• 検索結果がありません。

Microsoft Word 特集ふろがま

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Microsoft Word 特集ふろがま"

Copied!
15
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1 はじめに

戦後の住生活の充実において、給湯機器が果たした役割は極めて大きい。いつでもどこでも必要とするお湯が蛇口から得 られる生活は、戦前では全く考えられなかったことである。 台所、洗面所、浴室、洗濯へとセントラル給湯は広まり、当たり前のように気兼ねなく誰でもお湯が使える生活をもたら した。 便利で豊かな給湯生活への道として戦後の変遷を辿ってみると、上下水道の普及、ガスや灯油そして電力供給の充実等の インフラ整備が進んだことと密接に関係を持ち、そのどれを欠いても現在の豊かなお湯利用の生活はありえないことがわか る。また、同時に給排気設備や高機能を有した機器開発が大きく寄与したことは言うまでもない。そして、各種インフラ整 備、機器の進化という変遷を経てなお、新たにNOx(窒素酸化物)やCO2 等の排出による地球環境問題(二酸化酸素)への 対応という課題に応える形で給湯機器は更に変容しつつある。 戦後の家庭用エネルギー源はそれまでの薪・木炭からガス・灯油・電気へと変革し、より扱い易くなった。

2 お湯利用のはじまり

日本では、長火鉢の上の鉄瓶の湯であるとか、竈(かまど)の湯が馴染みのあるお湯利用(飲用・調理)であり、一方で 明治時代から大正にかけては、銭湯で湯船につかったり、五右衛門風呂に入ったりする風呂のお湯利用が比較的広く行われ た。昭和27年4月、6年半におよんだサンフランシスコ講和条約による占領行政が終わり、日本経済は投資景気から投資・ 消費景気へと変容しつつあった。各種生活必需品の統制が順次撤廃され、それまで抑えられていた国民の消費への欲求は一 挙に爆発した。 昭和30年代に入ると長い間庶民に親しまれてきた公衆浴場では、燃料費高騰の影響を受けて入浴料の値上げが続き、その 結果浴場の利用回数が減少、採算のとれなくなった業者は転廃業を余儀なくされた。公衆浴場の減少、入浴料の値上げは、 風呂好きの日本人にとって大きな打撃となり、それに変わる自家風呂が普及の兆しをみせた。このような状況に注目した都 市ガス、プロパンガス、石炭、石油等の燃料メーカーはいっせいに家庭用風呂釜の商品化に乗り出した。 昭和30年代後半以降、戦後の住宅政策もあって、不足する住宅を充実させるための努力がなされた。さまざまな業界から 住宅産業への参入が行われ、資材、設備機器をはじめインテリア、エクステリアにいたるまで、各々事業ははなばなしく展 開された。住宅設備機器のなかでも風呂関連部門では、自家風呂が普及するに伴い浴槽をめぐる商戦はいよいよ活発化した。 風呂釜も例外ではなく耐久性に優れた風呂釜が開発され、風呂釜市場は確固たるものになった。 しかし、台所の食器洗いにお湯を使うことや風呂でシャワーを気兼ねなく使うことは、一般家庭では殆ど行われていなか った。 昭和30年代後半から昭和40年代には台所の食器洗いや風呂でシャワーを使いたいとの声にこたえるべく、給湯機が開発さ れ、『お湯のある豊かな暮らし』を目指し商品改良が進んだ。 戦後の住宅政策もあって、不足する住宅を充実させるための努力がなされた。DKいわゆる台所に目を向けた新しい暮らし の考え方が住宅設計等に導入され、流し台やキッチンユニットの量産が試みられた。都市の集合住宅を中心に、家庭に水道 やガス設備が供給整備され台所部品も整い始めた。そして、飲用ばかりでなく食器や野菜洗いもできる機器として、小型瞬 間式給湯器(4号程度の給湯能力)が台所の流し台の上に設置されるようになった。冬季において、十分に暖かいお湯が、 すぐに使えるようになり、便利で快適なことから集合、戸建住宅で広く使われるようになっていった。

ガス給湯機編

1.ガス給湯器の歩み 1910(明治43)年にはハンフリーの湯沸し器が輸入され、洋風バスでシャワーを使う事例(写真1-1)が紹介された。大

(2)

正時代にはドイツ、ユンケル社やバイラント社の自動点火式の湯沸し器が、トップクラスの実業家邸宅の洗面所に設けるこ とが目玉とされたようである。 明治時代 洗面湯沸し 洋風呂とガス湯沸し器 写真1-1 GUS MUSEUM 資料より 1921(大正10)年頃から国産貯湯湯沸し器や即時式小型給湯器が製作され、理髪用や飲料用として利用された。昭和にな り、国産機器も多く製作されたが、戦前は高級邸宅や業務用として利用されることが主であった。 戦後、米国で普及していたセントラル式(貯湯)給湯機器が米軍駐留用として作られた。その豊かな熱いお湯を住宅内の 複数箇所で、すぐに使う事ができる貯湯式給湯システムとして普及させようと一部住宅設計者などが企画をしたが、給湯を 循環方式でなく片道供給方式でまかなおうとした日本では、湯待ち時間が長いことや、イニシャルコスト・ランニングコス トがかかることなどから当時は十分な普及には至らなかった。昭和30年代後半において、小型瞬間式給湯器が台所の流し台 の上に設置されるようになった。 風呂は風呂釜でまかなう考えで、洗面や食器洗いは台所の小型瞬間式給湯器で、効率良く、しかもすばやくお湯が使える というコンパクトな生活指向が当時としては合致して、小型瞬間式給湯器(図1-1)(写真1-2) は普及していった。 図1-1 キッチンユニットの小型給湯器設置 写真1-2 ワンプッシュ小型給湯器 1984(昭和59)年 2.給排気の問題から屋外設置へ 住宅の気密化対策として換気の必要性は、特に、集合住宅居住において明確となった。給排気問題は、狭い浴室において 特に顕著となり、不完全燃焼による重大な事故が発生したことから、その対策が急がれた。給排気を充分に意識し、確保す ることの必要性、重要性は、従来の日本における暮らし方では考えられない事であった。しかし、室内空気が、お湯を沸か すなど燃焼に多く消費される事は、同じ空気を使用する人々の生命に重要な支障をきたすという現実が次第に理解されるよ うになった。特に住宅を閉め切ることが多い冬季は、お湯を使いたい機会が多く、しかも水温が低いために夏に比べ2倍の エネルギーを要し、使う時間も長くなることが問題であった。 台所に小型瞬間式給湯器を設けて使用することにおいても、こうした注意や対応が必要となった。 お湯に対する需要が増えて、複数箇所で使用したい要求も強くなり、室内空気を使うことには限度があることも分かって 様々な対策が考えられた。 当初、風呂釜と同様に室内空気を使い排気は屋外に導くCF方式や、屋外から空気を導入し屋外に 排出するBF方式、FF方式が開発された。BF方式やFF方式は室内空気を全く用いないことで安全性の 高い機器であった。そこでこうした方式で複数箇所に給湯が行える大型給湯機器が作られるように なった(写真2-1)。 給排気方式の開発改良については、屋外に装備された給排気トップの風雨対策の問題ばかりでな く、住宅に設置された場合の給排気管の設置、壁貫通、屋外の風とのバランス、排気放出場所の離

(3)

隔条件など、新たな多くの課題や制約を生じさせ、その対応を迫られた。 3.給湯における快適性への取り組み 暮らしにお湯が使われ始めると、湯沸し器から得られるお湯に対する要望も次第に高まった。特に大型給湯機器となり、 複数箇所にお湯を供給するようになると、給湯栓からお湯が出てくるまでに時間(湯待ち時間)が気になったり、希望した 湯が安定して得られること(複数箇所で家族が同時に使うとお湯の温度が変化したり、不足したりすることが多かった)や、 充分にシャワーが使えることに対する欲求が高くなった。オイルショックを経て、生活の質の向上が求められ始めていた。 家族4人が豊かに暮らせる欧米モデルが、日本でも経済成長にのって実現できると考えられた時代であった。住宅部品も競 うように新たな機能が加わり、生活者に新しい暮らしが提案された。大型給湯機器で得られる豊かなお湯のある暮らしもシ ャワーや入浴の新しい暮らし方として提案された。 当時、混合水栓やシャワーの研究(図3-1)も盛んになった。特にシャワーに利用する42℃前後の湯温、湯温の安定、14 L/分前後使用する適正湯量について被験者実験等も行われ、適正な範囲についての提案がなされるようになった。混合水 栓による湯温の安定についても研究開発が進み、日本独自のスタイルであるハンドと壁掛けの両方で使用できるシャワーが 定着していった。こうした背景もあって、給湯機器に電子制御が取り入れられるようになった。特に燃料であるガスと水の 両方に用いられた比例制御方式は画期的な湯温の安定をもたらした。しかも四季にわたり、生活者の様々な利用状況、要求 において安定して使えるものであった。つまり、大きな能力から3号程度の最小能力(現在では1.5号程度まで使える)ま で、安定してお湯が使えるものであった。

図3-1 シャワーの快適な温量範囲 更に、給湯機器を屋外に設置して利用する新しい給排気方式(写真3-1)もとられるようになった。 燃焼バーナーへの着火は、従来の口火点火方式からダイレクト着火方式(バーナーに直接点火する方 式)にかわり、センサーで燃焼状況(安全)を確認する方式となった。それまで、給湯機器は、手元 で口火に点火し、給湯栓を開くとバーナーに着火してお湯が出てくるように、直接目でガスの燃える のが確認できるものであった。しかし、このダイレクト着火により、全く意識せずにお湯を使える生 活ができるようになり、給湯機器の存在が生活者の意識から遠くなる結果を生み出した。 4.集合住宅の普及とコンパクト化へのあくなき挑戦 昭和40年代の大量集合住宅供給の時代から次第に質向上を求める時代に変わり、マンションは都市型住宅としての近代的 風景にとって欠かせない存在となった。集合住宅においては、住戸面積の確保、収納面積の確保が課題であり、なおかつ充 実しつつあった住宅設備機器の設置や保守、更新も大きな検討要素であった。 当初のマンションは、やがて戸建住宅に住み替えることを前提に若い家族の子育て住宅のように考えられもしたが、市民 権を得るにしたがいマンションに定住する生活者も増えた。マンションでなければ得られない共用サービスや設備の充実、 近隣の利便性も考えられた。いずれにしても快適で便利な生活になるにしたがって多く の住宅設備機器の設置や保守のスペース確保は、住宅設備機器の導入企画において大き な意味を持つことになった。 給湯機器の場合には大型給湯能力を確保しつつ、可能な限り小型化し、保守もでき交 換もできるスペースとして、パイプシャフトに目がつけられた。給湯機器の熱交換器等

(4)

燃焼構造を一段とコンパクトに設計し、ガス・水制御機構を一体化、電子制御部分を更に小型化すること、給排気方式に小 型ファンを導入すること等様々なコンパクト設計が行われ、パイプシャフト設置(PS設置型)の新しい機器が作られるよう に(図4-1) なった。パイプシャフト内の水道メーターやガスメータとの位置関係や配管の居室部分への壁貫通処理など防 火対策も行われた。また施工・保守のしやすい配管位置関係の研究開発も行われた。 給湯機器の小型化は、その後更に改良され、現在では給湯能力の更に大きな機器で、しかも風呂追いだき用熱交換器が入 り、熱交換器に高効率が得られる二次熱交換器をつけた構造で、従来とほとんど同じ外形寸法を維持できるようになってい る。 図4-1 PS型給湯暖房器の内部構造 5.省エネルギー化への取り組み、実現へ お湯を直接洗面や、食器洗い、野菜洗いに用いることや、快適なシャワー、上がり湯として利用できるセントラル給湯は、 現在では一般家庭で広く使われている。また、熱交換器で沸かした55℃から80℃程度のお湯を循環させて、暖房用(床暖房 や暖房用放熱器を用いて)として利用することもかなり普及してきている。浴槽内の湯を循環して加熱し、お風呂を沸かす 方法も定着した。お湯の多目的利用が行われ、ミストサウナのように更に用途拡大が図られつつあるが、給湯機器としての 熱源においては、地球環境問題から新しい開発と商品化が進みつつある。 快適な給湯利用が普及したために、給湯は家庭用エネルギー消費量の3割弱を占め、その省エネルギー化が地球温暖化対 策においても重要と認識されている。現在では、ランニングコストにおける課題もあるが、むしろ環境問題解決のひとつの 方法として高効率給湯システムの開発や普及が必須となってきた観がある。快適なお湯利用方法は快適性や健康な生活の維 持を求める現代においては、拡大する方向と考えられるが、そのお湯を作り出す部分において、より厳しい省エネ対策が課 せられるようになっている。 これらの手段としては、①潜熱回収型給湯機器、給湯暖房機器(図5-1)(写真5-1)②ガスエンジンコージェネレーショ ンシステム(ガスエンジンによる発電と廃熱によるお湯利用)③燃料電池システム(都市ガス、LPG利用による発電と廃熱 によるお湯利用)等がある。また、太陽熱利用方法との一体システム研究も再度検討されようとしている。 当たり前のように意識しないで快適に利用できるようになった給湯利用であるが、厳しい環境問題から再びその熱源機を 意識して取り組まざるを得なくなり、家庭用エネルギー利用をより総括的に判断していく方向に新しい展望が開けつつある ように思われる。

ガス機器編(ふろがま)

1.ガスふろがまの歩み 江戸時代の銭湯文化から発展したお風呂は、明治・大正時代に裕福な家庭での内風呂として家庭内に持ち込まれた。この 頃の内風呂は、いわゆる五右衛門風呂が主流であったが、昭和6年に初めてのガス風呂釜「早沸釜」が発表され、都市部で 急速に普及していった。 戦時下および戦後の混乱期には、住宅や燃料の不足が続き銭湯が盛んに広がったが、昭和30年に日本住宅公団が各住戸に 浴室とDKを設けた集合住宅を建設し始めたことにより、再び内風呂が脚光を浴びだした。当時の浴室は内釜式木製浴槽(写 真1-1)で、煙突(図1-1) によって排気ガスを浴室外(屋外)へ排出するCF方式であった。

(5)

2.公団住宅の大量供給とともにCF式ガスふろがまが普及 公団住宅の大量供給にあわせて、浴槽が木製浴槽からホーロー浴槽(鋳鉄製・鋼板製)に変化するとともに、ふろがまも 内釜式の風呂バーナーから、浴槽と連絡水管で接続するふろがまとなり、関東ではそのまま浴室内にも設置されたCF式ふろ がま(図2-1)、関西ではそれに加え浴室横に設けられたサービスバルコニー外壁設置のセミ外焚釜(図2-2)として、それ ぞれ集合住宅で大量に採用された。一般住宅でも同様のCF式外焚き釜が使用された。どれも給排気方式はバフラーから自然 排気するCF方式のため、現在の器具に比べると設置場所の環境によっては不安定な場合もあり事故の原因となることもあっ た。 図2-1 CF式ふろがま 図2-2 セミ外焚釜 3.給排気方式の革命「BF型ふろがま」の普及 古い日本式木造住宅に比べ気密度の上がった集合住宅では、給気を浴室からとるCF式排気方式の不完全な換気による事故 が続出し社会問題となっていった。この問題を解決するため、昭和30年代後半、屋外から給気・排気するBF式給排気型のふ ろがま(図3-1)(図3-2) が開発された。「BF」とは、Balanced Flue の略で、給気側と排気側にかかる風圧が機器内部 でバランスして、安定した燃焼が保てる方式であり、当時としては画期的商品であった。当初は、浴室に給排気トップ用の 壁穴があることに違和感があったが、1965(昭和40)年に日本住宅公団(現 UR都市機構)に採用され、次第に認知され、 大量に採用された。また、集合住宅の形態に合わせた種々の給排気方式も確立され、今なお、公営住宅を中心に多数の住宅 ストックが存在している。 図3-1 図3-2 BF型ふろがま設置図 BF型ふろがま 集合住宅にBF釜が普及するとともに、戸建住宅には風雨対策が施された屋外設置専用のふろがまが登場し、CF式の不安定 な給排気は解消されていった。 その後、給湯器の普及と給湯能力の大型化によりシャワー文化が発達し、ふろがまにも給湯機能が求められ、BF釜にシャ

(6)

ワー機能がついたシャワー付きBF釜や、屋外設置ふろがまに給湯機能のついた給湯機能付きふろがまなどが開発され普及し ていった。 4.浴槽の大型化と専用ふろがま 1975(昭和50)年代後半になると、公団住宅を中心とした集合住宅で浴室改修のニーズが高まり、新築住宅での浴室の大 型化を受けて、風呂の快適性向上のため浴槽の大型化が望まれるようになってきた。そこで浴室内に設置されているCF釜や BF釜をリフォーム時に撤去して大型浴槽(+給湯器)を据えることもあったが、給湯器を取り付ける場所がない場合、ある いは場所はあっても追いだきニーズが高いこともあって、ふろがまのままで浴槽を大型化できる機器の開発が望まれた。 そこで登場したのが、浴室内CF釜の給排気を強制給排気に改良した薄型FF釜(図4-1)であり、BF釜を改良した壁貫通型 ふろがま(図4-2)であった。特に壁貫通型ふろがまはBF型ふろがまの給排気トップが設置されていた壁内に設置したもの で、浴室の見える範囲にはふろがまがなくなり、浴槽の大型化による快適性の向上をはかるには最適な機種であった。もち ろんそれぞれのふろがまにはシャワー機能も付属していた。 図4-1 薄型FF釜 図4-2 壁貫通型ふろがま 5.追いだき機能の見直しと設置フリーの風呂給湯器の登場 浴槽の大型化に伴って給湯能力の大型化も進み給湯器が普及してくると、逆にさめた浴槽の 湯の「追いだき」ニーズが高まってきた。そこで追いだきが可能で、なおかつ給湯能力の大き い給湯器の良さを活かした機器の開発が望まれ、下記のように様々な追いだき方式が登場した。 ○自然循環型(図5-1) 戸建住宅で一般的に使われてきた浴槽とふろがまを連絡水管でつなぎ追いだきするふろが まで、この頃から給湯能力の大きなタイプが登場してきたが、浴室の外壁にしか設置できなか った。 ○間接加熱型(バスヒーター式)(図5-2) 浴槽の裏に弁当箱のようなヒーターを設置し、給湯器で加温した温水で間接的に浴槽内の湯 を加熱するタイプ。給湯暖房機の暖房温水で追いだきできるため、また浴槽内の湯を給湯器ま で循環させない間接加熱方式のため清潔感があり、公団住宅で多く採用された。 ○高温水供給型(図5-3) 給湯器で沸かした高温水を一本の往き管で風呂に差し湯する方式。配管工事費が安い特徴が あるが、差し湯方式のため追いだき時に浴槽のお湯が少し増える課題があったが関西地区を中 心に普及した。 ○ポンプ循環型(図5-4) 浴槽と給湯器を往復の配管でつなぎ、浴槽内の湯を直接給湯器まで循環させて追いだきする ふろ給湯器で、制限はあるものの浴槽から離れた所に給湯器を設置できる設置フリータイプで

(7)

あった。 これら様々な追いだき方式から、設置に制約が少なく、その後にニーズが高まってきた追いだき自動化に対応しやすかっ たポンプ循環型ふろ給湯器が、最終的に残り、集合住宅のセンターコア浴室を中心に普及していった。現在もこのタイプの 追いだき方式が主流となっている。 6.自動化の進展(全自動化) お風呂を沸かす方法は、これまで浴槽に水を張って沸かしあげるか、給湯器からのお湯を浴槽に張るといった方法があっ た。また追いだきを一定時間後タイマーで止める機能を持った機器は一部にあったが、一般的には浴室に行ってガスを止め るか、またはお湯を止めるという行為が必要で、何度も浴室に足を運ばなくてはならず、追いだきの自動化が望まれていた。 そこで1984(昭和59)年頃から、リモコンのスイッチを押せば自動的に浴槽に湯はり、沸き上げができる浴室隣接タイプ のふろ給湯機が登場した。数年後には設置フリータイプのふろ給湯機も同様の機能を持つようになったが、水位調節は循環 口の圧力センサーの設定を変える方法であったためエンドユーザーには調節し難いものであったうえ、機器内のシスターン に一旦お湯を溜めてからポンプで浴槽へ搬送したため、湯はり時間がかなりかかった。その後技術開発が進んでリモコンで 水位調節ができるようになり、加えて湯はりが水道直圧でできるようになったため、10分前後でお風呂の準備ができるよう になった。これによりスイッチひとつで適温・適量のお湯が準備されるようになり非常に利便性が向上した。 現在はふろの温度を一定に保つ保温機能もあり、設定された水位まで湯はりしてお湯が減ると自動で足し湯するフルオー トタイプ(図6-1)と、設定された湯量を供給するオートタイプ(図6-2)の2種類がある。 図6-1 フルオートタイプ 図6-2 オートタイプ 7.ふろ給湯器の進化とリモコンの多機能化 進化し続けてきたふろ給湯器は、現在では浴室暖房・脱衣室暖房や乾燥機能に加え、ミストサウナなど様々な温水端末と の組み合わせにより、セントラル給湯暖房機としてさらに普及していく一方、風呂専用機能としても気泡風呂機能や体脂肪 測定機能(写真7-1)をもった機種も登場している。 また浴室リモコンも多機能化してきており、テレビはもちろん、最近の省エネニーズに基づいてエネルギー使用量を表示 するものも開発されており、今後もより一層浴室の快適性向上がはかられていくものと思われる。 ○体脂肪測定機能付リモコン(写真7-1) 入浴したときの水位上昇を計測し、そこから体脂肪を求めリモコンに体脂肪を表示する。 ○エネルック機能(写真7-2) ふろ給湯器のガス、お湯の使用量、またご家庭の電力量を積算し、リモコンに表示させることができる機能。また単価料 金、目標金額を設定すれば、それぞれのエネルギーの使用料金や目標金額との比較表示することもできます。

(8)

石油機器編

1.石油機器の歩み 昭和30年代に公衆浴場の減少、入浴料の値上がりをうけ、家庭用風呂釜の商品化に乗り出した。とりわけ燃料費が安くつ き、便利さもガスに近いことから石油風呂釜が脚光をあびることになった。 昭和30年代後半以降、住宅設備機器のなかでも風呂関連部門では、自家風呂が普及するに伴い浴槽をめぐる商戦はいよい よ活発化した。風呂釜も例外ではなく耐久性に優れた石油風呂釜が開発され、石油風呂釜市場は確固たるものになっていっ た。 昭和40年代には台所の食器洗いや風呂でシャワーを使いたいとの声にこたえるべく、貯湯式給湯機が開発された。しかし ながら、昭和40年代に発売された貯湯式給湯機は、温水ボイラーをより一般向きにした商品であったが、初期に市場に出た ものは機能的にも十分ではなく、また騒音も大きかった。その後、能力アップや低騒音化等、『お湯のある豊かな暮らし』 を目指し性能改良が進んだ。また燃料の中で最も安い灯油を使用するなど、ランニングコストの面でメリットが大きいこと もあり、年々市場の人気は高まりを見せ、販売台数も昭和47年度の2万8千台から、昭和53年度は53万台と飛躍的な伸びを 見せた。 その後、熱交換器にグラスライニング加工を施したものや、流電防食法による腐食進行防止機能を付加して耐久性を飛躍 的に向上させたもの、色彩、デザイン面にも配慮した製品がつぎつぎと発売された。 昭和50年代には追いだき機能を備えた給湯機が商品化され、設置に必要なスペースを大幅に少なくすることができるよう になった。一方、燃焼音、低熱効率、煙、臭い等の弱点をバーナの改良により解消したことで、住宅密集地域における臭い、 燃焼音などの悪いイメージが一掃され、貯湯式給湯機の声価は一挙に倍加した。更に施工の簡易化をねらった強制排気タイ プや減圧弁・安全弁内蔵タイプなどの商品も発売され普及していった。 昭和60年代には軽量・薄型コンパクト設計の貯湯式給湯機および追いだき機能付給湯機が商品化された。また、この製品 は熱交換器にステンレス鋼板を採用することで、従来のほうろう用脱炭鋼板にグラスライニング加工をした熱交換器を持つ 給湯機に比べ大幅に軽量化された。 1986(昭和61)年にはスイッチを押すだけで設定量のお湯を浴槽へ落し込み、設定湯温までの追いだきを自動で行う全自 動タイプや泡発生装置付の給湯機等が商品化され、豊かなバスライフを実現するための新しい入浴システムの提案を行い、 多様化する給湯ニーズに応えるものとなった。 平成に入ると、コイル状の銅製パイプと銅製のフィンで形成した熱交換器を採用し、減圧弁が不要な瞬間式給湯機が商品 化されたことにより、快適なシャワーを実現し、更にコンパクト化も進んだ。またエレクトロニクスの先端技術を積極的に 盛り込み、安全性、快適性の向上を図る一方、バーナの燃焼研究も進み、要求カロリーに対応した油量で比例燃焼するガン バーナや灯油をガス化して比例燃焼するガス化バーナなどを搭載した瞬間式給湯機も商品化された。 写真1-1貯湯式給湯機 写真1-2追いだき機能付給湯機 写真1-3比例制御ガンバーナ給湯機 写真1-4比例燃焼ガス化バーナ搭載壁掛給湯機 2.給排気方式の進化 石油給湯機でも、昨今の住宅は気密性が非常に高く、特に寒冷地域や多雪地域では屋内設置が殆どであり、給排気が不十 分の場合不完全燃焼となる可能性が高く重大な問題になりかねない。

(9)

特に住宅を閉め切ることが多い冬季はお湯を使う機会が増え、しかも水温が低いために夏に比べ2倍のエネルギーを湯温 上昇に要し、使う時間も長くなることから給排気は重要である。 ガス機器と同様、屋内型ではCFからFE、FFへ、さらに屋外型RFへと進化している。 3.給湯における快適性への取り組み 特に大能力給湯機で複数箇所にお湯を供給するようになると、希望した温度の湯が安定して得られることや、十分な湯量 でシャワーが使えることへの欲求が高くなった。 瞬間式給湯機では、シャワーや給湯を断続的に使用した場合、その構造から不快な湯温変動すなわち冷水サンドイッチ現 象が発生する。この不快な湯温変動への改善要望も高くなった。 このような背景から電子制御が取り入れられ、電動ミキシング弁内蔵(Q機能)により冷水サンドイッチ現象の防止を実 現し、また出湯量を制御する電動弁と要求カロリーに対応した油量で比例燃焼するバーナを搭載し、湯温変動を抑え希望し た湯が安定して得られるように改良されてきている。 また、貯湯式給湯機においては、1998(平成10)年12月に労働安全衛生法施行令の一部が改正されたのに伴い、小型ボイ ラーの規制の見直しが実現し、給湯圧力をアップした貯湯式給湯機が一般家庭用として製造・販売できるようになった。1999 (平成11)年には従来の貯湯式給湯機に比べ2倍の高圧力で給湯できる高圧力型貯湯式給湯機(写真3-1)が発売され、貯 湯式給湯機の弱点であった2階でのシャワーも可能となり給湯利用範囲が広がった。 図3-1 Q 機能特性 写真3-1 高圧力型貯湯式給湯器 4.コンパクト化への挑戦 貯湯式給湯機はその後、数々の改良が加えられ広く普及していったが、快適で便利な生活になるにしたがい、住宅設備機 器の設置や保守の場所確保は、住宅設備機器の導入において大きな意味を持つようになった。 そのような背景の中、従来のほうろう用脱炭鋼板にグラスライニング加工をした熱交換器に変わり、ステンレス鋼板の熱 交換器が採用され、従来の貯湯式給湯機に比べ重量比で約5割、体積比で約4割軽減した軽量・薄形設計の貯湯式給湯機が 登場した。これにより設置や保守の場所確保および施工性の向上が飛躍的に改善された。 その後、コイル状銅製パイプと銅製フィンとで形成した熱交換器が採用され、また、バーナについてもガス化方式が開発 されたことで小型化が進み、大能力・多機能を確保しつつコンパクト化が実現した。この瞬間式給湯機(図4-1)ではそれ までの軽量・薄形設計の貯湯式給湯機に比べ、重量比・体積比とも更に約4割軽減しており、出窓下への設置や屋内外の壁 への設置も可能となり屋内ユーテリティーの更なる有効活用が可能となっている。 図4-1 比例燃焼ガス化バーナ搭載壁掛給湯機の内部構造 5.給湯機と風呂釜、暖房システムとの一体化 風呂釜を使わず給湯機だけの場合、入浴して冷めたときに温めるには、給湯機から高温の湯でさし湯をする方法があるが、 さし湯をすることで浴槽の湯量が増えてしまいお湯がもったいないと考える使用者が多かった。こうした背景から給湯機と

(10)

風呂釜はセットとして使用されることが定番となり、その後、開発された風呂用熱交換器と自吸式循環ポンプを搭載し、追 いだき機能を併せ持った給湯機が開発された。それまでの風呂釜による自然循環方式の追いだきと異なり、熱交換器に浴槽 内の湯を直接循環させて追いだきすることで、沸かし上げ時間の大幅な短縮と浴槽内の温度ムラ解消に大きく貢献した。ま た、追いだきに自吸式循環ポンプを採用することで、機器を必ずしも浴槽の近傍に設置する必要がなくなり設置バリエーシ ョンも広がった。 更にこの追いだき機能付給湯機の特徴を生かし、ボタンひとつで浴槽へのお湯張りから沸き上げまでの動作を自動で行う、 全自動追いだき機能付給湯機が開発された。うっかり沸かし過ぎて入浴できないことや、浴槽にお湯を入れすぎて溢れさせ てしまうようなことが無くなり、夕方の多忙な家事の時間に風呂を沸かすことを全く意識しないですむ生活ができるように なり、広く普及するようになった。 また、北海道や北東北のエリアでは灯油を燃料とした暖房システムが普及しており、給湯機と暖房ボイラの両方を設置す るのが主流であった。しかし、マンション等の集合物件では設置スペースに限りがあり、スペースを最大限有効活用する為 に、暖房・給湯・風呂追いだきの各機能を一台にまとめた製品の開発を望む声が多くなった。屋内設置機器ではマンション の建築コスト・設置スペース・運転音・排気筒延長等の問題があり、屋外(ベランダ)設置が可能な一缶三水路式油だき温 水ボイラ(図5-1)が製品化され、マンション等の集合物件へ急速に普及していった。 給水 給湯 直圧 給湯 風呂 ふろ往き ふろ戻り 暖房 暖房往き 暖房戻り 一缶三水路式油だき温水ボイラ 給水 給湯 直圧 給湯 給水 給湯 直圧 給湯 風呂 ふろ往き ふろ戻り 風呂 ふろ往き ふろ戻り 暖房 暖房往き 暖房戻り 暖房 暖房往き 暖房戻り 一缶三水路式油だき温水ボイラ 図5-1 一缶三水路のシステム図 6.省エネルギー化への取り組み、実現へ 環境問題解決策として、平成18年に潜熱回収型の瞬間式給湯機と追いだき機能付給湯機の2機種が市場導入された。これ は従来排気ガスとして捨てられていた約200℃の燃焼ガスを約60℃まで潜熱を回収し、95%の熱効率を達成した。この新し い省エネタイプ石油給湯機を石油機器業界としては初めて業界統一ネーミング「エコフィール」(図6-1)(写真6-1)とし た。 また、地球温暖化防止に向けた対応として(京都議定書批准)、東京都を初めとする自治体において再生可能エネルギー の利用としての太陽熱利用システムの新たな取組みが始まっている。この様に、快適・健康な生活維持を求める現代生活に おいてお湯利用は拡大する方向にあるが、製品開発面ではより厳しい省エネ対応が課せられている。

(11)

電気給湯機編

1.電気給湯機の歩み 1964(昭和39)年に電気の安定供給と電気料金の低廉化のもとに深夜電力料金制度 が誕生し、電気温水器はこの料金制度に対応した機器として、主に台所への給湯用と してスタートした。夜11時から翌朝7時までの深夜電力によって、1日の必要湯量を タンクに貯め沸き上げておく構造となっている。よって、スタート当初は40L程度の 貯湯量で台所給湯用として賄っていたが、その後、家庭の給湯は台所の他に風呂場や 洗面所へのセントラル給湯方式へと変化し、貯湯量も300L~560Lまで家族構成によ り選択できる(図1-1)までバリエーションが増加していった。 また、電気温水器のキャビネットの形状も、円筒形のタンク部に減圧弁や逃し弁などの配管部品を現地で設置する丸形タ イプから、配管部材をキャビネット内に内蔵し、配管工事の簡素化、建物の外観にもマッチしたすっきりとした設置が可能 な角形タイプへと変化していった(写真1-1)。 1964(昭和39)年 1973(昭和48)年 1980(昭和55)年 1989(平成元)年 40L 100L 370L丸形 370L角形 電気温水器 電気温水器 電気温水器 電気温水器 写真1-1 電気温水器キャビネット形状 さらなる電力負荷平準化のために、昭和59年には、前日の残湯量等により通電時間の自動制御を行う通電制御型料金制度 や、通電時間を深夜1時からの5時間とし短時間で沸き上げを行う電気料金の安価な第2深夜電力制度が誕生し、電気温水 器もこの料金制度に対応すべくラインアップの広がりを持っていった。 一方で、貯湯した分を使い切ると水しかでてこなくなる湯切れ現象は、家庭での給湯で使うエネルギーが生活の向上によ り増加すると共に、貯湯式の電気温水器の課題のひとつになっていた。この課題に対し、平成2年に電気料金制度のバリエ ーションとして時間帯別電灯制度が追加され、この契約をすることにより、湯の使用量が多いと思う日や万一湯切れが起こ った場合に、昼間の電力を使用して沸き増しが可能となり、湯切れの課題は解消された。 2.快適性の向上 電気温水器は貯湯式のため、給水側に減圧弁等を設け一定圧力(100kPa以下)に減圧して使用しなければならないが、瞬 間形と比較すると給湯圧力が落ちるため、特に2階への給湯は加圧ポンプを併用するなど、使用感にも課題があった。平成 10年に貯湯式給湯機の使用圧力を規制する「労働安全衛生法施行令」が改正され、小型ボイラーの規制緩和により、従来の 電気温水器(標準圧力型)の最高使用圧力100kPa以下に加え、最高使用圧力200kPa、伝熱面積2m2(電気温水器は40kW)以 下の電気温水器(高圧力型)が一般家庭用として製造販売が可能となった(図2-1)。 これにより、瞬間形給湯器に近い圧力を出すことが可能となり、風呂の湯はり時間の短縮や浴室シャワーの使用感が向上 し、特に2階への給湯も加圧ポンプを使用せずに勢いのあるシャワーが可能になり、快適性が向上した。尚、この高圧力型 電気温水器を事業者(店舗、事務所、工場等)が使用する場合は、所轄の労働基準監督署への設置届けや定期自主検査が義 務付けられている。 また、電気温水器の風呂への給湯は落とし込みというイメージがあったが、スイッチひとつ押すだけ で風呂への湯はり準備から温度調節、足し湯、風呂の沸かし直し(追いだき)等を可能とした自動風呂給湯機能付の「セミ オートタイプ」が製品化さ「フルオートタイプ」れ、お客様の家事省力化、入浴時間の広がり、入浴方法の簡素化などの給 湯ニーズに対応している。

(12)

小型ボイラー (小規模温水ボイラー) (高圧力型電気温水器) 簡易ボイラー (標準圧力型電気温水器) 2 (40kW) (80kW)4 使用圧力 (kPa) 伝熱面積 ㎡(kW) 0 100 200 図2 ボイラーの使用圧力と伝熱面積 3.省エネ化への取り組み 最近になって、ヒートポンプの技術を利用した白物家電が脚光を浴びている。この背景には、京都議定書をはじめとする 省資源・省エネルギー・CO2 削減といった地球環境への配慮が大きい。 そもそもヒートポンプの技術とは、空気中に存在している大気熱(密度が低くそのままでは扱いにくい熱エネルギー)を、 圧縮機などの動力を使って、扱いやすい高温の熱に上手く汲み上げる仕組みのことで、身近なところではエアコンや冷蔵庫 などに使われている。投入したエネルギー(動力)に対して、何倍もの熱エネルギーを取り出せるので、効率が非常に高い ことが特長である。 1980年頃から、電気給湯機でもヒートポンプ技術を利用した給湯機が時代に先駆けて商品化されていた。しかしながら、 当時としては一般的に使われていたフロンガスを冷媒に利用しており、その特性から高温での沸き上げが出来ないなどの課 題を有していた。 このような中、これまで課題としてきた加熱特性や、沸き上げ温度などを解決するヒートポンプ給湯機(エコキュート) (写真3-1)が開発・商品化された。エコキュートは、冷媒に自然冷媒と呼ばれる二酸化炭素(CO2)を利用しており、環境 に優しい給湯機として2001年世界に先駆けて開発、実用化された。 写真3-1 ヒートポンプ給湯器 (エコキュート) エコキュートは、電気温水器と同じ貯湯式給湯機であるため、ヒートポンプユニット(室外機)で沸かしたお湯を貯めて おく貯湯タンクユニットで構成される(図3-1)。投入した電気エネルギー(主に圧縮機で使用する電力)の約3倍以上の 給湯(熱)エネルギーを得ることができ、高効率な給湯機といえる。 図3-1 エコキュート

(13)

近年、消費者の生活レベルは著しく向上し、自宅でミスト浴を楽しむといった趣向も増えてきている。それに伴い給湯負 荷も年々増加傾向にある中、ヒートポンプ給湯機は給湯分野における省エネの切り札として改めて着目されている。そのよ うな背景もあり、発売以降順調に普及が進んでいる。

太陽熱利用給湯システム編

1.太陽熱利用給湯システムの歩み 太陽熱利用給湯システムは、すでに19世紀後半にはアメリカで実用化された。日本で商業的に生産されたのは、内部を黒 くした直方体の箱に普通板ガラスで蓋をした「開放型」と呼ばれる構造の太陽熱利用温水装置が最初である。1953(昭和28) 年に登場すると燃料が節約出来る、農作業から戻って風呂を焚く手間が省けるなどの理由から全国の農村部へ普及した。 当時は、構造が開放型の為、中に虫が入るとか、藻が生える等の欠点があり、全国で約2万台が設置されるに留まった。 しかしその頃、多くの企業が太陽熱利用温水器の潜在的ニーズに注目し、盛んに研究・開発を行うようになった。 やがて「汲み置き型」と呼ばれる太陽熱温水 こうした中で、集熱器部と貯湯槽部を上下に分離し、熱サイホン作用により集熱部で温められた温水をその上部にある貯 湯槽部に蓄えるしくみの「自然循環型」(写真1-2)と呼ばれる太陽熱温水器が誕生し、「汲み置き型」の欠点だった日没 後の保温性能を画期的に向上させた。農村部だけではなく夜遅く入浴する人々の多い都市部にも太陽熱温水器が浸透する契 機となった。折しも第二次オイルショックの追い風もあって1980(昭和55)年、単年度80万台を超えるヒット商品となった。 写真1-2 自然循環型太陽熱温水器 その後、太陽熱利用のための諸施策が実施され、(社)日本住宅設備システム協会や(社)ソーラーシステム振興協会を 中心に普及促進策が講ぜられたが、石油の需給緩和などにより、灯油価格も下落するなど大幅な変容がみられるようになっ た。この頃から、再び家庭用の給湯需要は、大容量、高機能化へと進化しはじめ、太陽熱温水器も顧客ニーズにリードされ、 大容量化し、周辺機器や周辺部材の充実もあって高機能化へとシフトした。その結果、大容量化した貯湯槽部は、屋根荷重 軽減の為、集熱器部と完全に分離され、必要に応じて集熱器の枚数を増やしたりできる「強制循環型」が登場し、1983年に は、戸建住(写真1-3) (昭和58)宅向けだけでも6.4万台/年に達した。 その後のセントラル給湯化に合せて、補助熱源器を組込んだ熱源一体型や熱交換器で蓄えたお湯を循環させて暖房用(床

(14)

暖房や暖房用放熱器を用いて)として用いる、所謂、太陽熱利用給湯システムが発売され、商品ラインナップが充実してい った。 更に1997(平成9)年に開催された「地球温暖化防止京都会議(COP3)」等の国際的合意を背景に単なる省エネ機器から 地球規模の環境保全機器へと一躍脚光を浴び、1999(平成11)年には、(社)リビングアメニティ協会にて「太陽熱利用給 湯システムと補助加熱機器の接続に関するガイドライン」が作成され、その後の太陽熱利用給湯システムのアメニティと安 全性を確保する上で重要な指針となった。 最近では、「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」等、東京都環境局主導 の「太陽エネルギー利用拡大会議」において太陽熱利用設備の利用拡大が検討されている。 2.省エネ化の取り組み 前出の通り、太陽熱利用給湯システムの中でも集熱を熱サイフォンで、給湯を自然落下という自然の摂理を生かした「自 然循環型の太陽熱温水器」は、全くランニングコストを必要としない省エネルギー機器の優等生であった。しかし、家庭用 給湯機の大容量・高機能化に合わせ「強制循環型ソーラーシステム」が登場したが、集熱器と貯湯槽を分離し循環ポンプを 作動させる動力が必要であった。そうした中、循環ポンプの動力に太陽光発電を利用した「強制循環一体型ソーラーシステ ム」が出現した。集熱器部と貯湯槽部を屋根(図2-1) 上にまとめあげ、いわば、省スペース化と省エネルギーを実現でき たといえる。更なる省エネルギーと環境保全に対する国民意識の高まりや2012(平成24)年までに国の庁舎に太陽光発電を 取り入れる国の計画などの動向からも、今後、ますます住宅用太陽熱給湯システムの需要拡大が期待されている。

ガス給湯機

ガス給湯機は、住宅建設の量から質への転換期において不完全燃焼防止等の性能向上の一環として、1974(昭和49)年に建設省(現 国 土交通省)の住宅生産工業化促進補助制度により、効率の高いシャワー等の機能を備えた給湯器ユニットの開発試作が行われ、この成果を 受けて、同年にBF型についてBL認定制度の初の認定が行われた。�

電気給湯機

電気給湯機は、深夜電力利用による電気温水器が注目されるようになり、主に都市ガス未利用地域や全電化住宅への対応として、1987 (昭和62)年に初の認定が行われた。

石油給湯機

石油給湯機は、プロパンガスに比べ低価格の灯油を燃料とすることにより、その経済性が注目されており、電気給湯機と同様に都市ガス 未利用地域対応とBL給湯機器のユーザーへの選択性を広げるために1988(昭和63)年に初の認定が行われた。

密閉式ふろがま

公営住宅では、従来、浴室の風呂がま等の設備に関しては、居住者が独自に設置し、公共事業体が設置する例は少なかった。しかし、住 宅水準の向上に伴い、公共事業体が予め浴室設備を設置するようになり、さらに安全性の高い密閉式ふろがまが一般的に採用されはじめ、

(15)

既設のふろがまの取り替え需要にも対応することが要求され始め、1982(昭和57)年に初の認定が行われた。

◆ ◆ ◆

1973(昭和48)年の石油ショック後の省エネルギー化が推進される中で、BLガス給湯機の省エネルギー性が認められ、住宅金融公庫(現 (独)住宅金融支援機構)の割増融資対象部品に指定され、その後、ガス給湯機と同様、電気給湯機、石油給湯機についても指定された。 これが、給湯BL 部品の普及の要因の一つとなった。 国民のライフスタイルの変化に伴い、給湯機には必要なときに適温の湯がでることが求められ、快適性、安全性などの機器の能力が飛躍 的に向上するとともに、ライフスタイルの多様化により多種の機器が開発されてきた。また、施工や保守が容易にできるよう外置型、コン パクト化も進んだ。 近年の地球温暖化防止に対応し、現在では省資源、省エネルギーやCO2削減を重要視した機器の開発が盛んになってきている。 ガス給湯機は、排熱を再利用してお湯を沸かす高効率な潜熱回収型給湯機や、ガスエンジンによる発電と廃熱によるお湯利用を可能とし たガスエンジンコージェネレーションシステムが出現し、注目を集めている。 電気給湯機は、多様化したライフスタイルの要求に対応した深夜電力料金制度等の誕生と機器の開発が進み、これまでより電気の無駄を 少なくすることができ、また、現在は、空気中の大気熱を利用した高効率のヒートポンプ式の給湯機が出現した。特に冷媒を従来のフロン ガスからCO2としたヒートポンプ式の給湯機は、地球環境にやさしい機器として注目を集めている。 石油給湯機は、ガス給湯機と同様に潜熱回収型給湯機を開発し、注目を集めている。 BL は、これらのガス給湯機と電気給湯機をBLbs部品※として認定している。 なお、(財)ベターリビングでは、ガス給湯器の一層の普及を目指し、2006(平成18)年よりブルー&グリーンプロジェクトを展開し、 出荷量に応じ、財団法人国際緑化推進センターが運営する熱帯林造成基金の森林造成事業に資金を提供し、同推進センターの管理の下、ベ トナムで植樹活動を進めている。 ※BL部品のうち、次の1~5のような社会的要請への対応を先導するような特長も有する住宅部品を「BL-bs部品」(BL-bs:Better Living for better society)として認定しています。

1.環境の保全に寄与する特長�

2.社会の資産としての住宅ストックの形成・活用に寄与する特長

3.高齢者・障害者を含む誰もが安全かつ快適な生活を送ることができる社会の実現に寄与する特長 4.防犯性の向上に寄与する特長

参照

関連したドキュメント

る、関与していることに伴う、または関与することとなる重大なリスクがある、と合理的に 判断される者を特定したリストを指します 51 。Entity

C)付為替によって決済されることが約定されてその契約が成立する。信用

名刺の裏面に、個人用携帯電話番号、会社ロゴなどの重要な情

日本の伝統文化 (総合学習、 道徳、 図工) … 10件 環境 (総合学習、 家庭科) ……… 8件 昔の道具 (3年生社会科) ……… 5件.

ASTM E2500-07 ISPE は、2005 年初頭、FDA から奨励され、設備や施設が意図された使用に適しているこ

活用することとともに,デメリットを克服することが不可欠となるが,メ

運航当時、 GPSはなく、 青函連絡船には、 レーダーを利用した独自開発の位置測定装置 が装備されていた。 しかし、

一︑意見の自由は︑公務員に保障される︒ ントを受けたことまたはそれを拒絶したこと