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「漢字の書き取り」から見えるもの(3)-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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はじめに

﹁漢字の書き取り﹂から見えるもの Ⅲ

 先日ある病院の処置室に置いてある箱に、﹁○○以外は拾てないでく だきい﹂とはり紙がしてあった。﹁拾てないでください﹂は﹁捨てない でください﹂の誤りだとすぐに理解できるが、笑い話のようである。ほ とんどの物をパソコンで書けばよい時代とはいえ、ちょっとしたメモ書 きまでもをパソコンというわけにもいくまい。また、同音異義語の多い 中からふさわしい一つを選択するにも、的確に漢字を書く能力は必要で あろう。文意にふさわしい漢字を正しく書くことの大切さは、忘れられ るべきではあるまい。漢宇を正しく書けるか否かは大学生の文章を理解 する能力を知る手がかりであると考えられ、これは大学での講義のあり ようにも関わると考えられるので、状況を報告する。  二 謂査方法 香川大学教育学部の学生を対象として調査する。香川大学教育学部の    ﹁漢字の書き取り﹂から見えるもの Ⅲ

岡 内 弘 子

入試方式は、センター試験を課さない推薦入試と、センター試験を課す 一般入試︵前期・後期︶である。前期入試は、センター試験九〇〇点と 国語・英語・数学・理科のうち一教科を選択し二〇〇点︵音・美・体に 関しては実技だが、本報告に関わらないので省略する︶、後期人試は、 センター試験九〇〇点と小論文二〇〇点である。   三 調査方法 ①講義の内で十五分間を使って、問題を解答させる。 ②前期試験の析りの問題として出題する。 常に行っている講義の時間を利用して調査しているので、同じ 方法に従えず、講義の種類によって①・②の方式による調査と なった。 四 対象

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①に拠った者  中学校・高等学校の国語の敦員免許の取得を         希望する者を対象とした講義︵平成十九年度         前期開講︶の受講者である。十八名。         四年生    T名   ヽ     三年生    十三名         二年生    四名 ②に拠った者  小学校敦員の免許を取得することを希望する         者を対象とした講義︵平成十九年度前期開講︶         の受講者である。ただし、選択科目の一つで         ある。三十五名。         ご         四年生    一名         三年生    一名         二年生    三十二名       ︵国語教室の学生三名を含む。︶         一年生    T名     選択である以上、ある程度国語に興味のある者と考え     られる。①に拠った者との重複はない。 五 問題  人間ははじめ全く自由であった。少なくとも完全な精神的自由をくる 日もくる日も①剖川個詞≒したにちがいない。ことばもなく慣習もなく 太陽を②賜咽し星空を③判絹い。−で。いたにちがいない。④。朔閃バ列たる時間 の流れの中で何も考えずただ生きていたにちがいない。−ところで皮 肉なことに無限の自由などというものはやがて人間をいささか不安にす る。その不安が自分の存在を意識させ、昨日や明日を考えざせる。人間 はこうして時間や空間を区切ることを覚えた。神はその初め天と地を創       二 り給い、次に闇と光を分け給うた、とは旧約﹁創世記﹂のいい草である。 神はどんどん空間と時間を細分して行く。生活の必要は命の必要だから。 −人間がはかない⑤剖淵剖の定着法を覚え、それがくり返され積み重 なってくるといつのまにかそれは生活を離れ一つの枠のように外在し始 めた。人はこれを歴史とよび文化とよび芸術とよんだ。芸術が生活から 次第に。ユウリすればそれは必然的に技の発達をもたらし型の発生をタ71 ナガす。定型はこうして生まれた。だからこそ思う、今でこそ生活と切 り離され、まるで③側沢品か赤子の寝言のように目の仇にされる定型も、 もとはといえば命を支える限り行為だったのであり、生命諮罰刀J−91 の目安だった、そしてだからこそこの散文の大洪水の中で常に確かに生 き残りえたのではないか。だからこそミズムシなのではないかと。J・ ロンドンじゃないが⑩。円71割国−91の叫び声が定型の本然的生命を目覚ま せるのであろうか。     辻田克己﹃ののはな﹄︵駿台文庫﹃必修漢宇ハ○○選﹄所収︶  以上の文章の内、傍線部の漢宇の読みを記し、傍線部の片仮名を漢字 に改める。所謂﹁書き取り﹂部分は、すべて常用漢字である。正答は、 次の通りである。        ①享受     ②おうか     ③仰いで        ④広漠      ⑤軌跡       ⑥遊離        ⑦促す      ⑧ぜいたく     ⑨燃焼        ⑩悠久  六 結果 T﹂ 正答数 ①に拠った者

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十問 正答 八九 六七 四五 一 一 一 一 、 ミ 。 。 ミ ▲ 一 一 4 名 一 ・ 一 I = ふ ○○二.五.一四二.0 平均正答数 正答数三問以下の者    四問以下 ②に拠った者      十問 正答 二三四五、六七八九 一 三〇  名 ○三・四五七四四五. 平均正答数 正答数三問以下の者    四問以下 ﹁漢字の書き取り﹂から見えるもの Ⅲ 五・九問 十丁一% 三八・九% 五・五問 二〇・〇% 三四・三% ○ 平均すると①に拠った者の方が、正答数が少し多い。しかし、  ①・②ともに、正答数六問には届かない︵半分くらい読み書きでき  る・・レペル︶。大学入試用の問題集であるため、日常的に使われ  る言葉が少なく難しいのかと推側される。﹁特定の課題に関する調  査︵国語︶調査結果﹂として、平成十八年七月に国立教育政策研究所  教育課程研究センターが全国の小・中学生を対象にした調査の結果  を発表し、﹁日常生活で用いられる場面が少ない漢字は正答した割  合が低かった﹂と述べている。これと同じ傾向であろう。   しかし、大学受験用の問題集を使って、すでに大学生となってい  る大学二年生以上を対象とした調査の中で、三問以下の正答数であ  る者が一土一割いることが気になる。四問以下まで広げると、四割  近くの者がその範囲に含まれるのである。 ︻n︼入試方法から見た結果   ①に拠った者を入試方式から見る。②に拠った者は、講義形式の  違いのため、入試方法の調査ができなかった。 正答数 十問 八九 六七 四五 推薦 ○一〇〇〇〇      名 一 前期︵英︶ 前期︵国︶ 後期 ○三−○一〇      名 一 ○一〇〇〇〇〇       名 -一 一   一・ 一   名 三〇〇一〇

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一 一 一 ○ ○ 一 一 1、後期入試による者は、正答数の多い者と少ない者とに分かれてい  る。前期入試による者がその間に入り込んでいる。 2、前期入試において、英語を選択した者の方が、国語を選択した者よ  りも正答数が多い。国語を選択した学生は数が少ないので二名に限ら  れる結果であるかもしれぬが、正答数が少ない。香川大学の前期入試  において、個別試験では一教科選択であるため、最も得意とする︵と  受験生本人が考える︶敦科を選択したと推定されるが、国語を選択し  た学生が、漢字を書けたり、文章が理解できている訳ではないと見ら  れる。香川大学の個別試験における国語の問題は、小説を含む現代文  二問、古文・漢文各一問であり、それに備えて準備したであろうこと  を思えば、いかにも残念な結果である。国語教室に属する者三名も②  に拠った者に含まれているが、三問・五問・七問正答とあまり芳しく  なかった。 七 個々の学生の状況  煩雑ではあるが、正答数の少なかった者の解答例を示す。上記の、正 答数三問以下の学生の解答すべてである。誤答の傾向を見いだし、後の 指導に役立てたいと考える。  なお、片仮名を残した箇所は、無解答であることを示す。 ①に拠った者  四年生  人間ははじめ全く白由であった。少なくとも完全な精神的自由をくる 日もくる日も①鰯側したにちがいないoことばもなく慣習もなく太陽を③ g g おうかし星空を③71絹則頂いたにちがいない。④司個バ列たる時間の流れ の中で何も考えずただ生きていたにちがいない。 ところで皮肉なこ とに無限の自由などというものはやがて人間をいささか不安にする。そ の不安が自分の存在を意識させ、昨日や明日を考えさせる。人間はこう して時間や空間を区切ることを覚えた。神はその初め天と地を創り給い、 次に闇と光を分け給うた、とは旧約﹁創世記﹂のいい草である。神はど んどん空間と時間を細分して行く。生活の必要は命の必要だから。 正答数 読み 二 書き 一 ︵促す︶ 人間がはかないゴ翔耶の定着法を覚え、それがくり返され積み重なって くるといつのまにかそれは生活を離れ一つの枠のように外在し始めた。 人はこれを歴史とよび文化とよび芸術とよんだ。芸術が生活から次第 にJ諏順すればそれは必然的に技の発達をもたらし型の発生を⑦促喇。定 型はこうして生まれた。だからこそ思う、今でこそ生活と切り離され、 まるで伍ぜいたく品か赤子の寝言のように目の仇にされる定型もヽもと はといえば命を支える限り行為だったのであり、生命ゴ燃擲の目安だっ た、そしてだからこそこの散文の大洪水の中で常に確かに生き残りえた のではないか。だからこそミズムシなのではないかと。J・ロンドンじゃ ないが計司刮当個の叫び声が定型の本然的生命を目覚ませるのであろ うか。   二年生  人間ははじめ全く自由であった。少なくとも完全な精神的自由をくる 日もくる日も①恭側したにちがいない。ことばもなく慣習もなく言咽訓刎 し星空を③仰︲い︲で・いたにちが回ない゜渥囚椀たる時間の流れの中で何も考 えずただ生きていたにちがいない。−ところで皮肉なことに無限の自 由などというものはやがて人間をいささか不安にする。その不安が自分 の存在を意識させ、昨日や明日を考えさせる。人間はこうして時間や空

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間を区切ることを覚えた。神はそめ初め天と地を創り給い、次に闇と光 を分け給うた、とは旧約﹁創世記﹂のいい草である。神はどんどん空間 と時間を細分して行く。生活の必要は命の必要だから。︱人間がはか ない⑤制謝の定着法を覚え、それがくり返され積み重なってくるといつ のまにかそれは生活を離れ一つの枠のように外在し始めた。人はこれを 歴史とよび文化とよび芸術とよんだ。芸術が生活から次第にづ願廟すれ ばそれは必然的に技の発達をもたらし型の発生を⑦咽刊刈ず。定型はこ うして生まれた。だからこそ思う、今でこそ生活と切り離され、まるで ⑥閣闘恕。引品か赤子の寝言のように目の仇にされる定型も、もとはとい えば命を支える限り行為だったのであり、生命丿燃訓刎咽の目安だった、 そしてだからこそこの散文の大洪水の中で常に確かに生き残りえたので はないか。だからこそミズムシなのではないかと。J・ロンドンじゃ ないが苧円個。剖岡咽の叫び声が定型の本然的生命を目覚ませるのであろ うか。          正答数   読み 二   書き 一 ︵仰い言 ③に拠った者  四年生  人間ははじめ全く自由であった。少なくとも完全な精神的自由をくる 日もくる日も①側受したにちがいない゜ことばもなく慣習もなく太陽を。 個引がし星空を③仰い到いたにちがいない。④剖個祠刺たる時間の流れの 中で何も考えずただ生きていたにちがいない。−ところで皮肉なこと に無限の自由などというものはやがて人間をいささか不安にする。その 不安が自分の存在を意識させ、昨日や明日を考えさせる。人間はこうし て時間や空間を区切ることを覚えた。神はその初め天と地を創り給い、 次に闇と光を分け給うた、とは旧約﹁創世記﹂のいい草である。神はど     ﹁漢字の書き取力﹂から見えるもの m んどん空間と時間を細分して行く。生活の必要は命の必要だから。 人間がはかない⑤佃剛の定着法を覚え、それがくり返され積み重なって くるといつのまにかそれは生活を離れ一つの枠のように外在し始めた。 人はこれを歴史とよび文化とよび芸術とよんだ。芸術が生活から次第に 計帽引すればそれは必然的に技の発達をもたらし型の発生を諮柄刃。定 型はこうして生まれた。だからこそ思う、今でこそ生活と切り離され、 まるで⑤閣剔悶剔品か赤子の寝言のように目の仇にされる定型も、もと はといえば命を支える限り行為だったのであり、生命丿用Iの目安だっ た、そしてだからこそこの散文の大洪水の中で常に確かに生き残りえた のではないか。だからこそミズムシなのではないかと。J・ロンドンじゃ ないが⑩㈲姻の叫び声が定型の本然的生命を目覚ませるのであろうか。 三年生 正答数   読み 二 書き 一 ︵仰いで︶  人間ははじめ全く自由であった。少なくとも完全な精神的自由をくる 日もくる日も①拐側したにちがいない゜ことばもなく慣習もなく太陽を。 おうかし星空を③瑕引刎Gたにちがいない。④司個バ列たる時間の流れの 中で何も考えずただ生きていたにちがいない。−ところで皮肉なこと に無限の自由などというものはやがて人間をいささか不安にする。その 不安が自分の存在を意識させ、昨日や明日を考えさせる。人間はこうし て時間や空間を区切ることを覚えた。神はその初め天と地を創り給い、 次に闇と光を分け給うた、とは旧約﹁創世記﹂のいい草である。神はど んどん空間と時間を細分して行く。生活の必要は命の必要だから。 人間がはかない⑤制淵割の定着法を覚え、それがくり返され積み重なっ てくるといつのまにかそれは生活を離れ一つの枠のように外在し始め た。人はこれを歴史とよび文化とよび芸術とよんだ。芸術が生活から 次第にゴ諏額すればそれは必然的に技の発達をもたらし型の発生をゴ隔 皿 .

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喇。定型はこうして生まれた。だからこそ思う、今でこそ生活と切り離 され、まるで⑥ぜ引畑ぐ品か赤子の寝言のように目の仇にされる定型も、 もとはといえば命を支える限り行為だったのであり、生命ゴ燃潮の目安 だった、そしてだからこそこの散文の大洪水の中で常に確かに生き残り えたのではないか。だからこそミズムシなのではないかと。J・ロンド ンじゃないが淳円個剖川咽の叫び声が定型の本然的生命を目覚ませるの であろうか。          正答数   読み 二   書き ○   二年生−I  人間ははじめ全く自由であった。少なくとも完全な精神的自由をくる 日もくる日も①姻受したにちがいない・ことばもなく慣習もなく太陽を② おうかし星空を③仰卵測いたにちがいない。ゴ白関たる時間の流れの中で 何も考えずただ生きていたにちがいない。−ところで皮肉なことに無 限の白由などというものはやがて人間をいささか不安にする。その不安 が自分の存在を意識させ、昨日や明日を考えさせる。人間はこうして時 間や空間を区切ることを覚えた。神はその初め天と地を創り給い、次に 闇と光を分け給うた、とは旧約﹁創世記﹂のいい草である。神はどんど ん空間と時間を細分して行く。生活の必要は命の必要だから。︱人間 がはかない⑤規掴の定着法を覚え、それがくり返され積み重なってくる といつのまにかそれは生活を離れ一つの枠のように外在し始めた。人は これを歴史とよび文化とよび芸術とよんだ。芸術が生活から次第に⑥㈲ 利すればそれは必然的に技の発達をもたらし型の発生をゴ隅喇。定型は こうして生まれた。だからこぞ思う、今でこそ生活と切り離され、ま るで⑥ぜ引畑回品か赤子の寝言のように目の仇にされる定型も、もとは といえば命を支える限り行為だったのであり、生命⑨燃訓刎。咽の目安だっ た、そしてだからこそこの散文の大洪水の中で常に確かに生き残りえた       六 のではないか。だからこそミズムシなのではないかと。J・ロンドンじゃ ないが↓朔個郊の叫び声が定型の本然的生命を目覚ませるのであろうか。       正答数   読み 二   書き 一 ︵広漠︶ 二年生−2  人間ははじめ全く自由であった。少なくとも完全な精神的自由をくる 日もくる日も。孵受したにちがいないーことばもなく慣習もなく太陽を。 おうかし星空を③判剛闘湖いたにちがいない。ゴ剛絹刺たる時間の流れの 中で何も考えずただ生きていたにちがいない。−ところで皮肉な。こと に無限の自由などというものはやがて人間をいささか不安にする。その 不安が自分の存在を意識させ、昨日や明日を考えさせる。人間はこうし て時間や空間を区切ることを覚えた。神はその初め天と地を創り給い、 次に闇と光を分け給うた、とは旧約﹁創世記﹂のいい草である。神はど んどん空間と時間を細分して行く。生活の必要は命の必要だから。 正答数 読み 二 書き 一 ︵燃焼︶ 人間がはかない⑤制刊割の定着法を覚え、それがくり返され積み重なっ てくるといつのまにかそれは生活を離れ一つの枠のように外在し始め た。人はこれを歴史とよび文化とよび芸術とよんだ。芸術が生活から 次第にづ鯛廟すればそれは必然的に技の発達をもたらし型の発生を苛 ナガす。定型はこうして生まれた。だからこそ思う、今でこそ生活と切 り離され、まるでゴ閤り糾引品か赤子の寝言のように目の仇にされる定 型も、もとはといえば命を支える限り行為だったのであり、生命丿屑側 の目安だった、そしてだからこそこの散文の大洪水の中で常に確かに生 き残りえたのではないか。だからこそミズムシなのではないかと。J・ ロンドンじゃないが苧円71剖用ヴの叫び声が定型の本然的生命を目覚ま せるのであろうか。

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二年生13  人間ははじめ全く自由であった。少なくとも完全な精神的自由をくる 日もくる日もJ大側したにちがいない゜ことばもなく慣習もなく太陽を。 祠うかし星空を諺詞引到いたにちがいない。塵已閃祠刺だる時間の流れ の中で何も考えずただ生きていたにちがいない。−ところで皮肉なこ とに無限の自由などというものはやがて人間をいささか不安にする。そ の不安が自分の存在を意識させ、昨日や明日を考えさせる。人間はこう して時間や空間を区切ることを覚えた。神はその初め天と地を創り給い、 次に闇と光を分け給うた、とは旧約﹁創世記﹂のいい草である。神はど んどん空間と時間を細分して行く。生活の必要は命の必要だから。 二年生−4 正答数 読み 二 書き ○ 日もくる日もの張受したにちがいない。ことばもなく慣習もなく太陽を 言頷冽し星空を③伴い到いたにちがいない。④川閲バ刺たる時間の流れ の中で何も考えずただ生きていたにちがいない。Iところで皮肉なこ とに無限の自由などというものはやがて人間をいささか不安にする。そ の不安が自分の存在を意識させ、昨日や明日を考えさせる。人間はこう して時間や空間を区切ることを覚えた。神はその初め天と地を創り給 い、次に闇と光を分け給うた、とは旧約﹁創世記﹂のいい草である。神 はどんどん空間と時間を細分して行く。生活の必要は命の必要だから。 ︱−人間がはかない計心剛の定着法を覚え、それがくり返され積み重 なってくるといつのまにかそれは生活を離れ一つの枠のように外在し始 めた。人はこれを歴史とよび文化とよび芸術とよんだ。芸術が生活か ら次第に⑥朔咽引すればそれは必然的に技の発達をもたらし型の発生を φ洲喇。定型はこうして生まれた。だからこそ思う、今でこそ生活と切 り離され、まるでゴ月い悶引品か赤子の寝言のように目の仇にされる定 型も、もとはといえば命を支える限り行為だったのであり、生命ゴ屑肩 の目安だった、そしてだからこそこの散文の大洪水の中で常に確かに生 き残りえたのではないか。だからこそミズムシなのではないかと。J・ ロンドンじゃないがゃ円咽。割−円個の叫び声が定型の本然的生命を目覚ま せるのであろうか。          正答数   読み 二   書き ○   二年生−5  人間ははじめ全く自由であった。少なくとも完全な精神的自由をくる 日もくる日も。キョウ受したにちがいない゜ことばもなく慣習もなく太 陽を計詞引刎し星空を③判絹引測いたにちがいない。④副ヴ刈列たる時 間の流れの中で何も考えずただ生きていたにちがいない。−ところで 皮肉なことに無限の自由などというものはやがて人間をいささか不安に       七 人間がはかないゴ葡㈱の定着法を覚え、それがくり返され積み重なって くるといつのまにかそれは生活を離れ一つの枠のように外在し始めた。 人はこれを歴史とよび文化とよび芸術とよんだ。芸術が生活から次第 に計づ71引すればそれは必然的に技の発達をもたらし型の発生を⑦咽刊 ガす。定型はこうして生まれた。だからこそ思う、今でこそ生活と切り 離され、まるで⑤湖眉い祠ぐ品か赤子の寝言のように目の仇にされる定型 も、もとはといえば命を支える限り行為だったのであり、生命⑨判附釧副 − ウの目安だった、そしてだからこそこの散文の大洪水の中で常に確かに 生き残りえたのではないか。だからこそミズムシなのではないかと。J・ ロンドンじゃないが孝円圀澗円咽の叫び声が定型の本然的生命を目覚ま せるのであろうか。 人間ははじめ全く自由であった。少なくとも完全な精神的自由をくる    ﹁漢字の書き取り﹂から見えるもの Ⅲ

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する。その不安が自分の存在を意識させ、昨日や明日を考えさせる。人 間はこうして時間や空間を区切ることを覚えた。神はその初め天と地を 創り給い、次に闇と光を分け給うた、とは旧約︹創世記︺のいい草であ る。神はどんどん空間と時間を細分して行く。生活の必要は命の必要だ から。−人間がはかないゴ翔禰の定着法を覚え、それがくり返され積 み重なってくるといつのまにかそれは生活を離れ一つの枠のように外在 し始めた。人はこれを歴史とよび文化とよび芸術とよんだ。芸術が生活 から次第に⑥㈲科すればそれは必然的に技の発達をもたらし型の発生を⑦ ウナガす。定型はこうして生まれた。だからこそ思う、今でこそ生活と 切り離され、まるでゴ閤91悶引品か赤子の寝言のように目の仇にされる 定型も、もとはといえば命を支える限り行為だったのであり、生命醤 側の目安だった、そしてだからこそこの散文の大洪水の中で常に確かに 生き残りえたのではないか。だからこそミズムシなのではないかと。J・ ロンドンじゃないがゴ側求の叫び声が定型の本然的生命を目覚ませるの であろうか。          正答数   読み 一   書き 一 ︵燃焼︶ 以上の誤答を整理すると、次の通りである 正答  正答者数 名 享受    ○ 軌跡 遊離 ○○ 広漠 一 1 誤答 教受 恭受 拠受 共受 強受 妥受 ★﹁受﹂は小学校学習漢宇。書ける者が  多い。しかし、この誤答は広辞苑レペ  ルの辞書には無い熟語ばかりである。 奇跡 規石 誘離 融離 有利 ★この誤答には広辞苑レペルの辞書には  無い熟語が見られる。 広模 促す 仰いで 燃焼 悠久 ← J 1 一 一 I▲ 一 k ○ 滑す 誘す 扇いで 燃消 有休 ノ 戈 燃養 燃桑 年商 有求 I、漢字を読むことは出来る者が多い。ほとんどの学生が、二問と  も正答である。   逆に、三問以下の正答数の者では、漢宇は一問しか書けないこ  とになる。一問も書けない者もいる。 2、﹁軌跡﹂と書くべき箇所の正答は、T名︵五三名の内︶。﹁奇跡﹂  と書いた者がほとんどである。文章が読めていない、文意が理解  できていないと推測される。 3、同音異義語を書いてしまっただけだと軽く考えられない誤答が  多い。有利・年商・有休は、遊離・燃焼・悠久と同音異義ではあ  るが、文章の内容とかけ離れている。 4、小学校で学習した漢字が書けるというものでもないと分かる。  ﹁遊離﹂の場合、小学校で学習するのは﹁遊﹂であって、﹁誘﹂﹁融﹂  は後の段階である。しかし、上記の集団︵七に引用した︶の中に  は、﹁遊離﹂と書けた者は一人もいない。   また、﹁燃焼﹂は、ともに小学校で学ぶ漢字の組み合わせであ  り、とくに難しい熟語とも思われないが、書ける者が少ないこと  に驚く。﹁生命燃焼﹂と繋がらなかったか。 5、学年が進んだからと言って、正答数が増える訳ではない。上記  の集団には、調査対象五三名のうち、二名しかいない四年生が二  名とも含まれている。こうした学生をどのように指導するかを考  えなければならない。 ハ 教科としての﹁国語﹂の位置

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 以上、見てきた結果は、入学試験で国語を選択した学生や、国語の教 員免許を取得しようとする学生が、文章理解力があるとか、国語の勉強 をしてきたとかいった学生ではないだろうと推測させる。﹁国語﹂は誰 でもできるから、勉強しなくてよい教科と考えられているらしいことを 感じる折りが、入学試験や講義等の様々な機会で増えている。  こうした傾向を感じさせる理由を探る一つの手がかりとして、香川県 高松市地区︵香川大学の所在地︶での、学習塾・予備校の案内を調査し た。本年平成二十年の二月初頭から三月末までの時期の新聞析り込み広 告︵朝日・四国︶に拠って調査し、重複する広告は一校のものとして扱っ た。その結果、予備校三校、学習塾七校の広告が見られた。高桧市・周 辺地区の小・中・高校生が多く通うと聞く塾・予備校はまず含まれている。   i小学生  予備校は小学生コースなし。 全学習塾が算数・国語   ︰11中学生  国語あり          N予備校 最小限のコースは英・数       教科を増やせば、国もあり          T予備校 英・数 週二回  国 週一回          G学習塾 週五日コースになると国あり          SO学習塾 国・英・数・社・理          SI学習塾 一・二年 英・数        三年 英・数・国          H学習塾  一年 英・数・社 二年 英 三年 英 国語なし F学習塾  T学習塾 英・数 一年 英 二・三年 ﹁漢字の書き取り﹂から見えるもの m 数 社 理 数 社 理 国 数 英・数・社・理         K学習塾  英・数・社・理 ○ 教科を増やした場合や、三年生にのみ国語のある場合が多い。各  学年に国語があるのは、二校だけであり、そのうち一校は、英・数  の半分の重さしか与えられていない。  一m高校生        ヽN予備校 一・二年 英・数       三年 英・数は個別試験の講座あり        国はセンター対策準備のみ        T予備校 一・二年 国 選択可能       三年 難関大学対策・センター対策国講座        あり        K衛生放送利用 一年 古典文法・現代文選択可能        二年 国 選択不可能        三年 古文・センター対策漢文選択       可育        SO学習塾   一・二・三年 英・数・国        F学習塾    一・二・三年 英・数        T学習塾    一・二・三年 英・数        SI学習塾   一・二・三年 英・数 ○ 高校になると、特に予備校においては、一校を除いて一年生から  国語の選択が可能である。それでも、英語・数学が個別に大学名を  挙げて対策を練るのと比較すると、﹁難関大﹂﹁センター対策﹂と一  括りであることは、扱いが軽い。  香川県が﹁学習状況調査﹂の名で行っている所謂学カテスト︵平成 十四年∼現在に至る。現在十九年の結果まで公表されている。︶は、小 学校は算数・国語、中学校は数学・理科・英語である。つまり、国語が ない。こうした状況もあってか、中学校で国語が軽んじられ始めるので       九

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はないか。文章を読む力は﹁国語﹂のみで養われるのではないが、まず 敦科としては国語と深く関わることは否めまい。こうしてみると、﹁国語﹂ の扱われ方の軽さが明らかである。 九 おわりに  平成十九年十二月九日の朝日新聞の記事である。岩波書店が教師百人 ︵大阪と東京、国語を五年以上敦えている敦師︶を対象に行った調査の 結果が明らかにされている。国語力の低下を感じる教師は、非常に低下 したと見る教師十五人、やや低下七十三人で、ほぼ九割に達したという。 実際の例は、﹁ハつ﹂を﹁はちつ﹂と読んだ小学四年生、﹁三年生が全部 平仮名で作文を書いてきてショックだった﹂等が挙がっている。学力低 下の原因として考えられる事柄としては、﹁本を読まなくなったこと﹂ ︵七十八人︶﹁辞書を引かなくなった﹂︵四十九人︶等が挙げられている。  また、平成二十年一月二十四日の記事には、文部科学省の学力調査の 結果、平均正答率の高かった学校は、国語で、﹁書く習慣﹂や﹁様々な文 章を読む習慣﹂を身につけさせる授業を行っていたことが分析で分かっ た﹂とある。﹁書く力や読解力は国語だけでなく。他の教科の学力でも 重要ということの表れ﹂と文部科学省では見ているという。全く当たり 前ではないかと考えるが、原則として同一の講義は週一回という大学に おいて、それを実行することは、小学生∼高校生を相手にするよりもずっ と難しい状況である。  学力低下問題が、さまざまなところで取り上げられて、すでに久しい。 戸瀬信之・西村和雄﹃大学生の学力を診断する﹄︵岩波新書︶が出たの も、二〇〇一年であって、文科系と呼ばれる学生の、数学の基礎学力の 低下等が懸念されている。しかし、今回の限られた調査であるが、ここ に見られた結果は、それ以上に考えられねばならぬ結果であろう。﹁国 語﹂の敦師になろう、小学校の敦師になろうと自ら選択しその道に進ん - k ⊂ ) だ者の、日本語で書かれた文章理解力の低さである。  ある程度以上正答した者もいるのだから安心︵九問以上の正答者が七 名もいる。十三%もいる⋮︶という見方もあるかもしれぬが、そうでは なく、そこから抜け落ちている者の力をどのように補えばよいのか考え たい。学年が進んでも白然に理解力が付くわけではない。四年生になっ ている者は、単位が取れないための再受講の場合もあり、理解力に問題 があることも考えられ、現在よく行われる入学時の補習だけではなく、 何らかの手厚い指導が必要であろうと思われる結果である。小学校以来 の様々な教育のありかたやその成果・結果を受け止めねばならぬ大学に おいて、困難な問題が多いのである。  実践的な指導力を持つ教員・楽しい学校生活作りのできる教員・小学 校や中学校での実習体験を通して学ぶことの大切さ、という言葉が大学 案内等に踊っている。しかし、その基礎となる、基礎学力の大切さを高 れないでいたいのである。

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