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Taro 調査情報12月分

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企業・産業動向レポート

= 2013年12月1日~31日の報道内容 =

Ⅰ.各分会所属企業、関連企業・関連地域の状況

◎函館ドック労連関連 ◆名村造船所/株式報酬型の新株予約権発行 名村造船所は20日、株式報酬型ストックオプションとして新株 予約権を発行すると発表した。取締役、監査役、執行役員が対象で、報酬と同社の業績、株主利益の連動性をさら に高める狙い。新株予約権の目的である株式の種類、数は同社普通株式7万株で、新株予約権の総数が700個。 新株予約権を割り当てる期日、同予約権と引き換えにする金銭の払込期日は2014年1月22日、新株予約権を行使 することができる期間は14年1月23日から44年1月22日までとなる。 ◎住重追浜浦賀・玉島分会関連 ◆機関銃データ改ざん/住友重機・防衛省に納入、1,000丁超か 住友重機械工業(本社・東京都品川区)が、防 衛省に納入している機関銃の試験データを改ざんしていたことがわかった。改ざんは少なくとも10年以上に及ん でいたとみられる。主力装備品をめぐる不祥事が明らかになり、防衛調達のあり方が問われることになりそうだ。 防衛装備品の調達では、防衛省が製造企業に発注する際に要求性能を定めている。機関銃の場合、必要な発射 速度や一定距離の目標への命中率などの項目がある。関係者によると、同社は納入前の性能確認試験で、要求 性能を満たしていないのに基準に達しているように装っていたという。改ざんデータに基づいて納入された疑 いのある機関銃は1,000丁を超える可能性がある。自衛隊の機関銃の製造は同社がほぼ一手に担っており、同社 製の機関銃は陸海空の各自衛隊とも調達している。陸自は5.56㍉と7.62㍉の機関銃、12.7㍉重機関銃があり、全 国の普通科部隊などで広く使われている。海自の掃海艇や輸送艦艇にも搭載されている。空自は戦闘機のバル カン砲や地上から航空機を狙う20㍉対空機関砲がある。防衛省もこうした事実を把達し、指名停止処分などを検 討している。部隊での使用法のマニュアルなどは要求性能をもとにしており、防衛の現場への影響も懸念される。 同社IR広報室は朝日新聞の取材に対し、「現段階ではコメントできない」としている。同社をめぐっては昨年、機関 銃の製造にかかった作業員数と労働時間をかけ合わせた「工数」を水増しする手口で過大請求をしたことが発 覚。防衛省から指名停止処分を受けたほか、過払い金や違約金を含め計約23億円を納めた。 ◆機関銃、試験結果改ざん/住友重機、防衛省が処分へ 陸海空3自衛隊の機関銃を納入している住友重機械 工業が、納入前に実施した製品の試験結果を改ざんし、そのまま実際の部隊で使われていることが14日、防衛省 への取材で分かった。防衛省は、契約違反として近く同社を指名停止などの処分にする方針。防衛省によると、今 年6月、住友重機から同省装備施設本部に改ざんしたとの申告があり、同省が事実関係を調査して詳細が判明し た。5.56㍉機関銃などで、耐久性を含む試験結果のデータを変えていた。防衛装備品の納入に当たっては、防衛 省が企業に要求する性能の基準を提示し、企業は基準を満たしたことを確認して納入する。 ◆住重/防衛装備品検査で不備 住友重機械工業は16日、防衛装備品の一部の検査時に不適切な処理があ り、6月に防衛省に報告したと発表した。「現在も同省の調査に全面的に協力している」(住重)という。一部で防衛 省に納入している機関銃について、試験データを改ざんしていたと報じられたことに対し、コメントした。業績へ の影響など、状況が明らかになり次第、開示する。 ◆機関銃5,350丁基準満たさず/防衛省、住友重機を指名停止 住友重機械工業が防衛省に納入前の機関銃の 試験結果を改ざんしていた問題で、納入が始まった1974年以降、同省が求める基準に満たない機関銃少なくと も5,350丁を同社が納入していたことが18日、同省の調査で分かった。安全性に問題はなかったという。防衛省は 同日、同社を5カ月間の招名停止処分とした。防衛省によると、自衛隊が使う12・7㍉重機関銃など機関銃3種類は 全て同社が納入している。全種類で銃身の耐久性や発射速度の試験結果などに改ざんがあり、同省の基準に達 しているように見せかけていた。同社は防衛省に「要求された性能を満たすことが困難だった」などと説明した。 ◆機関銃データ改ざん5,000丁/防衛省 住友重機を指名停止 住友重機械工業(本社・東京都品川区)が機関 銃の試験データを改ざんしていた問題で、防衛省は18日、改ざんが1970年代に始まり、データを偽って納入され た機関銃は5千丁以上になると発表した。防衛省は同社を指名停止5カ月の処分にし、改ざんを見抜けなかった 検査態勢を見直す。防衛省によると、改ざんや虚偽記載があったのは3種類の機関銃。74年度から調達契約して いる7・2㍉機関銃の約1,350丁と、84年度から契約している12・7㍉重機関銃の約4千丁は、同社が納入当初から要 求性能を満たす機関銃を量産できないと認識しながら、試験の書類にうそを書いて合格させていた。7・62㍉は1 分あたりの発射速度が要求性能を下回っていた。12・7㍉は1万発を撃った時の耐久性試験の結果を偽っていた。 実際は5千発以降は発射速度が遅くなっていた。このほか、5・56㍉機関銃は93年度から約4,900丁が納入されて いるが、合格と不合格の割合は把握できていない。自衛隊の機関銃の製造は同社がほぼ一手に担っていた。同 社によると、5月に社内で「基準の性能を満たしていない機関銃がある」という報告があった。防衛省は同社から 6月に報告を受け、調査していた。同社は「品質管理よりも納期を重視した結果、改ざんを続けてしまった」と説明

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しているという。防衛省は長年にわたって改ざんを見抜けなかったことを受け、検査官による性能試験の元デー タの確認の徹底といった再発防止策を取るという。これまでに現場の部隊から運用上の支障は報告されていな いが、今後、同社負担で改修や部品の交換などを進めるという。同社IR広報室は「関係者に多大な迷惑をかけ、 深くおわびする」とコメントした。 ◆住重/造船、黒字転換視野 《円高是正、受注環境が大幅改善》住友重機械工業の別川俊介社長は25日、日 刊工業新聞社のインタビューに応じ、赤字の造船事業について「受注採算に乗る船価になってきた」と黒字転換 が視野に入ったことから、2014年度以降も継続していく方針を明らかにした。期初には撤退を含めた方向性も探 っていたが、円高是正などによる受注環境の大幅改善で事業存続が濃厚になった。別川社長は新造船の受注環 境について「昨年と様変わりしており、有望案件もある」とし、下期(13年10月-14年3月)1隻の受注計画に対し「確 定はしていないが、上回っていくだろう」と明かした。住友重機械はリーマン・ショック後の受注低迷から造船事業 の構造改革を進め、今年4月に建造体制を従来の年8-9隻から同3隻体制に絞り込んだ。この体制を14年度から3 カ年の次期中期経営計画でも継続し、「利益はトントンでも良い」との方針。期初には「採算が取れる有効な受注 は期待しがたい」とし「赤字継続は認められず、今年度内をめどに事業の方向性について検討し、成案を得る」と の考え方を示していた。船舶セグメントは13年度に35億円の営業赤字に陥る見通しだが、早ければ15年度にも黒 字化する可能性がある。再編は視野に入れず、当面の存続が決まったが、「次期中計後のことを言う状況にはな い」とし、将来の事業撤退の可能性も残されている。 ◎ヤマニシ分会関連 ◆ヤマニシ/新社長に長倉氏 ヤマニシ(宮城県石巻市)は16日開催の臨時株主総会および取締役会で、前田 英比古前社長の後任として長倉清明氏を代表取締役社長とする社長人事を決めた。なお、前田英比古氏は相談 役に、前専務の遠藤英雄氏は顧問に就任した。【長倉清明(ながくら・きよあき)氏】1953年6月28日生まれ。76年4 月ヤマニシ入社。技術部、営業部を経て2007年6月取締役営業部長。09年8月取締役営業部長兼技術部長。12年1 2月執行役員営業部長兼技術部長。 ◎西部地本関連 ◆今治造船/幸陽船渠を吸収合併 《来年初頭、直轄工場化で一体運営へ》今治造船は来年早々にも、グルー プ傘下で100%子会社の幸陽船渠(広島県三原市)を吸収合併する。これまで約30年にわたってグループ内の中 核子会社として運営してきたが、同造船所での建造船がメガコンテナ船やLNG船などの高付加価値船にシフトし、 売上規模や建造量も高まってきたため、直轄工場として-体運営する形に切り替えることになった。今治造船が 幸陽船渠の事業や全権利義務を承継し、幸陽船渠を解散する。合併時期は来年の早い時期とみられる。合併後の 体制など詳細は不明だが、今治造船の既存の3工場(今治工場・丸亀事業本部・西条工場)と並ぶ工場として運営 することになると見込まれる。幸陽船渠は今治造船グループの中でも重要な地位を占めている。2基の建造ドッ クで、ケープサイズ・バルカーやコンテナ船、アフラマックス・タンカーの建造を主に手掛けており、竣工量は単一 工場としてグループ内最大の年100万総㌧超を維持。また、今治造船グループ初となるLNG船2隻を同造船所が 建造したほか、今年受注した1万4,000TEU型コンテナ船の建造も予定するなど、高付加価値船の建造ヤードとい う側面がある。これまでは今治造船が主契約で受注し、幸陽船渠に建造委託する形をとってきたが、建造量や売 上規模が大きくなり、建造船種もグループの戦略上重要性を増していることなどから、吸収合併によって自社工 場として直接運営する形とし、経営効率を高める狙いがあるとみられる。幸陽船渠は1949年の設立。規参議院議 員の溝手顕正氏が社長を務めていた1986年に、造船不況のあおりで、従来から友好関係にあった今治造船に経 営権を譲渡した。修繕メーンで、今治グループの修繕事業を一手に担っていた時期もあるが、その後は新造船主 体に転換している。 ◎マツエディーゼル分会関連 ◆ヤンマー/4-9月期の経常益18%増 ヤンマーホールディングスの2013年4-9月期連結決算は、売上高が前年 同期比6%増の3,126億円、経常利益が18%増の253億円だった。大型船舶用のエンジンは海運市況に回復の兆し が見られるものの、昨年までの受注減少の影響により売上高は前年同期を下回った。一方、中小型の船舶用エン ジンはプレジャーボート用の需要回復には引き続き厳しい状況が続いているが、業務用は東南アジアの需要が堅 調に推移し、売上高が前年同期を上回った。小型産業用エンジンを含む内燃機関・関連機器事業の売上高は1,204 億円、営業利益は103億円で、売上高は全体の39%を占めた。2014年3月期の連結業績は売上高が前期比11%増 の6,400億円、経常利益が17%増の420億円を見込む。 ◎その他 ◆新造船受注量2.6倍、中国運輸局4-9月/手持ち工事量158隻 【広島】中国運輸局がまとめた2013年4-9月 の中国地方5県(山口県西部を除く)の新造船受注量(契約ベース)は、47隻、82万総㌧(前年同期比2・6倍)となっ た。新造船手持ち工事量は9月末現在で158隻、509万5000総㌧となっており、国内造船ゼロを懸念した「14年問 題」はなくなったと見ている。新造船受注では輸出船が30隻、79万7000総㌧(同2・7倍)と大半を占めた。液化天 然ガス(LNG)船の受注増や円安などで急回復した。だが、今後は船価が課題という。一方、新造船の建造量(完工 ベース)は50隻、146万2000総㌧(同37%減)で、エンジン、船舶艤装品などの舶用工業生産高も630億円(同25% 減)にとどまった。 ◆日立との火力新会社/三菱重工、1万4,000人転籍 三菱重工業と日立製作所が2014年1月に火力発電システ

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ム事業を統合するのに伴い、三菱重工グループ全体から新会社に1万4,000人弱が転籍する見通しになった。日 立グループ全体では約9,000人が新会社に移る予定で、総勢2万3,000人規模の巨大企業が誕生する。事業統合 後、約半年間をかけて相互の強みを分析。その後、開発や生産体制などを世界規模で再編し、シナジーを創出す る。社名には「三菱」「日立」を残す方向で調整している。統合新会社の本格始動に向け、独占禁止法など海外で の審査はおおむね完了した。12月中旬にも概要を発表する予定。出資比率は三菱重工65%、日立製作所35%で、 三菱重工から社長を出す。西澤隆人取締役常務執行役員が有力視されている。火力発電システムや地熱発電シ ステム、環境装置などの事業は新会社に継承されるが、三菱重工の航空機エンジン転用型ガスタービン事業は本 体に残す予定。これは三菱重工が米航空機用エンジンメーカーのプラット・アンド・ホイットニー(P&W)の中小型ガ スタービン事業ユニットを今春買収完了した事業。三菱重工の「エネルギー・環境ドメイン」と一体となり、統合新 会社で営業は展開していく。統合新会社は出資比率にとらわれず、世界で戦うための最適な開発、生産体制を構 築するため、約半年の時間をかけて組織再編の構想を練る。インドのように、両社が現地企業と合弁事業を手が ける地域もあり、これらの一本化も課題になる。三菱重工と日立製作所は12年11月、火力発電システムの事業統 合で基本合意し、13年6月に統合契約書を締結している。ガスタービンでは三菱重工が大型機種を、日立製作所 が中小型機種をそれぞれ得意とし、地域別にも強みを持つ。技術、製品事業における補完関係の利点を最大限に 引き出し、米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスに対抗する。 ◆日立との火力新会社/17年度営業益 三菱重工2,000億円 三菱重工業の宮永俊一社長は9日、日刊工業新 聞社のインタビューに応じ、2014年1月に発足予定の日立製作所と火力発電システムの統合新会社について、17 年度以降に営業利益2,000億円以上、営業利益率10%超を目指す方針を明らかにした。宮永社長は新会社始動 後、「合弁効果を出すのに3-4年かかる」との見方を示した。売上高は独シーメンスと肩を並べる2兆円規模(現状 は1兆2,000億円規模)に引き上げる方針。一方、航空機事業については、受注が期待できる米ボーイングの次世 代「777X」向け部品生産や最新鋭戦闘機「F35」の組み立てなどを見据えると「投資は巨額になる」とし、開発中 の「MRJ」も「量産投資は三菱重工が行うので、三菱航空機の負担はそう大きくない」とした。また、支援継続を決 めた三菱自動車との今後の関係については、要素研究に関する連携や技術者派遣などを行う方針。「経済合理 性を追求していないわけではないが、まずは支援を決意したことを守る」と述べた。国内生産を縮小した造船事 業については「中堅造船所がコスト競争力を持っており、無理して入る必要はない。三菱重工に適した仕事のやり 方があり、本当の強さを急いで探す」とし、一段の事業再編に含みを持たせた。 ◆火力事業統合2月に延期/三菱重工と日立 三菱重工業と日立製作所は18日、火力発電システムの事業統合 を1カ月延期し、2014年2月1日にしたと発表した。両社は「世界規模で事業統合を円滑に達成し、統合会社の速や かな事業展開を実現するため」と説明している。統合新会社に関する役員人事などに変更はない。事業統合によ り、売上高1兆2,000億円規模、従業員数2万3,000人規模の巨大企業が誕生する。 ◆13年竣工量/三菱重工12隻・46万総㌧ 三菱重工が20日発表した2013年の新造船竣工量は、12隻・46万総 ㌧と前年比5隻・37万総㌧減少した。神戸造船所の商船撤退などが主因。進水量は11隻・47万総㌧で6隻・46万総㌧ 減少。 ◆三菱重工/13年の竣工量半減 《初の50万㌧割れ、操業減や船種変化で》三菱重工業の2013年の新造船竣工 量は12隻・46万総㌧で、前年に比べて隻数では5隻減、総㌧数では45%減となった。50万総㌧を下回るのは過去3 0年で初めてとみられる。神戸造船所の商船撤退や操業のスローダウンに加えて、総㌧数の小さい高付加価値の 船種が中心になっていることが影響しているようだ。竣工船は、国内船が5隻・1万2,693総㌧、輸出船が7隻・44万 7,637総㌧だった。船種別ではLPG船とフェリーが各2隻、タンカーとコンテナ船、自動車船、RORO船、バルカーが 各1隻、その他3隻となっている(艦艇・保安庁船は除く)。また進水量は11隻・47万総㌧で、前年比で隻数は6隻減、 ㌧数は50%減だった。三菱重工は、一般商船については社外へのエンジニアリングを志向しており、自社での建 造船は客船やLNG船、海洋調査船など付加価値の高い船にシフトしている。これら船種は工数がかかる一方で総 ㌧数は小さいため、㌧数べ-スでの建造量は縮小する傾向にある。

Ⅱ.国内造船・造機関係の動向

◆1-11月の受注量/1,270万総㌧ 《輸組統計、11月は3カ月連続で増加》日本船舶輸出組合(輸組)が13日発表 した11月の輸出船契約実績は計36隻・124万総㌧で前年同月比38%増加した。ハンディ~ハンディマックス、貨物 船などの中小船が中心で、3カ月連続で前年同月を上回った。1-11月の受注量は同70%増の計318隻・1,268万総 ㌧だった。11月の契約実績の内訳は、一般貨物船4隻、バルカー28隻(ハンディ4隻、ハンディマックス19隻、パナマ ックス2隻、石炭船1隻、鉄鉱石船1隻、チップ船1隻)、タンカーが4隻(アフラマックス1隻、LPG船3隻)。純輸出船は8 隻だった。契約態様は、㌧数ベースで円建て契約が11%、円・外貨ミックスが15%、外貨建てが74%。現金払契約10 0%、商社契約が6%。納期別では14年度もの29%、15年度もの54%、16年度もの12%、17年度もの5%だった。竣 工量に相当する11月の通関実績は、前年同月比75%増の22隻・107万総㌧だった。1-11月の竣工量は同16%減の2 75隻・1,214万総㌧だった。 ◆11月輸出船受注38%増/124万総トン、納期17年度以降に突入/船舶輸組まとめ 日本船舶輸出組合が13日発 表した2013年11月の輪出船契約(受注)実績は、124万総㌧(62万CGT〈標準貨物船換算トン〉)と、前年同月比38% 増(CGTベースで51%増)だった。3カ月連続のプラス。受注船のうち1隻(6万総㌧型)が初めて17年度以降の納期 に突入した。船種など詳細は不明。11月の契約隻数は前年同月実績と比べ13隻増の36隻。このうち海外船主向け

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の純輸出船は8隻だった。36隻の船種別内訳は、一般貨物船4隻▽ハンディサイズバルカー4隻▽ハンディマック スバルカー19隻▽パナマックスバルカー2隻▽石炭運搬船1隻▽鉄鉱石運搬船1隻▽チップ船1隻▽アフラマックス タンカー1隻▽LPG(液化石油ガス)船3隻-だった。契約は全て現金払いで、トン数ベースの契約形態内訳(シェ ア)は、円建て11%、円・外貨ミックス建て15%、外貨建て74%。商社契約が6%となった。納期別内訳は、14年度29 %▽15年度54%▽16年度12%▽17年度5%。輸出船の竣工量を示す通関実績は107万総㌧(46万CGT)で75%増 (CGTベースで61%増)だった。隻数は7隻増の22隻。一時的に増加した半面、各社の操業スローダウンなどもあ り、1~11月、4~11月累計実績では前年同期比でそれぞれ2桁減となっている。11月末の輸出船手持ち工事量は594 隻、2,516万総㌧(1,179万CGT)となった。前年同月末は604隻、2,775万総㌧(1,239万CGT)だった。 ◆輸出船契約実績、3ヵ月連続増加/11月は38%増 日本船舶輸出組合が13日まとめた2013年11月の輪出船契 約実績は、124万総㌧と前年同月に比べ38.1%増加した。円安で日本メーカーの価格競争力が回復し、3カ月連続 で前年同月を上回った。今年度末までは改善が続くとみられ、低迷が続いていた船価も回復しているという。受 注隻数は36隻で、そのうち28隻は石炭や鉄鉱石を運ぶばら積み船だった。シェールガスなど液化天然ガス(LNG) の運搬船の需要が今後本格化する見通しで、同組合は「油送船の受注が増加することが本格回復の条件ではな いか」と話している。 ◆手持ち工事量/2,516万総㌧ 日本船舶輸出組合がまとめた今年11月末時点の手持ち工事量は594隻・2,516 万総㌧(1,135万CGT)で、3カ月ぶりに増加に転じた。納期別では初めて17年引渡船が集計された。納期別の内訳 は2013年度引渡分107隻・477万総㌧、14年度引渡分270隻・1,151万総㌧、15年度引渡分169隻・652万総㌧、16年度 引渡分47隻・228万総㌧、17年度引渡分1隻・5万総㌧。 ◆輸出船引き合い/2カ月連続2ケタ 《国内造船大手、10月14件》本紙集計による今年10月の国内造船大手5社 の輸出船引き合いは計14件で、7カ月連続で前年同月を上回り、9月に引き続いて2ケタ台を維持した。引き合いは ケープサイズやパナマックスなどの中大型バルカーから自動車船、プロダクト船、LPG船など多岐にわたってお り、これまでの主軸だった中小型バルカーが低調だった。10月分の各社別の引き合い状況は次のとおり(カツコ 内は前年同月実績、JMUは旧ユニバーサル造船とIHIMUの合計)。Δ三菱重工2件(2件)、Δジャパンマリンユナイ テッド8件(4件)、Δ三井造船 1件(1件)、Δ川崎重工1件(2件)、Δ住友重機械2件(1件)、Δ合計14件(10件)。【船種 別内訳】Δコンテナ/貨物船:2件(前月ゼロ)=自動車船2件。Δバルカー:7件(前月7件)=ハンディマックス1件、ス ープラマックス1件、パナマックス2件、ケープサイズ3件。Δタンカー:2件(前月1件)=アフラマックス1件、LRII型プ ロダクト船1件。Δガス船:3件(前月2件)=LPG船1件、不明2件。Δ特殊船:ゼロ(前月ゼロ)。Δその他:ゼロ(前月ゼ ロ)。【造船所別 内訳】Δ三菱重工:2件=ガス船2件、地域は欧州2件。Δジャパンマリンユナイテッド8件=自動車 船2件、ハンディマックス1件、パナマックス2件、ケープサイズ3件。地域は欧米5件、アジア3件。Δ三井造船:1件=ス ープラマックス1件、地域は欧州1件。Δ川崎重工:1件=LPG船1件、地域は欧州1件。Δ住友重機械:2件=アフラマッ クス1件、LRII型プロダクト船1件、地域は欧州2件。 ◆輸出船引き合い、3カ月連続2ケタ/11月は13件、タンカー・ガス船が増加 本紙集計による今年11月の国内造 船大手5社の輸出船引き合いは計13件で、3カ月連続で2ケタ台を記録した。引き合いの水準としては100万総㌧ 規模の受注が続いた今年2~7月を上回る水準が続いている。引き続き、スープラマックスで堅調な需要が寄せら れている一方、ケープサイズは下火となっている。新たな船種として、タンカーやLNG船などの増加が鮮明となっ ている。11月の各社別の引き合い状況は次のとおり(カツコ内は前年同月実績、JMUは旧ユニバーサル造船とIHIM Uの合計)。◇三菱重工2件(ゼロ)、◇ジャパンマリンユナイテッド6件(3件)、◇三井造船1件(ゼロ)、◇川崎重工l件 (ゼロ)、◇住友重機械3件(2件)、◇合計13件(5件)。【船種別内訳】◇コンテナ/貨物船:ゼロ(前月2件)。◇バルカ ー:5件(前月7件)=ハンディマックス~スープラマックス5件。◇タンカー:4件(前月2件)=アフラマックス2件、パ ナマックス1件、小型タンカー1件。◇ガス船:4件(前月3件)=LNG船3件、LPG船1件。◇特殊船:ゼロ(前月ゼロ)。◇ その他:ゼロ(前月ゼロ)。【造船所別内訳】◇三菱重工:2件=LNG船1件、LPG船1件、地域は不明2件。◇ジャパンマリ ンユナイテッド:6件=ハンディマックス~スープラマックス4件、LNG船2件。地域は欧米4件、アジア2件。◇三井造船 :1件=スープラマックス1件、地域は欧州1件。◇川崎重工:1件=小型タンカー1件、地域はアジア1件。◇住友重機械: 3件=アフラマックス2件、パナマックス1件、地域は欧州3件。 ◎国土交通省海事局・海上保安庁関連 ◆海上保安庁/補正と14年度で要求全隻が予算化 海上保安庁が2014年度概算要求で求めていた巡視船艇1 2隻の新規整備(うち2隻ほ延命)については、2013年度補正予算と14年度予算で全隻が認められた。概算要求で は、1000㌧型巡視船6隻と新船型の中型巡視船4隻の計10隻の新造整備のほか、ヘリコプター搭載型巡視船2隻 の延命・機能向上工事を要求していた。このうち13年度補正予算で、1000㌧型6隻の新造に104億円、ヘリ搭載型1 隻の延命に15億円の予算がつき、2014年度予算では残る中型巡視船4隻の新造とヘリ搭載型1隻の延命で19億円 が予算化された。緊迫化する尖閣諸島周辺海域の警備情勢に対応するほか災害対応能力を高めるため、巡視船 の大型整備が認められた格好だ。このほか継続分は、14年度予算では20隻(1000㌧型新造18隻、ヘリ搭載型延命 2隻)で計217億円。13年度補正では、1000㌧型2隻の新造で12年度予備措置船の建造前倒しに34億円が予算化さ

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れている。 ◎日本造船工業会 ◆競争力向上へ努力/「手持ち2年、時間的余裕」 日本造船工業会の佃和夫会長は17日の定例会見で、円高是 正などにより受注が増えた半面、需給ギャップがあることなど環境は根本的に変わっていない点を指摘、業界で 引き続き競争力、製造能力を高める努力が必要との考えを示した。具体的な施策として、提携やM&A(合併・買 収)を含めた企業体質の強化▽省エネ・環境負荷軽減に関する技術開発▽海洋開発など新市場の開拓-の3つ を挙げた。佃会長は「受注が増えたことで造工加盟メンバーも手持ち工事が2年近くある。造るものがなくなる状 況は回避された。時間的な余裕をもらったと考え、この余裕がある間にどう課題を解決するかが重要」と語った。 競争力強化に関する具体策では、海外進出などと同時に「日本国内でやることもたくさん残っている」と説明。 「数字で考えると国内の造船会社が大手、中堅造船で100社、小規模企業を含めると1,000社ある」と指摘し、集 約などの必要性を示唆した。11月に沖縄県で開かれた日本、欧州、中国、韓国、米国の5極(JECKU)の造船首脳会 議で印象に残った点については「(受注量が増えたことで)どこのエリアも明るい兆しが見えたことを実感した」 と述べ、「中国の代表が初めて建造能力が需要の倍近くあることに言及した。全エリアが造船の置かれた状況に ついて共通認識を持ち得るようになった」と語った。 ◆専業造船と重工系の連携に期待 《造工・佃会長「環境好転した今こそ構造改革」》日本造船工業会の佃和夫 会長は17日に定例会見を開催した。日本の今年の受注回復を受けて「環境が好転した今こそ、本当の競争力を高 める努力をするべき」とし、再編を含めた構造改革と、技術開発、新市場開拓の3点を進める必要性を示した。再 編については「戦略的な業務提携も含む」とし、専業造船所と総合重工系の造船所の連携が活発化するとの見 方に「全く賛成」との考えを示した。佃会長の発言要旨は次のとおり。〈日本造船業の現状と課題〉Δ今年の日本の 受注量は1,000万総㌧を超えて昨年の2倍近い状況。造工メンバー各社も「2014年間題」は回避されて受注残が2 年近くある。だが根本的な需給バランスの問題は変わっていない。好環境下であるからこそ、時間的猶予を使っ て本当の競争力向上への努力を行う必要がある。1点目は企業自身の強化であり、戦略的な業務提携やM&Aも 含めた体質強化を引き続き探っていかなければならない。2点目は開発努力。燃費向上や環境対策で一歩先んじ た開発による競争力を強化する。3点目は新しいマーケットヘの拡大。海洋開発に進めていく。Δブラジルやインド への進出、海外造船所との協力などの海外展開も行うが、日本国内でやるべきこともたくさん残っている。日本 の中でこれまで比較的協業が組めていなかった専業造船所と総合重機系の造船所が一緒にやっていくことが、 より活発になるという意見があったが、私も全く賛成。従来の協業の形を変えた事業提携が出てくると期待して いる。〈造船首脳会議(JECKU)〉Δ日本だけでなく韓国・中国も受注量が大幅に増えている。世界の今年の受注量 は前年の倍近い7,000-8,000万総㌧になるだろう。底を脱したという意味で、各国とも明るい兆しが見えている と実感していた点が特徴だった。Δ中国は従来は強気な発言だったが、今回初めてヾ造船の生産能力が需要の 倍あるとの見方を示していた。造船業が置かれている状況について、ようやく各国が共通の認識を持ち得た。各 国造船業が今後それぞれの立場でやるべきことを努力していけば良い。〈為替について〉Δ日本の造船業からす れば、1円=10ウォン、1ドル=100円という段階で競争できる状況が整ってきた。〈シェールガスによるLNG船需要〉Δ LNG船iま相当数の需要を期待している。韓国造船所が世界シェアの7割を握っているが、新しい需要を日本勢が どこまでとれるかは、個社の問題というより、日本の造船業の問題。一致団結とはならないが、何とかして最新の LNG船の受注を日本がもっと増やせないか。商談は個別が基本なので、各社が業務提携で受注活動をした方が 有利であれば、そう行うだろうし、製造のアロケーション(配分)が有利と考えれば、そういう協業のあり方もあり えるだろう。〈春闘について〉Δ企業には従業員以外にもステークホルダーがたくさんおり、企業経営は全体に目 配りしながら行うのが基本。一方、円高是正等で経営状態が改善されたのは事実であり、それを従業員の給与に も反映させるべきという点は間違いない。どの程度、どのように反映させるかは各企業の判断だ。 ◆今期純現金収支の黒字/三菱重1,000億円確保、川重も黒字化 重機大手2社が採算管理の徹底で資金効率 の改善を急いでいる。三菱重工業は大型買収をしたうえでも2014年3月期に純現金収支(フリーキャッシュフロ ー)で1,000億円の黒字を確保し、負債は17年ぶりに1兆円を下回る見通し。川崎重工業も黒字に転換し、負債を1 割減らす。成長資金を機動的に調達できるように、確保した現金で有利子負債を減らし財務体質を強化する。三 菱重は約60の事業単位ごとに投資や現金収支を管理する制度が奏功し4期連続の黒字となる。原動機事業で過 去最大の買収案件があり投資キャッシュフローは最大2,000億円の赤字(前期は767億円の赤字)となるが、営業 キャッシュフローは最大3,000億円の黒字(同2,883億円の黒字)となりそう。今期末の有利子負債は約9,700億円 を見込む。川重は純現金収支が約380億円の黒字(前期は530億円の赤字)となりそう。今期末の有利子負債は前 期末比1割弱減り、約4,500億円となる見通し。同社も約40の事業単位ごとに管理するなど資金効率の改善を急 いでいる。多くの製品を手掛け、幅広い分野で多額の設備投資をする両社は資金効率が悪く、負債が膨らみがち だった。両社とも安定から成長への移行を模索しており、今後は航空機など成長分野で多額の資金が必要になる 場面が増えそう。このためいつでも市場から資金を調達できる体制を整える。 ◆国内造船業界、一部船台18年に突入/新造発注堅調、船台埋まる 国内造船業界で新規の新造発注の納期 が2018年の船台に突入した造船会社が出てきた。新造発注が活発に続いているのに加え、年前半に契約した新 造船のオプションが行使され、船台が埋まってきたのが主因。韓国・中国の主要造船所の船台も確定が進んでい

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るのを受け、新造船価はじり高となっているものの、世界の造船設備の供給過剰状態は変わっていないため、「取 れるときに取る」という基本姿勢が変わっていないことも背景にあるようだ。国内造船では、尾道造船がすでに1 8年船台に突入済み。これに続き、18年船台に突入した造船所がほかにも出てきた。国内造船各社は年初から、バ ルカーを中心に新造船を受注。新造船価は引き続き厳しいレベルとはいえ、積極的に新造船を受注する方向に一 部造船所はアクセルを踏み込んだようだ。新造船価の見通しについては、14年のドライ・タンカーの海運市況が13 年に比べさらに改善するのではないかとの海運側の期待に加え、鋼材価格の先行きなどを踏まえ、上げざるを得 ない造船側の事情も絡む。そのため、船台確定が進んでいることをベースに、急騰はしなくともじり高基調が続く のではないかとみる向きが強い。新造船マーケットでは、VLCC(大型原油タンカー)、アフラマックスの発注が本格 的に復活するとの見通しもあり、主要造船国の大型造船所の船台がこれらの船種により、確足がさらに進むとの 見方が浮上してきている。 ◆中古船価差が拡大、4割差も/日本と中国の建造船、品質差が反映か 中古船市場で、日本建造船と中国建造 船の価格差が広がっている。両国が得意とする中小型バルカーでは、同じ時期に売りに出た同船齢・同船型の船 で、最大4割の価格差がつく例も出ている。「船齢によっては中国製は買い手がつかない」(商社関係者)という 場面もあるようだ。日本建造船の燃費性能などの評価が高まる一方、中国産造船は竣工量増加で低品質の船も 増え、経年劣化など評判が悪化。新造船以上に、中古船市場で「ジャパンプレミアム」と「チャイナデイスカウント」 が明確に反映されているようだ。もともと中国建造船と日本建造船には一定の価格差があったが、これが拡大し ているという。例えば今年、船齢3年の5万重量㌧級バルカーでは日本建造の中古船が2,000万㌦台半ば~後半で 売買されている時期に、中国建造船の価格は2,000万㌦を大きく下回る水準といった具合だ。船価差が拡大傾向 にあるのは、従来の品質差に加えて、船主が燃費性能を重視するようになっていることも背景にあるという。基 本の燃費性能の差だけではない。ある商社関係者は「減速運航が主流になる中、船によっては速度を落としても 素直に燃費が下がらない傾向がはっきり表れたようだ。総じて日本船は成績が良いが、中国船は悪いと聞いて いる」と話す。また別の船主関係者も、「経年による性能低下や品質劣化の差が激しい。船主のメンテナンスの差 もあるが、基本的に中国船は経年劣化が大きい」と話す。そもそも、中古船市場では、中国建造船の取引例が日 本建造船に比べて圧倒的に少ない。歴史が浅いため船齢の若い船が多いという点や、中国内でのオフマーケッ ト取引が多いという背景もあるようだが、「ある程度船齢が経つと買い手がつかないか、そもそも売り物になら ない状態になっている船もある」(商社関係者)という点も大きく影響しているとの見方がある。中国船の具体的 なトラブルが表面化する例は少ないが、ある監督は「船主に中古船のインスぺクションを頼まれても、建造造船所 と船齢を聞いて、“見るまでもなく使い物にならない”と助言することもある」と明かす。ただ、こうした転売価値 は新造船市場では十分には反映されていない。新造船でも日本船と中国船には一定の船価差などが認められる ものの、中古船ほど顕著ではない。ある船主関係者は「中古船では修繕などにも限界があるが、新造船なら監督 を出してある程度最初からコントロールできる余地がある」と話す。 ◆ニュース造船 《13年新造船発注 前年比倍増、船価安で仕込み時》造船は、新造発注が引き続き旺盛な状 況が続いている。造船、内航、行政などのこの1カ月を振り返る。デスク 今年の新造発注はとどまるところを知ら ないという感だ。まずは、これからいこうか。A:本紙集計では、2013年の世界の新造発注は20,00隻に迫る勢いで す。前年比倍増です。B:円高修正により、日本の造船所が受注しやすくなったという要因もありますが、それだけ ではなく、中国や韓国の造船所も積極的に受注しています。C:金融緩和による世界的な過剰流動性が船舶投資 に向かっているという要因もあります。デスク:海運市況はドライ・タンカーともにこの秋以降上昇し、足元の新造 商談には追い風となっている。しかし、この船舶投資ミニバブルとも言える状況は、それらの理由だけでは説明 しきれない面もあるのではないか。A:12年から13年第1四半期にかけては、新造船価はまさに当面の底値でした。 しかも、投資対象の新造船は燃料消費量を2割削減できるエコシップです。このタイミングで新造発注できた船社 は、まさに底値発注ができたと思われます。B:新造船価は4月以降、全般的にじり高基調が続いています。しかし、 それでもまだまだ安い。例えば、ハンディサイズバルカーの足元の新造船価レベルは、船型3万5,000重量㌧型で 2,200万㌦と12年比100万㌦高、11年比50万㌦安です。C:船価安は新造発注の重要なファクターです。足元の船価 はまだ確かに安い。エコシップも魅力的です。自己資金を厚めに入れるキャッシュ・リッチな船主にはファイナンス も付く。14年の新造船の竣工量は13年比減少するということで、海運・造船サイドには楽観ムードが広がっていま す。デスク:しかし、それは本当だろうか。英シップブローカーのクラークソンによれば、14年はケープサイズの新 造船竣工量が2,100万重量㌧、VLCC(大型タンカー)の新造船竣工量が30-40隻規模と決して少なくはない。海運 ・造船の楽観論には根拠がないと言われても仕方ない。A:LNG船など一部を除き、船隊整備をストップさせている 邦船大手3社は、船隊コストの平準化という意味で、現在の仕込まない状況は確かにリスキーといえばリスキーで す。B:新造発注する際に、既存フリート・新造発注残比率の低さが有力な材料となっています。しかし、どの船種・船 型でも、リーマン・ショック前後に発注された若齢船が全体の5割を占めていると思われます。全体の平均船齢が 低下している分、市況低迷時に調整役を果たすスクラップ予備軍の高齢船は減っています。C:次のトンネルは相当 に長いと覚悟したほうがいいかもしれません。《輸出船受注 リーマン以降最高、回復局面はまだ先?》デスク:国内 造船の新造船受注の伸びは統計にも表れてきたな。A:日本船舶輸出組合が先月発表した輸出船契約(受注)実績 では、1-10月累計の受注量が1,144万総㌧(538万CGT=標準貨物船換算㌧)でした。2013年の実績は10月までで、 リーマン・ショック以降の暦年(1-12月)実績で過去最高だった10年(1,115万総㌧、498万CGT)をすでに上回ってい ます。13年は、リーマン・ショック以降最高の年間受注量になることが確定しました。B:単月実績では、1月と2月は マイナスでしたが、3月にリーマン・ショック以降最高を記録しました。7月の段階で、1-7月累計が昨年1-12月実績 を超えています。8月は落ち込んだものの、3月から7月までの単月実績は前年同月の2-3倍、9月、10月も2桁増で した。C:手持ち工事量は前年同月末比でマイナスが続きますが、前月末比では8月末までプラス基調でした。船種

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では引き続きバルカーが中心となっているものの、10月には昨年8月以来となるVLCC(大型タンカー)2隻が出た ほか、8月には約13年ぶりとなるフェリー1隻の受注がありました。これ以外に、今後LNG(液化天然ガス)船、PCC (自動車船)、コンテナ船などの船種も期待したいです。デスク 受注が増えている半面、船価面など状況は依然 厳しい。A:3月から相次いで開催された大手、中堅造船会社首脳の会見では、「需要と供給のバランスからみて、当 分厳しい状況が続く。現状の船価は限界にきている」「1㌦=100円の為替レートでも苦しい」「船価の若干の上昇 がみられるものの、コストを十分カバーするまでには至っていない」などの声が聞かれました。B:日本、欧州、中 国、韓国、米国5極(JECKU)の主要造船経営者による造船首脳会議が11月に開かれましたが、日中韓では船価が 厳しい点で認識を共有しています。需給に関しては議長声明で、「新造船市況に若干の改善がみられるが、これ は昨年の受注低迷の反動によるもの」との見方が示されました。さらに「危機を完全に脱して回復局面に入ったと 警戒感を解くには時期尚早である」ことを指摘しています。C:国内造船各社が取り組んでいますが、省エネ、環境 負荷軽減に関する技術開発をさらに進めること、そして、それによる商品(船舶)の差別化を地道に行っていくし かない。EEDI(エネルギー効率設計指標)などの規制の動きも追い風になります。《建造申請 大型船の動き一服》 デスク 日本内航海運組合総連合会(内航総連)が11月1日から20日まで受け付けた2013年11月期船舶建造募集 は、油送船の申請が低調だったな。A:11月期の建造申請全体もこれまでよりも低調でした。11月期の申請隻数は1 5隻・3万6,000対象㌧(貨物船・重量㌧、油送船・立方メートル、曳船・馬力など)。前年11月期(申請ベース、22隻・5万 790対象㌧)と比べ7隻減・1万4,800㌧減少。今年度実施した4回の建造申請で最も少ない申請数となりました。B:1 1月期の油送船の申請隻数は小型船3隻にとどまりました。これまで5,000-6,000立方㍍型といった大型船も含め 応募が相次いでいましたが、状況が変化しましたね。デスク:これまで油送船の建造の動きが活発だったな。C:油 送船の応募は11、12年度に続き今年度も目立ちました。5月期は13隻・4万2、199立方㍍、7月期12隻・4万3,900立方 ㍍でした。A:東日本大震災以降の原子力発電所稼働停止で石油火力向けの輸送需要が増えたことなどで、内航 油送船の建造がコンスタントに行われてきました。13年度に入ってからも老齢船の代替を中心に堅調な建造需要 で推移し、5月期の申請隻数(13隻)は11年度以降の単月申請期で初めて10隻以上となりました。7月期も12隻と大 型船を中心に申請が伸びました。C:ただ9月斯から状況が変化し、大型船の申請が一服して小型船が中心となり ました。デスク:これまで活発だった背景は。A:13年度に建造が伸びた理由として政府の「エネルギー供給構造高 度化法」による影響が挙げられます。石油元売り各社は同法への対応として製油所の再編などを進めています。 内航各社も輸送距離拡大などに対応するため大型化を図りました。B:足元では、大型船を中心に進んでいた建造 の動きも一巡したようですね。今後は建造の動きは鈍化しそうです。C:内航総連が内航船を建造している造船所 に対し実施した建造動向値調査によれば、14年度の受注量は石油タンカー、ケミカルタンカー合わせて9隻・1万8, 100立方㍍で、前年度の同調査時点の13年度の受注量と比べ8隻・2万200立方㍍減少する見通しです。未公表の 計画もありますからこの数字よりは隻数は多くなりそうですが、今年度ほどは建造数が伸びないとみられます。 デスク:これまで活発だった油送船の建造が鈍化した。ただ、油送船も小型船を中心に老齢船が多い。13年度の最 終受付期となる14年1月期以降の申請動向がどうなるか注視していこう。 ◆大島造船所/1,200㌧吊りゴライアス1基追加/クレーン能力計2400トン・国内最大 大島造船所は、1,200㌧吊り ゴライアスクレーン1基を追加導入する模様だ。すでに同規模のゴライアス1基を導入済みで、2基体制となればク レーン吊り上げ能力は単純計算で国内最大の2,400㌧となる。実際の運用では、1,000㌧のメガブロックを1基で運 び、もう1基でドックヘのブロック搭載を行い、建造工事を整流化することで工期を短縮することもできる。国際競 争が厳しさを増すなか、競争力を一段と強化する狙いがあるものとみられる。関係筋の話を総合すると、大島造 船所は1,200㌧吊りゴライアス1基の追加導入を決めたようだ。実際の導入時期は不明。1,200㌧吊りクレーンは、三 菱重工が導入したのを皮切りに、大島造船所が追随した。海外では、韓国の現代重工が第2工場の群山に1,600㌧ 吊り1基を導入し、これが世界最大とみられる。大島の2基合計の能力2,400㌧はこれを抜いて世界最大。ただし、 ゴライアスの運用については、これだけ大型のクレーンとなると、2基による“とも吊り”ではなく、ドック搭載前の 地上でのブロック建造を大型化させて搭載個数を減らし、ブロック搬送とブロック搭載の双方にクレーンを振り分 けて分業させ、建造効率を向上させる手法が取られる。大島造船所は「バルクの大島」として世界的に有名。その バルカーの新造商談では、中国勢が進出してきており、競争は激しさを増している。大島造船所など日本勢は燃 費性能に優れたエコシップを開発・市場投入し、差別化しているが、市場環境が悪化した場合には中国の船価に 引きずられる可能性もある。大型ゴライアスクレーンの導入は、造船業界内には「カンフル剤のようなものであり、 改善のための根本的なものではない」との指摘もある。ただし、実際にブロック搭載個数を劇的に減らしたり、建 造工程を短縮するうえで威力を発揮するのも現実となっている。大島はトヨタ自動車から人材を迎え入れ、作業 の効率化に貪欲に取り組んでいることから、造船業界内では、クレーン能力倍増で一段と競争力に磨きをかける のではないかとみる向きが強い。 ◆来秋1,200㌧型クレーン増設/大島造船、6年ぶり大規模設備投資 大島造船所は来秋、建造ドック(535m×80 m)に吊り能力1,200㌧のゴライアスクレーン1基を増設する。既存の1,200㌧クレーンと合わせて2基体制とし、建造 効率アップを図る。既に2015年以降の建造船は、新たな建造体制をもとに線表を組んでいる。大島では2008年ま でにクレーン増強や埋立工事などの設備投資を実施しており、大規模な設備投資は6年ぶりとなる。来年9月にド ックにクレーンを導入し、11月から稼働する予定。現在ドックには1,200㌧型クレーン1基と300㌧型クレーン2基があ るが、新クレーン増設に伴い300㌧1基は岸壁に移設し、ブロック製作などに利用する予定。大島造船は単一ドック での生産性アップを基本的な考えとし、工事の地上化率を高めてドック期間を短縮し、建造隻数を増強する方向 性でこれまで各種の設備投資を続けてきた。2008年には、ドックに1,200㌧・クレーンを設置するとともに、5万㎡の 埋立工事を行って総組定盤とする大型投資を実施。これによって搭載ブロックが大型化し、工事の地上化率がさ らに高まった。この後は定盤の大型化や艤装岸壁の整備、鋼材ヤードの拡張など、新たな体制に即して上流から

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下流に至る工程のボトルネック解消に向けた設備投資を続けており、これにより現在までに生産規模は52型バル カー換算で年55隻に高まっていた。この一方、生産の核となる建造ドックでは、新設した1,200㌧クレーンと従来の 300㌧クレーンとの能力のアンバランスが工程上のネックとなっていたもよう。そこで新たに同じ能力の大型クレ ーンを投入することで、クレーン能力をそろえることにした。一般的に、同一能力のクレーンが複数あると、クレー ンの柔軟な活用やブロック分割の共通化などで生産性向上が見込める。大島造船では生産規模を52型バルカー 換算で年60隻にまで高めることを将来の「夢」としていたが、今回のクレーン増強により、この体制へと近づくよ うだ。 ◆大島造船、線表は17年後半に/今期受注30隻以上、3年半分確保 大島造船所は今年度に入って30隻以上の 新造船を受注し、2017年前半までの線表をほぼ確定したようだ。別項のとおりクレーン増強で建造体制が強化さ れるが、新たな建造体制を前提に、既に3年半分の仕事量を確保したことになる。大島造船は仕事量3年超の維持 を受注戦略としており、今年度内に2016年度末(2017年3月)まで3年分の手持ち工事量確保を目指していた。た だ、新造船の需要回復で国内外の友好船主からの引き合いが増加していることから、既に目標を上回る受注を確 保した。前期は新造船29隻・98万総㌧を受注したが、今期はこれを上回るのは確実。1年分以上の仕事量に相当す る受注を確保し、線表が2017年後半にまで伸びているようだ。大島造船の今年の受注案件としては、これまでに デンマーク船主ノルデンや台湾ナビゲーション、イタリア船社ダミコ/コエクレリッチなどの海外船主向けバルカー 受注のほか、中部電力向け石炭船などの受注が表面化している。 ◆国内造船/タンカー新造受注本格化 《年明け後VLCC・アフラ軸》国内造船によるタンカーの新造船受注が年 明け後に本格化しそうだ。商談の中心はVLCC(大型原油タンカー)、アフラマックス。水面下で進行中の新造商談 が年明けから3月期末に向けて正式契約に持ち込まれそうだ。スコルピオ・タンカースが大宇造船海洋にVLCC7隻 を発注するなど、海外船主・海外造船による新造発注はすでに表面化している。日本国内でもこの秋からVLCC、ア フラマックス、LR2型プロダクト(石油製品)タンカーの新造引き合いが水面下で急増している。足元の新造船価レ ベルは、VLCCが9,300万㌦、アフラマックスが5,150万㌦とじり高基調が続いており、造船各社が一定程度の新造 船受注を確保し船台を埋めたことなどを背景に、造船サイドのオファー価格はこれを上回っている。国内の主要V LCC建造ヤードは、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)有明事業所、JMU呉事業所、三井造船千葉事業所と減少して いる。これに建造実績のある川崎重工の中国合弁NACKS、今治造船、名村造船所を加え、5社・6造船所となる。JM UがVL建造を有明に絞った場合は5社・5造船所となる。アフラマックスの建造ヤードは、JMU津事業所、住友重機械 マリンエンジニアリング、三井・千葉、今治、名村、佐世保重工の6社・6造船所がある。 ◆大島造船所/越造船所建設を中止 《船価低迷・円安などで》大島造船所は16日、ベトナムでの造船所建設プ ロジェクトを中止すると発表した。海運マーケット低迷で船主の発注意欲が低く、船価回復に相当時間がかかると みられるほか、竣工隻数の高水準推移による船腹需給ギャップ拡大、円安ーなどで投資回収のめどが立たないこ とを理由としている。ベトナム当局からは中止でなく延期を求められたものの、投資時期が特定できないことは 同国関係者に迷惑をかけ、同社としても経営計画が成り立たなくなるため、中止の意向を重ねて伝え、了解を得 たとしている。大島造船所は2012年2月、ベトナム南部のカインホア省力ムラン湾で新造船所を建設するため同 国政府当局から投資ライセンスを取得。これまで土地収用交渉を進めてきた。長期的視点に立った進出戦略を取 っており、工場の稼働時期などは確定していなかった。 ◆この1年【造船業界】 《まさかの受注回復と円安、再編の1年、過剰供給是正と生き残りへ》2013年の造船業は、 予想外の需要回復で、仕事不足の危機が-気に薄らいだ。日本は円高修正や性能の再評価という追い風も加わ り、リーマン・ショック後では最高となる受注量も確保した。ただ、採算面ではむしろ低船価建造で悪化しており、赤 字決算も続出。供給過剰による過当競争の状態は必ずしも解消されていない。「再編」「淘汰」が大きなテーマと なり、日本では大型M&Aや連携がいくつも登場。海外でも淘汰や集約再編が本格化しており、世界造船業は供給 サイドの調整が進んでいる。《受注回復は将来に禍根?》司会:今年も造船業にはいろいろな動きがあったけれど、 業界関係者の表情は明るかったね。何といっても、超円高の終わりと、受注の回復だろう。為替も受注も、ここま で戻るとは、全くの予想外だった。ー為替は年初には「もし1ドル=100円まで戻れば出来過ぎ」なんて話していた けれど、戻ったね。これで受注船の採算や、新規受注の環境が良くなった。といっても赤字が減る、というレベル の話だけれど。ーそうはいっても、安いドル建て受注船が売上げに立ち始めたタイミングでこの為替になったの は、神風といってもよい。何よりも、日本造船所の最大のお客さんである日本のオーナーが救われたことが大き いよ。ーそれと今年の最大のピックスは受注だ。日本の受注量は年間で1,300万総㌧を超える。リーマン・ショック後 では最多だ。ーキーワードとして挙がったのが「日本再評価」だ。日本建造船の省エネ性能や品質の評価が高ま って、日本への引き合いが増えた。日本の船が良いという話は、直接、間接的に何度も聞いた。もともと日本船は 評判が良かったけれど、今年はそれが具体的に発注を呼び込んだ。ーでも発注が増えたのはそれだけが理由で もない。もう1つのキーワードは「底値」だろうね。安い船価が呼び水になって、日本だけでなく韓国も中国も大量 受注をした。世界全体の受注量は8,000万総㌧を超えるかもしれない。ー日本の造船所は、投機筋はあまり相手 にしていない。本当は日本に発注したいと思っている船主でも、日本が船台を出してくれないので中国に発注し ている、という見方もある。ー一部にはそういう例があるかもしれないけれど、ちょっと言い過ぎじやないか。ど の造船所も「エコシップ」をPRするようになっていて、必ずしも日本のエコシップだけが一番だとは思われてい ない。ーでも日本造船業の今年の受注はほとんどが海外向けだった。過去10年以上、日本造船所にとっては邦船 向けの仕事が半分以上を占めていたことを考えると、異例の1年だったと思う。邦船が新造整備に動いていない 中でもこれだけ受注できたのは、やはり海外での日本評価があってのことだと思うよ。ー確かに、邦船用の日本 の船台が海外にリリースされたというのは、大きな出来事だった。ーいずれにしても、造船所の船台は、中小造船 所も含めてかなり先まで埋まった。手持ちが1年を切りそうだという去年の状況を考えると、様変わりだ。ブロック

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下請けや修繕、内航船などで操業を何とか立てていた造船所も、新造を再開したり外航船に復帰したりした。操 業ダウンは続いているけれど、徐々に戻し始める造船所もいる。ー韓国や中国の主力造船所も先物まで仕事を 埋めた。経営が行き詰まっていた海外の新興造船所までもが、この需要回復で受注を再開できている。ーそのあ たりは、2013年の大量受注が後々マーケットに禍根を残すかもしれないと思う点だね。設備の淘汰が思ったより も進まない。ーそれに、今年発注された大量の新造船が、海運マーケット回復の重石になるかもしれない。需給ギ ャップが温存されたままで、不況から抜け出せなくなる。《次の間題は採算》司会:船価もようやく上がり始めた。リ ーマン・ショック後は4年間下がる一方だったが、「底値」というだけあって、今年はついに上向いた。ーこのままで は誰もが受注すればするほど赤字だ。船台も埋まったので、あまり無理な船価を出さなくなったということだろ うか。ーでも、上がったというには、まだほんのわずかだ。それに先々の船価は上がり始めたといっても、足元で 建造している船の船価は、採算割れの赤字だ。造船業にとっての課題は、工事確保から、採算改善に移った。「201 4年間題は採算の問題」という意見も出た。ーそれでも、先々の仕事がなくて足元も赤字、というよりは、数年先 まで操業が見通せている分マシかもしれない。ーそうだね。ただ、採算改善といっても打てる手は限られている。 資機材メーカーや外注への値下げ圧力はますます強まっている。ー日本よりも線表の短い海外の造船所では、既 に採算悪化が激しくなってきている。韓国の専業ヤードが皆赤字になってしまったし、韓国ビッグ3や中国大手も 商船の悪化で大幅な減益だ。この船価水準では韓国も中国も赤字だということがはっきりしたね。ー韓国造船所 が採算面できつい理由の1つはウォン高もあるだろう。為替はリーマン・ショック時の水準に戻って、1㌦=1,050ウォ ンまで進んでいる。ー円ウォンの為替レートも5年前の1円=10ウォン台の水準に戻った。日本の競争力が高まった、 という見方もあるけれど、感覚的にはこれでイーブンになったくらいだろう。ーうん。一方、中国や韓国の造船所 では採算の悪い受注契約を全部見直すという例も出てきた。ー仕事が不安だから破格の船価で受注して世界の 船価相場を引き下げて、周りの船価が上がり始めたらその受注をキャンセルするなんていうのは、もう無茶苦茶 だ。船主や他の造船所からすればたまらない。ー造船ブームのときにもL/Ⅰ(発注内示)を平気で反故にする造 船所がいたが、体質はあまり変わっていないようだね。今回も気持ちはわからないでもないけれど、普通はしな い。ーでも本来なら、そういうプレーヤーは船主に相手にされなくなるはずだけれど、それでも発注する人がい るからね。「ジャパンプレミアム」として、日本は契約をしっかり守るという点での評価ももっとあってよいと思う。 《再編効果やいかに》司会:今年の造船業の最大のキーワードは、「再編」だ。日本も海外も、このテーマが常にあっ た。ー日本ではJMU(ジャパンマリンユナイテッド)の発足に始まり、川崎重工と三井造船の合併交渉という大きな 動きがあった。今治造船が常石造船の多度津工場を買収したのも、通常なら年間最大のニュースになっておかし くないM&A案件だ。ー日本国内の造船所間の連携意識が強まったように思う。これまでにもそういう兆しはあっ たけれど、今年は具体的な形が表れてきた。三菱重工と今治造船のLNG合弁化があったり、大島造船と常石造船 などのMIJAC(マリタイム・イノベーション・ジャパン)の誕生もあった。洋上ロジスティックハブの研究組合「J-DeE P」の発足も今年だ。ーJMUのような会社統合や、今治の多度津買収のようなM&Aは、そう簡単にできるものでは ない。だから、提携や協力のような形で効果を上げようという流れが強まっているようにもみえる。ー確かに、そ れは1つあるね。だけど、提携の方がやりやすい分、効果も限られている。「お付き合い」のような協力関係ばかり が増えてくると、結局は見かけだけの再編になってしまう。ーそこが、いわ-ゆる“日本連合”のネックだね。業界 みんなで一緒に、となると、どうしても各社の意識は希薄になる。連携のメリットよりお互いのエゴの方が前に出 て、提携が形骸化しかねない。僕は今年と来年が、その大事な節目になるんじやないかと思っている。ー手持ち に余裕が出て、危機感が薄れてくるとなおさらだね。連携への強い思いをしっかり残してほしい。司会:海外でも 再編や淘汰が進んだ。ー韓国では銀行主導による新興ヤードの再建が本格化している。創業者を追い出して、借 金棒引きで立て直しを図っている。ーSTXグループの解体というのが象徴的だね。いずれこうなるだろうと誰も が見ていたけれど、ついになった。想定されたシナリオの中では最もソフトランディングなものだったような気も するけれど。-中国でも、STX大連だけでなくて江蘇熔盛重工のような民営大手にも経営問題やストなどのトラ ブルが聞こえるようになった。ーその中国では、夏以降に造船業の構造調整施策が相次いで発布された。供給過 剰の解消に動き始めた、とも見て取れる。ー今度こそ中国は本気という見方をする人もいる。造船所の淘汰がど こまで進むか、国営造船所への集約がどうなるか。ー海外という点では、日本の造船所にとってブラジル造船業 という新たな活躍の場ができた。ーうん。そのあたりの日本の個別の動きについては、次で話そう。 ◆来年の受注4割減か/調整局面に 《本紙調査、日韓中の受注予想は5,200万総㌧》「海運市況は緩やかに改善 に向かうも、船腹需給のギャップは解消されず、新造船の需要回復は限定的に。船価は上昇基調で推移するが、 有力ヤードは先物まで仕事量を確保していることから採算性を重視し、受注量は今年に比べて大幅に抑制され る」。本紙が11月に実施した2014年の新造船市場の予想アンケートの中で日本の市場関係者の多くが、このよう な見通しを持っていることが分かった。造船主要3カ国である日・韓・中の14年の受注量の平均予想は約5,200万 総㌧で、今年から約4割弱減で推移するとの見方が主流を占めた。船価については海運市況の回復や建造コスト の上昇などを背景として1-2割の上昇を予測する声が多く、新造船市場は来年、受注の調整局面を迎える年にな るとみられる。日本を代表する造船会社の経営・営業トップと総合商社の船舶部門トップの計19社を対象として20 14年の日本・韓国・中国の受注量、船価動向などを予想してもらった。造船主要3カ国の受注量の予想平均は約5,2 00万総㌧で、今年に比べて受注量は約4割減で推移するとの見方が大勢を占めた。現時点で入手可能な統計資 料を基にすると、2013年の主要3カ国の受注量は8,100万総㌧になると推計される。これを基準にすると2013年 の世界全体の受注量は9,000万総㌧規模。ミニブームにわいた2010年の需要を下回るものの、造船ブーム初期 の2003-04年を大幅に上回る水準になると予想される。来年の新造船マーケットについて、「海運市況は緩やか に回復するが、需給バランスは供給過多状態を克服するほどには至らず、韓国・中国ヤードに大量発注されるよう にはならない」(三菱商事の石井基樹船舶部長)、「造船各社とも2013年に相当数の受注量を獲得し、受注活動は

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