東京女馨學會雑誌:第7巻第:3號
綜
説
禮内の類脂漏に就》(:
東京女子醤學專門學校醤化學教室騨魁 末 吉
スエ ヨ シ第一 緒
言雄 治
ユウ ヂ 近來類脂膿に属する化合物が多数磯見せらる玉に至ったが,藪に古くより其代表的 物質として取扱はれたる脂肪,燐脂質及びCholesterinに關して述べやうと思ふ。又 予の許に於て研究して得たる成績の中,多少臨床上に關係ありと考へらるS事項を中 心にして話を進めたいと思ふ。第= 妊娠時の胎鬼榮養について
妊娠時に,母膣の血液が胎盤を通り,胎児に移行して,胎児を榮養するのであるが, 此時母艦の血液は胎盤に於て一定の攣化を受ける。EPち胎盤は或る調節作用を螢むの である。之に就ては野見山(1)の實験がある。夫れは家兎にCholesterinを食べさせる と,血液のCholesterin量が増加するのであるが,此時更に血液内trL .Cholesterinを注 射する時は一暦増加する。然るに此時胎児血液のCholesterin量を測定すると,正常 節 一 表 時の血液Cholesterin量と差異がない。自口ち gholesrer;n量(mg%) 胎見血液のCholesterin:量は母艦のCholest一 i母 血}胎見・血 正 常 Cholesterin 投 與 70−81 亭均.74 158−394 耶均241 75−101 平均 94 70−103 亭均 90一第
erin量の増加に俘はないのであるQ(第一表) 第一表に示すが如く,正常胎見Choleste− rin量が雫均94mg%なるが,母血Choles− terin:量を74mg%より241mg%に:増:量せ’し めたる時にも,倫90mg%を示し殆ど攣動が ない。邸ち母艦血液が胎盤を通過する際, 7 巷189 一2
末吉=燈内の類脂盤に就て
Cholesterin量が調節されるものと考へらる。 次ぎに胎盤には,脂肪分解酵素が存在するや否や,確實には判らなかったが,鈴木 の實験のにより,其存在が明らかとなった。從って母艦の血液が胎盤を通過する時, 其の脂肪が分解される事が考へられる。而して其際脂肪の性状に馴化が起らざるや否 や。之に就て江副(3)が次の實験を行った。 白鼠を妊娠せしめ,之をこ二群に分ち,「群には不飽和脂肪を多く含有する脂肪を食 べさせ,他の一群には不飽和脂肪の少い脂肪を食べさせて,母禮及び胎児脂肪の沃度 数を測定し,胎児の脂酸が,食物の脂酸の性状に:依り影第
母油島油脂 肉脂酸 飼養 沃度数 亜 麻 仁 油 亭均 椰 子 油 山鳥 100.0 96.3 101.9 127.5 106.4 8,0,.1 86.8 73.2 81eO 表 f 胎見脂酸沃慶数
II6.5 96.7 134.5 ’ 1,?5.8 120.9 8t.2 Ft 9.9 86.1 82.4 響を受けるや否やを槍序した。帥ち不飽和脂肪として亜 麻仁油を與へ,飽和脂肪として椰子油を與へ實験した結 果先づ母艦の脂酸が食物脂酸の相違に依り攣動ずるこ と,次いで胎児の脂酸も亦同様に攣動ずることが明かに なった。第二表に示すが如し。 第二表の成績を見るに,沃度数高き亜麻仁油を與ふれ ば,母膣沃度数106,胎見沃度数120を示し,叉沃度激低 き椰子油を與へし場合は,母艦沃度数81,胎兜沃度数82 である。平等の成績に依り亜麻仁油を與ふれぼ胎兜に不 飽和脂酸が多くなり,椰子油を與へし場合には之が勘く なることを知り得たのである。 上記の如く母艦の撰潤した脂肪の脂酸の種類に依り, 胎見の脂肪の脂酸が攣動ずることを明かにしたが,然らば此時胎兇の燐脂質を構成せ る脂酸も,亦同様の影響を受けるに堕すやと考へらる。下れは白鼠を妊娠せしめて, 之に亜麻仁油叉は椰子油を與へて實験すること,上述の江副の實験と同様に行ひ,次 で燐脂質を分離して,其の脂酸の沃度激を測定した。其成績は第三表記載の通りであ る。第三表の成績を見るに乳脂を與守る母罷の燐脂質沃度数は152なるに,亜麻仁油 を與へたるものは178に増大.し,椰子油を與へたるものは163を示して居る。叉胎見に 於ては乳脂の時114で,亜麻仁油の時は133を示し,椰子油の場合には116である。.帥 ち亜麻仁油食の時は,母艦も研学見も,其燐脂質脂酸の沃度激増顕し,椰子油の時は 之よりも低下して居る。故に胎児の燐脂質脂酸も亦食物中の脂酸の性状が相異るに從 って鍵動を受けることが判る。 上表の成績に依れば,乳脂にて飼養したるものと椰子油を與へしものと,其沃度数 一第 7 巷 190一宋吉=艦内の類脂燈に就て
3 第 三 表 燐周面質量旨酸沃度数 母 肝 臓 筋 肉乳丁壮仁油耐油乳脂陣麻働瞬油
134.1 147.4 153.1 158.2 158.5 182.3 171.4 1’i’1.O i83.8 189.1 173.0 158.1 168.1 170.5 158.4 167.9 160.5 154..P, 149.0 158.2 150.6 155.2 149.8 166.7 154.5 153.0 167.4 165.5 146.7 153.9 143.1 155.7 160.8 159.0 胎 見乳脂暦仁油晦油
125.0 109.4 103.5 114.8 119.3 129..? 133.8 131.4 129.3 140.3 134.6 112.3 115.4 109.6 117.8 120.1 120.6 ・52・・い7・・i16・・gい5・・1.・圃153・・1・・4・・i・33・・i・・6・・ 第四表 胎晃肝臓糖原量 胎生日敷 21 27 .o,o 分 娩 後 時’ 間 2 3 牢均 使用 仔数 8 12 9 4 一 仔 軍均量 (mg”, 1.6 L4 3.0 2.7 % O.40 e/.38 0.89 0.76 6 4 5 7 3 6 4 6 7 .6 2 22.7 30.5 15.8 36.0 395.4 3e56.8 414.4 390e4 386.5 14.2 35.9 24.1 O.97 1.10 1.06 t.63 4.27 4.25 e.74 4.66 4.58 O.63 1.02 O.82 に現はれ干る差異が勘い。從って椰子油を與へた時 其中の固形脂酸が果して燐脂質脂酸の中に入り其構 成に與りしや否や明かでない。故に之を槍干するた めに Elaidin酸を用ぴて動物を飼養した。元來 Elaidin酸は不飽和酸なれど其性歌飽和脂酸に類似 し固形脂酸であるから,斯かる二三材料としては好 適のものである。今之にて飼養すると,三二の肝臓 及び筋肉の燐脂質脂酸に,相當量のElaidin酸が入 り其燐脂質の構成に與る事が言明せられた。又胎児 の實験成績も其寸歩脂酸の1/6がElaidin酸より成る 事を實験した(第四表)。此成績に依!飽和脂酸も亦 そのまs胎見の燐脂質の脂酸になり得るものと考へ 得るのである。 次に鈴木(5)の實験であるが,胎児が磯育するに從 ひ,肝臓内の糖原(Glykogen)量:が絶樹量及び%量 共に増加すること第四表に示す通りである。此實験 は,家兎に就ての實駿であるが,受胎後27日一30日 目に急激た増加する。然るに興味あることは此多大 に貯藏した糖原が,分娩後僅か2−3時間目に測定し て見ても,既に激しく減少して殆ど溝失して居る。4
末吉=禮酒の類脂禮に就て
第五表 H台,血肝脂肪量 胎生 日敷 21 亭均 27 李均 30 李均 使用町回 8 12 9 4 6 4 5 7 一 仔 軍器量 (mg) IO.2 12.5 1 ZC .3 10.5 11.4 3 6 4 6 7 234.5 276.5 14g.9 220.0 259.1 680.5 666.1 78t.1 730.9 716.6 715.0 叉脂肪は如何なる關係になるかを槍下するに,脂 肪も亦糖原と同様に胎兇の日数の進むに從ぴ次第 に多く蓄積される。.而して之も亦糖原の場合と同 2.42 じく分娩を終へると僅か4−5時間目に既に約牛量 3.42 に減少して居る(第五表)。 3.59 糖原はEnergieの源として,非常に適當なるも 2.91 のである事は周知の通りである。上述の如く胎見 3.08 の肝臓に日数の進むに從ひ,糖原が多大に蓄積さ 12・26 るS事は,胎児にEnergieを供給すべき用意をす 1L91@るものであり,分娩時に急速に浩失するはその時 9・84@非常に多量のEnergieを必要とし,その需要を糖 12.36 原力が充たすに依ることも明らかである。脂肪も ll.59 亦糖原に…欠V・でEnergie源となるものであるか 17.21 ら,分娩時胎見のEnergieの非常需要に慮じるた 18.66 め貯べられ,叉其分娩時之を用ぴて,Energie需要 18・84 に不足なからしむるものである。以上の實験成績 18・72 に依り,母艦は勿論であるが胎兇も亦分娩時に多 18・54 大のEnergieを消費する事を明らかにしたのであ 18β9P』る・購にGlgkogenと脂肪と銅時曙潤れる
とV・ふ事は,成熟した動物には見られぬ現象であ る。半者の關係は一方が増加すれば一方が消失す % るのが常であって,爾者が同時に増加することは 14・85 無いのであるが,例へば飢餓時燐中毒の牛角には 22・71. 肝臓内の脂肪が増量するが,平時常に糖原量が減 】9.81 少して居る。叉糖原量が多くなると脂肪が減少す 7’22@.る。然るに胎兜の場合は上述の如く雨者同時に増 19.79 平するのである。之は胎兜に特有の事實である。恐 11.48 らく1分娩時に急激に多大のFnergieを要するため 12.08 貯へられるのであらう。元來糖原の野州量には限 20.81 度があるものであるから,夫れだけではEnergie 16.09 の需要を充すに足らなVbから脂肪も亦同時に貯へ 一第 7 巷 192一 % 胎見肝脂肪量 分 娩使 用 後時間仔 数 1 1 2 3 4 4 5 5 4均 6 7 6 2 4 5 4 7 一 仔 卒均量 (mg) 340.5 464.9 444.8 234.・5 267.4 314.6 288.3 586.2 .V68.8宋吉=燈内の類脂畳豊に就て
5 るのであらう,然かも此Energie需要は急激なるため成人に於けるが如く血液に依り 肝臓以外の貯藏所から肝臓に蓮潤し閉りて其需要に鷹すると肪ふやうな三三がないの で初めから肝臓に貯昏置くのであらう。第三胎盤毒に就て
胎盤⑱食盤浸出液を動物に注射すると痙攣を起して死亡する。之の毒物を胎盤毒と 名づけ,古くから知られて居るものである。之の毒物は如何なる物質であるか,之に 蹴て多くの研究があるが,省未だ十分とは言へぬ。其虚で小杉(6)が之に就いて研究し た。其結果はAlkoho1溶性で, Aceton不溶性の物質が,蛋白質と併用すれば毒作用を 呈はすのである。印ち胎盤中の:Lecithinが分離されて來る部分の物質が蛋白質と併 用すれぼ毒性が呈はれるのである。更に此Lecithin部に水素を添加して,其不飽和 脂酸を飽和にする時は,その毒作用が呈はれなくなる。之に依、り毒性はLecithinの 不飽和脂酸が必要であることが判る。次に蛋白質とLecithinが併用する際爾者が結 合して作用するのであるか,鉢叩混合だけで作用するものであるか,之を槍索せんた めに次の回暦を行った。帥ち末吉等の三州成績に(7)依れば,Lecithin等電鮎はPH4.7で あるから,此の前後にPHを調節して,押れと毒性との關係を検査したのである。其 結果はLecithinの等置型より酸性例に於て,例へばPH3の場合に於ては毒性呈は れ・劇界側に於て,例へばPH5の場合には毒作用が呈はれない。之に依れば等電鮎の 酸性側に於てLecithinとGlo圃inとが結合して毒作用を呈はすことを知り得たの である。篤四 組織中の類脂鰹に就いて
釜子㈹が種々の動物に就て,筋肉中の燐脂質量を測定した成績を見ると,蓮動を多 ぐする筋肉は其含有量が多いことを確めた。(第六表) 第六表の成績の通り,犬の断裂筋よりも響動を多く螢む大股筋の:方が含量大であ る。又難筋肉に就ても,胸筋よりも縫匝筋の:方が多量を含み,殊に絶えず活動する心臓筋肉にて眼も多いのである.爆の腓腸筋蹴て夏季濁期と冬季の冬眠期とに
於て燐脂質の含量を槍したるに,夏季の活動する時は多く冬眠期には勘い。叉家兎を 廻鱒車を利用して蓮動せしめ,疲勢の極最早蓮動を螢み得ざるに至らしめ,其筋肉の 燐脂質量を特定したるに,第七表の如く著明に減量せるを認めた。之等の域績に依り 燐脂質が筋肉の活動に密接なる關係のある事が判る。6