昨年 4 月に理事に就任、経営企画担当として産業共同研究センターを担当しております。センター報 No.6 の発刊に あたり所感を述べたいと思います。 昨年 12 月、新しい教育基本法が施行され、大学の役割が明確に規定されました。すなわち、大学の役割は、教育、 研究とともに社会発展への寄与にあると明示されました。教育は知の継承・人材育成、研究は知の創造であり、社 会貢献・地域貢献は知の還元であると考えられます。 滋賀大学では、法人化以降、国立大学法人に課せられた第三の使命としての社会貢献、地域貢献機能の 1 つとし て、「産業共同研究センター」を通じて活動してきました。具体的な活動状況は本報告をご覧いただきたいと思います が、産学連携、産学公連携、学学連携を多面的重層的に進めてきております。地方自治体との包括協定、商工会議 所や金融機関との包括協定、他大学との連携をもとに、各種イベント、セミナー、フォーラムの実施、参加を通じて地 域の発展に一定の役割を果たしてまいりました。 ところで、現在の経済状態について、低成長下の景気、構造問題下の景気のなか、実感に乏しい拡張といわれて おり、さらには中小企業メルトダウン(『日経ビジネス 2007 年 4 月 23 日号』)の危機すら叫ばれております。 わが国は人口減少社会を迎えることが確実であり、みずほ総合研究所によると、日本経済の潜在成長率は 2040 年代にはマイナスに落ち込む可能性があると指摘(『みずほリポート 2007 年 4 月 24 日号』)しています。 このようなマイナスの潜在成長率や中小企業のメルトダウンを回避する最大のキーワードは、「イノベーション」であ ると思います。 ①日本の人口は減少するが、世界の人口は現在の 65 億人から 2050 年には 91 億人に達すると予測(国連の人 口推定)されています。とりわけアジアの人口増というダイナミズムを活かしていく知恵が求められ、環境問題や エネルギー制約の課題に対して解決の道を切り拓いていくイノベーションが不可欠です。この面での日本に対 する期待は大なるものがあります。わが国が人口減少からの衰亡を回避する道であると思います。 ②人口減少下での成長を実現するには、生産性の向上が必要です。特に、国内総生産の 7 割を占めるサービス 産業の低生産性が問題であり、サービス産業のイノーベーションによる生産性の向上が不可欠だと思います。 もちろん、製造業のイノベーションも欠かせません。 ③超長寿企業は中小企業がほとんどで、その経営者の多くが「伝統は革新の連続であり、その積み重ねで作ら れたもの」と長寿の秘訣を語っています(『新日本永代蔵』船橋晴雄著、『千年、働いてきました』野村進著)。 一方、消費に飽和感があるなかで、中小企業の既存産業分野で構造的問題が多いのも現実であろうと思いま す。第二創業を含めたイノベーション、企業永続のためのイノベーションが待たれます。 イノベーションは、単なる技術革新を目指すだけでなく、シュムペーターが指摘したとおり、新しいモノ・サービスの 創出、新たな生産方法の開発、新しい市場の開拓、原材料の新たな供給源の開発、新しい組織の創出の 5 つがポ イントであり、これらにチャレンジされる地域経済にとって、社会科学系大学としての滋賀大学らしい社会貢献が可能 であろうと思います。 皆様方のご利用、ご支援をよろしくお願い申し上げます。 滋賀大学 理事 力石 伸夫
2. 産業共同研究センターによせて
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