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中国人日本語学習者の作文に見られる誤用について―中級レベルを対象として―

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Academic year: 2021

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中国人日本語学習者の作文に見られる誤用について ー中級レベルを対象として- 教科・領域教育専攻 言語系コース(国語) JIA ZHU(賈 柱) 1 .研究の目的 本研究は、中国における日本語の文法教育と 「書く」教育の新たな指標を得、中国の日本語 教育の発展に貢献するため、中国国内にいる中 国人日本語学習者を対象として作文形式のアン ケート調査を行うことにした。ある一時点の日 本語の習得状況の分析を通して、発音、表記、 文体などを含めながら、その日本語作文にどの ような文法的な誤用の糊致があるかをまとめる ことを目的とした。 2,論文の構成 第1章 はじめに 第2 章 誤用と誤用分析 第3 章 アンケート調査と誤用の分類 第4 章 考察項目 第5 章 おわりに 3.論文の瘢 第1章では、研究の背景と目的を述べた。 第2 章では、先行研究における誤用の定義、 誤用の判断、誤用の原因をまとめた。 第3 章では、調査対象者の情報と調査方法を 述べた。また、本研究における誤用のラベルの 表示方法を説明し、先行研究でまとめられた誤 用の分類に基づき、本研究における誤用を分類 指導教員 田中 大輝 した。 第4 章では、まず、先行研究に基づき、発音 の誤用を「清濁の誤用」、「長短の誤用」、「促音 の誤用」の3 種に分け、具体例を示しながら、 その誤用の原因をまとめた。 次に、表記の誤用を「漢字の誤用」と「仮名 の誤用」に分類した。さらに、「漢字の誤用」の 下位分類として、「簡体字をそのまま日本語に持 ち込んだ誤用」、「同音異字語の誤選択」、「漢字 の誤選択」、「漠字の脱落」を、「仮名の誤用」の 下位分類として、「送り仮名に関する誤用」、「仮 名の脱、「仮名の付」、「仮名の入才潜」、「その他」 を設定した。そして、具体例を示しながら、そ の誤用の原因をまとめた。 次に、文体について、まず、キャンパス別、 学年別、男女別に分けて混用の人数と文数、お よび人数と文数による混用の割合をまとめた。 キャンパス別に見ると、旧キャンパスの学習者 は、三年生も二年生も、また学習者全体を見て も、一見すると、新キャンパスの学習者より文 体混用率が高いように感じられたが、カイ二乗 検定を行った結果、有意な差は見られなかった。 学年別に見ると、三年生は二年生より文体混用 率が高いように感じられたが、カイ二乗検定を 行った結果、有意な差は見られなかった。男女 別に見ると、男子学生は女子学生より文体混用 率が高いように感じられ、確かに、カイ二乗検 - 167 -

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定を行った結果、男女に有意な差があったこと がわかった。 最後に、混用の有無と文法的属性との関係に ついてもカイ二乗検定を行った。その結果、混 用の有無lカレ形とタ形には有意な関係がなかっ たが、品詞別(イ形容詞と動詞)、および肯定と 否定には有意な関係があったことがわかった。 主語(主題)と述語の整合性については、「主 語が略詞は」、述語に「(という)ことである」、 「ものである」などのような名詞述語が要求さ れるタイプ」を中心に、「動詞の名詞イ口、「形容 (動)詞の名詞イ口、「名詞+と言えI幻、「コソ アは~」の6 種類に分け、学習者の誤用例に基 づき、主語(主題)と述語の整合性を類型化し た。 格助詞の誤用に関しては、野田(1996)をふ まえ、具体例を示しながら、「は・が」の誤用を 「情報の新旧」、「主題と主語」、「排他(総記) の「が」」、「…は…が・・・は」(対比)、「・・・は(総 主題)・・・が例、主語)」の5 種にまとめた。また、 1*X(誤用)/ーY(正用)」という形で、(酬各 助詞「が」の誤用の場合:「*が/一を・に・と (引用/相手)・の・も・過乗岐用」、(②略助詞 「を」の誤用の場合:「*を/一も・が・の・に・ と(引用/相手)・で・から・でも・過剰使用」、 ③格助詞「に」の誤用の場合:「*に/一への・ で・を・が・にとって・として・から・と(引 用)、過乗岐用」、(④)格助詞「で」の場合:「*で /―に・を・の・は・過剰使用」に大きく分け て考察し、誤用の原因を分析した。また、「が」、 「を」、「に」、「で」を使うべきなのに、使って いない場合、同じ「*x(誤用)/ーY (正用)」 という形で、① 1*0/一が」、②1*0/一を」、 ③1*0/一に」、 1*0/一で」に分け、分析を 行った。 第5 章では、日本語を専攻している中国人日 本語学習者に、本論文で考察した発音、表記、 文体、主語(主題)と述語の整合性、格助詞を 習得させるために、どのような指導が必要であ るかを考察した。例えIよ格助詞に関しては、 格助詞とは何か、という格助詞の概念をまず学 習者に理解させる必要がある。また、教えた、 教えている学習者、およびその国の他の学習者 による典型的な格助詞の誤用実例を収集し、コ ラムという形式で指導を行う必要がある。そし て、指導と実践を合わせ、習得した格助詞に関 する知識を穴埋め形式の膨大な練習で固定させ るなどの提言を行った。 4.まとめと今後の課題 本研究では、中級レベルの中国人日本語学習 者を対象とし、作文形式のアンケート調査を行 い、そこに見られた発音、表記、文体、主語(主 題)と述語の整合性、格助詞の誤用を考察し、 誤用の原因を分析した。また、それを踏まえて、 どのような指導が必要であるかという提言を行 った。今後の課題としては、本研究におけるア ンケート調査は、 日本語を専攻している学部二 年生と三年生のみを対象として行ったので、デ ータ量という観点から考えると、対象とする学 校および学習者を増やすことが必要であると思 われる。また、より多くの特徴のある誤用を得 るために、作文のテーマ数を増やすことも必要 であると考えられる。いずれも今後の課題とし た11 - 168 -

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