが開発されている。レーザ光は、単色性、指向性、干渉性に優れた光である ため、今日、医療用機器や工業応用, 科学研究用など様々な分野で利用されている。早くか ら研究、実用化がされているのは、アルゴンレーザ(波長 515 nm)、炭酸ガスレーザ(波 長 10.6 µm)、Nd:YAG レーザ(波長 1064 nm)である。これらのレーザの波長域は可 視・赤外域にあり、熱作用を用いた応用が主体である[1-2] 。 近年、熱作用を用いた応用以外に、材料科学、物質工学から光化学や分光、半導体リソ グラフィ等の超微細加工用光源として、短波長(紫外域)光の重要性は非常に高い。短波 長光は、光子エネルギーが高いため物質と相互作用しやすく、種々の分子間結合の切断を 容易に行うことが可能である(Fig.1-1)[3-4]。短波長光はプラスチックやガラス、石英な どの透明誘電体の吸収係数が紫外線領域では非常に大きいため、透明誘電体に紫外線レー ザを照射することで、表面のごく薄い層で吸収が生じ、アブレーション面で表面粗さが小 さく、均一なきれいな加工が行われる。また、近年、紫外線レーザは医療用への応用も拡 大されてきている(Table 1-1) [5] 。医療応用に使用されている代表例として、XeCl エキ Fig. 1-1. 波長と光子エネルギー、結合解離エネルギーの関係 [3].

(5)

5

シマレーザ(波長308 nm)を利用した冠動脈形成術がある。血管内の動脈硬化の元になっ ている血管の壁に沈着していいる組織(プラーク)に波長 308 nm の光(光子エネルギー 4.0 eV)を照射し、プラークを蒸散させて、血管内から除去することができる。また、ArF エ キ シ マ レ ー ザ ( 波 長 193 nm)を利用した近視矯正手術(laser-assisted in situ keratomileusis : LASIK)がある。波長 193 nm の光(光子エネルギー6.4 eV)は、レーザ 光吸収・加熱による組織固化やタンパク質変性を引き起こさずに、光結合の光解離により 角膜のみを掘削することができる[6] 。 Table 1-1. 短波長域(紫外域)での医療用光源 [5]. 短波長光は、その短波長性から、半導体リソグラフィ等の超微細加工用光源として用い られている。これまでの半導体リソグラフィ用光源として、KrF エキシマレーザ(波長 248 nm)、ArF エキシマレーザを用いるレーザリソグラフィが研究・開発され、商品化されて いる。更なる微細化を可能とする波長13.5 nm の極短紫外光(extreme ultraviolet:EUV) を利用する露光の研究・開発が盛んに行われているが、まだ実用化への課題は大きい。EUV 露光プロセスの確立までは、ArF エキシマレーザ液浸露光技術と多重露光技術の組み合わ せにより、22nm 以降のハーフピッチ作成の露光手段になると考えられている。ArF エキシ マレーザを光源としたリソグラフィがクリティカルレイヤーの露光用光源になり[7]、ArF エキシマレーザの重要性は高い 。

エキシマレーザは半導体リソグラフィ以外にも、TFT(Thin film transistor)レーザア ニーリングや、インクジェットプリンターノズルやプリント基板穴あけ等の材料加工、パ ルスレーザ成膜、薄膜除去等の多くの産業分野で用いられている[1]。また、短波長レーザ はレーザビームの回折限界が小さく、単一横モード発振であれば、レーザ光の集光径を1 µm 395 ~475 ランプ 内視鏡(腫瘍特異性自家蛍光) 内視鏡(結腸の悪性病変) 生体粘弾性音響計測、 皮膚T細胞リンパ腫の皮膚結節 の治療、アトピー・白斑 内視鏡(結腸の悪性病変) 病変自家蛍光結腸腺癌 325 He-Cdレーザー 内視鏡診断(結腸の悪性病変、 胃癌、大腸ポリープ)、 胃癌特異性自家蛍光 308 XeCl エキシマレーザー 動脈硬化の形成術、 冠動脈形成術 248 エキシマレーザーKrF 骨手術装置 193 ArF エキシマレーザー LASIK 代表的光源 波長 (nm) 用途 非線形光学変換 355 N2レーザ 337

(6)

6 以下に絞ることができる(Fig. 1-2 参照)。1 µm の微小集光径では、1 µJ の小さなレーザ 出力エネルギーであっても、127 J/cm2の高い照射強度を持つ。また、光子エネルギーも高 いので、微細加工において加工部分に分解生成物が付着しないきれいな加工が可能である。 短波長光は、超微細や微細加工用光源への応用が可能であるため、短波長(紫外線)レー ザの開発は重要である。 Fig. 1-2. 波長とビーム集光径の関係 (f/D = 1). 1.2 紫外線レーザ 紫外線レーザの代表例は、気体レーザではXeF エキシマレーザ(351 nm)、N2分子レー ザ(337 nm)、XeCl エキシマレーザ(308 nm)、KrF エキシマレーザ(248 nm)、ArF エ キシマレーザ(193 nm)などがある(Fig. 1-3 参照)[8] 。固体レーザでは BBO(barium borate)結晶を用いる波長 295 nm の固体レーザや CLBO(cesium lithium borate)結晶 を用いる波長196 nm の固体レーザが開発されている。気体レーザは、放電励起方式により、 一般的に高出力でレーザ発振が可能である。 一方、固体レーザは、光励起方式により高繰 り返し動作(高平均出力動作)と高ビーム品質発振が可能である。しかし、固体レーザの では、複数の波長変換素子を必要とするため、複雑で高価な装置となることが多い。また、 波長が紫外域よりも短い真空紫外領域では、光学材料の制限により、レーザ媒質としては 固体材料の使用が難しくなる。短波長域で発振するレーザ媒質として、気体媒質は重要で ある。 紫外線レーザの代表であるエキシマレーザは、インクジェットプリンターノズルやプリ ント基板穴あけのような微細加工やレーザリソグラフィのような超微細加工[9-12]、光 CVD(chemical vapor deposition)用光源としての研究・開発が盛んに行われてきた。既 に、それぞれの産業分野に使用できる高出力・高性能なレーザ(横放電励起方式)が市販 されているが、その放電管構造により、装置が大型で高価なものとなっている。Fig. 1-4. にレーザリソグラフィ用光源ArF エキシマレーザについての本体価格と装置外形、主仕様 を示す。幅と高さは2 m を超えるサイズになり、本体価格は数億円になっている[13] 。紫 外線レーザには様々な応用分野が多数あるにも関わらず、装置が大型であることや、フォ

(7)

7 トンコストが非常高いため、高い付加価値の応用にしか使用できていない。小型で、コス トパフォーマンスの良い装置を開発するために、根本的な励起方式から見直す必要がある。 Fig. 1-3. 代表的な紫外線気体レーザ [8]. Fig. 1-4. レーザリソグラフィ用光源 ArF エキシマレーザ [13]. 1.3 軸方向放電励起方式レーザ 本研究では、小型でコストパフォーマンスの良い、紫外線レーザ装置を開発するため、 市販のエキシマレーザ(横放電励起方式)とは異なる軸方向放電励起方式に着目した[14-19]。 軸方向放電励起方式は、励起放電の放電電流と同じ方向にレーザが出力される方式である (Fig. 1-5 参照)。軸方向放電励起方式では、これまでに F2分子レーザ(157 nm)[14]、 KrF エキシマレーザ(248 nm)[17,20]や XeCl エキシマレーザ(308 nm)[15]、N2分子 レーザ(337 nm)[18,19,21]などのレーザ発振が報告されている。軸方向放電励起方式は レーザ開発初期に用いられた方式であるが、横放電励起方式が比較的容易に高出力化が可 能であったために、軸方向放電方式の研究はあまりされていなかった。そのため、高出力 高効率化などの基礎技術や基礎研究は、確立されていない。しかしながら、軸方向放電励 起方式は、放電管構造により、低ガス圧動作や高繰り返し動作、高品質ビームの生成が可 能で、小型でコストパフォーマンスが良い装置を実現することができる。

(8)

8 Fig. 1-5. 軸方向放電励起方式 これまでの軸方向放電励起方式の先行研究において、共振器と利得の制御により、N2分 子レーザにおいて、高品質ビーム(ビーム拡がり角0.29mrad)が得られている[18]。本研 究では、軸方向放電励起方式による、高出力・高繰り返し・高品質ビームのレーザ開発を 目指し、高出力・高繰り返し化についての研究を行った。N2分子レーザ(波長 337 nm)

による、MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)システムの増幅段(Amp)に使用 可能な大口径放電管の安定化と、高繰り返し発振器(Osc)の開発を行った(Fig. 1-6 参照)。 また、将来に向けた更なる短波長化を目指し、KrF エキシマレーザ(波長 248 nm)の発振 特性の調査を行った。 Fig. 1-6. 本研究における高出力・高繰り返し・高ビーム品質化に向けた取り組み 1.4 本論文の構成 本論文は、全 5 章からなり、著者が山梨大学山梨大学大学院医学工学総合教育部博士課 程で取り組んだ研究成果をまとめたものである。各章の内容は以下のようになっている。 第1 章では、紫外線レーザの現状やその応用を概説するとともに、本研究の目的と内容、 本論文の構成について述べる。 第 2 章では放電励起方式と本研究で用いた気体媒質について記す。軸方向放電励起方式

(9)

9 と、横放電励起方式とを比較し、その特徴について述べる。また、N2分子レーザとKrF エ キシマレーザの発振原理について述べる。 第3 章では軸方向放電励起方式 N2分子レーザの高出力・高繰り返しに向けて、MOPA シ ステムの増幅器(Amp)に使用可能な大口径放電管の特性と、発振器(OSC)の高繰り返 し化特性について記す。放電空間内の予備電離をコントロールすることにより、大口径放 電管においても均一放電により、ガウシアン形状なビームプロファイルが得られた。また、 内径2.5 mm, 長さ 30 cm の放電管により、繰り返し周波数 300 Hz 動作が実現し、レーザ 出力エネルギー4.9 µJ が得られた。 第4 章では軸方向放電励起方式 KrF エキシマレーザの発光特性について調べた。248 nm の発光により、利得の存在が観測された。高ガス圧領域においては、狭帯域化が観測され、 条件によりスペクトル幅10 nm から 2 nm が得られた。KrF レーザ発振ではスペクトル幅 は、一般的に1 nm 以下となる。従って、本研究開発において、248 nm の発光観測とスペ クトルの多少の狭帯域化から、レージングし始めている状態であると考えられるが、KrF レーザは発振しなかったと結論づけた。 第5 章はまとめであり、本研究で得られた成果をまとめて本論文を総括する。

(10)

10 参考文献(第1章) [1] 杉岡 幸次, 矢部 明 監修, エレクトロニクス材料・技術シリーズ, 「レーザマイ クロ・ナノプロセッシング」. [2] 久保 宇一, 医用レーザ入門, オーム社, (1985). [3] 最新レーザ加工技術総覧編集委員会編, “最新レーザ加工技術総覧”, 産業技術サー ビスセンター, (1994). [4] レーザ学会編, レーザプロセシング応用便覧, (2006).

[5] Y. Oki, “Medical Lasers on Wavelength Tables, and Their History”, JJSLSM, 33, No.2, 142-151, (2012).

[6] K. Hayashi, 「レーザアブレーションの医用分野への応用」, IEEJ Trans., EIS, 123, No.2, 192-196, (2003).

[7] T. Asayama, Y. Sasaki, T. Nagashima, A. Kurosu, H. Tsushima, T. Kumazaki, K. Kakizaki, T. Matsunaga, H. Mizoguchi, “Power up: 120 Watt injection-locked ArF excimer laser required for both multi-patterning and 450 mm wafer lithography”, Proc. of SPIE 8683, 86831G.1-86831G.10 , (2013).

[8] 前田三男編, 日本分光学会, 測定法シリーズ, 27, 「エキシマレーザ」, 学会出版セ ンター, (1993).

[9] H. Mizoguchi , 「リソグラフィ用エキシマレーザー」, レーザ研究, 29, 633-637 , (2001).

[10] T. Saito, T. Suzuki, M. Yoshino, O. Wakabayashi, T. Matsunaga, J. Fujimoto, K. Kakizaki, T. Yamazaki, T. Inoue, K. Terashima, T. Enami, H. Inoue, A. Sumitani, H. Tomaru, H. Mizoguchi, “Ultra line-narrowed ArF excimer laser G42A for sub-90-nm lithography,“ Proc. of SPIE, 5040, 1704-1711, (2003).

[11] K. Kakizaki, Y. Sasaki, T. Inoue, Y. Sakai, “High-repetition-rate (6 kHz) and long-pulse-duration (50 ns) ArF excimer laser for sub-65 nm lithography,” Review of Scientific Instruments, 77 0395109, (2006).

[12] H. Mizoguchi, T. Inoue, J. Fujimoto, T. Yamazaki, T. Suzuki, T. Matsunaga, S. Sakanishi, M. Kaminishi, Y. Watanabe, T. Ohta, M. Nakane, M. Moriya, T. Nakaike, M. Shinbori, M. Yoshino, T. Kawasuji, H. Nogawa, T. Ito, H. Umeda, S. Tanaka, H. Taniguchi, Y. Sasaki, J. Kinoshita, T. Abe, H. Tanaka, H. Hayashi, K. Miyao, M. Niwano, A. Kurosu, M. Yashiro, H. Nagano, N. Matsui, T. Mimura, K. Kakizaki and M. Goto, “High Power Injection Lock Laser Platform for ArF Dry/Wet Lithography,” Proc of SPIE, 5754, 780-789, (2005).

[13] ギガフォトン株式会社の Web ページ, http://www.gigaphoton.com/.

[14] M. A. M. El-Osealy, T. Jitsuno, K. Nakamura, Y. Uchida, T. Goto, “Oscillation and gain characteristics of longitudinally excited VUV F2 laser at 40 Torr total pressure,”

Optics Communications, 207, 255-259, (2002).

[15] P. Burkhard, T. Gerber, W. Luthy, “XeF excimer laser pumped in a longitudinal low-pressure discharge,” Applied Physics Letters 39 , 19-20, (1981).

[16] Z. Zhou, Y. Zeng, M. Qiu, “XeCl excimer laser excited by longitudinal discharge.” Applied Physics Letters, 43 (4), 347-349, (1983).

(11)

11

CAPACITIVELY COUPLED LONGITUDINAL DISCHARGE,” Optics Communications, 53, Num. 6, 401-404, (1985).

[18] K. Uno, T. Akitsu, T. Jitsuno, “Longitudinally excited N2 laser with low beam

divergence,” Review of Scientific Instruments, 85, 096198, (2014).

[19] S. Ghoreyshi, K. Rahimian, Akbar Hariri “Gain and saturation energy measurements in low pressure longitudinally excited N2-lasers,” Optics

Communications, 238, (2004).

[20] H. J. Eichier, J. Hamisch, B. Nagel, and W. Schmid, “KrF laser with longitudinal discharge excitation”, Applied Physics Letters, 46, 911-913, (1985).

[21] M. A. El-Osealy, T. Ido, K. Nakamura, T. Jitsuno and S. horiguchi, “Oscillation and gain characteristics of high power co-axially excited N2 gas lasers”, Optics

(12)

12 第2 章 放電励起方式と励起のメカニズム 2.1 はじめに 放電励起方式は、大別すると横方向放電方式と軸方向放電励起方式の2 つに分けられる。 横方向放電励起方式は、主に市販のエキシマレーザ(ArF : 193 nm、KrF : 248 nm、XeCl : 308 nm)で用いられている方式である。横方向放電励起方式は大型であるが高出力エネル ギー動作(10 mJ~1 J)が可能である。軸方向放電励起方式はレーザ開発初期に用いられ た方式であり、市販されているHe-Ne レーザや CO2レーザで使用されている。また、N2 分子レーザやF2分子レーザ、XeF エキシマレーザ、KrF エキシマレーザの発振が報告され ている[1-8]。軸方向放電励起方式は、低ガス圧動作や高繰り返し動作が可能で、放電管構 造も単純化でき、小型でコストパフォーマンスが良い装置を可能とする。また、軸方向放 電励起方式は、高品質なビームが得られるが、出力エネルギーは数 µJ から数百 µJ である。 しかし、高品質ビームは回折限界までビームを絞ることが可能となり、低出力エネルギー でも、高フルエンスが可能となるため、極微細や微細な加工への応用が期待できる[1,5,6,9] 。 そこで、本研究では、軸方向放電励起方式を用いた紫外線レーザの高出力化の研究が行わ れた。 本章では、これまでの横方向放電励起方式と本研究に用いた軸方向放電励起方式につい ての特徴を述べる。また、本研究で用いたN2分子レーザとKrF エキシマレーザの励起メカ ニズムについて説明する。 2.2 横方向放電励起方式 横方向放電励起方式は、励起放電の放電電流と直交する方向にレーザが出力される方式 である[10-14](Fig. 2-1 参照)。横方向放電励起方式は、長さ数百 mm から 1 m の 2 本の 電極を数mm から 20 mm 程度の間隔で平行に配置する。電極間でレーザ発振に必要な高い 放電開始電圧を得るには、200 kPa から 600 kPa の高ガス圧が必要である。この電極間の 高ガス圧媒質に数十kV の高電圧を印加し、高速大電流のパルス放電を行う。電極間の間隔 が短く、放電インピーダンスが小さいため、高い電流密度の放電が得られ、数MW/cm3 高密度のエネルギーが放電空間に注入される。高密度エネルギー注入による強励起により、 高出力なレーザが得られる。放電中へ効率良くエネルギーを注入し効率良くガス媒質を励 起するには、空間的に均一な放電が生成・維持されなければならない。そのため、放電空

(13)

13 間領域に、予め一定密度以上の電子を生成(予備電離)しておく必要がある。これは、高 ガス圧中では電子のドリフト速度(移動度)が小さく、電極表面からの電子放出によって 必要なパルス放電の生成が不可能なためである(Fig. 2-2 参照)。予備電離として UV 予備 電離[15-17]やコロナ予備電離[18,19]、X 線予備電離[20,21]などが利用され、主放電とは別 の予備電離用の回路が必要になる。強い予備電離を行った放電空間では放電開始電圧がガ ス圧に比例し増加するため、高いレーザ出力を得るためには高ガス圧の使用により放電開 始電圧を増加する必要がある。また、このような放電空間において、高い放電開始電圧を もつ均一な放電を発生させるためには、立ち上がりの速い電源回路(20 – 50 ns)が必要と である。そのため、磁気圧縮スイッチなどの高速大電流スイッチなどをもつ高速大電流の 電源回路(励起回路)が必要になる。また、横方向放電励起方式の電極構造では、放電後 の残留電荷が、次の放電の一様性に影響を及ぼしやすい。残留電荷を取り除き、均一な放 電を形成するために、ガスフローファンを用いて、放電空間内に絶えず新しいガスを供給 する方式が取られている(Fig. 2-3 参照)[13]。現在の装置では、高ガス流速(40 ~ 50 m/s) と狭い電極間隔(2 ~ 3 mm)により、繰返し周波数が 6 kHz の性能を持つ ArF エキシマレ ーザが報告され、商品化もされている[10, 22] 。しかしながら、高繰り返し化のための、高 ガス流速の使用は、ガスフローファンの消費電力を増加させる。ガスフローファンの消費 電力はレーザ装置の総消費電力(約20 kWh)の約半分を占めてきており(Fig. 2-4 参照)、 新しいアプローチにより消費電力を低減する方法も重要となっている[13] 。このように、 横方向放電励起方式では、装置が大型で複雑であり、装置コストも数億円と高い。また、 レーザチャンバや光学素子が長期稼働により、劣化するため、運転コスト(CoO:Cost of Operation)も高い。そこで、レーザリソグラフィ用 ArF エキシマレーザでは、消耗品(レ ーザチャンバ、光学素子、ガス寿命)の寿命延長の新技術が導入され、コスト削減を行わ れている[13,14]。しかしながら、運転コストは年間数億円と高いものとなっており、付加 価値の高い応用にしか使用できない現状にある。 Fig. 2-1. 横方向放電励起方式.

(14)

14

Fig. 2-2. 横方向放電励起方式における予備電離機能.

Fig. 2-3. 横方向放電励起方式におけるガスフローファン機能.

(15)

15 2.3 軸方向放電励起方式 軸方向放電励起方式は、励起放電の放電電流と同じ方向にレーザが出力される方式であ る (Fig. 2-5 参照)。軸方向放電励起方式では、内径 1 mm から 2 cm で長さ数 cm から数十 cm の誘電体チューブを放電管と、その両端の電極で構成される。電極間隔が大きいため、 低ガス圧(< 10 kPa)でも高い放電電圧が維持できる。低ガス圧放電では、電子のドリフ ト速度(移動度)が大きくなり、予備電離を用いなくても均一な放電を得られやすい。放 電長が長く放電断面積の小さな放電空間において、電子なだれと光電離が組み合わされた 微小なスパーク放電が拡散して放電空間内を進展するため(拡散ストリーマ放電)、前の放 電の残留電荷が存在しても、均一な放電が得られる。従って、軸方向放電励起方式では、 残留電荷を予備電離に使用することができるため、予備電離装置や高速ガスフローを用い なくても、均一な放電が得られる。予備電離を用いる場合には、管壁を利用したコロナ放 電により、放電空間を直接予備電離できるため、放電空間内に予備電離装置を入れる必要 がない。また、軸方向放電励起方式では放電管構造が単純なため、ゴム製O リングなどの 有機材料でのシールの必要がなく、完全なハードシールができ、有機材料が引き起こす放 電管内への水分の浸透を防ぐことができる。市販のHe-Ne レーザや CO2レーザでは封じ 切り動作が実現している。このように、軸方向放電励起方式では、単純な構造の放電管と、 予備電離装置とガスフロー装置を用いないシステムにより、小型で簡単な装置構が実現で きる。さらに、放電管が誘電体チューブをであるため、放電断面が円形になり、レーザの ビーム断面も円形になる。軸方向放電励起方式では、ビーム形状が円形で小さな開口と長 い共振器長により、不要なモードは出力されず、単一横モード発振が実現可能である。単 一横モードのビームは回折限界まで絞ることができる。回折限界は波長に依存するため、 短波長になるほど集光径は小さくでき、波長337 nm の N2分子レーザでは、1 µm 程度に 絞ることができる。このような小さな集光径では、低いレーザ出力でも、高フルエンスを 得ることができる。例えば、1 µJ のレーザを 1 µm の集光径に絞った場合、127J/cm2の高 フルエンスが得られる。軸方向放電励起方式による小型で簡単な装置の短波長レーザは、 高い光子エネルギーと高フルエンスによる新しい微細加工分野に応用が可能である。 Fig. 2-5 軸方向放電励起方式の概念図 2.4 N2分子レーザの励起メカニズム 紫外域で発振するN2分子レーザ(波長337.1 nm)は、1963 年に H. G. Heard によって 初めて報告され [23] 、それ以降も数多くの研究がされてきた。 N2分子レーザは、レーザ

(16)

16 利得が大きいため簡単な装置で高出力・高繰り返し動作が可能である。また、使用ガスが ほとんどの場合 N2ガスのみであるため比較的安全で、ガスの費用も安価である。 そのた め、N2分子レーザは、分光用光源等の広範囲の分野で使用されてきた[24]。N2分子レーザ の発振過程に関与するエネルギー準位と遷移がFig. 2-6 に示される[25]。N2ガスを放電に より励起すると、基底準位X1Σg +にあるN 2分子は電子との衝突により、C3Πu準位に励起さ れる。C3Πu準位と B 3Π g準位の電子準位間の2nd positive 帯において反転分布が形成される。 電子衝突によるN2分子の励起断面積がFig. 2-7 に示される。Fig. 2-7 から、反転分布の形

Internuclear distance (Å)

Potential energy

(eV

)

18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 0.4 0.8 1.2 1.6 2.0 2.4 2.8 3.2 3.6 4.0 N2(E3Σg+) N 2(C 3Σ u) N( 4 S0)+N(2P0) N(4S0)+N(2D0) N2(B 3Σ g) N(4S0)+N(4S0) N2(A3Σu+) N2(X 1 Σg + ) hn2 hn1 Fig. 2-6. N2分子レーザの発振過程に関与するエネルギー準位と遷移 [25]. Fig. 2-7. 電子衝突による N2分子の励起断面積 [24].

(17)

17 成(C3Π u準位→B 3Π g準位)において、電子エネルギーが15-16 eV のときに最も効率が高 くなる [24]。C3Π u準位の自然放射寿命は約40 ns であるのに対し、 B 3Π g準位は約10 µs と長いので、定常的な反転分布は得られない。利得は数十から200 dB/m と高く, 共振器を 使 用 し なく と も強 力 な誘 導 放 射光 が 得ら れ 、 出力光は増幅自然放出光(Amplified Spontaneous Emission: ASE)となる。このため、指向性はあまりよくない。しかし、共 振器と利得の制御により高ビーム品質の指向性の高いN2レーザが生成可能である[5]。C3Πu 準位が高エネルギーの電子衝突により緩和され、出力光のパルス幅は自然放射寿命よりも 短くなるので、低ガス圧(4 kPa 以下)では数 ns 程度、 高ガス圧(4 kPa 以上)では 1 ns 程度となる[26]。 2.5 KrF エキシマレーザの励起メカニズム エキシマ(excimer)とは、励起状態の原子や分子に、これと同種あるいは異種の基底あ るいは励起状態にある原子、分子が結合して作る励起分子の通称であり、excited dimer(励 起された二量子体)が語源となっている。KrF のエネルギー準位図が Fig. 2-8 に示される [27]。KrF のレーザ下準位は基底準位である、X2Σ 1/2と A2Π1/2, 3/2の2 つの準位である。こ れらは、どちらもポテンシャルエネルギーが原子間距離とともに単調に減少する反発状態 (repulsive)である。KrF のレーザ上準位は励起状態 B2Σ 1/2とC 2Π 3/2, D 2Π 3/2は3 つの準位 であり、これらは、束縛(bound)状態である。KrF*エキシマは励起状態では、安定な分 子状態を形成できる。しかし、レーザ上準位の寿命は6.7 ns と短く、KrF*エキシマは紫外 光(248 nm)を放出して基底状態に戻ると、KrF*エキシマは分子として安定な状態をとる ことができず、Kr と F は解離する。KrF のレーザ発振は、bound-free 遷移であり、下準位 が解離準位であるため、KrF はレーザ発振に必要な反転分布の状態が形成しやすく、エキ シマの生成効率が高い。 Fig. 2-8. KrF エキシマの準位図 [27]. エキシマレーザは、励起源(放電、電子ビーム)によらず、電子励起により始まる。放 電励起では電子エネルギーが低いため、中性原子(希ガスなど)の準安定状態か、1 価のイ オンからエキシマが形成される。Fig.2-9 は KrF エキシマレーザの励起ダイアグラムである 12 10 8 6 4 2 0 -2 1 2 3 4 5 6 7 8 Potential energy (eV ) Internuclear distance (Å) D2 (Σ3/2) Kr+(2P1/2)+F- Kr+(2P3/2)+F- C2(Σ3/2) B2Σ 1/2 A2Σ1/2, 3/2 X2Σ 1/2 Kr+F(2P3/2, 1/2)

n

h

F

Kr

KrF

*

+

+

(18)

18 [29]。Kr と F2、Ne の混合ガスの放電励起における、KrF*エキシマ生成成の反応式は、 Kr* + F2 → KrF* + F 1) Kr+ + F- + M → KrF* + M M: 中性ガス粒子) 2) の2 つである。(1)は, 準安定原子 Kr*F2との直接反応で, 励起チャンネルとよばれる。 (2)は Kr+Fの三体衝突によるイオン再結合で、イオンチャンネルとよばれる[30]。 KrF エキシマレーザは、F2ガス、Kr ガス以外に希釈ガスとして He ガスや Ne ガス、Ar ガスなどを用いる。Kr と F2の混合比はおのおの数%と 0.1~0.3%程度である。He ガスまた はNe を希釈ガスとして用いた場合、第 1 励起準位は 19.8 eV、16.5 eV で Kr の励起準位 10 eV に対して高いので、希釈ガスからの KrF 生成への寄与は少ない。希釈ガスは主に放 電状態(電子の分布関数、インピーダンス)を決定する[29]。 Fig. 2-9. KrF エキシマレーザの励起ダイアグラム [29].

Fig. 2-10 と Fig. 2-11 は He と Ne の放電中の電子エネルギーの分布である。He では低エ ネルギー側の電子エネルギーの分布が高いのに対し、Ne では比較的高エネルギーの電子エ ネルギーの分布が多い。これは、運動量輸送断面積がNe では高エネルギー側に大きく、 He ではその逆であり、分布関数が運動量輸送断面積が大きい方に引かれるためである。準 安定原子Kr*の励起準位は10 eV であるから、エキシマ生成には最低限 10 eV の電子エネ ルギーが必要である。電子のエネルギー分布で比較すると、Ne が比較的小さな E/N(電界 /全ガスの総粒子密度)でも 10 eV 付近の分布が多く優れている。特に He では電子のエネ ルギー分布ががE/N の減少とともに、急激に低エネルギー側に移動している。したがって、 E/N に対して準安定原子 Kr*の生成効率は急激に変化する。Fig. 2-12 は標準的な KrF レー ザの混合ガス中のE/N に対する準安定原子 Kr*の生成効率である[29]。Kr*の生成効率の

E/N 依存性から、低い E/N(0.5 ~ 1.5 ×10-16 V・cm2)ではKr*の生成効率はE/N の増加

とともに急激に改善される。一定程度E/N が大きくなると(> 1.5 ×10-16 V・cm2、イオ

ン化が促進されてKr*の生成効率は低下する。最適のE/N では準安定原子 Kr*の生成効率は

40 %以上になるが、現実の放電では E/N が最適化できないと考えられる。定常状態の E/N はHe を希釈ガスとしたとき、7×10-17 V cm2程度である。この値は、Fig. 2-12 を見ると、

(19)

19

Fig. 2-10. He 放電中の電子のエネルギー分布 [29].

Fig. 2-11. Ne 放電中の電子のエネルギー分布 [29].

(20)

20 を希釈ガスにしたとき、E/N は、さらに 5×10-17 V cm2 まで低下する。しかし、このとき、 Fig. 2-11 に示した電子のエネルギー分布との関係により、10 eV の電子エネルギー分布の E/N の閾値が低下するため、効率が良い。結果として、準安定原子 Kr*生成効率、つまり KrF の生成効率は E/N、希釈ガスに大きく依存する。Table 2-1 は、He 希釈ガスと Ne 希 釈ガスのレーザー動作への影響を示す。希釈ガスとしての優劣は、放電の安定性と電子の エネルギー分布、エキシマ生成への寄与によって決まる。 Table 2-2. 希釈ガスのレーザ動作への影響 [29]. He Ne イオン化エネルギー eV 24.6 21.6 準安定状態のエネルギー eV 19.8 16.5 ○ △ × × × △ ×(KrF) ○(KrF) エキシマ生成への寄与 電子分布 空間的一様性 希釈ガス 放電の安定性

(21)

21 参考文献(第2 章)

[1] M. A. M. El-Osealy, T. Jitsuno, K. Nakamura, Y. Uchida, T. Goto, “Oscillation and gain characteristics of longitudinally excited VUV F2 laser at 40 Torr total pressure,”

Optics Communications, 207, 255-259, (2002).

[2] P. Burkhard, T. Gerber, W. Luthy, “XeF excimer laser pumped in a longitudinal low-pressure discharge,” Applied Physics Letters 39 , 19-20, (1981).

[3] Z. Zhou, Y. Zeng, M. Qiu, “XeCl excimer laser excited by longitudinal discharge.” Applied Physics Letters, 43 (4), 347-349, (1983).

[4] T. Gerber, P. J. M. Peters, H. M. J. Bastiaens, “A KrF-LASER EXCITED BY A CAPACITIVELY COUPLED LONGITUDINAL DISCHARGE,” Optics Communications, 53, Num. 6, 401-404, (1985).

[5] K. Uno, T. Akitsu, T. Jitsuno, “Longitudinally excited N2 laser with low beam

divergence,” Review of Scientific Instruments, 85, 096198, (2014).

[6] S. Ghoreyshi, K. Rahimian, Akbar Hariri “Gain and saturation energy measurements in low pressure longitudinally excited N2-lasers,” Optics

Communications, 238, (2004).

[7] H. J. Eichier, J. Hamisch, B. Nagel, and W. Schmid, “KrF laser with longitudinal discharge excitation”, Applied Physics Letters, 46, 911-913, (1985).

[8] M. A. El-Osealy, T. Ido, K. Nakamura, T. Jitsuno and S. horiguchi, “Oscillation and gain characteristics of high power co-axially excited N2 gas lasers”, Optics

Communications, 194 ,191-199, (2001).

[9] K. Uno, T. Akitsu, K. Nakamura,and T. Jitsuno “Comparison of modified driver circuit and capacitor-transfer circuit in longitudinally excited N2 laser” Review of

Scientific Instruments, 84, 043103 (2013).

[10] K. Kakizaki, Y. Sasaki, T. Inoue, Y. Sakai, “High-repetition-rate (6 kHz) and long-pulse-duration (50 ns) ArF excimer laser for sub-65 nm lithography,” Review of Scientific Instruments, 77 0395109, (2006).

[11] T. Saito, T. Suzuki, M. Yoshino, O. Wakabayashi, T. Matsunaga, J. Fujimoto, K. Kakizaki, T. Yamazaki, T. Inoue, K. Terashima, T. Enami, H. Inoue, A. Sumitani, H. Tomaru, H. Mizoguchi, “Ultra line-narrowed ArF excimer laser G42A for sub-90-nm lithography,“ Proc. of SPIE, 5040, 1704-1711, (2003).

[12] H. Mizoguchi, T. Inoue, J. Fujimoto, T. Yamazaki, T. Suzuki, T. Matsunaga, S. Sakanishi, M. Kaminishi, Y. Watanabe, T. Ohta, M. Nakane, M. Moriya, T. Nakaike, M. Shinbori, M. Yoshino, T. Kawasuji, H. Nogawa, T. Ito, H. Umeda, S. Tanaka, H. Taniguchi, Y. Sasaki, J. Kinoshita, T. Abe, H. Tanaka, H. Hayashi, K. Miyao, M. Niwano, A. Kurosu, M. Yashiro, H. Nagano, N. Matsui, T. Mimura, K. Kakizaki and M. Goto, “High Power Injection Lock Laser Platform for ArF Dry/Wet Lithography,” Proc. of SPIE, 5754, 780-789, (2005).

[13] H.Tsushima, H. Katsuumi, H. Ikeda, T. Asayama, T. Kumazaki, A. Kurosu, T. Ohta, K. Kakizaki, T. Matsunaga, and H. Mizoguchi, “ Extremely-long life and low-cost 193nm excimer laser chamber technology for 450mm wafer

(22)

22

multi-patterning lithography, ” Proc. of SPIE, 9052 90521E-1-8, (2014).

[14] H. Tsushima, M. Yoshino, T. Ohta, T. Kumazaki, H. Watanabe, S. Matsumoto, H. Nakarai, H. Umeda, Y. Kawasuji, T. Suzuki, S. Tanaka, A. Kurosu, T. Matsunaga, J. Fujimoto and H. Mizoguchi, “Reliability report of high power injection lock laser light source for double exposure and double patterning ArF immersion lithography,” Proc. of SPIE, 7274 72743L-1-10, (2009).

[15] A. J. Kearsley, A. J. Andrews and C. E. Webb, “A novel pre-ionization technique for discharge excited rare gas halide lasers,” Optics Communications, 31, 181-184, (1979).

[16] A. J. Andrews, A. J. Kearsley, C. E. Webb and S. C. Haydon, “A KrF fast discharge laser in mixtures containing NF3, N2F4 or SF6,” Optics Communications, 20, 265-268,

(1977)

[17] S. Watanabe, S. Shiratori, T. Sato and H. Kashiwagi, “Efficient amplification of a discharge pumped KrF laser,” Applied Physics Letters, 33, 141 (1978).

[18] V. Hasson and H. M. Bergmann, “Simple and compact photopreionization‐ stabilized excimer lasers,” Review of Scientific Instruments, 50, 1542 (1979).

[19] E. Armandillo, G. Grasso and G. Salvetti, “Simple, compact, high‐repetition rate XeCl laser,” Review of Scientific Instruments, 56, 674 (1985).

[20] J. I. Levatter and Z. Li, “Low energy x‐ray preionization source for discharge excited lasers,” Review of Scientific Instruments, 52, 1651 (1981)

[21] H. Shields and A. J. Alcock, “Short pulse, x-ray preionization of a high pressure XeCl gas discharge laser,” Optics Communications, 42, 128 (1982)

[22] ギガフォトン株式会社の Web ページ, http://www.gigaphoton.com/.

[23] H. G. Heard, “Ultra-violet Gas Laser at Room Temperature”, Nature, 200, 667, (1963).

[24] 杉田良信, 藤山寛, 「プラズマ計測のための高出力 LC 反転形窒素レーザの製作」, 長崎大学工学部研究報告, 21, 1-8, (1991).

[25] A. N. Panchenko, “Laser on Nitrogen-Electronegative Gas Mixtures, Pumped by Inductive Energy Storage Generator: Experiment and Theoretical Model”, Physics of Wave Phenomena, 17, 251-276, (2009).

[26] レーザ学会, 「レーザハンドブック」, 228-229, オーム社, (2005).

[27] P. Jeffrey Hay and Thom. H. Dunning Jr, “The electronicstate of KrF”, The Journal of Chemical Physics, 66, 1306-1316, (1977).

[28] 前田三男, 「エキシマ光源の原理」, レーザ研究, 23, 1027-1037, (1995). [29] 前田三男, 「エキシマレーザ」, 学会出版センター, (1993).

(23)

23 第3 章 軸方向放電励起方式N2分子レーザの高出力化の研究 3.1 はじめに 前章で述べたように、軸方向放電励起方式は、小型でシンプル、コストパフォーマンス の良い装置で、付加価値の高い分野以外への応用が可能な装置である。しかしながら、長 い電極間間隔により、放電インピーダンスが大きく、放電電流が小さくなるため、出力が 低くなる。これまで高出力レーザの開発が時流であったために、比較的容易に高出力化が 可能な横方向放電励起の研究、開発はされていたが、軸方向放電励起方式での高出力化の 研究は、あまりされていなかった。そこで、最も実用的なレーザの一つであり、これまで に軸方向放電励起方式でレーザ発振が確認されているN2分子レーザ(337 nm)を用いて、 高出力化へ向けた考察、研究をおこなった。

本章では高出力化へ向けた手段として、MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)シ ステムの導入による高パルスエネルギー化と、高繰り返し化による平均エネルギーの高出 力化についての考察を行い、MOPA システムの AMP 段に使用可能な軸方向放電励起によ る大口径N2分子レーザの開発と、高繰り返し動作時の特性調査を行った。予備電離を適正 にコントロールすることにより、大口径放電管(内径14 mm、長さ 30cm)においても均 一な放電を得ることができ、レーザ出力エネルギー343 µJ、レーザパルス幅(FWHM)は 22.9 ns の円形なガウシアンビームプロファイルのレーザを実現し、MOPA システム AMP 段に使用可能なビームプロファイルが得られた。高繰り返し化については、軸方向放電励 起N2分子レーザにおいて、内径2.5 mm, 長さ 30 cm の放電管において、繰り返し周波数 300 Hz 動作が実現した。 3.2 計測器及び計測パラメータの定義 本研究の測定では、オシロスコープ(Tektronix 社, DPO7054)と高電圧プローブ (Tektronix 社, P6015A)により充電電圧と放電電圧の測定を行った。エネルギーメータ (Gentec 社, QE12LP-H-MB-D0)によりレーザ出力エネルギーの測定を行った。 光電子 増倍管(Hamamatsu 社, R1645U-10)によりレーザパルス波形の測定を行った。 ビーム プロファイラ(Coherent 社, LaserCam-HR-UV)によりビームプロファイルの測定を行っ た。 分光器(Ocean Optics 社, Maya2000 Pro)によりスペクトルの測定を行った。本研

(24)

24 究で計測した、各種計測パラメータの定義をTable 3-1 に示す。本研究においては、Table 3-1 で定義した計測パラメータを用いて、評価を行った。 Table 3-1. 本研究における各計測パラメータの定義. 充電電圧の 立ち上がり時間 充電の開始から最大電圧(マイナス電圧)までの 電圧変化 10%から 90%に要した時間(立ち上がり時間) Fig.3-1 (a) 充電電圧の 立ち下がり時間 最大電圧(マイナス電圧)から最小電圧(プラス電圧)までの電圧変 化 10%から 90%に要した時間(立ち下がり時間) Fig. 3-1 (b) 放電電圧の 立ち上がり時間 放電の最大電圧(マイナス電圧)までの 電圧変化 10%から 90%に要した時間(立ち上がり時間) Fig. 3-2 (a) 放電電圧の 立ち下がり時間 最大電圧(マイナス電圧)から最小電圧(プラス電圧)までの電圧変 化 10%から 90%に要した時間(放電形成時間) Fig. 3-2 (b) レーザ パルス幅 レーザパルスの最大値の 50%において, 立ち上がりと 立ち下がりの間に要する時間(半値幅) Fig. 3-3 (a) スペクトル幅 スペクトルの最大値の 50%において, 立ち上がりと 立ち下がりの間に要する波長(半値幅) Fig. 3-3 (b) (a) (b) Fig. 3-1. 充電電圧の定義.

(25)

25 (a) (b) Fig. 3-2. 放電電圧の定義. (a) (b) Fig. 3-3. レーザパルス幅、スペクトル幅の定義. 3.3 高パルスエネルギー化による高出力化の検討 3.3.1 はじめに 1 パルスあたりの出力されるレーザ光パルスエネルギーを高パルスエネルギー化するこ とで、高出力化を図る。その一つの手段として、MOPA システムを用いた高パルスエネル ギーかがある。Fig. 3-4 に MOPA システムの構成を示す。MOPA システムでは、発振段(MO 段)と増幅段(PA 段)とから構成される。MO 段の光の性質を維持した状態で、PA 段で 増幅し、高出力エネルギーが得られることが特徴である。PA 段は共振器を持たない増幅器 によりレーザ光を増幅する方式である。MOPA システムの動作は、MO 段で作られた光を、

(26)

26 シード光としてPO 段にシードし、PA 段で 1 パス(共振器を形成しない反射鏡を用いる場 合は, 2-3 パス程度)させて、増幅光を得る。この MOPA システムでは, 発振器と増幅器 の同期が重要となる。軸方向放電励起方式銅蒸気レーザ(511 nm, 578 nm)では、大型放 電管(口径8 cm, 管長 300 cm)を用いて出力 650 W、繰り返し 5 kHz の装置が開発され ている[1]。また、小型発振器と多段増幅器で構成される 12 ラインの MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)システムにより, 9000 W の出力も得られている[1]。このこと は、軸方向放電励起方式の高出力化の指針になる。

Fig. 3-4. MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)システム構成.

軸方向放電励起方式N2分子レーザにおいて、内径2.5 mm、長さ 30 cm のガラス管を放 電管に使用し、ビーム拡がり角0.29 mrad と拡がり角の小さく、円形な、高ビーム品質が 得られることが、先行研究で実証されている。しかしながら、出力エネルギーは2.6 µJ と 低い[2]。本研究では、先行研究で開発された高ビーム品質 N2分子レーザの高出力化を図る べく、先行研究で開発した高ビーム品質N2分子レーザをシード光に用い、そのシード光の 増幅を可能にする、増幅段(PA 段)に使用可能な、大口径放電管の放電均一化を行った。 効率良くシード光を注入するには大口径放電管となり、効率良くシード光を増幅し、高品 質なガウシアンビームを形成するには、PA 段は均一な利得分布が必要となる。均一な利得 分布を得るには、均一な放電が必要となる。本研究では、MOPA システムの PA 段に使用 できる大口径放電管での放電の均一化の開発を行った。 Fig. 3-5.大口径増幅器の開発

(27)

27 3.3.2 実験装置 本研究で用いた軸方向放電励起N2レーザの放電管とパルス電源、励起回路について述べ る。Fig. 3-6 に本研究の大口径軸方向放電励起方式 N2分子レーザの放電均一化実験で用い た放電管構造をしめす。放電管には、内径14 mm、外径 16 mm、長さ 30 cm のパイレッ クス管(誘電体)を用いた。放電管の両端に電極を配置し、さらにミラーホルダを取り付 けられた。 共振器は, 石英ウィンドウ(透過率 92% @ 337 nm)とアルミ紫外増反射ミラ ー(反射率88% @ 337 nm)により構成した。 媒質ガスには N2が用いた。さらに、本研 究では大口径放電管を用いて放電を安定させるために、放電管の周りに金属(アルミニウ ム)チューブを設置する同軸構造を用いた。Fig. 3-7 に同軸構造の放電管を示す。この構造 では主放電の前に、誘電体の外側にアルミニウムチューブを設置した部分で放電が生じ、 それが予備電離として利用できる。加えて、放電管が同軸構造となり、放電電流によるイ ンダクタンス成分がキャンセルでき、高速放電(放電形成時間40 – 200 ns)が期待できる。 本研究では、放電管とアルミニウムチューブの間隔を変化させ、予備電離の強さ、空間分 布を調整し、ビーム形状を円形なガウシアン形状にすることを目指した。 SiO2 Window Al Mirror Gas in Dielectric tube Gas out 30 cm H. V. Fig.3-6. 放電管構造. Al tube H.V. sheet discharge Current Dielectronic tube Main discharge Fig. 3-7. 同軸構造放電管.

(28)

28 Fig. 3-8 に本研究の大口径軸方向放電励起方式 N2分子レーザの放電均一化実験で用いた パルス電源の回路を示す。商用電源による100 V の交流電圧は、ノイズフィルタによりノ イズを除去した。ノイズが除去された交流電圧は、AC-AC トランス(相原電機社, NYSA-50) により440 V まで昇圧される。昇圧された電圧は、ブリッジダイオード(SHINDENGEN 社, S5VB)により交流から直流に整流される。整流された電圧は、サイリスタによりスイ ッチングが行われ、一次容量C1 と抵抗 2.5 kΩにより-600 V のパルス電圧に変換される。 高電圧トランスには, イグニッションコイル(BOSCH, F 000 ZS0 027)を使用した。 ノイズ フィルタ 相原 100/440 V トランス 440 V出力 S5VB 2.5 k1 k80 k160 k40 k20 kΩ 繰り返し調整用 可変抵抗 500 k2.2 µF 2.2 µF N413 1 kΩ スイッチ オート マニュアル -600 V パルス電圧 一次容量 高圧トランス 高電圧パルス AC 100 V スイッチ ヒューズ 2 A ランプ BNC端子 SCR SF10J48 C1 Fig. 3-8 パルス電源回路. 放電励起回路として、簡単な装置構成で、低入力での動作が可能という特徴をもつ、ダ イレクトドライブ回路を用いた。Fig. 3-9 にダイレクトドライブ回路を用いた軸方向放電励 起N2レーザを示す[3]。ダイレクトドライブ回路は、パルス電源と一次容量 C1をもつト ランス、充電(二次)容量 C2、トリガ付きスパークギャップ, 放電管で構成される。 ダイレクトドライブ回路の動作は、パルス電源から-600 V のパルス電圧が出力され、 トランスにより昇圧される。昇圧された電圧は2 つのダイオードによりプラス成分と、マ イナス成分とに分けられる。マイナス成分は充電容量を充電し、プラス成分は, 微小容 量によりタイミングを遅らせ、スパークギャップのトリガに用いた。スパークギャップ が閉じると、充電容量 C2に充電された電圧が放電管に印加された。放電空間が絶縁破 壊電圧に達すると、高速放電が開始しレーザが発振する。本研究では一次容量 C1を 16.4 µF、充電容量 C2を 1300 pF で実験を行った。Fig. 3-10 に本研究で用いた励起回路と放 電管構造を示す。

(29)

29 Power Supply SiO2 Window Al Mirror Gas in Pyrex tube R C2 C1 Gas out Spark gap Fig. 3-9. 励起回路(ダイレクトドライブ回路)[3]. Power supply

SiO

2

window

Al

mirror

Gas in

Dielectric tube

16.4 µF

Gas out

Spark

gap

10 MΩ

Al tube

1300pF

Gap

Fig. 3-10. 本研究での励起回路と放電管構造. 3.3.3 実験結果 Fig. 3-11 にアルミニウムチューブと放電管との間隔を 0 mm、16 mm、22 mm、30 mm として配置した時の、レーザ出力エネルギーのN2ガス圧依存特性を示す。全ての条件にお いて、ガス圧0.5 kPa において最大出力エネルギーが得られた。Fig. 3-12 に N2ガス圧0.5 kPa 時のレーザ出力依存性を示す。間隔 16 mm で本実験での最大エネルギー391 µJ が得 られ、更に間隔が拡がると、出力は低下した。Fig. 3-12 に N2ガス圧0.5 kPa 時の放電開始 電圧と放電立下り時間(放電形成時間)を示す。間隔が拡がると放電開始電圧は上昇し、 放電立下り時間は増加した。

(30)

30 Fig. 3-11. レーザ出力 N2 ガス圧依存性. それぞれ間隔が、青菱形0 mm、赤四角 16 mm、緑三角 22 mm、橙丸 30 mm を示す。 Fig. 3-12. レーザ出力のアルミチューブ間隔依存性 (N2ガス圧 0.5 kPa). Fig. 3-13. 放電開始電圧、放電立下り時間アルミチューブ間隔依存性 (N2ガス圧0.5 kPa). 青菱形は放電開始電圧、赤四角は放電立下り時間を示す。

(31)

31

Fig. 3-14 にガス圧 0.5 kPa におけるビームプロファイル形状を、Fig. 3-15 にビームプロ ファイルの断面形状を示す。アルミニウムチューブと放電管との間隔が0 mm から 16 mm まではビームプロファイルはリング状になり、間隔22 mm と 30 mm では円形なプロファ イルが観測された。放電管と金属チューブとの間隔を調整することにより、円形なビーム プロファイルが観測されたことから、予備電離の強度とそれにより放電の空間の分布が調 整され、放電が均一化されていることが示唆される。Fig. 3-16 に間隔 22 mm におけるビー ムプロファイル形状である。ビームプロファイルはガウス曲線との相関関数R= 0.99513 で あり、よく一致した。 間隔0 mm 間隔 16mm 間隔 22 mm 間隔 30 mm Fig. 3-14. ビームプロファイル形状(N2ガス圧0.5 kPa). Fig.3-15. ビームプロファイル断面形状. 青菱形間隔0 mm、赤四角間隔 16 mm、緑三角間隔 22 mm、橙丸間隔 30 mm を示す。

(32)

32 Fig. 3-16. 間隔 22 mm におけるビームプロファイル形状. Fig. 3-17 に間隔 22 mm、ガス圧 0.5 kPa におけるレーザパルスと放電電圧の時間波形を 示す。放電開始電圧は–38.6 kV で、放電の立下り時間(放電形成時間)は 44 ns であった。 レーザパルスは放電開始とほぼ同時に立ち上がり、レーザパルス幅は22.9 ns、レーザ出力 は343 µJ であった。 Fig. 3-17. 間隔 22 mm、ガス圧 0.5 kPa におけるレーザパルスと放電電圧の時間波形. 赤線はレーザパルス、青線は放電電圧を示す。 3.3.4 まとめ 内径14 mm、長さ 30 cm の大きな放電管をもつ軸方向放電励起 N2レーザにおいて、ア ルミチューブと放電管の間隔を調整することにより、レーザ出力エネルギー343 µJ、レー ザパルス幅(FWHM)は 22.9 ns の円形なガウシアンビームプロファイルのレーザが生成 された。このことから、金属チューブと放電管の間隔を調整することにより、予備電離の 強度とそれにより放電の空間の分布が調整され、放電が均一化されていることが示唆され る。本成果は、軸方向放電励起方式紫外レーザにおける大口径放電管が、MOPA システム のAMP 増幅段に利用できることを示唆している。発振段のレーザを十分に増幅することに

(33)

33 より、更なる高出力化、高品位なビームを得られることが期待できる。 3.4 高繰り返し化による高出力化の検討 3.4.1 はじめに 平均エネルギーを上げることを目的に、高繰り返し化を行うことで、高出力化を図る。 本研究では、スイッチレス回路[4]とダイレクトドライブ回路を用いた軸方向放電励起 N2 レーザ(波長337 nm)において繰り返し動作時の放電の均一化の調査を行った。 3.4.2 実験装置 本研究で用いた軸方向放電励起N2レーザの放電管と励起回路について述べる。放電管に は、内径 2.5 mm, 長さ 30 cm のパイレックス管が用いられた。共振器には, SiO2ウィン ドウ(透過率 92% @ 337 nm)とアルミ紫外増反射ミラー(反射率 88% @ 337 nm)が用 いられた。励起回路には、スイッチレス回路、または、ダイレクトドライブ回路が用い られた。 Power Supply Window Mirror Gas in Dielectric tube C1 Gas out C2 Fig. 3-18. スイッチレス励起回路および放電管構造 [5]. スイッチレス回路は、パルス電源とイグニッションコイル(BOSCH, F 000 ZS0 027)、 一次容量C1のフィルムコンデンサ、充電容量C2のセラミックコンデンサにより構成し た。回路の動作は, パルス電源によりパルス電圧が生成され, イグニッションコイルに より昇圧される。昇圧された電圧は, 充電容量に印加する。充電容量に蓄えられた電圧 は直接放電管に印加される。 放電空間が絶縁破壊電圧に達すると、放電管内でパルス 放電が生じ、レーザが発振しる。本研究では一次容量C1は2.2 µF または 3.2 µF、4.9 µF、 充電容量C2は200 pF または 400 pF を用いた。Fig.3-18 にスイッチレス励起回路と放 電管構造を示す。本実験には、繰り返し周波数20-300 Hz の出力電圧 500V パルス電 源を用いた。パルス電源A の出力電圧 500 V と一次容量(C1)2.2 µF または 3.2 µF、

(34)

34 4.9 µF から計算される入力エネルギーは、275 mJ または 400 mJ、613 mJ である。ガ ス圧依存特性の測定は、放電が安定する0.3 kPa 以上で行った。 Fig. 3-19. ダイレクトドライブ回路および放電管構造. Fig. 3-19 に放電管への印加電圧を比較検討するために使用したダイレクトドライブ 回路及び放電管構造を示す。放電管は、内径2.5 mm、外径 7 mm、長さ 30 cm のパイ レックスチューブとその両端の電極により構成された。放電管は、アルミ箔により同軸 構造とした。アルミ箔が巻かれていない部分の長さは4 cm であった。共振器は、アル ミ紫外増反射ミラー(反射率88% @ 337 nm)と合成石英ウィンドウ(透過率 92 % @ 337 nm)により構成した。励起回路は、SCR を用いたパルス電源、一次容量(C1容量)3.3 µF(594 mJ の入力エネルギー)とトランス、充電容量(C2容量)200 pF、トリガ付 きスパークギャップにより構成した。ガス圧依存特性の測定は、放電の安定する0.4 kPa 以上で行われた。ダイレクトドライブ回路の動作は、パルス電源から-600 V のパルス 電圧が出力され、 トランスにより昇圧される。昇圧された電圧は、充電容量を充電す る。スパークギャップが閉じると、充電容量 C2に充電された電圧が放電管に印加され た。放電空間が絶縁破壊電圧に達すると、高速放電が開始しレーザが発振する。 3.4.3 実験結果 Fig.3-20 は、スイッチレス励起回路での、入力エネルギー613mJ(C1:4.9 µF)にお ける出力エネルギー(a)とレーザパルス幅(b)のガス圧依存特性を示す。繰り返し周波数 20 Hz において、ガス圧 0.5 kPa で、最大出力エネルギー17.9 µJ が得られた。このとき、 レーザパルス幅は 25.4 ns であった。繰り返し周波数 300 Hz では、ガス圧 0.4 kPa で、 最 大出力エネルギー4.9 µJ が得られた。このとき、レーザパルス幅は 11.3 ns であった。繰 り返し周波数を 20 Hz から 300 Hz に増加すると、出力エネルギーとレーザパルス幅は 低下した。

(35)

35 (a) (b) Fig. 3-20. 出力エネルギー、レーザパルス幅ガス圧依存特性. (a)出力エネルギー、(b)レーザパルス幅を示す。青菱形は繰り返し周波数 20 Hz 赤 四角は 300 Hz を示す。 Fig. 3-21 はスイッチレス励起回路での、入力エネルギー613 mJ における放電開始電圧 (a)と放電電圧の立ち上がり時間(b)、放電形成時間(c)のガス圧依存特性を示す。 繰り返し周波数 20 Hz では、ガス圧 0.3 kPa から 0.8 kPa の増加により、放電開始電圧は 24.5 kV から 29.0 kV に増加、放電電圧の立ち上がり時間は 84.9 ns から 114 ns へ増加、 放電形成時間は 166 ns から 136 ns に低下した。繰り返し周波数 300 Hz では、ガス圧 0.4 kPa から 0.8 kPa の増加により、放電開始電圧は 25.3 kV から 29.6 kV へ増加, 放電電圧 の立ち上がり時間は 99.7 ns から 106 ns へ増加、放電形成時間は 225 ns から 136 ns に減 少した。繰り返し周波数を 20 Hz から 300 Hz に増加すると、放電開始電圧と放電形成 時間は減少し、放電形成時間は低ガス圧において増加した。 (a) (b)

(36)

36 (c) Fig. 3-21. 放電開始電圧と放電電圧立ち上がり時間、放電形成時間のガス圧依存性. (a)放電電圧、(b)放電電圧立ち上がり時間、(c)放電成時間を示す。青菱形は繰り 返し周波数 20 Hz 赤四角は 300 Hz を示す。 Fig. 3-22 は、スイッチレス励起回路での、入力エネルギー613 mJ における繰り返し周 波数 20 Hz、ガス圧 0.5 kPa のレーザパルスと放電電圧の時間波形を示す。放電電圧は, 148 ns で立ち上がり、28.9 kV(放電開始電圧)に達し、135 ns(放電形成時間)で立ち 下がった。レーザパルスは放電開始とほぼ同時に立ち上がった。 Fig. 3-22 レーザパルスと放電電圧の時間波形. (スイッチレス励起回路、繰り返し周波数 20Hz、ガス圧 0.5kPa) 青実線はレーザパルス、赤破線は放電電圧を示す。 Fig. 3-23 は、スイッチレス励起回路での、入力エネルギー613 mJ における繰り返し周 波数 300 Hz、ガス圧 0.4 kPa のレーザパルスと放電電圧の時間波形を示す。放電電圧は, 108 ns で立ち上がり, 25.2 kV(放電開始電圧)に達し、222 ns(放電形成時間)で立ち 下がった。レーザパルスは放電開始とほぼ同時に立ち上がった。20 Hz に比べて長い放

(37)

37 電形成時間が観測された一方で、レーザパルス幅は低下している。このことは、300 Hz の放電において、放電形成時間の後半の部分で、十分な利得が得られておらず、レーザ 発振に寄与していないことが示唆される。 Fig. 3-23. レーザパルスと放電電圧の時間波形. 青実線はレーザパルス、赤破線は放電電圧を示す。 Fig. 3-24 に、スイッチレス励起回路での、入力エネルギー613 mJ、繰り返し周波数 20Hz、 ガス圧 0.5 kPa のビームプロファイルを示す。ビームプロファイルは、出力鏡から 20 cm の位置で計測した。ビームプロファイルは, 中心部分で強度が高く, ガウシアン分布に 近いビームプロファイル(相関係数 0.984)が得られた。 (a) (b) Fig. 3-24. ビームプロファイル. (a)2 次元ビームプロファイル(b)X 方向のビームプロファイルを示す Fig. 3-25 にスイッチレス励起回路での、入力エネルギー613 mJ、繰り返し周波数 300 Hz、ガス圧 0.4 kPa のビームプロファイルを示す。ビームプロファイルは、出力鏡から

(38)

38 20 cm の位置で計測した。 ビームプロファイルは中心部分において局所的に強度が高 いビームプロファイルが観測された。これは、高繰り返し動作により、放電が中心に集 中したためと考えられる。 (a) (b) Fig. 3-25. ビームプロファイル. (a)2 次元ビームプロファイル(b)X 方向のビームプロファイルを示す Fig. 3-26 にスイッチレス励起回路での、入力エネルギー613 mJ における、繰り返し周 波数 20 Hz、300 Hz 時のスペクトル波形を示す.スペクトルは 20 Hz、300 Hz ともに中心 波長 337.2 nm でありスペクトル幅は 0.43 nm(装置分解能 0.45 nm)であった。 (a) 20 Hz (b) 300 Hz Fig. 3-26. スペクトル波形. (a)繰り返し周波数 20 Hz、(b)繰り返し周波数 300 Hz を示す。

(39)

39 (a) (b) Fig. 3-27. 出力エネルギーとレーザパルス幅の繰り返し依存特性. (a)と(b)は出力エネルギーとレーザパルス幅を示す。入力エネルギーはそれぞれ青 菱形613 mJ、赤四角 400 mJ、緑三角間隔 275 mJ を示す。 Fig. 3-27 にはスイッチレス励起回路での、出力エネルギーとレーザパルス幅の繰り 返し依存特性をFig. 3-28 には、放電開始電圧と放電電圧の立ち上がり時間、放電形成 時間の繰り返し依存特性を示す。入力エネルギー613 mJ では、繰り返し周波数を 20 Hz から300 Hz へ増加することにより、 出力エネルギーは 17.9 µJ から 4.9 µJ まで低下 (27%まで低下)し、 レーザパルス幅は 25.4 ns から 14.1 ns まで狭くなった。入力エ ネルギー400 mJ(C1:3.2 µF)では、繰り返し周波数を 20 Hz から 300 Hz へ増加す ることにより、 出力エネルギーは 20.6 µJ から 3.3 µJ まで低下(16%まで低下)し、 レーザパルス幅は25.2 ns から 14.9 ns まで狭くなった。入力エネルギー275 mJ(C1:2.2 µF)では、繰り返し周波数を 20 Hz から 270 Hz まで増加することにより、出力エネ ルギーは12.1 µJ から 1.1 µJ にまで低下(9%まで)し、レーザパルス幅は 24.3 ns か ら12.7 ns まで狭くなった。放電開始電圧は繰り返し周波数に依存せずほぼ一定で、入 力エネルギー275 mJ では 22.9 kV、400 mJ では 29.3 kV、613 mJ では 26.1 kV であ った。放電電圧の立ち上がり時間は、繰返し周波数には依存せず、入力エネルギー275 mJ では 118 ns、400 mJ では 102 ns、613 mJ では 85 ns であった。放電形成時間は、 入力エネルギー400 mJ と 613 mJ において、繰り返し周波数に依存せず、それぞれほ ぼ一定の99.5 ns と 134 ns であった。入力エネルギー275 mJ では、放電形成時間は 180 Hz まではほぼ一定の 135 ns であった。繰返し周波数を増加することによりビーム プロファイルの中心集中が顕著に観測され、放電電圧の変化はほとんど観測されなかっ た。これらより、繰返し周波数の増加による、出力エネルギーの低下は、放電の中心へ の集中が1つの原因であると考えられる。

(40)

40 (a) (b) (c) Fig. 3-28. 放電電圧の繰り返し依存特性. (a)は放電開始電圧、(b)は放電電圧の立ち上がり時間、(c)は放電形成時間を示す。 Fig. 3-29 にダイレクトドライブ回路での、出力エネルギーとレーザパルス幅のガス圧 依存特性を示す。繰り返し周波数 1 Hz では、ガス圧 1.0 kPa において最大出力エネルギ ー109 µJ が得られた。このとき、レーザパルス幅は 14.7 ns であった。繰り返し周波数 100 Hz では、ガス圧 0.7 kPa において、 最大出力エネルギー26.1 µJ、レーザパルス幅は 11.3 ns が得られた。最大出力エネルギーが得られたガス圧よりも低いガス圧では、励起 ガス密度の低下により、高いガス圧では放電インピーダンスの増加が引き起こす放電電 流の低下により, 出力エネルギーが低下すると考えられる。繰り返し周波数を 1 Hz か ら 100 Hz に増加すると、出力エネルギーとレーザパルス幅は低下した。

(41)

41 (a) (b) Fig. 3-29. 出力エネルギー、レーザパルス幅ガス圧依存特性. (a)は出力エネルギー、(b)はレーザパルス幅、青菱形は繰り返し周波数 1 Hz、赤四 角は繰り返し周波数 100 Hz を示す。 Fig. 3-30 に、ダイレクトドライブ回路での、充電電圧、充電電圧の立ち上がり時間、 充電電圧の立ち下がり時間のガス圧依存特性を示す。繰り返し周波数 1 Hz と 100 Hz に おいて、ガス圧に対する依存は見られず、繰返し周波数の増加により充電電圧は低下が 見られ、1 Hz ではおよそ-42.7 kV、100 Hz ではおよそ-27.7 kV であった。ガス圧に対 する依存は見られなかった。充電電圧の立ち上がり時間は、ガス圧に対する依存は見ら れず、繰返し周波数の増加により短くなり、1 Hz でおよそ 74.4 µs、100 Hz ではおよそ 54.2 µs であった。充電電圧の立下り時間は、繰り返し周波数 1 Hz の場合、ガス圧が 0.4 kPa から 1.4 kPa の増加で、 44.4 ns から 66.7 ns に増加した。繰り返し周波数 100 Hz で は、ガス圧が 0.4 kPa から 1.4 kPa の増加で、充電電 28.1 ns から 38.7 ns に増加した。充 電電圧立ち下がり時間の増加は、ガス圧の増加により、放電インピーダンスが増加した ためと考えられる。繰り返し周波数を 1 Hz から 100 Hz に増加すると、充電電圧と充電 電圧の立ち上がり時間が低下した。 また、ガス圧 0.7 kPa 以下では、充電電圧の立ち下 がり時間が低下した。 (a) (b)

(42)

42 (c) Fig. 3-30. 充電電圧のガス圧依存特性. (a)は充電電圧、(b)は充電電圧の立ち上がり時間、(c)は充電電圧の立ち下がり時 間を示す。青菱形は繰り返し周波数 1 Hz、赤四角は繰り返し周波数 100 Hz を示す。 Fig. 3-31 にダイレクトドライブ回路での、放電開始電圧と放電電圧の立ち上がり時間、 放電形成時間のガス圧依存特性を示す。繰り返し周波数 1 Hz では、放電開始電圧はガ ス圧の増加により、-36.0 kV から-50.1 kV に増加した。ガス圧の増加による放電開始 電圧の増加は、絶縁破壊電圧がガス圧の増加により増加したためである。放電電圧の立 ち上がり時間は、ガス圧に依存せず、ほぼ一定の 29.9 ns であった。放電立下り時間(放 電形成時間)は, ガス圧の増加により、19.3 ns から 32.6 ns に増加した。繰り返し周波 数 100 Hz においては、放電開始電圧はガス圧に依存せず、およそ-33.7 kV であった。 放電電圧の立ち上がり時間は、ガス圧に依存せず、およそ 17.4 ns であった。放電形成 時間は、ガス圧が増加すると、24.1 ns から 49.8 ns に増加した。繰り返し周波数を 1 Hz から 100 Hz に増加すると, 放電開始電圧と放電電圧の立ち上がり時間が減少し, 放電 形成時間は増加した。 (a) (b)

(43)

43 (c) Fig. 3-31. 放電電圧のガス圧依存特性. (a)は放電電圧、(b)は放電電圧の立ち上がり時間、(c)は放電電圧の立ち下がり時 間を示す。青菱形は繰り返し周波数 1 Hz、赤四角は繰り返し周波数 100 Hz を示す。 Fig. 3-32 にダイレクトドライブ回路での、繰り返し周波数 1 Hz、ガス圧 1.0 kPa での レーザパルスと放電電圧の時間波形を示す。繰り返し周波数 1 Hz、ガス圧 1.0 kPa にお いて、放電電圧は, 30 ns で立ち上がり、-44.7 kV(放電開始電圧)に達し、38 ns(放 電形成時間)で立ち下がった。レーザパルスは放電開始とほぼ同時に立ち上がった。 Fig. 3-33 にダイレクトドライブ回路での、繰り返し周波数 100 Hz、ガス圧 0.7 kPa で のレーザパルスと放電電圧の時間波形を示す。放電電圧は、16 ns で立ち上がり、-34.9 kV(放電開始電圧)に達し、 25.3 ns(放電形成時間)で立ち下がった。レーザパルス は放電開始とほぼ同時に立ち上がった。 Fig. 3-32. レーザパルスと放電電圧の時間波形. 青実線はレーザパルス、赤破線は放電電圧を示す。

Fig. 2-2.  横方向放電励起方式における予備電離機能 .
Fig. 2-12. E/N に対する Kr* の生成効率   [29]
Fig. 3-4. MOPA ( Master Oscillator Power Amplifier )システム構成 .
Fig. 3-14 にガス圧 0.5 kPa におけるビームプロファイル形状を、 Fig. 3-15 にビームプロ ファイルの断面形状を示す。アルミニウムチューブと放電管との間隔が 0 mm から 16 mm まではビームプロファイルはリング状になり、間隔 22 mm と 30 mm では円形なプロファ イルが観測された。放電管と金属チューブとの間隔を調整することにより、円形なビーム プロファイルが観測されたことから、予備電離の強度とそれにより放電の空間の分布が調 整され、放電が均一化されていることが示唆さ
+2

参照

関連したドキュメント

In the main square of Pilsen, an annual event where people can experience hands-on science and technology demonstrations is held, involving the whole region, with the University

Abstract: This paper describes a study about a vapor compression heat pump cycle simulation for buildings.. Efficiency improvement of an air conditioner is important from

(1) As a regional characteristic of Alvesta, because of its strong community foundation based on its small size, a high level of consciousness regarding establishing a welfare living

参考のために代表として水,コンクリート,土壌の一般

toursofthesehandsinFig6,Fig.7(a)andFig.7(b).A changeoftangentialdirection,Tbover90゜meansaconvex

We measured the variation of brain blood quantity (Oxy-Hb, Deoxy-Hb and Total-Hb) in the temporal lobes using the NIRS when the tasks of the memories were presented to the sub-

(注)ゲートウェイ接続( SMTP 双方向または SMTP/POP3 処理方式)の配下で NACCS

῕ / ῎ῒ῏ , Analytical complication of comments by Govern- ments and international organizations on the draft text of a model law on international commercial arbitration: report of