埼玉大学 大学院理工学研究科
長谷川 靖洋
[email protected] http://www.env.gse.saitama-u.ac.jp/hasegawa/ Tel&Fax:048-858-3757熱電変換の紹介と
その応用について
熱電変換とは?
V 0 ー + 電圧計 金属の両端が同じ温度では、 何も起こらない 温度差があると、 起電力発生 高温 低温 熱を電気に変換します(ゼーベック効果) ■ 熱電対の一種 ■ 温度差のあるところから 電気エネルギーを回収 ■ 局所的な発電が可能 CO2を効果的に削減可 能 地球温暖化防止別の違った使い方も出来ます
簡単に冷やすことが出来ます(ペルチェ効果) 電流(電圧)を流さなければ 何も起こらない ■ 局所的な冷却が可能 ■ 冷蔵庫などに応用できる ■ 温冷庫などで既に実用化 ■ CPU冷却素子として注目 電流を流すと、 温度差が出来る(冷却可能) 高温 低温 電流熱電現象の源
熱電変換とは、 電気→温度差(熱) 温度差(熱)→電気 と、固体を利用して自由にエネルギー変換可能な現象を指す 材料物性的な話として、温度差をつけて発生する熱起電力は、 固体中のキャリア密度に差が出来ることによって発生 電子 電子 電子 電子 電子 電子 電子 電子 電子 電子 電子 金属の場合 電子の 数が粗
電子の 数が密
+
ー
電子素子だけでは使えない
■ 素子を通って熱が流れる構造 ■ 電気的に絶縁する必要有り ■ 電気回路を構成する ■ 熱源との接触が必要 一般的な熱電(変換素子)モジュール N 型 P 型 P 型 P 型 N 型 N 型 ■ P,N型の素子を使用 ■ 素子電極部にはNiメッキ ■ 素子は電極にハンダ付け ■ 絶縁板で覆う 絶縁板 電極 ハンダ メタライズ 端子熱電変換
モジュール
市販されている熱電変換モジュール
BiTe 熱電変換素子 Niメッキ (ハンダ濡れ性○) バルク状BiTe (ハンダ濡れ性×)市販されてる
熱電変換モジュール
電極 電極熱電変換研究の歴史
1821年:ゼーベックによるゼーベック効果の発見 1834年:ペルチェによるペルチェ効果の発見 1851年:トムソンによるトムソン効果に関する実験証明 1929年:ヨッフェによる理論研究(化合物半導体使用の提案) 1940年代:ソ連軍で「パルチザンの飯ごう」の使用(無線 通信用電源) 1954年:BiTe系材料の開発(1960年代から市販) 1961年:熱電変換素子を使用した人工衛星の打ち上げ成功 1977年:ボイジャー2号の打ち上げ成功 1980年代:様々な材料系の開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1990年代前半:量子効果を用いた熱電素子の理論・開発 1990年代後半:酸化物材料を用いた熱電素子の理論・開発 2007年:Si を使った熱電素子の開発 現在・・・開発はどこに向かう?熱電変換研究の現状
2012年現在、ざまざまな材料の開発が行われている 客観的な事実 ■ エネルギー変換効率が最大10%程度 ■ 実用化されている(Payできる)材料は、BiTe系のみ ■ 材料の製錬技術,計算機の能力が進化しても、使用できる 材料としてBiTeを大きく越えるものは、ほとんどない ■ 日本でも、エネルギー事情の関係から、経済産業省が主体 となり、熱電変換研究だけで年間数億円の開発費が投じら れている ■ CO2の25%削減の政府目標 さまざまな研究開発が行われているのにも拘わらず、 性能は50年間ほぼ横ばいこれはビジネスチャンスか?
熱電変換の需要
発電素子として
■
廃熱発電
■
極地での発電
■
非常用電源
冷却素子として
■
冷蔵庫
■
クーラー
■
半導体冷却
需要は非常に明確で
、
市場も広い
とはいえ、熱電変換が実際に利用されているところは ■ 半導体通信用温度制御用(精密温度制御) ■ 病院・ホテル用冷蔵庫(無騒音) ■ 温冷庫(加熱,冷却が可能) ■ 非常用電源(阪神淡路大震災で利用) と、すべて特殊環境ペルチェ効果の式
電流I 電流I 熱伝導 TC TRQ
inQ
out ジュール熱 ペルチェ熱 αTcI 熱伝導 吸熱放熱
α:ゼーベック係数,I:電流,R:素子抵抗,ΔT:温度差 (TR-Tc>0)K:熱コンダクタンス KΔT RI2/2 RI2/2 KΔT ペルチェ熱 αTcI エネルギー 収支は、Q
in=
α
T
cI
−
1
2
RI
2− KΔT
Q
out=
α
T
RI
+
1
2
RI
2− KΔT
R = ρ L A K =κ A L L 素子の断面積Aペルチェ効果の最大温度差
最大温度差を考える。Qinの式のΔTをIで微分すると、最適電 流値での、ΔTmaxが得られるΔT
max= T
R−
1
Z
1
+ 2Z(T
R+
Q
inK
)
−1
⎧
⎨
⎩
⎫
⎬
⎭
Z
=
α
2RK
=
α
2ρκ
-20 0 20 40 60 80 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 Ma xi mu m Δ T [ K] Heat [W] TR=300K L=2mm A=1×1mm2 最適電流での 最大温度差熱電変換の性能指数
ここでZを性能指数(Figure of merit)と呼ぶ.次元が [1/K]のため、使用温度をかけたZTとすると、無次元と なり、無次元性能指数ZTと呼ぶ。Z
=
α
2RK
=
α
2ρκ
[1/K]ZT
=
α
2ρκ
T
BiTe系材料の室温(TR=300K)のZT値は、 ZT = α 2 ρκ T = 200×10−6(
)
2 1.0 ×10−5 ×1.5 × 300 = 0.8 ≅1 ZT=1が実用化の目安様々な材料のZT値
様々な材料のZT値 500 1000 0 0.5 1 1.5 n-Bi-Te p-Bi-Te p-Zn4Sb3 p-CeFe4Sb12 TAGS p-Si0.2Ge0.8 p-MnSi1.75-x n-Mg2Si n-PbTe n-CoSb3 K) ZT 室温 ペルチェ 冷却用 廃熱発電用 人工衛星,惑星探査 衛星電源用 ■ ZTには温度依存性がある ■ 各材料に対して、使用温度 範囲が決まる ■ 使用用途によって、材料を 選択 ■ 様々な温度領域での材料開 発が必要 現在までの使用温度範囲 ■ペルチェ素子 室温付近 ■発電用(宇宙空間) 1000K程度無次元性能指数ZT
α
ρ
κ
α,ρ,κは互いに密接に連携し、 上記のすべてを満たすことは難しい 熱−電気へ直接変換可能な 熱電変換材料の性能はZT
=
α
2ρκ
T
ZT : 無次元性能指数 T : 絶対温度[K] α : ゼーベック係数[V/K] ρ : 抵抗率[Ωm] κ : 熱伝導率[W/mK] で決まり、如何に大きなZTを持つ熱電変換材料を開発するかが課題 現状ではZT∼1程度 特定の物性値のみを大きく変えることは、原理的に困難ZT向上のための具体的な手法
性 能 の 向 上 1次元 2次元 mm オーダー 温度差方向 nmオーダー キャリア閉じ込め方向, 温度差方向 nmオーダー キャリア閉じ込め方向 3次元 バルク,塊 薄膜 ナノワイヤー 量子効果を取り入れた、ナノワイヤー熱電変換素子の開発ZT>1
を得るための新しいアプローチ
ゼーベック 係数α 抵抗率 ρ 熱伝導率κ 大きさを 決定する因子 状態密度の 傾き バンド 構造 フォノン散乱 低次元・量子化に よる効果 大きく上昇 上昇 減少開発しているナノワイヤー
500nm Dust 1mm 石英ガラス ナノワイヤー 電子顕微鏡写真 光学顕微鏡写真 直径:593nm ワイヤー端 単結晶Biナノワイヤー 石英ガラス 2009年に、世界に先駆けてゼーベック係数,抵抗率の同時測定に成功世界的な開発動向
High pressure injection
Electrodeposition Vapor-phase Ulitovsky Fabrication method OFF-ON 1mm Bi research 圧倒的な長さ(実用化できるレベル) ナノスケールの直径(量子効果が期待できる)が特徴