マイクロ波回路シミュレータの導入による高周波回路授業の実践(伊山義忠,永田和生)
Research Reports of NIT, Kumamoto College. Vol. 8 (2016) 参考文献
(1) 独立行政法人 国立高等専門学校機構 熊本高等専門
学校:「シラバス」,
http://www.kumamoto-nct.ac.jp/shien/handbook.html, (2016.9 現在).
(2) David M. Pozar: “Microwave Engineering” ,John Wiley & Sons, 2004. (3) 溝上慎一:「アクティブラーニングと教授学習パラダ イムの転換」,東信堂, 2015. (4) 松下佳代:「ディープ・アクティブラーニング」,勁 草書房,2015. (5) 小林昭文:「アクティブラーニング入門」,産業能率 大学出版部,2015. (6) 文部科学省:「教育課程部会(第 98 回)配布資料 次 期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ (案) 」, http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/0 04/siryo/1376580.htm,(2016.9 現在). (7) たとえば国立大学法人山梨大学:「アクティブラーニ ングの取り組み」, http://www.che.yamanashi.ac.jp/modules/activelearning/i ndex.php?content_id=1,(2016.9 現在).
(8) John Keown 著,町好雄 監訳:「SPICE による電子回
路設計」,東京電機大学出版局,2002. (9) 宇野亨:「FDTD 法による電磁界およびアンテナ解 析」, コロナ社,2000. (10) 小西良弘 監修:「電磁波問題へのアタックの仕方」, 電子通信学会,1977. (11) 小暮裕明:「電磁界シミュレータで学ぶ高周波の世 界」,CQ 出版社,2001. (12) 牛田明夫,森真作:「非線形回路の数値解析法」,森 北出版,1987. (13) 本城和彦,「マイクロ波 CAD を用いた高度技術研修 ―大学における社会人向け研修の新しい方向―」,電 気通信大学紀要,Vol.16,No.2,p169-177,2004. (14) 独立行政法人 国立高等専門学校機構 沖縄工業高等 専門学校:「沖縄高専グローバル交流プログラム」, http://www.ic.okinawa-ct.ac.jp/chinen/2016_01_04/index. htm,(2016.9 現在).
(15) AWR Japan 株式会社:「AWR ユニバーシティ・プロ グラム」, http://www.awrcorp.com/sites/default/files/content/attach ments/AWR_University_Program_Guide_JP-2016.01.pdf , (2016.9 現在). (16) R.M.ガニェ,W.W.ウェイジャー,K.C.ゴラス,J.M. ケラー 著,鈴木克明,岩崎信 監訳:「インストラク ショナルデザインの原理」,北大路書房,2007. 熊本高等専門学校 研究紀要 第8 号(2016)
液晶ディスプレイにおける横方向スクロール文字情報の
視認性に関する基礎的研究
遠藤 厚志
*Fundamental Research on Visibility of Horizontal Scroll Character on a LCD Screen
Atsushi Endo*This paper describes a basic research results on the engineering visibility evaluation of the horizontal scroll display character in the LCD screen.It is studied subjective visibility of Japanese text that flows through the LCD screen in a single line from the right to the left. Text information of the random arrangement “katakana” is used. The scroll speed, number of characters and the character size are investigated the effect on visibility. Certain of the character size and the number of characters that visibility is improved exist for the LCD screen size. To obtain a scroll speed suitable for the number of characters and character size, it is possible to improve the visibility. This study is considered to lead to obtain the guidelines for the future, improve the visibility of the dynamic character information.
キーワード:視認性,液晶ディスプレイ,スクロール文字 Keywords:Visibility, LCD, Scroll Character
1. 緒言
1.1 研究の背景
液晶技術は,モノクロからカラー,静止画から動画表示 へと進化している(1)(2).LCD(Liquid Crystal Display)は, 液晶テレビ,ノートパソコンやモニターなどの幅広い分野 で利用され,世界的に普及している.さらに,LCD は画像 表示や映像表示以外にも,メールや限られたスペースで文 字情報が表示される分野に適用されており,日常の生活に も大きく関わっている.これらの文字情報表示方法として, スクロール表示がある.スクロール表示は限られた表示ス ペースの中で多くの情報を素早く伝達するのに大変便利で あり,電光掲示版等でよく使用されている. LCD の情報を読み取るうえで,画面に表示された情報を 確認する際に何らかの影響により,目視するのが困難な場 合がある.この要因として,「視認性」が挙げられる(3).視 認性とは,一般には目で見たときの確認のしやすさをいう が,デザインや人間工学の分野においては,背景に対する 色や形の際立ちの程度,文字が大きいことによるわかりや すさの度合いをいう.視認性に与える要因を図1に整理す る.可読性は,読みやすさの度合い,判読性は理解しやす さの度合いを表し,視認性の度合いもこれによって変化す る(4). 図1 に示す各要因が変動することにより,視認性は変化 する.情報端末システムでは,LCD 画面で横スクロール情 報が多く利用される(5)(6).横スクロール文字情報において は,文字の見やすさに最も影響を与える要因は,文字サイ ズ,文字数,スクロール速度等があると考える. 1.2 研究の目的 本研究では,PC の LCD の表示情報の一つである横スク ロール文字列の視認性に対し,表示方式や表示情報,人的 要因がLCD の表示特性のどのような影響を与えるのか,そ の傾向を調べ,結果としてLCD の横スクロール表示情報の 視認性向上のための要因を明確化することを目的とする. そのため,横スクロール文字列について,見やすさや文字 の読みやすさに着目した.すなわち,LCD 上での表示文字 の大きさや文字数,スクロール速度をパラメータとした視 認性に関する検証を実施した. 図1 視認性に与える要因 * 制御情報システム工学科 〒861-1102 熊本県合志市須屋 2659-2
Dept. of Control and Information Systems Engineering, 2659-2 Suya, Koshi-shi, Kumamoto, Japan 861-1102
論 文
周囲の光環境 物理的環境 ・画面輝度 ・視野の照度 ・視野角 ・視距離 可読性 判読性 ディスプレイ ユーザ ・知識 ・得意力 ・視力 ・年齢 ・種類 ・表示方式 ・色情報 ・表示情報 表示方法 ― 13 ― 熊本高等専門学校 研究紀要 第8号(2016)熊本高等専門学校 研究紀要 第8 号(2016) ・15 文字のとき 20pt;ストリオブマイラフアテクハホム 40pt;クジヒンデシスユウミヌサフウロ 60pt;サムナイツミーンワンラジヘアン 80pt;ギブフコウリアンヒツフィンクリ ・20 文字のとき 20pt;オブジェクトスパイラルミックスケーション 40pt;ヒョウショウシアガリアウターヘクタールギ 60pt;ソツケンドロウミシシッピスタバボールパン 80pt;コレハスクギロールソツドテキセイヲカエル 3. 測定結果と考察 以下の図で示すy 軸は,被験者 30 人の平均値によるスク ロール速度で評価している. この値,スクロール速度値が小さいほど,すなわち,下 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 5 1 0 1 5 2 0 スク ロ ー ル 速度 [文字 /s ec] 文字数[文字] 20pt 40pt 60pt 80pt 図 最低視認スクロール速度の文字数依存性 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 5 1 0 1 5 2 0 ス ク ロ ー ル速度 [文字 /s ec ] 文字数[文字] 20pt 40pt 60pt 80pt 図 最適視認スクロール速度の文字数依存性 方になるほど,視認性が増し,逆にこの値が大きい程視認 が減ずることを表している.従って,この値が小さく下方 になるほど,視認性は増し,これがよくなることを意味し ている. 3.1 文字数と視認性 最初に,LCD 画面に表示されるスクロール文字サイズが 視認性に与える影響を調べた結果を示す. 図3,図 4 に,文字サイズに対するスクロール速度と文 字数の関係を最低視認スクロール速度と最適視認スクロー ル速度に着目した結果を示す. 二つの図を比較すると,最低視認スクロール速度と最適 視認スクロール速度の変化の仕方がほぼ一致し,双方にあ まり差がない.また、文字数が増加すると、視認スクロー ル速度が速くなることから,視認性は良くなることがわか る.20pt の 15 文字の場合,他と比較して視認されるスクロ ール速度が遅い.すなわち,視認性が悪化するのは,文字 列がランダム配置のため予想が難しかったことによるもの と考える. なお,図3,図 4 には,20pt のグラフには各文字数での スクロール速度の標準偏差を示した. 3.2 文字サイズと視認性 LCD 画面に表示されるスクロール文字サイズが視認性に 与える影響を調べた結果を示す.図5,図 6 に,文字数に 対するスクロール速度と文字数の関係の最低視認スクロー ル速度と最適視認スクロール速度に着目した結果を示す. この二つのグラフを比較すると,前述の 3.1 項と同様に, 最低視認スクロール速度と最適視認スクロール速度の変化 の仕方がほぼ一致していることがわかる.5 文字では文字 サイズが大きくなるにつれて視認速度も低くなるが,10 文 字と20 文字では 60pt から 80pt に,15 文字では 20pt から 60pt になったとき,視認されるスクロール速度が速くなっ ている.すなわち,文字サイズが大きくになるにつれて視 認されるスクロール速度が画一的に速まるのではなく,文 図 最低視認スクロール速度の文字サイズ依存性 液晶ディスプレイにおける横方向スクロール文字情報の視認性に関する基礎的研究(遠藤厚志)
Research Reports of NIT, Kumamoto College. Vol. 8 (2016) 2. 測定 2.1 測定環境と被験者 ・室内温度:22-25 度(暖房機により温度調節) ・外光の考慮:太陽光等による影響を抑制するために実験 室窓のブラインドは閉める. ・照度(測定画面付近):390~410 [lux] ・室内温度:25~28 度(エアコンの暖房で温度調節) ・姿勢:椅子に座ってLCD に表示された文字を観測 ・被験者:熊本高専(熊本)19~20 歳の学生で 30 名,う ち13 名が裸眼,17 名が眼鏡もしくはコンタクトを付け ている.視力は1.0 以上. 2.2 使用機器 表1 に本研究で使用した機器を示す. 表1 本研究で使用した機器 機器の 名称 型番 製造 会社 主な仕様 LCD ProLite E2208 HDS iiyama 社 解像度:1920✕1080 応答速度:2 ms リフレッシュレー ト :60Hz 色彩 輝度計 CS-100 A CONICA MINOLTA 社 輝度測定範囲: 0.01~49900 cd/m2 質量:890g 照度計 LX-11 08 株式会社 佐藤商事 測定範囲:0~400000 lux エクセル 統計2012 アカデ ミック 版 社会情報 サービス 社 OS:Windows®7 対応 統計処理:基本統計 処理,分散処理・多 重比較 色彩輝度 計用三脚 Shepra 535 Velbon 社 推奨積載質量:2.5kg 脚ロック方式:レバ ーロック PC G41T-M2 ECS 社 CPU:Pentium®Dual Core E6500 クロック周波数: 2.93Ghz メモリー:2.048MB 2.3 測定画面と評価条件 測定画面の形式を図2 に示す.スクロール距離は本研究 で使用したLCD の全画面とし,左右で 47.5cm である.被 図2 測定画面 験者は,LCD に横スクロールされたスクロールされた文字 を視認する.スクロール速度は,マウスの左クリックの操 作で速いから遅いに変化させる.このとき,最初に文字列 を視認できたスクロール速度を最低視認スクロール速度, その後さらにスクロール速度を変化させて文字列を難なく 視認できたスクロール速度を最適視認スクロール速度と定 義して評価を行う.この操作を,文字数が5 文字,10 文字, 15 文字,20 文字,文字サイズが 20pt,40pt,60pt,80pt に 変え,計16 通りの組み合わせで測定を行う. なお,スクロール速度は,移動する文字が滑らかな表示 を実現する範囲で設定した.評価条件を表2 に示す. 表2 本研究の評価条件 項目 条件 スクロール速度 0. 5 から 3.5 [文字/sec.] ( 0.1[文字/sec.]毎に漸増 ) 表示文字数 5,10,15,20 [文字] 文字サイズ 20,40,60,80 [pt] 文字フォント ゴシック体 背景色-文字色 黒-白 視距離 150 cm LCD 画面輝度 黒:1.61 cd/m 2 白:200 cd/m2 2.4 測定実験と表示文字 被験者は,実験開始 時間前から運動およびLCD 画面で の文字視認を控えるようにし,開始直前の10 分間は安静と した.表示情報として,被験者の予想による文字列の認識 を避けるために,表示する文字列は事前に被験者に知らせ ることはしない. 文字は判読性の持たない「カタカナ」を使用し,さらに, 文字列はランダム配置とした.判読性を持たない文字列と したのは,意味の持たない文字列にすることで,被験者の 測定中の予想による視認をなくすためである.ここで文字 数は被験者の視認の範囲である. 本研究で使用した表示文字列を以下に示す。 ・5 文字のとき 20pt;トテツモナ 40pt;タノサモコ 60pt;グノユフエ 80pt;ゲンエキノ ・10 文字のとき 20pt;バイオメカニクスコウ 40pt;サッカラグビパソエン 60pt;アケビゴヘイクツロメ 80pt;アケギブデロンソーサ
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スクロール表示㻌
熊本高等専門学校 研究紀要 第8 号(2016) ・15 文字のとき 20pt;ストリオブマイラフアテクハホム 40pt;クジヒンデシスユウミヌサフウロ 60pt;サムナイツミーンワンラジヘアン 80pt;ギブフコウリアンヒツフィンクリ ・20 文字のとき 20pt;オブジェクトスパイラルミックスケーション 40pt;ヒョウショウシアガリアウターヘクタールギ 60pt;ソツケンドロウミシシッピスタバボールパン 80pt;コレハスクギロールソツドテキセイヲカエル 3. 測定結果と考察 以下の図で示すy 軸は,被験者 30 人の平均値によるスク ロール速度で評価している. この値,スクロール速度値が小さいほど,すなわち,下 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 5 1 0 1 5 2 0 スク ロ ー ル 速度 [文字 /s ec] 文字数[文字] 20pt 40pt 60pt 80pt 図 最低視認スクロール速度の文字数依存性 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 5 1 0 1 5 2 0 ス ク ロ ー ル速度 [文字 /s ec ] 文字数[文字] 20pt 40pt 60pt 80pt 図 最適視認スクロール速度の文字数依存性 方になるほど,視認性が増し,逆にこの値が大きい程視認 が減ずることを表している.従って,この値が小さく下方 になるほど,視認性は増し,これがよくなることを意味し ている. 3.1 文字数と視認性 最初に,LCD 画面に表示されるスクロール文字サイズが 視認性に与える影響を調べた結果を示す. 図 3,図 4 に,文字サイズに対するスクロール速度と文 字数の関係を最低視認スクロール速度と最適視認スクロー ル速度に着目した結果を示す. 二つの図を比較すると,最低視認スクロール速度と最適 視認スクロール速度の変化の仕方がほぼ一致し,双方にあ まり差がない.また、文字数が増加すると、視認スクロー ル速度が速くなることから,視認性は良くなることがわか る.20pt の 15 文字の場合,他と比較して視認されるスクロ ール速度が遅い.すなわち,視認性が悪化するのは,文字 列がランダム配置のため予想が難しかったことによるもの と考える. なお,図3,図 4 には,20pt のグラフには各文字数での スクロール速度の標準偏差を示した. 3.2 文字サイズと視認性 LCD 画面に表示されるスクロール文字サイズが視認性に 与える影響を調べた結果を示す.図 5,図 6 に,文字数に 対するスクロール速度と文字数の関係の最低視認スクロー ル速度と最適視認スクロール速度に着目した結果を示す. この二つのグラフを比較すると,前述の 3.1 項と同様に, 最低視認スクロール速度と最適視認スクロール速度の変化 の仕方がほぼ一致していることがわかる.5 文字では文字 サイズが大きくなるにつれて視認速度も低くなるが,10 文 字と20 文字では 60pt から 80pt に,15 文字では 20pt から 60pt になったとき,視認されるスクロール速度が速くなっ ている.すなわち,文字サイズが大きくになるにつれて視 認されるスクロール速度が画一的に速まるのではなく,文 図 最低視認スクロール速度の文字サイズ依存性 液晶ディスプレイにおける横方向スクロール文字情報の視認性に関する基礎的研究(遠藤厚志)
Research Reports of NIT, Kumamoto College. Vol. 8 (2016) 2. 測定 2.1 測定環境と被験者 ・室内温度:22-25 度(暖房機により温度調節) ・外光の考慮:太陽光等による影響を抑制するために実験 室窓のブラインドは閉める. ・照度(測定画面付近):390~410 [lux] ・室内温度:25~28 度(エアコンの暖房で温度調節) ・姿勢:椅子に座ってLCD に表示された文字を観測 ・被験者:熊本高専(熊本)19~20 歳の学生で 30 名,う ち13 名が裸眼,17 名が眼鏡もしくはコンタクトを付け ている.視力は1.0 以上. 2.2 使用機器 表1 に本研究で使用した機器を示す. 表1 本研究で使用した機器 機器の 名称 型番 製造 会社 主な仕様 LCD ProLite E2208 HDS iiyama 社 解像度:1920✕1080 応答速度:2 ms リフレッシュレー ト :60Hz 色彩 輝度計 CS-100 A CONICA MINOLTA 社 輝度測定範囲: 0.01~49900 cd/m2 質量:890g 照度計 LX-11 08 株式会社 佐藤商事 測定範囲:0~400000 lux エクセル 統計2012 アカデ ミック 版 社会情報 サービス 社 OS:Windows®7 対応 統計処理:基本統計 処理,分散処理・多 重比較 色彩輝度 計用三脚 Shepra 535 Velbon 社 推奨積載質量:2.5kg 脚ロック方式:レバ ーロック PC G41T-M2 ECS 社 CPU:Pentium®Dual Core E6500 クロック周波数: 2.93Ghz メモリー:2.048MB 2.3 測定画面と評価条件 測定画面の形式を図2 に示す.スクロール距離は本研究 で使用したLCD の全画面とし,左右で 47.5cm である.被 図2 測定画面 験者は,LCD に横スクロールされたスクロールされた文字 を視認する.スクロール速度は,マウスの左クリックの操 作で速いから遅いに変化させる.このとき,最初に文字列 を視認できたスクロール速度を最低視認スクロール速度, その後さらにスクロール速度を変化させて文字列を難なく 視認できたスクロール速度を最適視認スクロール速度と定 義して評価を行う.この操作を,文字数が5 文字,10 文字, 15 文字,20 文字,文字サイズが 20pt,40pt,60pt,80pt に 変え,計16 通りの組み合わせで測定を行う. なお,スクロール速度は,移動する文字が滑らかな表示 を実現する範囲で設定した.評価条件を表2 に示す. 表2 本研究の評価条件 項目 条件 スクロール速度 0. 5 から 3.5 [文字/sec.] ( 0.1[文字/sec.]毎に漸増 ) 表示文字数 5,10,15,20 [文字] 文字サイズ 20,40,60,80 [pt] 文字フォント ゴシック体 背景色-文字色 黒-白 視距離 150 cm LCD 画面輝度 黒:1.61 cd/m 2 白:200 cd/m2 2.4 測定実験と表示文字 被験者は,実験開始 時間前から運動およびLCD 画面で の文字視認を控えるようにし,開始直前の10 分間は安静と した.表示情報として,被験者の予想による文字列の認識 を避けるために,表示する文字列は事前に被験者に知らせ ることはしない. 文字は判読性の持たない「カタカナ」を使用し,さらに, 文字列はランダム配置とした.判読性を持たない文字列と したのは,意味の持たない文字列にすることで,被験者の 測定中の予想による視認をなくすためである.ここで文字 数は被験者の視認の範囲である. 本研究で使用した表示文字列を以下に示す。 ・5 文字のとき 20pt;トテツモナ 40pt;タノサモコ 60pt;グノユフエ 80pt;ゲンエキノ ・10 文字のとき 20pt;バイオメカニクスコウ 40pt;サッカラグビパソエン 60pt;アケビゴヘイクツロメ 80pt;アケギブデロンソーサ
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― 15 ― 熊本高等専門学校 研究紀要 第8号(2016)液晶ディスプレイにおける横方向スクロール文字情報の視認性に関する基礎的研究(遠藤厚志)
Research Reports of NIT, Kumamoto College. Vol. 8 (2016) 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 㻞㻜 㻠㻜 㻢㻜 㻤㻜 ス ク ロ ー ル速度 㼇文字 㻛㼟 㼑㼏 㼉 文字サイズ 㼇㼜㼠㼉 㻡文字 㻝㻜文字 㻝㻡文字 㻞㻜文字 図 最適視認スクロール速度の文字サイズ依存性 字数に応じて視認されるスクロール速度が遅くなってい る.これは画面サイズに対しての文字サイズが一定量を超 えると,視認性に影響がでてくることを示している. 3.3 近似線の付加 直線近似により,3.1 項および 3.2 項で得られたデータに ついて近似線を付加し考察する.図7 および図 8 の点線で 示されるスクロール速度yに関する 近似線 y=ax+b の 傾きa と切片 b は最小二乗法の次式で求めた. (1) (2) 図7 近似線を付加した最低視認スクロール速度の 文字数の依存性 図8 近似線を付加した最適視認スクロール速度の 文字数の依存性 このとき, は x の平均値, はyの平均値を示す. 得られた最低視認スクロール速度と最適視認スクロール 速度の各フォントサイズにおける関係における近似線の a とb を表 3,表4,および図 9,図 10 に示す. これらの結果から,最低視認スクロール速度,最適視認 スクロール速度を比較すると,双方とも文字サイズが大き くなると傾きa が大きくなり,視認性の文字さいすサイズ 依存性が大きくなること、切片b が小さくなり,視認性の 文字サイズ依存性が小さくなることがわかる. また,図9 および図 10 より,文字サイズが小さいほど文 字数が少ない視認されるスクロール速度は遅いが,文字数 が変化しても傾きが小さいため大きな変化は見られない. それに対して,文字サイズが大きいほど視認されるスクロ ール速度の傾きが大きくなり,視認されるスクロール速度 の変化が小さい.また,文字サイズが大きいほど視認性が 表3 最低視認スクロール速度の傾き a と切片 b 文字サイズ 20pt 40pt 60pt 80pt a 0.041 0.062 0.075 0.080 b 1.315 0.872 0.593 0.507 表4 最適視認スクロール速度の傾き a と切片 b 文字サイズ 20pt 40pt 60pt 80pt a 0.041 0.068 0.077 0.080 b 1.555 1.032 0.773 0.764 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 2.5 2.7 5 1 0 1 5 2 0 ス ク ロ ー ル速度 㼇文字 㻛㼟 㼑㼏 㼉 文字数[文字] 20pt 40pt 60pt 80pt 0.9 1.1 1.3 1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 2.5 2.7 2.9 5 1 0 1 5 2 0 ス ク ロ ー ル速度 㼇文字 㻛㼟 㼑㼏 㼉 文字数[文字] 20pt 40pt 60pt 80pt
液晶ディスプレイにおける横方向スクロール文字情報の視認性に関する基礎的研究(遠藤厚志)
Research Reports of NIT, Kumamoto College. Vol. 8 (2016) 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 㻞㻜 㻠㻜 㻢㻜 㻤㻜 ス ク ロ ー ル速度 㼇文字 㻛㼟 㼑㼏 㼉 文字サイズ 㼇㼜㼠㼉 㻡文字 㻝㻜文字 㻝㻡文字 㻞㻜文字 図 最適視認スクロール速度の文字サイズ依存性 字数に応じて視認されるスクロール速度が遅くなってい る.これは画面サイズに対しての文字サイズが一定量を超 えると,視認性に影響がでてくることを示している. 3.3 近似線の付加 直線近似により,3.1 項および 3.2 項で得られたデータに ついて近似線を付加し考察する.図7 および図 8 の点線で 示されるスクロール速度yに関する 近似線 y=ax+b の 傾きa と切片 b は最小二乗法の次式で求めた. (1) (2) 図7 近似線を付加した最低視認スクロール速度の 文字数の依存性 図8 近似線を付加した最適視認スクロール速度の 文字数の依存性 このとき, は x の平均値, はyの平均値を示す. 得られた最低視認スクロール速度と最適視認スクロール 速度の各フォントサイズにおける関係における近似線の a とb を表 3,表4,および図 9,図 10 に示す. これらの結果から,最低視認スクロール速度,最適視認 スクロール速度を比較すると,双方とも文字サイズが大き くなると傾きa が大きくなり,視認性の文字さいすサイズ 依存性が大きくなること、切片b が小さくなり,視認性の 文字サイズ依存性が小さくなることがわかる. また,図9 および図 10 より,文字サイズが小さいほど文 字数が少ない視認されるスクロール速度は遅いが,文字数 が変化しても傾きが小さいため大きな変化は見られない. それに対して,文字サイズが大きいほど視認されるスクロ ール速度の傾きが大きくなり,視認されるスクロール速度 の変化が小さい.また,文字サイズが大きいほど視認性が 表3 最低視認スクロール速度の傾き a と切片 b 文字サイズ 20pt 40pt 60pt 80pt a 0.041 0.062 0.075 0.080 b 1.315 0.872 0.593 0.507 表4 最適視認スクロール速度の傾き a と切片 b 文字サイズ 20pt 40pt 60pt 80pt a 0.041 0.068 0.077 0.080 b 1.555 1.032 0.773 0.764 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 2.5 2.7 5 1 0 1 5 2 0 ス ク ロ ー ル速度 㼇文字 㻛㼟 㼑㼏 㼉 文字数[文字] 20pt 40pt 60pt 80pt 0.9 1.1 1.3 1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 2.5 2.7 2.9 5 1 0 1 5 2 0 ス ク ロ ー ル速度 㼇文字 㻛㼟 㼑㼏 㼉 文字数[文字] 20pt 40pt 60pt 80pt 熊本高等専門学校 研究紀要 第8 号(2016) 高くなるスクロール速度は,文字数が多くなると文字サイ ズによる視認性の差は小さくなる.同時に文字サイズが小 さくなると視認性が高くなることを示している. このことから,横方向スクロール文字の視認性は,文字 数あるいは文字サイズの各々の側面から一義的ではなく, 相互の組合せで定まることが示された.ここで文字数は被 験者の視認の範囲である. 図9 最低視認速度の傾き a と切片 b 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.10 0 20 40 60 80 100 切 片 b 傾 き a 文字サイズ[pt] a b 図10 最適視認速度の傾き a と切片 b 4. 結論 本研究では,カタカナによるランダム配置文字情報を用 いた文字数,文字サイズ,ならびにスクロール速度の変化 による LCD 画面における横方向スクロール表示文字の工 学的な視認性評価に関する基礎的研究を行った. 本研究で示された点を以下に示す. 1) LCD における横スクロール文字情報の視認性は,文字サ イズと文字数に依存するが,必ずしも,文字数が少ない ほど,文字サイズが大きいほど視認性,すなわち可読性 が向上するわけではない. 2) 画面サイズに対して視認性が向上する一定の文字サイズ と文字数が存在し,一定の文字数に適した視認速度を得 ることで、視認性,すなわち可読性の向上を図ることが 可能となる. 3) 最低視認スクロール速度と最適視認スクロール速度は, 文字数,文字サイズに対し,同じ変化を示すことから, 視認性の相違は認められない.可読性と判読性に留意し て文字配列に加えて,漢字・ひらがな混じりの文字情報 にするなど,視認性との関係を調べることが求められる. 本研究により,ランダム配置文字情報は横方向スクロー ル表示文字の視認性評価に有効であることが示された. 本研究は,今後,表示情報の文字配列や LCD の画面サ イズ,すなわち,スクロール距離およびスクロール速度, 文字数,文字サイズ,文字色と背景色の組合せ等の評価パ ラメータを多くすることが重要である.これらによる汎用 性のある評価データの取得,更には,縦方向スクロール等 の文字情報の視認性評価の実施が動的文字情報の視認性向 上のための指針を得ることにつながると考える. 最後に,本研究は平成28 年 3 月に制御情報システム工学 科を卒業した渡辺洵太君の卒業研究による.多くの時間を 割いて課題に真剣に取り組んだ姿勢に敬意を表し,改めて お礼申し上げます. (平成○年〇月○日受付) (平成○年〇月○日受理) 参考文献 (1) 松川文雄;「ディスプレイデバイス」,森北出版株式会社, 2008 年 2 月 (2) 鈴木八十二著;「トコトンやさしい液晶の本」,日刊工業 新聞社,2002 年 2 月 (3) 窪田悟,『液晶ディスプレイの生態学』,(財)労働科学 研究所出版部pp.26-28 ,1998 年 3 月 (4) 山根伸啓;“液晶ディスプレイにおける視認性と可読 性”,東芝レビュー,Vol.65 No.2 pp.11-14 (2010) (5) 郡司裕介,森田ひろみ;“横スクロール表示文章の読み に注視位置が与える影響”,電子情報通信学会技術研究 報告. HIP, ヒューマン情報処理, Vol.108 No.27,pp.97-102 (2008-05) (6) 窪田悟,伊藤瑞穂,岡田想,小田泰久;“横スクロール 文字の可読性”,映像メディア学会誌,Vol.57 No.11 pp.1595-1597 (2003) 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.10 0 20 40 60 80 100 切 片 b 傾 き a 文字サイズ[pt] a b (平成28 年 9 月 20 日受付) (平成28 年 12 月 7 日受理) ― 17 ― 熊本高等専門学校 研究紀要 第8号(2016)
熊本高等専門学校 研究紀要 第8 号(2016)
短繊維補強されたコンクリート製集水蓋の開発
浦野 登志雄
*松田 学
**松本 康資
**井形 友彦
**溝口 稔也
**Experimental Studies on Development of Catchment Lid
Using Short Fiber Reinforced Concrete
Toshio Urano*, Manabu Matsuda**, Yasushi Matsumoto**, Tomohiko Igata**, Toshiya Mizoguchi**
The purpose of this research is to develop the catchment lid of the precast concrete with the durability and the cost performance. At first, material characteristics of the concrete with which various short fiber was mixed were checked. An impact test of the catchment lid made with short fiber reinforced concrete was performed. It was showed that the concrete reinforced with short fiber increases in the strength to the impact. An experimental result of various short fiber reinforced concretes with the same aspect ratio was compared. The flexural toughness of the concrete mixed with polyvinyl alcohol fiber (PVA-fiber) was increased than others. Furthermore, a bending test of the catchment lid manufactured by PVA-fiber reinforced concrete was performed. It was indicated that this product is excellent in the building performance, the durability and the cost performance as a result of the experiment.
キーワード:繊維補強,耐久性,プレキャストコンクリート,集水蓋,曲げ靭性
Keywords:Fiber Reinforcement, Durability, Precast Concrete, Catchment Lid, Flexural Toughness
1.はじめに
集水蓋とは降雨を速やかに道路側溝内に導く表面排水の 目的で,蓋本体に集水用のスリット孔が設けられた製品で あり,車両荷重に対する疲労耐久性の観点から鋼製蓋(グ レーチング)が用いられることが多い.しかし,格子状の 鋼製蓋はタイヤとの接地面積が少ないために舗装路面より も滑りやすく,また,最近ではリサイクル素材として窃取 される被害も発生しており,廉価なコンクリート製集水蓋 が使用されることも多くなった. コンクリート製集水蓋に関する明確な規準は定められて おらず,実用化されている多くの製品はJIS A 5372「プレキ ャスト鉄筋コンクリート 附属書5(規定)路面排水溝類」 の上蓋式・落ち蓋式U 形側溝に用いられる蓋の規格を準用 して設計・製造されている(1). コンクリート製集水蓋の性能照査は,JIS 規格に倣って曲 げ強度試験により安全性を確認しているが,鋼材に比べて 強度特性や疲労耐久性が劣るために,高強度コンクリート やレジンコンクリートを用いて強度改善を図ったり,「取替 えが比較的容易」という製品の位置付けから,通常コンク リートで製造するなど,各社の設計思想によって製品仕様 が様々である(2). コンクリート製集水蓋にみられる苦情の多くは,小石な どの異物が集水孔に挟まって,通行車両による繰り返し荷 重を受けて発生するひび割れや断面欠損であり,これらの 改善が製品の耐用年数とともに使用者満足度の向上に繋が ると思われる. 短繊維補強コンクリートは,これらの性状改善に最も効 果があり,用途に応じて鋼繊維,ガラス繊維,炭素繊維お よび有機系繊維が使用されているが,近年では廉価で施工 性に優れた有機系繊維の利用が拡大している.そこで,本 研究では有機系短繊維を用いたコンクリートの基本物性を 把握し,耐久性と経済性のバランスに配慮したコンクリー ト製集水蓋の開発に資する知見を得ることを目的とした. * 建築社会デザイン工学科 〒866-8501 熊本県八代市平山新町 2627 Dept. of Architecture and Civil Engineering,2627 Hirayama-Shinmachi, Yatsushiro-shi, Kumamoto, Japan 866-8501
** (株)ヤマックス
〒862-0950 熊本県熊本市水前寺 3 丁目 9 番 5 号 Department of Research and Development, Yamax Corporation. 9-5, Suizenji 3-chome, Kumamoto-shi, Kumamoto, Japan 862-0950
論 文
液晶ディスプレイにおける横方向スクロール文字情報の視認性に関する基礎的研究(遠藤厚志)Research Reports of NIT, Kumamoto College. Vol. 8 (2016) 【補足資料】 本研究による被験者 30 人の文字数における最低視認ス クロール速度および最適視認スクロール速度の平均値,な らびに,文字情報の各文字数に対する標準偏差を示す.本 研究で得られた各々のデータ間には,有意差があることが 示されている. A1 最低視認スクロール速度の標準偏差 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 20 40 60 80 ス クロ ー ル 速度 [文字 /s] 文字サイズ[pt] 5文字 10文字 15字文字 20字文字 A2 最適視認スクロール速度の標準偏差 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 20 40 60 80 ス クロ ー ル 速度 [文字 /s] 文字サイズ[pt] 5文字 10字文字 15字文字 20字文字