1
Shin S, Bai L, Burnett RT, et al.
Air Pollution as a Risk Factor for Incident COPD and Asthma
:
15
-Year Population-Based Cohort
Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Nov 4. [Online ahead of print.] COPD発症および成人発症喘息と、微小粒子状物質(PM2.5 )・二酸化窒素(NO2 )・オゾン(O3 )・NO2とO3のレドックス加重 平均(Ox)への過去の曝露との関連を検討し、濃度-反応関係の特徴を明らかにした。510万人のうち、340,733人がCOPDに、 218,005人が喘息に罹患した。PM2.5の3.4μg/m3IQR増加ごとにHR1.07、NO2の13.9ppb増加ごとにHR1.04、O3の6.3ppb増 加ごとにHR1.04、Oxの4.4ppb増加ごとにHR1.03で、COPD発症と汚染物質は正の相関を示した。対照的に、汚染物質と成人 発症喘息を結びつける強いエビデンスは得られなかった。大気汚染はCOPDの発症増加と関連していたが、成人発症喘息とは 関連していなかった。
2
Çolak Y, Afzal S, Nordestgaard BG, et al.
Importance of Early COPD In Young Adults for Development of Clinical COPD
:
Findings from
the Copenhagen General Population Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Nov 3. [Online ahead of print.] 喫煙暴露に焦点を当て、Early COPDのあるまたはない一般人口の若年成人における10年後の臨床的COPD発症リスクを検討 した。Early COPDは50歳未満でベースラインのFEV1/FVC<LLNと定義した。臨床的COPDはFEV1/FVC<0.70かつ%
FEV1<80%で慢性呼吸器症状があることとした。ベースラインに50歳未満でFEV1/FVC≧0.70であった5,497例のうち、104
例(3%)が10年後に臨床的COPDを発症していた。≧10 pack-years喫煙者のうち、Early COPDのあった例の24%で臨床的
●
疫学および全般的話題
2020.10
〜
12
COPD Selected Papers
論文選定方法
発行時期 : 2020年10〜12月の3ヵ月間([Epub ahead of print]も対象としたため、実際には2021年1月
以降に発行されたものも含まれます。)
対象雑誌 :
基 礎 系 : Nature、Cell、Nat Genet、Nat Immun、EMBO J、Am J Respir Cell Mol Biol、Am J Physiol、
Proc Natl Acad Sci USA、J Clin Invest、Nat Commun、J Exp Med
臨 床 系 : Lancet、N Engl J Med、JAMA、BMJ、Ann Intern Med、Lancet Respir Med、Nat Med
学 会 誌 : Chest、Thorax、Eur Respir J、Am J Respir Crit Care Med、Respirology、Ann Am Thorac Soc、
Respir Med
(「日本の施設からの報告」はすべての英文誌を対象としています。)
1. 上記の雑誌に掲載されたCOPDに関する原著論文より、本誌編集委員である室繁郎先生・柴田陽光先生・杉浦久
敏先生が、医療関係者にとって有益であるという観点から約30論文を厳選します。
2. メディカルレビュー社編集部にて、2名以上の編集委員が推薦した論文を掲載とします。
(全員が推薦したもの
は
■
★で示しています。)
3. 掲載論文は、病因・病態、診断・評価、治療などのカテゴリーに分け、編集部で抄訳を付します。
4. 掲載論文および抄訳は、本誌編集主幹 福地義之助先生のご監修を経て、発刊決定となります。
★
3
and extrapulmonary comorbidity profiles
:
a prospective cohort study.
Lancet Respir Med. 2020 Nov 17;S2213-2600( 20 )30413-6. [Online ahead of print.] 幼年期から成人期の喘息およびアレルギーの経時的trajectoryを評価し、呼吸機能アウトカムおよび併存症プロファイルとの関 連を検討した。5つの喘息およびアレルギーのtrajectoryが同定され、4つの肺外病変のプロファイルが同定された。晩期発症喘 息およびアレルギーのtrajectoryは、複数病変プロファイルと強く関連していた(相対リスク比3.3 )。一方、他の喘息およびア レルギーtrajectoryは、メンタルヘルス障害優勢プロファイルとのみ関連していた。スパイロメトリーで定義されたCOPDおよ び臨床的なCOPDは、早期発症持続型喘息およびアレルギーtrajectoryと最も強く関連しており(オッズ比5.3 )、晩期発症喘息 およびアレルギーtrajectoryとも関連していた(オッズ比3.8 )。
4
Halpin DMG, Criner GJ, Papi A, et al.
Global Initiative for the Diagnosis, Management, and Prevention of Chronic Obstructive Lung
Disease. The
2020
GOLD Science Committee Report on COVID-
19
and Chronic Obstructive
Pulmonary Disease.
Am J Respir Crit Care Med. 2021 Jan 1;203( 1 ):24-36. COVID-19とCOPDに対する2020年のGOLD Science Committeeのレポート。COPD患者は、社会的距離・手洗い・マスク着用 またはフェイスカバーを含む基本的感染制御方法に従うべきである。安定期COPD管理のために処方された吸入ステロイド薬 や長時間作用性気管支拡張薬などは継続して使用されるべきである。通常どおりCOPD増悪には全身性ステロイド薬および抗 菌薬が使用されるべきである。COVID-19感染の症状と、慢性症状およびCOPD増悪症状とを識別することは難しい。COVID-19の疑いがあれば、SARS-CoV-2の検査が考慮されるべきである。入院や肺炎を含む中等症から重症のCOVID-19罹患患者は、 進化する薬物療法アプローチで治療されるべきである。急性呼吸不全の管理には、適正な酸素補給・腹臥位・非侵襲的換気・保 護的肺換気を含めるべきである。
5
Zhao X, Qiao D, Yang C, et al.
Whole genome sequence analysis of pulmonary function and COPD in
19
,
996
multi-ethnic
participants.
Nat Commun. 2020 Oct 14;11( 1 ):5182. 本研究では、集団および家族ベースの研究からの11,497例と、NHLBI Trans-Omics for Precision Medicine(TOPMed)プログ ラムのCOPDの多い研究からの8,499例という多民族サンプルを用いて、呼吸機能およびCOPDの全ゲノム配列解析を行った。 ゲノムワイド有意な10の既知のGWAS遺伝子座、および22のこれまで報告されてこなかった遺伝子座が同定された。PIAS1、 RGN(2つ)、FTO領域にある4つの新たに発見されたコモンバリアントは、UK Biobankで再現性のエビデンスが得られた。また、 共局在化分析によって、GTExおよびTOPMedからのマルチオミックデータが22の新たな遺伝子座のうちの4つに有力な分子メ カニズムがあると同定したことが明らかになった。
●
COPDと遺伝子解析
★
6
Wang Z, Locantore N, Haldar K, et al.
Inflammator y Endotype Associated Air way Microbiome in COPD Clinical Stability and
Exacerbations - A Multi-Cohort Longitudinal Analysis.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Dec 17. [Online ahead of print.] 安定時および増悪時における、気道マイクロバイオームと好中球性および好酸球性COPDとの関連を検討した。好中球性 COPDの気道マイクロバイオームは、Haemophilusが優勢かで区別される2つの主なタイプがあった。Haemophilus優勢サブグ ループは、喀痰中IL-1bおよびTNFaが上昇しており、比較的経時的に安定していた。バランスの取れたマイクロバイオームを 有するもう1つの好中球性サブグループは、喀痰中および血中でIL-17Aが上昇しており、一時的に病勢が活動的になった。安定 時の患者の状態は、増悪中には強いマイクロバイオームの変化が起こった。このサブグループは、一時的に「好中球性 Haemophilus優勢」かつ「好酸球性」という状態に変化した。ネットワークアナリシスによって、「好中球性Haemophilus優勢」「好 中球性バランスの取れたマイクロバイオーム」「好酸球性」の異なる宿主マイクロバイオーム相互作用パターンが明らかになった。
★
7
Sevilla-Montero J, Labrousse-Arias D, Fernández-Pérez C, et al.
Cigarette Smoke Directly Promotes Pulmonar y Arterial Remodeling and Kv
7
.
4
Channel
Dysfunction.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Dec 11. [Online ahead of print.] COPD患者の肺動脈リモデリングは、単なる肺胞内低酸素の結果ではなく、タバコ煙の肺血管床への直接の影響のためでもある と証明することを目的とした。タバコ煙抽出物(CSE)曝露は肥大し老化したフェノタイプを促進し、炎症性分子の分泌をとお して、曝露されていない細胞の増殖能を増加させた。さらに、CSEは細胞収縮性に影響し、電位依存性K+チャネルである Kv7.4の発現と活性を調節不全にした。これは血管収縮および血管拡張反応を障害した。最も重要なのはこのチャネルの発現レ ベルが、タバコ煙曝露マウス・喫煙者・COPD患者の肺で減少していたことである。
8
Woldhuis RR, Heijink IH, van den Berge M, et al.
COPD-derived fibroblasts secrete higher levels of senescence-associated secretory phenotype
proteins.
Thorax. 2020 Dec 3;thoraxjnl-2020-215114. [Online ahead of print.] 老化した線維芽細胞の細胞老化関連分泌現象(senescence-associated secretory phenotype:SASP)と、重篤な早期発症 COPDを含むCOPD由来肺線維芽細胞とを検討した。老化した肺線維芽細胞からの124のSASP蛋白が同定されたが、健常者と 比較して、42がCOPD由来線維芽細胞から高レベルで分泌されており、35が重篤な早期発症COPD由来の線維芽細胞から高レ ベルで分泌されていた。重篤な早期発症COPD関連のSASPには慢性炎症に関連する蛋白が含まれており、これは重篤な早期 発症COPDの病態形成に寄与していると考えられる。
★
9
Dunican EM, Elicker BM, Henry T, et al.
Mucus Plugs and Emphysema in the Pathophysiology of Airflow Obstruction and Hypoxemia in
Smokers.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Nov 12. [Online ahead of print.] COPDのある喫煙者における気流制限および低酸素血症のメカニズムへの粘液栓と気腫性病変の相対的役割を検討した。400 例の喫煙者のうち、229例(57%)が粘液栓を、207例(52%)が気腫性病変を有しており、粘液優勢および気腫性病変優勢のサ ブグループに同定できた。高粘液栓スコアの喫煙者の33%しか粘液による症状を有していなかった。粘液栓スコアと気腫性病 変割合は、独立してFEV1低値および末梢血酸素飽和度低値と関連していた(p<0.001 )。粘液栓スコアと呼吸機能アウトカム の関連は、限局的気腫性病変の喫煙者で最も強かった(p<0.001 )。低い粘液栓スコアの喫煙者と比較して、高いスコアの喫
●
病因・病態解析
2020.10〜1210
わたる重度の慢性炎症疾患と関連している。本研究では、適応および自然免疫細胞におけるLTβRリガンドの発現増加は、標 準的でないNK-κBシグナリングを活性化し、喫煙関連COPD患者およびタバコ煙に慢性曝露させたマウスの肺上皮細胞にLTβ R標的遺伝子の発現を増加させた。若年および老年マウスに、LTβR阻害の治療を行うと、タバコ喫煙に関連して誘導される気 管支関連リンパ組織を破壊し、肺組織の再生が誘導され、気道の線維化と全身性筋消耗が元に戻された。これらの知見は、LT βRシグナリングの阻害は、三次リンパ組織の防止とアポトーシスの抑止を合わせた有望な治療オプションであることを示唆し ている。★
11
Benjamin JT, Plosa EJ, Sucre JM, et al.
Neutrophilic inflammation during lung development disrupts elastin assembly and predisposes
adult mice to COPD.
J Clin Invest. 2021 Jan 4;131( 1 ):e139481. 気道上皮においてNK-κBが活性化する誘導性トランスジェニックマウスモデルを用いて、肺発達の嚢状期(出生後3-5日)の短 期間の炎症が、弾性線維の集合を崩壊させ、24ヵ月齢にわたって進行する呼吸機能の永続的な低下およびCOPD様肺フェノタ イプの形成につながることを発見した。好中球の枯渇が、弾性線維集合の崩壊を抑止し、正常な肺発達に復元させた。メカニ ズムの研究で、重要な弾性線維集合成分であるfibulin-5とエラスチンの発現をダウンレギュレートしている好中球エラスターゼ の役割が明らかになった。本研究によって、生涯にわたって肺構造および機能を維持するために必要な、遠位肺にエラスチン の足場を集合させる重要な発達期があることが判明した。好中球性炎症はCOPDになる発育早期の素因形成にも寄与している と考えられる。
★
12
Kachroo P, Morrow JD, Kho AT, et al.
Co-methylation analysis in lung tissue identifies pathways for fetal origins of COPD.
Eur Respir J. 2020 Oct 29;56( 4 ):1902347. 本研究では、160の外科的サンプルの成人肺DNAおよび78の胎児肺DNAサンプルにゲノムワイドメチル化プロファイリングを行っ た。相互メチル化(co-methylation)ネットワークが構築され、胎児と成人肺組織でメチル化パターンを共有する保存されたモジュー ルが同定され、胎児の子宮内タバコ煙曝露および妊娠期間とCOPDとの関連が判明した。加重相関ネットワークによって、胎 児の子宮内タバコ煙曝露・COPD・低い成人時呼吸機能と関連する胎児および成人肺データに対する保存されたおよび相互メチ ル化したモジュールが明らかになった。胎児と成人のモジュールを重ね合わせることによりCOPDの成因としてタバコ煙曝露 および成育期の重要性が支持された。
13
Donovan AA, Johnston G, Moore M, et al.
Diaphragm Morphology Assessed by Computed Tomography in Chronic Obstructive
Pulmonary Disease.
Ann Am Thorac Soc. 2020 Dec 15. [Online ahead of print.] CTで評価した横隔膜筋肉形態と、COPD重症度・増悪・健康状態・運動耐容能との関連を検討した。COPDの喫煙者65例で、 平均横隔膜CT密度は3.1±10HUで、ドームの高さは5.2±1.3cm、筋肉量は57±24cm3であった。横隔膜CT密度の1-SD減少は、
FEV1の8.3%低下、増悪歴の3.27倍の高いオッズ比、SGRQ-Cの9.7ポイント高値、VO2peakの2.5mL/kg/分低下と関連していた。
ドームの高さの1-SD減少は、FEV1の11%低下、VO2peakの1.3mL/kg/分低下と関連していた。横隔膜筋肉量との関連は何も認
められなかった。
14
Han MK, Agusti A, Celli BR, et al.
From Gold
0
to Pre-COPD.
Am J Respir Crit Care Med. 2021 Feb 15;203( 4 ):414-423. FEV1は、症状・増悪・生命予後を含む臨床的アウトカムの最も強力な予測因子の1つであるが、信頼できるデータによって、呼 吸器症状(特に慢性気管支炎)・CTで検出される気道異常および気腫性病変・FEV1やDLCOの低下加速を含む生理学的測定値異 常が、COPDのスパイロメトリー基準に合致しない個人に存在することが示唆されている。これらの異常は、将来気流閉塞に なるリスクが増加している個人を同定するのに役立つと考えられる。本論文では、症状・生理学的異常・画像上の異常があるが スパイロメトリーは正常範囲内にある個人に「pre-COPD」という用語を使用するためのエビデンスを検証した。良好な感度と 特異度を示し、臨床的に利用可能な「pre-COPD」の定義を育成するために、若年の症例の早期病変をより研究することが重要 である。
15
Rittayamai N, Chuaychoo B, Tscheikuna J, et al.
Ultrasound Evaluation of Diaphragm Force Reserve in Patients with Chronic Obstructive
Pulmonary Disease.
Ann Am Thorac Soc. 2020 Oct;17( 10 ):1222-1230. COPD患者(n=80 )と健常対照者(n=20 )で横隔膜の活動性、機能、予備力(force reserve)を比較した。健常者と比較して、 COPD男性患者では、横隔膜の仕事量が増加しており、横隔膜の機能が障害されており、予備力が減少していた。横隔膜の予 備力は、最大吸気量(IC)(r=0.46 )およびBODE index(r=-0.49 )と相関していた。増悪しない患者と比較して、後続2年間で 増悪を経験した患者は予備力が少なかった(p=0.024 )。COPDにおいて横隔膜の超音波での評価は、機能に関する重要な情報 を提供する。
16
Jenkins CR, Wen FQ, Martin A, et al.
The Effect of Low Dose Corticosteroids and Theophylline on the Risk of Acute Exacerbations of
COPD. The TASCS Randomised Controlled Trial.
Eur Respir J. 2020 Dec 17;2003338. [Online ahead of print.] 中国の37施設で行われたこのランダム化3アーム二重盲検ダブルダミープラセボ対照試験は、中等症から最重症の症候性 COPD患者を、①低用量テオフィリン1日2回+プレドニゾン1日1回、②低用量テオフィリン1日2回+プラセボ1日1回、③プラ セボ1日2回+プラセボ1日1回に1:1:1に割り付けて48週間追跡し、主要評価項目は年間増悪率とした。3つの治療群間で年間 増悪率に差は認められなかった。低用量テオフィリン+プレドニゾン群で0.89( 95%CI;0.78-1.02 )、低用量テオフィリン+ プラセボ群で0.86( 95%CI;0.75-0.99 )、プラセボ+プラセボ群で1.00( 95%CI;0.87-1.14 )であった。入院・FEV1・SGRQ・
CATスコアの副次評価項目も治療群間で統計学的有意差は認められなかった。
★
17
Martinez FJ, Rabe KF, Ferguson GT, et al.
Reduced All-Cause Mortality in the ETHOS Trial of Budesonide/Glycopyrrolate/Formoterol for
Chronic Obstructive Pulmonary Disease. A Randomized, Double-Blind, Multi-Center,
Parallel-Group Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2021 Mar 1;203( 5 ):553-564. オリジナルの解析では52週時の生存状態が不明であった患者のデータを回復・追加して、増悪歴のある中等度以上の重症度の COPDを対象にしたETHOS試験の死亡に関する知見の堅牢性を評価した。ITT集団の99.6%の52週時の生存状態を含めた最終 の回復データセットにおいて、320μg ICS/LAMA/LABA群の死亡リスクは、LAMA/LABA群と比較して有意に低下していた(HR 0.51、95%CI;0.33-0.80、未補正p=0.0035 )。320μg ICS/LAMA/LABAとLABA/ICSを比較した場合には死亡率に有意差は 認められなかった(HR 0.72、95%CI;0.44-1.16、p=0.1721 )。最初の30、60、90日を解析から除いても結果は同様であった。
●
薬物治療について
2020.10〜1218
IMPACT試験の「増悪と肺炎複合アウトカム」の初回までの期間と発現率を評価することによって、3つの治療群のリスク-ベネフィッ トを検討した。LABA/ICS(HR 0.87( 95%CI;0.82-0.92 ))およびLAMA/LABA(HR 0.87( 0.81-0.94 ))と比較して、LAMA/ LABA/ICSは、中等度/重度増悪または肺炎の複合リスク(初回までの期間)を減少させていた。またLAMA/LABA(HR 0.83 ( 0.72-0.96 ))と比較して、重度増悪または重篤肺炎の複合リスクを減少させていた。LAMA/LABAと比較して、LAMA/LABA/ ICSは、中等度/重度増悪または肺炎の複合発現率(率比0.78( 0.72-0.84 ))および重度増悪または重篤肺炎の複合発現率(率比 0.76( 0.65-0.89 ))を減少させていた。19
Hanania NA, Mannino DM, Criner GJ, et al.
Effect of Age on the Efficacy and Safety of Once-Daily Single-Inhaler Triple-Therapy Fluticasone
Furoate/Umeclidinium/Vilanterol in Patients With COPD
:
A Post Hoc Analysis of the
Informing the Pathway of COPD Treatment Trial.
Chest. 2021 Mar;159( 3 ):985-995. IMPACT試験のアウトカムに年齢が影響しているかを事後解析で検討した。ITT集団は10,355例を含み、4,724例( 46%)が64 歳以下、4,225例(41%)が65-74歳、1,406例(14%)が75歳以上であった。LABA/ICSと比較して、LAMA/LABA/ICSは中等度 /重度の増悪発現率を、64歳以下で8%(p=0.070 )、65-74歳で22%(p<0.001 )、75歳以上で18%(p=0.021 )減少させた。ま たLAMA/LABAと比較して、64歳以下で16%(p=0.002 )、65-74歳で33%(p<0.001 )、75歳以上で24%(p=0.012 )減少させ た。65-74歳および75歳以上で最も大きい減少率が認められた。
20
Jacobs SS, Krishnan JA, Lederer DJ, et al.
Home Oxygen Therapy for Adults with Chronic Lung Disease. An Official American Thoracic
Society Clinical Practice Guideline.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Nov 15;202( 10 ):e121-e141. 慢性肺疾患(COPDとILD)に対する在宅酸素療法に関するATSの公的ガイドライン。推奨は、①重度の慢性安静時低酸素血症 のあるCOPDまたはILD患者に長期酸素療法の使用を強く推奨する、②中等度の慢性安静時低酸素血症のあるCOPD患者に長 期酸素療法の使用を条件付きで推奨しない、③重度の労作時低酸素血症のあるCOPDまたはILD患者に歩行酸素療法の使用を 条件付きで推奨する、④自宅から外へ出て労作時に>3L/分の持続流入酸素を必要とする患者に歩行液体酸素療法の使用を条 件付きで推奨する、⑤患者および介護者が酸素供給装置と安全性について教育を受けることを推奨。
21
Ito Y, Oshinden K, Kutsuzawa N, et al.
Heat-Not-Burn cigarette induces oxidative stress response in primary rat alveolar epithelial
cells.
PLoS One. 2020 Nov 25;15( 11 ):e0242789. 本研究では、ラットの初代肺胞上皮細胞(AEC)を単離して培養し、加熱式タバコ煙抽出物で刺激した。加熱式タバコ煙抽出物 に曝露されたラットAECは、酸化ストレス反応遺伝子(Hmox-1、Gsta1、Gsta3、Nqo1 )を発現した。Ⅰ型肺胞上皮様細胞と Ⅱ型細胞における酸化ストレス反応、加熱式タバコと従来型タバコによる酸化ストレス反応を比較すると、加熱式および従来 型タバコに反応して、Ⅰ型様細胞よりもⅡ型細胞においてGsta1・Gsta3・Nqo1の発現が高かったが、加熱式タバコと従来型タ バコでは遺伝子発現レベルに有意差は認められなかった。AECにおける酸化ストレス反応誘発に関して、加熱式タバコは、従 来型タバコと同様の影響力を有すると示唆された。(東海大学)
●
日本の施設からの報告
●
薬物以外の治療
22
Tanabe N, Rhee CK, Sato S, et al.
Disproportionally Impaired Diffusion Capacity Relative to Airflow Limitation in COPD.
COPD. 2020 Dec;17( 6 ):627-634.
本研究は、FEV1と比較して不釣り合いに障害されたDLco(FEV1 z-スコア>-3かつDLco z-スコア≦-3 )が、頻度の高い機能
的COPDフェノタイプで、独特の臨床的および構造的様相・予後と関連しているかを2つのコホートで検討した。FEV1と比較し
て不釣り合いに障害されたDLcoは、KOCOSSコホートの29%、京都大学コホートの31%で認められた。不釣り合いに障害さ れたDLcoは、悪い症状・短い6分間歩行距離・CTで認められる傍隔壁型および細葉中心型気腫性病変・動脈の酸素および二酸 化炭素圧低下と関連していることが判明した。またreferenceと比較して、不釣り合いに障害されたDLco群では、高い長期死 亡率が観察され(HR 3.09( 95%CI;1.52-6.29 ))、DLco z-スコア≦-3かつFEV1 z-スコア≦-3群と同等であった。(京都大学)
23
Mochizuki E, Kawai Y, Morikawa K, et al.
Difference in Local Lung Movement During Tidal Breathing Between COPD Patients and
Asthma Patients Assessed by Four-dimensional Dynamic-ventilation CT Scan.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2020 Nov 20;15:3013-3023. 四次元動的換気CTスキャンが、COPDと喘息の1回の呼吸間の局所的な肺の動きを比較することで、COPDの診断に補助的役 割を持ちうるかを評価した。COPD患者の局所的な肺の動きは、喘息患者と比較して有意に小さく、特に肺の前面部において 小さかった。この現象は軽症の気腫性病変(Goddardスコア<8 )の患者においても認められた。四次元動的換気CTスキャンを 用いた定量的評価によって、1回の呼吸間の局所的な肺の動き、特に肺前面部の動きが、喘息患者と比較してCOPD患者では小 さいことが判明した。これは喘息からCOPDを鑑別する補助になる可能性がある。(藤枝市立総合病院)
24
Ohno Y, Yui M, Yoshikawa T, et al.
3
D Oxygen-Enhanced MRI at
3
T MR System
:
Comparison With Thin-Section CT of Quantitative
Capability for Pulmonary Functional Loss Assessment and Clinical Stage Classification of COPD
in Smokers.
J Magn Reson Imaging. 2021 Apr;53( 4 ):1042-1051. 喫煙COPDの呼吸機能欠損評価および臨床ステージ分類における3D酸素造影MRIと薄切CTの能力を比較した。LAA%と呼吸機 能パラメーターの相関(-0.76≦r≦-0.69、p<0.05 )と比較して、平均T1値の変化(ΔT1)と呼吸機能パラメーターには有意
により高い相関(-0.83≦r≦-0.71、p<0.05 )が認められた。「軽症COPD」「中等症COPD」のΔT1およびLAA%は、「重症お
よび最重症COPD」のΔT1およびLAA%と有意に異なっていた(p<0.05 )。ΔT1(62.5%)およびLAA%とΔT1の組み合わせ
(67.9%)の識別精度は、LAA%の識別精度(48.2%)より有意に優れていた(p<0.05 )。(藤田医科大学)
25
Yumoto K, Sato T, Nakashima K, et al.
Nasally Administered Lactococcus lactis Secreting Heme Oxygenase-
1
Attenuates Murine
Emphysema.
Antioxidants (Basel). 2020 Oct 27;9( 11 ):1049.
ヘムオキシゲナーゼ(HO)-1のような抗酸化かつ抗炎症物質を含んだ療法はCOPDの治療候補である。本研究では、遺伝子的 に修飾されたLactococcus lactis(乳酸連鎖球菌)を用いてリコンビナントHO-1を肺に送達させる方法を作成した。エラスター ゼ誘発COPD様気腫性病変モデルを用いて、経鼻的に投与したL. lactis分泌HO-1(HO-1 lactis)が、肺の細胞・分子反応および 疾患進行に与える影響を評価した。経鼻的に投与されたHO-1 lactisは、①肺および血中にHO-1を過剰発現させ、②生理学的 および形態学的に評価した気腫性病変の進行を減弱させた。(横浜市立大学)
2020.10〜12