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青果物小売市場構造の分析-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 節30巻 第63号 お∼弘1978 25

青果物小売市場構造の分析

久 保 利 文

AN ANALYSIS ON A MARKET STRUCTURE OF FRUIT

AND VEGETABLE RETAILING

TosbifumiKuBO

SⅦmmary

The pur・pOSe Of this paper・is to clar・ify the pr・eSent COnditions and market structur・eS about fr■uit and vegetable r・etailingin Kagawa Prefecture.The followlng r・eSults wer・e Obtained: (1)The proportion of customerIS Wholocate withinl.3−km distance from the storIe COuntS

圭一or・about85%.

(2)The fruit and vegetable r・etailing generally has a cer・tain percentage of fixed customers (about47%of allcustomers).

(3)The sales forIfixed customers as percentage of allsales count about71%.

(4)The main factors that the fruit and vegetable retai】ing emphasizes as a competitive measur・e are the art of selling(e.g.,a method of selfqser・Vice)and the collection of COmmOdity. 要 約 香川県における青果物小売店の実態と小売市場構造の分析をおこなった. 分析の結果は,次のとうりである.. (1)小売店を中心に1.3kmの距離範囲に住む客数割合は,約85%である巾 (2)来客数のうち,約47%が固定客である. (3)固定客の購入金額が店舗の総販売額に占める割合は,約71%である. (4)小売商が店舗間競争で時に重視する手段は,販売方法の工夫(たとえばセルフサ−ビス方式の採用)と品 揃えである. 1.は じ め に わが国の青果物流通の特徴として,家族経営に基礎をおいた経営の零細性と高マ・−ジン(1)があげられる.そのため物 価との関連で流通機構の合理化が問題とされるとき,きまって経営規模の大型化の必要性が指摘され,主要な行政施策 もその方向に向けられている(2).つまり経営規模の大型化によって流通の効率化をほかり,流通マーー汐ンの節減を実現 しようとしているわけであるい ところが流通機構は流通の基礎条件と−・般条件によって規定されているため,これらの条件を無視して流通機構の改 善をはかることは不可能であるり したがって流通機構の改善をはかるには,流通機構の実態の把握と変化の方向を予憩 することが必要となる.

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久 保 利 文 香川大学農学部学術報告 26 本稿では,望ましい流通機構のあり方をさぐるための第1次接近方法として,香川県の青果物小売市場を事例にと り,小売市場構造の実態把握を試みた. 分析に用いたデータは,香川大学農学部農業凝営学研究室が昭和47年度に実施した,「香川県における青果物等県内 流通体系調査」(8)の一・環として筆者が担当した,「青果物小売商の仕入・販売行動に関する調査」(4)と「簡果物の消費動 向と購買行動に関する調査」(5)の結果を利用した. 小売商に対する調査は,香川県青果物小売商組合の協力をえて,市郡別に組合員の中から任意に抽出した50名につい て郵送調査法でおこなった(回収率72%).また消費者に対する調査は,香川県消費者モニター100名について同様に郵 送調査法でおこなった(回収率89%).なお,調査回答数が香川県の全青果物小売店および総世帯に占める割合は,そ れぞれ5い3%,0.04%である… また分析の過程では,「高松市」,「他市部」(高松市を除く県内の全市),「郡部」に区分している.これは店舗の立地 条件や環境条件が「市部」と「郡部」,「市部」の中でも都市化の進んでいる「高松市」と「それ以外の市」で異なって おり,その結果小売店の仕入・販売行動や消費者の購買行動に相異が生じていると判断したためであるけ なお,青果物 小売店の数は「高松市.」12店,「他市部」9店,「郡瓢」15店の計36店であり,消費者の世滞数は「高松市」27世帯,「他 市部」21世乱「■郡部」41世帯,計89世■帯である.. 2.青果物小売商の規模 青果物小売市場を特徴づける要因として,青果物小売商の規模の零細性がある..ここでは小売商の規模の実態とその 変化を,40年と47年の比較によってみてみる〃 (1)労 働 力 表1は,青果物小売店の労働事情を示したものである…総労働カは,47年のばあい,平均4.6人であるが,都市化が

表1 労 働 力

単位:人

高松市l他市部l郡 部‡平 均

進んでいる「高松市」が63人で最も多く,次いで「郡部」3。9人「他市部」3.5人となっているい全体としては規模の 拡大化傾向がみられるが,「高松市」の伸びが大きいのに対し,「他市部」,「郡部」での伸びは小さい小 家族労働力については,わずかであるが増加傾向がみられる。しかしその傾向は,家族労働力数が3人に近づくにつ れて鈍化しており,47年では「高松市」,「他市部」,「郡部」での差がはとんどみられない. 雇用労働については,「高松市」では大幅な増大がみられるが,「他市部」や「郡部」では変化がみられない.また男 女別内訳では,女性の占める比率が高く,しかも新規に雇用された労働力は女性だけであるい (2)販売金額 表2は,1日当りの平均販売金額を示したものである.販売金額ほ,「高松市」で最も多く,次いで「他市部」,「郡

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小売市場構造の分析 表2 1日当り平均売上金額 欝30巻 第63号(1978) 27 単位:万円 高 松 市l他 市 部l郡 部 卜平 均 部.」となっており,都市化の桂皮に比例していることがわかる.∴また販売金額の伸び率は,「■高松市」,「他市部」,「郡 部」の順になっており,立地環境問で販売金額の較差が拡大する傾向がうかがわれる. (5)売場面積 表3は,売場面積を示したものである.総店舗面掛ごついてみると,平均売場面積は増加しているが,「高松市」の 表3 売 場 面 積 単位:坪 高松市l他市部l郡 部 一 平 均 増大が著しいため40年に比べて「高松市」と「他市部」,「郡部」との差が拡大している.また同一・立地環境における最 小面積と最大面積の差をみると,最小面積の伸びに比べて最大両横の伸びが大きく,店舗間での両極分化が進んでいる ことがわかる. 以上のことを要約すれば,青果物小売店の規模は零細ではあるが,比較的規模の大きい店舗は「高松市」に多くみら れ,次いで「他市部.」,「郡部」の順となっており,都市化の進展度合と一・致している.しかも「高松市」での規模拡大 速度が大きいため,「他市部」,「郡部」との規模の較差が増大する傾向にある.また同一・立地環境においても,規模の 小さい店舗と規模の大きい店舗の較差が拡大する傾向がみられる. なお労働力に関しては,家族労働力は3人が限度のようであり,労働力の不足分は女性を.主.体とする雇用労働力に よってまかなっている. 3.青果物小売店の顧客状況 青果物小売店の規模ほ,わずかではあるが拡大傾向がみられたが,その速度は「高松市」,「他市部」,「郡部」によっ て違いがあることが明らかになった.ここでは,青果物小売店の規模と密接な関連がある顧客の現状とその動向を明ら かにするい (り1日平均来客数 表4は,青果物小売店の1日当りの平均来客数を示したものである.1日平均来客数は,47年のばあい,30人という 零細な店から580人の屈まで大きな開きがみられるが,平均の来客数は186人である.立地環境別には,「高松市」,「他

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香川大学農学部学術報告 単位:人 久 保 利 文

表4 1日平均来客数

28 部l平 均 市部」といった都市化が進んでいる地域ほど来客数の多い店舗の割合が高いといえる.平均来客数の動向については, いずれの立地環境においても増加しているが,その増加率は,「他市部」において極端に低い.また同一立地環境での 来客数の最大値と最小値の差は,拡大する傾向にあり,この傾向は都市化が進む程大きくなるとみられる.更に,平均 来客数とすでにみた販売額を対応させてみると,立地環境間の販売額の差は来客勢の差に比例していることがみられ る. (2)顧客の来店範囲 表5ほ,顧客の来店範囲を示したものである小顧客の来店範囲は店舗によって拓mから5,000mまでの広がりがみら れるが,−・般的には約1,缶Omである.なおこの点に関して消費者側からみたのが表6である.この表から明らかなよ うに,消費者が普段よく利用する青果物小売店までの往復に要する時間は,「10分以内」が40%を占め,「30分以内」で 表5 顧客の来店範囲 単位:m

高 松 市l他 市 部l郡 部!平 均

表6 買出しに要する往復時間 単位:% 高 松 市l他 市 部 100..0

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≦狛 罪30巻 第蔚号(19テ8) 小売市場構造の分析 ぬ防%近くを占めている.すなわち消費者の拓%が,家計から15分の時間範囲にある青果物小売店を利用していること になる.このばあいの交通手段は,「徒歩」が29%,「■自転車」が亜%と両者が閥%となっていたことからみて(6),距離 にすればおよそ1km強と考えられる.したがってこれらのことから,青果物小売店の顧客由,すなわち販売圏と,消 費者の購買圏の大きさがほぼ−・致することが認められる. 立地環境別にみると,「他市部」は「高松市」,「郡部」に比べて比較的近距離の顧客の依存度が高いことがわかる・ また平均来店範囲の動向について闇,来店範囲の最も小さい「他市部」での伸びが大きく,立地環境問での差が狭ま りつつあるといえよう. H)顧客圏内の世帯数と固定客率 表7は,小売店が自店の顧客圏と感じている範囲内にある総世帯数と,固定客が絵世帯に占める割合を示したもので 表7 顧客圏内の世帯数・固定客率 単位:世帯・% 高 松 市∴l他 市 部、垂 郡 部l平 均 529 1 245 1 4921 452 42・6】 47.. 5 51・31 50‖7t

ある.世帯数は平均で亜2世帯であるが,「他市部」では顧客圏内の世帯数は少なく「高松市」,「郡部」の半分に満たな

い.また同一・立地環境においても,世帯数に大きな隔たりがみられる.

固定客比率は,店舗によって5%から缶%まで開きがあるが,全体では約47%である.立地環境別の平均固定客率

は,世帯数のばあいと異なりかなり似通っているが,顧客の来店範囲の広い「郡部」において若干低くなっているのが

みられる“一方「高松市」では,顧客の来店範囲が広いにもかかわらず固定客比率が最も高くなっている・したがっ

て,顧客圏が広いということが,必ずしも固定客の低下につながるとはいいきれない.なぜなら,「■高松市」のような

中心都市のばあい,通勤客が固定客となることが多いからである. (4)固定客の購入額が総売上板に占める割合

表8は,固定客の購入金額が総売上額に占める割合を示している.固定客の購入金額が総売上額に占める割合は,店

舗によって20%から80%以上まで様々であるが,ほとんどの店舗が50%以上(50%未満の店舗は9%足らずしかない)

表8 固定客の購入額が総売上額に占める割合 単位:% 部l 計 100い0 75.0

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香川大学農学部学術報告 久.保 利 文 30 を占吟ており,平均で約71%ある.したがって層果物小売店では,固定客を中心とした安定的な経営がおこなわれてい るといえる.しかし,この固定客の購入金額が総売上額に占める比率の高さと固定客率の高さが,店舗間競争を不活発 にし 立地環境別では,「■郡部」が,「高松市」や「他市部」に比べて10%近く低くなっており,しかも固定客率も低かった ことを考えると,店舗間競争は「邪部」において相対的に強ぐならざるを得ないといえよう・ 以上の分析から,顧客,すなわち特定の消費者が利用する店舗は固定化する傾向があり,しかもこの固定化した消費 者の購入金額が総売上額に占める割合も,極めて高くなっていることが明らかになった∴また,固定客率と固定客の購 入金額が総売上額に占める割合は,「高松市」で最も高く,次いで「他市部」,「郡部」の順をとなっており,都市化の程 度に比例していることが認められる. 4.青果物小売店舗間競争 ここでほ,青果物小売店の店舗間競争の実態と競争手段である販売促進政策についてみてみる。 (り 競争店舗数と競争店舗までの距離 表9は,各小売商が競争関係にあることを意識している店舗数を示したものである.競争店舗数は平均で29店あり, 表9 競 争 店 舗 数 単位:%,店 100.0 ‡ 100,0 】 100.O 1 100い0 平 均1 2.9i 2.11 3−21 29 「競争店舗がない」と答えた店舗は1店もなく,いずれも1店舗から最高7店舗までの競争店舗を意識している.しか し兢毎店舗数は立地環境によって差がみられる.すなわち,「他市部」では競争店舗が3店以内であるのに対し,「高松 市」や「郡部」では1∼3店以内でそれぞれ70%,60%であり,競争関係を意識している店舗数の最高値も異なってい る.平均でほ「高松取」29店,「他市部」2.1店,「■郡部」3い1店となっているけ 表10 兢争店舗までの距離 単位:m 高松市】他市部 壬 郡 部】平 均 995 625

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小売市場構造の分析 第30巻 第63号(1978) 31 次に,これらの競争関係を意識している店舗までの距離を表10でみてみる.競争店舗までの距離は,平均で555mで あるが,競争店舗を最も近い位置にある店舗と最も速い放置にある店舗に分けてみると,最近距離にある店舗まで4m から2,000m,最遠距離にある店舗まで30mから5,000mと,それぞれかなりの開きがみられる.また.立地環境別で は,「郡部」が最も遠距離にある店舗まで競争関係を意識しており,次いで「他市部」,「高松市」となっており都市化 が進むにつれて競争関係を意識する店舗までの距離が短くなっているといえる.競争店舗までの平均距離は,「高松市」 625m,「他市部」408m,「郡部」498mとなっており,この距離範囲にそれぞれ29店,21店,3.2店の競争店舗を 持っていることになるり したがって競争を恵執する店舗数を店舗間競争の程度を示す指標とするならば,店舗間競争は「郡部」で最も高いも のとなる.しかし,意識するだけでは実際に競争関係にあるとはいえない.そこで競争を意識する店舗に対する注意状 況についてみてみる“ (2)競争店舗に対する注意状況 表11は,小売商が競争を意識している店舗の価格や販売方法に対する意識の程度を示したものである.競争店舗に対 表11競争店舗に対する注意状況 単位:% 高松市l他市部 一 郡 部l平 均 計 !ユ00・0!100・OJユ00ノ′0き 0 迅 0 して「いつも注意を払っている」か,あるいは「かなり注意を払っている」小売商は約半分であり,残りの小売商は 「あまり注意を払っていない」か,または「全く気にしていない」状態である.特に,「全く気にしていない」小売商 は全体の1/3近くある. 立地環境別にみると,「いつも注意を払っている」か,または「かなり注意を払っている」小売商は「高松市」で最 も多く,次いで「郡部」,“「他市部」の順になっているが,立地環境問での差はあ一まりみられない.また「高松市」で は,「いつも注意を払っている」小売商は33%と「他市部」や「郡部」に比べて多い反面,「全く気にしていない」小売 商も42%と最も多く,同一・立地環境にありながら意識の程度にかなりの差がみられる.このことから「高松市」の小売 店は,競争相手の動きに敏感に対応しようとする積極的な店舗とそうでない店舗に分化してきているといえる.同じよ うな傾向は「郡部」においてもみられるが,その程度は「高松市」よりも小さい. H)販売促進方法 表12は,小売商が販売を伸ばすためにどのような手段を重視しているかを示したものであるu 全体としては,「セル フサ−ビス方式や盛り売りなど販売方法を工夫する」,「品揃えに留意する」といった顧客1人当りの購買盈を増加させ るような手段や,「清潔を重んじる」といった店舗の環境改普等の店舗の個性を強調する方法が重視されており,「値引 きやおまけなどのサービスをする」等の価格政策的手段はあまり雷祝されていない¶ 立地環境別では,「品揃え」や「販売方法のエ夫」を蚤模するという点では基本的な差異はないが,これら以外に, 「高松市」では「顧客に応じた品質のものを揃える」,「他市部」では「目玉商品をおく」,「郡部」では「清潔さ」,「ス タンプ付販売・旅行・観劇招待などのサービスをする」といった手段も重視されている.すなわち,「高松市」では 1人当りの購買塩を増加させる手段に主にカをおいているのに対し,来客数や固定客率の比較的少ない「他市濁」や 「郡部」では顧客数の増加をはかる手段としての店舗の環境やム・−ド作り,あるいは価格政策的手段にもカを入れて いるといえる.次に小売店のこのような販売促進政策に対して,消費者はどのような反応を示すのかについてみてみ る.

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久 保 利 文 表12 販 売 促 進 方 法 香川大学農学部学術報告 単位:% 32 高松市l他市部 靂 郡 部l平 均

1 100,O1 100.O1 100..O1 1000

(4)消茸者の店舗選択行勤 まず,消費者が普段よく利用する店舗の選択理由について,表13よりみてみる.消費者(店舗側からみれば固定客) 表13 いつもきまって買う店舗の選択基準 単位:% 高 松 市l他 市 部 清潔である 店員のサービスや感じがよい 店の人と顔見知りである 配達をしてくれる 掛売りをしてくれる 小 計 0 0 1 00 7・7 ■⊥ 1ん 2 1 5 1 8 7 7・1 3 2 5 4 1 3 8 6 9 一斗 l 4 3 0 6 63. 2 他の店より価格が割り安である そ の 他 0.9 計 】 100いO1 100O1 100.0 100い0

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小売市場構造の分析 第30巻 第63号(1978) 33 は,「店の人と顔見知りである」,「近い」,「鮮度が長い」といった理由を重視しており,これら3つの重要度合計は60% 近くに達するり これに対し,「清潔である」,「品揃えが長く便利である」,「他の店より価格が割安である」といった理 由はあまり重視されておらず,特に価格面は,ほとんど重視されていない.いいかえ.ると,固定客は「なじみ」,「近 さ」,「鮮度」を重視しているのであり,小売商が販売促進政策としてカを入れている価格面,品揃え面,店舗環境の改 沓といった手段についてはあまり関心を持っていない.この傾向は,立地環境別にみてもはとんど変化がみられない 次に,消費者がときどき利用する店舗の選択理由について,表14よりみてみる.消費者(店舗側からみれば流動客) 表14 ときどき買物をする店舗の選択基準 単位:% 高松市 f イ也市部l郡 部】平 均 6134448 9 11 安売りをする時に いつも買う店に必要なものがない時 他の買物のついでに 急なときの間にノ合せに 安いものや品質のよいものがみつかった時 贈答用など特に高級なものを必要とする時 そ の 他 7 6 6 6 6 9 0 3 1 ︵O q︶ 7 6 ウ︼ 1 2 1 1 1 1 1 1 2 1 ︵b 9 6 ∩︶ 9 7・2 O 1 0 1 6 2 0 7 7 1 4 2 1 8 6 6 1 9 2 1 2 1 1 1 1 2 1 は,「他の買物のついでに」,「急なときの間に合せに」といった店舗の販売政策とは無関係の理由を除削ぎ,「安売りす る時」といった価格面や品揃え面,品質面を重視している.特に価格面は;固定客のばあいに比べてかなり重視してい ることがわかる.しかも価格面は,店舗忌避理由をみても最も重要な基準となっている(7).なおこの傾向は,立地環境 間でも基本的にかわらない. したがって顧客が店舗を選択する基準としては,基本的には「顔なじみ」,「近さ」が重要視されるが,顧客の流動化 の程度が高まるにつれて価格面,品揃え面,品質面も重視されるようになる.なかでも価格面に対する関心が強くなっ ていることが目立つ. そこで,消費者の価格差に対する反応についてみてみる (5)同一店舗で,同一品目に価格差があるばあいの買い方 表15は,価格差に対する消費者の反応を同一・店舗内でみたものである.同一属目間価格差に対する消費者の反応は, 表15 同一店舗で,同一・品目に価格差がある場合の買い方 単位:%

高松市l他市部 ⊇ 郡 部l平 均

イ“1円でも違えば安いものを買う ロ..安いものは品質が患いのではないかと考 え,中程度のものを買う ハリ 安いものは品質が患いのではないかと考 え,常に高いものを買う ニ.安いものを買いたいが,近所の手前もあ るので安いものばかり買えない ホ.品質を中心にして,価格のことは気にし ない へい そ の 他

計 l lOO0 岳 100・Ol lOO‖0【100・0

「品質を中心にして,価格のことは気にしない」,「安いものは品質が番いのでほないかと考え,中程度のものを買う」

の2つで70%近くを占め,「1円でも違えば安いものを買う」は18%しかない..このことから,同一・品目閲価格差に対 する消費者の反応は,かなり鈍感であるといえるい

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久 保 利 文 香川大学農学部学術報告 34 立地環境別にみても,「他市部」でやや価格差に対する反応が強くなっているが,差はほとんど認められない. したがって,消費者の店舗選択基準と価格差反応からみる限り,小売商がおこなっている価格政策的手段はあ一まり効 果がないといえる. 以上の分析結果から,①青果物小売商は少数の近隣小売店と競争関係にあるが,競争相手の動きにあまり注意を払っ ておらず,店舗間競争は不活発であり,④競争手段である販売促進政策は,顧客を増加させる手段よりも顧客1人当り の購買金額を増加させる手段に雷点がおかれていることがわかる. 5.あ と が き 東研究の目的ほ,香川県における青果物小売市場構造の実態を明らかにしようとしたものであり,サンプル数が少な いという問題を有するが,小売市場構造の−・端を明らかに出来たと考える〃 なお分析結果から香川県の青果物小売市場 構造の特徴をみると,①顧客の85%までが小売店を中心に半径13kmの範囲に居住し,②顧客の47%が固定客であ り,⑨店舗間競争はどく少数(2.9店)の近隣小売店に限られ,④店舗の競争手段は顧客1人当りの購買還を増大させ る手段に重点をおいているなどの不完全競争的性格を持っている. 参 考 文 献 (1)藤谷築次編:農産物流通の基本問題,p.173, 家の光協会(1969). (2)杉岡破夫編:流通問題を考える,p.111,日本 生産性本部(19年軌 (3)森 和男,久保利文「青果物等県内流通体系調査 報告苔」,香川県(1973). (4)森 和男,久保利文「背果物等県内流通体系調査 報告書」,p小 84∼111香川県(1973). (5)森 和男,久保利文「青果物等県内流通体系調査 報告書」,p.112∼136香川県(1973). (6)森 和見久保利文「青果物等県内流通体系調査 報告書」,p.121香川県(1973). (7)森 和男,久保利文「青果物等県内流通体系調査 報告書」,p..126香川県(1973). (1978年5月31日 受理)

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