薬理・毒性学 II P3251
精神疾患3︓気分障害
担当︓神経薬理学分野
粂 和彦・⼤澤 匡弘・冨⽥ 淳
気分障害(うつ病+躁うつ病)
• ⼤分類は Mood disorders • うつ病相だけのもの →単極 性障害=⼤うつ病、抗うつ薬の適応 • うつ病相と、そう病相があるもの →双極 性障害(I型とⅡ型︓そう症状の強さ) →気分安定薬の適応 • うつ病と、そううつ病は、異なる病気︕ • 新型︖→後述 • DSM-5 →3:双極性障害(群) 4:抑うつ障害群 2躁うつ病(双極性障害)
• 遺伝率 が⾼い → ⼀致率︓⼀卵性50-80%・⼆卵性5-30% • うつ病との鑑別は重要(治療が違う) • 気分安定剤(→抗てんかん薬) 炭酸リチウム(リーマス) バルプロ酸(デパケン ) カルバマゼピン(テグレトール ) ラモトリギン(ラミクタール,2008) 3双極性障害の診断(DSM-5)
• DSM-5→ 2.統失、3.双極、4.抑うつの順 • 双極I型障害 – 明確な躁病エピソード(manic episode)があり、 それに抑うつエピソードが不随 • 双極Ⅱ型障害 – 軽躁病エピソードと抑うつエピソード • 気分循環障害︓1年以上、気分の上下が続く 4躁病エピソード Manic Episode
A. 気分が異常かつ持続的に⾼揚し、開放的または易怒的となる。 加えて、異常にかつ持続的に亢進した⽬標志向性の活動または活 ⼒がある。このような普段とは異なる期間が、少なくとも1週間、 ほぼ毎⽇、1⽇の⼤半において持続する(⼊院治療が必要な場合 はいかなる期間でもよい)。 B.気分が障害され、活動か活⼒が亢進した期間中、以下の症状 のうち3つ以上(易怒性のみの場合4つ)が有意の差をもつほどに ⽰され、普段の⾏動とは明らかに異なった変化を象徴している。 1. ⾃尊⼼の肥⼤、または誇⼤ 2. 睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけでよく休めた感じ) 3. 普段よりも多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感 4. 観念奔逸、いくつもの考えがせめぎ合っている主観的な体験 5. 注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないま たは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される、ま たは観察される 5躁病エピソード Manic Episode
6. ⽬標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれ か)の増加、または精神運動焦燥(すなわち、無意味な⾮⽬標指 向性の活動) 7. 困った結果につながる可能性が⾼い活動に熱中すること(例︓ 制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかけた事業へ の投資などに専念すること) C. この気分の障害は、社会的または職業的機能に著しい障害を引 き起こしている、あるいは⾃分⾃⾝または他⼈に害を及ぼすこと を防ぐため⼊院が必要であるほど重篤である。または精神病性の 特徴を伴う。 D. 本エピソードは、物質(乱⽤薬物,医薬品や,他の治療)の⽣理学 的作⽤、または他の医学的疾患によるものではない。 注︓ 抗うつ治療(例:医薬品,電気けいれん療法)の間に⽣じた完全 な躁病エピソードが、治療により⽣じる⽣理学的作⽤を超えて⼗ 分な症候群に達してそれが続く場合、躁病エピソードとする。 6軽躁病エピソード Hypomanic Episode
A. 気分が異常かつ持続的に⾼揚し・・(中略)・・このような 普段とは異なる期間が、少なくとも4⽇間、ほぼ毎⽇、1⽇の⼤半 において持続する。→ 症状1〜7 は同じ B. 同じ C. 本エピソード中は、症状のないときのその⼈固有のものではな いような、疑う余地のない機能の変化と関連する。 D. 気分の障害や機能の変化は、他者から観察可能である。 E. 本エピソードは、社会的または職業的機能に著しい障害を引き 起こしたり、または⼊院を必要とするほど重篤ではない。もし精 神病性の特徴を伴えば、定義上、そのエピソードは躁病エピソー ドとなる。 F. 本エピソードは、物質(例: 乱⽤薬物、医薬品、または他の治 療)の⽣理学的作⽤によるものではない。 7Ⅲ.抑うつエピソード
基本的に、うつ病の診断基準と同じ A.以下の症状のうち 5 つ (またはそれ以上) が同じの2週間 の間に存在し、病前 の機能からの変化を起している。これらの症 状のうち少なくとも1つは、(1)抑うつ気分、または(2)興 味または喜びの喪失である(注︓ 明らかに他の医学的疾患に起因 する症状は含まない)。→(うつ病を参照) B.その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業 的、他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。 C.そのエピソードは物質の⽣理学的作⽤、または他の医学的疾 患のよるものではない。 8気分安定薬
• Mood stabilizer • 双極性障害(躁うつ病)に使⽤ 躁欝病の、うつ期は、うつ病とは違う • 神経細胞そのものを安定させる • リチウムが基本 →抗てんかん薬、抗不安薬の仲間も使う 9炭酸リチウム
• 躁病、躁うつ病の躁状態に有効。 抗躁効果、不眠、多動を抑える。 • 正常なヒトに対しては鎮静効果⽰さない。 精神機能に影響しない。 • 効果は6-7⽇で現れ始め、数週間後に⼗分な 効果となる • TDM必要。有効濃度 0.8〜1.25 mEq/L 1.5mEq/L以上で毒性が現れやすい。 10Li の作⽤機序
• 作⽤機序︓基本は不明だが、多数の説がある • セカンドメッセンジャー系 • イノシトールリン脂質代謝への作⽤。 – Inositol-1;phosphateの加⽔分解を強⼒に抑制、 inositolの含量低下。その結果、 phosphatidylinositol代謝が抑制される。 • Gqタンパク共役型M1受容体、α1受容体、H1 受容体、5-HT2受容体などの反応を抑制。 • この作⽤は、治療濃度でおこる。 • その他としては、GSK-3 (glycogen synthase kinase) の抑制など 11その他の気分安定剤
<抗てんかん薬> バルプロ酸VPA(デパケン ) カルバマゼピン(テグレトール ) Na チャンネル阻害で、神経発⽕抑制 ラモトリギン(ラミクタール,2008) 双極性のうつ期にも効果があるとされる 12(従来型典型的)⼤うつ病
• 気分障害(ゆううつ)がひどい。杞憂 • 罪業妄想︓⾃責、悪いことをした • ⼼気妄想︓病気であると思いこむ • 貧困妄想︓将来に対する不安 →悲観的→⾃殺が多い • 症状︓不眠、⾷欲低下 • 抗うつ薬、精神療法、認知療法 • ECT(electroconvulsive therapy) → DSM-5 では、単に「うつ病」となった 13うつ病の症状︓DSM-5
1.抑うつ気分 2.興味・喜びの著しい減退 3.体重変化︓減少・増加(1か⽉で5%以上) 4.睡眠障害︓不眠または過眠 5.精神運動性の焦燥または制⽌ 6.易疲労性または気⼒の減退 7.無価値観、罪責感 8.思考⼒や集中⼒の減退、決断困難 9.死についての反復思考( 希死念慮 ) 14診断基準︓うつ病(DSM-5)1
(A) 以下の症状の5つ以上が、2週間の間に存在し、病前の機能 からの変化を起こしている。このうち1つは、(1)抑うつ気分ま たは(2)興味または喜びの喪失である。 注︓⼀般⾝体疾患、ま たは気分に⼀致しない妄想または幻覚による症状は含まない。 1.その⼈⾃⾝の⾔明(例︓悲しみ、空虚感を感じる)か、他者の観 察(例︓涙を流している)によって⽰される、ほとんど1⽇中、 ほぼ毎⽇の抑うつ気分。 注︓⼩児や⻘年ではいらだたしい気 分もありうる。 2.ほとんど1⽇中、ほぼ毎⽇の、すべて、ほとんどすべての活動 における興味、喜びの著しい減退(その⼈の⾔明、または他者 の観察によって⽰される)。 3.⾷事療法をしていないのに、著しい体重減少、あるいは体重増 加 (例︓1カ⽉で体重5%以上の変化)、またはほとんど毎⽇の ⾷欲の減退または増加。 注︓⼩児の場合、期待される体重増 加が⾒られないことも考慮せよ。 15診断基準︓うつ病(DSM-5)2
3.ほとんど毎⽇の不眠または睡眠過多。 4.ほとんど毎⽇の精神運動性の焦燥または制⽌(他者によって観 察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという 主観的感覚ではないもの)。 6.ほとんど毎⽇の易疲労性、または気⼒の減退。 7.ほとんど毎⽇の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感 (妄想的なこともある。単に⾃分をとがめたり、病気になった ことに対する罪の意識ではない)。 8.思考⼒や集中⼒の減退、または決断困難がほとんど毎⽇認めら れる(その⼈⾃⾝の⾔明による、または、他者によって観察さ れる)。 9.死についての反復思考(死の恐怖だけではない)、特別な計画は ないが反復的な⾃殺念慮、⾃殺企図、または⾃殺するための はっきりとした計画。 16診断基準︓うつ病(DSM-5)3
B) 症状は混合性エピソードの基準を満たさない。(→ 双極性との違い) C) 症状は、臨床的に著しい苦痛、または、社会的、職 業的、または他の重要な領域における機能の障害を引 き起こしている。 D) 症状は、物質(例︓乱⽤薬物、投薬)の直接的な⽣理 学的作⽤、または⼀般⾝体疾患(例︓甲状腺機能低下 症)によるものではない。 E) 症状は死別反応ではうまく説明されない。すなわち、 愛する者を失った後、症状が2カ⽉を超えて続くか、 または、著明な機能不全、無価値観への病的なとらわ れ、⾃殺念慮、精神病性の症状、精神運動抑⽌がある ことで特徴づけられる。 17うつ病のモノアミン仮説
• 降圧薬レゼルピン(VMAT2阻害剤)の投与で、 うつ症状の副作⽤が出ることから、モノアミン が重要と考えられた。 • 抗うつ薬の多くが、セロトニン、ノルアドレナ リン、さらに、ドパミンの再取り込みを抑制す る作⽤がある • ドーパミン神経が障害されるパーキンソン病で も、うつ症状が出る 18セロトニンの⽣合成
ベンゼン+ピロール=
インドール
20 メラトニン =N-アセチル-5-メトキシトリプタミン トリプトファン セロトニン (5-HT) ラメルテオン (メラトニン作動薬)抗うつ薬
• Anti-depressant • うつ病の抑欝気分を改善 • ⽇常臨床でも、頻⽤される • セロトニン系を活性化する作⽤ • 中枢に対して、活性化・刺激する作⽤ • でも、最も多い副作⽤が眠 気 →うつ病の主症状は不眠 →抗うつ剤で、眠れるようになる 21抗うつ薬
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化学同⼈ 薬理学
抗うつ薬の作⽤部位
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化学同⼈ 薬理学
抗うつ薬 1
第1世代︓三環系 アミトリプチリン (トリプタノール) イミプラミン (トフラニール) クロミプラミン (アナフラニール) 第2世代︓三環系、四環系 アモキサピン (アモキサン)三環系 ドスレピン (プロチアデン)三環系 ロフェプラミン (アンプリット)四環系 ミアンセリン (テトラミド)四環系抗うつ薬 2
第3世代︓SSRI Selective-Serotonin Reuptake inhibitor フルオキセチン(Prozac)⽇本未発売→⽶国で⼤問題 フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)
パロキセチン(パキシル)エスシタロプラム(レクサプロ) 第4世代︓SNRI など
Serotonin & Noradrenaline Reuptake Inhibitors ミルナシプラン(トレドミン)
デュロキセチン(サインバルタ) ベンラファキシン(イフェクサー)
第5世代︓ NaSSA (Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant)
ミルタザピン(レメロン,リフレックス)四環系
Dopamine & Noradrenaline Reuptake Inhibitors=DNRI ブプロピオン(Welbutrin)⽇本未発売
第1世代3環系抗うつ薬
最初の抗うつ薬。セロトニンとノルアドレナリンの再取 込阻害。数種の受容体を遮断→副作⽤発現多い。 副作⽤︓抗ムスカリン(M1)作⽤=⼝渇、視調節障害、 眼内圧上昇、便秘、排尿障害、 抗α1作⽤=⼼⾎管系︓ 不整脈、起⽴性低⾎圧、抗H1作⽤=眠気 26第2世代抗うつ薬
副作⽤が減っている アモキサピン(三環系) ミアンセリン︓速効性、α2受容体斜断→ノルアド↑ マプロチリン︓セロトニン取込阻害作⽤なし。 ノルアドレナリン取込阻害 トラゾドン︓セロトニン取込阻害作⽤が強い。 代謝物に5-HT2受容体拮抗作⽤ 27第3世代抗うつ薬
• SSRI Selective-Serotonin Reuptake inhibitor
選択的=抗ムスカリン作⽤、抗ヒスタミン作⽤、抗αアドレナ リン作⽤ない ←副作⽤が少ない 抗不安作⽤が強い。眠気の副作⽤を作⽤としても使える。 • フルボキサミン(うつ病、強迫性障害、社会不安障 害)中枢性筋弛緩薬チザニジンと併⽤禁忌(CYP1A2 阻害して、チザニジンの⾎中濃度上昇) • パロキセチン(うつ病、パニック障害、強迫性障害) • セルトラリン(うつ病、パニック障害) • エスシタロプラム(レクサプロ、2011年発売) 欧⽶で最も使われたフルオキセチン(Prozac)は、⽇本未発 売→⽶国で⼤問題 28
第4世代 第5世代 抗うつ薬
Serotonin & Noradrenaline Reuptake Inhibitors ミルナシプラン(トレドミンTM )
デュロキセチン(サインバルタTM )
ベンラファキシン(イフェクサーTM )
Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant
ミルタザピン(レメロンTM 、リフレックスTM )四環系
アドレナリンα2受容体の遮断と5-HT1A受容体の刺激作⽤を持 つ。ヒスタミンH1受容体遮断作⽤も強く、眠気がある。5-HT2 受容体及び5-HT3受容体を遮断することから、副作⽤がSSRI よりも弱い。
Dopamine & Noradrenaline Reuptake Inhibitors
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セルトラリン
エスシタロプラム
第2と第5でも、うり⼆つ
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その他
モノアミン酸化酵素阻害薬 MAOA(A型モノアミンオキシダーゼ)阻害薬 セレギリン→以前は、抗うつ薬として販売 スルピリド(ドグマチール)= ドパミンD2受容体拮抗→統合失調症 シナプス前ドパミン受容体拮抗→抗うつ作⽤ 消化管D2受容体拮抗→消化管の動きの改善 33セロトニン神経系
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36 各種セロトニン5-HT受容体及び作動薬/拮抗薬 (Wikipedia より) 受容体 作⽤ 作動薬 拮抗薬 5-HT1A 中枢神経系︓神経抑制、⾏動的影響︓睡眠、摂⾷、体温調節、不安 クエン酸タンドスピロン、ブスピロン スピペロン、メチオテピン、エルゴタミン、ヨヒンビン 5-HT1B 中枢神経系︓シナプス前抑制、⾏動的影響︓肺⾎管収縮 エルゴタミン、スマトリプタン メチオテピン、ヨヒンビン、メテルゴリン 5-HT1D 中枢神経系︓locomotion; (⾎管︓脳⾎管収縮) スマトリプタン メチオテピン、ヨヒンビン、メテルゴリン、エルゴタミン 5-HT2A 中枢神経系︓神経興奮、⾏動的影響︓平滑筋収縮、⾎管収縮・拡張、⾎⼩板 凝集 α-メチル-5-HT、LSD (中枢神経系) ケタンセリン、シプロヘプタジン、 ピゾチフェン、LSD (PNS)、⾮ 定型抗精神病薬 5-HT2B 胃︓収縮 ノルフェンフルラミン、α-メチル-5-HT、LSD ヨヒンビン、LSD (末梢神経系) 5-HT2C 中枢神経系、脈絡叢︓脳脊髄液 (CSF) 分泌 α-メチル-5-HT、アゴメラチン、LSD メスレルギン、アゴメラチン、LSD (末梢神経系) 5-HT3 中枢神経系、末梢神経系︓神経興奮、不安、嘔吐 2-メチル-5-HT メトクロプラミド(⾼⽤量)、レンザプリド、オンダンセトロン、 アロセトロン、メマンチン 5-HT4 消化管、中枢神経系︓神経興奮、胃腸運動 5-メトキシトリプタミン、メトクロプラミド、レン ザプリド、テガセロッド GR113808 5-HT5 中枢神経系︓不明 不明 不明 5-HT6 中枢神経系︓⻑期記憶、神経栄養因⼦ 不明 クロザピン 5-HT7 中枢神経系、消化管、⾎管︓不明 5-カルボキシトリプタミン、LSD メチオテピン
SSRI, SNRIの注意点
• 抗パーキンソン病薬セレギリンとの併⽤禁忌 (以前、抗うつ薬として使⽤されていた) →MAO阻害剤=モノアミンの分解阻害 →MAが増えすぎてしまう • セロトニン症候群(不安、発汗、反射亢進、ふ るえ、発熱など)⽣じる • Cf. セレギリン+ドパミン系薬では悪性症候群 37薬物療法以外の治療
• 断眠療法 断眠で交感神経系活性化。ノルアドレナリン 増加。有効率30%程度。そう転の危険。 • 精神療法、認知療法 • 認知⾏動療法 マイナス思考を変えていく⽅法 • 電気けいれん療法 ECT(electroconvulsivetherapy), (electroshock theraphy: ES)、 無けいれん電気けいれん療法
うつ病治療・抗うつ薬の注意
• ⼀般に、⼤うつ病は希死念慮が強いが、病気が 重篤な時には、⾃殺する気⼒もない→回復期に 発作的な⾃殺が増える。 • 新しい抗うつ薬(SSRI,SNRIなど)の多くが、 ⾃傷他害(⾃殺、⻘少年では暴⼒⾏為)を増やす 危険性が指摘されている。 • 双極性障害に抗うつ薬を使うと、そう転するこ とがあり、やはり⾃殺につながるため危険 • 統失も含め、精神疾患の最⼤の予後決定因⼦は ⾃殺で、⾃殺を防⽌できなければ意味がない。 39抗うつ薬の作⽤の謎
• 受容体やトランスポーターへの作⽤は、速効性 があるはず • ドパミン遮断薬や、覚醒物質の作⽤は、即時的 に発現 • しかし、抗うつ作⽤は、通常2〜4週間、効果 が発現するまでに時間がかかる →後述 40抗うつ剤の作⽤機序の仮説
• 受容体の感受性変化、down regulation、 supersensitivity、遺伝⼦の発現調節(エピ ジェネティック制御) • 神経新⽣説 従来、神経細胞は増殖しないとされていた 神経幹細胞の発⾒→抗うつ薬は新⽣を増やす • グリア仮説 従来、神経細胞の回路ばかり注⽬された 最近、アストロサイト、ミクログリアなどの 重要性が判明。セロトニンが栄養になる︖ 41発展途上のこと
• 神経回路は、⽣後固定してしまうものではなく、 神経細胞も増殖して、改変は⾏われる。 • 神経回路の維持には、シナプスだけではなく、 周囲の細胞、特にグリア細胞も、とても重要。 • シナプスの情報伝達以外にも、volume transmission など、多様な制御がある。 42抗うつ薬が成熟神経を幼若化
• ⼀度、分化すると、戻らない →過去の常識は、iPS 細胞で覆された • 神経細胞は、⼤⼈では増えない →この常識も、覆された • 神経細胞も、⼤⼈になっても増殖するし、脱分 化もしている。 43ネタも少しだけ
• 気分とは、何だろうか︖ • やる気とか、意欲とかって、な〜に︖ • 喜怒哀楽と⾔いますが、感情とは︖ • 喜︓喜ぶ≒嬉しい︖気持ちよい︖幸福︖ • 怒︓腹が⽴つ • 哀︓悲しい(哀しい)、淋しい︖不幸︖ • 楽︓楽しい、嬉しいとの違いは︖ 44悲しい︓感情と情動
• ⼤事にしていたものが壊れた • ⼤切な友⼈が死んでしまった →喪失感→悲しい感情→涙が出る • 脳科学的には、 ⼊⼒=出来事→涙=情動→悲しい=感情 • 涙を出すような無意識レベル、短時間の⼼の作 ⽤=情動(affect,emotion) 45情動の重要性
• 価値判断の基準になる →理性的と考えられる価値判断も、 実は、情動系を使って計算している • 意欲の源泉になっている →⾏動の動機づけの起源 • ドーパミンが深く関わる神経系 46情動は、無意識に動く
• 蛇を⾒た時に怖いと感じる • 好きな⼈に会ったとき、どきどきする • →⼤脳辺縁系(扁桃体など)の反応 • ミラーニューロンも同じ →泣いている⼈をみると、悲しくなる →笑っている⼈をみると、嬉しくなる 47PMv 腹側運動前野(F5) ニューロン ︓運動課題の抽象的な表出 ︓他者の認知 by Rizzolotti et al 1996 視覚的な運動認知