問 題
「最近の若者は…」といった言説はいつの時代 にも見聞きされるものである。しかし近年,従来 の「年寄り達の口癖」では片づけられないほどに 若者達は変容しているとの声が増えている。現代 に生きる子どもや若者達を,もはや従来の子ど も・若者像では捉えることが難しい状況にあるよ うである。例えば諏訪 (2005) は,学校現場の様子 を中心に「オレ様化」する児童・生徒の姿を描い ている。教師と対等であると考える児童・生徒の 増加は,教師に教わるという教育場面を作り出す ことを困難にしているという。岡田 (2005) は,近 年の青少年による犯罪が専門家の「常識」の範疇 を越えていることを指摘し,その背景には現代人 の肥大化した万能感や他者に対する驕りがあると している。また,速水 (2006a) は,現代では動機 づけや感情経験が変化しつつあるとともに,萎縮 した自己を持ちつつも,自信に満ちあふれたかの ような行動をとる若者達が増えていることを指摘 している。 これらの教育場面,臨床場面から発せられた指 摘の共通点は,その個人の能力や状況に対して一 見して不釣り合いな信念や振る舞いである。万能 ではないのにもかかわらず,実際には自信がない のにもかかわらず,一部の若者達はさも有能であ るかのように行動する。このような若い世代の特 徴は,社会的迷惑行為や青少年犯罪といった社会 問題と関わりが深く(速水,2006a),今後の日本 の社会のありようを考える上でも重要なキーワー ドとなると考えられよう。 速水・木野・高木 (2004) は,現代青年のこの ような傾向を,仮想的有能感 (assumed-compe-tence) という概念で捉えられるとしている。これ は,「自己の直接的なポジティブ経験に関係なく, 他者の能力を批判的に評価・軽視する傾向に付随仮想的有能感と日常の対人関係によって生起する感情経験
―抑鬱感情と敵意感情のレベルと変動性に注目して
小 平 英 志
小 塩 真 司
速 水 敏 彦
名古屋柳城短期大学 中部大学人文学部 名古屋大学大学院教育発達科学研究科 本研究の目的は,対人関係で経験される抑鬱感情と敵意感情に焦点を当て,仮想的有能感と日常の感情経 験との関連を検討することであった。調査 1 では,仮想的有能感尺度および自尊感情尺度が実施された。続 く調査 2 では,大学生 445 名(男性 238 名,女性 207 名)を対象に,1 日のうち印象に残っている対人関係 上の出来事とそれに対する抑鬱感情・敵意感情を 7 日間に渡って記入するように求めた。その結果,他者軽 視傾向が強く自尊感情の低い『仮想型』が,抑鬱感情,敵意感情の両方を強く感じていること示された。ま た,7 日間の評定値の変動に関しても,他者軽視傾向が弱く自尊感情の高い『自尊型』と比較して大きいこ とが示された。本研究の結果から『仮想型』に分類される個人は,特に対人関係に関わる出来事に関して, 日常から不安定で強い抑鬱感情,敵意感情を経験していることが示された。 キーワード:仮想的有能感,敵意,抑鬱,日記式質問紙 © 日本パーソナリティ心理学会 2007して習慣的に生じる有能さの感覚」と定義される ものである。この概念は,青年達の肥大化した自 己の意識の背景に,現実とは乖離したところで有 能さの感覚を得ようという欲求があるとし,その 1つの現れとして,他者の能力の批判的な評価・ 軽視に注目したものであるといえよう。このよう な傾向は個人の成功経験や自信などとは基本的に 独立であることが示されており(速水・木野・高 木,2005),自信があるために他者を軽視する個 人もいれば,自信がないのにもかかわらず他者を 軽視する個人もいると考えられている(速水他, 2004)。 これまで,いくつかの研究において仮想的有能 感に関する検討が行われている。木野・速水・高 木 (2004) は横断的調査を行うことによって,仮想 的有能感得点が青年期前期から中期にかけて高ま ることを示している。速水他 (2004) は,孤独感, 共感性,怒りの感情,生活満足度等との関連を検 討しており,仮想的有能感の高さは個別性への気 づきや怒り感情,不快感情経験と正の関連を示 し,生活満足度のいくつかの下位尺度と負の関連 を持つことを報告している。また,山田・速水 (2004) は 16PF を用いて仮想的有能感とパーソナ リティ特性との関連を検討し,仮想的有能感は情 緒の不安定性や猜疑心の強さ,また,用意周到で 現実的な傾向と関わりが深いことを示した。これ らの結果はいずれも,仮想的有能感の高い個人が 必ずしも精神的に健康とはいえないことを示唆し ている。さらに,高校生の学習観や動機づけに着 目した速水・小平 (2006) では,仮想的有能感の 典型,つまり他者の軽視が自信や高い自己評価に 裏付けされていないようなケースを抽出するため, 仮想的有能感の高さに自尊感情の高さを考慮した 4類型を想定し,分析を行っている。その結果, 他者を軽視する傾向が強く自尊感情が低い『仮想 型』の類型の特徴として,全体的には動機づけは 高いものの,自律性の低い動機づけが強いことが 示された。 このように仮想的有能感に関しては,これまで に発達的な変化,パーソナリティや動機づけとの 関連などの研究が行われている。しかし,仮想的 有能感の高い個人の特徴として,より重要視され てきたのが感情経験である(Hayamizu, 2002;速 水,2006a)。速水 (2006a) は仮想的有能感の高い 青年達の出現の背景には,特に怒りに関する現代 人の感情経験や表出の変化があるとしている。近 年,「キレる」,「むかつく」といった用語の氾濫 に見られるように,現代の人々,特に若い世代の 特徴として,怒りを容易に経験・表出する様子が 指摘されることが多い。このような怒りに関する 感情経験・表出の変化を背景として,現代の青年 達は自己の有能さを高めるための 1 つの方法とし て,失敗を他者に帰属したり,他者をより否定的 に評価したりするといった,他者軽視の傾向を示 すようになってきているとも考えられよう。 仮想的有能感と怒り感情との関連については, Hayamizu, Kino, Takagi, & Tan (2004) で検討がな されている。そこでは,仮想的有能感の高い個人 は本人に関わる負の出来事に対して怒りを生起さ せやすいが,メディアを通して報道されるような 災害や事件など,社会に関わる負の出来事に対し ては,怒りも悲しみも生起させにくいことが示さ れた。しかし,この検討はあくまでも仮想場面に 対する感情である。では,日常生活で,仮想的有 能感が高い個人達はどのような感情経験をしてい るのであろうか。真に彼らは日常生活から怒りの 感情を経験しているのであろうか。 速水 (2006b) は,経験抽出法 (Experiences Sam-pling Method: ESM, Csikszentmihalyi & Larson,
1987) を用いて日常生活全般における感情経験を 抽出することを試みている。対象者に対して,1 日 5 回のシグナル・メールを 7 日間に渡って送り, その時点での感情状態を評定するように求めた。 その結果,仮想的有能感が低く自尊感情の高い 『自尊型』が肯定的な感情(例えば,ここちよい, 元気な,幸せな,など)を経験することが多かっ
た。また,1 週間の感情の変動しやすさに着目し た分析も行われているが,「疲れた – 元気な」で のみ有意な差が見られ,『自尊型』で変動が大き く,仮想的有能感と自尊感情のいずれも低い『萎 縮型』では変動が小さいという結果であった。い ずれも『自尊型』の特徴が浮き彫りとなったもの の,仮想的有能感の典型群である『仮想型』で は,その特徴は確認されるに至らなかった。この 研究は,日常生活における感情経験を扱った点で 意義のある検討ではあったものの,経験抽出法に より多種多様な活動が含まれたために『仮想型』 の感情経験の特徴を捉えきれなかった可能性は否 めない。すなわち,この手法ではシグナル・メー ルが送られた時刻の行動の側面を切り取ることに なるため,個人的で達成的な出来事も対人的な出 来事も,さらには「顔を洗う」,「食事をする」と いった日常のルーティーンの出来事まで含まれて しまう。 そこで本研究では,より仮想的有能感と関わり が深いと考えられる対人的な出来事に焦点を絞り たい。仮想的有能感は他者を軽視することで生じ るものであると定義されており,他者との関係に おいて,最も感情経験との関わりが深いと予測さ れるためである。さらに本研究では,感情の中で も敵意感情と抑鬱感情に焦点を当てた検討を行 う。敵意は,怒り,嫌悪,そして軽蔑の 3 つの要 素からなるといわれる (Izard, 1991)。仮想的有能 感は怒りと密接な関わりにあること (Hayamizu et al., 2004),怒りよりも見えにくい軽蔑や嫉妬と いった感情も伴うことが予測されること(速水, 2006b)などから,敵意感情に着目した検討を行 うことは意味があると考えられる。また,湯川・ 日比野 (2003) では,怒りの経験時には抑鬱などの 感情も同時に喚起されることが示されており,さ らに,怒りの沈静化の過程において抑鬱感情を考 慮したモデルも検討されている(日比野・湯川, 2004)。そこで本研究では,敵意感情に加えて,抑 鬱感情にも着目する。 以上,本研究では対人関係で経験される敵意感 情と抑鬱感情に焦点を当て,仮想的有能感と感情 経験との関連を検討することを目的とする。具体 的には,7 日間の日記式質問紙を用い,対人経験 に対する敵意感情の強さ,敵意感情の日々の変動 に注目する。
方 法
調査 1 調査内容 (1) 他者軽視尺度: Hayamizu et al. (2004) で作成された仮想的有能感尺度 (version 2) を使用した。この尺度は,「自分の周りには気の きかない人が多い」,「他の人の仕事を見ていると, 手際が悪いと感じる」,「話し合いの場で,無意味 な発言をする人が多い」,「知識や教養がないのに 偉そうにしている人が多い」等の 11 項目からな る。回答は「全く思わない」から「よく思う」ま での 5 段階で求めた。なお本研究では,速水・小 平 (2006) と同様に,自尊感情を考慮した有能感 の類型との混同を避けるため,この尺度を他者軽 視尺度と呼ぶこととする。 (2) 自尊感情尺度: Rosenberg (1965) によって 作成され,桜井 (1997) が星野 (1970) の翻訳を修 正した 10 項目を使用した。回答は「全く当ては まらない」から「とてもよく当てはまる」までの 5段 階 で 求 め た 。 速 水 他 (2004) や 速 水 ・ 小 平 (2006) では,より典型的な仮想的有能感を持つ個 人を抽出するために,自尊感情との組み合わせに よる有能感の類型化が提唱されている。それには, 他者軽視が低く自尊感情も低い『萎縮型』,他者 軽視が低く自尊感情の高い『自尊型』,他者軽視 が高く自尊感情が低い『仮想型』,他者軽視と自 尊感情がともに高い『全能型』の 4 類型が含まれ る。本研究においても,自尊感情が低いにも関わ らず他者を軽視するという『仮想型』に注目した 検討を行うため,自尊感情尺度を実施した。 調査対象・調査時期 調査対象者は愛知県内の 大学生 998 名(男性 587 名,女性 411 名)であり,全調査対象者の平均年齢は 19.03(標準偏差 1.20)歳であった。調査時期は 2005 年 6 月であ り,講義時間を利用して一斉に実施した。 調査 2 手続き 調査 1 の参加者に対して,7 日間毎晩 記入する日記式の質問紙を配布した。調査 1 の実 施日の夜から 7 日間記入を行い,次週の講義時に 持参するように依頼した。なお,調査への参加は 強制ではないこと,都合により参加できない場合 には無理に参加する必要がないことを告げた。ま た,調査 2 の冊子に通し番号を記載し,その番号 を調査 1 の冊子に転記することで調査対象者の照 合を行った。 調査内容 日記式質問紙は,以下の内容で構成 されていた。 (1) 出来事の内容: 1 日に起きた出来事の中で, 最も印象に残っている対人関係上の出来事を自由 に記述するように教示した。記入時の注意事項と して,1 日の中でどのような出来事を想起しても 良いが,可能な限り自分が誰かと接した出来事を 記述すること,1 日誰とも会わなかった場合には そのように記入し,それに対して以下の評定を行 うように求めた。 (2) 出来事の良さ:(1) で記入した出来事の良 さについて,「悪い」と「良い」を両極とした 6 段 階で評定するように求めた。 (3) 出来事の影響力:(1) で記入した出来事が 自分自身にどの程度影響力を及ぼすかについて, 「小さい」と「大きい」を両極とした 6 段階で尋 ねた。 (4) 出来事が起きた時の感情:寺崎・岸本・古 賀 (1992) が作成した多面的感情状態尺度より,抑 鬱と敵意に相当する下位尺度のうち,出来事に対 する感情として適切と考えられる 5 項目ずつ(抑 鬱…気がかりな,不安な,くよくよした,沈んだ, ふさぎこんだ;敵意…敵意のある,攻撃的な,憎 らしい,うらんだ,むっとした)を用いた。出来 事が起きた時にどのような気持ちになったかにつ いて,「全く感じなかった」から「はっきり感じ た」までの 4 段階で尋ねた。 調査対象 調査 2 に参加し,調査 1 と照合でき た者は 445 名(男性 238 名,女性 207 名)であ り,調査 1 の参加者の 44.59% であった。
結 果
1.各尺度の分析 他者軽視・自尊感情 他者軽視尺度 11 項目を 合 計 し , 他 者 軽 視 得 点 を 算 出 し た 。 平 均 値 は 31.23,標準偏差は 6.01, a 係数は .76 であった。 また,自尊感情尺度 10 項目について,逆転項目 の処理を行った後で合計値を算出し,自尊感情得 点とした。平均値は 29.91,標準偏差は 6.19,a 係 数は.77 であった。 出来事の良さ・影響力 7日間の出来事の記述 は様々であったが,本研究では 7 日間の出来事に 対する平均的な評価を分析対象とする。そこで 7 日間の出来事の良さ,出来事の影響力に対する評 定の平均得点を算出し,出来事の良さ得点,出来 事の影響力得点とした。出来事の良さ得点の平均 値は 4.07,標準偏差は 0.71,出来事の影響力得点 の平均値は 3.96,標準偏差は 0.77 であった。 感情レベル 出来事が起きた時の抑鬱感情,敵 意感情 5 項目ずつについて,まず 7 日間の平均値 を算出することにより,抑鬱レベル得点,敵意レ ベル得点とした。抑鬱レベルの平均値は 8.36,標 準偏差は 2.11,敵意レベルの平均値は 7.02,標準 偏差は 1.76 であった。なお,両感情の内的整合性 を検討するために,各項目で 7 日間の平均値を算 出 し て a 係 数 を 算 出 し た と こ ろ , 抑 鬱 感 情 で a.90,敵意感情で a.94 と十分な値が得られ た。 感情の変動性 7日間の抑鬱感情,敵意感情の 評定値に関して,個人内の標準偏差を算出するこ とによって,抑鬱変動性得点(平均 2.94,標準偏 差 1.43)と敵意変動性得点(平均 2.53, 標準偏差1.76)を算出した。これらの得点が高い者ほど,7 日間で感情得点の変動が大きい傾向にあることを 意味する。 2.相関関係 各得点間の相関関係を Table 1 に示す。他者軽 視 は 抑 鬱 レ ベ ル (r.10, p.05), 敵 意 レ ベ ル (r.17, p.001),敵意変動性 (r.10, p.05) との 間に低い値ではあったものの有意な正の相関を示 した。自尊感情は出来事の良さとの間に正の相関 (r.23, p.001) を示し,抑鬱レベル (r.26, p.001),敵意レベル (r.12, p.05),抑鬱変動 性 (r.14, p.05) との間に低い負の相関を示し た。 また,出来事の良さと出来事の影響力との間に は中程度の相関が見られた (r.46, p.001)。出来 事の良さは抑鬱レベル,敵意レベル,抑鬱変動性, 敵意変動性と有意な負の相関を示しており,7 日 間に良い出来事が生じるほどこれらの感情が生起 しにくく,変動の幅も小さくなることが示された。 7日間の感情レベルと変動性は,互いに有意な正 の相関関係にあった。 3.有能感の類型による比較 他者軽視と自尊感情それぞれの平均値によって 高群と低群に分けることにより,有能感の 4 類型 を設定した。他者軽視と自尊感情がともに低い 『萎縮型』が 121 名,他者軽視が低く自尊感情が 高い『自尊型』が 117 名,他者軽視が高く自尊感 情が低い『仮想型』が 96 名,他者軽視と自尊感 Table 1 他者軽視・自尊感情と感情経験との相関係数 他者軽視 自尊感情 出来事の 出来事の 抑鬱 敵意 抑鬱 敵意 良さ 影響力 レベル レベル 変動性 変動性 他者軽視 — .07 .03 .04 .10∗ .17∗∗∗ .03 .10∗ 自尊感情 — .23∗∗∗ .09 .26∗∗∗ .12∗ .14∗∗ .09 出来事の良さ — .46∗∗∗ .44∗∗∗ .49∗∗∗ .29∗∗∗ .39∗∗∗ 出来事の影響力 — .04 .05 .07 .04 抑鬱レベル — .62∗∗∗ .58∗∗∗ .39∗∗∗ 敵意レベル — .24∗∗∗ .72∗∗∗ 抑鬱変動性 — .40∗∗∗ 敵意変動性 — ∗ p.05, ∗∗ p.01, ∗∗∗ p.001 Table 2 有能感の類型による感情経験の差異(分散分析結果) 他者軽視 低 高 自尊感情 低 高 低 高 類型 萎縮型 自尊型 仮想型 全能型 分散分析 多重比較 (n121) (n117) (n96) (n111) M SD M SD M SD M SD F(3, 441) Tukey HSD ( p.05) 出来事の良さ 3.98 0.74 4.19 0.66 3.87 0.78 4.20 0.62 5.70∗∗∗ 全能 自尊仮想 出来事の影響力 3.98 0.75 3.97 0.76 3.85 0.81 4.02 0.75 0.95 抑鬱レベル 8.69 2.14 7.64 1.76 9.22 2.34 8.03 1.89 12.61∗∗∗ 仮想全能 自尊, 萎縮自尊 敵意レベル 7.04 1.75 6.52 1.44 7.59 2.01 7.03 1.73 6.65∗∗∗ 仮想自尊 抑鬱変動性 3.26 1.48 2.56 1.24 3.14 1.37 2.82 1.51 5.83∗∗∗ 萎縮 仮想自尊 敵意変動性 2.66 1.80 2.08 1.65 2.89 1.73 2.57 1.78 4.17∗∗ 仮想自尊 ∗∗ p.01, ∗∗∗ p.001
T able 3 仮想型の感情経験( 10 ケース) 属 性 1 日目 2 日目 3 日目 4 日目 5 日目 6 日目 7 日目 ID0999 バイトへ行ったら, 友達から,好きな 好きな人と学校で 今日は平日バイト 一緒に帰る友達が 今日はバイトだっ 今日はバイトでし 新人の人が失敗を 人が自分を好きっ 出会ったけども, の研修に行った。 バイトだから,早 た。バイトの偉い た。今日も偉い人 女 性 して上司に怒られ てことを教えても 無視してしまった。 店の人が礼儀にう く帰りたいと言っ 人と仲良くなれた。 と仲良くでき,仲 他 ∗ 2.96 ていました。私も らった。すごく安 つらい。 るさい人で,あい てたので,早く帰 よかった。 間とも深く仲良し 自 2.09 関係することだっ 心した。 さつやら言葉使い ろうとしたが相手 になれた。本当に たので心配でした。 やら,精神的に疲 が一番しゃべって よかった。 れた。 遅かった。むかつ いた。 平均 変動 抑 鬱 18 5 1 8 1 6 1 2 5 5 11.29 5.75 敵 意 17 5 1 1 1 0 1 9 5 5 10.29 5.42 ID0810 クラスの子と一緒 講義中にしゃべっ 友達と約束事をし 彼女と妹に昼食を 久しぶりに中学の 英語の教科書を忘 友達が初バイトだ に帰って,今まで てて先生に怒られ た。 作ってあげた。 友達と遊んでタバ れたから隣の人に ったから見に行っ 男 性 話したことのない た。 コをすわされた。 見せてもらった。 た。 他 1.96 ことを話した。 自 1.60 平均 変動 抑 鬱 81 0 898 11 8 8.86 1.12 敵 意 51 8 576 55 7.29 4.43 ID0521 部活の合宿の係り バイトで,みんな 部活で,リーダー 火曜のバイトが遅 帰りに同じ大学の 部活の後輩が,自 今日は何もない日 の子に意見したら 帰りだしたので帰 役の先輩が休んで, くまであったこと 子を見かけたので 分と同じぬいぐる なので部屋の掃除 女 性 すごい目で見られ ろうとしたら,ベ 代わりをやった。 をバイトの先輩に 声をかけたら驚か みを携帯につけて をしようと思った 他 2.46 た。 テランの人に捕ま 指導役の人にプレ 言ったら「やめな れた。 いたので,それを ら,母にイライラ 自 1.12 って,遅くまでや ッシャーをかけら いよね?」と言わ 言ったらアバウト した感じで掃除し らされた。 れた。 れた。でもやめる。 な返事が返ってき ろと言われた。 た。 平均 変動 抑 鬱 12 14 18 6 1 1 1 2 1 2 12.14 3.31 敵 意 14 20 7 5 8 7 16 11.00 5.24 ID0016 バイト先の先輩に お昼を友達と食べ 親と口ゲンカ。 バイトでお客様の サークルの説明会 初めて会った人を バイト先の先輩に 夕飯をごちそうに た。 家に配達に行った。 で先輩から説明を 含めて友人とお昼 夕飯をごちそうに 男 性 なった。 受けた。 を食べた。 なった。 他 1.63 自 1.60 平均 変動 抑 鬱 66 11 11 12 12 10 9.71 2.43 敵 意 55 20 9 1 0 1 0 5 9.14 4.94 ID0274 高校からの友達か 学祭の会議があっ バイトで友達の恋 お母さんと妹とコ 先輩とメールをし 今日は友達の家に 朝の 4 時から先輩 ら久しぶりにメー た。 の相談を受けた。 ンサートに大阪へ た。 泊まった。 と遊んだ。 女 性 ルが来たこと。 行った。 他 1.46 自 1.60 平均 変動 抑 鬱 5555656 5.29 0.45 敵 意 5555555 5.00 0.00
T able 3 続き 属 性 1 日目 2 日目 3 日目 4 日目 5 日目 6 日目 7 日目 ID0190 友達の家に泊まり 少し気まずかった サークルがあり, 今日は父の日で, サークルがあって 興味のある授業だ あまり話したこと に行った。 友達との仲が元に その後サークルの 父とメールをした。 2 回目の参加だっ けど好きではない がない人と友達を 男 性 戻った。 仲間と食事に行っ たけど,結構多く (むしろ嫌い)メ 通じて会話した。 他 ∗ 2.13 た。 の人と話せた。 ンバーと班となり, 自 0.95 グループ活動をし ていること。 平均 変動 抑 鬱 67655 6 5 5.71 0.70 敵 意 56555 1 0 5 5.86 1.73 ID0276 バレーサークルで 英語の時間,先生 教習所でエンスト 久しぶりに父親と 普段は楽しい体育 社会調査の授業で 合コンに誘われた。 新しい人が入って に褒められた。 ばかりしてかなり 2 人でご飯を食べ のバレーが何故だ 自分のグループの 行く気はない。 男 性 来てなんか偉そう 怒られた。 に行っていろいろ か皆の中に入れず, 他の人が全員休ん 他 1.13 だった。 話をした。 というか,テンシ だ。連絡をくれな 自 1.76 ョンについていけ くて,自分が嫌わ ず浮いてしまった。 れてるんじゃない かと凹んだ。 平均 変動 抑 鬱 13 8 1 5 8 15 18 9 12.29 3.69 敵 意 13 6 1 6 6 11 19 9 11.43 4.56 ID0278 友達の男友達とち バイト先の 30 才 兄はいっつも優し サンダルを買いに バイトの人がとて 体育でいつもよく バイトの 30 才の ょい仲良くなった。 の人に暗い子扱い いけど今日はいつ 行ったが,店員が も優しかった。 話す男 2 人が今日 人はいい人だけど, 女 性 された。 も以上だった。 適当に私に話を合 はほとんど話さな 1 人鬱陶しいおや 他 1.63 わせて買わせよう かった。そしたら じがいてうざい! ! 自 1.12 としているのが見 夜メールが来た。 何かとうるさい。 え見えだった。結 局買ったけど。 平均 変動 抑 鬱 51 76 95 51 4 8.71 4.56 敵 意 51 35 10 5 5 19 8.86 5.08 ID1110 かさをトイレに忘 今年 3 月までお世 中学の友人と久々 2 ヶ月ぶりに実家 授業をサボりまく 遅刻してこないと バイト先で年上の れて,とりにいっ 話になっていた会 に会ってお茶をし に帰っていたが, っている友人が珍 いっていた友人が 方と話が弾んだ。 女 性 てる間友だちは待 社の方に久々に会 に行った。 今日の昼に実家を しく授業に出席し いつもどおり遅刻 他 1.29 っていてくれた。 って一時間ほどお 出てこっちに戻っ た。 してきた。 自 1.12 話をした。 てきた。両親とま たしばらくあえな くなる。 平均 変動 抑 鬱 10 7 8 17 9 1 0 8 9.86 3.09 敵 意 55 7 591 68 7.86 3.64 ID0267 部活中に人とぶつ 部活中,先輩に仕 先輩とコミュニケ 新人戦で先輩や皆 部活がオフで何も ゴキブリが出て, 風呂の中で先輩と かり指を怪我して 事の事で怒られた。 ーションをとった。 と団結力を高め, する事がなく,友 友達と一緒に退治 はしゃいだこと。 男性 しまったこと。 最後までしっかり 達と夕食を一緒に した。 他 0.96 やろうと話し合っ 作った。 自 1.28 た。 平均 変動 抑 鬱 17 11 11 5 5 11 16 10.86 4.36 敵 意 61 36 55 15 11 8.71 3.88 ∗ 他:他者軽視得点(標準化後) 自:自尊感情得点(標準化後)
情がともに高い『全能型』が 111 名であった。 次に,有能感 4 類型と性別を独立変数とし,出 来事の良さ,出来事の影響力,抑鬱レベル,敵意 レベル,抑鬱変動性,敵意変動性を従属変数とし た 2 要因の分散分析を行ったところ,いずれの得 点についても交互作用は見られず,出来事の影響 力,抑鬱レベル,抑鬱変動性において性別の主効 果が有意であった(いずれも女性男性)。交互作 用が見られなかったことから,再度,有能感 4 類 型を独立変数とする 1 要因分散分析を行ったとこ ろ,出来事の影響力以外の全ての得点で類型間の 差が有意であった(出来事の良さ: F(3,441) 5.70, p.001, 抑 鬱 レ ベ ル : F(3,441)12.61, p.001,敵意レベル: F(3,441)6.65, p.001,抑 鬱変動性: F(3,441)5.83, p.001,敵意変動性: F(3,441)4.17, p.01)。Table 2 に,有能感 4 類型 ごとの各得点と分散分析結果を示す。 有意差が見られた各得点について,Tukey の HSD法(5% 水準)による多重比較を行った結果, まず出来事の良さについては『仮想型』よりも 『全能型』,『自尊型』の方が高いことが示された。 抑鬱レベルについては『全能型』や『自尊型』よ りも『仮想型』の方が高く,また,『自尊型』よ りも『萎縮型』で高い値を示していた。敵意レベ ルについては『自尊型』よりも『仮想型』の方が 高いことが示された。抑鬱変動性については『自 尊型』よりも『萎縮型』,『仮想型』の方が高いこ と,敵意変動性については『自尊型』よりも『仮 想型』の方が高いことが示された。 以上のことから,有能感 4 類型の中で『仮想 型』は,7 日間の対人関係に関する出来事に対し てあまり良い出来事であったと捉える傾向になく, 抑鬱感情や敵意感情をより強く経験する傾向にあ り,さらにその変動の幅も大きいことが示された。 参考までに,『仮想型』が経験した出来事の具 体例を Table 3 に示す。ケースの抽出には標準化 後(平均値 0,標準偏差 1)の他者軽視得点,自 尊感情得点の積を用い,『仮想型』の対象者でそ の絶対値の大きいものから 10 ケースを選出した。 抑鬱や敵意を感じている経験に注目すると,大学 の教員(ID0810 の 2 日目)や友人(ID0999 の 5 日目,ID0276 の 5 日目,6 日目,ID1110 の 6 日 目)が関係する経験,部活動やサークルでの先 輩・後輩との出来事(ID0521 の 1 日目,ID0276 の 1 日目,ID0267 の 2 日目),アルバイト先の上 司や先輩からの叱責(ID0999 の 1 日目,ID0278 の 7 日目)などがあげられていた。また,親との 間での出来事(ID0521 の 7 日目,ID0016 の 3 日 目)や自動車教習所での出来事(ID0276 の 3 日 目)なども見られた。『仮想型』に限らず,様々 な出来事が記述されており,大学生達は多様な人 間関係により様々な場面で抑鬱や敵意を感じてい ることがうかがえた。また,ID0999 のケースでは, アルバイトに関する記述が,ID0267 は部活動に関 する記述が多いが,同じ領域の出来事であっても, 抑鬱や敵意を感じる日とあまり感じない日との差 が大きい様子が見て取れる。経験されている内容 については,他の群と差異は見られなかったが, 『仮想型』ではこのような変動の大きいケースが 多く含まれているのが特徴であった。
考 察
まず,相関係数を算出したところ,特に,他者 軽視と敵意レベル,自尊感情と抑鬱レベルとの間 にそれぞれ弱い相関関係が認められた(それぞれ, r.17,r.26)。他者軽視をする傾向が強いほ ど,日常から強い敵意感情を経験する傾向にある のに対し,自尊感情の低さは,経験される抑鬱感 情の強さと関連しているようであった。また,自 尊感情は出来事の良さとも正の有意な係数を示し ていた。 いずれの相関係数も低い値に留まっているもの の,1 週間の対人関係の出来事には様々な場面で の多様な経験が含まれていること,また,パーソ ナリティ変数としての他者軽視,自尊感情から, それらの平均値や変動性を予測していることを考えると,これらの係数は十分解釈に値すると考え られる。特に,他者軽視と敵意,自尊感情と抑鬱 の対応関係が示唆される結果であり,他者軽視傾 向が強く自尊感情の低い『仮想型』が,日常生活 の対人経験において抑鬱,敵意感情の両方を強く 感じていることが想像できよう。 続いて,有能感の類型による差異を検討した結 果,出来事の影響力を除いたその他の変数で有意 な差が見られた。『仮想型』に注目すると,まず, 自尊感情の高い 2 つの類型である『全能型』・ 『自尊型』と比べて出来事の良さの評定値が低い 値を示し,抑鬱レベルが高い値を示していた。ま た,『自尊型』よりも敵意感情を強く感じ,抑鬱, 敵意感情の変動性も大きかった。つまり,出来事 を悪くとらえ,強い抑鬱や敵意を感じ,また,そ の感情の揺れ動きが激しい様子が,特に『自尊型』 との間の差異から見て取ることができる。『萎縮 型』においても『自尊型』と比べて抑鬱レベルが 高く,変動性が大きかったが,敵意レベルと敵意 変動性ではこの 2 群に有意な差異は見られなかっ た。つまり,『萎縮型』と『仮想型』の特徴の差 異は,敵意感情に関して顕著であるといえよう。 本研究の結果から,『仮想型』の個人は 1 週間 の対人経験のうち,抑鬱感情を強く経験し,かつ 敵意感情をも強く感じることが示された。藤・湯 川 (2005) は,現代青年の一つの特徴として「満 たされない自己」に着目し,自身が満たされてい ないという感覚が,敵意の認知に関連しているこ とを示している。本研究では,自分に対する満足 しているという感覚(自尊感情)はむしろ抑鬱レ ベルや変動性と関連し,敵意感情との間に直接的 な関連は確認されなかった。しかし,自尊感情の 低さと他者軽視傾向をあわせもつ『仮想型』に よって経験される敵意レベルや変動性は大きいこ とが示された。対人経験によって生じた否定的感 情は,他者軽視傾向が高い『仮想型』の場合,よ り他者に対する攻撃として方向付けられやすいと 考えられる。 加えて本研究の結果からは,その感情経験の安 定性も低いことが示唆された。近年,現代青年を 表現する際に頻繁に用いられるようになった「キ レる」という言葉は,突然怒りを爆発させたり, 感情的に振る舞うことを指す。つまり,感情の変 動性の高い様子を示す言葉でもある。感情経験の 不安定さは,従来から精神的健康上あまり好まし くないとされる。例えば,佐々木・星野・丹野 (2002) では,不安や抑鬱,また,妄想的観念など の精神病理症状と 5 因子性格検査に含まれる情緒 安 定 性 の 次 元 ( 例 え ば , Peabody & Goldberg,
1989)との関連が深いことが示されている。また, 同時に感情の表出の不安定さは,良好な対人関係 を築く上でも支障を来すものである。本研究の結 果からは,『仮想型』のような他者を軽視する傾 向が否定的感情やストレスの解消にはつながらず, 日常生活での様々な問題行動につながっているこ とが予測されよう。 本研究では,ESM 法を用いた速水 (2006b) と異 なり,対人関係で経験される感情に焦点を当てた 検討を行った。特に,有能感の類型と出来事に対 して生じる感情の強さや変動性との関連について 検討を行ったが,出来事の生起から感情が経験さ れるまでの一連のプロセスに有能感の類型がどう 関わっているのかについては,さらなる検討が必 要であろう。本研究の結果から敵意・抑鬱の感情 経験で『仮想型』の特徴が浮き彫りとなったこと から,今後も対人経験に焦点を当て,検討を進め ていくことが必要であると考えられる。 引用文献
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Assumed-Competence and Daily Strength and Fluctuation of
Depression and Hostility in Interpersonal Situations
Hideshi KODAIRA1, Atsushi OSHIO2and Toshihiko HAYAMIZU3
1
St. Mary’s College, Nagoya 2
Department of Psychology, Chubu University 3
Graduate School of Education and Human Development, Nagoya University THEJAPANESEJOURNAL OFPERSONALITY2007, Vol. 15 No. 2, 217–227
This study examined the relationships between assumed-competence that was based on undervaluing oth-ers, and emotional experiences of depression and hostility in interpersonal situations. Scales measuring as-sumed-competence and self esteem were administered to 445 university students. They were then requested to describe the most remarkable event of the day in their interpersonal relationships, and to evaluate vari-ous emotions at that time, each day for a week. Results showed that respondents who were categorized as assumption type, with high assumed-competence and low self esteem, experienced a higher level of depres-sion and hostility in their interpersonal events than the other types. Furthermore, it was revealed that they had larger fluctuation in their emotions than those of high self esteem type, who possessed low assumed-competence and high self esteem.