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食品の遊離アミノ酸の研究 (第3報) : ほうれん草中の遊離アミノ酸の季節的変動

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(1)

昭 和54年11月(1979年) 一27一

食 品 の 遊 離 ア ミ ノ 酸 の 研 究

(第3報)

ほ うれ ん草 中 の 遊 離 ア ミノ酸 の季 節 的変 動

Studies on the Free amino—acid in Food (Part 3)

Seasonal Variations

of Free amino—acid Contents

in Spinach

Hideko Yasufuku

1緒

ほ うれ ん 草 は 学 名Seinach Oieracea L.1)と 称 し,あ か ざ 科 に 属 し,別 名 ペ ル シ ヤ 薬 といわ れ る と お りペ ル シ ヤ の 原 産 で 東 は イ ラ ン,西 は 欧 州全 域 に 広 く分 布 し て い る。 我 国 に は 寛 永8年(1631年)林 羅 山 の 多 識 篇 に 初 め て 記 載 が あ り,文 久 年 間 フ ラン ス か ら大 陸 を 経 て導 入 され た よ うで あ る。 種 類 は大 き く分 け て 東 洋 種 と西 洋 種 に分 類 されr東 洋種 は 葉 肉 は薄 く,葉 先 が 光 り株 元 と根 首 が 赤 い 。 西 洋 種 の 葉 は 長 卵 形 の もの が 多 くs葉 肉 も厚 く株 元 の 着 色 は ご く淡 く葉 の つ や が 良 い と い わ れ て い るQ裁 培 地 は 冷 涼 を好 み,秋 ま き,春 ま き,夏 ま き が あ り,ほ ぽ 周年 生 産 で生 育 日数,収 穫 時 期 は 裁 培 型 に よ り大 差 が あ る。 温 暖 期 に は 播 種 後30日 位,冬 期 で80日 ∼100日 位 収 穫 され て い る 。 品 種 と し て は 約50種 あ ま り存 在 す る が,市 場 に 出 て い る もの は 豊 菜,ミ ン ス タ ー,ノ ーベ ル,豊 城,ピ ロ フ レ ー,新 若 草,キ ン グ オ ブ デ ン マ ー ク等 が あげ られ る。 食 品 中 の 旨 味 成 分 と し て は 主 と して 核 酸 関 連 物 質, ア ミノ酸 類,有 機 酸 糖 類 等 が あ げ られ るが,野 菜, 特 に 疏 菜 類 に お い て は 核 酸 関 連 物 質 は 微 量 で 味 の 主 体 は ア ミ ノ酸 類 で あ ろ う とい わ れ て い る 。 そ こで京 都 市 内 で 裁 培 され て い る,ほ うれ ん 草 を 用 い,季 節 的遊 離 ア ミノ酸 が ど の よ うに 変 動 す る か検 討 を 行 な った 。

皿 実 験 の 部

1.実 験 材 料 昭 和50年9月 か ら昭 和51年7月 まで 主 とし て 京 都 市 南 区 で 裁 培 され た,ほ うれ ん草 を 用 い,10月 か ら12月

*食 品 材 料 学 研 究 室(Laboratory of Food Material)

ま で は 東 洋 種 の ウ ジ ョ ウ,1月,2月,3月 は ホ ウ ジ 3ウ,4月,5月 ま で は ミン ス タ ー,9月,7月 は ノ ー ベ ル の 品 種 を 用 い た 。 生 育 期 間50日 か ら60日 位 の も の を 各 月 の 中 旬 に 畑 か ら直 接 採 取 し た 。 す な わ ち,3 ∼4株 の 中 か ら一 定 の 大 き さ の 葉(幅5∼6cm,長 さ 10cm前 後)茎(10∼12cm)を 選 び 葉 部,茎 部 の部 位 に 分 離 し,10∼159採 取 し,次 の 方 法 で 試 料 の 調 整 を行 な っ た 。 な お9月,7月 は 気 温 の 関 係 で 丹 波 の 山間 で 裁 培 され た もの を 用 い た 。 2.実 験 の方 法 2-1 試 料 の調 製 a)各 分 離 し た ほ うれ ん 草(葉,茎 部)10∼159は 細 切 し,正 確 に秤 量 後75%エ タ ノ ー ル60m1に て10分 間 加 熱 抽 出 し,炉 過 後 再 び75%エ タ ノー ル40mlに て 同 様 に 抽 出,炉 過 を 行 な い 炉 液 は減 圧 濃 縮 を 行 な っ た。 b)濃 縮 物 に 等 量 の エ ーテ ル を 加 え,よ く振 猛 静 置 後,エ ー テル 層 を 除 き 炉 液 は 再 び 減 圧 濃 縮 に て 水 分 を 除 去 し,シ ロ ヅプ 状 とす る。 c)濃 縮 物 をPH 2・2のクエ ン酸 緩 衝 液 に て 一 定 に定 容 し,炉 過 後 凍 結 保 存 した 。 d)調 製 サ ン プル は 冷 蔵 庫 中 に て解 凍,濃 度 調 製 後 KLA-3B型 日立 ア ミノ酸 分 析 計 を 用 い て定 量 し た。 2-2分 析 条 件 中 性,酸 性 ア ミノ酸 カ ラム 0.9×50crn 展 開 温 度 55℃ 分 析 時 間 3時 間 塩 基 性 ア ミノ酸 カ ラ ム 0.9×15cm 展 開 温 度 31∼55℃

(2)

28ー 食物学会誌・第34号 一 3 5 2 8 5 1 3 ・ 一 月 i 1 i つ 山 4 1 円 b w パ -c u 一 1 1 1 u b 一 一 仁

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3

.

実験結果 分析結果,ほうれん草葉の部位には16種の遊離アミ ノ酸とその他, γーアミノ酪酸, N H3の存在が認めら れた。乾物mgあたりの百分率で示すと第1表の通り である。 含有量の高い遊離アミノ酸はスレオニγ(Thr.),セ リソ (Ser.), グノレタミ γ酸 (Glu.),プロリ γ(Pro.) で次いでリジγ(Lys.),アノレギニニ γ(Arg.),アス

パラギγ酸 (Asp),アラニ γ(Ala.),パリ γ(Val.),

イソロイシシ (IIeu.), ロイシ γ(Leu.), チロシ γ (Tyr.), フェニーノレアラニソ (Phe.), 少ないアミノ 酸はグル、ンン (Gly.), ヒスチジ γ(His), メチオニ γ(Met.)であったO これら遊離アメノ酸の変動を図 示すると図1の通りであるo Thr.冬に向って増加し, 2月が最高で最低の 7月 にくらべると約6倍増加しているO Ser.においては12月, 1月と半減し春に増加の傾向 を示している。 Glu,において 7月が最も低く, 12月, 1月, 2月, 3月と含有量が高く, 7月の 2倍増加しているO Pro.は遊離アミノ酸の中では最も変動が大きく, 7月, 9月にくらべて 12月, 2月, 3月が20倍'"'-'30倍, 1月は60倍も増加し冬に極端に多くなっている。 Ala, Val, 7月が最も低く, 3月から 5月に高くな っている。 Asp.,秋に高く 1月に低く春にやや増加しているO Arg.は 1月より増加し, 3月は最低値の 7月にくら べ6倍も多くなっている。 Lys. 1月に最も低く春,秋と高く His.は 1月から 3月とやや増えているが大きな変動は認められなかっ たO Leu., Phe., Tyr., ILeu. 等 は 冬 1月に最低値を示

(3)

昭和54年11月(1979年〉 -F O η i n 可 J 1 1 1 ]f)( (jr川! ー一一一一一一'1'11' - - - - S0r. ー-ー←一・Glu. :>fI() ¥111 ;1)( 三111

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I ¥ I ¥ I ¥ _ _J ~ ¥ ~ ¥¥ ¥11 1l10llths 図1 Thr.Ser.Glu. の月別変化(葉〉 口l~% M ( に け 一一一ー一一1'1'υ ーー一九只jl. ーー・一-Yal. ーーー+ー一-AJa. コ()(I ¥II()¥ . j1川) ~Ii() lilli : : ~ 1 ¥! 1 ¥ 111 lllonihs 図2 Pro. Asp. Val.の月別変化(葉〉 - 29-P0 04 内 刈 υ 1 n lilll ¥ ¥ ¥ / / 〆 / / ーー一一一~- Arg - 一 一 一 Lvs. ー ← ー -His. l()iI ~I)(I .WI / / / ; リ months Iり 図3 Arg. Lys. His.の月別変化(葉〉 内nI m日10 ー一一一一-PJw. ーー挑ー-:Mct. 一 一 一T)"lr. •• • •• • • GJy. 11叶 ー ← ← ーLcu. ーー・一一 IJ"Il. ,11 : :! lllonths 1:: Il 図4

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Gly.の月別変化(葉〉 すが秋11月, 12月,春 3月, 4月に高く,また Gly., は夏に多く冬に少なくなっている。 次ぎに茎の部位について検討した。茎の遊離アミノ 酸含有量は葉の部位にくらべ約

13%--50%

少なく,第 2表に示す通りである。

(4)

- 30- 食物学会誌・第34号 第2表 ほうれん草の遊離アミノ酸月別変化(茎〉

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His.,は2月を除き微量で、測定出来なかったが,茎 においても含有量の高い遊離アミノ酸は Glu.,Pro., Thr., Ser.であり,月別変化を図に示すと次の通りで ある。 Thr.葉の場合と異なり 1月, 2月が低く 11月, 5 月が2倍位高くなっている。 Ser. 1月から4月まで低く, 11月, 5月に3倍位増 加している。 Glu.葉と同様1月が7月にくらべ2倍 位 増 加 し て いる。 Pro.葉と同様冬場に30倍位多くなっている。 Ala., Val.春に多くなり夏場は低くなっているo Arg.葉と同様3月が最も高く, 12月,5月にくらべ 10倍増加しているO Lys.春にやや高く冬1月,12月に最も低くなってい るO Leu., ILeu., Tyr., Phe.葉において1月に最低値 1 0 1 6 4 0 0 o q J 円 J F D 1 A ワ ム つ M つ 副 司 i っ “ ヮ “ っ “ 1 ょ 1 4 7 8 2 9 2 7 3 1 7 8 8 1 5 7 4 4 ・ 寸 i 1 i 守 i 13 50 9 2 1 円 h u q U 1 i q u 噌 i n J 吋i 87 15 37 39I 59I 74 135 271I 457 I 373 192 60 I 112 176 78 372 258 213 232 316 61 32 46 13 6 5 5 54 80 26 42 28 3 4 36 17 21 77 23 51I 64 125 122 81 188 3 6 47 47 ︻ h d F D n ノ “ 司 B A R d n x U 2 1 1 ム 庁 i 1 ょ A U D O A せ 口 0 4 5 2 1 を示すが茎においては12月に最低値を示し,秋,春と 増加しているO この現象は品種の相違によるものか, 気温,栽培条件の相違により生じたものか不明である が,ほうれん草の生育と何らかにおいて関係している ものと思われるO

E

ほうれん草の遊離アミノ酸, 16種を定量し;季節的変 動,部位別変化を検討した。ほうれん草の品種,栽培条 件等の相違により,また個体差もかなりあるものと思 われるが,含有量の高い遊離アミノ酸ほど季節的変動 が大きし、。一般に食品の味の中で Thr.,Ser., Gly., Ala., Pro.は甘味に関与しているアミノ酸としてあげ られているが,ほうれん草中の Thr.,Pro.は冬に極 端に多くなることは冬場におけるほうれん草の味に影 響しているものと考えらる。また Glu.においても同 様にほうれん草のうま味に関与しているものと思わ

(5)

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} ( j i ; ] ll10nths 図6 Pro. Asp. Val.Ala.の月別変化(茎) れる。その他の遊離アミノ酸 Gly.は夏に多くなって おり Ser.,Ala.は春, 秋に多くなっているが, 冬場 のThr.,Pro.にかはり春,秋のほうれん草の味に影響 しているものと思われるO その他,葉,茎とも Total アミノ酸を比較すると 1月から 3月までが含有量が高 く ,

7

月にはほとんどの遊離アミノ酸は減少しており, 夏場におけるほうれん草は冬場のほうれん草と比較し

- 3

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-a‘'‘_,‘・』・-~ ; リ !l1σnths L' 11 ¥0 り 図8 Phe. Tyr. Leu. ILeu. Met. Gly.の月別変化(茎〉 た場合,味覚においてかなりの差異を感じるが,遊離 アミノ酸含量も一つの大きな要因をなしているものと 考えられるO

参 考 文 献

1) 原色食品図鑑,建自社

参照

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