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言葉の採集にみる『幼児の世界』(4)

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(1)

言葉の採集にみる『幼児の世界』(4)

佐 藤

五 十 五

The World of Children and their Expressions(4)

Isogo Sato

本稿 は幼稚園教育実習で実習生が幼児 との対応 の中で採集 した 「幼児の言葉」 を分類整理 し 考察 を加 えてい こうとするものである。考察のね らいは造形的、感覚的な視点か ら子供 の遊 び の きっか け と展開の糸口を同時 に見出 してい くことにある。前号か ら (2)「砂場遊 び」に関す る言葉の考察 に入 り 【アースワーク遊び】 と 【レス トランごっこ】の2項 目について考察 を終 えている。本号では 「砂場遊 び」として採集 された言葉 の残 りの2項 目 【砂 と石】【粘土で作 る】 についての幼児の言葉 を取 り上 げ考察 を加 えてみた。(考察対象 として例 に挙 げた言葉 は多数が 採録 した ものについては☆印を、 また数名の限 られた ものについては採録者の学生番号 を付 し て採録 データとしたo また資料整理の手落 ちか ら採録者が不明の もの も幼児の受 け止 め として 如実な ものは省 き難 く敢 えて考察対象 とした。 *印)

1

. 『心情 』 (1) 落 ち葉 (∋ 【判断基準】 ② 【色彩 と発想】 (参 【生 と死】 ④ 【形の発見】 (9 【落 ち葉 と遊 び】 清泉女学院短期大学研究紀要 第 13号 (1995)掲載 清泉女学院短期大学研究紀要 第

1

4

(

1

9

9

6

)

掲載 (2) 砂場遊 び ① 【アースワーク遊 び】 ② 【レス トランごっこ】 清泉女学院短期大学研究紀要 第

1

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(

1

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9

7

)

掲載 ③ 【砂 と石】

6

4

例 《サラサラ砂が で きた≫ 11例 1.白砂 は、お山がで きた らかけるんだ よ。 '92-ll,50

(2)

清泉女学院短期大学研究紀要 (第16号)

2.

白い砂 はね お山にか ける ときれいだ よ。

'

9

2

-

l

l

3.見 て見て、 この砂 ピンクで挑 みたい。 *

4.

サ ラサラ砂がで きた。 ☆

5.

この白い砂 は ケーキの ク リームなんだ。

'

9

2

-

1

2

4

6.

この白い サ ラサ ラの砂 は 粉 の代わ りね。

'

9

2

-

7

7

7.

この砂 は 塩 とこしょうみたいだね。

'

9

2

-

7

6

8.

この砂 は お砂糖 よ。

'

9

2

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1

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0,

8

9

.この砂 ダイヤモ ン ドみたいだ よ。

'

9

2

-

8

1

0.

この砂 サ ラサ ラ してて 気持 ちいい 。

'

9

2

-

3

0

ll,このサラサ ラの 白い砂 お砂糖 みたい 。

'

9

2

-

1

0

0,

2

1

※砂場 の遊 びに水 は欠かす ことはで きない。 砂 の持 つ造形素材 としての効力 は水分 を得 て 殊 の外、増大す る。黒 っぼ く湿 った砂 はその 水分 によってまとま り易 く、様 々な造形 が可 能 となるか らである。 その事 は既 に考察 して きた通 りであるが、一方で前号 【アースワー ク遊 び】 において冒頭、砂場 が子供 たちを引 き付 ける要因で触れた様 に 「サ ラサ ラ してて、 気持 ちいい」 とい う感触的な安心感 を生 む砂 を取 り上 げない訳 には行 かない。「白いサ ラサ ラの砂」 は砂場遊 びが途絶 えた好天の砂場 の あち こちに出現す る。靴跡 と靴跡 に挟 まれた 小 さな砂 の突起 は白 く乾 いて指先でつつ けば パ ラパ ラ と崩れ る。乾 いた砂 は握 れば指 の間 よ りサ ラサ ラと落 ちる。 この落 とし方 によっ て、 また遊 びが展開す る。見立 て とい う幼児 の独特 な発想 は遊 びを次々 と生 んで くれ る。 (前号《お山に雪が降 りました≫《これが こし ょうで、 こっちが塩 だ よ≫参照)さて、「白い サ ラサ ラの砂」 はご く自然 に見出す ことが出 来 るのだが、「男 っぽ く湿 った砂」とかな り対 比 的 に捉 えられているのではないか と思われ る。湿 った砂 は何 よ りも形作 りに適 している 訳 だか ら、メイ ンデ ィシュ としての役割 を持 つ。 それ に引 き換 え、 白い砂 はそれ 自体 での 形作 りには不適 で、装飾的 な使 い方や、 メイ ンメニ ューへの調味料 としての役 目が出て く る。 また 「サラサ ラ砂がで きた」 と云 う感嘆 の一語 には、工夫 して均一 に一定量 の砂 の ま とまりが出来 た ことを意味 してい よう。細 か いメ ッシュの飾 いが無 くて は、 この遊 びは生 まれない。節 い といって も代用品で充分 な遊 び道具 になる。細 目、荒 目、色々な網 目の金 網 を用意 して、木枠 に取 りつ ければ出来上が りであ る。 これで砂場 の砂 をふ るって見 る と、 気持 ちいいほ ど均一 な砂粒 の集 ま りを作 る事 が出来 る。 この遊 び道具が あれ ば、砂場 の砂 に限 らず、あち らこち らで土や ら砂利 や らご みや らを所 か まわず飾 ってみた くなる。勿論、 節 いに残 る物 も発見、見立 ての対 象物 であ る。 無数の砂粒 の中か ら、特定 の物 を選別 してい く (飾 ってい く)遊 びは視覚、感触、 目的観 か らも興味 ある行動 と云 えよう。【レス トラン ごっこ】の項 で しば しば触れた ように砂場 の 環境構成 には、使 い古 した台所用品が欠かせ ない。飾 い もその一 つで、 目ざるの ような物 で充分 である。

(3)

佐藤 :言葉の採集 にみ る 『幼児の世 界刀④ 《キラキラ石 見つ けた よ≫

1

3

例 1.わ あー きれいな石だO

'

9

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4

0

2.

あっ、 この石 キラキラ光 ってて きれい。

'

9

2

-

1

7,

7

6

3.

見 て キラキラ光 って きれ いだよ。 (ガ ラスの破片 を見 つ けて)

'

9

4

-

5

4.

この石 光 って るみたいで とって もきれい。

'

9

4

-

3

8

5.

先生 この石 光 っていて、 とって もきれいだ よ。

'

9

4

-

9

5

6.

あっ、 この石 透明で きれいだね。

'

9

4

-

1

1

9

7.

この石 光 るんだ よ。僕 が 見つ けたんだ。

'

9

2

-

1

2

5

8.

キラキラ石 見つ けた よ。

'

9

4

-

4

6

9.

見 て見 て キンキラ こんなに大 きいの。 (砂場)

'

9

3

-

3

4

1

0.

すべすべ石だ よ。触 ってみて ほ ら。

'

9

4

-

6

0

ll.先生 この石 きれい。

'

9

4

-

1

3

1

2

.先生、 ほ ら きれ いな石。 (砂場)

'

9

3

-

8

1

3.

先生 見 て こんな黄色 い石 ひ ろった よ。透 き通 っていて きれ いで しょ。

'

9

3

-

2

9

※視覚 の発達 とは選別能力 の発達 にはかな ら ない。前項 「サ ラサ ラ」の意味 は触角的 な発 想 か ら生 まれた物であるが、 ここで時々出て くる 「キラキラ」 は視覚的な受 け止 めを意味 してい る。「キラキラ光 って きれ い」と云 う判 断基準 は どこで獲得 した ものか興味があるが、 選別 の きっか けで もある。砂場 の一様 に見 え る面 も光線 の加減で、幼児の視線 を引 きつ け る。砂場 でキラキラ光 っている物がある、側 によって見 るが分か らな くなって しまう。 も う一度戻 って見 る と確か にキラキラ と光 って いる。注意深 く寄 って見 る と、透明の小 さな 石であ る。 中にはガラスの破片 もある。管理 の行 き届 い た 砂 場 で は あ り得 な い。 きれ いな石集 めは砂場 か ら離れて、幼児 の視線 は 地面 を走 る。砂利 を敷 いた通路や園庭 のあち こちで幼 児 の選別 の眼が光 る。 「先生、 この 石 きれい」 と報告 に来 た幼児 との対応 をきっ か け として 「きれいな石集 め ごっ こ」 をして みる と面 白そ うであ る。判 断基準 は光 ってい て きれい、透 き通 っていて きれい、すべすべ していて きれい、 しましま模様 があって きれ い等、多様 であろ う。 た くさん集 まった ら皆 で見せ あいっ こであ る。 ごっこ遊 びに比 べ っ こは付 き物 で ある。光具合 の比 べ っ こや透明 の度合 いをお互 い に比 べ っ こをす る。感覚、 感性 は比較検討す る事 によって分か ってい く もので あ ろ う

「すべ すべ石 だ よ。触 ってみ て、ほ ら」 と云 う場面 は、指先 を通 して比較 検討 している様子 に他 な らない。 日常的な こ うした遊 びを通 して幼児 は様 々な感覚 を身 に つ けてい く事 にな る。感性 を育 てる教育 の場 面 は 日常 的 な幼 児 との触 れ合 いの 中 にあ り 「キラキラ石 見 つ けた よ」 と駆 け寄 って来 た幼児 との対応 の中で実現 され よう。小石 の 持 ってい る特質 を色 々 と確 かめては、比べ て み る一人一人 の遊 び も大切 に見守 ってい きた い ものである。

(4)

清泉女学院短期大学研究紀要 (第16号) 《この ピカ ビカの石 は ダイヤモ ン ドなの≫ 11例 1.先生 この石 宝石 みたいで しょう。これ を 磨 くともっ とピカビカになるんだ よ。*

2.

先生 宝石 みたい。 (石 を拾 って)

'

9

4

-

1

1

3

3.

宝石 なんだ。 (小石 を拾 って)

'

9

4

-

5

0

4

.先生 見 て、 この石 ダイヤモ ン ドみたい。

'

9

3

-

1

2

5.

この石 キラキラ して ダイヤモ ン ドみたいだね。

'

9

2

-

3

6.

先生 これ宝石 なんだ よ。 (きれいな石 を集 めて)

'

9

4

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3

1

7.

きれい ダイヤモ ン ドみたい。 (砂 に混 じった透明 な石 を見つ けて)

'

9

4

-

8

5

8

,この ピカ ビカの石 は ダイヤモ ン ドなの。

'

9

2

-

4

0

9.

い っぱいダイヤモ ン ドがあるね。 (砂 の中の きれいな石 を見つ けて)

'

9

4

-

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3

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0.

きれいな 宝石だ よ。 (ビーズを拾 って)

*

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l

.

この石 きいだね。宝石 みた

い。

'

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5

※キラキラ と光 る小石 を手 に して、 きれいだ とい う価値観 を与 える と、 それ は宝石 とい う 見立 てに至 る。 しか も「ダイヤモ ン ドみたい」 と最高級 の宝石 の見立 て となる。幼児 は大人 の社会 の鏡である。幼児の言葉 の数々 を見 て い くと、大人の受 け止 め方 と同 じことが次々 と出て くる。幼児 らしい感覚 と感性 な どない ので はないか とさえ思 えて くる。身近 な人 や 自分 を取 り巻 く環境か らの受 け売 りで様 々な 事が形成 されて行 く。 そんな事がふ っ と頭 を かすめる と 「この石 ダイヤモ ン ドみたい」 と 云 う折角の発見 も次の遊 びの きっか けにな り に くい。 しか し宝石 と云 う希少価値 の持 って いる魅力 は捨てがたい。皆 でダイヤモ ン ドを 集 めて一番のダイヤモ ン ドを決めて見 るの も 楽 しい遊 びにな るか もしれ ない。大 きさ、透 明感、色、光 り方、 どれ を比べて も、一番 で な くてはな らない。希少価値 と云 えば宝物 に 《見 て、 この石 じゃが い もみたい≫ 13例 対 す る期待 と興味 は幼児 に とって特別 な領域 を占めてい るように見 える。遊 びの きっか け として も、分か り易 くす ぐに乗 って きそうで ある。 「宝物 さが し

「宝 の地図

「宝島」と宝 物 を隠 した り、捜 した り、 その地図 を作 った り、色 々な遊 びが展開 しそ うである。問題 に なるの は何 を宝物 にす るかである。 それ も秘 密 めいて決 めることで一層期待感が強 くな る。 ビーズ を拾 って 「きれいな 宝石だ よ」 と満 足す る姿 を見れ ば、 それ を仕舞 って置 く小箱 A が欲 しい。「宝石箱作 り」も一連 の遊 びの どこ かで計画 したい ものである。様々 な遊 びの場 面 を通 して幼児 な りきに大切 な物 が生 まれて くる。 その大切 な物 を保管 してお く宝物 の箱 は面 白い発想 である と思 う。 キラキラ光 る小 石 ばか りでな く、 どん ぐりや ミニカー も一緒 に箱 の中に納 まって時々出 して同 じ様 な遊 び を展開す ることになる。 1.あの石 は 魚だ よ。

'

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1

(5)

佐藤 :言葉 の採集 にみ る 『幼児 の世界』④

2.

しじみだ。 (砂 の中にある石 を見 つけて)

'

9

4

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1

0

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3.

あの石 は ら くだなの。

'

9

2

-

3

0

4.

この石 いちごみたい。

'

9

2

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1

2

4

5.

この石 いぬみたい。

'

9

2

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1

0

2

6.

この石 おせんべいみたい。

'

9

4

-

8

8

7.

きれいな石 お星様 みたい。

'

9

4

-

2

5

8.この石 は 焼 きい もだか らね。

'

9

3

-

3

2

9.

見て、 この石 じゃがい もみたい。

'

9

2

-

1

1

4

1

0.

これ かみな り石だ。 あっ、バ ナナだ。 (石 を拾 って)

*

l

l

.

先生 こんな大 きい石見つ けた よ。

'

9

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-

5

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1

2.

これが お父 さん石で、 こっちが 赤 ちゃん石。

'

9

3

-

3

7

1

3.

この石 ハー ト形 してい るよ。

'

9

3

-

4

4

※石 は色々な形 をしている。砂場 の砂が 自ら の形 を持 たない ことと比 べて考 えるとその違 いには興味 をそそ られ る。砂 の上 を歩 くと足 跡が付 く。手 を使 って砂 を寄せれ ば、山にな り、掘れ ば穴がで きる。 こち らの働 きか けに よって様 々な変化 を見せて くれ る。 それ はあ たか も応答 して くれ るかの ようである。手 を 出す ことによって、形が変わ った り変化 が見 えれ ば引 き続 いて働 きか けをしてみた くなる。 結果 によっては、別 の発想が生 まれて きた り す る。 また改 めて作 り直 してみた りも出来 る。 幼児 の 自発的な活動が どん どん展開す ること にな る。応答性 のある素材が幼児の遊 びに と って ことのほか重要視 され るの はそれ故であ ろう。 その点、石 は最 も応答性 に欠 ける とい って も良い。素手で どうこうな るもので はな い。 しか し、その形 は千差万別 で、見立 て遊 《これ は宇宙人が 持 って きたんだ よ≫ 6例 びが出来 るようになった幼児 な ら、興味 あ る 素材 の一 つ とな ろう。 しか も平面的 な二次元 の見立 て とは違 って、立体 的でそれ を手 に乗 せて楽 しむ こともで来 る。「この石、いぬみた い」 と手 を開 くと、お座 りをした犬 の姿 に見 える小石 である。 「この石 おせんべいみたい

は平 らな小石で あろう。川原での石拾 い も「お 握 り石

「すべすべ石」等、 目当て を決 めて遊 ぶの も良 いであ ろう。集 めた石 に色 を塗 った り線 を付 けた りす るの も面 白そ うだ。形や大 きさによって色々 な ものに見立 てが出来 そ う であ る。 お店屋 さん ごっ こ、 お土産屋 さん ご っ こ等で並べ る ことが出来 るか もしれない。 小石 ばか りでな く半分土 に埋 まった大 きな石 も 「あの石 は、 ら くだなの」 と云 う見立 ての 対象 になる。場所が よけれ ば乗 って遊 ぶ こと が出来 る。 1.先生、石 ころって どこか ら生 まれて くるか 知 って る ? あのね、お花 といっしょでね、地面か ら ムニ ュムニ ュって出て くるの。 わかった ? 先生。ムニ ュムニ ュって出て くるんだ よ。

'

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1

(6)

清泉女学院短期大学研究紀 要(第16号)

2.

そ うなんだ よ。だか らいつ も地面 にあ るんだ。だか らいつ も園長先生がお庭 の石 を 拾 って も拾 って も取 りきれないの。 '93-41 3.もう、誰が この石落 とすんだ ろう。 きっ と、お休 みの時 に園 に来 る人だ。 (園庭 の石 を拾 いなが ら) '94-37 4.これ は宇宙人が 持 って きたんだ よ。 (珍 しい石 を見 つ けて) '94-47 5.この宝石 は お空か ら来 るの。小 さいか ら そっ と見 てね。 * 6.白い石が落 ちて くる。 (雨だれ を見 て) '94-121 ※小石 を手 に取 って、 その形 か ら色々な物 に 見立 てをす る遊 びは、見立 て をす る事 その も のが楽 しい遊 びであ り、更 にそ こか ら、様々 な発想が生 まれて、 ごっこ遊 びな どに進展 し てい く事 を考 えれ ば、幼児 らしい遊 びの道筋 を理解す ることがで きる。 しか し、幼児の物 に対 す る関心 は多様 で一筋縄 では行 かない表 現 に出会 う事が しば しばであ る。 それ は色々 な対象物が 自分 と同 じ生 き物 である と捉 えて いるか らであろう。 さすが に小石 を生 き物 と して捉 える発想 は少 な く、わずか ここに見 る 一例 のみである。 しか し、小石 を対象 に して 「これ生 きているかな」 と聞 いてみたわ けで はないので何 とも言 えないが、小石 を対象 と して遊ぶ機会が少 ない ことによる と考 えた方 が当たっているのか もしれない。 それ は小石 がや っかい者、邪魔物 として大人が扱 ってい ることに も原因があるか もしれない。確 か に 管理上か らいって も園庭 の石 ころは事故や怪 我 の元で園長先生が気 を使 って石拾 いをす る ことも出て くるし、子供 た ちが園庭 の石拾 い 《この石 字が 書 ける 石だ よ≫

1

0

例 を手伝 わな くてはな らない場面 も出て くる。 拾 い残 しがあ るのだ ろう。拾 って も拾 って も とい う印象が生 まれ る。 そ こで石の誕生 につ いての疑問が生 まれ る。地面か ら芽 を出す よ うに生 まれ る と云 う発想 と空か ら降 って くる と云 うの と二 つ に分 かれ る。地面か ら生 まれ る とい うのはその通 りで、大雨 に打たれ、土 が流れて小石が顔 を出すの はあ り得 ない こと で はない。 しか しそれ を知 っての発想ではあ るまい。共 に幼児 らしい発想 として受 け止 め てや る必要があろう。 とすれ ば、小石拾い も や っかい者、邪魔物 の片付 け と云 うことでな くて生 き物 として対応 して片付 けることがで きれ ば子供 たち も嬉々 として取 り組 む事が出 来 るであろう。「小石 さん、の どが渇 いて白 く なってい るんだ よ

「みんな集 めてお水 を飲 ま せてあげようか」 こんな言葉が けで、小石拾 い も遊 び として展開 しそ うであ る。 その結果、 小石 の集 まった砂場 な らぬ 「小石場」が出来 そ うである。 それ もまた新 しい園の環境構成 となるであろう。 1.この石ね、二 つで こす る と、か えるの鳴 き声みたいだ よ。 '94-95

2.

す ごいよ、か えるが鳴 いているみたいな音がす るよ。 (石 と石 をこす り合わせて) 3.先生 あの木 の実取 って。 この石使 った ら。 '94-122 \ '94-47 4.この石 字が 書 ける 石だ よO '93-44

(7)

佐藤 :言葉の採集 にみ る 『幼児 の世界』(彰 5.これ は 魔法の石 なんだ。 *

6.

この石 に 願 い事すれば 叶 うんだ よ。

'

9

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1

1

3

7

.この葉 っぱは耳 に して、小 さな石 は しっばに使 うんだ よ。

'

9

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-

4

0

8.

おい もいかがですか。 (石 をさつ まい もに見立 てて)

'

9

4

-

5

7

9.

この石 を いち ごに して 飾 ろう。

'

9

3

-

3

1

1

0.

これ 氷 よ。 (水 の中に 石 を入れ る)

*

※小石 を身近 な素材 として、砂場 の延長線上 に位置付 けて考察対象 とした ものの小石 と遊 ぶ とい う報告例 は少 な く、砂場遊 びの一 つの 実態 を表 してい よう。前項 で見 た ように小石 は 「や っかい者、邪魔物」 として扱われ てい る事が多いので はないか と思 う。従 って遊 び の素材 としては、 ほ とん ど取 り上 げ られ る事 はな く、反対 にそ うした大人 の感覚や受 け止 め方が子供 に反映 しているので はないか と思 われ る。小石 は、少な くともここに見 るよう に、身近 な対象物 としてなかなか豊 かな創造 性 に富 んだ発想 を生 んで くれ る素材 である。 小石 に対 して大人 の感覚 では こうした発想 は 出ない。身近 な素材 と言 う時 に既 に石 は除外 して考 えてはい まいか。身近 な素材 として子 供が小石 を対象 に して、例 えば 「この石 を、 いち ごに して飾 ろう」 と聞 けば、砂場遊 びに ④ 【粘土で作 る

】 9

5

例 《ピザ 一 つ お待 ち どう≫ 11例 夢 中 になってい る子供達 に、今度 は小石遊 び に夢 中 にさせ るには どうした ら良いのか考 え ないわ けには行 か ないであろう。 この項 に挙 げた例 は小石 での遊 びが共通項 で、 この一 つ 一 つか らまた色々 な遊 びが展開す る事 にな ろ う。石 と石 を こす り合わせて、カエルの鳴 き 声 を聞 き取 るの は、お もしろい遊 びの発見 で ある。小石 の形や表面の違 いによって、音 の 違 いは様 々で あろう。鳴 き声 はカエル ばか り で はな く、虫や もっ と別 な ものの鳴 き声や音 に も聞 こえるであろう。小石 を しっばに使 っ て出来 るの はウサギ らしいが、小石 の大 きさ によっては リスに も見立 て ことが出来 る。 こ の事 で小石 の方 に子供 の興味 を向 ける ことが 出来 る。身近 な素材 として小石 との触 れ合 い を もっ と工夫 したい ものである。 1.この粘土 おだん ごケーキなの。おい しい よ。 (粘土遊 び)

'

9

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-

1

4

2.

この葉 っぱ見て、粘土で くるんで か しわ餅 だ よ。

'

9

3

-

4

9

3.

これ おだん ごなんです。

'

9

3

-

1

8

4.

粘土で おだん ごで きちゃった。

'

9

2

-

7

4

5

.はい、先生 おだん ごあげるo

'

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3

-

5

6

6.

先生 ほ ら 粘土でおにぎ りを作 った よ。

'

9

4

-

9

0

7.

おい しそ うな さ くらんぼで しょう。

'

9

3

-

1

4

8.そば みたい。 (粘土 を棒 で伸 ば して)

'

9

4

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1

3

(8)

清泉女学院短期大学研究紀要 (第16号)

9.

見 て見て これ クレープだ よ。

'

9

3

-

6

2

1

0.

ピザ 一つ お待 ち どう。

'

9

2

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4

4

ll.ほ ら シュウマイみたいになった よ。

'

9

2

-

8

6

※粘土 を使 っての造形遊 び を、砂場遊 びの延 長線上 で捉 える事 に したのは砂、石、土 とい う身近 な自然物 のつなが りの中で位置付 けた 結果 に過 ぎない。実際 は、幼稚園等での粘土 といえば、土の粘土 ではな くて、 プラスチ ッ ク粘土や、油粘土、紙粘土が ほ とん どで、 自 然物 としての粘土 で遊ぶ事 は特別 な場合 に限 られて しまっている。 ここで子供 た ちが粘土 といっているのは、 ケースに入 った保育粘土 (油粘土)の事である。 自然物 としての粘土 との違 いは、大変大 きな ものが ある と思 える のだが、 もの作 りの素材 としての効 果か ら判 断す る と大 した違 いはない とい う大人 の解釈 が先 に立 って、管理上か ら簡単で手 のかか ら ない方 を準備す る事 になる。つ ま り、 自然物 としての粘土 は、使 い易 い状態 を保 つために はそれな りの管理、保管が求 め られ るわ けで 知 らず に暫 く放 って置 くと石の ように固 くな って しまって どうしようもな らな くなる。勿 論水 を含 ませれ ば、元 に戻 る訳 だが それ も容 易 な事 ではない。 しか し、 それ は自然物 とし ての理 にかなった変化 をす るだけの事で、子 供 に とっては興味 ある現象であ り、 自然物 と しての粘土 との触 れ合 いはプラスチ ック粘土 とは違 った もの を生 んで くれ るはずである。 《こんなに長 いへ びがで きちゃった。≫ 9例 こうした事 は子供 の身近 な様 々な遊 び道具 に 共通 して指摘 され る事 で もあ り、時代 の流れ の中で度々、繰 り返 されている事 に過 ぎない か もしれない。清潔 で、手 も汚れず、整理 も うま く出来、カ ラフルで楽 しく遊 べ る となれ ば断然、 こち らを選 ぶ に決 まってい る。 これ を否定 して しまって もなるまい。要 は、幼児 が 自発的な活動 として どち らを選ぶかであ り、 どこに興味の視線 を向 けてい るかであろう。 保育者 は、幅広 く、色々な遊 びの素材 の原点 を しっか りと理解 している必要があろう。砂 場 の造形 と同 じで、丸 めておだん ごやおにぎ りに見立 て をす るが、砂や土 と違 って叩いて 平 らに した造形遊 びが出て くる。 これ は粘土 の粘性 によって可能 な造形で、 どれだ け薄 く 広 く伸 ばす事 が出来 るかが、遊 びの中心 に も なる。平 らになった薄 い粘土 は、 クレープや ピザ、 しゅうまいの皮 に見立 て られ る。手 の ひ らでぺたぺた叩いた り、平 らな もので叩 く 事 によって薄 く伸 ばす事が出来 るが、丸い棒 を転が して も平 らに薄 くす る事が出来 る。丸 い棒 はの し棒 で、当然 「そばみたい」 と云 う 見立 てが出て くる。粘土の遊 び も、食べ物屋 さん ごっ こが定番 とい う所 である。 1.こうや って粘土 を 細 くす る と蛇 になるの。

'

9

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0

2.

先生 見てへびだ よ

。'

9

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7

9

3.

先生 見 てみて へびつ くちゃったの。ニ ヨロニ ヨロって

。'

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4

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9

4.

こんなに長 いへびがで きちゃった。

'

9

4

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1

(9)

佐藤 :言葉 の採集 にみる 『幼児 の世界』④

5.

長いへびだぞ一。

'

9

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7

6.

見て 赤 ちゃんカタツム リ。

'

9

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6

7.

先生 かたつむ り。

'

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7

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8.先生 これ、かたつむ り作 ったんだ よ。

'

9

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5

9.粘土で かたつむ り作 った よ、見て。

'

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8

※粘土での形作 りは、その粘性 に依 って特徴 ある形が単純 な手先の動作で生 まれて くる。 前項で既 に見た様 に手の平でペ 夕べタ叩 く事 によって、薄 く平たい形 を作 る事が出来た。 砂場で砂 を平 らにするの とはち ょっ と違 った 動作で もある。勿論、同 じ手先の動作でペ 夕 べ タ砂 を平 らにする事 はあるが、砂場ではむ しろ手 を左右 に動かす動作の方が訳な く平 ら にす ることが出来 る。粘土ではそういう訳 に は行かない。 また、平 らにした物 を裏返す事 が出来 るのは、粘土の粘性 にはか ならない。 細 いひ も作 りも砂では出来ない造形である。 細 くて長い ものは、何 と言 って も蛇である。 「こうやって粘土 を細 くす ると蛇 になるの」 と云 う幼児の手先の動 きは、手のひ らで粘土 を押 しつけて前後 に揺 り動か している事が多 い。粘土のひ も作 りはお団子作 りと余 り変わ らない。お団子作 りの場合の手のひ らは粘土 を押 して丸 く転が さな くてはな らない。描画 活動でスク リブル をその始めの活動 として手 を動かす事、腕 を動かす事な どの身体機能の 欲求 との関連で説明する事があるが、粘土 を 手 にした場合の似た様 な活動であろう。「こん 《かいじゅうの 家族 なんだ≫

8

例 なに長 いへびがで きちゃった」 と云 う幼児の 一言 は、夢 中になって手 を動か しての、 その 楽 しさの結果 を表 していよう。粘土 を手 にす る と、無意識 の内に手が動 いてお団子や、蛇 が出来て しまう。 それ は、 クレヨンを もって グルグル描 きす る事 と共通 した要素 と考 えて もよいであろう。同 じ事 の繰 り返 しが手先の 機能 を更 に高 めて くれる。手のひ らと手のひ らで、お団子や蛇 を作 る事が出来 る様 に もな る。 その丸 さや、その細 さに気付 く様 になれ ば、ひ も作 りだけで も楽 しい遊 びになる。 し か し何 と言 って も、子供の遊 びの楽 しさは見 立てである。 ひ もが蛇だけではつ まらない。 「みみずかな、 どじょうかな、 うなぎかな」 その他 に、細 くて長 い物 にはどんな物がある のだろうか。線路や、ホース、道路、つ る草 等、思いつ く物 の名前 を出 してやった ら思い も寄 らぬ遊 びの きっかけ となるであろう。「か たつむ り」が出来たのは、粘土のひ もを渦巻 き状 に重ねて出来た形 についての見立 てであ ろう。新 しい形 の発見 は、幼児の世界の拡が りである。 そ こに物作 りの楽 しさの芽がある。 1.これなんだか 怪獣 みたい。

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2

.見て見て かい じゅうだ よ。 (粘土)

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4

3.

かい じゅうの 家族 なんだ。

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4

,恐竜の卵 みたい。

'

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(10)

10 清泉女学院短期大学研究紀要 (第16号) 5.粘土の うさぎさん かわい-。 じょうず。 '93-29 6.うさぎさんだ よ。 '93-33 7.かわいい うさぎさん。 (粘土 の型抜 き) '93-113 8.おぼけ、がい こつだか らバ ラバ ラになっちゃうんだ よ。 '92-15 ※形 の見立 ては物 の持 つ全体 の印象や特徴的 な部分 の印象 をきっか け として成 り立つ とい えるのだが、中で も視覚的 な印象の占める割 合 は大 きい。 それ は形 の把握 を意味 している ことで もある。 しか し物 の形 の把握 の仕方 は 物 その もの と対時することに困 る とは限 らな い。 む しろ平面的 に略画化、 デザイ ン化 され た り、小 さなお もちゃや、縫 い ぐるみ、マス コッ ト、ア ップ リケ等の様 に視覚的 に捉 え易 くなっている物 を元 に形 の把握が進 んで行 く もの と考 え られ る。前項 で出て来 た 「かたつ む り」の見立 ては、生 き物 のかたつむ りとの 触 れ合 いに困 る印象 を元 に特徴的 な形の把握 が出来 てか ら生 まれた とも限 らない。抽象化、 デザイ ン化 された渦巻 き、殴 り書 き、落書 き の渦巻 き等 と 「かたつむ りみたい」 と云 う見 立 て遊 びが同時 に定着 している と考 え られ よ う。「怪獣 みたい」と云 う見立 ては、怪獣 のお もちゃ との遊 び経験 を抜 きには考 えられない。 手 に握 ることが出来た り、怪獣 の首 を回 した り、足 を動か して遊 んで形 の把握 につなが る。 本物 の怪獣 とは出会 えないばか りか、恐竜 の 化石や復元恐竜は子供達 には巨大過 ぎて とて も形 の把握 とはいかない。 お土産 の ミニ ュチ ュア- を握 って初 めて視覚的な把握が出来 る。 《見て見 て ベ ロベ ロキャンデ ィだ よ≫ 12例 また、怪獣 と云 う想像上 の生 き物 は、形が特 定 されてい る訳 で はないか ら、 その意味合 い で考 えれ ば不気味 で、恐 ろし く、不定形で、 不釣 り合 いで見立 て ようがない もの を総称 し て 「おばけみたい」 と云 うの と似 ているか も 知 れない。形 の把握 につなが る粘土 の遊 びに 型抜 きある。薄 く平 らに した粘土の上 に、色々 な形 をした金型 を押 しつけるのである。 クッ キー を作 るの と同 じ要領で、その金型 を遊 び 道具 として用意 して置 く必要が ある。 これ ら の金型 は輪郭が小鳥や リス、 うさぎや猫 な ど の形 になっていて、楽 しむ事が出来 る。 しか しこの型抜 き遊 びは平面的な形 の見立 て遊 び の域 を出ない。 また、型押 しをして遊 ぶの も、 新鮮 な驚 きが あ り色 々な形 の発見 につなが る 遊 び といえる。粘土 を固い物 の上 に乗せて押 した り、固い物 を粘土 に押 しつ けた りす る事 で凹凸のあ る色 々な形 を楽 しむ事 が出来 る。 しか しこれ も平面的、表面的な見立 て遊 びの 域 を出ない。粘土 は立体的な物 の見立 てが最 も可能 な素材 である。「恐竜 の卵 みたい」とい う見立 ては立体 としての把握 で 「かい じゅう の家族 なんだ」 と説明す るの もきっ と大小 の 違 いが ある立体 的な形であろう。 1.これか ら 卵焼 きを 作 るか らね。'93-57 2.これ は ケーキ とク ッキーだ よ。 '93-62 3.この粘土 固 くてク ッキーみたい。 '93-118

(11)

佐藤 :言葉 の採集 にみ る 『幼児 の世界』(杏

4.

ク ッキーが で きました。

'

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3 '

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5.

ク ッキーみたいだね。 (粘土の型抜 き)

'

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6.これね-、 りん ごアメだ よ。 お祭 りで売 って るで しょう。 *

7.

見 て見 て ベ ロベ ロキャンデ ィだ よ。

'

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l

l

8.

これキャンデ ィーだ よ。

'

9

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1

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4

9.

先生 に ベ ロベ ロキャンデ ィ作 るか ら待 っててね。

'

9

4

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5

1

0.

これホ ッ トケーキなの。葉 っぱ ち ぎって入れたの。

'

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5

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l

.

先生、 カ レー ライス。

'

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5

1

2

.猫 の ごはん 作 っているんだ よ。

'

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4

0

ll ※幼児が身体 の成長発達 と共 に自分 を取 り巻 く様々 な物 の理解 を広 げてい く経験 が遊 びで ある。物 の理解 は、勿論の事 その対象 によっ て多方面か ら様 々な情報が寄せ集 まって、年 齢 とい う時間的な経緯 と共 に集 まった情報 の 整理が されて、社会的 に一般化 された物 の理 解が定着 されてい く事 になろう。 そんな中で 食べ物 についての興味 と関心 は、食欲 とい う 本能 的な欲求が四六時中身体 を駆 け巡 ってい る幼児 に とって、殊 の外大 きい。 その食べ物 を手 に し、 口にて味わい、食 を満た した満足 感 と共 に印象 と、 その物 の幾つかの情報が残 る。既 に砂場遊 びにお ける造形遊 びの内容 で 見 て きた ように、食べ物、飲 み物 を遊 びの き っか け として様 々な造形 を楽 しんで遊ぶ場面 を見 て きた。粘土 での遊 び もほ とん ど共通 し ている と言 える。 お菓子等の食べ物 は口に入 り易 く、小 さ く、 また多 くは平面的である。 小 さ く平べ ったい菓子 といえばクッキーであ る。粘土 の小 さな塊 を掌でペ 夕べ タ叩いて平 らにすれ ば色 は ともか く、 クッキーの出来上 が りである。 そ こに固い物 で形押 しをした り、 模様 をつ けれ ばクッキー作 りの遊 びにも工夫 の楽 しさが出て くる。 ボタンやキ ャップ、瓶 の王冠、木ね じや ボル ト等、様 々な小物 を集 めて置 くと、 こうした時 に遊 びをふ くらませ て くれ る。粘土遊 びには粘土板 とセ ッ トにな った道具が あれば良 い と云 う訳 ではない。環 境設定 と遊 びは端 的 に云 うと身近 な素材 の組 み合わせである。砂場 だ けで は十分 な環境設 定 とは云 えない事 は既 に考察 した通 りで、 そ こにパ イプがあった り、机が あった りす る事 で保育者 には思 い も寄 らない子供 の発想 と遊 びの展開が期待 出来 る事 が、敢 えて環境設定 と云 う由縁 である。「これか ら、卵焼 きを作 る か らね」 こんな言葉 を聞 いた ら、お皿 の準備 が急がれ る。粘土 でお皿 を作 るよ り、 ステ ロ パ ールのお皿 に載せた方が卵焼 きらし くなる。 そ うすれ ば、 トマ トを作 って切 って載せ てお 皿 の盛 り付 けを工夫す る活動 が期待 で きよう。 ベ ロベ ロキ ャンデ ィには竹 串が欲 しい。釘 や 爪楊枝 も用意 して置 けば、粘土 に刺 す物 とし て は面 白い素材 で 自発的 に手 を出 して、 それ こそ大人 の思 い も寄 らぬ造形 が生 まれて くる で あろう。遊 びが生 まれ るきっか け として環 境 の構成 を考 えてい く事 は保育者 の幼児 に対 す る秘 かな楽 しみで もあろう。

(12)

12 清泉女学院短期大学研究紀要 (第16号) 《先生 お弁当作 ったんだ よ。≫

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例 1ノ\ンバーグ食べて くだ さい。

'

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2.

先生 見て、た くさんで きたで しょう。先生食べて もいい よ。

'

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3.

大 きなハ ンバーグだ。食 べ切 れない よ。 (小麦粉粘土)

'

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8

4.

私 は パ ン屋 さん よ。 い らっ しゃい。

'

9

2

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8

5.

先生 パ ンはいかがですか。

'

9

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8

0

6.

先生 お弁当作 ったんだ よ。

'

9

4

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1

1

7

7.

お弁 当作 っているか ら 待 っててね。

'

9

3

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8

8

,今度 スイカ作 ろう。

'

9

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0

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9.

私 チ ョコレー ト屋 さん。

'

9

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0.

私 ホ ッ トケーキ作 って るの。 ほ ら、 目玉焼 き、見 て。

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4

ll.粘土 を いっぱい重ねて おっきい ホ ッ トケーキ作 るんだ。

'

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2.

私 お寿司いっぱい 作 っているんだ よ。

'

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-

1

4

1

3.

手巻 き寿司の ケーキだ よ。

'

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4.

僕 のお父 さんはお寿司屋 さんなんだ、 こうや ってわ さびをつけるんだ0

'

9

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1

※子供 の世界 は、大人 の真似事が下敷 きとな ってい る。所謂 ごっこ遊 びである。大人 の仕 事、社会 の仕組 みや組 み立 て、その中での個 人 の役割、 ち らっ と見聞 きした事 が印象的 に 子供 の心 に残 る。 ままごとに始 まるお母 さん ごっ こ、お家 ごっ こか ら様 々な ごっ こ遊 びが 展開す る。元々 は日常的 に繰 り返 され る現実 体験 の中で (その中で 自分本人 は、子供 とし て扱われ る事が多いのだが)役割交代 の楽 し さ も含 めて、大人 の振 る舞 い、言葉使 いが遊 びの中心 になって繰 り広 げられ るのである。 そんな場面 に小道具があった ら、 ごっ こ遊 び は殊 の外、楽 しくなるであろう。 ままごとセ ッ トはそのための遊 び道具であ る。 しか し遊 び道具 のセ ッ トの範囲 はたかが知れている。 子供 たちが見聞 きし興味の湧 く世界 の広が り は際限が ない。情報伝達、 その媒体 、 メデ ィ アの多彩 さは当然の ことなが ら子供達 を も巻 き込 んで、一昔前 とは比 べ物 にな らない状況 にある と云 える。幼児 を対象 としたメデ ィア だ けを考 えてみて もその多様 さは比べ るべ く もない。 そ こで見聞 きす る事柄 は、現実体験 す る日常的な場面 とは比べ物 にな らないほ ど 魅惑的で、架空現実で遊ぶ幼児 に とっては格 好 の材料 と云 えるが、別 の視点 で考 えれば自 ら遊 ばな くとも、様々 な場面 を見聞す る事 で、 十分満足 して終わ っている とも云 える。「過 ぎ た るは及 ぼざるが如 し」 となって しまっては な るまい。子供 の 自発性 の領域 が確保 されな くては幼児教育 の根幹が危 うい事 になる。 ご っ こ遊 びは身振 り手振 り、言葉使 い を通 して 意味 のあるものである。「僕 のお父 さんはお寿 司屋 さんなんだ、 こうや ってわ さび をつ ける んだ。」わ さびの入 ったお寿司 は食 べた事 はな い筈 の子供達が、 よ り本物 に近づ こうとす る。 その手付 きや身振 りはさぞ見 ものであった ろ う。砂場 と同 じで、お団子作 りか ら始 まって 食 べ物 をテーマ にす る と次か ら次へ と色々な

(13)

佐藤 :言葉 の採 集 にみ る 『幼 児 の世界』④ ものが登場 して くる。粘土 は砂 と違 ってち ょ っ とした小細工がで きる。お弁 当作 りは砂場 で は登場 しなか った遊 びである。粘土の入 っ た容器 を弁 当箱 に見立 てる事か ら始 まった と 思われ るのだが 「今お弁 当作 っているか ら待 《ひ もをつ けれ ば ペ ンダ ン トになるんだ よ≫ 13 っててね」 は、 まさし くお母 さんの 口振 りで あろう。 アル ミの小分 け皿 や爪楊枝 、 どん ぐ りや柿 の種 等 の 自然物、色 を塗 った小 石 等 色々 な小道具 も一緒 に使 えた ら弁 当作 りも、 よ り楽 しい物 となろう。

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.この粘土 テ レビみたいだ よ。

'

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5

2

,ロケ ッ トで きた よ。

'

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3.

車 のケーキ、車 の味 なの。

'

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4.

ちが うよ 消防車だ よ。

'

9

3

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5.

船 か っ こよ くで きた よ。

'

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6.

ひ もをつ ければ ペ ンダ ン トになるんだ よ。

'

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7.

粘土が バ ナナになちゃた よ。 (黄色 の葉 を巻 いて)

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8.

先生 来 て きてライオ ンがで きた よ。

'

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9.

先生 僕 カメレオ ン作れ るんだ よ。

'

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7

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0.

ぶた さんみたい 。

'

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8

※色々な形作 りは粘土 の一番の特徴 である。 へびやおだん ご、 クレープや ク ッキーを作 っ て遊ぶ うちに、粘土 の持 つ特徴がいつの間 に や ら手の動 きと一緒 になって分 か って くる。 ロケ ッ トは先端が尖 っている円錐形である。 円柱 は粘土 をコロコロ転がす ことによって容 易 にで きる。片方 を強 く押 して転 がせ ば、 そ の先端 はコロコロ転 がす ことによって円錐形 にはなるのだが、指先で粘土 を摘 んで段々 に 細 くしていって も先端 の尖 った形が生 まれ る。 色々な形作 りには、手 のひ らで叩 く、転がす、 押す、指で摘 む、つぶす、伸 ばす、引っ張 る な どの様々 な機能が必要 になって くる。指先 の機能 を高 めてい く遊 び として粘土 の造形遊 びを捉 えてい く事 も出来 よう。指 の体操 とい うわ けである。 しか し、 それ はあ くまで も盛 んな粘土遊 びが展開 した場合 にお ける結果 か らの一つの捉 え方 に過 ぎない。 む しろ形 を作 って色々 に見立 てを して想像、空想 の世界 に 入 って行 くきっか け として、粘土遊 び を捉 え てい く方が もっ ともであろ う。「ロケ ッ トで き た よ」 と言 う子供 の満足感 は 「上手 にで きた ね」 と言 う先生 の褒 め言葉 だ けで満 た され る 訳 で はない。 その ロケ ッ トが轟音 と共 に発射 して空高 く、宇宙 まで飛 んでい く場面 が展開 して、 ロケ ッ トを作 った意味 も出て くる。先 生 はカウン トダウンをコールす る事 で遊 びを 展 開す る事が出来 る。子供 はロケ ッ トを持 っ て、 ゴー と叫びなが ら一直線 に跳 んで行 く事 になる。気 にいった形 の ロケ ッ トが 出来れ ば そんな気持 ちになるのが幼児 の世界 で ある。 勿論全 てが そ うなる と言 う訳 で はない。 ロケ ッ トを作 って並べて楽 しむ と言 う静 的 な発想 もあろう。 そ こは子供 によって違 いが あるの

(14)

14 清泉女学院短期大学研究紀要 (第16号) は当然 で、 その子 に合 った言葉掛 けが求 め ら ケ ッ ト作 りに夢 中 になった りす る ことが出来 れ る。 「上手 に出来たね」と言 う言葉 で楽 しく る。 「ひ もをつ けれ ばペ ンダ ン トにな るんだ 作 り続 ける事が出来 るか もしれない。「ロケ ッ よ」 は作 った物が遊 びの道具 になって行 く事 卜工場 かな」 こんな問い掛 けで子供達 は、 ロ を如実 に示 してい よう。 《これ固 くて 石みたい≫

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2

例 1.これ 迷路 だ よ。

'

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2.

もったいないけど また作れ ばいいや。 (ケー キを壊す とき)

'

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3.

よし、いい事考 えた。 これ全部 くっつ けて 大 きいのに しよう。

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.今 としちゃん とどっちが長 い間粘土で遊 んでいれ るか競争 してい るんだ よ

。'

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5.

これ、 コップの下の ところで作 ったんだ よ。

'

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.先生 粘土 って臭 いか らやだ。

'

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7.

ペ ッチャンコ、ペ ツチ ャンコ 見 て見 て。ペ ッチ ャンコ。

'

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8.

ここの ところ触 ってみて、 スベ スベで しょう。

'

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2

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9.

これ固 くて 石みたい。 (土粘土)

'

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0.

ほ ら、 こんなに一杯 つ くちゃった。

'

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5

ll.こんなに いっぱい きの こ作 っちゃた。

'

9

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2.

これ 粘土 の消 しゴムだ よ。 (粘土 を粘土 の固 まりで取 る)

'

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※作 った物 で遊 ぶ ことがで きる期待感 は、活 動 の意欲 につなが る大切 な子供 の気持 ちであ る。作 る事 と、作 った物 で遊ぶ事 は共 にそれ ぞれの活動 と考 えて も良い訳であるが、やや もす る と連続性 に重点が置かれて、活動 の 目 標 が先取 り先取 りとなって しまう傾 向が生 じ る。迷路遊 びをす るために迷路作 りをす る と い う活動 は期待感 も生 まれ、意欲的 な場面が 展開 しそ うであるが、先 を急 ぐと期待感 に先 を越 されて余 り楽 しい活動 にはな らな くなっ て しまう。遊 び方 に も依 るが子供 な りきの発 想、見立 てによる遊 びの広が りが望 まれ る と ころである。作 ってか ら遊ぶ とい う、その後 への期待感 はさてお き、粘土で物 を形作 って い る事が何 よ り楽 しい遊 びの場面でな くては な るまい。粘土の持 っている感触が楽 しか っ た り 「ペ ッチ ャンコ、ペ ッチ ャンコ」 と容易 に形が変形 してい く事が面 白か った りす る事 が前提 で、 それが繰 り返 された りして展開 し てい く遊 びである。 しか し子供 の遊 びの多 く の場面 に競争が登場 す る。粘土 の遊 び も例外 で はない

「今、 としち ゃん とどっちが長 い 間、粘土 で遊 んでいれ るか競争 しているんだ よ」 は、 なかなか辛 い競争 であ る。粘土遊 び の時間の競争であ り中身でな く、体裁や結果 で競 うとい う大人社会で度々見 られ る構図が 投影 されている。勿論 ここでは、粘土で作 っ ている中身、形、見立 て等の適切 な助言が求 め られ よう。「としちゃんの うさぎさんの耳 は 大 きいね、比べてみ ようか

「うさぎの耳 は薄 くて もっ と長 いんだ よ」大 きさや、長 さ、厚 さ等 の比べ っ こや形 の比較 で競争 す る場面 に、

(15)

佐藤 :言葉 の採集 にみ る 『幼児 の世界月④ 15 す り替 えて行 く事が出来れ ば遊 びの中身 も楽 の子供達が いれ ば、 においの拒否反応 はす ぐ し くな る事 であ ろ う

「粘 土 って臭 いか らや にで も消 えて しまうで あろう。「これ固 くて石 だ」 と云 う素直 な感覚 は大切 に しな くてはな みたい」 と云 う見立 て は、 自然 の粘土 の性質 るまい。無理 に押 しつ けて、や らせ る必要 は を知 って行 くきっか けにな ろう。 ない。 それ を苦 にせず楽 し く遊 んでいるほか 《粘土 って生 きている と思 う

?

9例 1.この粘土 のかい じゅう 生 きているみたい。

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2.

粘土 って生 きてい る と思 う ?

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3.私 は生 きてい る と思 うよ。色々な形 の粘土 たちが、夜 、 ダ リヤ組 の部屋で かわいい うさちゃん作 ってその ままに してお くの。

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4.

先生 のかめさん 本物 みたい。歩 き出 しそ うだ よね。

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5.

それ うそっ このお弁 当 じゃん、食 べれない よ。 (紙粘土)

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6.

これ、 うそっこのガム。

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7.

これ アメなんだ よ、なめてみよう。

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5

8.

この粘土 本 当のアメみたい。

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9.

見 て見 て 粘土 で アメつ くちゃった。

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※この項 では、物 と関わ って遊ぶ際の幼児 の 世界 を典型的 に見 る事が出来 る。架空現実 と で も呼ぶ、独特 な意識世界 である。生 き物 に 対 す る興味 は、生命の存在 をあ らゆる物 に認 め、アニ ミズム的な判 断や発想が 日常的な会 話 に頻繁 に出て くる。 しか し 「生 きてい るみ たい」 と云 う発想 は、生命 の存在 に対す る理 解が序々 に進展 している段 階 と云 える。 この 理解 の度合 いは行 きつ戻 りつ して、 いつの間 にや ら固定化 してい くのだが、それ は想像、 空想的 な遊 びに没頭す る事 か ら離れてい く事 に もなる。 それ故、敢 えて 「これ、 うそっ こ のガム」 と断わ ってか ら遊 びを進 めてい く事 になる。幼児の遊 びは架空現実 を前提 に しな い と成 り立 たない。従 って 「見立 て」 をす る 事 によって、その前提作 りをす る事 になる。 「粘土 って生 きている と思 う

?

」 と云 う問 い 掛 けは、 まだ まだ揺れ動 いている生命 の存在 に対 す る判断 を示 す と同時 に 「私 は生 きてい る と思 うよ」 と肯定 し、 自 ら遊 びの前提 を見 出 してい る良い例 であろう。 「色々 な形 の粘土 た ちが ・・・・」 と言 いな が ら、 自分が粘土 と一体 になった意識 (粘土 が 自分で色 々な形 を作 る架空世界)で幼児 自 らが色々 な形作 りを展開 して行 く事 にな る。 うさぎさん作 りの きっか けがそんな事 か ら始 まった ら、 それ こそ保育者が手 を出 し、 口を 出 し頑張 らせて粘土遊 びに向かわせ る事 もな く、架空現実の世界 に没頭 出来 るこの上 もな い幼児の世界が生 まれ る とい える。保育者 自 身 も、そんな世界 に浸 り切 ってみ るの も子供 に とっては大 きな安心感 につなが る とい えよ う。 しか し、粘土 を手 に して保育者が どの よ うな物 を作 るか は、幼児 の作 り出す形 を勘案

(16)

16 清泉女学院短期大学研究紀要 (第16号) して同 じ程度 の物 に とどめて置 く万が無難 で あろう。幼児 な りきの、 その世界 を壊 さない ためには、先生 の上手 な作 品 は不必要 とい う 事である。「先生のかめ さん、本物 みたい。歩 き出 しそ うだ よね」没頭 している架空現実か ら引 き戻 された感覚である。 この言葉で先生 《先生 ば らの 花だ よ。≫

1

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例 が満足 して しまっては困 る。子供 た ちの手 も 止 まって しまう。「のそ り、のそ りかめさんの 散歩です」実際 に粘土のかめを歩かせて再 び 架空現実の世界 に戻 してや る事が大切であろ

う。

1.先生 これで うさぎ作 って。

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.先生 なんで も作れ るんだね。

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3.何 作 ってるの。 ☆

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.先生 のなにそれ、変 だ よ。

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.先生 上手 だね。

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.先生 って 上手。 (粘土で星 を作 ってあげた ら)

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7.

今度 は、 ば らの作 り方 教 えて。今度 はケーキ作 ろう。

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8.

先生 ば らの 花 だ よ。

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9.

先生 に 指輪 あげる。

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.先生 これ変 な人間。 (粘土)

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※幼児 と共 に遊ぶ ことは、保育者 の当た り前 の行動であるが気 を付 けない と、幼児の 自発 的な行動 の芽 を摘 んで しまった り、見立 てや 発想、判断基準 に偏 りが出て くる とい う心配 がある

「先生、上手 だね」と云 う言葉で知れ るように、既 に形 に対 しての判断基準が見 え て きてい る。 これ は良 くて、 これ はだめ と云 う判断基準 は、色々な表現 を楽 しみ、素材 と の触れ合 いを基 に感性 を育 てて行 く場面で は 不必要である。勿論 「先生、上手 だね」 と云 う子供 の心情 は、先生 と仲良 しにな りたいが 故の一言 で もあろう。 5才 に もなる と褒 め言 葉 の使 い方 をしたたかに も身 に付 けている と 云 って しまっては言 い過 ぎであるが 「粘土 で 星 を作 ってあげた ら」すか さず 「先生 って、 上手」 と返 って来 る言葉 のや り取 りを見 る と、 子供 に遊 ばれてい るな と云 う印象 にな らざる を得 ない。保育者 の立場 は、 自分が主役 にな ることで はない。 子供 と共 に遊 ぶ事 は、子供 達が遊 びの中で集中 し、物 との関わ りや友達 とのや り取 りの楽 しさを見出 させ る事 にある。 つい、 その気 になって しまうと 「先生、なん で も作 れ るんだね」 となって しまう。「先生、 これで うさぎ作 って」 と自分 で遊 ぶ よ り、遊 びを先生 に依存 して しまう場面 も出て きて し まう。子供 と一緒 に作 って遊 ぶ と云 う時 に気 を付 けな くてはな らない一面である。子供 が 持 ってい る先生への期待感 、一体感 を取 り込 み過 ぎる結果である。 それ よ りもむ しろ 「何 、 作 って るの」 と云 う子供 の興味 を引 く程度 の 方が子供 が主役で遊 びの展開 に期待 が もて る。 「先生 のなにそれ、変だ よ」 この言葉で保育

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佐藤 :言葉の採集 にみる 『幼児の世界』④ 者が 自信 をな くして しまっては困 る。む しろ、 こうしたや り取 りが出来 るのは保育 のテクニ ックのひ とつであろう。「ば らの花 なんだ けれ ど見 えないかな、黒 いば らなんだ」 こんな言 葉 を返 してや った ら子供達 は どうす るであ ろ うか。見本作 りの可否 は場面場面 に依 るし、 受 け取 る子供 の実態 に も依 るか ら一概 に否定 す る事 もで きない。「先生 と同 じもの出来 た

17 と我 も我 もと楽 し く作 るきっか けになれ ば良 い訳である。 「先生、 ば らの花 だ よ」と云 う一 言 に も、背景 を考 えてみれ ば、保育 の原点 を 見 ることが出来 る。 「先生 と一緒」と云 う幼児 の気持 ちの くみ取 りを冷静 に受 け止 めない と 保 育 の 原 点 を見 失 っ て し ま う事 に もな り かねない。 (未了)

参照

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