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第 18 回太田達也研究会

『被害者参加制度の問題点と課題』

『被害者参加制度の問題点と課題』

『被害者参加制度の問題点と課題』

『被害者参加制度の問題点と課題』

2010年 10 月 19 日(火)5 限 小松 純子 0.はじめに 0.はじめに 0.はじめに 0.はじめに 被害者参加制度 被害者参加制度被害者参加制度 被害者参加制度とは…?とは…?とは…?とは…? 犯罪被害者やその家族らが、事件の訴訟手続に直接参加することを認める制度。 犯罪被害者やその家族らが、事件の訴訟手続に直接参加することを認める制度。 犯罪被害者やその家族らが、事件の訴訟手続に直接参加することを認める制度。 犯罪被害者やその家族らが、事件の訴訟手続に直接参加することを認める制度。 2000 年以降、あすの会を中心に被害者らが事件の当事者として訴訟に参加する権利 を求める声が高まり、重大事件の被害者への社会の関心もあいまって、2008 年、当制 度の導入に至った。 1.被害者支援の 1.被害者支援の 1.被害者支援の 1.被害者支援の歴史的経緯歴史的経緯歴史的経緯 歴史的経緯 ◆従来、犯罪被害者は「忘れられた存在」であった。 訴訟においては単なる「証拠品」として法廷に呼ばれるのみ。反論もできなかった。 ◆経済的支援のはじまり 1980年 犯罪被害者等給付金支給に関する法 1995年 阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、神戸市児童殺傷事件 →PTSD など被害者や遺族のダメージに目が向けられるようになる。 ◆事件に関する情報提供のはじまり 1996年 [警察庁] 犯罪被害者対策要綱、犯罪被害者連絡制度 1999年 [検察庁] 犯罪被害者等通知制度 ◆被害者の訴訟参加のはじまり 2000年 刑事訴訟法 改正 犯罪被害者等保護法 →被害者意見陳述制度、ビデオリンクによる供述制度 * * * *この時点では犯罪被害者や遺族は、あくまでも目撃状況や被害感情を証言する 「証人」としての立場であり、刑事裁判の「当事者」ではなかった。 2004年 犯罪被害者等基本法 →2005 年 犯罪被害者等基本計画で、損害賠償命令制度と被害者参加制度の根拠規定 ◆訴訟における「当事者」としての法的地位の芽生え 2007年 刑事訴訟法 改正 被害者参加制度 2008年 被害者参加制度被害者参加制度被害者参加制度被害者参加制度 施行 犯罪被害者等保護法 拡大 →被害者参加人 国選弁護士

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2.被害者参加制度について 2.被害者参加制度について 2.被害者参加制度について 2.被害者参加制度について 刑事事件の被害者またはその家族らが刑事訴訟手続に参加することを認める制度。 [[[[目的目的目的目的]]]] 従来、被害者は検察の「証拠品」としてしか扱われてこなかったが、事件の 「当事者」として、訴訟の場に参加し一定の地位をもつ権利を与えること。 [[[[被害者参加人の資格被害者参加人の資格被害者参加人の資格被害者参加人の資格を有する者を有する者を有する者]]]] を有する者 刑事訴訟法第 316 条の 33 第 1 項 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、強制わいせつ及び強姦の罪、業務上過失致 死傷等及び自動車運転過失致死傷の罪、逮捕及び監禁の罪並びに略取誘拐及び人身売買 の罪等に係る被告事件の被害者等(被害者、被害者が死亡した場合若しくはその心身に 重大な故障がある場合におけるその配偶者・直系の親族・兄弟姉妹)若しくは当該被害 者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士。 [[[[被害者被害者被害者被害者参加人参加人参加人参加人の権利の権利の権利の権利]]]] 刑事訴訟法第 316 条の 33~39 ①在廷権 公判期日に、法廷で検察官の隣などに着席し、裁判に出席すること。 ②検察官に対する意見表明権・説明要求権 証拠調べの請求や論告・求刑などの検察官の訴訟活動に関して意見を述べたり、検察 官に説明を求めること。 ③証人尋問権 情状に関する証人の供述の証明力を争うために必要な事項について、証人を尋問す ること。 ④被告人質問権 意見を述べるために必要と認められる場合に、被告人に質問すること。 ⑤論告求刑権 証拠調べが終わった後、事実又は法律の適用について、法廷で意見を述べること。 [[[[手続手続手続手続要件要件要件要件]]]] 当制度の利用を、事件を担当する検察官に申し出ると、申出を受けた検察官は、被害 者が刑事裁判に参加することに対する意見を付して裁判所に通知する。裁判所が、被告 人又は弁護人の意見を聴き、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、相当 と判断して許可した場合には、被害者参加人として刑事裁判に参加することができる。 参加人は私選または国選で弁護士をつけることができる。 [[[[現状現状現状現状]]]] 2008 年の施行開始から約半年で、206 件 321 人が当制度を利用している。 実は、被害者参加制度で、どこまで被害者に権利を認めるかという議題で、被害者の地 位がとても強いドイツの公訴参加が例示され、議論された。

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3.ドイツにおける公訴参加との比較 3.ドイツにおける公訴参加との比較 3.ドイツにおける公訴参加との比較 3.ドイツにおける公訴参加との比較 被害者が訴訟に直接参加することを認める制度。日本に被害者参加制度を導入する際、 「あすの会」等はこのドイツ式公訴参加の導入を求めていた。 [[[[被害者参加人の資格を有する者被害者参加人の資格を有する者被害者参加人の資格を有する者]]]] 被害者参加人の資格を有する者 性的自由に対する罪、名誉に対する罪、身体に対する罪等の被害者、謀殺未遂又は故 殺未遂の被害者、違法な犯罪行為により死亡した者の親、子、兄弟姉妹及び配偶者。 [ [[ [参加人の権利参加人の権利参加人の権利]参加人の権利]]] ①在廷権 参加人はその代理人とともに、法廷で検察官の隣に座ることができる。参加人が後に 証人として尋問を受ける場合でも、参加人は当事者としてずっと在廷することができる。 ②裁判官・鑑定人忌避権 ③裁判官の訴訟指揮・質問に対する異議申立権 ④証拠調請求権 ⑤意見陳述権 ⑥弁護士選任権 ⑦上訴権 参加人は、被告人が無罪となった場合に限り、検察官から独立して上訴できる。有罪 判決が出た場合には、その量刑に不満があったとしても上訴することはできない。 [[[[現状現状現状現状]]]] ニュルンベルク・フュルト地裁の重大事件部では、同部に係属する事件のおよそ半数程 度で公訴参加が行われている。対象が重罪のみに限られており、この拡大が求められる。 ★軽犯罪では… ★軽犯罪では… ★軽犯罪では… ★軽犯罪では… 原則:加害者と被害者の間で和解(示談)を試みなければならない。 例外:事件が公益に関わるときは検察が起訴し、被害者も公訴参加公訴参加公訴参加公訴参加することができる。 和解が不調の場合、私人起訴私人起訴私人起訴という制度で被害者が直接起訴することができる。 私人起訴 その際、被害者は「当事者」として、訴訟に参加する。 ※日本では、検察が不起訴処分にした事件については、一般市民から成る検察審査会 で相当性を審査し、不起訴不当となれば起訴。被害者に不服申立は認められていない。

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★日本日本日本日本とドイツの制度の違いとドイツの制度の違いとドイツの制度の違いとドイツの制度の違い 日本:被害者参加制度 検察との協力関係...検察と意見が異なるときに、被害者の 意見を反映できないことがある。 ドイツ:公訴参加 検察と別個独立した地位から、検察・被告人と同等の権利を有する。 検察と独立して上訴することもできる。 私人起訴 公益にかかわらない犯罪でも、和解が不調であれば被害者が直接 起訴し、「当事者」として訴訟を遂行することができる。 4.日本の被害者参加制度の問題点 4.日本の被害者参加制度の問題点 4.日本の被害者参加制度の問題点 4.日本の被害者参加制度の問題点 ①被害者参加人の権利が限定されている。 日本の訴訟形式は、2当事者主義(中立な判断人である裁判官の前で、被告人側と検 察側が攻防を繰り広げる)をとっている。ドイツでは職権主義裁判のもと、裁判官自ら が適正な刑罰の適用のため活動するドイツに比べると、日本の被害者参加人の地位は検 察から独立していないため、被告人や検察と同等の訴訟当事者ではなく、権利が限定さ れている。したがって、すべての権利の行使につき、検察官に申し出なければならず、 被害者の意思を必ずしも尊重できない。 「重罪」にあたらない犯罪の被害者は参加制度を利用することができない。 ②不起訴処分になった事件について被害者は直接不服申立をすることができない。 検察の不起訴処分に不満な被害者は、検察審査会に審査請求し、検察審査会で起訴相 当決議がなされた場合しか起訴されず、被害者はそれ以上不服を訴えられない。 5. 5. 5. 5.私案私案私案私案 ①被害者参加人に検察と別個独立の地位を認める。 現在は、あくまでも現行の被告人と検察官との2当事者制のなかで一定限度の範囲で 被害者らの訴訟活動を認めたものにすぎないから、参加人は独立した当事者とは言えな い。 ⇒被害者の個人としての尊厳を重んじ、ドイツ同様、検察官とは別個独立の地位を被害 者参加人に認め、より主体的に訴訟手続に関与できるようにする。 ※個人の尊厳…憲法13条「個人の尊重・幸福追求権・公共の福祉」 →2004 年 犯罪被害者等基本法 3 条 1 項「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳 が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」 ②被害者に私人起訴権を認める。 重犯罪・軽犯罪にかかわらず犯罪被害者の権利はみな等しく保護すべき。検察で不起 訴処分になり、検察審査会でも起訴相当決議がなされなかった場合、被害者が希望すれ ば直接起訴することを認める。

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6.考えられる反論 6.考えられる反論 6.考えられる反論 6.考えられる反論 ①刑事裁判が報復の場になってしまう恐れがある。 刑事司法の目的:「公の秩序維持=公益の保護」 しかし重大事件の被害者への注目から、「被害者の利益の保護」のためにもあると 考えられるようになってきた。一当事者として訴訟に参加し、公正な裁判のもとで真実 の究明と適正な刑罰の適用を求めることは、被害者の当然の権利ではないか。 ②裁判員制度のもと、被害者感情を過剰に評価した厳罰化が進む恐れがある。 たしかに被害者感情が反映され厳罰化の傾向に至ると考えられる。しかし、実際に 被害を受けた被害者を訴訟の当事者としての意見を含めた方が、かえって刑罰の適正 化につながるのではないか。 7. 7. 7. 7.結論結論結論結論 現在の被害者参加制度における被害者参加人の権利をより強化し、検察と別個独立の 地位を認める。更に、検察でも検察審査会でも不起訴処分に処された事件については、 希望すれば、被害者が直接起訴することを認める。 8.参考文献 8.参考文献 8.参考文献 8.参考文献 ・安部哲夫、守山正『ビギナーズ刑事政策』成文堂:東京 2009 年 ・岡村勲監修、守屋典子・髙橋正人・京野哲也著『犯罪被害者のための新しい刑事司法 解説 被 害者参加・損害賠償命令・被害者参加弁護士・犯給法【第2版】』明石書店:東京 2009 年 ・ニルス・クリスティ著、平松毅・寺澤比奈子訳『人が人を裁くとき―裁判員のための修復的司法 入門』有信堂:東京 2006 年 ・酒井肇、酒井智恵、池埜聡、倉石哲也『犯罪被害者支援とは何か』ミネルヴァ書房 2004 年 ・日本弁護士連合会 犯罪被害者支援委員会編『犯罪被害者の権利の確立と総合的支援を求めて』 明石書店:東京 2004 年 ・大谷實『犯罪被害者対策の理念』ジュリスト 1143 号 ・田村正博『警察政策』4巻1号 ・法務省ホームページ『犯罪被害者の方々へ』 http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11.html ・シンポジウム H12『犯罪被害者支援と弁護士・弁護士会の役割』 http://www.kanto-ba.org/sympo/aramashi.htm ・獨協大学 安部哲夫『ドイツにおける被害者支援と法整備の状況』 http://www8.cao.go.jp/hanzai/suisin/kentokai/kentokai3/data3/shiryo3-1.pdf ・NPO 法人全国被害者支援ネットワーク http://www.nnvs.org/index.html ・小林奉文『我が国における犯罪被害者支援の現状と今後の課題』 http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200304_627/062701.pdf

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・日弁連『被害者参加制度新設に関し慎重審議を求める会長談話』 http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/070313.html ・白取祐司「日本型『被害者参加』の導入で刑事裁判はどうなるか」世界 765 号(2007) ・川崎英明「刑事裁判への被害者参加制度の批判的検討」季刊刑事弁護 50 号(2007) ・川出敏裕「犯罪被害者の刑事手続への参加」ジュリスト 1302 号(2005) ・豊崎七絵「現代治安政策と『刑事裁判への被害者参加』」法と民主主義 419 号(2007) ・岡村勲(監修)『犯罪被害者のための新しい刑事司法』(明石書店、2007)

参照

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