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「市町村における在宅医療必需および必要人員の将来推計」

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(1)勇美記念財団2012(平成24)年度 在宅医療助成 完了報告書 「市町村における在宅医療必需および必要人員の将来推計」 千葉大学医学部附属病院高齢社会医療政策研究部 特任教員・客員准教授 中村利仁 概要 研究の第一段階である高齢者在宅医療ニーズの将来推計は、柏市と船橋市の 診療報酬請求書から作成した患者データを、柏市、船橋市と千葉県後期高齢者 医療広域連合から取得した。 柏市については、後期高齢者については分析が完了した。前期高齢者につい ては数カ所の医療機関を対象に追加調査が必要となっており、関係諸団体の了 承を得た上で、医療機関に対して協力を依頼し、実施の見込みである。なお、 追加報告する。 船橋市からは前期高齢者のデータを取得済みであり、後期高齢者のデータに ついては、千葉県後期高齢者広域連合とデータ提供について交渉中である。な お、別途追加報告を行う。 将来推計の手法自体はほぼ当初予定通りに実行可能で、若干の修正を施した 上で確立した。 今後はさらにいくつかの市町村等に協力を求め、実データを積み上げて追加 報告を行う予定である。 研究の第二段階である在宅医療の位置情報つきタイムスタディは、調査協力 医療機関の確保交渉に難渋した。協力医療機関確保の目途が付いたところで、 倫理審査手続きの申請に入る予定である。これによって、在宅医療ニーズの分 布密度の違いによって訪問効率がどう変化し、必要人員がどのように推移する のかを推計できる見込みである。なお、追加報告を行う。 なお、柏市の在宅医療ニーズの将来推計の結果、後期高齢者のそれは多くの 人口密集地域において今後急増するが、いくつかの地域においては20年後を 待たずに減少に転じることがわかった。 平成 25 年 9 月 2 日(月).

(2)

(3) 1.研究の進行 助成決定後に所属機関で倫理審査申請手続きを開始した。課題名「市町村に おける在宅医療必需および必要人員の将来推計」の一部として、平成24年1 1月13日付け、千葉医総第487号(受付番号1482)において承認され た(別添1)。 柏市および千葉県後期高齢者医療広域連合(以下、広域連合)とレセプトデ ータ提供について折衝を行い、事務調整の結果、広域連合からは平成24年1 2月17日に、柏市からは12月18日にレセプトデータ(平成 24 年 5 月 1 ヶ 月分)の提供を受けた。 追跡不可能匿名化したレセプトデータは、年齢5歳階級、性別、受診医療機 関、被保険者データベースから連結した住所地(丁字)の4項目である。いず れも秘匿処置、合算処置は行っていない。 広域連合のデータは摘要欄から作成した在宅医療フラグのついた75歳以上 データ、柏市は入院外全ての65〜74歳データである。柏市のデータは在宅 医療フラグに相当する抽出が行われていないため、在宅医療サービスのデータ のみを特定し抽出するための追加調査を行う。関係諸団体等の了承を得る交渉 は難航している。なお、倫理審査の修正審査を申請中である。 研究の第二段階である在宅医療の位置情報つきタイムスタディは、調査協力 医療機関の確保交渉に難渋している。協力医療機関確保の目途が付いたところ で、倫理審査手続きの申請に入る予定である。これによって、在宅医療ニーズ の分布密度の推移によって効率がどう変化し、必要人員がどのように増減する のかを推計できる見込みである。なお、結果については追加報告を行う。 2.対象及び方法 推計に使用したのは国勢調査(2010 年、総務省統計局)、人口動態統計(2011 年、厚生労働省大臣官房統計情報部)、住民基本台帳人口(平成 24 年 4 月、柏 市情報政策課)日本の地域別将来推計人口(平成 25(2013)年3月推計、国立 社会保障・人口問題研究所)である。なお、将来推計人口については、地域別 将来推計人口の数値をそのまま用いており、新規の宅地開発等による人口の社 会的移動については勘案していない。.

(4) 3.結果. 柏市は面積 114.9 平方キロ、人口 404,012 人、高齢者人口(65 歳以上)は 80,554 人、高齢化率 19.9%である。(2010 年国勢調査) 将来人口推計によると、今後引き続き 2025 年の 416,953 人まで人口増加が続 くが、この頃をピークに人口減少が始まり、2040 年には人口 399,131 人となる。 高齢者人口と高齢化率は一貫して上がり続け、同じく 2040 年には各々126,340 人、31.7%となる。 広域連合から提供された、在宅医療受療中の患者のレセプトは 852 件であっ た。このうち、請求元医療機関が柏市及び隣接する市町村にないもの(4 件)、 さらに 74 歳以下のもの(12 件)を除いて、836 件を分析の対象とした。前者 4 件は住所地を柏市内に置いたまま、請求元医療機関の近くに居住地を移したも の、後者 12 件は障害認定等の特例によるものと思われる。 これら 836 件の性別年齢5歳階級別内訳を表に示した。男性 227 件、女性 609 件であった。. 性別\年齢 75-79 80-84 85-89 90-94 95-99. 100. 計. 〜. 男性. 48. 63. 61. 41. 12. 2. 227. 女性. 63. 140. 197. 158. 42. 9. 609. 111. 203. 258. 199. 54. 11. 836. 計. 表 柏市後期高齢者在宅医療患者レセプト内訳 次に住民基本台帳人口(平成 24 年 3 月 31 日、柏市市民課)の 5 歳階級別人 口から、年齢 5 歳階級別後期高齢者の在宅医療受療率を求めた。(グラフ 1) この受療率が変化しないものと仮定し、国勢調査および将来人口推計の 5 歳 階級別人口の積を求めて、その総計を 5 年ごとの後期高齢者在宅医療患者数の 推計値とした。なお、将来人口推計の年齢5歳階級別人口は、90 歳以上が一括 となっているため、その在宅医療受療率を再計算している。2012 年 5 月の実患 者数は、既述のように 836 人であったが、2010 年国政調査時の高齢者在宅医療 受療者数は 806.3 人と推計され、これが 2040 年には 2959.6 人へと増加し続け.

(5) る見込みである。 (グラフ2、3) なお、今回の将来人口推計は、前回中間報告の際に採用していた『日本の市 区町村別将来推計人口』 (平成 20 年 12 月推計)よりも全体に多く推計値が出て いるため、2015 年以降の各 5 年患者推計も全体に多くなった。 国勢調査の丁字別性別 5 歳階級別人口に、将来人口推計の概要に記された図 地域別将来人口推計のフローチャートに準じて丁字別性別 5 歳階級別人口の将 来推計を行った。補正は行っていない。 この 75 歳以上人口に対して、やはり全市一律の在宅医療受療率を元に、丁字 別将来推計を行った。 丁字データを地図上に展開したものを添付する。 (別添) 4.考察 現状では、概ね高齢者人口の多い地域に応分の在宅医療受療者が発生してい るが、受療率が丁字によって変わらないものと仮定した推計値と一部で食い違 いが生じており、ニーズが何らかの理由によって表面化を予防あるいは阻害さ れている場合、逆に需要が推計値以上に喚起されている場合があると考える。 その要因はさらに分析を進めたい。 将来推計では、柏市内でも後期高齢者の在宅医療ニーズの増加には地域的に 時間差が発生することが明らかとなった。また一部丁字では在宅医療ニーズは 減少に転じる。 郊外の田園地帯では人口そのものが少なく、推計上、大きな変化は見られな いが、今後大きな居宅サービス施設等の建設が行われるとするならこれら地域 であり、推計及び計画においては注意が必要と考える。 在宅医療専従の医師の誘致や教育に当たっては、以上のような点について、 その配置計画に配慮が必要であろう。なお、医師数については現状との差が、 地域社会への負荷では比が問題となると考えている。 現在、柏市の診療所開業医師の大半は男性であり、また、全国診療所医師の 平均年齢は 58 歳前後である。25 年後の 2040 年の柏市では、在宅医療受療率が あまり変わらないという仮定が正しければ、患者は現在の 3 倍に増える。対し て現在診療中の訪問診療医師の大半は、既に引退の時期を迎えているはずであ.

(6) る。つまり、医師を総入れ替えした上でなお、現状の 3 倍近い医師数が必要と なる。今回、ほぼ訪問診療に専従していると考えられる医療機関の数は、柏市 内外で 10 施設あまりである。外来診療等と並行して訪問診療に従事している医 療機関もほぼ同数ある。各施設概ね一人の医師が診療に従事しているとして、 2040 年、訪問診療専従と外来等併診で各 30 人、合わせて約 60 人の医師が訪問 診療に従事しているなら、今回の推計通りの在宅医療受療率が維持されるもの と思われる。不足すれば受療率はおそらく下がり、医師数が今より手厚くなれ ば受療率が上がる可能性もある。 各種の将来推計の研究は、その結果が出るまで待たねばならず、検証に長い 歳月がかかる。従って、医療上あるいは行政上必要であるにも拘わらず、将来 推計の研究の評価結果は中々得られない。この分野の研究は数が少なく、研究 者として成果が評価されることもあまりない。 今回、平易な方法で在宅医療患者ニーズの将来推計を行う方法を提案するこ とによって、関係する分野の研究者から多少の支援があれば、市町村単位で同 様の推計の行われることを可能にしたものと考える。将来、妥当性の検証を行 いつつ、また、大規模宅地開発等の大きな社会的増減があれば随時再推計を行 いながら、現場の医療従事者と行政担当者がデータを活用されることを期待す る。 5.結語 診療報酬請求データと各種公開済み人口関連統計を使用して、在宅医療ニー ズの将来推計を行う手法を提案した。 この手法に従うと、千葉県柏市では、2040 年までの 25 年間に在宅医療サー ビスを受給する後期高齢者の数は 800 人あまりから 3000 人近くまで増加するも のと推計される。計画的な供給体制整備が必要と考える。 以上.

(7) (人口10万人当たり) . 在宅訪問診療年齢5歳階級別受療率 (千葉県柏市2012年5月分 後期高齢者) 12000.0 10000.0 8000.0 男 . 6000.0. 女 . 4000.0 2000.0 0.0 75-79. 80-84. 85-89. 90-94. 95-99. 100-. 年齢5歳階級 . グラフ 1 年齢 5 歳階級別在宅医療受療率(柏市後期高齢者). 在宅医療ニーズの将来推計(柏市) 3000.0 2500.0 2000.0 (人). 女, 1939.9. 女, 2063.6. 女, 1682.8. 1500.0 女, 1371.4 1000.0. 女, 1064.5 女, 791.4. 500.0 0.0. 女, 594.5 男, 408.2 男, 211.7 男, 293.2 2010年 . 2015年 . 2020年 . 男, 827.4 男, 895.9 男, 571.9 男, 717.4 2025年 . 2030年 . 2035年 . グラフ 2 在宅医療ニーズの将来推計(柏市 後期高齢者 男女別). 2040年 .

(8) 年齢5歳階級別後期高齢者在宅医療患者将来推計の内訳(柏市) 3000.0. 在宅医療患者推計(人). 2500.0 964.9. 女 85~89歳 . 582.3. 1500.0 425.1. 1000.0. 0.0. 女 90歳以上 . 749.1. 2000.0. 500.0. 1246.1. 210.0 189.6 135.7 59.3 54.7 55.2 58.3 43.4. 292.9. 337.6. 254.7 172.7 71.1 79.3 81.8 78.6 53.5. 213.0 88.8 128.0 116.1 100.5 63.6. 644.2. 522.3. 女 80~84歳 . 322.2 85.1 308.9. 259.7 71.0. 218.4 76.9. 女 75~79歳 . 421.1. 547.6. 204.1 148.3 56.1. 241.7 116.4 48.2. 191.2 101.2 55.9. 526.5 415.4 267.7 105.9 214.0 157.3 128.8 71.9. 男 85~89歳 . 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 806.3. 1084.6. 1472.7. 1943.3 年 (人). 2400.3. 2767.3. 男 90歳以上 . 男 80~84歳 男 75~79歳 . 2959.6. グラフ 3 在宅医療ニーズの将来推計(柏市 後期高齢者 性別年齢5歳階級別).

(9) 謝辞. データ提供に当たっては、推計の重要性と個人情報の保護の両立に於いて、困難な御検 討にご協力を頂いた、千葉県柏市、同船橋市、千葉県後期高齢者医療広域連合の担当行政 官の皆様に、深い感謝を捧げます。本稿の推計を今後少しでもご活用いただければ幸いと 思います。 今回、困難な調整と交渉が続いたため、助成完了時に研究が完了していないこととなり ました。大変申し訳ないことで、勇美記念財団の皆様にはお詫び申し上げると共に、随時、 追加報告をさせていただくお許しを頂戴したことについて深く感謝申し上げます。 研究を進めるに当たっては、千葉大学医学部附属病院高齢社会医療政策研究部の同僚に、 得がたい示唆や協力を頂戴しました。中でもデータの地図上への展開については土井俊祐 研究員の協力無くしては完成することができませんでした。ありがとうございます。 地域で日夜在宅医療に奮闘されている医療機関と居宅サービス事業所等には、数字の中 から浮かび上がるその姿に、深い感銘を受けたところです。本研究が少しでもお役に立つ ことがあれば、これに過ぎる幸いはありません。ありがとうございます。. 最後になりましたが、これまでの首都圏と日本を支え、これから在宅医療サービスを受 給される皆様の生活が、意義深いものとなることをお祈り申し上げます。. 本研究は勇美記念財団2012(平成24)年度 在宅医療助成によって行った。.

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参照

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