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オシロメトリック法を用いた血管内皮機能評価(ezFMD)は心血管イベントの予測因子となりうる

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Academic year: 2021

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別記様式第 6 号(第 16 条第 3 項,第 25 条第 3 項関係)

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

博士の専攻分野の名称 博士(医 学)

氏名

森本陽香

学 位 授 与 の 条 件 学位規則第 4 条第○

1

・2 項該当

論 文 題 目

Endothelial Function Assessed by Automatic Measurement of Enclosed Zone

Flow-Mediated Vasodilation Using an Oscillometric Method Is an Independent

Predictor of Cardiovascular Events

(オシロメトリック法を用いた血管内皮機能評価(ezFMD)は心血管イベントの予

測因子となりうる)

論文審査担当者

主 査 教 授 木 原 康 樹 印

審査委員 教 授 吉 栖 正 生

審査委員 講 師 福 田 秀 樹

〔論文審査の結果の要旨〕

心筋梗塞、脳血管障害などの心血管疾患は、日本人の死因の約 25%を占め、その罹患人 口は増加している。その大きな要因である動脈硬化は血管内皮機能障害を第一段階として 発症する。内皮機能の測定により動脈硬化のハイリスク群を早期に同定し、適切な介入を 行うことで心血管合併症の発症を予防できる可能性がある。現在、血管内皮機能評価に対 して血流依存性血管拡張反応 (flow-mediated vasodilation ; FMD) が汎用されている。 FMD を測定するには高価な超音波装置が必要であり、安定した測定をするためには検者の 熟練が必要であるなどの問題がある。これらの問題点から、自動血圧測定器の測定原理で あるオシロメトリック法を用いて血管内皮機能を測定する新たな検査器 enclosed zone flow-mediated vasodilation (ezFMD) を広島大学で開発した (Med Biol Eng Comput. 2012; 50: 1239-1247) 。ezFMD は、上腕動脈にマンシェットを巻くだけで、自動で血管内 皮機能を測定できる検査機器であり、FMD と比較して簡便であり、検者によるバラツキも 少ない。著者らは、健常者において ezFMD が FMD と相関することを確認した (Atherosclerosis. 2013; 229: 324-330) 。動脈硬化性疾患を有する症例での検討におい ても、ezFMD が年齢、血圧、血糖値などのさまざまな動脈硬化関連パラメーターと相関し ていた。そのため ezFMD で評価した血管内皮機能は、冠危険因子や心血管疾患に対しての 予測因子になることが期待される。本研究の目的は、ezFMD で評価した血管内皮機能とそ の後の心血管イベント発症との関連について検討することである。 広島大学病院で ezFMD を測定した連続 272 例 (平均年齢 55±20 歳、男性 195 例) を対 象とした。カルテおよび電話調査により、心血管死、心筋梗塞、脳梗塞、血行再建、心不 全による入院の有無の調査を行った。まず、年齢、血圧、血糖・脂質等の動脈硬化と関連 のあるパラメーター、心血管疾患発症予測スコアであるフラミンガムリスクスコアなど動 脈硬化評価指標と ezFMD との関連について検討を行った。次に、ezFMD と複合心血管イベ ント (心血管死、心筋梗塞、脳梗塞、血行再建) との関連について検討を行った。 単回帰分析で ezFMD は年齢 (ρ=-0.467, P<0.001) 、推算糸球体濾過量 (ρ=0.312, P<0.001) 、中性脂肪値 (ρ=-0.153, P=0.02) 、血糖 (ρ=-0.314, P<0.001) 、高感度 C 反応性蛋白 (ρ=-0.173, P=0.04) 、喫煙指数 (ρ=-0.223, P<0.001) 、フラミンガムリス クスコア (ρ=-0.259, P<0.001) と相関を認めた。中央値 36.1 か月の観察期間中、6 例に 心血管死、3 例に脳梗塞、8 例に血行再建、10 例に心不全入院を認めた。観察期間中に心 筋梗塞を発症した症例はいなかった。複合心血管イベント (心血管死、脳梗塞、血行再建) は 16 例に発症した。複合心血管イベント発症リスク判別に対する ezFMD の有用性を

(2)

管イベント発症リスク判別のカットオフ値は 20.6%であった。次に、272 例を ezFMD の高値 群 (ezFMD >32.3%)、中間群 (ezFMD 19.5%~32.3%) 、低値群 (ezFMD <19.5%) の 3 群に分 けて、ezFMD とその後の心血管イベント発症の有無との関連について検討を行った。その 結果、カプランマイヤー解析において、ezFMD 低値群がそれ以外の群と比較し、有意に複 合心血管イベント (P=0.004) 、心血管死 (P=0.002) 、心不全による入院 (P=0.028) 、す べての原因による死亡 (P=0.008) が多く観察された。脳梗塞 (P=0.25) 、血行再建 (P=0.27) は有意な差を認めなかった。さらに、年齢、性別、冠危険因子による補正後も、 ezFMD 低値群は ezFMD 高値群と比較し、心血管イベント (hazard ratio : 6.47、

confidence interval : 1.09-125.55、P=0.038) が多く発症していた。

以上の結果から,本論文は ezFMD が従来の検査である FMD と同様に心血管疾患発症予測 因子である可能性を示唆した。

よって審査委員会委員全員は,本論文が森本陽香に博士(医学)の学位を授与するに十分 な価値あるものと認めた。

参照

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