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限界概念 : 独立変数の増加に対する従属変数の増加の割合 y=f(x) における y/ x が 限界 の意味 = 微分係数 限界 はキー概念 : 限界費用 限界代替率 限界収入 限界生産力 4 ジェヴォンズの経済学リヴァプール生まれ ゴールド ラッシュ期のオーストラリアの造幣局に分析官として赴任 仕

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Academic year: 2021

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1 経済学史特講 限界革命と新古典派経済学 【1】ミクロ経済学(部分均衡論)の復習 消費者行動論 個人の効用最大化 → 個別的需要曲線 → 市場需要曲線 >市場均衡 企業行動論 個別企業の利潤最大化 → 個別的供給曲線 → 市場供給曲線 需要曲線:個人の最適化行動(経済人)→ 個別を集計して市場需要(方法論的個人主義) 補足的な仮定:完全情報。取引費用ゼロ。 【2】新古典派経済学( neoclassical economics ) 新古典派経済学:1870 年ごろ誕生(限界革命)。今日のミクロ経済学に流れ込む。 多くの学派の総称であり、相違点も大きい。 共通項(1):方法論的個人主義 共通項(2):均衡を重視 共通項?(3):「経済人」=最適化の主体(←均衡を理論的に説明するための前提) 新古典派経済学の代表的な学派 1870 年代 20 世紀前半 第二次大戦後 イギリス ケンブリッジ学派 オーストリア オーストリア学派 スイス ローザンヌ学派 スウェーデン スウェーデン学派 アメリカ シカゴ学派(マネタリズム) 合理的期待形成学派 「近代経済学」:新古典派経済学+ケインズ経済学。日本的な概念。non-marxian economics(?) 【3】限界革命 限界革命:1870 年ごろ。限界概念を用いた経済理論の組み換え。 ジェヴォンズ(イギリス 1835-1882) メンガー(オーストリア 1840-1921) ワルラス(スイス 1834-1910) 独立に類似の考え方に到達(←消費経済の影響?)

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2 限界概念:独立変数の増加に対する従属変数の増加の割合 y=f(x)における⊿y/⊿xが「限界」の意味。=微分係数 「限界」はキー概念:限界費用、限界代替率、限界収入、限界生産力 【4】ジェヴォンズの経済学 リヴァプール生まれ。ゴールド・ラッシュ期のオーストラリアの造幣 局に分析官として赴任、仕事の傍ら、統計的手法による気象観測や地 質調査を行なった。帰国後、マンチェスターのオーエンズ大学で論理 学や道徳の教鞭をとる。記号論理学や自然科学の方法論を講じた。 → 厳密な科学としての経済学の必要 主著『経済の理論』(1871 年)(→1878 年に邦訳刊行) 太陽黒点説でも有名。 「快楽と苦痛の微積分学」:功利主義の経済学への導入 功利主義:ベンサム(18 世紀末~19 世紀初)により普及→19 世紀の支配的思想 快楽と苦痛の比較考量である utility(効用、功利)→倫理学・社会科学の基礎。 ベンサムは社会制度の設計。ジェヴォンズは商品の価値や労働供給の説明。 「快楽および苦痛は、疑いもなく経済の計算の究極的な目標である。最尐の努力をも ってわれわれの欲望を最大限に満たすこと―― 最も多くの望ましいものを、最も尐な い望ましくないものと引き換えに取得すること――言い換えれば、快楽を極大にさせ ることが経済学の問題である。」(『経済学の理論』第 3 章) 【5】限界効用 水とダイヤモンドのパラドクス再論 水も尐なければ高値がつくはずだ。 → 価値と使用価値の二分法の廃棄 需要(効用)の側による価値論 → 新しい理論の必要 効用:主観的な満足度(快楽) 限界効用(度):消費の増加に対する効用の増加。 「u をして〔財貨の量〕x の消費から得られる効用の全体を示すとする。……du/dx は x 量の財貨に対する効用度である。数学用語をもってすれば、効用度は x の関数と考え られたu の微分係数である。」(第 3 章)

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3 【6】交換理論 ジェヴォンズは古典派経済学の伝統を覆すために、生産費と無関係に交換比率が説明でき る事例をとりあげた。肉を持つ商品所持者と穀物を持つ商品所持者とが物々交換を行うモ デルである(1 から 5 は肉所持者の話であることに注意)。 (1)肉所持者の肉と穀物についての限界効用度のグラフを書く。いずれのグラフも右下がり のグラフとなる(左端は所持量がゼロに近いから限界効用度が高くなる)。 (2)ある交換比率が与えられたとして、同じ横幅で交換によって受け取る量(穀物)と渡す 量(肉)とが一致するように横軸の縮尺を変える(価格を用いて説明すれば、横軸の同一 の長さが、同じ金額で買える穀物と肉の量を表示するように縮尺を変える)。 (3)穀物のグラフを左右逆にする。肉の初期保有 量と穀物のグラフの原点が一致するように重 ねる。そうすると、途中で交差するX型のグラ フが書ける。 (4)交換の始まる前が一番右端である。交点より も右側だと肉の限界効用度よりも穀物の限界 効用度が高い。だから、もっと肉を手放して穀物を得た方が良い。なぜならば、交換に手 放す肉の効用(すなわち失う効用)よりも、 交換で得る穀物の効用(得る効用)の方が大 きいからである。交点の左側だと、失う効用の方が大きいから、交換が行き過ぎることに なる。 (5)グラフの交点で効用が最大になる(総効用はどうでもよいことに注意)。交点のところで、 細い棒グラフを立ててみよう。それは同一金額(例えば1円分)で購入できる、肉と穀物 の効用が一致することを意味する。すなわち、「価格1単位あたりの各財の限界効用が等し い」場合に交換が成立することが分かる。 交換比率の説明としては失敗。しかし、方向性は正しい。 自由貿易論:交換は各自の効用を最大化させる → 自由な交換である自由貿易の擁護 「誰でも購入から利益を期待できないかぎりは、物を買うことはない。したがって、 交換の完全な自由は効用を極大にさせる方法なのである。……関税は収入を増加させ る手段としては必要かもしれないが、関税をもって貿易調節の手段として、または効

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4 用を増加させる交換の自然的傾向に対する干渉手段として、経済学者が関税に尐しで も賛成する時代は終わったのである。」(第 4 章) 【7】労働理論 限界効用理論の応用としての労働理論(労働供給論) 自己消費分を生産する農民のモデル 労 働 < → 生産物 → 効用 → → → 負の効用 効用-苦痛 を最大化させるように働くのが効用の最大化。 労働からの苦痛(限界負効用)は、労働時間が増大す れば次第に増大するであろう。苦痛よりも効用が大き い間は労働時間を増大させていく方が効用は大きく なる。よって苦痛と効用との大きさが等しくなる時間 が効用の最大化。 「労働が延長されるにしたがって、努力は原則として 次第に苦痛になる。……肉体の精力が消耗するにつれ て、仕事を続けることが辛くなり、精力の枯渇が近づ くと継続的努力はますます耐えることが難しくな る。」(第 5 章) 労働供給だけではなく、あらゆる資源配分一般についても同様に分析。 「経済学の問題は、さまざまな欲求と生産諸力とが与えられ、かつ一定の大きさの土 地およびその他の資源を持つ一定数の人口が与えられた場合、生産物の効用を極大に させるためには、どのように労働を用いるべきか、ということである。」(第 8 章) 【8】ジェヴォンズ以後の効用理論 ジェヴォンズの効用理論:商品ごとに独立に効用が決まり、それを足し合わせることで消 費者の効用が定まる(加算型効用)。 無差別曲線:商品の効用は独立には決まらない(コーヒーと砂糖)→ 無差別曲線 パレート(1848-1923)、ヒックス(1904-1989)

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5 序数的効用:無差別曲線は序数的効用(→順番のみ、加算不可能) → 限界効用(←基 数的効用)にもとづく効用理論を不要なものとした。 基数的効用分析 序数的効用分析 基本的関数 効用関数 無差別曲線 基本的概念 限界効用 限界代替率 基本的法則 限界効用逓減の法則 限界代替率逓減の法則 効用最大化条件 限界効用/価格 の均等 限界代替率=価格比 【9】補足:功利主義プロジェクト ジェヴォンズ:効用の個人間比較を理論の中で厳密には前提としていない。しかし、将来 的には効用を客観的に計測可能と考えていた(→個人間比較を自明視)。 功利主義:ベンサムは法律や社会制度の設計にあたり、社会的功利(公益、 public utility) すなわち個人の効用の総和を判断基準とした。 → 功利主義(今日でも重要) 功利主義の前提:基数的効用、個人間比較可能かつ加算可能。 功利主義は社会的功利を増大させようとする → 利己主義ではない 功利主義の弱点: (1)個人間比較の可能性 (2)社会的功利と個人の権利のバッティング 【10】ケンブリッジ学派 マーシャル(1842-1924):ケンブリッジ学派の創始者。部分均衡論は 今日のミクロ経済学の源流。マーシャルが創造した概念(均衡の時間 区分、弾力性、消費者余剰など)が広く用いられている。ただし、典 型的な新古典派の枠からはみ出るところも多い(均衡ではなく経済生 物学を目標。累積的な進歩。経済人の想定を疑問視。)。ピグーやケイ ンズなど多くの弟子を育成。主著『経済学原理』(1890)は 50 年以 上、世界で使われた教科書。名言「経済学を志すにはクールな頭脳と温かい心が必要」。

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6 ピグー(1877-1959):30 歳の若さでマーシャルからケンブリッジ 大学の教授職を受け継ぐ。マーシャル経済学の後継者を自認。マー シャル同様にピグーも貧困問題の解決に大きな関心をよせ、格差を 解消するために積極的な政策の必要を説いた。その背景には労働党 の結成など社会主義的な運動の活発化がある。主著『厚生経済学』 (1920)は、その後「厚生経済学」と呼ばれる潮流を形成する。大 恐慌の説明に失敗したとして、ケインズから批判を受ける。 「人間の社会的行動の科学的研究が、必ずしも直接または直ち にではないにしても、いつか何らかの方法で社会を改善させる実際的な成績をあげる だろうという希望を持って研究されるのでないならば、その研究のために捧げられた 時間は浪費されたとみなすべきであろう。...われわれの衝動は知識のための知識を求め る哲学者の衝動ではなく、むしろ知識の助けをもって得られる治療のために知識を求 める生理学者の衝動である。」(p.4) 【11】ピグーの3命題 ピグーの厚生経済学は「3命題」として知られている。 「第1 部において多くの限定の下においてではあるが、 (1)国民分配分の平均量が大き いほど、 (2)貧者に帰属する国民分配分の平均取得分が大きいほど、 (3)国民分配分の 年々の量と貧者に帰属する取得分の変動が小さいほど、 社会の経済的厚生はおそらく ますます大きくなるであろうことを論じる。」(初版序文) 社会的厚生(social welfare)は社会的功利と同じ意味。厳密に言えば、国民所得はただち に社会的厚生と一致しない。限界効用逓減の法則から、所得の再配分を根拠づけた第2命 題が有名。 「比較的に豊かな人から比較的に貧しい人へ所得を移転するとすれば、それは相対的 に強くない〔富者の〕欲望を犠牲にして、いっそう強烈な〔貧者の〕欲望を充足させ ることができるから、欲望充足の総計を増大させるに違いないことは明らかである。 かくして古い限界効用逓減の法則から確実に次の命題が導かれる。すなわち、貧者の 手中にある実質所得の絶対的分配分を増加させるいかなる原因も、もしそれが国民分 配分〔全体〕の規模を縮小させないのであれば、一般に経済的厚生を増大させるであ ろう、という命題がそれである。」(p.89)

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7 ピグーは所得移転による単純な厚生の増大を意図していたわけではない。 「一定の生活水準に慣れている人の所得が突然に増加したならば、彼は新たに得た部 分の所得を様々な刺激的な快楽に蕩尽しがちであって、その直接的および間接的効果 を計算に入れるならば、満足の喪失の方が大きくなることさえある。しかし、この議 論に対しては十分な反論がある。....ある期間にわたって高額の所得が持続すれば、こ のような局面は過ぎ去るであろう。そして、所得が徐々に増加していく場合には、愚 行の期間が全く生じないで済む。」(p.91) 労働者階級への所得移転 → 生活の質を向上させる欲望の変化(効用関数自体の変化) 無料図書館や劇場への補助金給付を支持 ピグーの理想的な生活の投影(新厚生経済学とは異質の発想) 第3命題は『厚生経済学』第2版で削除 → 『産業変動論』(1927)へ。 安定した収入の方が厚生を高める → 景気安定化政策の必要 ケインズ以前に不況期の政府支出を提唱 【12】効用の個人間比較:批判と反論 パレート(1848-1923)、ロビンズ(1898-1984)、ヒックス(1896-1985):効用の個人間比較 は不可能 → ピグーの厚生経済学を批判 「Aの満足とBの満足を検査する手段は全くない。...内省によって、 AはBの心の中 に起こっていることを測定できないし、BはAの心の中に起こっていることを測定で きない。異なった人の満足を比較する方法はないのである。...限界効用逓減の法則の拡 張〔ピグーの第2命題〕は非論理的なものである。したがって、それにもとづいた議 論は科学的根拠に欠ける。....それは倫理的な仮定としては興味深いが、純粋理論の実 証的な仮定からは全然出て来ないものである。それは単に、イギリス経済学と功利主 義とが歴史的に連合した結果の偶然の沈殿物にすぎない。」(ロビンズ『経済学の本質と 意義』第6 章、1932) ピグーは次のように反論した。 「相異なる個人の満足を比較することができないとすれば、この学問の主題の大きな 部分が基礎において崩される。... これを否定することは、厚生経済学を破滅させるば かりではなく、実践的思想の全装置を滅ぼす。類推、観察、および交際の基礎の上に

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8 立って、個人間の比較は適当に行うことができると私は思う。...一定量の物質は、誰か あるひとりと別の誰かとの間では無理としても、集団の中の代表的な人々の間では、 例えば、バーミンガムの市民とリーズの市民との間では同様の量の満足をもたらすと 想定することができる。厚生経済学という部門を成り立たせるのに必要なのは以上の ことだけである。」(p.850) 【13】厚生経済学その後 ピグー的関心の棄却(=客観性の追求) → 効率へ 〔厚生経済学の基本定理〕 今日の厚生経済学関連(社会選択論)の問題感心 物的アプローチの問題点 福祉諸指標からの乖離 効用アプローチの問題点 効用の客観性 習慣形成条件の無視:インドの寡婦の事例 評価の無視:アル中患者にとっての酒の事例 選択アプローチ(客観的に観察可能)の問題点 選択状況の無視:他人のための選択の事例 参考文献 清水幾多郎『倫理学ノート』講談社学術文庫 蓼沼宏一『幸せのための経済学』岩波ジュニア新書

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