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所得税と住民税の税率表 退職所得の計算 退職金の選択課税特例 外国税額控除と役員・従業員の差異Up Newsletter
所得税と住民税の税率表
所得税と住民税の税率は、以下の通りです。退職所得の場合も、この税率表を使います。 1.平成 19 年 1 月 1 日以降(所法 89①) 課税所得 所得税率 控除額 ~195 万円以下 5% 0 円 195 万円超~330 万円以下 10% 97,500 円 330 万円超~695 万円以下 20% 427,500 円 695 万円超~900 万円以下 23% 636,000 円 900 万円超~1,800 万円以下 33% 1,536,000 円 1,800 万円超~ 40% 2,796,000 円 地方税は平成 19 年 6 月 1 日以降(下記は標準税率のため、実際は各自治体で異なる) 課税所得 道府県民税率 市町村民税率 合計 一律 4% 6% 10% 平成 19 年度税制改正で、住民税率は所得に関わらず一律 10%になりました。したがって、個人の国税と地方税を 合わせた合計税率は、15%~50%です。定率減税制度は、廃止されました。 2.平成 18 年 1 月 1 日以降 課税所得 所得税率 控除額 ~330 万円以下 10% 0 円 330 万円超~900 万円以下 20% 330,000 円 900 万円超~1,800 万円以下 30% 1,230,000 円 1,800 万円超~ 37% 2,490,000 円 地方税は平成 18 年 6 月 1 日以降(下記は標準税率のため、実際は各自治体で異なる) 課税所得 道府県民税率 市町村民税率 合計 ~200 万円以下 2% 3% 5% ~700 万円以下 2% 8% 10% 700 万円超~ 3% 10% 13% 個人の国税と地方税を合わせた合計税率は、15%~50%です。定率減税は所得税額の 10%相当額が割引され ます。最高限度額は 12.5 万円です。3.平成 17 年 1 月 1 日以降 課税所得 所得税率 控除額 ~330 万円以下 10% 0 円 330 万円超~900 万円以下 20% 330,000 円 900 万円超~1,800 万円以下 30% 1,230,000 円 1,800 万円超~ 37% 2,490,000 円 地方税は平成 17 年 6 月 1 日以降(下記は標準税率のため、実際は各自治体で異なる) 課税所得 道府県民税率 市町村民税率 合計 ~200 万円以下 2% 3% 5% ~700 万円以下 2% 8% 10% 700 万円超~ 3% 10% 13% 個人の国税と地方税を合わせた合計税率は、15%~50%です。定率減税は、所得税額の 20%相当額が割引され ます。最高限度額は 25 万円です。
退職所得の計算
所得税法上の退職所得の計算は、以下の通りです(所法 30)。 退職所得=(退職金収入-退職所得控除額)×1/2 上記の退職所得控除額の計算は、以下の通りです。 勤続年数 退職所得控除額 勤続 20 年以下 40 万円×勤続年数(1 年未満の端数切上げ) ※80 万円以下の場合は 80 万円とします 勤続 20 年超 800 万円+70 万円×(勤続年数-20 年) つまり勤続 20 年ならば退職金が 800 万円まで、40 年ならば 2,200 万円までは無税です。勤続 30 年で退職金が 2,000 万円ならば、退職所得控除額は 1,500 万円です。1,500 万円まで無税で、500 万円×1/2=250 万円が退職 所得として源泉徴収されます。 所得税額:250 万円×10%=250,000 円 退職所得は、給与所得や事業所得等の他の所得と合算される総合課税の所得ではありません。退職所得だけの 分離課税の税率で、所得税と住民税(特別徴収 9%)が課税されるので有利な取り扱いとなっています。 分離課税のため、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば源泉徴収で納税は完結します(所 法 203)。しかし、この手続を取っていないと、退職金 2,000 万円×一律 20%=400 万円で源泉されます。この場合、 通常の退職所得課税に比較して大きく不利です。確定申告すれば、上記の計算式での税額計算をして 375 万円の 還付を受けることができます。確定申告には、源泉徴収票等の一定資料が必要となります。退職所得課税で源泉さ れていても、給与所得が少ないケースで確定申告すれば源泉所得税を還付できる場合もあります。 なお、退職手当金を年金形式で受け取る場合は、雑所得として課税されます。また、死亡退職金は相続人の相続 税の課税対象となります。中国子会社に出向中の親会社従業員が定年退職する際の退職金の課税関係
1.概要 中国に進出して事業展開すれば、上記のような事例が発生することがあります。退職一時金は 2,000 万円で勤続 年数は 20 年、うち日本で勤務 15 年、中国で勤務 5 年と仮定します。 非居住者が退職金を支給された場合で、総支給額のうち居住者であった期間に係る勤務期間等に対応する部分 は、国内源泉所得として日本で所得税が課税されます。よって、退職一時金のうち、日本勤務期間分 15 年=1,500 万円は日本で所得税が課税されます。中国勤務期間分 5 年=500 万円は、中国で所得税が課税されます。 居住者が受ける退職金は、退職所得控除額を差し引いた残額の2分の1が退職所得となり分離課税(累進税率で 5%~40%)されます。しかし、非居住者の場合はこの課税方法は適用されず、支払額のうちの国内源泉所得部分 1,500 万円について一律 20%で源泉徴収されます。したがって、長年居住者として勤務していた者が、たまたま退職 金の支払を海外居住者であった時に受けた場合と、居住者として退職金を受けた場合とで多額の税負担の差が生じ ることもあります。 この問題を考慮して、「退職所得の選択課税」という特別な課税方法を選択することも出来ます。選択課税は、その 適用を受けた方が常に有利とはいえません。例えば、居住者としての勤続期間が比較的短期間である場合には選択 課税を受けない方が有利な場合もあります。 2.設例 (設例 1) 退職金の支払額2,000万円、勤続期間20年(内、居住者としての勤続期間 5 年) ①選択課税を適用しない場合(20%の税率で源泉徴収) 源泉徴収税額 2,000万円×5 年/20年=500万円(国内源泉所得)、500万円×20%=100 万円 ②選択課税を適用する場合(退職所得として課税) 源泉徴収税額 2,000万円-800万円(退職所得控除額)=1,200万円 1,200万円÷2=600万円、所得税額=600 万円×20%=120 万円 ∴源泉徴収税額 100 万<120 万円のため、選択課税を受けない方が有利です (設例 2) 退職金の支払額2,000万円、勤続期間20年(内、居住者としての勤続期間 15 年) ①選択課税を適用しない場合(20%の税率で源泉徴収) 源泉徴収税額 2,000万円×15 年/20年=1,500 万円(国内源泉所得)、1,500 万円×20%=300 万円 ②選択課税を適用する場合(退職所得として課税) 源泉徴収税額 2,000万円-800万円(退職所得控除額)=1,200万円 1,200万円÷2=600万円、所得税額 =600 万円×20%=120 万円 ∴源泉徴収税額 300 万>120 万円のため、選択課税を受ける方が有利です ※通常は、例 2 のように国内勤務期間の方が長い事例が一般的です。なお、上記の有利な退職所得課税を受けるためには「退職所得の受給に関する申告書」を本人が記入して 会社に提出して保管する必要があります。会社は税務署長から提出を求められた場合以外は、税務署への提 出の必要はありません(退職手当等の支払者が保管することになっています)。 また、日本と中国は、租税条約を締結しています。これにより、租税条約に関する届出書(退職年金・保険年金に 対する所得税の免除、9 号様式)を所轄税務署に提出すれば、日本勤務分の 20%の源泉徴収義務もありません。つ まり、中国のみで課税されて日本では課税対象となりません。ただし、この場合は退職所得を考慮しない遥かに高い 中国の累進課税(5%~45%)が適用されて不利になります。 本人が日本に帰国せずに継続して中国現地法人に転籍して継続勤務する場合は、日本の家族か又は会社が退 職所得の総額が確定した時点で所定の申告書を税務署に提出して還付申告の手続きをすることになります(所法 172②、173①)。 中国での課税関係は、住所を有する個人(中国籍を有する者)および住所を有しないで 5 年超中国に居住する個 人は、全世界課税となります。ただし、住所を有しない個人で、中国居住期間が1年以上 5 年以内で個人所得税法 実施条例 6 条の承認を得ている居住者は、中国企業からの給与・退職金でない限り、中国における国内原泉所得の みの課税となります。つまり、上記の日本国内源泉所得については課税されません。中国国内での滞在期間 5 年超 の場合は、海外所得にも課税されます。
外国税額控除と役員・従業員の相違点
中国に子会社がある場合、従業員に出向辞令が出ないまま出張ベースで中国子会社に技術指導をする場合があ ります。日本と中国は租税条約を締結しているので、経済交流を促進するため 183 日ルールが設定されています。つ まり、海外での出張勤務が 183 日以下ならば、中国では所得税が課税されません(日中租税協定 15②(a))。しかし、 183 日超となれば中国でも個人所得税が課税されることになります。この場合は、日本で支給される給与にも源泉課 税されているので国際的二重課税となります。 ①従業員 →日本親会社からの給与は、出張期間中の分は中国国内源泉所得となる(居住者は全世界所得課税、所法 7①一) →二重課税部分は、外税控除できます(所法 95①) ②役員 →日本親会社からの役員報酬は、出張期間中の分は日本国内源泉所得となる(所法 161①八イ、20%の源泉徴収が必要) →したがって、外税控除できません 外国税額の控除限度額の具体的計算式は、以下の通りです(所令 222)。個人の所得税で外国税額控除を受ける ためには、修正申告や期限後申告では受けることが出来ません。 外国税額の控除限度額=日本の所得税額×(海外所得総額/所得総額) 海外勤務の給与収入=給与収入総額×(海外勤務日数/365 日) 一方で、②のように日本の役員が同様に 183 日超の中国出張で、中国で所得税が課税されるケースでは取り扱い が異なります。役員の場合は、役員報酬は海外出張中でも国内源泉所得とされます(所令 285①一)。役員としての 職務は実際の勤務地に関係ないので、日本の非居住者でも源泉課税されることになります(国税不服審判所 平成 6 年 5 月 25 日、平成 11 年 12 月 9 日、平成 17 年 11 月 29 日裁決事例)。このため、役員の場合は使用人の場合と 異なり、海外源泉所得=0 となり、確定申告では外国税額控除を適用することは出来ません。なお、海外出向が 3 年 程度を目処とする辞令を受けた日本の非居住者では、そもそも日本の外国税額控除を適用する余地がありません。Reference Purpose Only
本レターに掲載している情報は、一般的なガイダンスに限定されています。この文書は、個別具体的ケースに対する会計・税務のア ドバイスをするものではありません。会計上の判断や税法の適用結果は、事実認定や個別事情によって大幅に異なることがありえます。 また、解説の前提となる会計規則や税制が変更されている可能性もあります。実際に企画・実行される場合は、当事務所の担当者にご 確認ください。