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<原著>CSIIを行っている患者の治療に対する認識とセルフケア行動の関連 : MDI患者との比較 利用統計を見る

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CSIIを行っている患者の治療に対する認識とセルフケア行動の関連

−MDI 患者との比較−

The Relationship between the Perception of Diabetes Treatment and the Required Self-Care Behaviors

of Diabetic Patients Undergoing CSII –A Comparison with Diabetic Patients Undergoing MDI–

保坂 美佳

1)

,大村 希依

1)

,岩垂とき葉

1)

,浅野ともみ

1)

,伏見ます美

1)

,西田 頼子

2) HOSAKA Mika,OMURA Kie,IWADARE Tokiha,ASANO Tomomi,FUSHIMI Masumi,NISHIDA Yoriko

要 旨

目的: CSII 患者の食事,運動,インスリン療法に対する認識とセルフケア行動の関連を MDI 患者と比較し て明らかにし,看護師による療養指導に活かすことを目的とした。 方法: 対象は外来通院中の1型糖尿病CSII患者24名,MDI 患者 17 名であった。各治療に対する認識(DTSQ27 項目 7 段 階評価),セルフケア行動(SDSCA18 項目の実施頻度)について調査用紙を用い,HbA1c値等はカルテより調査した。 結果: 両群ともに治療の重要度の認識は高く,治療の満足度も高かった。一方,食事療法と運動療法は両群 ともに満足度や利便性がやや低く,実施頻度も食事療法は週 4 日,運動療法は週 2 日で困難を感じて いた。食事・運動療法の認識と行動の関連は,CSII 群では満足度や継続性等と実施頻度に正の相関が 認められ,HbA1c 値と食事療法の実施頻度では負相関が認められた(│r│≧ 0.5,p < 0.05)。 考察: CSII 患者は,その手技や管理方法に意識が向きやすいが,食事・運動療法についても生活スタイルを 考慮し実施可能な内容を患者と検討し支援する必要性が示唆された。

Purpose: To examine the relationship between the perception of diabetes treatment (diet, exercise,

insulin therapy) and the required self-care behaviors of diabetes patients undergoing CSII (Continuous Subcutaneous Insulin Infusion) and compare the perceptions to those of diabetes patients undergoing MDI (Multiple Daily Injection).

Methods: Subjects were outpatients with type I diabetes undergoing CSII (n = 24) or MDI (n = 17).

Three assessment tools were used: the Diabetes Treatment Satisfaction Questionnaire (DTSQ) for the perception of diabetes treatment, the Summary of Diabetes Self-Care Activities (SDSCA) for self-care behaviors, and HbA1c values.

Results & Discussion: In both groups the perception of the importance of diabetes treatment and the

degree of satisfaction with the diabetes treatment were high. The perception of satisfaction and convenience of diet and exercise were slightly low in both groups. Dietary treatment and exercise were administered 4 days/week and 2 days/week respectively. In the CSII group, a positive correlation was found between satisfaction, continuity, and the frequency of diet and exercise. The HbA1c values and the frequency of diet behavior revealed a negative correlation. Therefore, nurses need to consider patients’ perception and support the dietary and exercise behavior that is required by patients undergoing CSII.

受理日:2014 年 7 月 10 日

1) 山梨大学医学部附属病院看護部:University of Yamanashi Hospital, Nursing Department

2) 山 梨 大 学 大 学 院 医 学 工 学 総 合 研 究 部( 臨 床 看 護 学 ): Interdisciplinary Graduate School of Medicine and Engineering (Clinical Nursing), University of Yamanashi

キーワード インスリン持続皮下注入療法,1 型糖尿病患者,治療の認識,セルフケア行動

Key Words Continuous Subcutaneous Insulin Infusion, Type 1 Diabetic Patients, Perception of Treatment, Self-Care Behaviors

Ⅰ.はじめに

1998 年に報告された,アメリカにおける糖尿病の 大 規 模 臨 床 研 究(DCCT:Diabetes Control and Complications Trial)で,インスリン持続皮下注入療法 (Continuous Subcutaneous Insulin Infusion 以下 CSII)

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の有効性が報告された。CSII は,電動式の携帯型ポン プを使って,皮下に挿入した細いチューブからインスリ ンを注入する治療法である。その最大の利点は,生活の リズムに合わせてインスリン量を調節できることから, 血糖の変動が安定し重症低血糖のリスクが軽減でき,生 活の質が向上する。1 型糖尿病患者や妊婦または挙児希 望の患者がその適応となる1) CSII の導入目的で入院した患者からは,導入に対し て「CSII の方がコントロールしやすいと医者から勧めら れた」「ポンプの方が楽だし,便利だと思った」など肯定 的な言葉が聞かれている。先行研究2)では,CSII 導入 期の患者の思いに焦点を当て,自己管理に向けた看護師 による効果的な指導方法について明らかとなっている。 しかし,入院患者の多くは意欲的に CSII に取り組む反 面,食事などこれまでの生活習慣を見直すことには消極 的であり,食事療法については「ポンプで調節すればい いのではないか」「今まで散々勉強してきたからできる」 と言う者も少なくない。導入後の患者に自宅での様子を 確認すると,「機器の操作は慣れたが,仕事のストレス で血糖値が乱れて HbA1c も上がった」「食べ過ぎて体 重が増えた」という者がおり,CSII 導入後も患者の生活 習慣とセルフケア行動が血糖コントロールに影響してい る と 考 え ら れ た。 一 方 1 型 糖 尿 病 で 頻 回 注 射 療 法 (Multiple Daily Injection 以下,MDI)を行っている患 者からは血糖コントロールに関して「ご飯を多く食べて いた,直さなきゃいけないと思う」などこれまでの生活 習慣を見直す言葉を聞くことが多い。このような患者の 言動から,CSII 患者と MDI 患者では,インスリン療法 や食事療法などの治療に対する認識に差があり,実際の セルフケア行動にも違いがあるのではないかと考えた。 1型糖尿病で MDI 患者の心理やセルフケア行動につ いての研究3)4)はいくつかみられるが,CSII 患者を対象 にしたものはほとんどない。1型糖尿病の治療として CSII の導入が奨められており,今後増加が見込まれる ことからも,CSII を導入する患者への看護を検討する 必要がある。

Ⅱ.研究目的

1型糖尿病で CSII を行っている患者の食事・運動・ インスリン療法に対する認識とセルフケア行動の関係 を,1型糖尿病で MDI を行っている患者と比較し明ら かにし,CSII を導入する患者への療養指導に活かすこ とを目的とした。

Ⅲ.用語の操作的定義

治療に対する認識:インスリン療法・食事療法・運動療 法に対する患者の満足度・利便性・融通性・理解度・推 薦度・継続性・重要度・困難感を指す。 セルフケア行動:食事療法,運動療法,自己血糖測定, 服薬管理,フットケアの 1 週間の実施頻度を指す。

Ⅳ.研究方法

1. 対象者 A 大学附属病院に通院中の 1 型糖尿病の CSII 患者 24 名,MDI 患者 17 名を対象とした。 2. 調査期間 平成 25 年 3 月1日~ 6 月 30 日 3. 調査内容 1) 基本属性:年齢,性別,身長,体重,罹患歴,イ ンスリン療法の種類と導入期間,合併症の有無, HbA1c,随時血糖値(Blood Sugar:以下 BS)を調 査した。 2) 治療に対する認識:石井ら5)によって日本語訳され た糖尿病治療満足度質問表(Diabetes Treatment Satisfaction Questionnaire:以下 DTSQ)を用いた。 DTSQ は,患者の治療に対する満足度を測定する もので,食事療法や運動療法,経口薬治療,イン スリン治療のすべての糖尿病患者に適応できるよ うに開発され,日本語版については,石井らによ り信頼性・妥当性が検証されている。内容は,現 在の食事・運動・インスリンの各療法・血糖測定 に対する満足度・利便性・融通性・推薦度・継続性・ 重要度と,治療への理解度,高血糖(低血糖)の頻 度の計 27 項目を 0 ~ 6 点で評価し,得点が高いほ ど満足度が高い。「望ましくないほどの高血糖(低 血糖)の頻度」を問う2項目を除き,患者が選択し た数字の合計をもって治療満足度の評点としてい る。 3) 治療の困難感:食事療法・運動療法・インスリン 療法の各療法(各 3 項目計 9 項目)について患者が どの程度困難に感じているかを,1 ~ 5 点で評価し, 得点が高いほど困難感が強いことを示す。

4) セルフケア行動:The Summary of Diabetes Self-Care Activities Measure の 日 本 語 版( 以 下, J-SDSCA)を用いた。SDSCA は Toobert らの研究 から得られたデータを包括したもので,食事療法(5 項目),運動療法(2 項目),自己血糖測定(2 項目), 服薬管理(3 項目),フットケア(5 項目),喫煙(1 項 目)に対する因子より構成されている(計 18 項目)。 セルフケア行動を簡便かつ短時間に評価すること が可能で,1 型 2 型を問わず 18 歳以上の糖尿病患

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者に広く活用されており,大徳ら6)によって日本語 版が作成され妥当性と信頼性が検証されている。質 問形式は,「過去 7 日間においてどの程度セルフケ アを行ったか」で実施頻度を尋ねるもので,実施し た日を1点として 1 週間の合計を点数化した。 4. 調査手順 外来主治医より紹介された患者に調査の趣旨を説明し た上で文書により同意を得た。 同意が得られた患者には,自記式質問用紙を配布し, 回収箱にて回収した。カルテから血液データ(随時血糖 値,HbA1c)の情報を得た。 5. 分析方法 対象を CSII 群と MDI 群の 2 群に分け,年齢,罹患歴 などについては平均値を算出し,2 群間の差の検定には t 検定を用いた。治療の認識およびセルフケア行動の実 際の各項目の差の検定には,Mann-Whitney の U 検定 を用い,認識やセルフケア行動,HbA1c 値等との関連 には Spearman の順位相関係数を用いた。 6. 倫理的配慮 本研究は,山梨大学医学部倫理委員会の承認を得て実 施した。当該診療科長・主治医・看護部長・外来師長に 研究の趣旨,調査内容,方法を文章および口頭で説明し 調査協力を得た。調査対象者には,研究概要,データの 取り扱い,匿名性の保持,研究参加の任意,途中中断が 可能であり,それによる治療上の不利益は生じないこと を文章および口頭で説明し,同意書に署名した対象者の みに実施した。

Ⅴ.結果

1. 対象者の特徴(表1) CSII 群 24 名(男性 7 名,女性 17 名,年齢 44.3 ± 9.8 歳), MDI 群 17 名(男性 7 名,女性 10 名,年齢 43.2 ± 12.7 歳) であった。HbA1c 値は,CSII 群 8.1 ± 1.0%,MDI 群 8.1 ± 1.3%,BS 値は,CSII 群 158.1 ± 75.5 ㎎ /dl,MDI 群 160.2 ± 51.3 ㎎ /dl であり,CSII 群と MDI 群では有意 差は認められなかった。合併症は,網膜症(CSII 群 2 名, MDI 群 6 名)と腎症(CSII 群 1 名,MDI 群 2 名)がみら れた。 2. 治療に対する認識(表 2) CSII 群と MDI 群に有意差は認められなかった。治療 に対する重要度は,CSII 群・MDI 群ともに全ての治療 法で中央値 5.0 以上であった。インスリン療法の推薦度・ 継続性(継続への満足度)も両群ともに中央値 5.0 以上で あった。CSII 群ではインスリン療法の融通性も中央値 5.0 であった。 両群とも中央値 3.0 以下であったのは,食事療法の満 足度,運動療法の利便性であった。継続性については, CSII 群は運動療法,MDI 群は食事療法がそれぞれ中央 値 3.0 であった。両群ともインスリン療法に対して中央 値 3.0 以下のものはなかった。 各治療法に対する,満足度・利便性・融通性・推薦度・ 継続性・重要度の合計得点は両群ともインスリン療法が 最も高く,運動療法が最も低かった。両群間に有意差は 認められなかったが,どの治療法に対しても CSII 群の 方が満足度が高い傾向であった。 3. 治療における困難感(表 3) 両群とも,食事療法の「指示カロリーに収める」「規則 正しく,3 食均等に食べる」「糖質・脂質・蛋白質のバ ランスを考える」,運動療法の「毎日続ける」「運動する 時間をつくる」「自分に合った運動を見つける」のすべて で中央値 3.0 以上であった。薬物療法については,MDI 群の「人前での実施や宿泊時」を除き,中央値 3.0 未満で あった。薬物療法よりも食事・運動療法に困難を感じて いた。2 群間に有意な差が認められたものは,薬物療法 の「人前での実施や宿泊時」のみであった(p< 0.05)。 4. セルフケア行動の実際(表 4) セルフケア行動で週に 5 日以上実施していたのは,両 群とも血糖測定や内服・インスリン注射など薬物療法に 関するセルフケア行動であった。足を洗うなどのフット ケアも実施されていた。食事療法で週に 5 日以上実施し 表 1  対象者の特徴 CSII 群(n=24) MDI 群(n=17) 有意差 mean ± SD mean ± SD 年齢 44.3 ± 9.8 43.2 ± 12.7 糖尿病歴(年) 13.7 ± 7.0 16.6 ± 10.7 CSII 期間(年) 4.2 ± 3.1 − BMI 22.1 ± 3.0 23.0 ± 3.7 男性 7 人(29.2%) 7 人(41.2%) 女性 17 人(70.8%) 10 人(58.8%) HbA1c(NGSP)(%) 8.1 ± 1.0 8.1 ± 1.3 グリコ Alb(%) 24.0 ± 4.3 23.9 ± 5.1 BS(mg/dl) 158.1 ± 75.5 160.2 ± 51.3 合併症 網膜症 2 人(8.3%) 6 人(35.3%) 神経障害 0 人(0.0%) 0 人(0.0%) 腎症 1 人(4.2%) 2 人(11.8%) 足病変 0 人(0.0%) 0 人(0.0%) 注)t検定

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表 2 現在の治療に対する認識 CSII 群(n=24) MDI 群(n=17) 有意差 Me mean ± SD Me mean ± SD 現在の治療法に対する満足の程度(満足度) 食事療法 3.0 3.1 ± 1.5 3.0 3.1 ± 1.8 運動療法 3.0 3.0 ± 1.5 3.5 2.9 ± 1.6 インスリン療法 4.0 4.3 ± 1.2 4.0 4.1 ± 1.5 血糖測定 3.0 3.6 ± 1.6 4.0 3.8 ± 1.2 治療法に対する便利さの程度(利便性) 食事療法 4.0 3.5 ± 1.5 3.0 2.8 ± 1.4 運動療法 3.0 3.2 ± 1.4 3.0 2.9 ± 1.6 インスリン療法 4.5 4.3 ± 1.2 4.0 3.5 ± 1.8 血糖測定 4.0 3.8 ± 1.8 3.0 3.4 ± 1.4 治療に対する融通性の程度(融通性) 食事療法 4.0 3.9 ± 1.5 4.0 3.6 ± 1.6 運動療法 3.0 3.2 ± 1.6 4.0 3.4 ± 1.7 インスリン療法 5.0 4.6 ± 1.3 4.0 4.0 ± 1.6 血糖測定 4.5 4.2 ± 1.5 4.5 3.9 ± 1.4 現在の治療を他者に勧めるか(推薦度) 食事療法 4.0 3.7 ± 1.4 4.0 4.2 ± 1.2 運動療法 4.0 3.7 ± 1.2 4.0 4.2 ± 0.9 インスリン療法 5.0 5.2 ± 0.8 5.0 4.5 ± 1.4 血糖測定 5.0 4.9 ± 1.2 5.0 4.5 ± 1.4 治療を続けることへの満足度(継続性) 食事療法 3.5 3.8 ± 1.3 3.0 3.3 ± 1.7 運動療法 3.0 3.5 ± 1.3 4.0 3.5 ± 1.6 インスリン療法 5.0 4.8 ± 1.1 5.0 3.9 ± 2.1 血糖測定 4.5 4.4 ± 1.5 4.0 3.8 ± 1.8 現在の治療に対する重要度の程度(重要度) 食事療法 6.0 5.0 ± 1.5 6.0 5.3 ± 1.1 運動療法 5.0 4.4 ± 1.7 5.5 4.9 ± 1.2 インスリン療法 6.0 5.8 ± 0.5 6.0 5.7 ± 0.7 血糖測定 6.0 5.7 ± 0.6 6.0 5.4 ± 1.2 合計 食事療法 23.0 ± 6.7 20.9 ± 7.4 運動療法 20.2 ± 7.6 19.8 ± 7.6 インスリン療法 29.0 ± 4.7 25.4 ± 7.5 血糖測定 26.6 ± 5.9 24.5 ± 6.7 糖尿病に対する自身の理解度への満足度 4.0 4.2 ± 1.2 4.0 3.7 ± 1.2 望ましくないほど血糖値が高い 4.0 4.5 ± 1.1 4.0 3.9 ± 1.5 望ましくないほど血糖値が低い 3.0 3.0 ± 1.4 3.0 2.5 ± 1.8 注)Mann-Whitney のU検定,合計はt検定, Me は中央値を示す 表 3 治療における困難感 CSII 群(n=24) MDI 群(n=17) 有意差 Me mean ± SD Me mean ± SD 食事療法 指示カロリーに収める 3.5 3.6 ± 1.2 3.0 3.6 ± 1.2 規則正しく,3 食均等に食べる 4.0 3.5 ± 1.3 3.0 3.4 ± 1.5 糖質・脂質・蛋白質のバランスを考える 3.0 3.3 ± 1.0 3.0 3.4 ± 1.3 運動療法 毎日続ける 4.0 3.9 ± 1.2 3.0 3.4 ± 1.4 運動する時間をつくる 4.0 3.6 ± 1.2 3.0 3.5 ± 1.5 自分に合った運動法をみつける 3.0 3.2 ± 1.0 3.0 3.1 ± 1.4 薬物療法 決められた時間に実施する 1.0 1.9 ± 1.1 2.5 2.5 ± 1.2 人前での実施や宿泊時 2.0 2.4 ± 1.3 4.0 3.8 ± 1.2 * 食べ過ぎたときのインスリン調整 2.0 2.4 ± 1.1 2.5 2.8 ± 1.3 注)Mann-Whitney のU検定  *p < 0.05, Me は中央値を示す

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ていたのは,CSII 群では「野菜を多く摂取」,MDI 群で は「食事療法の実施」「3 食均等に配分」であった。運動 療法については,両群とも「30 分以上運動した」は 2.0 日 /週,「運動時間を設けた」は 1.0 日/週であった。両群 ともインスリン注射,血糖測定,フットケアはほぼ毎日 実施しており,食事療法は週に 4 日,運動療法は週に 2 日程度の実施であった。2 群間に有意な差が認められた ものは「血糖測定」と「入浴・または足をお湯に浸けた日 数」で,CSII 群の方が実施頻度が多かった(p< 0.05)。 5. 治療法の認識とセルフケア行動,血糖コントロー ル状況との関連(表 5) 食事療法の認識と行動の関連は,CSII 群では満足度 や利便性,推奨度,継続性と実施頻度に正の相関が認め られたが(いずれも r ≧ 0.5,p < 0.05),MDI 群では認 められなかった。「カロリー内に収めること」への困難感 と実施頻度には負相関が認められた(いずれも r ≦ -0.5, p< 0.05)。運動療法は,CSII 群で満足度,利便性,継 続性などと実施頻度に正相関が認められたが(いずれも r ≧ 0.4,p < 0.05),MDI 群では満足度,利便性と実施 頻度に負相関が認められた(いずれも r ≦ -0.5, p< 0.05)。 両群とも,運動療法の困難感と実施頻度にも多くの負相 関が認められた(いずれも r ≦ -0.5, p< 0.05)。また, CSII 群では HbA1c 値と食事療法の実施頻度とに負相関 が認められた(r=-0.55,p< 0.01)。

Ⅵ.考察

1. CSII 患者の治療に対する認識・困難感,セルフケア 行動の実際の特徴 CSII 患者,MDI 患者ともに糖尿病治療の重要性の認 識は高く,有意差は認められなかった。中でもインスリ ン療法は,すべての項目において中央値 4.0 以上を示し ていた。石井ら5)の DTSQ を用いた調査では,インス リン療法は平均 24.2 点であり,本調査の対象者のイン スリン治療に対する満足度は高いと言える。糖尿病にお けるセルフケア行動との関連の 1 つに,健康信念という 内的要因が挙げられている。これは患者の疾患に対する 認識(罹病性・重大性)と治療に対する認識(利益性・障 害性)が患者の行動を予測し,セルフケア行動の促進要 因・阻害要因になると言われている7)。今回,インスリ ン療法に対する重要性の認識や満足度が高かったことか ら,インスリン療法に対する利益性の認識はほとんどの 患者がもち,セルフケア行動の促進要因になっていたと 推測する。実際,インスリン注射は毎日実施されていた。 2 群間で有意差が認められた「人前での実施」について, CSII に比べ MDI は外食や他者と食事をする際,一旦席 をはずし実施するなどの煩わしさや負担があることが結 果に反映されたと考える。CSII 患者の方が自己血糖測 定の頻度が有意に多かったのは,CSII はその機能性か ら,起床から日中の活動量が増える時間帯,就寝する時 間帯などインスリンの必要量に応じてベースの注入量が 表 4 セルフケア行動の実際 CSII 群(n=24) MDI 群(n=17) 有意差 Me mean ± SD Me mean ± SD 食事療法の実施 4.0 3.5 ± 1.6 5.0 4.4 ± 2.0 1 か月間を平均し,1週間で食事療法の実施日数 4.0 3.8 ± 1.5 4.0 3.9 ± 1.8 野菜を多く摂取した日数 5.0 4.5 ± 2.0 4.0 4.5 ± 2.0 脂質の多い食事を摂った日数 2.0 2.5 ± 1.5 2.0 2.3 ± 1.5 3 食均等に配分して摂取した日数 4.0 3.8 ± 2.5 5.0 3.9 ± 2.8 30 分以上運動した日数 2.0 3.0 ± 2.6 2.0 2.4 ± 2.2 家事や仕事以外で運動時間を設けた日数 1.0 1.5 ± 1.9 1.0 1.7 ± 2.4 血糖測定を行った日数 7.0 6.6 ± 1.3 6.0 5.6 ± 1.9 指示通り血糖測定を行った日数 5.0 4.2 ± 2.9 4.0 3.6 ± 2.6 * 処方された薬を内服した日数 7.0 5.5 ± 2.9 7.0 6.1 ± 2.3 処方されているインスリン注射を実施した日数注 2) 7.0 7.0 指示通り内服,インスリン注射を実施した日数 7.0 6.2 ± 1.8 7.0 6.1 ± 1.9 足のチェックを行った日数 5.0 4.0 ± 3.0 1.0 2.9 ± 3.3 靴の中をチェックした日数 0.0 1.9 ± 2.9 0.0 0.9 ± 2.0 足を洗った日数 7.0 6.8 ± 0.7 7.0 6.5 ± 1.4 入浴・または足をお湯に浸けた日数 7.0 5.7 ± 2.4 4.0 4.1 ± 2.7 * 足を洗った後,指間まで拭いた日数 7.0 5.7 ± 2.6 7.0 5.3 ± 2.6 喫煙者の場合,禁煙した日数注 3) 0.0 1.7 ± 2.9 注 1)Mann-Whitney のU検定  *p < 0.05, Me は中央値を示す 注 2)全員が毎日実施していた 注 3)MDI 群の喫煙者は 0 名

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変わるため,より血糖値の変動を観察する機会が多いと 考える。しかし,MDI 患者も 5.6 ± 1.9 日 / 週測定して おり,インスリン注射同様血糖測定は 1 型糖尿病患者に とって日々の必須事項になっているものと考える。 食事療法に関しては重要性の認識は高かったが,満足 度や利便性,継続性の認識は低く,食事療法の満足度は 石井ら5)の調査の平均得点 28.4 点と比べても低く,治療 の中の困難として挙がっていた。食事療法の重要性はわ かっているが,食べ過ぎたりメニューが偏る,毎日続け ることができないなど患者は何らかの困難感を抱えなが ら療養生活を送っていると考える。運動療法も同様に, 重要性の認識はあるが,満足度や継続性の認識は低いこ とから,実生活の中で仕事や家事などを行いながら,運 動の時間を設けたり,毎日続けることに困難を感じてい ると考える。糖尿病の自己管理には患者がもつ疾患に関 する知識は重要な要素であるが,行動変化との関連性は 低い7)と言われている。今回の結果も,治療の重要性の 認識や治療に対する自身の理解の満足度は高評価であっ たのに対して,食事療法は週 4 回程度,運動療法に関し ては週 2 回程度と低かった。1 型糖尿病患者は,健常者 に比べ望ましい食生活習慣であるが食事にストレスを感 じる者が多いという報告4)もあり,患者は 2 型糖尿病患 者と同様に実生活において食事や運動療法を実行できな 表 5 治療法の認識とセルフケア行動,血糖コントロール状況との関連(CSII 群:n=24,MDI 群 n=17) 食事療法の実践 運動療法の実践 実施日数 (過去 1 週間) 実施日数 (過去 1 ヶ月) 野菜を 多く摂取 脂質の 多い食事 3 食均等に 摂取 30 分以上の 運動実施 運動時間の 設定 治療法の認識 満足度 0.50* 0.62** 0.58 (-0.57) ** * 0.44* 利便性 0.53** 0.75** 0.74 (-0.54) ** * 0.46* 融通性 0.45* 理解度 -0.50* 推薦度 (-0.57)0.63** 0.67** 0.43* 継続度 0.50* 0.68** 0.50* 重要度 食事療法の困難感 カロリー内に収める (-0.57)-0.61** -0.67** 規則的に食べる (-0.54)* バランス 運動療法の困難感 毎日,継続する -0.69 (-0.65) ** ** -0.48 (-0.50) * * 運動する時間をつくる (-0.76)** (-0.50)* 自分に合った運動 -0.50* (-0.77)** (-0.76)** 血糖 HbA1c -0.55** BS グリコ Alb -0.65** 注)Spearman の順位相関係数 *p<0.05,**p<0.01     有意差が認められたもののみ示す。(  )は MDI群 いあるいは継続できないというストレスを抱えながら生 活しているという理解を医療者がもつ必要がある。 2. CSII 患者の治療の認識とセルフケア行動,血糖コン トロールとの関連 CSII 患者は,食事・運動療法に対する認識が高いほ ど実施頻度が高く,困難感が強いほど実施頻度が低かっ た。食事や運動療法を上手く自分の生活に取り入れ,実 施できているほど食事・運動療法に満足し,継続できる と感じ,困難感も低くなると言える。そのため,実践可 能な方法を,患者の生活スタイルも考慮し,患者ととも に検討していくことは CSII 患者であっても重要である。 また,食事療法の実施頻度が多いほど HbA1c 値が低 く,血糖コントロールには食事療法が重要であることを 示唆している。1 型糖尿病患者の食事療法は軽視されが ちな傾向もあるが,HbA1c 値と炭水化物エネルギー比 は負の相関,脂質エネルギー比は正の相関が認められて おり8),食事療法の実施の際にはエネルギー比のバラン スも重要な要素となる。外因性のインスリンに依存して いる 1 型糖尿病では,食事摂取と運動,インスリン量の 調和がとれていないと血糖コントロールがうまくいかな い。そのため,治療に偏りがなく患者は実践していく必 要がある。看護師は CSII を行っている患者に対して機

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の治療および食生活の実態と食事療法実践意識.糖尿病,48(3): 189-195.

5) 石井均,Clare Bradley,Afsane Riazi,他(2000)糖尿病治療満 足度質問表(DTSQ)の日本語翻訳と評価に関する研究.医学の あゆみ,192(7):809-814.

6) 大徳真珠子,本田育美,奥宮暁子,他(2006)セルフケア行動評 価尺度 SDSCA(The Summary of Diabetes Self-Care Activities Measure)の日本人糖尿病患者における妥当性および信頼性の 検討.糖尿病,49(1):1-9. 7) 日本糖尿病療養指導士認定機構編(2013)糖尿病療養指導ガイド ブック 2013. メディカルレビュー社,東京,120-124. 8) 柴崎千絵里,内潟安子,高池浩子,他(2012)1 型糖尿病患者に おける三大栄養素エネルギー比率と血糖コントロール.糖尿病, 55(1):6-11. 器の管理だけでなく,食事・運動を含めた生活全般に対 して患者とともに検討し,個別性のある支援を行うこと が必要であると考える。

Ⅶ.結論

CSII 患者と MDI 患者では,治療に対する認識とセル フケア行動に有意な差は認められなかった。両群とも治 療の重要性の認識は高いが,食事療法と運動療法の満足 度は低く,実施頻度も食事療法は週 4 日程度,運動療法 は週 2 日程度であった。CSII 患者は,食事・運動療法 に対する認識が高いほどその実施頻度も高く,困難感が 強いほど実施頻度が低かった。また食事療法の実施頻度 が多いほど HbA1c 値が低く,CSII 患者においても血糖 コントロールには食事療法が重要であるといえる。1 型 糖尿病患者の食事療法は軽視されがちな傾向があり,加 えて CSII 導入患者は機器の管理に意識が向きがちに なってしまうが,CSII 導入患者に対しても食事療法や 運動療法に関して患者の生活スタイルを考慮し,実生活 の中で実施可能な方法を患者と検討し支援する必要があ る。

Ⅷ.研究の限界と課題

本研究では,全体の対象人数が少なく,比較群も少な かった。また,セルフケア行動に関しては実施回数のみ 調査したため,今後は対象者数を増やし,食事・運動療 法に関する具体的なセルフケアの内容に関しても調査 し,研究を積み重ねていく必要がある。

謝辞

調査にご協力をいただきました患者の皆様と A 病院 の糖尿病外来の医師,看護師の皆様に感謝申し上げます。 引用文献 1) 小林哲郎,難波光義(2014)インスリンポンプ療法マニュアル(改 訂第 2 版)― CSII 療法導入・管理のための手引き― .南江堂, 東京,1-12. 2) 中川さやか,山本千春,道下小百合,他(2008)CSII 導入を目 的とした入院患者への看護ケア― 看護師の教育・指導レベル統 一のプラン作成と効果の検討― .金沢大学看護研究発表論文集 録,40:41-44. 3) 久保田睦子(2011)1型糖尿病患者のインスリン自己調節の実態 と負担感および血糖コントロールとの関連.日本糖尿病教育・ 看護学会誌,15(2):154-162. 4) 石橋理恵子,丸山千寿子,田中利枝,他(2005)1 型糖尿病患者

表 2 現在の治療に対する認識 CSII 群(n=24) MDI 群(n=17) Me mean ± SD Me mean ± SD 有意差 現在の治療法に対する満足の程度(満足度) 食事療法 3.0 3.1 ± 1.5 3.0 3.1 ± 1.8 運動療法 3.0 3.0 ± 1.5 3.5 2.9 ± 1.6 インスリン療法 4.0 4.3 ± 1.2 4.0 4.1 ± 1.5 血糖測定 3.0 3.6 ± 1.6 4.0 3.8 ± 1.2 治療法に対する便利さの程度(利便性) 食事療法 4.0 3

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