• 検索結果がありません。

1. まとめ 1 糖尿病の現状と課題 予備群を含め 2000 万人を超える生活習慣病 糖尿病 医療体制の整備に匹敵する治療の鍵は 患者の行動変容 である そのために必要なのが (1) 予防から合併症予防まで切れ目のない対策 (2) エビデンスに基づくチーム医療 ( 3) データを活用して様々なステー

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "1. まとめ 1 糖尿病の現状と課題 予備群を含め 2000 万人を超える生活習慣病 糖尿病 医療体制の整備に匹敵する治療の鍵は 患者の行動変容 である そのために必要なのが (1) 予防から合併症予防まで切れ目のない対策 (2) エビデンスに基づくチーム医療 ( 3) データを活用して様々なステー"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

糖尿病

(2)

1.まとめ

□1 糖尿病の現状と課題 ・予備群を含め2000 万人を超える生活習慣病・糖尿病。医療体制の整備に匹敵する治療の鍵は「患者 の行動変容」である。そのために必要なのが、(1)予防から合併症予防まで切れ目のない対策、(2) エビデンスに基づくチーム医療、(3)データを活用して様々なステークホルダー(関係者)と連携し た対策、(4)患者会活動と連携した対策―などである。 □2 計画・予算など対策の現状と課題 ・医療機関名の公表、病診連携の取り組みの状況には差がある。また、患者の行動変容のための、保険 者や教育機関などとの連携、役割分担の必要性に触れている地域医療計画はほとんどない。また、患 者団体を地域医療計画に位置づけている自治体もなかった。 □3 これまでの好事例(候補) 1.熊本県:医師の教育と患者の教育 2.奈良県:エビデンス(科学的根拠)に基づく医療に向けた取り組み 3.京都府:生活習慣の改善に様々なステークホルダーが参加 □4 都道府県アンケート結果 ・地域医療計画の作成にあたっては、相談体制、単独でのデータ収集、医療保険者との連携などが課題 となっている。指標は「糖尿病性腎症による新規透析導入患者」が最も指標として有用だが、有用性 やデータ収集の点から疑問の残る指標もある。 □5 あるべき姿と推奨施策 ○分野アウトカム ・糖尿病の発症患者数が減少している ・糖尿病患者の重症化を防ぐ ○中間アウトカム ・糖尿病予備群の数を減らす ・要治療と判定された人の受診率を向上させる ・糖尿病患者の治療中断者数が減少する ・初期・安定期におけるエビデンスに基づく医療を提供する ・患者の疾病知識が向上している ○推奨施策 (1)生活習慣の改善、知識の普及 (2)特定健康診査・保健指導の実施率の向上 (3)医療保険者によるデータヘルスの実施 (4)糖尿病専門医、糖尿病療養指導士の確保と連携 (5)初期・安定期治療を行う医師の質の向上 (6)役割別の医療機関の公表 (7)患者会活動 □6 施策と指標のマップ (214 ページに記載) 206

(3)

【パート 1】現状編

2.糖尿病の現状と課題

□1 基本認識 ・糖尿病は、生活習慣病の代表格であり、戦後の経済成長や食生活の西洋化に伴って患者数は増加を続 けている。医療体制の構築は他の疾病と同様に重要だが、自覚症状もなく進行するため、重症化予防 の鍵は「患者の行動変容(健康的な生活を実践し習慣化しようという行動の変化)を起こせるかどう か」にかかっている。このことが、政策を考える上で極めて重要な視点で、医療機関だけでなく、保 険者・患者会などさまざまなステークホルダー(関係者)と連動して施策を展開することが重要であ る。 □2 糖尿病の現状 ・糖尿病は、膵臓から出るインスリンの量が不足することによる慢性の高血糖状態を特徴とする代謝性 疾患群である。子どものうちから始まることの多い膵臓のβ細胞が破壊されることで起きる「Ⅰ型糖 尿病」と、元々の遺伝的要因に生活習慣が関係して、インスリンが出る量が少なくなる「Ⅱ型糖尿病」 があるが、重症化予防のアプローチは同じである。 ・厚生労働省の国民健康栄養調査によると、2012 年の時点で糖尿病が強く疑われる人は 950 万人、予 備群を含めると全国で2000 万人を超え、まさに国民病である。糖尿病自体による死亡人数は年間お よそ1 万 4000 人(疾病別で 11 位)であるが、高血糖状態が続くことによって大小の血管が傷つき、 さまざまな合併症を引き起こすことが糖尿病の大きな問題である。 ・発症の危険因子は遺伝的な要素に加えて、

過食、運動不足、肥満等がある。

進行を抑えるために は、患者自身が食事や運動などの生活習慣を改善し、適切に医療機関を受診して血糖値を一定以下に 保ち続けることが求められる。こうした重症化予防ができずに、症状が進行した場合には、失明・足 の壊死・腎疾患などを引き起こし、患者の生活の質(QOL)を大きく低下させる。加えて、合併症 の治療には多額の医療費がかかるなど社会全体への負担を増加させることになる。 ・なお、日本透析医学会の調査によると、去年(2013 年)糖尿病性腎症が原因で腎臓透析が導入され た患者は1 万 5837 人で、同年透析が導入された患者の 44%を占め、割合は近年一貫して 4 割以上を 占めていて、その医療費が問題となっている。 □3 糖尿病の課題 ○重要課題1 予備群から疾病の段階に対応した切れ目のない対策 ・糖尿病対策は、社会一般に生活習慣を良くしてもらうと共に、健診で境界域にある人、および治療を 要する患者を早期発見し、早期治療によって重症化、合併症の予防、合併症の治療対策等、切れ目の ない医療体制を構築することが重要である。したがって、特定健診・特定保健指導等の予防対策とも 連携した計画づくりが重要だ。 ○重要課題2 患者の行動変容につながるチーム医療 ・発症予防、重症化予防の最も重要なポイントは、「患者の行動変容を起こせるかどうか」である。そ のためには、現在、人口あたりの専門医数に3 倍以上の格差があるのを均てん化し、病診連携や研修 によって、エビデンス(科学的根拠)に基づいた効果のある治療を浸透させること、医師だけでなく 207

(4)

糖尿病に詳しい看護師や管理栄養士などがチームで支援する医療体制が重要だ。 ○重要課題3 保険者などの参加 ・糖尿病が強く疑われる人のうち医療機関にかかっている人は65%程度にとどまり、治療中断者も多い。 健診結果とレセプトなどのデータを持つ保険者が受診勧奨を行う「データヘルス」の実施が必要だ。 また、食育、運動習慣の定着には教育機関や飲食店などとの連携も必要となる。 ○重要課題4 患者会活動と連携した対策の構築 ・患者の行動変容には失敗の実話(合併症による足の切断、透析導入等)を聞く機会等が重要である。 患者会は日本糖尿病協会の友の会として、病院・診療所単位に1600 ほど作られており、患者の参加 促進や患者会のリーダーの育成、患者会活動のガイドライン作りなど、政策への組み入れが重要であ る。

3.計画・予算など対策の現状と課題

□1 医政局長通知・指導課長通知 (1)厚生労働省医政局長通知(2012 年 3 月)によると、5 疾病の 1 つとして患者動向や医療資源等に ついて現状を把握して、医療連携体制の課題、数値目標、施策を検証・見直し・構築することになっ ている。 (2)厚生労働省医政局指導課長通知(2012 年 3 月)では、医療機関の連携体制の構築について、機能 別に(1)初期・安定期治療、(2)専門医療、(3)急性憎悪時治療、(4)慢性合併症治療―に整理し、 連携体制を構築するとしている。現状把握の必須の指標として「糖尿病内科医師数、医療機関数」「糖 尿病足病変に対応する医療機関数」「健康診断・健康診査の受診率」「年齢調整死亡率」等7つを挙げ ている。 □2 都道府県の現行の地域医療計画 (1)医療機関の公表 地域医療計画では医療機関を選定するにあたって、その機能を満たしているかの検証、基準につ いて明示すべきであり、かかりつけの開業医と専門的な機能を持った医療機関との連携体制につ いて明示することが重要であるが、取り組みの程度には差がある。 (2)患者の行動変容につながる対策 患者の増加を食い止め、重症化を防ぐには、「生活習慣の改善」「健診で早期発見」「早期治療」「治 療の継続」が必要となってくる。患者や予備群に「行動変容」を起こさせることや、エビデンス に基づいた治療と適切な患者指導が行われることが重要だ。そのためには「患者の教育啓発」、「保 険者や教育機関との連携」などが必要だが、そうした指標や施策を記載している都道府県は少な い。 (3)糖尿病地域医療計画の指標の選定 初期・安定期から慢性合併症治療の各段階に分けて数値目標を綿密に掲げている都道府県もある が、全体的に「新規透析導入患者数」「特定健康診査実施率」など、2、3 の数値目標を掲げてい る都道府県が多く、中には数値目標がまったくない自治体もある。なお、数値目標に「死亡率」 208

(5)

のみを掲げている例もあるが、臨床データとしても信頼性に乏しく、糖尿病治療の柱は重症化予 防であり、指標としてふさわしいとは言いがたい。 (4)保険者・教育機関などとの連携 データヘルスの主役は保険者であり、生活習慣の改善のためには教育機関や飲食店の協力が望ま しい。しかし、医療機関以外のステークホルダー(関係者)の役割や連携を施策として言及して いる都道府県は少数派である。 (5)患者団体の役割 患者教育の重要性について記述している都道府県はまれであり、患者団体を地域医療計画に位置 づけている自治体はなかった。 □3 都道府県の予算 ・公表されている各都道府県の予算書では細かく記載されていないため、糖尿病対策を確認できた都 道府県は数県であった。患者の数の割合が全国ワースト2 位の香川県は、管理栄養士が診療所を巡 回するモデル事業や、小学生の血液検査への補助を行っている。奈良県では糖尿病予防の取り組み の評価に予算が計上されているほか、岡山県、三重県では、医療連携体制の整備や研修のための予 算が計上されている。

4.これまでの好事例候補

□1 好事例(候補)の現状 ・多くの都道府県の地域医療計画は、厚生労働省通知に記載されている指標に基づいて現状を分析 し、その中から改善が必要な施策を列挙し、数個の指標を数値目標として掲げているにすぎない。 患者の行動変容につなげるため、医療機関だけでなく、教育機関や医療保険者など幅広いステー クホルダーの役割に言及したものも少ない。ここでは、都道府県が独自に記載した、糖尿病対策 として有用と思われる施策を好事例として挙げる。 □2 好事例(候補)の例 ○例1 熊本県 ・施策等の名称:糖尿病連携医制度 ・内容:熊本大学が中心となって県独自の「糖尿病連携医」制度を創設し、特に軽症の糖尿病患者 や境界型の患者をどのように診療すればいいかについて、地域の開業医が分かるように解説して いる。また、長い時間をかけて健全な生活習慣を身に付けるのが大事だとして、「子どもの頃か らの生涯を通じた健康づくり」という章を立てている。この中で、適正体重維持者の割合、運動 習慣のある人の割合などを、指標として立てている。 ・好事例(候補)である理由:医師の教育と生活習慣の改善の重要性が盛り込まれている。 ○例2 奈良県 ・施策等の名称:エビデンスに基づく医療 209

(6)

・内容:医師によって診療の内容に違いがある可能性が否定できないとして、糖尿病の治療に携わ る医療機関にどの程度の実力があるのかを把握し、医療機関に還元するシステムを作っている。 糖尿病診療を行う際の検査値を収集して、分析を行い、診療実態をわかりやすく数値化して報告 書にまとめ、医療機関に配布する。一方で、最新のエビデンスに基づいた医療が行えるよう、糖 尿病専門医が協力して、研修を行っている。 ・好事例(候補)である理由:各自の診療方法と診療ガイドラインで示された方法の違いを知らせ、 標準治療(専門家が合意した最良の医療)から逸脱している医療機関が危機感を持つ機会となっ ている。 ○例3 京都府 ・施策等の名称:食生活の改善にさまざまなステークホルダーが参加 ・内容:1 次予防の推進として、食習慣についての知識の普及を施策として掲げ、「京のおばんざい 弁当シリーズ」など、健康づくりに取り組む店舗の情報提供や、特定給食施設が利用者に応じた 食事の提供や栄養の評価ができるよう支援する。こうした教育活動のため、学校、市町村と協働 していくとしている。また、糖尿病が疑われながら受診していない人に受診勧奨する市町村(保 険者)の取り組みを支援するとしている。 ・好事例(候補)である理由:「食の供給側」から食生活の変化を促し、患者に関わるさまざまなステ ークホルダーが参加していること。

5.都道府県アンケート結果

□1 「PDCA サイクルを通じた医療計画の実効性の向上のための研究会(厚労省)」資料から ○第2 回同研究会の資料によると、糖尿病の合併症として数値的な把握が最も容易な「腎症による 新規透析導入」については、47 都道府県のうち 24 県が指標に含めており、重症化予防の指標と して有用だという意見が多かった。「年齢調整死亡率」は重症化予防策の成果についてのアウト カム指標として有用だという意見の一方で、「本当に糖尿病で人が死亡しているか疑問だ」とい う意見も寄せられた。「糖尿病内科医師数」「クリティカルパス(診療計画)導入医療機関数」「健 康診断・健康診査の受診率」などが医療提供体制の分析に有用だとして評価が高かった。 ○一方、「糖尿病内科を標榜する医療機関」は糖尿病がごく一般的な疾患で標榜するのがまれであ り、現状を把握しても対策や目標の設定が困難として有用ではないという意見が多数あった。ま た、「薬物療法からの離脱実績」「治療中断率」は数値の把握が困難だという指摘が寄せられた。 □2 H-PAC/RH-PAC の都道府県アンケート回答 ○糖尿病に関する回答の概要 アンケートの記述の中で多く見られたのは、都道府県単独でデータを収集していくことが難しい ことや、指標について相談できる関係者が少ないことである。また、特定健康診査の受診率の向上 や、要治療者の受診率の向上のためには、レセプト(診療報酬明細書)と健診結果の両方を持つ保険 者との連携が欠かせないという意見も多く寄せられた。 210

(7)

○自由記載欄の回答 ・糖尿病対策に特化して各数値目標を達成するために具体的なアクションプラン等を作成し実施するプ ロセスにおいて、相談できる場や相談できる関係者が少ない。 ・データ収集に過大なコストがかかるし、分析・評価できる職員が少ない。 ・要治療者の受診率向上のために市町村国保以外とも連携を図っていくことが必要である。 ・保険者の協力により、特定健診データを集約し、地域の実情を踏まえた目標設定や評価が可能な仕組 みづくりを行うことが必要。 □3 考察と導き出される必要施策 ○考察 重症化予防をはかるために最も信頼できる指標として定着しているのは「糖尿病性腎症による新規透 析導入」であり、早期発見や治療のプロセスの指標としては「健康診断受診率」「クリティカルパス 導入数」が多数を占めた。一方、「治療中断率」は重要な指標だと認識されつつも、単独でのデータ 収集に課題を残している ○必要な施策候補 データの収集が難しい指標を収集するためにも、施策を進めるためにも、保険者との連携を国主導で 進めることなどが必要である。

【パート 2】提案編

6.あるべき姿と推奨施策

□1 趣旨 前述のとおり、糖尿病治療は患者の行動変容が必須である。したがって、医療体制の整備(医療 提供者の確保・連携)のみならず、保険者や患者会を巻き込んで施策を策定することが望ましい。 こうした観点から以下の施策を推奨する。 □2 あるべき姿と推奨施策 ●最終アウトカム ○糖尿病の発症患者数が減少している ○糖尿病患者の重症化が防止されている 重症化の指標としては、各合併症の中で最も得やすいデータである、糖尿病性腎症による新規透 析導入の数が考えられる。 ●中間アウトカム (1)糖尿病予備群が減少している (2)ハイリスク者を早期発見・早期介入している (3)糖尿病患者が治療を継続している (4)医療提供体制が整備されている 211

(8)

(5)生活習慣の改善に取り組む患者が増えている ●推奨施策 (1)生活習慣の改善・知識の普及 ・食生活を見直す機会となるよう飲食店や職員食堂、スーパーの食品のカロリー・成分表示を促 進させるとともに、教育機関と連携して子どもの時期から食育を行い、食生活の正しい知識を 教える。また、保険者と連携して運動習慣のある人にポイントや景品を送るなどインセンティ ブ(報奨)を設ける。 (2)特定保健指導の実施促進 ・特定保健指導は年間約430 万人が対象となっているが、指導を終了した人の割合は 16%程度にと どまっている(2012 年度・厚生労働省まとめ)。保険者によっては事業委託先への指導や、上司の 理解(指導)促進によって高い実施率を達成しているところもあり、好事例を共有し実施していく。 (3)健康診断・特定健康診査の実施促進 ・健康診断や特定健康診査については、市町村国保加入者と、被扶養者(サラリーマンの妻など) の受診率が低い。こうした層に受診してもらえるよう、地域での出張健診や、事業者団体を通 じた受診勧奨を行うよう取り組む。 (4)保険者によるデータヘルスの実施 ・来年度(2015 年度)からは、健保組合が健診データとレセプトを組み合わせて、要医療の未受診 者や治療中断者に受診勧奨を行うなどの「データヘルス計画」が始まる。こうした受診勧奨に取り 組むよう市町村国保にも働き掛ける。なお、こうしたデータヘルスは自前で進めるのが難しくても、 ノウハウの提供やベンチャー企業の起業も盛んに行われており、こうしたものを利用するのも一つ の手段である。 (5)専門医・専門職の確保・連携 ・地域のクリニックと専門医のいる医療機関が連携することは、患者の利便性、エビデンスに基 づく医療の提供の点で大きなメリットがある。多くの都道府県はクリティカルパスの導入数を その指標にしている。また、患者のニーズにあった日常生活の指導を行うには認定された糖尿 病療養指導士(管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士)などを育成・確保 し、医師と連携して医療を提供することが望ましい。また、こうした前提として連携できる糖 尿病専門医が地域に十分いることが必要である。 (6)初期・安定期治療の医療の質の向上 ・糖尿病の治療には、適切な薬の処方や患者の指導が重要だが、糖尿病の治療薬の種類は増加し、糖 尿病治療ガイドラインも改訂が重ねられている。このため、各医療機関で標準的な治療が行われて いるか保険者のデータやナショナルデータベース(NDB)などで点検したり、医師が直近のガイ ドラインの知識に追い付くための継続的研修を行うことが重要である。 (7)医療機関名の機能別公表 ・患者が適切に医療機関を選ぶためにも、初期・安定期、専門医療、急性憎悪時、慢性合併症に分け て、学会専門医の有無や症例、透析予防指導管理料加算を取っている医療機関かどうかなど、基準 を明確にして公表する。 212

(9)

(8)教育入院の実施促進 ・教育入院は患者に疾病についての知識を得てもらい、その後の生活習慣の改善につなげるために有 用である。教育入院を実施する医療機関を増やすと共に、保険者や企業を通じて教育入院の効果に ついて知ってもらうことが重要である。 (9)患者会活動への支援 ・学会や医療機関などに患者会養成講座を設け、その修了者に終了証明書を交付するなど、リーダー の育成を行う。また、地域医療計画を策定する際にも、都道府県は患者会代表の意見を募る。 213

(10)

7.施策と指標のマップ

糖尿病分野の施策と指標のマップ

(11)

8.指標リスト(定義と説明)

□1 趣旨 下記は、前述の「6.あるべき姿と推奨施策」「7.施策と指標のマップ」における指標の説明である。 図表 6 糖尿病 指標リスト 指標名 指標の定義 備考 C1 適正体重の者の割合 肥満の子どもの割合 BMI25 未満(18.5 以上) 肥満度20%以上(身長・体重から) (O)*健康日本 21 によ る (O)*学校保健統計調査 C2.3 特定健康診査 特定保健指導 実施率 40 歳~74 歳の被保険者と被扶養者を対象に 行われている健康診査 (P) C4 受診勧奨を行う 保険者の数 要医療者に受診勧奨を行う 市町村国保の数 (S)要開発 C5 クリティカルパス 導入数 病診連携のための診療計画表を 導入している医療機関数 (S) C5 糖尿病療養指導士数 日本糖尿病療養指導士認定機構の 認定者数 (S) C8 教育入院実施 医療機関数 診療報酬で教育入院を 実施している医療機関の数 (S) C9 日糖協友の会 会員数・患者会の数 日本糖尿病協会の「友の会」に 入会している患者数、患者会の数 (S) B1 糖尿病予備群の数 HbA1c が 6.0%以上 6.5%未満の人の数 (O)*国民健康栄養調査 B2 未受診者の数 HbA1c が 6.5%以上で これまでに治療を受けてない人の数 (O)*国民健康栄養調査 B3 治療継続する割合 医療機関・健診で糖尿病と言われた人のうち、治療を受けている人の割合 (O)*国民健康栄養調査 B4 血糖コントロール 不良者割合 HbA1c が NGSP 値で 8.0%以上の人の割合 (O) B5 血糖値自己測定率 生活習慣改善率 患者のうち血糖値を自分で測っている割合 患者のうち生活習慣を改善したと応えた割合 (O)要開発 (O)要開発 A1 糖尿病が強く 疑われる者の割合 HbA1c が 6.5%以上の人 (O)*国民健康栄養調査 A2 糖尿病性腎症による 新規透析導入患者 糖尿病性腎症で新規に透析導入に 至った年間の患者数 (O)*日本透析医学会 (S):ストラクチャー指標、(P):プロセス指標、(O):アウトカム指標、*:既存指標 215

(12)

9.参考資料など

□参考資料 ・厚生労働省「健康日本21」 ・厚生労働省 平成24 年度「国民健康・栄養調査」 ・日本透析医学会 我が国の慢性透析医療の現況(2013 年版) ・厚生労働省 データヘルス事例集(2013 年) ・日本糖尿病学会 科学的根拠に基づく診療ガイドライン(2013 年) ・聖路加国際病院「医療の質」を測り改善する(2012 年) 216

参照

関連したドキュメント

身体主義にもとづく,主格の認知意味論 69

(注妬)精神分裂病の特有の経過型で、病勢憎悪、病勢推進と訳されている。つまり多くの場合、分裂病の経過は病が完全に治癒せずして、病状が悪化するため、この用語が用いられている。(参考『新版精神医

が作成したものである。ICDが病気や外傷を詳しく分類するものであるのに対し、ICFはそうした病 気等 の 状 態 に あ る人 の精 神機 能や 運動 機能 、歩 行や 家事 等の

AIDS,高血圧,糖尿病,気管支喘息など長期の治療が必要な 領域で活用されることがある。Morisky Medication Adherence Scale (MMAS-4-Item) 29, 30) の 4

いメタボリックシンドロームや 2 型糖尿病への 有用性も期待される.ペマフィブラートは他の

全国の緩和ケア病棟は200施設4000床に届こうとしており, がん診療連携拠点病院をはじめ多くの病院での

自閉症の人達は、「~かもしれ ない 」という予測を立てて行動 することが難しく、これから起 こる事も予測出来ず 不安で混乱

   遠くに住んでいる、家に入られることに抵抗感があるなどの 療養中の子どもへの直接支援の難しさを、 IT という手段を使えば