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DSpace at My University: Ⅴ 実践記録・実践報告・自由論考 実践紹介 1 「生徒の発話量を考えた教材づくり」 滋賀県湖南市立石部中学校教諭 山口朋久 

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■実践報告 生徒の発話量を考えた教材づくり 滋賀県湖南市立石部中学校教諭 山口 朋久 1 はじめに  教材作成においては、 平成24年度4月より全面実施となった学習指導要領 「外国語科改訂の趣旨」 の中における4つの基本 方針から次の最初の2点を作成の指針に、 ○ 自らの考えなどを相手に伝えるための 「発信力」 やコミュニケーションの中で基本的な語彙や文構造を活用する力、 内容的にまとまりのある一貫した文章を書く力などの育成を重視する観点から、 「聞くこと」 や 「読むこと」 を通じて得 た知識等について、 自らの体験や考えなどと結びつけながら活用し、 「話すこと」 や 「書くこと」 を通じて発信するこ とが可能となるよう、 4技能を総合的に育成する指導を充実する。 ○ 指導に用いられる教材や内容については、 外国語学習に対する関心や意欲を高め、 外国語で発信しうる内容の 充実を図る等の観点を踏まえ、 4技能を総合的に育成するための活動に資するものとなるよう改善を図る。 また学習指導要領の 「指導計画の作成と内容の取扱い」 にある教材に関する部分を作成に当たってこころがけた。 教材は, 聞くこと, 話すこと, 読むこと, 書くことなどのコミュニケーション能力を総合的に育成するため, 実際の言語の 使用場面や言語の働きに十分配慮したものを取り上げるものとする。 その際, 英語を使用している人々を中心とする世 界の人々及び日本人の日常生活, 風俗習慣, 物語, 地理, 歴史, 伝統文化や自然科学などに関するもののうちから, 生徒の発達の段階及び興味 ・ 関心に即して適切な題材を変化をもたせて取り上げるものとし, 次の観点に配慮する必 要がある。 ア多様なものの見方や考え方を理解し, 公正な判断力を養い豊かな心情を育てるのに役立つこと。 イ外国や我が国の生活や文化についての理解を深めるとともに, 言語や文化に対する関心を高め, これらを尊重する 態度を育てるのに役立つこと。 ウ広い視野から国際理解を深め, 国際社会に生きる日本人としての自覚を高めるとともに, 国際協調の精神を養うの に役立つこと。 2012年度より4技能の総合的に育成するために、これらの内容を踏襲した教材を作成することが現場の教師に求められている。 本稿では、 担当する生徒の実態を踏まえその生徒の発話量に焦点を当てた教材づくりについてまとめてみた。 2 教材と活動例 2.1 教材使用者とその時期 ■対象 : 中学3年生 (1クラス32人) ■授業形態 : 一斉授業 ■生徒の実態 : じっと座って聞いていたり、 活動がない授業だと集中できない生徒が多い。 しかしこれは言い換えると、 生徒が 活動する場面を多く作れば、 活動できるようになる生徒が増えてくるということを意味するのではないか。 また、 4月最初の授業 でのアンケートで約75%以上もの生徒が 「英語は苦手で自信がなく、 学習する意欲が出てこない教科だ」 と述べていた。 家 庭学習もできない生徒が家庭環境的にも多いので、 できるだけ授業で力をつけさせなければならないことがわかった。 2.2 教材使用前時 教材の使用を始める前に、 今日の授業のポイントは何か、 どのような活動を行うかを示すことは、 学習者の不安を和らげるこ とができる。 また ALT と日本人教師が、 中学生レベルで行われるだろうと思われる、 モデル提示も行う。 今日のターゲットとなる Have you ever ~ ? で始まる現在完了の文を使って以下のようなモデルを示す。

 

T: Have you ever eaten monja-yaki? A: No, I haven’t. What is monja-yaki?

T: You know okonomiyaki, right? It looks like okonomi-yaki. It is popular in Tokyo. A: Oh, I see. I want to try it when I go to Tokyo. Have you ever eaten monja-yaki? T: Yes. I ate it last night.

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このあと生徒を指名して、 教師と生徒でのモデルを示す。 なかなか生徒から発展した対話へとは広がりにくく、 こちらからモデ ルとなる生徒が持っている情報を引き出しやすい足場となるよう、 対話を示すことも大切である。 中学生でしかも L2 で談話能力に たけているとは言えないので、 教師の足場かけが有効となる。 またこの課での対話は自分の経験を問うことからの対話であるため、 お互いがより多くの自己開示ができることが大切である。 八島 (2012) の中で 「日本人は自己開示の少なさで対話が発展しにくい」 と指摘している。 その意味でもモデルとなる対話では、 互いがより多くの自己開示を行い、 コミュニケーションがより発展するように アドバイスした。 2. 3 教材使用の手順  【資料 1a,1b】 を前時に配布し、 次の点を指示する。 1) このプリントはあらかじめみんなが用意した質問を基にして次の時間に相手に聞いたり、 答えたりする活動をします。 忘 れずに質問を7つ準備しておくこと。

2) 何人かのモデルのように、 作る質問は Have you ever のあとに表1にある過去分詞という動詞を入れます。 さらにその 後ろには目的語を入れ、 質問を完成させます。 質問は 「相手に聞いてみたい内容であること。」 「質問からどんどん会 話が発展するものであること。」 です。 Have you ever eaten rice? と質問すれば相手はどのように思うでしょうか。 サッカー 部の人に Have you ever played soccer? という質問をすればどう思われるでしょうか。 突拍子もない質問ばかりを作れとい う意味ではありませんが、 今日のポイントは相手に聞いてみたいという質問であることを頭の隅に入れておきましょう。 質 問は7つで、 表に載っていない動詞を使っても構いません。 1)では、次の時間に何が行われるかを提示して、学習者自らが次の時間のシュミレーションをさせる。 これは竹内 (2003) で「シュ ミレーション」 や 「独り言による状況描写」 などの方略は、 発話機会の乏しい外国語学習得環境において、 機会や量の増大を 最大限に図ろうとする意図が具現化されたものととらえることができると指摘している。 2) では、 宿題が次時の学習でどのように使われるかを知ることで、 宿題の意義が分かり、 熱心に取り組めるようになる。       資料1a ワークシート 【資料1a】 の教材は今回のポイントを示したもので、 「使ってほしい」 「使わせたい」 単語の表を日本語とその動詞の規則表と を載せてある。 これらのすべて語を1回の授業で使うべきだとまでは生徒に要求しないが、 何度も繰り返してほしい語として取り上 げている。 ここに掲載した単語は、 Have you ever ~ ? 「~したことがありますか」 という文型で初めて、 対話をより豊かなものに するという目的に使える単語として挙げた。 この構文を使うときに生徒はどのようなことを友達に聞いてみたいと思うのか、 というこ とを教師も 「シュミレーション」 を行うことが大切である。

またこれらの単語は豊かな対話へと発展させるために掲載した。 「話していて楽しい」 活動となるような語彙を多く取り入れた。 学習指導要領の教材作成の配慮として、 「生徒が興味 ・ 関心のあるもの」 に値するものとして考えた。

さらにこの 【資料1a】 は見た瞬間に、 誰もが Have you ever 〜 ? で始まる疑問文が作れるよう構成している。 見た感じに法則 性が分かり、 家庭学習で次の授業の準備をする生徒にとってアフォーダンスの低いものとした。 また、 上級の学習者には資料の 下に自分でさらに表を埋めるよう、 そして更なる語を調べて独自の質問を作れるように空白を設けている。

N o. 9 P rogram 2-2

H ave you ever p.p. ~ ? 「~したことがありますか」

現在 過去 過去分詞

聞く hear heard heard ghost stories / the w ord K Y / 食べる eat ate eaten funazushi / raw eggs / suppon / (球技)する play played played golf / bow ling /

する do did done ikebana / kendo / shopping at A EO N / fishing in the sea

飲む drink drank drunk tonyu / aojiru / oolong tea /

is / am / are w as / w ere been to a public bath / U S J / foreign country / 着る、身に着ける w ear w ore w orn yukata / haram aki / sunglasses / スキーをする ski skied skied in H okkaido / in N agano / やってみる try tried tried bungee jum p / scuba diving / 乗る ride rode ridden a horse / a roller coaster /

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        資料1b  【資料1b】 では、 次の時間にこのような対話となるような模範例がさりげなく示してある。 【資料1a,1b】 には単語の意味以外は 日本語の説明が全くないが、 アフォーダンスが低いことから、 生徒はかえって書かれてある情報は何かを読む傾向がある。 見れ ばわかることをくどくど書くほど、 生徒にそれを見ない傾向が生まれることは実際の観察からうかがえる。 説明は最小限度が望まし い。 最低限の理解させるため何か足場となる補助を入れたい場合には、 簡単な英語の例文を入れるとそれには目を通し、 英語 を読ますチャンスにもなる。 実はこの 【資料 1a,1b】 は生徒にとって見慣れたフォーマットであり、 新しい文法導入をコミュニカティ ブなアプローチで活動する場合によく使っていた内容であるため、 「ここには何を書いて、 どうなる」 という流れがすでに分かって いる。 このことは、 Zimmermann(1989) が一般的に定義している自己調整、 「学習者自身がメタ認知、 動機づけ、 行動において、 自分自身の学習過程に能動的に関与していること」 ということと、とらえることができる。 教材の中へ 「自己調整学習」 の礎となる、 いくつかの仕掛けも大切な教材づくりのひとつだと考える。 3 教材使用と授業の進め方 【資料1】 の教材を生徒が忘れることも考えられる。 宿題教材を忘れた場合は、朝の会終了までに申告に来てプリントをもらうか、 自分でノートにするということを徹底させておく。 間違っても授業が始まってから「プリントを忘れました」という事態にならないように、 そして教材を忘れた生徒にも何らかの救済措置を作っておく。 クラス経営をする上で、 忘れ物をした生徒を遊ばせておくことのな いように授業を進めていくことも教師の大切な生徒への教室運営 (classroom management) のひとつと考える。 3.1 帯活動の教材 授業の最初には、 毎時間帯活動をする。 帯活動の教材としては2種類のパターンを用 いることもある。 この帯活動で使う教材 【資料 2】 は、 「リスト化」 された基本語、 文型の一 覧表を、 授業の始まる前、 家庭学習やすき間の時間を使って学習する教材として使用して いる。 「リスト化」 は竹内 (2003) によると、 ある一定のレベルまで語彙を増やして学習を軌 道に乗せようとする初級学習者の場合には有効である、 と述べられている。 【資料 2】 の目 T akeshi Y es N o Y es N o Y es N o Y es N o B : Y es, I have. I caught a snake! / N o, I haven't. I don't like snakes.

Exam ple :

A : H ave you ever touched a snake, T akeshi? A : W ow , you can catch a snake!

H ave you ever touched a snake?

2 3 4

4

  girls(boys)→girls(boys) 1点  girls(boys)→boys(girls) 3点  students→teachers 4点  Y our S core「      」点 T akeshi has touched a snake.

1 2 3 1 Y es N o C lass(3- ) N o( ) N am e( ) インタビューした中の一人を選び、まとめてみよう。

例) T akeshi has touched a snake m ore than three tim es. H e touched it w hen he w as seven years old. H e w as not scared of snakes. N ow he is scared of snakes and he can't touch snakes.

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これまで既習した語彙や表現をできるだけ思い出させ、 使えるようにすることを本時の帯活動の目標としている。   資料2 基本語 ・ 文型一覧表 この教材では既習の基本文型がならべてある。 ペアになり、 英語の得意な生徒から日本語が書かれた 【資料 2】 の右側のみ を見て英語を言い、 片方がきちんと言えたかどうかをチェックする方法を用いた。 またこのチェック欄は4つの箱があり、 連続する 4回の授業ですべての箱にチェックが入るように促した。 毎回1からはじめずに、 前回の続きから始めるということだ。 チェックが箱 に入らなかった文は、 次の時間までに覚えるためのものとして使う。 この帯活動の目的は竹内 (2003) で、 忘れそうになると定期的に覚えなおす (リハーサルし直す) という忘却曲線の方略は、 人間の記憶を安定化させるために必要不可欠とある。 リスト化したものを一部例文として 「文脈化」 したものとして覚えさせている 部分もあるが、 「リスト化」 したものは、 ある一定のレベルまで語彙を増やして学習を軌道に乗せようとする初期の学習者には良い とされているが、 はたして今回の対象としている中学3年生は初期の学習者と言えるのか、 という疑問が残る。 「リスト化」 したもの を覚えさせ、 徹底的にそれが使えるようにする活動としては有効であると考えた。 また竹内 (2003) の中で、 McLaughlin とその同僚による理論である累積的学習で 「基本例文を覚えて意識的に反復し、 反射 的な行動を形成していく」 とある。 この帯活動は累積的な学習の理論と一致する。 3.2 活動の意識化 生徒同士のインタビュー活動をする前に、 前時の授業で示したモデル (教師から生徒への質問) の逆例として、 生徒から教 師や ALT に対して質問をする方法を用いた。 その目的として、 モデル対話を示すことと社会方略のひとつである上級学習者 (こ の場合、 教師や ALT) と対話することで、 自分たちの発話を直してもらい、 今の自分より少し高い能力 「i +1」 に挑戦すること への 「足場かけ」 としている。 またこのやり方において、 生徒からのターゲットとなる文型を用いた質問をして教師が答えるだけ でなく、 できるだけ発展した対話となるような答え方を示すことに留意した。 使ってみよう! あんな表現、こんな表現!

1  My father often enjoys karaoke in his free time.  父は暇な時によくカラオケをして楽しんでいます。

2  I can't eat umeboshi.  私は梅干しが食べれない。

3  I am taking a bath.  私は今、風呂に入っています

4  I am always sleepy after dinner. (before)  私はいつも夕食後、眠いです。

5 Many people in Osaka eat okonomiyaki with kote.  大阪の多くの人は小手を使ってお好み焼きを食べます。

6 My family goes on a trip in summer every year.  私の家族は毎年夏に旅行へ行きます。

7 My favorite movie is suspense.  私の一番好きな映画はサスペンスです。

8 I swam two kilos in the sea.  私は海で2キロ泳ぎました。

9 I belong to the kendo club.  私は剣道部に入っています。

10 My family camped by Lake Biwa last summer.  私の家族は去年の夏、琵琶湖のそばでキャンプしました。

11 My father will cook dinner tonight.  私の父が、今夜夕食を作ります。

12 I am going to watch Takarazuka Show next Friday.  私は来週の金曜日に宝塚のショーを見に行くつもりです。

13 I was surprised because I saw a ghost near the temple.  私は寺の近くで幽霊を見たので、驚きました。

14 There is a golf course in my town.  私の町にはゴルフ場があります。

15 My friend Yoko sang us the song at karaoke.  友達の洋子はカラオケで私たちに歌を歌ってくれた。

16 My grandfather's story sounds interesting.  おじいさんの話は面白く聞こえる。

17 It will be rainy tomorrow.  明日は雨降りでしょう。

18 I enjoyed baking cookies.  私はケーキを焼いて楽しかった

19 Watching a musical is a lot of fun.  ミュージカルを見るのはとても楽しいです。

20 I want to ride a horse.  私は馬に乗りたい。

21 I want to be a nurse.  私は看護師になりたい。

22 I would like to go to an amusement park.  私は遊園地へ行って見たいです。

23 I went to Nagano to ski.  私はスキーをするために長野へ行きました。

24 Reading books is my favorite way to relax.  本を読むことは私のいちばんのお気に入りのリラックス方法です。

25 I like to play bowling.  私はボーリングをするのが好きです。

S1: Have you ever seen the new “One Piece” movie? T : Yes, I saw it on TV with my kids. How about you, Sayuri? S2: Yes, I saw it twice.

T : Oh, you’ve seen it twice. S2: Yes, I enjoyed seeing it.

T : I’m sure you like it very much. Has anyone seen a foreign movie? S3: Yes, I have. My brother rent the movie “Home Alone” and saw it with him. T : Did you see the movie in English?

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このようなクラス全員を巻き込んでの対話例を示すことで、 生徒が自分の質問が通じて話がどんどん広がって楽しい、 いろいろ な人の意見を聞けて面白い、 早く自分もだれかに質問してみたいという思いを持ち始める生徒も少なくない。 英語を使ってみた いという意識を持たせることが、 早く実際にしゃべってみたいという動機づけにつながる。 生徒に英語を話してみたいという動機を 持たせるために、 【資料 1a】 のような事柄を入れることで仕掛けを作っておく。 「はじめに」 に示した学習指導要領の解説に示さ れている中で、 教材の選定にあたっては、 生徒の発達の段階、 興味 ・ 関心について十分に配慮する必要があると示されている ことを常に考えるようにした。 さらに 【資料 1b】 の中ほどにある仕掛けとして、 生徒はなるべく異性や教師との対話をするようになっている。 これはいつも仲 の良い友達に話しかけても驚くような答えが返ってこないので、 あえて異性や教師 ・ ALT にも積極的に話しかけに行くようにした。 この仕掛けを用いるのは、 指導し始めた最初のみとし、 今ではインタビュー活動では自然にいろいろな友人へ尋ねるようになって いる。 3.3 新出文法をコミュニカティブ ・ アプローチで学習 まず、 新しく学習した文法を長々と説明するより、 自分で法則性に気づかせ、 実際に使う場面を設定するコミュニカティブ ・ ア プローチを用いての教材としている。 この教材をペア活動で行う理由として、 学習者により多くの発話機会を与えること。 学習者 は二人一組で同時に活動できるので、 グループ全体でうまく話せない学習者もインタラクションに参加できる。 できるだけ大量の 外国語のインプットを受けるよう自らを仕向け、 その条件下で蓄積したものをアウトプットに回し、 ある程度慣れてきたら今度は (自 分の能力では) やや困難かと思われるような場面 ・ タスクに、 アウトプットの側面を中心にして挑戦していく。 宿題としてあらかじめ作ってきた 【資料 1b】 の上にある質問を使い、 ペアで対話する。 対話はペアで2分間、 すなわち1人の 質問から始める対話は1分という時間設定である。 生徒 A が Have you ever been to Okinawa? と始めたら、 生徒 B が答えて二人 でやり取りする時間は1分ということである。 大体、 二人で対話が3~4往復すれば1分くらいなので、 そのあたりを目標設定として 活動を行う。 2分間が経過すると、 「チェンジ」 といってペアを変えさせ、 新しいパートナーとペアになり、 別の質問から対話を始 めていく。 ペアが新しくなれば、 じゃんけんでどちらから質問を始めるかを決める。 この活動を5~7回繰り返す。 合計で10分か ら15分くらいの活動が生徒にとっては飽きない時間と言える。 また、 必要に応じて相手の言ったことをメモする。 この活動の場合、 対話が目的であるため相手の言ったことを繰り返し、 同調やうなずきなどを通して、 相手が発言しやすい雰囲気をお互い作ること が大切である。 メモはただペアと対話して終りとさせないために、 すべてのペアと対話が終了させた後に相手のことを書かせるた めのメモとして活用できるようにするための方法である。 ただしこの活動では対話を中心としたコミュニカティブな活動なので、 あく までも対話を重視し、 対話が終わった時に素早くメモするように指導した。 ペアでの活動が終われば10分程度の時間を与え、 【資 料 1b】 の下に対話した相手の情報を、 メモを基にして文を構築する。 ペアで対話をして内容を、 発展学習として主語を he/she に変えることで、 復習や応用活動としての意味もある。 資料3 生徒活動例プリント

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3.4 これまでの教材を使った授業のまとめ これまでの教材を使った活動を整理すると、 本時のターゲット文法を時間の制約を決めた中、 コミュニカティブ ・ アプローチで 実践し、 Fluency (流暢さ) を求めた活動となることを示唆する。 ペアでの活動が終われば、 その対話の内容をまとめるのだが、 相手のことを中心に3人称単数形を用いることで発展的な活動へとつながる。 ここでは先ほどの Fluency より Accuracy を求める。 ペアでの活動で生徒やクラスの雰囲気が盛り上がったところで個人への活動に戻す。 この Fluency と Accuracy の関係は、 トレー ドオフの関係からすると英語学習を始めた中学生には一度に同時の能力を求めることは難しく、 対話では Fluency を要求し、 対 話後の書く活動の時に Accuracy を求めるようにした。 学習指導要領の中で 「教材は、 聞くこと ・ 話すこと ・ 読むこと ・ 書くことなどのコミュニケーション能力を総合的に育成するため」 と記されており、 それに伴う活動は統合的であるのが望ましい。 ペアでの対話は 「聞くこと」 と 「話すこと」 の統合的活動であり、 対話後の相手の話の内容をまとめるのは 「聞いたこと」 と 「書くこと」 を統合的にした活動と言える。 3.5 より発展した活動へ (チェーン ・ レター活動) インタビュー活動のペア学習、個人での対話をまとめた 「書く活動」 が終われば、次の時間にはさらに5人~6人のグループで、 より発展的な活動へと導く活動を取り入れた。 ここでは新たに何も書いていない紙を渡し、 その紙のいちばん上に自分の名前を 書き、 そのすぐ下に本日のターゲット文である Have you ever ~ ? で始まる疑問文を作るよう指示する。 全員が出だしの質問文を 書き終えれば、 チェーンレターの要領で、 以下の活動を行う。 資料4 生徒への指示文 この活動の目的は、 書かれた内容を素早く読み、 その文の続きを自分が素早く書き続けていくという流暢さ (Fluency) が求め られる。 時間制限という縛りの中で、それまでに書かれた内容を読み素早く続きの文を考えて書く、という作業は流暢さ (Fluency) の中でも最高の 「流暢さ」 を求めている活動ではないかと考える。 しかもその 「流暢さ」 を求めた活動後すぐに今度は 「正確さ」 を求めている。 班の仲間が自分の書いた質問から発展させた対話文が自分の手元に戻り、 その話を今度は 「正確さ」 を追求し、 文を見直して正しい綴り字にしながら表現を手直しする。 文が最後まで終わっていなければきちんと話を終わらせる活動が取り入 れてある。 これは個人の活動だけにするより、班内で机を向い合せたまま、正確な対話文に直しながらそれぞれの場面を振り返り、 互いに協力し合ってより正確な対話へとつなげる共同学習の場面として取り入れている。 共同学習で互いを助けあい、 談話を通 して正確さの知識を身につけさすことが目的である社会方略の理論も用いている。 同年代の子ども同士の教えあいによって、 その内容がたとえ構造化されていなかったとしても、 友達同士による説明が子どもに とってわかりやすくなじみのある言葉や表現であったり、 教える側の子どもが子ども特有の理解の仕方について十分に把握できて いるため、 教え合いが効果をもたらす。 資料5 『チェーンレター生徒作品』 とその生徒がノートに書き直した文 A 5~6人の班で、一人に1枚の紙を配り上に名前を書きます。 B 全員が Have you ever ~? で始まる現在完了の文を1文書きます。

C 全員紙に質問を書き終えたのを確認したら、Start! の合図を出し、その紙を班の右隣の人に回します。 D 回ってきた紙を見て、1分以内で読んで対話文となるように文の続きを書きます。1分の中でこれまで書かれた文を読み、その 文の続きを書かなければなりません。文の途中であったりした時は、その続きから書き続けます。対話なので基本二人の話で すが、登場人物を増やしても構いません。 E これを5人のグループであれば5回まわします。最後には2分与え、会話をうまく終われるようにします。 F 最後に戻ってきた自分の紙の対話を読み直していったんチェーンレターの活動は終わりです。最後は個人で、その対話の紙をノー トに間違いを直し付け加えたりしてノートを提出。グループ内で協力しあったり、教えあっても構いません。

A: Have you ever seen sumo?

B: No, I haven’t. But I like a sumo wrestler Hakuho. How about you?

A: I like Hakuho too because he is strong.

B: I think he is strong too. But I like soccer better than sumo. What is your favorite sport?

A: My favorite sport is table tennis. It is popular in China. Some table tennis players in China can get gold medals in London Olympics. I am interested in watching table tennis matches. I want Japanese table tennis players to play well.

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4 教科書を使った教材 4.1 教科書再出活動 ( リプロダクション ) 学習した内容を大量にインプットし、 そのまま学習者が使えるかどうかは疑わしい。 アウトットさせる前の段階として、 インプット したものをさらに深く理解し定着させる、 つまり体に摺りこませる活動が必要である。 ここでは音読活動のひとつを紹介する。 教科 書本文を何度も音読するのはインプット活動である。 学校で10回以上、 家で20回以上の音読を課している。 しかし生徒に20回 以上やってくるようにと言っても、 本当にやるかどうかは疑わしい。 教科書は20回以上読み込まないと、 英文はなかなか体にしみ こまない。 そこでインテイクの活動が必要となる。    例えば教科書のページで10文、 63語のページがある 【資料6】。 これを生徒に28語だけを表示し ( 全体の44% ) 【資料6】、 30秒で読ませる活動を次時に行う。 すると生徒は家で時間を計り、 30秒で10文読めるよう必死に家で練習する。 こちらで回数 を指定しなくても、 ほとんどの生徒が20回以上は練習してくる。 多い生徒では70回以上も音読したようである。 この活動を11月には、 教科書85語に対し表示している語は17語とした。 表示は20%である。 より高いハードルとなったが、 多くの生徒が完全にすべての英文を言い切ろうと必死に努力した結果が 【資料9】 である。 3年生のある1クラスの5月と11月の 取り組み結果の比較をグラフにしてみた。 【資料9】 教科書の再出 ( リプロダクション ) 活動評価比較 3.2 教科書を使ったアウトプット活動 いよいよ理解 ・ 定着させ体に摺りこませた内容を、 今度は自分の言葉として再出させる活動がアウトプット活動である。 本年度 は 「教科書の内容を要約し、 その内容を自分の言葉で相手にわかりやすく伝えることができる 」 を学習到達目標 ( * Can-Do List) のひとつにあげている。絵を描くことをそれほど苦にしない生徒が多いので、内容を絵に表してそれを基に内容を説明 ( 要約 ) するという手法を取り入れた。 絵を使った要約の有効性とやり方は以下のとおりである。 1 教科書の内容を絵にするということは内容がわかっていないとできない 2 教科書本文の大切な文にアンダーラインをひく 3 絵か要約文かのどちらかより書き始める 4 絵だけを見て、 説明できるようにする 5 相手にわかりやすく伝えられているかを繰り返し練習する この活動を生徒が行うと要約文の作り方が自然と身につくことがわかる。 どの生徒も2の通り、 教科書本文にアンダーラインを引 き始める。 そして絵を書いてその絵だけを見て説明するときに、 アンダーラインを引いた文をつなげていては発表の文が長すぎた りするので、 何とか簡単な表現や別のわかりやすい言葉で言い直そうとする。 これが生徒が持っている力を自らが引き出す作業 クラスの生徒数30人  リプロダクション活動10点満点中、 3~5点の生徒が5月から11月へは4人減り、 10点満点の生徒が8人から13人へと増えた。 難易度が増したにも拘らず、 全体の 点数が伸び、 さらに苦手生徒の力が上がっている。  またどんなに苦手な生徒でも5月、 11月ともに0点を取る生徒は誰もいない。 最 低でも3文以上はいえるように努力していることがわかる。 資料6 教科書音読練習ページ 資料7 空所挿入 ・ 教科書の再出 ( リプロダクション ) 活動 Mt. Fuji _____ highest _________ ___ J________. _______ volcano, ______ hasn’t erupted _______ 1707. ___________ “asleep” ____over 300_________.

T_____ ______ more________100volcanoes ____ _____________. ______ _______ large _________ _________ _____ country. Volcanoes _____ Asama_________ erupt. H_____ many volcanoes _______ _________ ever seen?  visited . Asama twice, never been Sakurajima.

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時間がたつのを忘れて取り組む。 発表も上手くまとめた内容を言いると、 満面の笑顔やほっとため息をつく生徒もいる。 高いハー ドルを越えたときの生徒の表情ほどすがすがしいものはない。 【資料 10】 生徒作品の絵と要約文 ・ 写真は発表の様子。 (要約した生徒と写真の人物とは関係ない) 4 実践の成果 4.1 知的な活動 一部のゲーム式のように、 ただ活動して終わりでなく、 やや困難なハードルを乗り越えることや達成感がある活動。 やってみた い活動であることを常に心がけた。 「ああ、 そうか。 なるほど。」 という声が聞こえてくる、 知的な活動が中学生には好まれる。 ま た活動やドリルの量に関しては、 Krashen(1985) の 「 インプット仮説 」 で、 インプットの量的増大と、 現在の能力段階 ( これを i と する ) よりもやや難しいインプット (i+1) へ挑戦することを言及している。 初期の学習者にはインプットする量がある程度多くないと、 アウトプットできない。 例えば100の項目をインプットしたとしても、 アウトプットできるのはわずか15程度である、 という研究結果も ある。 そのためできるだけたくさんの単語や表現を自然に取り込みながら、 大量インプットに心がけた。 4-2 時間制限と恥とならない活動 「英語は苦手だが、 英語は好きである」 という生徒は、 教師の姿勢しだいでいくらでも 「 できる生徒 」 になる可能性は高い。 生 徒をほめれば、 その生徒は伸びる可能性も高い。 ではどうしたら生徒をうまくほめられるのか。 ア 「 ほめる場 」 の設定  教師が授業の中で作らなければならない。 つまり生徒の活動場面をたくさん設定し、 個人や全体の前で 「ほめる場」 を作る ことが大切である。 たくさん発表する場を作り生徒へフィードバックすれば、 生徒の伸びた点をほめ、 また次への課題を示すこ とができる。 こうした場を授業の3回に1回の割合で作れば、 教師自身のフィードバックのレベルも自然と上がる。 イ 評価基準の明確さ  たくさん活動する中で、 評価基準は明確にしたい。 「10文言えれば、 10点」 「顔の表情とジェスチャーは3点満点」 「文の 最後に2文付け加えれば、 +2点」 「30秒以内に読み切れたら、 +5点」 このような明確な基準が取り組み前に示されている と、 生徒は事前に努力ポイントがわかり、 また発表時にできたかどうかがその場ですぐわかる。 必死に努力して30秒以内に英 語が全文読めた生徒は、 私にハイタッチしたりする。 時折難関な課題を達成したことに涙する生徒もいる。 小さな成功体験が 増え、 自信へとつながっていく。 5 今後の課題 1 「流暢さ」 を求めると、 「 正確さ 」 がおろそかになる。 また逆も言える。 この二つはトレードオフの関係となり、 両者をうまくこ なすことができない場合もあり、 当面の課題である。 入試が近くなってきており、 「流暢さ」 と 「 正確さ 」 のバランスが難しい。 2 教材を振り返ってみると、 生徒からの感想の中に、 私の作る教材は 「絵がない」 「英語ばかりが多い」 「もっと見やすくした 方がいい」 「書くスペースを大きくした方がいい」 といういくつかの改善点を指摘してくれた。 どれもがあたっているなあと感じるこ

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とばかりで、 ありがたく参考にしたい。 やはり教材は見やすくて、 学習者が 「やろう」 という気になる構成が大切である。 教材レイ アウトの改善も必要と感じた。 また、 教材は学習者が力をつけていくための足場となっているか、 学習者の状況を把握したものか、 自己調整能力の助けとなっているか、 学習目的にふさわしいものか、 など様々な理論に適しているかどうかも検証しながら作成す ることが分かった。 3 初任者研修を受けていたときの担当教諭が 「授業で生徒の活動70%、 教師は30%」 という言葉が今もなお私の頭の中に いつもある。 今年度は自分の授業を振り返る意味で、数多くの授業のビデオを撮り、自分自身を振り返ってみた。 するとやはり思っ た以上に自分がしゃべっていることが多く、 無駄もたくさんあった。 まだまだ生徒70%に達しているとは言いがたい。 生徒には力 がついて楽しいと評価を得ている、 帯活動や話す活動を中心にペアやグループ活動を効果的に用いて、 生徒の発話量の多さを さらに追及していきたい。 参考文献 ジュリアン ・ バンフォード / リチャード ・ R ・ ディ . (2006) 『多読で学ぶ英語』 東京 : 松拍社 ゾルタン ・ ドルニエイ 米山朝二 / 関昭典訳 . (2005) 『動機づけを高める英語指導ストラテジー』 大修館書店 江利川春雄 (2012) 『協同学習を取り入れた英語授業のすすめ』 東京 : 大修館書店 . 高梨庸雄 ・ 卯城祐司 (2000) 『英語リーディング事典』 東京 : 研究者出版 斉藤栄二 (2011) 『生徒の間違いを減らす英語指導法インテイクリーディングのすすめ』 東京 : 三省堂 白井恭弘 (2012) 『英語教師のための第二言語習得論』 大修館書店 文部科学省 (平成20年). 「中学校学習指導要領」 東京、 開隆堂出版株式会社 北原延晃 (2010) 『英語授業の 「幹」 をつくる本』 上巻 . ベネッセコーポレーション 鈴木寿一 ・ 門田修平 (2012) 『英語音読指導ハンドブック』 東京 : 大修館書店

参照

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