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技術伝播と中期的景気変動

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(1)

技術伝播と中期的景気変動

著者

岡田 敏裕

雑誌名

経済学論究

66

3

ページ

139-161

発行年

2012-12-10

URL

http://hdl.handle.net/10236/10791

(2)

技術伝播と中期的景気変動

Medium Term Business Cycles

and Technology Diffusion

岡 田 敏 裕  

This paper developes a general equilibrium model with international technology diffusion. The calibration and simulation of the model show that the diffusion of U.S. innovations (generated by U.S. R&D) to Japan can greatly explain Japan’s medium term business cycles. The model reproduces well the patterns on output, capital, consumption, R&D, hours worked and TFP.

Toshihiro Okada

  JEL:E32, O30

キーワード:技術伝播、R&D、中期的変動

Keywords:technology diffusion, R&D, medium-term cycles

1 はじめに

戦後の多くのOECD諸国経済において互いに相関した中期的景気変動が存 在することが近年の実証的研究において示されてきた。例えば、数多くの先 進諸国は1960年代に高成長を経験し、1970年代初頭から1980年代初頭にか けては“世界的生産性低下”と呼ばれる中期的低迷期を経験した。中期的に相 関した経済変動を示した研究としては、Heath cote and Perri (2003)、Kose, Otrok and Whiteman (2003)、Pakko (2004)、Stock and Watoson (2005)、 Braun, Okada and Sudou (2008)などが挙げられる。

国際的に相関した経済変動の要因としては多くの要因が考えられるが、貿易 とともに重要な役割を果たすと考えられるものとして技術伝播が挙げられる。1)

(3)

技術伝播が国際間の中期的な経済変動の相関の重要な要因である可能性を示し た実証研究としては、Kose, Otrok and Whiteman (2003)やBraun, Okada

and Sudou (2008)などがある。Kose, Otrok and Whiteman (2003)は世界 共通の要因が国際間で相関する経済変動の重要な要因となっており、その共 通要因はきわめてpersistentであることを示した。Braun, Okada and Sudou (2008)は技術伝播の重要性に関するより直接的な証拠を示している。Braun, Okada and Sudou (2008)の実証研究によると、米国のTFPは日本のTFP やGDPと中期的に強い相関関係にあり、更に米国のTFPは日本のTFPや GDPに対して数年程度先行している。 このような実証研究の結果を踏まえ本稿では、国際間の技術伝播を考慮した マクロ経済モデルを使用し、戦後の日本経済の中期的変動の説明を試みる。モ デルは技術進歩をRomer(1990)に倣い内生化した2国2セクター型のRBC モデルで、1国を技術開発国(米国)とし他国を技術学習国(日本)としてい る。モデルでは、技術開発国は研究開発投資を行い新技術を生み出し、その技 術が技術学習国(技術後進国)に伝播するとしている。モデルにおいて重要な 点は、この技術伝播の影響が自動的(コストレス)には生じないという点にあ る。具体的には、技術学習国は開発国で生み出された新技術を基礎に研究開発 投資によって自国での活用に適した技術を生み出すとしている。つまり、学習 国はコストを払い新技術を学ぶことで自国の技術水準を進歩させることが出来 るとしている。なお、基礎となる理論モデルは岡田(2012)と同様であるが、本 稿は岡田(2012)の分析を大きく発展させたものとなっている。後に詳述する が、岡田(2012)ではモデルが一般均衡モデルにもかかわらず、シミュレーショ ン分析の対象を技術変動のみとしているが、本稿では技術変動だけでなく様々 なマクロ変数の変動分析を行っている。また、本論では岡田(2012)と異なり、 行われており、特に貿易の役割に焦点を当てた研究が多く行われている。これらの研究では主 に、一国で生じたショックが貿易を通じて他国に伝播することで各国間の景気の相関を説明して いる。しかしながら、理論的分析は主に短期的な変動に焦点が置かれ、中期的変動に関してはほ とんど研究が行われてきていない。また、短期的な景気変動に関しても国際的に相関する技術変 動なしでは国際的景気変動を十分に説明することが出来ないことがいくつかの研究により示され ている(例えば、Kose and Yi (2006))。

(4)

定常状態への収束条件等のモデルに内包される条件を満たす形でモデルに対し て厳密で詳細な手法を用いて分析を行っている。 本稿の分析結果によると、日本の中期的なマクロ経済変動は海外からの技術 伝播を考慮したモデルでかなりの部分を説明可能なことが分かった。分析では、 米国のR&Dを外生的ショックとし、結果として生み出される米国の新技術が 日本経済に伝播し、その影響が日本経済に大きな影響を与えることが分かっ た。モデルのカリブレーション・シミュレーション分析により、日本のGDP、 消費、資本、労働、R&D、およびTFPの中期的変動のかなりの部分が米国の R&Dに発する米国からの技術伝播の影響で説明可能なことが示された。 以下では先ずセクション2でモデルの説明を行い、セクション3でカリブ レーションとシミュレーションの方法を示した上で、分析結果を結果を示す。 そして、セクション4でまとめと今後の課題を示す。

2 モデル

本稿の目的は技術伝播が一国経済の中期的変動に与える影響をモデルに基 づいたカリブレーション・シミュレーション分析により定量的に明らかにする ことである。 モデルは岡田(2012)と同様である。岡田(2012)と本論文では共に一般均衡 モデルを用いたカリブレーション・シミュレーション分析を行っているが、大 きな違いは以下の点にある。岡田(2012)では海外からの技術伝播が自国の技術 進歩に与える影響のみを分析対象としたが、本論文では海外からの技術伝播が 自国経済の様々なマクロ経済変数に与える影響を分析している。岡田(2012) では自国(日本)の技術進歩が海外(米国)からの技術伝播から大きな影響を 受け得ることを示し、海外(米国)からの技術伝播が現実の日本の中期的な技 術変動のかなりの部分を説明できることを示した。しかしながら、提示された 理論モデルの妥当性を示すためには、モデルに基づきシミュレートされた他の マクロ経済変数も実際の経済の動きと合致していなければならない。そこで本 稿では、技術伝播を組み込んだ同様のモデルが他の主要なマクロ経済変数の現 実の動きを説明できるのかどうかを検証する。

(5)

既に述べたようにモデルは2国2セクター型のRBCモデルで、技術進歩 をRomer(1990)に倣い内生化している。2セクターは最終財セクターと中間 財セクターであり、中間財セクターでは中間財だけでなく、中間財を生産する ための技術(新製品のためのblueprint)も生産するとし、新技術を生み出せ ば中間財企業はその新技術に対応する中間財を独占的に生産することが出来る とする。モデルでは技術先進国と技術後進国を想定し、技術後進国は先進国か ら技術を学び、自国の技術を発展させる。ただし、理論上重要な点は、この技 術伝播が自動的には生じないという点にある。日本(技術学習国)は米国(技 術開発国)で開発された新技術を基礎に自国で研究開発を行い自国に適する技 術を生み出す。つまり、学習国はコストを払うことでのみ、新技術を学び自国 の技術水準を進歩させることが出来る。言い換えると、研究開発投資は学習国 にとっては先端技術吸収の役割を果たし、開発国にとっては先端技術開発の役 割を果たす。これはGrifith, Redding and Reenen (2004)の実証研究結果と 整合的である。彼らの研究では、研究開発投資は新技術の開発だけでなく、新 技術の習得や模倣に大きな影響を与えていることが示されている。 モデルは岡田(2012)と基本的には同様なので、モデルに関する詳細な説明 は岡田(2012)に譲るが、モデルの基本的な枠組みと幾つかの重要な点に関して は以下で述べる。また、以下では、先進国と後進国では研究開発を除き経済の 構造上に差異がないと仮定し、必要がない場合は先進国と後進国を特に区別せ ず記述する。 2.1 家計 まず始めに家計について示す。家計iの効用最大化は以下のように表せる とする(経済にはunit massの家計が存在するとする): X t=0 ΓtNt,i » lnCt,i Nt,i + DHt,i Nt,i, D < 0 s.t.

Ct,i+ Kt,i− (1 − δ)Kt−1,i+ Bt,i≤ wtHt,i+ rtKt−1,i+ (1 + qt)Bt−1,i+ Ξt,i. ただし、

(6)

Γ :割引要因(a dicount factor)、 Ni:家計iに属する人数(成長率は外生ま的にnとする)、 Ci:家計iの消費、 Hi:家計iの労働投入量、 D : D≡ χ ln(1−hi) hiχ(> 0)は 余暇に対する選好パラメーターで、家計i に属する労働者は時点tにおいてh単位の労働を確率Ht,i/Nt,i hi で提供す る契約を企業と結ぶ(詳細についてはHansen (1986)のindivisible-labor モデルやMcCandless (Ch.6, 2008)を参照)、 Ki:家計iの資本ストック、 Bt,i:家計iの中間財企業への貸出(貸出はt期に行われt+1期に利 子分と共に返却される)で、R1 0 Bt,idi = Bt(経済の総貸出)は経済の 総R&D投資と等しい、 w :実質賃金、 r :資本の実質貸出価格、 δ :資本減耗率、 q :貸出金に対する実質利子率、 Ξt,i:家計iの中間財企業株式の保有による損益。 なお、中間財企業は時点t−1において家計からローンを得て、時点tにお いてそのローンを返却するために株式を発行すると仮定している。 この仮定 は、中間財企業のローン支払い額と同額の新株を家計は購入するが、同時に家 計は中間財企業の所有者としてローン返済額と同額分の企業資産(価値)を失 うことを意味する。これらの取引はお互いに相殺しあうので、上記の制約式に は表れていない。 なお、中間財企業の所有者として家計iには企業価値の増 減が時間を通じて生じる。この損益はΞt,iで表される。 上記の最適化問題を解くと、一階の条件から以下の式が得られる。

(7)

1 ct,i =−D wt , (1) 1 ct,i = 1 ct+1,i Γ(Rt+1− δ), (2) Qt+1= Rt+1− δ, (3)

ct,i+ kt,i+ bt,i= wtht,i+ (Rt− δ)

kt−1,i (1 + n)+

Qtbt−1,i

(1 + n) + ξt,i. (4) ただし、ct,i= Ct,i/Nt,i, ht,i= Ht,i/Nt,i, kt,i= Kt,i/Nt,i, bt,i= Bt,i/Nt,i,

ξt,i= Ξt,i/Nt,i。ここで、(2)式から

Qt,t+l= Γ−l ct+l,i ct,i , l≥ 0, (5) が得られる。ただし、Qt,t+l≡ l Q j=1 (Rt+j−δ) for l ≥ 1Qt,t+l≡ 1 for l = 0 である。(5)式のQt,t+l は既に述べたように中間財企業の割引要因として用 いられたものである。更に、(2)式と(3)式から、 Qt+1= Rt+1− δ = Γ−1 ct+1,i ct,i . が得られる。これは金融資産に対するグロス利子率を示す。 2.2 企業 以下では中間財企業と最終財企業についての幾つかの仮定を示し、その後に それぞれの最適化問題について見ていく。 中間財企業jλユニットの最終財を使用し新製品のblueprint(生産の ための設計図)を生みだし、製品Y (j)の生産と販売に対する独占権を得ると する。中間財企業jは以下のような生産関数を持つとする。 Yt(j) = TtKt−1(j)θHt(j)1−θ (6) Kは資本(Kt−1t− 1期末の資本を示す)、Hは労働(Hは労働者数×労 働時間を示し、H = hNhは労働時間で、Nは労働者数)、Tは技術力を 示す。T の進歩は企業のR&D投資とは関係がないとし、T を以下では“一般 的技術”と呼ぶことにする。なお、後に説明するR&D投資と関係する技術は “一般的技術”と対応させ“応用技術”と呼ぶことにする。Tは以下の式で表さ

(8)

れる: Tt= (κNt)βGt, 0 < κ, 0 < β < 1. (7) (7)式は一般的技術 T が二つのタイプの技術(知識)で構成されることを示 している。一つはκNtで、もう一つはGtである。κNtは人的資本と関係し た技術を表しており、経済に属する労働者の数と比例するものとする。なお、 このタイプの技術は一国のすべての企業が費用なしに利用できるとする(つ まり、Ntの外部性が存在する)。二つ目のGtは外生であり、Gの成長率を Gt+1/Gt= 1 + gGとする。成長率gGは例えば、産業革命以前のTFPの成 長率として捉えられるようなものである(産業革命以前はTt= Gtで人的資 本の外部性κNtは存在しないとする)。 後進国と先進国のR&D費用は以下の式で表せるとする(λtを後進国の費 用、λ1,tを先進国の費用とする): λt= d ˆ (κN,t)β ˜γN GγG t N α F,t VγV t−1− Aγt−1V , d > 0, 0 < α < 1 and γv> 0 (8) λ1,t= d1 h (κ1N1,t)βiγ1,NGγ1,G t N α F1,,t, d1> 0 and 0 < α < 1, (9) ただし、添え字1は先進国を示し、d1とdは先進国と後進国のスケーリング・ パラメーター、NF1とNF は先進国と後進国で新製品を開発している企業数、 At は後進国の“応用技術”水準(中間財製品のblueprintの数)、Vt−1 は先進 国から後進国にt− 1期末までに伝播した応用技術のストックを示す。先新国 で発明された先端技術が後進国へ伝播するには時間を要し、後進国の企業はt 期においてその期までに伝播した技術ストック(Vt−1)を利用し自国技術を生 産する(Vt−1については後述する)。 (8)式が示す仮定は以下の通りである。第一に、後進国が先端技術を学習し 自国に適した新技術を開発するための費用(R&D費用)は、先進国と後進国 との間の技術格差(Vt− At)が大きいほど小さいと仮定する。これは技術格 差が大きいほどより多くのことを後進国企業が先進国から学ぶことができる ためである。第二に、一般的技術TがR&D費用に影響を与えると仮定する。 この影響はˆ(κN,t)β ˜γN GγG t で示され、γGγNの値によって負と正の影

(9)

響を取りえる。正の影響が出る要因としては、より進んだ一般的技術(T)が 応用技術の開発をより容易にすることが考えられる。負の要因としては、応用 技術は一般的技術を基礎にしているとすると、より進歩し複雑化した一般技術 が応用技術の開発コストを増加させることが考えられる。最後に、R&D費用 が新技術の開発を行っている企業数NF,tに依存すると仮定する。これは新技 術の開発に携わる企業の数が増加すれば、ある新技術が他社の開発した新技術 と重複する確率を高め、結果として企業の新技術を生み出す費用の増加につな がってしまうからである。 (8)式と同様に、(9)式は先進国のR&D費用を示している。後進国のR&D 費用式である(8)式との唯一の違いは、学習効果を表す項((8)式のVγV t−1−Aγt−1V ) が存在しない点である。 上の2つの式から後進国の応用技術(At)と先進国の応用技術(A1,t)の ダイナミクスを表す式を以下のようにして導出できる。まず、総R&D投資は R&Dを行う企業数にR&D費用λを掛けたものと等しくなるため、後進国と 先進国の総R&Dはそれぞれ、RDt= λtNF,tRD1,t= λ1,tN1,F,t書ける。 更に、企業はλ(λ1)ユニットの最終財を使用してblueprintを1ユニット生産 するので 以下の式が得られる At= ² RDt λt + ψAt−1, A1,t= ²1 RD1,t λ1,t + ψA1,t−1. 上のそれぞれの式に、(8)式と(9)式、RDt= λtNF,tRD1,t= λ1,tN1,F,t をそれぞれ代入して整理すると、以下のようなAtA1,tのダイナミクスを 表す式が得られる。 At= h ²d1+α−1κ −β γN 1+α i (VγV t−1− Aγt−1V ) 1 1+αG −γG 1+α t N −β γN 1+α t RD 1 1+α t + ψAt−1, (10) A1,t= » ²1d −1 1+α 1 κ −β 1+αγ1,N 1 – G −1 1+αγ1,G t N −β 1+αγ1,N 1,t RD 1 1+α 1,t + ψA1,t−1. (11) 先進国からt期末までに伝播した技術ストック(Vt)と先進国で開発される 応用技術(A)の間には以下のような関係が存在する(詳しい導出方法は岡田

(10)

(2012)を参照)。 Vt= χ 2 4A1,t+ ψ(1− χ)A1,t−1+ ψ2(1− χ)2A1,t−1+ ... +ψm(1− χ)mA1,t−m 3 5 , (12) ただし、(12)式において0 < χ < 1, 0 < ψ < 1m =∞であり、パラメー ターχψは、技術先進国の応用技術は各期において後進国へχの確率で伝 播し、現存する製品(設計図)は次期において確率(1− ψ)で製品が時代遅れ になり使用不可になる(obsoleteする)ことを示している。 結果として(10)式、(11)式と(12)式は、先進国のR&Dの変動は先進国の 技術に影響を与え、その影響が技術伝播(技術学習)を通して後進国の技術水 準に影響を与えることを示している。 次に最終財セクターについてだが、最終財企業の生産関数は以下の式で示さ れる。 Yt= »Z At−1 0 Yt(j) φ−1 φ djφ φ−1 , φ > 1 (13) ここで、At−1は時点t− 1における中間財数を示す。なお、生産関数(13)に おいて、中間財企業は中間財アイデアを発明した後にのみ財を生産できると仮 定している。従って、AtではなくAt−1が(13)式に表れている 最終財企業の最適化問題は以下のように設定される。 max Yt(j) »Z At−1 0 Yt(j) φ−1 φ diφ φ−1 Z At−1 0 Pt(j)Yt(j)dj したがって、一階の条件は Yt(j) = Pt(j)−φYt (14) となる。(14)式は中間財企業jにより生産される中間財に対する需要を示す。 (14)式で表される需要曲線に直面する中間財企業jは以下を最大化する価 格Pt+l(j)を設定する(注:新製品生産のための新技術を生み出せば中間財企 業はその製品を独占的に生産できる)。 X l=0 Q−1t,t+lψlhPt+l(j)(Yt+lPt+i(j)−φ)− rt+lKt+l(j)− wt+lHt+l(j) i s.t. Yt+lPt+l(j)−φ= Tt+lKt+l(j)θHt+l(j)1−θ , (15)

(11)

ただし、既に述べたが Qt,t+l は割引要因であり、 l ≥ 1の場合はQt,t+l l Q j=1 (1 + rt+j− δ)l = 0場合はQt,t+l≡ 1となる。上記の問題より、費用 最小化問題は以下のよう書ける。 min Kt−1+l(j), Ht+l(j) rt+lKt−1+l(j) + wt+lHt+l(j) s.t. Yt+l(j) = Tt+lKt−1+l(j)θHt+l(j)1−θ . (16) この問題を解くと以下の式が得られる。 1− θ θ rt+l wt+l = Ht+l(j) Kt−1+l(j). (17) (6)式と(17)式を用いると、中間財企業jの費用関数は以下のように書くこ とが出来る。 Θt+l(j) = wt+l 1− θ » 1− θ θ rt+l wt+lθ Yt+l(j) Tt+l . (18) 従って、限界費用は、 M Ct+l= θ−θ(1− θ)θ−1 1 Tt+l rt+lθ w 1−θ t+l. (19) となる。 (6)式と(19)式を使用すると、最適問題(15)は、 max Pt+l(j) X l=0 Q−1t,t+lψ l 2 4 Pt+l(j)1−φYt+l −θ−θ(1− θ)θ−1 1 Tt+lr θ t+lwt+l1−θPt+l(j)−φYt+l 3 5 , (20) と書き換えられ、一階の条件から以下の式が得られる。 Pt+l= φ φ− 1θ −θ(1− θ)θ−1 1 Tt+l rt+lθ w 1−θ t+l = φ φ− 1M Ct+l. (21) 更に、(20)式と(21)式を用いると、中間財企業の独占的利益Πtは以下の式 で表すことができる。 Πt= X l=0 Q−1t,t+lψlYt+lM Ct+l1−φφ φ− 1 «−φφ φ− 1− 1 « . (22) 最後に、中間財企業のR&D活動について考える。新製品の生産方法をR&D により生みだした中間財企業は独占企業となるので、(22)式で表される独占 的利益Πtを得ることができる。中間財企業は家計から借り入れをしてR&D 投資を行うので、R&Dの成功確率を²とし、R&Dへの自由参加を仮定する

(12)

と、均衡において以下の式が成立する。 (1 + qt+1)λt= ²Πt+1, (23) ここで、²Πt+1は期待利潤を示し、qは貸し出しに対する金利を示す。なお、1/²χ は先進国で開発された新技術が後進国に影響を与える平均的時間を表す。 2.3 モデル式 本節ではまず経済を記述するシステム式を示す。なお、カリブレーション に必要な定常状態式の導出を後に行うため、長期トレンドを除去した形の式で 表す。 上述した各経済主体の最適化問題から得られた式、各市場の均衡条件、およ び制約条件から技術後進国の経済に関して以下のシステム式が容易に導出でき る(詳細は岡田(2012)を参照されたい)。 ect=− e wt D, (24) (1 + gZ)ect+1= Γ(1 + rt+1− δ)ect , (25) ect+ ekt+ erdt=eyt+ 1− δ (1 + n)(1 + gZ) ekt−1 , (26) 1− θ θ 1 1 + gZ rtekt−1= (1 + n)wetht, (27) e yt= » 1 (1 + n)(1 + gZ) –θ (1 + gA∗ 1) −1 φ−1Ae 1 φ−1 t−1ektθ−1h1t−θ, (28) e A 1 φ−1 t−1 = „ 1 1 + gA∗1 «−1 φ−1 φ φ− 1θ −θ(1− θ)θ−1rθ twe 1−θ t , (29) ˜ At= ² ` d´ 1 1+α „ 1 1 + gA∗1 « −1 (1+α)(φ−1)(1−θ)+1“ e VγV t−1− eAγt−1V ” 1 1+α e rd 1 1+α t + ψ 1 + gA∗1 e At−1, (30) e rdt= 1 + n 1 + rt+1− δ 1 + gZ 1 + gA∗1 e πt+1[ eAt− ψ 1 + gA∗1 e At−1], (31)

(13)

e πt+1= 1 + rt+1− δ ψ(1 + n) 1 + gA∗1 1 + gZ » e πt− 1 + gA∗1 φ e yt e At−1, (32) e Vt= χ[ eA1,t+ ψ(1− χ) 1 + gA∗1 e A1,t−1+ ψ2(1− χ)2 (1 + gA∗1) 2Ae1,t−2+ ψ3(1− χ)3 (1 + gA∗1) 3Ae1,t−3. (33) ただし、(30)式のdγVd = dκ , γV = (1 + α)(φ− 1)(1 − θ) − 1 (φ− 1)(1 − θ) . なお、上記のVetAe1の無限期のラグの加重平均されたものであるが、Ae1を 計算する際のデータ数には限りがあるので3期ラグまでの加重平均としている。 上記したシステム式は長期トレンド除去したトレンドからの乖離の形でそ れぞれの変数が示されている(eはトレンドからの乖離を示している)。つま り、Zをトレンドとし、ec = (C/N)/Zey = (Y /N )/Zek = (K/N)/Z 、 e rd = (RD/N )/Zπ = [(Π/N )Ae 1]/Z となっている(A∗1 は後述するがA1 のトレンドを示す)。また、先進国と後進国の応用技術のトレンド(定常状態) からの乖離はそれぞれ以下のように定義される。 e A1,t≡ A1,t/A∗1,t . (34) e At≡ At/A∗1,t. (35) ただし、A∗1,tは定常状態のA1,tを示し、 A∗1,t+1= (1 + gA∗ 1) A 1,t とする(gA∗1は一定)。なお、分析の簡素化のため本稿ではAtA1,tに追い つくことはないと仮定する(つまり、At/A1,t < 1)。従って、Aet < eA1,t が 成立する。なお、eπt= πtA∗1,t Zt ここで、前述したトレンドZtは以下の式で書ける(詳細は岡田(2012)を 参照)。 Zt≡ A 1 (φ−1)(1−θ) 1,t T 1 1−θ t . T は(7)式で示されるように一定の速度で変化する変数である。なお、上式よ

(14)

Ztのグロス成長率は以下で示されるように一定となる。 1 + gZ= (1 + gA∗1) 1 (φ−1)(1−θ)(1 + gG) 1 1−θ(1 + n) β 1−θ . (36) 更に、(24)式から(30)式の一連のシステム式から定常状態において以下の 一連の式が成立することを示すことができる(は定常状態を示す)。なお、定 常状態ではAe1,t= 1(つまり, A1,t≡ A∗1,t)が成立している。 ec∗=− ew D, r∗=1 + gZ Γ − 1 + δ , e y∗=ec+ » 1 1− δ (1 + n)(1 + gZ) – ek∗+ erd, ek∗= (1 + n)(1 + g Z) θ 1− θ e w∗h∗ r∗ , (37) e y∗= » 1 (1 + n)(1 + gZ) –θ (1 + gA1) −1 φ−1 “ e A∗” 1 φ−1ekθ (h∗)1−θ , (38) e A∗= (1 + gA1) » φ φ− 1θ −θ(1− θ)θ−1(r)θ (we)1−θφ−1 , (39) „ 1 ψ 1 + gA1 « e A∗= ² (d)1+α1 „ 1 1 + gA1 « −1 (1+α)(φ−1)(1−θ)+1 “ e V∗ γV − e A∗ γV ” 1 1+α e rd∗1+α1 , (40) e rd∗= 1 + n 1 + r∗− δ 1 + gZ (1 + gA1) 2(1 + gA1− ψ)eπ Ae, (41) e π∗= 1 φ (1 + r∗− δ)(1 + gA1) 2 (1 + r∗− δ)(1 + gA1)− ψ(1 + n)(1 + gZ) e y∗ e A∗ , (42) e V∗= χ 0 @1ψ(1−χ) 1+gA1 1ψ(1−χ) 1+gA1 ” 1 A . (43)

(15)

3 定量分析

以下で行われるモデルの定量分析において使われるデータのサンプル期間 は1960-2002で、米国を先進国、日本を後進国と仮定することにする。デー タに関しての詳細は補論1を参照されたい。なお、通常の景気循環分析では4 半期データを使用するが、本稿の分析では短期ではなく中期的変動を分析対象 としているので年次データを使用している。 3.1 カリブレーション、モデルの解法、及びシミュレーション (24)式から(30)式のシステム式を見て分かるように、モデルをシミュレー トするには以下の15個のパラメーターをカリブレートしなければならない: α, β, θ, φ, ψ, gG, gA∗1, gZ, n, δ, Γ, D, ², d and χ。表1はカリブレートされ たパラメーター値を示しているパラメーターのカリブレーションの詳細は以下 の通りである。 α Γ θ φ ψ gG gA∗ 1 gZ 0.25 0.96 0.36 4.33 0.82 0.0009 0.025 0.014 n D ² χ d δ β 0.0087 -0.021 0.1 0.5 4.52 0.085 0.095 表 1: カリブレートされたパラメーター値:日本 α = 0.25は(10)式および(11)式より新技術のR&Dに対する弾力性が 0.8であることを意味する(先進国と後進国で同一と仮定)。これは Branstet-ter (2001)の推定値とBottazzi and Perri (2007)の推定値の中間値である (Branstetter (2001)は0.81、Bottazzi and Perri (2007)は0.79と実証的に 推定している)。ΓはHayashi and Prescott (2002)と同様な方法でカリブレー トした。θはサンプル期間の日本の資本分配率を計算し、0.36に設定した。

φに関しては、φ = 4.33とした。この値はグロスマークアップ率が1.3とな

ることを意味する。既存研究の推計によると、グロスマークアップ率は1.2

(16)

はこの中間値を使用した。なお、φは2国間で同じであると仮定する。ψ

ついては、ψ = 0.82とした。この値は新技術開発による独占的レントの減 少率(Aのobsolence率)が年率18%であることを意味するが、Mansfield, Schwartz and Wagner (1981)は20%、Pakes and Schankerman (1984)は 25%、Caballero and Jaffe (1993)は10%から12%と、それぞれマイクロ

データを使用した推計結果を報告している。本稿では中間的な値である 18%

を選択した。なお、ψは2国間で同じであると仮定する。一般技術の構成要 因であるGの成長率(gG)は0.0009とした。この値はHansen and Prescott (2002) やParente and Prescott (2004)がカリブレートした産業革命以前の

技術進歩率と同じである。 nに関しては、日本の労働者数のトレンド成長率

を使用した。φに関しては、φ = 4.33 とした。この値はグロスマークアップ 率が1.3となることを意味する。既存研究の推計によると、グロスマークアッ プ率は1.2から1.4となっており(例えば、Basu and Fernald (1997)を参 照)、本稿ではこの中間値を使用した。なお、φは2国間で同じであると仮定 する。gA∗1 に関しては、既存研究の推計値を参考にgA∗1 = 0.025に設定した。

この値は Bottazzi and Peri (2007)が特許データを使用し推計した米国の技 術進歩率の平均成長率とほぼ同じ値である。gZは以上の情報を元に(36)式

を使用し計算する。nに関しては、日本の労働者数のトレンド成長率を使用

した。Dは既に示した一連の定常状態式を使用しカリブレートした。²に関 しては、Comin and Gertler (2006)に倣い² = 0.1とした。χに関しては、 Eaton and Kortum (1999)が推定した国際間の技術伝播時間と整合的になる ようにχ = 0.5とした。 この値は技術伝播の平均時間(先進国における新技 術の発明が後進国に影響を与える平均的時間:1/²χ)が20年であることを意 味する。パラメーターdはBottazzi and Peri (2007)の研究結果と整合的に なるように一連の定常状態式を使用しカリブレートした。Bottazzi and Peri (2007)は日本の技術(本稿でのA)とアメリカの技術(本稿でのA1)を パ テントデータを基に推計し、1999年においてA/A1 が約0.35であることを 示した。そこで本稿では日本と米国が1999年に定常状態近傍に位置すると仮 定し、Ae∗= A∗/A∗1 = 0.35となるようなdを(40)式及び上述した一連の定

(17)

常状態式を使用し計算した2) δはデータよりカリブレートした。βは先進国 と後進国と同一と仮定し、g∗W1 = 1 φ−1gA∗ 1+ βn1+ gGを元に計算した。g W1 は定常状態におけるA 1 φ−1 1,t (κ1N1,t) βG tの成長率を表し、g∗W1はモデルから導 出できる以下2式を元に通常の成長会計の手法を用いて計算できる。 Y1,t= W1,tK1,tθ1−1(N1,th1,t) 1−θ1 (44) W1,t= A 1 φ−1 1,t (κ1N1,t) β Gt, (45) 以上のようにカリブレートされたパラメーターを基に(24)式から(30)式の 一連のシステム式を解きシミュレートする。なお、モデルに与えるショックは (30)式のAe1,tである。具体的な計算方法は岡田(2012)で詳細に示されている ので省くが、重要な点はAe1,tは(11)式を使用して米国のR&Dのデータから 計算されている点である。これは通常の一般均衡モデルの分析と重要な差異を 意味する。通常の分析では成長会計で計算される自国の技術変動(TFP変動) をショックとして扱うが、本稿では海外(米国)のR&D変動が自国経済への ショック(外生変数)として扱われている。扱っている。つまり、本稿では実 物的景気循環論のように自国の技術変動で自国の経済変動を説明しようと試み るのではなく、他国のR&D変動(他国の技術変動)により自国の中期的な経 済変動がどの程度説明可能であるのかを検証しようとしているのである。 次にモデルの解法とシミュレーションに関して述べる。岡田(2012)ではカ リブレートしたパラメーター値を使用し(30)式と実際のR&D投資のデータ を使用し日本の技術変動をシミュレートしたが、そのような手法はモデルの妥 当性の検証と分析として極めて不十分であると言わざるを得ない。モデルは上 記したように定常状態に落ち着くが、(30)式だけを使用した岡田(2012)の分 析では定常状態が達成されるかはどうかは明らかではない。もし定常状態が達 成されないのであれば、定常状態に基づいて計算された幾つかのパラメーター もモデルと矛盾したものになってしまい、それに基づいてシミュレートされ 2) d のカリブレーションには D と Γ、そしてパラメタ―値で表せられた w∗が必要となる。更 に、一連の定常状態式を使用した D と w∗のカリブレーションには hが必要となる。そこで 本稿では、米国が定常状態近傍に位置し、日本と米国の定常状態の労働時間をほぼ同程度と仮定 し、h∗=“サンプル期間の米国における平均労働時間”とした。

(18)

たものもモデルと矛盾したものになってしまう。そこで本稿では、与えられ たショック(Ae1)のもとで、経済が定常状態への収束するようにモデルを解 き(つまり、全ての変数が定常状態に収束するようにモデルのシステム式を解 く)、モデルをシミュレートする(既に述べたが、Ae1は(11)式を使用して米 国のR&Dのデータから計算されるものであるので、日本経済にとっての究極 的なショックは米国のR&Dとなる)。3) シミュレーションに際しては技術変 動だけでなくその他全ての変数もシミュレートする。 モデルの解法およびシミュレーションにはdynareを使用した。dynareは動 学的一般均衡モデルの分析に広く用いられているプログラムであり、確率的およ び完全予見の両方のモデルに対して用いることが出来る。本稿のモデルは完全予 見モデルであり、上述したように完全予見モデルを解くにはpre-determined変 数の初期値を決定する必要があるが、本稿のモデルには2つのpre-determined 変数が存在する、ek(0)A(0)˜ 。本稿ではデータのサンプル期間の期末(2002 年)に経済が定常状態近傍に位置すると仮定し、ek(0)A(0)˜ を計算する。詳 細は補論2で説明するが、サンプル期間の期初と期末の労働者一人当たりの資 本とTFPのデータ値と(37)式と(39)式からek(0)A(0)˜ を計算することが 出来る。モデルを解くにあたっては、先ずA(0)˜ を前述した計算値に設定し、 次に経済が定常状態に収束することが出来る値の中で前述したek(0)の計算値 に最も近い値にek(0)を設定した。このように設定されたek(0)値は前述の計算 値よりも幾分大きくなってしまったが、これはよく指摘されるように、元々の 資本のデータに計測誤差が含まれている可能性があり前述の計算値はあくまで 概算値であるためと考えられる(なお、経済が定常状態に収束するような様々 な値のek(0)A(0)˜ で分析をしたが、以下で示される結果に大きな違いを与 えることはなかった)。 3.2 シミュレーション結果 シミュレーション結果は図1に示されるとおりである。図は長期トレンドを 除去した後のものである。長期トレンドのフィルターリングには、Christiano 3) なお、このとき所謂 Blanchard-Kahn condition も同時に満たされることも保障した。

(19)

and Fitzgerald (2003)のoptimal band pass filterを用い周期が40年以上の 長期サイクルを除外し、2年以上40年以下の周期をもつサイクルだけを抽出 している。図1を見ると、モデルに従ってシミュレートした変数は、日本の中 期的変動を非常に上手くとらえることができていることが分かる。シミュレー トされたGNP(y)、R&D投資(rd)、消費(c)、資本(k)、技術(A)は実際 のデータを上手くトレースしており、労働時間(h)は幾分タイミングがずれ ているが変動幅の点では現実のデータを上手く捉えている。これらの結果は、 米国のR&D投資の変動により、日本のマクロ経済の中期的変動をかなりの程 度で説明可能であることを示している。これは、米国のR&D投資によって生 み出された米国技術の日本へ伝播が日本経済にとって非常に重要であった可能 性を示している。 図 1: シミュレーション結果(実線:データ、破線:モデルのシミュレーション)

(20)

4 結び

本稿では、国際間の技術伝播が中期的な経済変動に大きな影響を与えること を示した。本稿では、技術進歩を内生化した一般均衡モデルに技術伝播を組み 込んだモデルを構築し、カリブレーション・シミュレーション分析を行うこと により日本の経済変動を分析した。分析によると、日本の中期的なマクロ経済 変動は米国のR&D投資の変動に起因するショックでかなりの部分を説明可能 なことが分かった。これは、米国のR&D投資によって生み出された米国技術 の日本へ伝播が日本経済にとって非常に重要であった可能性を示している。 今後の課題を述べて結びとしたい。本稿の定量分析では、供給ショックのみ を考慮したが、需要ショックを導入することも必要だろう。また、変数間の相 関関係をデータとモデルのシミュレーションで比較することも重要であると思 われる。例えば、Braun, Okada, and Sudou (2008)では、中期的変動におい て、米国のR&DやTFPが日本のTFPや生産を数期先行することを実証的 に示したが、このような結果が本稿のモデルから導出可能であればモデルの正 当性をより高めることになるだろう。

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(23)

補論1:データ

日本の主要データソースは内閣府経済社会総合研究所『国民経済計算年報』 である。労働に関するデータは、 総務省『労働力調査』と厚生労働省『毎月 勤労統計調査』より得た。データはHayashi and Prescott (2002)やBraun, Esteban-Pretel, Okada and Sudou (2006)で使用されたものと整合的になる ように必要に応じて再分類されている。日本のR&Dデータは総務省 『科学

技術研究調査報告書』から得た。なお、『科学技術研究調査報告書』のデータ

のカテゴリーが1996年、2001年、2002年に変更されているため、成長率を 使用し1995年のデータから延長されている。米国のR&DデータはNational

Science Foundation, “The National Patterns of R&D Resources”より得た。

補論2:

ek(0) and e

A(0)

の計算

ここではデータとモデル式からek(0)A(0)e を概算する方法を示す。 以下で は時間tにおいて経済は定常状態であるとする。まず、ek(0)につぃて考える。 本論から以下の式が得られる。 ek(0) = k(0) Z(0), (46) ek∗=kt∗ Zt = k t Z(0)(1 + gZ)t , (47) Zt= A 1 (φ−1)(1−θ) 1,t(κNt)βGt ” 1 1−θ . (48) (47)式を(46)式にZ(0)対して代入すると、ek(0)は、 ek(0) = k(0)(1 + gZ)t ek∗ k∗t , と書ける。(36)式を上式に代入すると、 ek(0) = k(0)ek∗ kt∗ h (1 + gA∗ 1) t (φ−1)(1−θ)(1 + gG) t 1−θ(1 + n) βt 1−θ i (49) と書ける。 次にA(0)e について考える。A(0)e 以下の式で表すことができる。 e A(0) = A(0) A∗1(0)= A(0) A∗1,t(1+gA∗1) t =A(0) A∗t A∗t A∗1,t(1+gA∗1) t = A(0)Ae A∗t(1+gA∗1) t (50)

(24)

本論より以下の2つの式が得られる。 Yt= WtKt−1θ (Ntht)1−θ Wt= A 1 φ−1 t−1(κNt)βGt. (51) 上記の式はWtがTFP(全要素生産性)であることを示している。(51)式か ら更に、 Wt∗ W (0)= „ A∗t A(0) « 1 φ−1Nt N (0) «βGt G(0) « , が得られる。この式を A(0) A∗ t について解くと、 A(0) A∗t = » Wt∗ W (0)(1 + n) −βt(1 + g G)−t−(φ−1) , となる。この式を(50)式に代入すると、 e A(0) = eA∗(1 + gA∗1) t » W (0) Wt (1 + n) βt (1 + gG)t –(φ−1) , (52) が得られる。 ek(0)A(0)e は(49)式と(52)式を使用して計算できる。手法は以下の通り である。まず、本論のカリブレーションで示したようにパラメーター値を設定 すれば、本論で示した定常状態式を使用しek∗and eAが計算できる。k(0) k∗t の値はデータから得られる。また、WtはTFPを示すので、W (0)Wt∗ もデータから計算できる。従って、これらの情報を(49)式と(52)式に代入す ればek(0)A(0)e を計算することが出来る。

参照

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