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脳卒中片麻痺患者におけるReachable Workspace 評価の併存的妥当性について

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 256 45 巻第 4 号 256 ∼ 262 頁(2018 年) 理学療法学 第 45 巻第 4 号. 実践報告. 脳卒中片麻痺患者における Reachable Workspace 評価の 併存的妥当性について* ─ Kinect による簡易三次元動作計測─. 奥 山 航 平 1)# 川 上 途 行 1) 土 元 翔 平 2) 小 倉 美 帆 1) 牛 場 潤 一 2)3) 水 野 勝 広 1) 里 宇 明 元 1). 要旨 【目的】本研究は,マーカーレスで簡便に動作計測が可能な Kinect を用いて脳卒中片麻痺患者のリーチ 可能なワークスペース(Reachable Workspace:以下,RWS)を評価し,従来の臨床評価指標との関 係から,上肢運動機能評価手法としての併存的妥当性を検証することを目的とした。【方法】対象は脳 卒中片麻痺患者 20 名とした。8 パターンの上肢動作遂行中における手部の空間座標データから麻痺側 および非麻痺側の RWS を評価した。非麻痺側 RWS に対する麻痺側 RWS の比率(以下,RWS 比)と Fugl-Meyer Assessment 上肢項目(以下,FMA-UE)の合計点について,Spearman の順位相関係数を 用いて相関関係を検討した。 【結果】RWS 比と FMA-UE は強い正の相関を示した(r = 0.88, p < 0.01) 。 【結論】RWS 評価は麻痺側上肢の近位運動機能を定量的に評価する指標として妥当であることが示された。 キーワード 脳卒中,上肢運動機能,三次元動作解析,評価,計量心理学的特性. 5) 下,WMFT) などの臨床評価尺度が開発されており,. はじめに. それぞれ信頼性や妥当性が示されているが. 6‒8). ,これら.  運動麻痺は,脳卒中患者における共通の問題であり,. の尺度の多くは動作の可否や拙劣さを順序尺度によって. 1) 85%以上の患者で麻痺が残存するといわれている 。さ. 評価する方法である。また,麻痺側上肢の随意的な可動. らに,上肢の運動麻痺により肩・肘・手・指の協調的な. 範囲については,従来のゴニオメータを用いた自動関節. 動作が阻害されると,食事や整容などの日常生活動作や. 可動域や画像上で関節可動域を算出することで評価され. Quality of Life に影響を及ぼすこととなる. 2). 。これまで. に,脳卒中患者の上肢運動機能に関して Fugl-Meyer 3). Assessment( 以 下,FMA) ,Action Research Arm 4). Test(以下,ARAT) ,Wolf Motor Function Test(以. てきた。しかし,これらは特定の面上(前額面,矢状面, 水平面)での運動学的な可動範囲の評価に限られてしま う。さらに,いずれの評価も習得には時間を要する。  本研究では,従来の上肢機能評価における課題を解決 する方法として,Kinect を用いた定量的な動作計測を. *. Validity of the Reachable Workspace Assessment for Patients with Hemiparetic Stroke with a Simple Motion Analysis using a Kinect Sensor 1)慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室 (〒 160‒8582 東京都新宿区信濃町 35) Kohei Okuyama, PT, MSc, Michiyuki Kawakami, MD, PhD, Miho Ogura, OT, BSc, Katsuhiro Mizuno, MD, PhD, Meigen Liu, MD, PhD: Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine 2)慶應義塾大学理工学部生命情報学科 Shohei Tsuchimoto, MSc, Junichi Ushiba, PhD: Department of Biosciences and Informatics, Faculty of Science and Technology, Keio University 3)慶應義塾大学基礎科学・基盤工学インスティチュート Junichi Ushiba, PhD: Keio Institute of Pure and Applied Sciences # E-mail: [email protected] (受付日 2017 年 9 月 13 日/受理日 2018 年 4 月 18 日) [J-STAGE での早期公開日 2018 年 6 月 14 日]. 提案する。Kinect は物理的なコントローラーを必要と しない新たなゲームシステムとして,マイクロソフトに よって開発されたデバイスである。Kinect には RGB カ メラおよび深度センサーが搭載されており,ソフトウェ ア上で身体の関節部位を推定し,各体部位の三次元座標 を取得することができる。一部の臨床現場で応用されて いる三次元動作解析装置(VICON,OptiTrack 等)と 比較して安価に購入可能であり,マーカーレスでキネマ ティクス情報が取得可能であるため,簡便に利用するこ とができる。1 台の Kinect では前額面上からの測定と なるために背面の身体部位を推定することは困難になる.

(2) 脳卒中片麻痺患者における RWS 評価の併存的妥当性について. 257. 図 1 運動課題となる 8 パターンの上肢動作 RWS 評価のために,対象者が行う 8 パターンの上肢動作を示す.. という欠点はあるものの,その簡便さから,近年では. 座位保持が可能である者とした。除外基準は重度の高次. Kinect を用いた簡易動作計測により運動機能を定量的. 脳機能障害により課題動作の理解が困難である者,両側. に評価する方法が多く提案されている。これまでに,脳. 上肢に整形学的疾患あるいは神経学的疾患の既往がある. 卒中. 9)10). ,パーキンソン病. 筋萎縮性側索硬化症 乳がん切除術後. 19). 12‒15). 11). ,筋ジストロフィー. 16). ,肩関節の整形外科的疾患. ,. 17)18). ,. 者とした。なお,本研究は慶應義塾大学医学部倫理委員 会の承認(承認番号 2016-0405)を得て実施した。. 等の患者を対象として,上肢運動や. 姿勢,歩行の動作解析に応用されている。さらに,測定. 2.方法. 精度に関しては三次元動作解析装置との同時計測による. 1)計測課題. 報告がなされており,測定条件や運動課題によってバラ.  RWSの測定にはKinect for Windows V2 sensor(Microsoft. つきはあるため,評価者側の配慮が必要となるが,多く. 社,レドモンド)と専用ソフトウェア ICpro-K2(ヒュー. の研究で高い精度が認められている. 20‒23). 。. テック株式会社,東京)を用いた。測定肢位は椅子座位.  Kurillo らは,健常者を対象とした研究において,Kinect. とし,対象者の前方約 2.5 m,床面からの高さ 90 cm の. を用いてリーチ可能なワークスペース(Reachable Work-. 位置に Kinect を設置した。Kinect のフレームレートを. space:以下,RWS)を定量化する手法を開発し 経難病患者の運動機能評価として応用した. 20). ,神. 12‒16). 。日常. 30 fps として,データ測定を実施した。Kurillo らの先 行研究. 20). に基づき,図 1 の 8 パターンの上肢動作を行. 生活動作の多くは,身体外空間にある物体を媒介して行. うように教示した。1 動作につき 2 回ずつ,両上肢で測. われるため,複合的な運動としてリーチ可能な上肢のエ. 定を実施した。なお,測定は非麻痺側から実施し,動作. ンドポイントを空間的に定量評価することは,脳卒中片. は図 1 の上段左から右,下段左から右,の順で実施した。. 麻痺患者の上肢運動機能障害の診断および治療のために. 対象者の疲労による影響を考慮し,適宜休憩を挟んで測. 重要な指標となる。. 定した。対象者には体幹の代償運動を行わないように教.  本研究では,Kurillo らが報告した RWS の評価を脳. 示し,代償運動が確認された場合には再度測定を行っ. 卒中片麻痺患者へ応用し,従来の臨床評価尺度との関係. た。先行研究に基づき,動作は肘関節伸展位で遂行する. から,上肢運動機能評価手法としての併存的妥当性を検. ように教示したが,麻痺側上肢ではしばしば共同運動パ. 証することを目的とした。. ターンによる肘関節屈曲運動が生じる。そのため,可能. 対象と方法. な限り伸展位を保つことが望ましいが,肩関節の運動を 優先するように併せて教示した。. 1.対象. 2)データ解析.  対象は,十分な説明の上で研究への参加に同意が得ら.  取得した各体部位における位置座標の時系列データを. れた慢性期脳卒中片麻痺患者 20 名とした。取り込み基. 前処理するために,ソフトウェア内で,特定の時点にお. 準は初発脳卒中により一側上肢に運動麻痺を呈する者,. いて認識不能であった座標情報を三次元スプライン補間.

(3) 258. 理学療法学 第 45 巻第 4 号. 図 2 Reachable Workspace(RWS)の算出方法 RWS の算出方法を示す.図 2-A および図 2-D の黒点および黒線で示されたスティックピクチャは,Kinect によって得られる一時 点での推定された関節部位の一部を描画したものである.図 2-A では,8 パターンの上肢動作から得られる“手関節部”の軌跡を 重ね書きしている.灰色で塗りつぶされた領域は,近似された球を表す.図 2-B は,“手関節部”の軌跡を直交座標系から球面座 標系に変換したものである.黒太線がアルファシェイプ法により決定された凹多角形の境界面を表す.図 2-C は,黒太線内部の塗 りつぶされた部分が RWS を表す.図 2-D は,算出された RWS を直交座標系に逆写像し,スティックピクチャの上に描画したも のである.“肩関節部”の座標を原点として,前額面上で RWS を 4 象限に塗り分けられている.. 表 1 全対象者の属性(n=20). 法により補間し,5 Hz のローパスフィルター処理を実 施した後,課題を遂行している時間帯を解析区間として. 年齢(歳)※. 抽出した。RWS の算出には運動側上肢の手関節中心と. 性別(人). 男性:13 女性:7. 病型(人). 脳出血:12 脳梗塞:8. 推定された部位(“手関節部”とする)の軌跡を用いて, 先行研究. 20). を参考に実施した。解析には数値計算ソフ. トである Matlab(MathWorks 社,ネイティック)を用 いた。はじめに,上肢動作 8 パターンにおける“手関節 部”のすべての動作軌跡に対して,最小二乗法を用いた 球近似により半径を一意に定めた(図 2-A)。次に,“手 関節部”の軌跡を直交座標系から球面座標系に変換し, 方位角および仰角の 2 次元平面に写像した。3 次元空間 座標を 2 次元平面座標に写像することで,画像解析で用. 麻痺側(人) 発症からの期間(年)※ FMA-UE ※. 55.3 ± 13.1. 右:5 左:15 2.7 ± 1.8 28.1 ± 13.5. SIAS ─上肢近位項目(人). 2 点:5 3 点:13 4 点:2. ─上肢遠位項目(人). 1 点:18 2 点:1 3 点:1. ※ 平均値±標準偏差 FMA-UE:Fugl-Meyer Assessment 上肢項目 SIAS:Stroke Impairment Assessment Set. いられる信号処理方法を適用可能にした。写像後の軌跡 に対して,アルファシェイプ法を用いた凹多角形近似を 実施した後,Catmull-Rom 補間によって凹境界面の平. 項目(FMA-D)から構成され,最高得点は 66 点となる。. 滑化を行い(図 2-B),方位角から肩関節中心と推定さ. FMA-UE の 評 価 は, 臨 床 経 験 5 年 以 上 の 医 師 3 名 が. れた部位(“肩関節部”とする)を中心とした前方半球. 行った。. を決定し(図 2-C),この領域を直交座標系に逆写像す. 4)統計学的解析. ることで RWS を求めた。“肩関節部”を原点として,.  Spearman の順位相関係数を用い,RWS 比と FMA-. 前額面上で床に対して垂直な線および床と平行な線か. UE との相関関係を検討した。有意水準は 5% とした。. ら,RWS を 4 つの象限(内側下方,外側下方,内側上方, 外側上方)に分類した(図 2-D)。麻痺側および非麻痺. 結   果. 側の RWS をそれぞれ算出し,被験者間で上肢長による. 1.対象者の属性(表 1). RWS の違いを標準化するため,麻痺側上肢の RWS を.  表 1 に対象者の属性を示す。なお,年齢の範囲は 32. 非麻痺側上肢の RWS で規格化した値を代表値(RWS. ∼ 79 歳,罹患期間の範囲は 0.6 ∼ 8.0 年,FMA-UE の. 比)とした。. 得 点 範 囲 は 11 ∼ 62 点 で あ っ た。Stroke Impairment. 3)臨床学的評価. Assessment Set 上肢遠位項目の 1 点の内訳は,1a が 13.  上肢運動機能評価として,FMA の上肢項目(以下,. 名,1b が 3 名,1c が 2 名であった。. 3) FMA-UE) を用いた。FMA-UE は肩・肘・前腕の機. 能を評価する A 項目(FMA-A) ,手関節の機能を評価. 2.RWS 比と FMA-UE との相関(表 2,表 3,図 3 ∼図 5). する B 項目(FMA-B),手指の機能を評価する C 項目.  表 2 に全対象者の RWS 比の平均値を示す。RWS 比. (FMA-C) ,上肢の協調性およびスピードを評価する D. の総面積と FMA-UE の総得点との間に有意な正の相関.

(4) 脳卒中片麻痺患者における RWS 評価の併存的妥当性について. 259. 表 2 RWS 比の結果(n=20) 平均値±標準偏差. 最小値. 最大値. 総面積(%). 40.7 ± 26.4. 9.3. 96.5. 内側下方(%). 63.3 ± 25.7. 23.2. 106.3. 外側下方(%). 53.7 ± 29.0. 11.8. 101.6. 内側上方(%). 26.5 ± 31.1. 0.0. 86.5. 外側上方(%). 19.2 ± 24.7. 0.0. 90.3. RWS:Reachable Workspace. 表 3 RWS 比と FMA の相関係数 総面積. 内側下方. 外側下方. 内側上方. 外側上方. FMA-UE. 0.88*. 0.80*. 0.75*. 0.90*. 0.92*. FMA-A. 0.82*. 0.73*. 0.71*. 0.87*. 0.90*. FMA-B. 0.17. 0.07. 0.12. 0.20. 0.27. FMA-C. ‒ 0.11. ‒ 0.30. 0.06. ‒ 0.10. ‒ 0.07. FMA-D. 0.14. 0.18. 0.24. 0.22. 0.20. *:p<0.01 RWS:Reachable Workspace FMA-UE:Fugl-Meyer Assessment 上肢項目. 度は Dewald らの先行研究. 24). に基づき,FMA-UE の. 得点が 20 点未満を重度麻痺,20 ∼ 59 点を中等度麻痺, 60 点以上を軽度麻痺とした。軽度麻痺患者では 4 象限 すべての空間へリーチが可能であるが,中等度麻痺患者 では特に上方領域へのリーチが困難であり,重度麻痺患 者では上方領域に加えて下方領域においてもリーチが困 難になる傾向が認められた。また,上方領域へのリーチ が不能(RWS 比 = 0)であった対象者は,重度麻痺患 者では 8 名中 5 名,中等度麻痺患者では 11 名中 1 名, 軽度麻痺患者では 1 名中 0 名であった。 考   察 図 3 FMA-UE と RWS 比の関係 縦軸は RWS 比(麻痺側/非麻痺側),横軸は FMA の上肢項 目(FMA-UE)の得点を示す.図中に Spearman の順位相関 係数の結果として,相関係数および p 値を示す..  本研究では,Kinect を用いた簡易動作計測により慢 性期脳卒中片麻痺患者の RWS を定量的に評価し,麻痺 側上肢運動機能の臨床学的評価指標である FMA-UE と の相関関係から,併存的妥当性について検討した。RWS の評価によって,従来は特定平面上でしか評価されてい. が認められた(r = 0.88, p < 0.01) (図 3)。FMA-UE の. なかった上肢の可動範囲を総合的に定量評価し,かつ視. 下位項目との相関では,肩・肘・前腕に関する評価であ. 覚的に理解しやすく提示することが可能となる。. る A 項目と有意な相関がみられた(r = 0.82, p < 0.01) 。.  RWS 比の総面積と FMA-UE の総得点との相関係数. その他の項目(FMA-B, FMA-C, FMA-D)との間に有. は 0.88 であり,強い正の相関が認められた。FMA-UE. 意な相関は認められなかった(表 3) 。また,各象限の. の下位項目との相関では,FMA-A のみ強い正の相関が. RWS 比と FMA-UE の総得点との間にも有意な正の相. 認められ,その他の項目では有意な相関が認められな. 関が認められた(内側下方:r = 0.80, p < 0.01;外側下. かった。このことから,RWS 比が麻痺側上肢近位運動. 方:r = 0.75, p < 0.01;内側上方:r = 0.90, p < 0.01;. 機 能 の 評 価 指 標 と し て 妥 当 で あ る こ と が 示 さ れ た。. 外側上方:r = 0.92, p < 0.01) (図 4) 。図 5 に上肢運動. FMA-UE は,高い再現性. 麻痺の重症度ごとに典型例の RWS の結果を示す。重症. おり,脳卒中患者の上肢運動機能の評価尺度として推奨. 8). や反応性 25) が報告されて.

(5) 260. 理学療法学 第 45 巻第 4 号. 図 4 領域毎の RWS 比と FMA-UE の関係 領域毎の RWS 比と FMA-UE の関係性を示す(図 4-A:内側上方,図 4-B:外側上方,図 4-C:内側下方, 図 4-D:外側下方).縦軸は領域毎の RWS 比(麻痺側/非麻痺側),横軸は FMA の上肢項目(FMA-UE) の得点を示す.図中に Spearman の順位相関係数の結果として,相関係数および p 値を示す.. 図 5 重症度ごとの RWS 上肢運動機能の重症度ごとに,典型例の RWS を示す.黒点および黒線で示されたスティックピクチャは, Kinect によって得られる一時点での推定された関節部位の一部を描画したものである.スティックピクチャ 前方の塗り潰された領域が RWS を表し, “肩関節部”を原点として 4 つの象限毎に色が塗り分けられている.. されている 26)27)。一方で,その得点基準は,課題が十. ら,上方領域の RWS には床効果が確認されたが,下方. 分遂行可能,不十分,不能の三段階であり,運動回復の. 領域および総面積には床効果が生じていない。本研究で. 程度を構成要素ごとに定量化することはできないという. は,FMA-UE が 20 得点以下の重度運動麻痺の症例が多. 問題点も存在する. 26). 。本研究で用いた RWS 評価は,. FMA-UE と RWS 比の総面積および各領域との関係か. く,軽度運動麻痺の症例が不足していたため,天井効果 については言及できないが,少なくとも RWS 比の総面.

(6) 脳卒中片麻痺患者における RWS 評価の併存的妥当性について. 積に床効果は生じておらず,従来の評価尺度ではスコア リングが難しい重度麻痺患者の運動機能を定量的に評価. 261. 結   論. することが可能であると考える。従来の脳卒中片麻痺患.  脳卒中片麻痺患者における上肢運動機能評価として,. 者における上肢運動機能の臨床評価尺度として,ARAT. Kinect を用いた RWS 評価の併存的妥当性が示された。. や WMFT などがあるが,これらの評価課題はおもに物. 本研究で用いた RWS 評価により,脳卒中片麻痺患者の. 体へのリーチおよび物体の把持・リリースという一連の. 上肢運動機能を定量的に評価することができ,かつ視覚. 動作からなる。そのため重度の麻痺を有する患者では,. 的に理解しやすく提示することが可能となる。. それらの構成課題のいずれかが障害されても得点化は難 しく床効果が生じてしまう. 8). 。本研究の RWS 評価を用. 利益相反. いることで,上肢近位機能に特化した定量評価が可能と.  本研究に関連して,筆頭著者および共著者に開示すべ. なる。さらに,マーカーレスで計測可能かつ安価に入手. き利益相反はない。. 可能である Kinect を用いた本手法は,臨床現場での実 用可能性が高いものである。また,麻痺側の RWS を表 す図(図 5)は,麻痺側上肢の可動範囲を視覚的かつ平 易に理解することができ,患者へのフィードバックとし ても有効であると考える。RWS の評価は,適切なリハ ビリテーションプログラムの構築および患者の意識づけ の一助になると考える。  また,表 2 で示した象限ごとの RWS 比の結果から, 脳卒中患者における RWS は内側下方,外側下方,内側 上方,外側上方の順で小さくなることが示唆された。さ らに,図 4 で示した象限ごとの RWS 比と FMA-UE と の相関および図 5 で示した典型例の RWS から,上肢運 動機能の重症度に応じてリーチ可能となる空間が異なる ことが示唆された。これらの結果は,脳卒中片麻痺患者 の特異的な筋活動パターンから説明可能である。Dewald ら. 24). は,肩関節と肘関節の筋活動パターンについて,. 特に肩関節屈曲筋群・外転筋群と肘関節屈曲筋群,肩関 節内転筋群と肘関節伸展筋群が協調的に活動することを 報告している。このことから,外側下方 RWS が内側下 方 RWS と比較して小さくなっていたことは妥当な結果 であると考える。上方領域が下方領域と比較して小さく なることは,脳損傷に伴う随意筋出力の低下や主動作筋 −拮抗筋の共収縮によって抗重力運動が困難となること が原因と考えられる。  本研究の手法的限界は,RWS として算出した領域は 近似された球の表面積であり,内部の体積ではないこと が挙げられる。脳卒中片麻痺患者では,主動作筋−拮抗 筋の共同収縮や筋緊張亢進によって,身体へのリーチン グが阻害される場合があり,本研究で算出した RWS で は球内領域へのリーチが可能か否かは明らかでない。ま た,本研究で課題とした動作は先行研究を踏襲してお り,良好な併存的妥当性が示されたものの,脳卒中片麻 痺患者における RWS 評価の最適な課題動作については 引き続き検討していく必要がある。今後は本研究の結果 をもとに,信頼性および反応性の検証を含めた,より大 きなサンプルサイズでの研究が必要である。. 文  献 1)Hendricks HT, van Limbeek J, et al.: Motor recovery after stroke: a systematic review of the literature. Arch Phys Med Rehabil. 2002; 83: 1629‒1637. 2)Carod-Artal J, Egido JA, et al.: Quality of life among stroke survivors evaluated 1 year after stroke: experience of a stroke unit. Stroke. 2000; 31: 2995‒3000. 3)Fugl-Meyer AR, Jääsk L, et al.: The post-stroke hemiplegic patient. 1. a method for evaluation of physical performance. Scand J Rehabil Med. 1975; 7: 13‒31. 4)Lyle RC: A performance test for assessment of upper limb function in physical rehabilitation treatment and research. Int J Rehabil Res. 1981; 4: 483‒492. 5)Wolf SL, Catlin PA, et al.: Assessing Wolf motor function test as outcome measure for research in patients after stroke. Stroke. 2001; 32: 1635‒1639. 6)Morris DM, Uswatte G, et al.: The reliability of the wolf motor function test for assessing upper extremity function after stroke. Arch Phys Med Rehabil. 2001; 82: 750‒755. 7)Van der Lee JH, De Groot V, et al.: The intra- and interrater reliability of the action research arm test a practical test of upper extremity function in patients with stroke. Arch Phys Med Rehabil. 2001; 82: 14‒19. 8)Platz T, Pinkowski C, et al.: Reliability and validity of arm function assessment with standardized guidelines for the Fugl-Meyer Test, Action Research Arm Test and Box and Block Test: a multicentre study. Clin Rehabil. 2005; 19; 404‒411. 9)Mobini A, Behzadipour S, et al.: Test-retest reliability of Kinect’s measurements for the evaluation of upper body recovery of stroke patients. Biomed Eng Online. 2015 Aug 4; 14: 75. doi: 10.1186/s12938-015-0070-0. PubMed PMID: 26238199; PubMed Central PMCID: PMC4523016 10)Kim WS, Cho S, et al.: Upper Extremity Functional Evaluation by Fugl-Meyer Assessment Scoring Using Depth-Sensing Camera in Hemiplegic Stroke Patients. PLoS One. 2016 Jul 1; 11(7). doi: 10.1371/journal. pone.0158640. PubMed PMID: 27367518; PubMed Central PMCID: PMC4930182 11)Elthoukhy M, Kuenze C, et al.: Microsoft Kinect can distinguish differences in over-ground gait between older persons with and without Parkinson’s disease. Med Eng Phys. 2017; 44: 1‒7. 12)Han JJ, Kurillo G, et al.: Reachable workspace in facioscapulohumeral muscular dystrophy (FSHD) by Kinect. Muscle Nerve. 2015; 51: 168‒175. 13)Han JJ, Kurillo G, et al.: Upper extremity 3-dimensional.

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炉心損傷 事故シーケンスPCV破損時期RPV圧力炉心損傷時期電源確保プラント損傷状態 後期 TW 炉心損傷前 早期 後期 長期TB 高圧電源確保 TQUX 早期 TBU

表4.1.1.f-1代表炉心損傷シーケンスの事故進展解析結果 PDS 炉心溶融 RPV下部プレナム リロケーションRPV破損 PCV破損 TQUV (TBP) TQUX (TBU、TBD) TQUX (RPV破損なし)

地震 L1 について、状態 A+α と状態 E の評価結果を比較すると、全 CDF は状態 A+α の 1.2×10 -5 /炉年から状態 E では 8.2×10 -6 /炉年まで低下し

妥当性・信頼性のある実強度を設定するにあたって,①

増田・前掲注 1)9 頁以下、28