• 検索結果がありません。

六方晶窒化ホウ素を用いた遠紫外線で殺菌効果を確認

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "六方晶窒化ホウ素を用いた遠紫外線で殺菌効果を確認"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1 平成22年10月27日 独立行政法人物質・材料研究機構 双葉電子工業株式会社

- 水銀レス・面発光タイプの遠紫外線発光デバイス -

独立行政法人物質・材料研究機構 光材料センター(センター長 大橋 直樹)の谷口 尚 主席研究員 と渡辺 賢司 主幹研究員は双葉電子工業株式会社 開発研究所(所長 野村 裕司)と共同で、物質・材 料研究機構の六方晶窒化ホウ素(hBN)1)粉末と双葉電子工業のカソードを組合せたカソードルミネッ センス方式の遠紫外線2)発光デバイスにおいて、黄色ぶどう球菌3)を用いた殺菌試験を行った結果、 60 秒の紫外線照射で 99.99%以上の殺菌能力があることを確認した。 hBN は化学的に安定・無害な材料であり、環境にやさしい水銀レスの遠紫外線発光デバイスと成りう る発光材料である。カソードは表示デバイス用(蛍光表示管4)、スピント型 FED、CNT 型 FED)の平 面カソードを使用している為、大面積での均一な発光を実現している。 物質・材料研究機構と双葉電子工業は、2009 年 9 月に高輝度遠紫外線発光デバイスの開発に成功して おり、今回、hBN の結晶性改善とデバイス構造の変更により紫外線強度の向上を実現したことで、殺菌 デバイスの可能性を確認した。 今後は殺菌能力の更なる向上をめざし、紫外線強度の向上と発光面の大面積化を行い、「水銀レス・ 面発光タイプ」の遠紫外線発光デバイスの開発を進める。 1.研究の背景 遠紫外線発光デバイスは、光触媒による環境汚染物質の分解処理法の光源や、病院・食品加工・ 上下水道の殺菌用光源など幅広い分野での利用が期待されている。現在、遠紫外線発光デバイスに は主に水銀ランプが利用されているが、漏洩時に環境や人体に及ぼす影響により、水銀の使用は RoHS 指令5)などで規制されている。このため、水銀ランプに換わる環境にやさしい遠紫外線発光 デバイスの開発が求められている。 2.研究成果の内容 本研究では、物質・材料研究機構と双葉電子工業が開発している遠紫外線発光デバイス(図1-1、 1-2)の殺菌能力について確認を行った。 遠紫外線発光デバイスの発光材料には、物質・材料研究機構にて作製した六方晶窒化ホウ素を使 用した。カソードは、双葉電子工業の表示デバイス用の平面カソードを使用しているため、大面積 での均一な発光が可能である。カソードルミネッセンス方式は、発光材料を変更することで可視光 領域からX線領域まで幅広いエネルギー帯の光を放出できることが特徴である。 紫外光の出力スペクトルは 225nm をピーク波長とする単色光出力であり、殺菌線6)からは約 35nm 短波長側にシフトしたスペクトル特性を示す(図 2)。 デバイス仕様は、電子入射面の大きさを 12×20mm とし、駆動条件は、アノード電流を 0.2mA (アノード電流密度 0.08mA/cm2、アノード電圧を10kV とした。 今回の試験に使用した遠紫外線発光デバイスは、六方晶窒化ホウ素の結晶性改善、デバイス構

(2)

2 造・駆動条件の変更により、2009 年 9 月に 0.7mW/cm2だった素子直上での出力強度を 2.0 mW/c m2まで向上させている。実際の殺菌試験では、10mm の距離から 1.5mW/cm2の紫外線強度を実 現した。 殺菌試験は、黄色ぶどう球菌0.01ml を塗布・乾燥したホールスライドグラス7)に、10mm の距 離から、任意の時間(0、1、5、10、60、300 秒)紫外線を照射した(図 3)。その後、標準寒天培 地8)を用いた混釈平板培養法9)(35℃、2 日)にて菌を培養し、生菌数の測定を行った。 試験の結果、60 秒の照射時間にて 99.99%以上の殺菌能力があることを確認した。(図4-1、4-2) 3.社会への波及効果と今後の展開 高効率の遠紫外領域の発光素子が開発されると多方面の応用が考えられる。例えば、光触媒によ る環境汚染物質の分解処理法の光源や、病院や食品加工などで用いられる殺菌用水銀ランプの当該 発光素子への置換えによる省エネ化および無水銀化など多種多様の応用分野が期待されている。 今回の試験結果より、六方晶窒化ホウ素を用いた紫外線発光デバイスが、殺菌デバイスとなりう る可能性を見出すことができた。 昨今、EU での RoHS 指令5)に例を見るような環境配慮型の水銀レス紫外発光デバイスへの要請は ますます重要性を増して行くことが予想される。このような社会的要請を背景に、今後は、発光材 料の特性及びデバイス構造の改善により本試作素子のさらなる高効率化、長寿命化を図り、殺菌用 水銀ランプの置き換えとして、「水銀レス・面発光タイプ」の環境にやさしい遠紫外線発光デバイ スを目指す。 4.問い合わせ先 (報道担当) 〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 独立行政法人物質・材料研究機構 企画部 広報室 TEL:029-859-2026 FAX:029-859-2017 〒297-8588 千葉県茂原市大芝 629 双葉電子工業株式会社 業務管理部 総務グループ 業務ユニット TEL:0475-24-2356 FAX:0475-23-1346 (研究内容に関すること) 独立行政法人物質・材料研究機構 ナノスケール物質萌芽ラボ 超高圧グループ グループリーダー 谷口 尚(たにぐち たかし) TEL:029-860-4413(ダイヤルイン) E-Mail:[email protected] 双葉電子工業株式会社 開発研究所 研究グループ 第 3 研究ユニット ユニットリーダー 中村 和仁(なかむら かずひと) TEL:0475-32-6000 E-Mail:[email protected]

(3)

3 図1-1 遠紫外線発光デバイス *外形:65 × 35 × 12mm 図1-2 発光状態 発光面積:12×20mm 図2 六方晶窒化ホウ素(hBN)発光スペクトルと殺菌効果10) *殺菌効果:『JIS Z 8811』参照 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 200 250 300 350 400 Wavelength [nm] In te n si ty [ N o rm .] hBN発光強度 殺菌効果 *JIS Z 8811

(4)

4 図3.殺菌試験方法 図4-1.殺菌試験結果(生存率) *(財)日本食品分析センター試験結果 図4-2 殺菌試験結果(写真) *(財)日本食品分析センター試験結果 1.0E-06 1.0E-05 1.0E-04 1.0E-03 1.0E-02 1.0E-01 1.0E+00 0 100 200 300 400 Time [sec] S u rv iv al R at io N / N0 電子 紫外線 hBN 黄色ブドウ球菌 電子源(熱フィラメント) グリッド電極 アノード電極 高電圧 (10kV) 10mm 〔試験報告書〕 試験依頼先 : 財団法人 日本食品分析センター 試験報告書発行年月日: 平成 22 年 8 月 25 日 試験報告書発行番号 : 第 10069947001–01 号

(5)

5

【用語解説】

1)六方晶窒化ホウ素(hBN:hexagonal boron nitride)

窒化ホウ素の安定した構造のひとつ。窒素原子とホウ素原子が六角形ネットの層状構造をとる。 熱力学的・化学的に安定していることから現在は絶縁体や耐熱材料などに用いられている。 2)紫外光領域(可視光波長より短い光:波長400nm 以下) UV-A は、400~315nm、UV-B は 315~280nm の領域を意味し、太陽光線にも含まれ地表に到 達しており日焼けの原因となる。一方UV-C(280nm 以下の短波長の光)はオゾン層で吸収され てしまうので地表には到達しない。UV-C はオゾンの分解や有機物の分解を促進することから紫外 線による表面洗浄や殺菌に利用されている。 3)黄色ぶどう球菌 代表的なグラム陽性球菌のひとつ。ヒトの皮膚、鼻や口の中、傷口や動物に常在している細菌 であり、化膿性疾患や毒素型食中毒を引き起こす。

4)蛍光表示管 (VFD : Vacuum Fluorescent Display)

熱陰極を利用した真空表示デバイスのひとつ。カソード(熱フィラメント)、アノード(蛍光体)、 グリッドで形成され、カソードより放出された電子によって、アノードの蛍光体が発光すること により表示を行う。 5)RoHS 指令 欧州連合(EU)が 2006 年 7 月 1 日に施行した電子電気機器に含まれる有害物質の規制。水銀 など6 物質が規制される。小型蛍光灯などの水銀が必要な製品は、現在対象から除外されている。 6)殺菌線、殺菌効果 強い殺菌能力を示す紫外線の波長は250~260nm にあり、一般的に水銀ランプのピーク波長で ある253.7nm が殺菌線と呼ばれる。 220~400nm の殺菌効果は『JIS Z 8811』に記載されている。 7)ホールスライドグラス 光学顕微鏡を用いた観察などで、微小な試料を載せるために用いる凹みのついたガラス板。 8)標準寒天培地 食品衛生法や水道法などにおいて細菌測定用として採用されている培地。 9)混釈平板培養法 試料液と寒天培地とをシャーレの中で混和凝固させ、培養後発生したコロニー数を測定し試料 中の生菌数を算出する方法。

参照

関連したドキュメント

ル(TMS)誘導体化したうえで検出し,3 種類の重水素化,または安定同位体標識化 OHPAH を内部標準物 質として用いて PM

焼却炉で発生する余熱を利用して,複合体に外

電気集塵部は,図3‑4おに示すように円筒型の電気集塵装置であり,上部のフランジにより試

色で陰性化した菌体の中に核様体だけが塩基性色素に

第 5

工場設備の計測装置(燃料ガス発熱量計)と表示装置(新たに設置した燃料ガス 発熱量計)における燃料ガス発熱量を比較した結果を図 4-2-1-5 に示す。図

SST を活用し、ひとり ひとりの個 性に合 わせた   

参考のために代表として水,コンクリート,土壌の一般