原
著
新人看護師の看護実践の質向上に資する職場の支援体制;
KJ 法による看護管理者の面接内容の構造化から
今井多樹子,高瀬美由紀
安田女子大学 (平成 28 年 9 月 16 日受付) 要旨:就業時,多重課題への対応力がない新人看護師に対する職場の支援体制の現状を明らかに した.看護管理者 7 名を対象に半構造化面接を行い,KJ 法を活用して構造化した.結果,臨床で は新人看護師が【職場の支援を受けられる体制強化】の下で,【受け持ち患者の看護を中心とした 先輩追従による段階的な業務支援】を柱に,【実践力に応じた業務制限】【夜勤導入の見極め】が行 われる体制にあった.さらに,【受け持ち患者の看護を中心とした先輩追従による段階的な業務支 援】は,【内省支援】と【精神的支援】によって強化されていた.その一方で,多忙を極める臨床 では,自ずと【新人に主体的な報告・連絡・相談の実践を求める相補的なサポート体制】にもあ り,新人看護師の主体的な報告・連絡・相談の実践が【実践力に応じた業務制限】と【夜勤導入 の見極め】において,重要な指標となっていた.新人看護師に対する職場の支援体制は,彼らが 医療チームの一員として,受け持ち患者の看護と夜勤を遂行できるという暗黙の【到達目標】に 向かって,新人看護師の看護実践能力の向上,ひいては成長過程を支える構図が示された.以上 から,新人看護師に対する職場の支援体制は,受け持ち患者の看護と夜勤導入を軸に,看護実践 の質向上に資する強力な業務支援と評価を通して,新人看護師が臨床で専門性を発揮(成長)で きる土台を提供するものと考えられた. (日職災医誌,65:111─117,2017) ―キーワード― 新人看護師,看護管理,支援体制 はじめに 医療の高度化をはじめとした近年の看護をめぐる環境 の変化は,複雑な健康問題を抱える患者の看護が求めら れる現状を招き,新人看護師とはいえ,従来に比べ高い 看護実践能力(以下,実践力)が求められる1) 事態を生み 出している.また,新人看護師は看護基礎教育(臨地実 習)で一人の患者の受け持ち看護を通して実践力の基 礎・基本を修得するが,臨床では(つまり,就職すると) チーム医療の一員として複数の受け持ち患者の看護を展 開するための高い実践力が求められ,この実践内容の違 いが,彼らの職場定着を困難にしている1) .当然のことな がら,複数の患者の看護展開となると,複数の業務への 対応が迫られるため,患者の重症度や業務の緊急度に よって優先順位を判断し業務を遂行するという,いわゆ る多重課題への対応力が求められる.しかし,多重課題 への対応力は看護基礎教育で身に付けることは困難と考 えられており2) ,新人看護師の多重課題への対応困難な事 態は看護職のヒューマンエラーを誘発する一因として3) , 看護の質の低下にも繋がり,患者の疾病からの早期回復 に多大な影響を与える.事実,新人看護師が起した医療 事故の中には,死亡や障害残存の可能性がある(高い)先 例が存在する4) .それゆえ,複数の患者の看護展開をめ ぐって,新人看護師の看護実践の質向上に資する職場の 支援体制の確立は,喫緊の課題となっている. 以上の背景から,保健師助産師看護師法と看護師等の 人材確保の促進に関する法律の改定により,2010 年 4 月から「新人看護職員研修」が努力義務化され,「新人看 護職員研修ガイドライン5) 」などの指針を基に,各医療機 関の裁量で新人看護師への支援体制の整備が進められ, 看護の質向上はもとより,医療安全の確保,ひいては早 期離職防止への期待は大きい.その一方で,新人看護師 に対する職場の支援体制については,1 施設で取り組ま れている実践(事例)報告は多く見受けられるが,研究 としては進んでいない現状にある.例えば,新人看護師 に対する職場の支援体制に関するわが国の研究を概観すると,新人看護師にとって勤務開始 1 年目の職場環境が, その後の勤務継続意欲に影響し6) ,新人看護師に対する指 導や支援体制を整備することの必要性7) が判明している. そして,新人看護師の成長を促進する関わり8) ,新人看護 師が自分の成長を感じた体験9) ,新人看護師の職場適応の 影響因子10)などの観点から,新人看護師に対する支援体 制の在り方が検討されている.しかし,文献数としては 希少であり,新人看護師に対する職場の支援体制は包括 的・構造的に記述されているわけではない.そこで,本 研究では新人看護師の看護実践の質向上に資する職場の 支援体制に関する示唆を得るために,就業時において, 多重課題への対応力がない新人看護師に対する職場の支 援体制の現状を解明することを目的とした. 方 法 本研究は半構造化面接を基にした KJ 法11) による質的 記述的研究である. 対象者および調査方法 看護系大学の実習施設であり,新人看護師の採用・教 育力を有すると判断された 3 カ所の地域医療支援病院 (総病床数 226∼715 床)を選定し,主任以上の職位に就 く看護管理者を対象者とした.各施設の看護部長に対象 者の選定を依頼し,対象者数は後の分析方法に示す「探 検ネット」の全体感からデータの飽和状況の確認をもっ て最終的に 7 名とした. データ収集方法 H25 年 12 月∼H26 年 2 月に,インタビューガイドに 基づく面接調査を行った.就業時において,多重課題へ の対応力がない新人看護師に対する職場の支援体制につ いて,看護管理者の立場で客観的に語ってもらった.イ ンタビュー内容は,対象者の承諾を得て IC レコーダー に録音し,後に逐語録に起した.面接調査は 1 時間以内 とし,対象者の所属施設の個室で 1 名のインタビュアー が 1 名の対象者に対して行った.なお,本研究は新人看 護師が臨床で直面する多重課題をめぐる現状を調査した 研究の一部であり,インタビュー内容には他の質問に対 する回答(語り)も含まれた. 分析 KJ 法を活用して,次のプロセスで状況把握図解(以下, 図解)を作成し,叙述化した.KJ 法の採用理由は,解明 したい事象間の関連を包括的・構造的に把握できること による. 1)ラベル作り 対象者の語りから「新人看護師に対する職場の支援体 制」の部分を抽出し,ラベル化した.その際,面接内容 は可能な限り対象者の表現のままテキスト化し,一つの ラベルに一つの内容が収まるように,一文に二つ以上の 意味が含まれるものは各々一文としての価値を与えラベ ル化した.また,文脈や語り手の意図を歪めない範囲で 表現を整えた.次に,全てのラベルを模造紙に配置した 「探検ネット」を作成し全体感を捉えた.そして,「多段 ピックアップ」により研究テーマを背景としたデータを 出し切った状態の渾沌とした多数のラベルの中から,シ ンボリックなラベルを段階的にピックアップした.以上 のプロセスを経て精選したラベル(元ラベル)を用いて, 次のグループ編成(統合)を行った. 2)グループ編成(統合) 統合の第一段階では全ての元ラベルを模造紙に拡げ 1 枚ずつ熟読し(ラベル拡げ),志(意味内容)が近いラベ ルを 2∼5 枚ずつ集め(ラベル集め),それらを見比べ情 念的に浮かび上がった中核的なイメージを表札として記 す(表札作り)作業を行った.第二段階では,第一段階 で作成した表札と,その時にいずれの島(グループ)に も統合されず残った元ラベルを拡げ,意味内容が近い表 札・ラベルを集め統合し,さらに抽象度の高い表札作り を行った.最終表札には島のイメージを一文で端的に表 すシンボルマークを記した. 3)図解化と叙述化 図解化では一つの島に着目して,その島と関連する他 の島々を関係線で結び,論理的に落ち着きの良い空間配 置を行った.図解では元ラベル(原文)を□(細い線), それ以外の下位の表札を!(太い線)で囲って示した. 叙述化では,図解全体のイメージを抽象的に表すタイト ルを記し,シンボルマークを引用して各島のイメージと 島同士の関係を現象説明的に記述した.本研究では,シ ンボルマークを【 】,最終表札を下線部,下位の表札を < >,元ラベル(原文)を『 』で示した. 分析結果の信頼性と妥当性 KJ 法の活用に際して, 著者は KJ 法の研修を受講し, 個別指導を受けた.また,分析は質的研究の経験を有す る複数の研究者で行うと同時に,看護管理に関する論文 業績が豊富な研究者のスーパーバイズを受け,分析内容 における真実性の確保に尽くした. 倫理的配慮 本研究は,県立広島大学研究倫理委員会の承認(承認 番号 第 13MHO45 号)を受けて実施した.研究協力機関 の看護部長には,研究の趣旨を口頭と文書で説明し,承 諾書で研究参加への同意を得た.その上で,対象候補者 本人には口頭と文書で本研究の趣旨を説明し,研究協力 の諾否を同意書で求め,自由意思の尊重と匿名性を遵守 した. 結 果 対象者は全て 50 歳代の女性で,看護部長 1 名,副看護 部長 3 名,看護師長 2 名,主任 1 名であった.看護師総 経験年数の平均は約 32 年間(範囲 24∼38 年間)で,面 接の平均時間は約 39 分間(範囲 27∼54 分間)であった. 逐語録から作成したラベルの合計は 939 枚で,多段ピッ
図 状況 把 握図解: 「看護実践の質向上に資する強力な業務支援と評価:受け持ち患者の看護と夜勤導入を軸に」 ᨭ࠼ࡿ ࠙ᐇ㊶ຊᛂࡌࡓᴗົไ㝈ࠚ Ἴཬ Ἴཬ ࠙฿㐩┠ᶆࠚ ࠙⫋ሙࡢ ᨭࢆཷࡅࡽࢀࡿయไᙉࠚ ࠙ኪᑟධࡢぢᴟࡵࠚ ࠙ཷࡅᣢࡕᝈ⪅ࡢ┳ㆤࢆ୰ᚰࡋࡓඛ㍮ ㏣ᚑࡼࡿẁ㝵ⓗ࡞ᴗົᨭࠚ ཌ⏕ປാ┬ࡽ᪂ே◊ಟࡢ࢞ ࢻࣛࣥࡀฟࡓࡢ࡛㸪ࢫࢱࢵࣇ ࡶࡑ࠺࠸࠺㢼᪂ேࢆ⫱࡚࡚࠸ ࡞࠸࠸ࡅ࡞࠸࠸࠺Ẽᣢࡕ ࢆᣢࡘࡼ࠺࡞ࡾࡲࡋࡓࠋ Ჷ࡛ࡣࢫࢱࢵࣇဨࡀ୍࡞ࡗ࡚᪂ே ࢆ ཷᐜⓗཷࡅධࢀ㸪 ࣉࣜࢭࣉࢱ࣮ࢩࢵࣉࡢᑟධ ࢆࡣࡌࡵ㸪 ᪂ேࡀ࠸ࡘ࡛ࡶ┦ㄯࡀ࡛ࡁ㸪 ᚲせ࡞ ᨭࡀཷࡅࡽࢀࡿయไࢆㅮࡌ࡚࠸ࡿࠋ ᪂ேࡣ ಶࠎ࡛ 㞴ࡋ࠸ ၥ㢟ࢆ ᢪ࠼ ࡚࠸ࡿ ࡀ㸪ࡑ ࢀࢆࢫ ࢱࢵࣇ ဨ ࡛ཷࡅ Ṇࡵ㸪 ࢝ࣥࣇ ࣞࣥ ࢫ࡞ ࢆ㏻ ࡋ࡚㸪 ᝈ⪅ ࡢᑐᛂ ࢆ ඹ ⪃࠼ ࡿ࡞ 㸪᪂ே ࢆ୍ே ࡉ ࡏ࡞࠸ࡼ࠺㸪ᨭࡋ࡚࠸ࡿࠋ ᪂ேࡣ ಶࠎ࡛ 㞴ࡋ࠸ 㠃ࡶ࠶ ࡾࡲ ࡍࡀ㸪 ࡑࢀࢆⓙ࡛ཷࡅṆࡵ୍࡚⥴ ࡸࡗ ࡚࠸ ࡞ࡅࢀ ࡤ࡞ࡽ ࡞࠸ ࡢ࡛㸪 ࣉࣜࢭࣉࢱ࣮㝈ࡽࡎ㸪 ࢫ ࢱࢵࣇ ဨ࡛ ᪂ேࢆ ࢧ࣏࣮ ࢺࡋ ࡚࠸ࡲࡍࠋ ▷࠸ࢫࣃ࡛ࣥ㸪 ࢝ࣥࣇࣞࣥࢫࢆ ㏻ࡋ࡚㸪 ᝈ⪅ࡢᑐᛂ࡞㸪 ࢫࢱ ࢵࣇဨ࡛ヰࡋྜࡋྜࡗ࡚㸪 Ỵࡵ ࡚࠸ࡲࡍࠋ᪂ேࡣ୍ே࡛ࡣ࡞࠸ࠋ ࡢ᪂ேࡣ㸪 ᣦᑟᑐࡋ࡚ᛣࡽࢀ ࡓᤊ࠼ࡿᏊࡶ࠸࡚ ࣭ ࣭ ࣭ ᣦ ᑟ࡛ ࡣ ᪂ ே ᑐ ࡍࡿ ゝ ⴥ㐵 ࠸ ࡣ Ẽ ࢆࡅ࡚࠸ࡲࡍࠋ 㸦᪂ேᩍ ⫱ ࡋ࡚㸧ࣉ ࣜࢭ ࣉࢱ࣮ ࢩࢵࣉࢆᑟධࡋ࡚࠸ࡲࡍࠋ ࣃ࣮ࢺࢼ࣮ࢩࢵࣉࢆᑟධࡋ࡚㸪 ᪂ ேࡣඛ㍮࡛࣌ື࠸࡚࠸ࡲࡍࠋ ᪂ேࡣ㸪 ୍ே࡛ࡣ࡞࠸ࠋ ࣇ࢛࣮ࣟ ࡋ࡞ࡀࡽ㸪 㸦ඛ㍮ࡀ᪂ே㸧 ࡎࡗ ࠸୍࡚⥴ࡸࡗ࡚࠸ࡲࡍࠋ Ჷ࡛ࡣ㸪 ᴗົࡣࡶࡕࢁࢇ㸪 ఇ᠁ 㛫ࢆ㏻ࡋ࡚㸪 ᪂ேࢥ࣑ࣗࢽࢣ ࣮ࢩࣙࣥࢆᅗࡾ㸪 ࣮ࣜࢲ࣮ࢆ୰ᚰ ᪂ ேࡀ ሗ࿌ࢆ ࡋ ᫆ ࠸యไࢆㅮ ࡌ࡚࠸ࡿࠋ ఇ᠁ 㛫 ࡊࡗ ࡃ ࡤࡽ ࢇ࡞ヰ ࢆ ࡋ࡚㸪 㸦᪂ேࡢ㸧 Ẽศࢆࡄࡋࡓࡾ ࣭ ࣭ ࣭㸦᪂ ேࡣ㸧 ࣉࣜࢭࣉࢱ ࣮ࡶ࠸࡚࠸ࡿࡢ࡛㸪 㸦᪂ேࡀ㸧 ⪺ ࡁࡸࡍ࠸యไࡣฟ᮶࡚࠸ࡲࡍࠋ 㸦᪂ே 㸭 ᪂ ேࡢཷ ࡅᣢ ࡕ ᝈ⪅ 㸧 ఱ࠶ࡗࡓࡽ㸪 ࢧ࣏࣮ࢺ࡛ࡁ ࡿࡼ࠺㸪 ࣮ࣜࢲ࣮ࢆ୰ᚰ㸪 ᪂ ேࡀሗ ࿌ฟ ᮶ ࡿ ࢩࢫ ࢸ࣒ ࢆ ᙉ ࡋ࡚࠸ࡿ 㸦ᖌ 㛗ࡀᣦᑟࡋ࡚࠸ࡿ㸧 ࠋ 㸦᪂ேࡣ㸧 Ꮫࢇࡔࡇࡀฟࡏ ࡿࡢࡣ 㸦ᐇ㊶ࡀୖᡭࡃ࠸ࡃ ᮇࡣ㸧 㸪 ࡸࡣࡾ ࢳ࣮࣒ࡢ ୍ဨ ࡋ࡚⮬ศࡀ ⮬ぬࡋࡓ 㸪 ࢳ࣮࣒ࡢ୍ဨࡋ࡚ㄆࡵ ࡽࢀࡓ࡛㸪 ࡇࢀࡽࢆ฿㐩┠ ᶆ⪃࠼㸪ᨭࡋ࡚࠸ࡲࡍࠋ 㸦᪂ேࡣ㸧ཷ ࡅᣢࡕࢆᣢࡗ ࡚㸪 ኪࡶฟ᮶࡚㸪 ⚾ࡣࡇࡇ ࡢ㝔ࡢ㸪 Ჷࡢ┳ㆤᖌࡢ୍ ேࡋ࡚ఱ ࡀฟ᮶ ࡿࡼ࠺࡞ᮇ࡞ࡿ㸪 ḟࠎ ୖᡭࡃ㐍ࡴࠋ ᪂ேࡢᨭࡣ㸪 ཷࡅᣢࡕᝈ⪅ࡢ┳ㆤ ࡀฟ᮶࡚㸪 ኪ ࡀฟ᮶࡚㸪 ࢳ࣮࣒ࡢ୍ ဨࡋ࡚⮬ぬࡋ㸪 ᡂ㛗ࡋ࡚ḧࡋ࠸࠸ ࠺ᮇᚅ┠ᶆࡢୗ࡛㐍ࡵࡽࢀ࡚࠸ࡿࠋ ᪂ேࡢሗ࿌࣭┦ㄯ࣭㐃⤡ࡢᐇ⾜ຊ࡞㸪 ಶࠎࡢᐇ㊶ຊᛂࡌ࡚㸪 ኪධࡿᮇ ࢆぢᴟࡵ㸪ㄪᩚࡋ࡚࠸ࡿ ࠋ 㸦᪂ேࡣ㸧 4࣭ 5 ᭶ࡣࢧ࣏ ࣮ࢺࡀࡃࠋ 4 ᭶ࡣࣉࣜࢭࣉ ࢱ࣮ࡀ㸪 5 ᭶ࡣ ࡢඛ㍮ࡀࢧ ࣏࣮ࢺࡁ㸪 6 ᭶ኪ ࡀฟ᮶ࡿぢᴟࡵࡿࠋ 㸦᪂ேࡀ㸧ኪ ධࡿᣦᶆ ࡣ㸪 ࠶ࢀࡀฟ᮶ࡿࡇࢀࡀฟ᮶ ࡿ࡛ࡣ࡞ࡃ࡚㸪 ࡲࡎࡣሗ࿌ ࣭ ┦ㄯ ࣭ 㐃⤡ࡀࡁ ࡕࢇฟ᮶ࡿ ࡇ࡛ࡍࠋ ᪂ேࡣ㸪 ศࡽ ࡞ࡗࡓࡽ┦ㄯࡋࡓࡾ㸪 ㄡ ౫㢗ࡍࡿࡼ࠺㸪 ᖖᣦᑟ ࡋ࡚࠸ࡿࠋ ྠࡌ᪂ே࡛ࡶ ಶேᕪࡀ࠶ࡿ ࡢ࡛㸪 ኪධࡿᮇࡣ㸪 6㺃 7 ᭶ࡢᏊࡶ࠸ࢀ ࡤ㸪 1࣭ 2 ᖺ ࡗࡓᏊ ࡶ࠸ ࡲࡍࠋ 㸦 ኪ ධࡿᮇࡣ㸧 ሗ࿌ࡀ࡛ࡁࡿ ࡞㸪 ᐇ㊶ຊࢆࡳ࡚ㄪᩚࡋ࡚ ࠸ࡲࡍࠋ ᪂ேࡀཷࡅᣢࡕᝈ⪅ࡢ┳ㆤࢆᢸ࠺㝿㸪ࡣࡌࡵࡣᝈ⪅ࡢᝈᛂࡌࡓほᐹ㡯┠ࡸほࡿ㡰␒ࡢㄝ᫂ࢆཷࡅࡿ࡞㸪ᡭྲྀࡾ㊊ྲྀࡾඛ㍮ࡢᣦᑟୗ࡛㐍 ࡵࡽࢀࡿࡀ㸪 ᚎࠎᝈ⪅ᩘࢆቑࡸࡋ㸪┳ㆤᴗົࡢࣞ࣋ࣝࢆୖࡆ㸪ࢧ࣏࣮ࢺࢆῶࡽࡍ࡞㸪ẁ㝵ⓗ᪂ேࡀ⊂ࡾ❧ࡕฟ᮶ࡿయไࢆㅮࡌ࡚࠸ࡿࠋ ᪂ேࡼࡿཷࡅᣢࡕᝈ⪅ࡢ┳ㆤࡢ㝿ࡣ㸪ඛ㍮ࡀ᪂ேᑐࡋ࡚㸪ᝈ⪅ࡢᝈࡸ ほᐹࡢ࣏ࣥࢺ㸪┳ㆤࡢඃඛ㡰࡞ࢆ๓☜ㄆ࣭ㄝ᫂ࡋ࡞ࡀࡽ㐍ࡵ㸪 ົ௦ᚋࡣูࡢඛ㍮ࡀ᪂ேࡢཷࡅᣢࡕᝈ⪅ࢆ ᘬࡁ⥅ࡂ㸪᪂ேᝈ⪅᪉ࡢࣇ ࢛࣮ࣟࢆᢸ࠺యไࢆㅮࡌ࡚࠸ࡿࠋ ཷࡅᣢࡕᝈ⪅ࡢ┳ㆤࡣ㸪 ᪂ேಶࠎࡢ⬟ຊᛂࡌ࡚㸪 ᝈ⪅ᩘ ࢆቑࡸࡋ㸪 ᴗົෆᐜࡢࣞ࣋ࣝࢆୖࡆ㸪 ࢧ࣏࣮ࢺࢆῶࡽࡍ࡞ 㸪ẁ㝵ⓗㄪᩚࡋᨭࡋ࡚࠸ࡿࠋ 㸦᪂ேࡣ㸧ࡇࡢᝈ⪅ࡣࡇ࠺࠸࠺ᝈ ࡞ࡢ࡛㸪 ࡇ࠺࠸ ࠺≧ࢆࡳࡿࡼ࠺㸪 ほᐹࡍࡁ࣏ࣥࢺࡸ㸪ࡇࡢᝈ⪅ࢆ୍ ␒ࡳ࡚ࡡ 㸦᳨ ࡢඃඛ㡰ࢆ㸧 ๓ 㸦᳨ ๓㸧ᣦᑟࡋ㸪ᣦᑟࡋࡲࡍࠋ ᪂ேࡀ ័ࢀ࡚ ࡃࢀࡤ㸪ฟ᮶ࡿேࡣ 4 ே㸪 ฟ᮶࡞࠸ேࡣ 2 ே ࠸࠺ࡼ࠺㸪 ಶேࡢ ⬟ຊᛂࡌ࡚㸪 ᚎࠎ ཷࡅᣢ ࡕᝈ⪅ ࡢேᩘ ࢆቑࡸࡋ㸪 ⊂ࡾ❧ࡕࡋ ࡚ࡶࡽ࠸㸪 ᑡࡋࡎࡘ ࣋ࣥࢺ 㸦ฎ⨨㸪 ᳨ᰝ࡞ 㸧 ࢆቑࡸࡋ࡚࠸ࡃࡼ ࠺ࡋ࡚࠸ࡲࡍࠋ ᑡࡋࡎࡘⰍࢇ࡞┳ㆤᢏ⾡ࡀᚲ せ࡛㸪 ᴗົෆᐜࡀ⃰࠸ཷࡅᣢࡕ ᝈ⪅ࢆ㸪ேᩘࢆቑࡸࡋ࡞ࡀࡽ㸪 ᪂ேࡅ࡚࠸ࡲࡍࠋ ᪂ேࡣ㸪 ᝈ⪅ࡀ 3 ே࠸࡚ ࠕㄡ ࡽࡍࡿࡢ㸽ࠖ 㸪 ࠕࡇࢀࡣ࠺ࡋ ࡚㸽ࠖ ࠕ࠺ࡋ࡚ࡇ࠺࡞ࡿࡢ㸽ࠖ 㸪 ㉁ၥࡋ࡞ࡀࡽᣦᑟࡍࡿࡼ࠺ ࡋ࡚࠸ࡲࡍࠋ ᪂ேࡣほᐹࡸ␗ᖖࡢ᪩ᮇⓎぢࡀฟ᮶࡞ ࠸ࡢ࡛㸪ඛ㍮ࡀࢧ࣏࣮ࢺ࠸࡚࠸ࡲ ࡍࠋ ᪥࡛᪂ேࡀཷࡅᣢࡗࡓᚋࡣ㸪 ኪ ࡛࣋ࢸࣛࣥࡢඛ㍮ࡀཷࡅᣢࡘ࡞㸪⥅ ⥆ⓗࢧ࣏࣮ࢺࡋ࡚࠸ࡲࡍࠋ ධ⫋ࡣ㸪 ᪂ேࡣඛ㍮ࢆࡅ ࡚㸪 ୍⥴㒊ᒇ࿘ࡾࢆࡋ࡚ほᐹ ࡍࡿ࡞㸪 ࣐ࣥࢶ࣮࣐࡛ࣥᣦᑟ ࡋ࡚࠸ࡿࠋ ࡑࡢᏊ 㸦᪂ே㸧 ࡢຊ ࢆࡳ࡞ࡀࡽࢧ ࣏࣮ࢺࢆᚎࠎ እࡋ࡚࠸ࡃࡼ࠺ࡋ࡚࠸ࡲࡍࠋ ┳ㆤᴗົୖ㸪☜ㄆࡸሗ࿌ࡀୖᡭࡃฟ᮶࡞࠸᪂ே࠾࠸࡚ࡣ㸪 ኪࡢᮇࢆぢ㏦ࡿ࡞㸪ᴗົไ㝈ࢆㅮࡌ࡚࠸ࡿࠋ ఱᗘᣦᑟ ࡋ࡚ ࡶ☜ㄆࡸ ሗ࿌ࡀฟ᮶ ࡞࠸᪂ே ࡣ㸪 ᴗົไ㝈ࢆࡋ࡚㸪 ኪ ࡶࡉࡏࡲࡏࢇࠋ ࠙᪂ேయⓗ࡞ሗ࿌ ࣭ 㐃⤡ ࣭ ┦ㄯࡢᐇ㊶ࢆ ồࡵࡿ┦⿵ⓗ࡞ࢧ࣏࣮ࢺయไࠚ Ჷࡀᛁࡋ࠸ࡣ㸪 ┦ㄯฟ᮶ࡿ┦ᡭࡀ ㄡࡶ࠸࡞࠸ࡇࡶ ከࠎ࠶ࡗ࡚㸪 㸦᪂ ே ࡣ࠸࠼㸧 ࠶ࡿ⛬ᗘ ⮬ศ࡛⪃࠼࡚ᑐᛂ ࡋ࡞ࡅࢀࡤ࡞ࡽ࡞ ࠸⌧≧ࡀ࠶ࡿࠋ 㸦᪂ேࡣ࠸࠼㸧 ࠶ࡿ⛬ᗘ୍ ே࡛ ฟ᮶ࡿࡇࡣ⮬ศ࡛ࡋ࡚ࡡ࣭࣭࣭ ࡳࡓ࠸࡞యไࡣ࠶ࡾࡲࡍࠋ 㸦⮫ᗋ࡛ࡣ㸧ᴗົ⮬యࡀ↹㞧࡛㸪 㸦ඛ㍮ࡣ࠸࠼㸧 ୍ᮼ୍ᮼࡢ≧ែ ࡀ࠶ࡿࡢ࡛㸪 㸦᪂ேࡣ㸧 ศࡽ࡞ ࡗࡓࡽ⮬ࡽ┦ㄯࡋ࡚ḧࡋ࠸ࠋ ⮫ᗋ⊂⮬ࡢከ ᛁࡉక࠸㸪 ᪂ேࡣ࠸࠼ 㸪⮬ࡽ┦ㄯࡍ ࡿ࡞ 㸪 ࠶ࡿ⛬ᗘࡣ⮬❧ࡋࡓ⾜ືࡀồࡵࡽࢀࡿࠋ Ჷ࡛ࡣ㸪 ᖖ᪂ேࢆẼࡅ㸪 ᪂ேࡢ≧ἣᛂࡌ࡚ඛ㍮ࡀኌࢆࡅࡓࡾ㸪 㣗ㄏࡗࡓࡾ㸪 ⮬ศࡢ⤒㦂ࢆㄒࡿ࡞㸪 ᪂ேࢆ⢭⚄ⓗࡶᨭࡋ࡚࠸ࡿ ࠋ ࠙⢭⚄ⓗᨭࠚ ඛ㍮ࡀẼ࡞ࡗ࡚࠸ࡿ 㸦ၥ㢟ࡀ ࠶ࡿ㸧 ᪂ேࡘ࠸࡚ࡣ㸪 ᖌ㛗 ሗ࿌ࡀ࠶ࡀࡗ࡚ࡃࡿࡢ࡛㸪 ࡑࡢ ࡣ᪂ ேࡀ ヰ ࡋࡸࡍ ࠸ࢫ ࢱ ࢵ ࣇ 㸦ඛ㍮㸧 㢗 ࢇ࡛ࡑࡢ᪂ே ኌࢆࡅ࡚ࡶࡽࡗ࡚࠸ࡿࠋ ྠ࣭ඛ㍮ࡀ㸪 ᪂ே⮬ศ㐩 ࡢ⤒㦂ࢆヰࡋ ࡓࡾ ࣭ ࣭ ࣭ ࡇ ࢇ ࡞ࡇࡀ࠶ࡗ ࡚㎞ࡃ࡚Ἵ࠸ ࡓ ࣭ ࣭ ࣭ ሗࢆඹ᭷ࡋ࡚ ᨭ࠼ྜࡗ࡚࠸ ࡿࡇࢁࡀ࠶ ࡾࡲࡍࠋ ᪂ ே ࡀኻ ᩋ࡞ ࡛ ࡦ ࡃⴠࡕ ㎸ࢇࡔࡣ㸪 2࣭ 3 ᖺ┠ࡢඛ㍮ ࡀ㸪 ᪂ேࢆ㣗ㄏࡗࡓࡾࡋ࡚ ᨭ࠼࡚࠸ࡿࠋ ࠙ෆ┬ᨭࠚ ᪂ே ࡣ㸪᪥ ࠎࡢᴗ ົࡣࡶ ࡕࢁࢇ 㸪ಶே 㠃᥋ࡸ ◊ಟࢆ ㏻ࡋ࡚ 㸪 Ꮫ ⩦ ≧ ἣࢆࡾ㏉ࡾ㸪Ꮫ⩦ᶵࢆ࠼࡚࠸ࡿࠋ ᪂ேࡢ≧ἣᛂࡌ࡚㸪 ⤒㦂ࡸኻᩋࡋࡓࡇࢆඹ ࡾ㏉ࡾ㸪 ḟάࡏࡿࡼ࠺ᣦᑟࡋᨭࡋ࡚࠸ ࡿࠋ ᪂ேࡣ㸪୍ ࡘ୍ࡘ⮬ ศࡢ ㄢ㢟ྲྀ ࡾ⤌ࢇ࡛ ḧࡋ ࠸ࡢ࡛㸪࠼ ࡤࡑࡢ᪥ ཷࡅᣢࡗ ࡓᝈ ⪅ࡘ࠸ ࡚㸪 ࡇࢀຮᙉ ࡋ࡚ࡁ࡚࡞㸪ㄢ㢟ࢆ࠼࡚࠸ࡿࠋ 㸦᪂ேࡣ㸧 ಶே㠃᥋ࢆࡋ࡞ ࡀࡽ⮬ᕫᏛ⩦ ࢆࡢ⛬ᗘࡋ ࡚࠸ࡿࡢ࣏ ࣮ࢺࣇ࢛ࣜ࢜ ࢆά⏝ࡋ࡚ᣦᑟࡋ࡚࠸ࡿࠋ ᪂ேࡀ⤒ 㦂ࢆ ࡋࡓࡇ ࡣ㸪ࡑࡢ ࡲࡲ ࡋ࡞࠸ ࡛㸪 ୍⥴ࡾ㏉ࡾ㸪 ྠ ࡌኻᩋࢆ ఱᗘ ࡶࡉࡏ࡞ ࠸ࡼ࠺ ᣦᑟ ࡋ࡚࠸ࡲ ࡍࠋ ኻᩋࡋࡓࡇࡣ㸪 ḟ άࡋ࡚ḧࡋ࠸ࠋ ୖྖ ࣭ ඛ㍮ࡣ᪂ேඹ㸪 ┳ㆤᴗົࡸಶே㠃᥋㸪 ◊ಟࢆ㏻ࡋ࡚㸪 ᪂ேࡢ⤒㦂ࡸኻᩋࡣࡶࡕࢁࢇ㸪 Ꮫ⩦≧ἣ⮳ࡿࡲ࡛㸪 ☜ㄆࡾ㏉ࡾࢆ⾜࠸ 㸪 ᚲせᛂࡌ࡚ㄢ㢟ࢆ࠼㸪Ꮫ⩦ࢆᨭࡋ࡚࠸ࡿࠋ ᛮ࠸㎸ ࡳ࡛ ኻ ᩋࡍࡿ ᪂ ே ࡣ 㸪ࡾ ㏉ ࡾ ࢆ ࡋ ࡞ࡉ ࠸ࡗ࡚ 㸪 ⧞ ࡾ㏉ࡋ ᣦᑟ ࡋ ࡚࠸ࡲ ࡍࠋᛮ ࠸㎸ ࡳ ࡀ ᙉ࠸ ᪂ ே ࡣ㸪 ኻᩋࢆ ⧞ ࡾ ㏉ࡋࡲࡍࠋ 㸦᪂ேࡣ㸧 ࠕ୍ᗘ」ᩘࡢᝈ⪅ࡉࢇࡇ࠺࠸࠺ࡇࢆゝࢃࢀࡓࡽ࠺ ࡍࡿ㸽ࠖ࠸࠺ࡼ࠺࡞ከ㔜ㄢ㢟◊ಟ㸦₇⩦㸧ࢆ⾜ࡗ࡚࠸ࡿࠋ ᨭ࠼ࡿ ࠶࡞ࡓ 㸦 ᪂ே 㸧 ࡢࡣඛ ㍮ ሗ࿌ࡀ࡛ ࡁ ࡿ ࡼ࠺࡞ࡿ ࡲ࡛ࡣࡇࡇ ࡲ ࡛ ࠸࠺ࡼ࠺ 㸪ㄪᩚࡋ࡚࠸ࡲࡍࠋ
クアップにより 32 枚を精選した.これらを元ラベルとし て KJ 法を実施し,2 段階の統合(グループ編成)を経て 8 個の島(グループ)に収束した(図). 各島(シンボルマーク)の概略 【職場の支援を受けられる体制強化】は,<新人は個々 で難しい問題を抱えているが,それをスタッフ全員で受 け止め,カンファレンスなどを通して,患者への対応を 共に考えるなど,新人を一人にさせないように,支援し ている>,<病棟では,業務はもちろん,休憩時間を通 して,新人とコミュニケーションを図り,リーダーを中 心に新人が報告をし易い体制を講じている>,『(新人教 育として)プリセプターシップを導入しています』の 3 概念で成る.最終表札は,病棟ではスタッフ全員が一丸 となって新人を受容的に受け入れ,プリセプターシップ の導入をはじめ,新人がいつでも相談ができ,必要な支 援が受けられる体制を講じているであった.以下,7 個の 島(シンボルマーク)の概略は,上記の説明に準拠し, 図解に示す通りであるため省略する. 叙述化 臨床では,就業時において,多重課題への対応力がな い新人看護師を受容的に受け入れ,彼らが【職場の支援 を受けられる体制強化】の下で,【受け持ち患者の看護を 中心とした先輩追従による段階的な業務支援】を柱に, 【実践力に応じた業務制限】【夜勤導入の見極め】が行われ る体制にあった.さらに,【受け持ち患者の看護を中心と した先輩追従による段階的な業務支援】は,【内省支援】 と【精神的支援】によって支えられ,新人看護師による 看護業務の遂行を堅固に支援する構図が示された.とは いえ,多忙を極める臨床では,自ずと【新人に主体的な 報告・連絡・相談の実践を求める相補的なサポート体 制】にあり,新人看護師による主体的な報告・連絡・相 談の実践が重要視される現状にもあった.それゆえ,新 人看護師の報告・連絡・相談の実践力は,【実践力に応じ た業務制限】と【夜勤導入の見極め】において重要な指 標となっていた.つまり,臨床では【受け持ち患者の看 護を中心とした先輩追従による段階的な業務支援】と【新 人に主体的な報告・連絡・相談の実践を求める相補的な サポート体制】を通して,新人看護師の報告・連絡・相 談を中心とした実践力を査定し,個々の【実践力に応じ た業務制限】と【夜勤導入の見極め】を行う中で,最終 的には新人への支援は,受け持ち患者の看護が出来て, 夜勤が出来て,チームの一員として自覚し,成長して欲 しいという期待と目標の下で進められているというよう に,暗黙の(つまり,明文化されていない)【到達目標】 に向かって,新人看護師の実践力の向上,ひいては成長 過程を支える構図が示された. 以上から,臨床では新人看護師の業務遂行において, 彼らが職場で支援を受け易い体制を強化する一方で,主 体的な報告・連絡・相談を主とした実践力に応じて業務 や夜勤を制限し,看護実践の質を担保している現状が判 明した.そこで,図解全体のタイトルを「看護実践の質 向上に資する強力な業務支援と評価:受け持ち患者の看 護と夜勤導入を軸に」とした. 考 察 本研究では 8 個の島から,就業時において,多重課題 への対応力がない新人看護師に対する職場の支援体制を 顕在化することができた.臨床では新人看護師が【職場 の支援を受けられる体制強化】の下で,【受け持ち患者の 看護を中心とした先輩追従による段階的な業務支援】を 柱に,【実践力に応じた業務制限】【夜勤導入の見極め】が 行われる体制にあった.図解全体の起点となった【職場 の支援を受けられる体制強化】では,新人教育をこれま で以上に手厚いものへ転換している現状が浮き彫りと なった.これには,「新人看護職員研修」が努力義務化さ れた背景にある新人看護師の近年の問題,すなわち早期 離職や,これを惹起している実践力の未熟さ,精神的な 脆弱性などの問題1) が起因していると考えられた.これま でに,新人看護師は看護基礎教育修了時点の能力と,臨 床で求められる能力とのギャップ1) により,能力不足や不 安を感じることで,就業約 3 カ月の時期にリアリティ ショックに陥り,職務継続が困難になることが国内外の 研究12)∼15) で確認されている.それゆえ,「新人看護職員研 修」では新人看護師を支援するために,全職員が新人看 護師に関心を持ち,皆で育てるという組織文化の醸成を 重要視し,早期離職防止をはじめ,医療安全の確保,看 護の質向上を目指している5) .今回判明した【職場の支援 を受けられる体制強化】にも,皆(スタッフ全員)で新 人看護師を育てるという組織文化の醸成が見て取れた. 次に,【受け持ち患者の看護を中心とした先輩追従によ る段階的な業務支援】に着目すると,新人看護師の看護 業務の中心が受け持ち患者の看護であること,そして業 務支援の主な担い手が先輩看護師で,彼らの実践力と教 育力が新人教育の(つまり,新人看護師の実践力を推進 させるべく)原動力になっていることが考えられた.こ れまでの研究15)∼17) では,新人看護師が仕事を継続する上 で効果的に支援しているのは先輩看護師で,新人看護師 が職業にコミットメントする上でも,先輩看護師との関 わりが有用であると示されている.今回判明した【受け 持ち患者の看護を中心とした先輩追従による段階的な業 務支援】にも,新人教育における先輩看護師の果たす役 割の大きさが見て取れた.しかし,新人看護師とはいえ, 受け持ち患者の看護は,先輩看護師による業務支援だけ で成り立つものではない.事実,実践力が未熟な新人看 護師は,受け持ち患者の看護を遂行する中で,失敗を通 して,自らの課題を見出し,落ち込むことは多々ある. それゆえ,【受け持ち患者の看護を中心とした先輩追従に よる段階的な業務支援】は,自己の看護を深く省みる【内
省支援】と【精神的支援】によって支えられ,これら 3 支援が噛み合ってこそ,功を奏するものと考えられた. このことは,中原18) が述べる職場で人々が他者から受け ている「業務支援」「内省支援」が人材育成に有効な職場 の原動力であることと一致しており,新人看護師による 看護業務の遂行を堅固にする重要な支援と考えられた. その一方で,臨床では自ずと,臨床独自の多忙さに伴 い,新人とはいえ,自ら相談するなど,ある程度は自立 した行動が求められるというように,【新人に主体的な報 告・連絡・相談の実践を求める相補的なサポート体制】 にもあった.事実,新人看護師とはいえ,多忙を極める 臨床では,先輩看護師による業務支援が受けられない ケースもあり得る.それゆえ,臨床では新人看護師によ る主体的な報告・連絡・相談の実践が重要視され,【実践 力に応じた業務制限】と【夜勤導入の見極め】において 重要な指標となっていた.特に,【夜勤導入の見極め】に おいて,夜勤では極端に看護師の人数が少なくなる現状 を鑑みれば,『(新人が)夜勤に入る指標は,あれが出来 るこれが出来るではなくて,まずは報告・相談・連絡が きちんと出来ることです.新人には,分からなかったら 相談したり,誰かに依頼するように,常に指導している』 というように,報告・連絡・相談の実践力が不可欠とな る.このことは,看護実践の質の担保,ひいては医療安 全の観点から極めて重要である.しかし,近年の新人看 護師は,実践力の未熟さに加え,コミュニケーション能 力が不足している傾向にあり,人間関係構築が不得手 で19)20),上司や先輩看護師への報告,連絡,相談の実践が 困難な側面21)22) もある.それゆえ,臨床では【受け持ち患 者の看護を中心とした先輩追従による段階的な業務支 援】と【新人に主体的な報告・連絡・相談の実践を求め る相補的なサポート体制】を通して,新人看護師の報告・ 連絡・相談を主とした実践力を査定し,【実践力に応じた 業務制限】と【夜勤導入の見極め】によって,看護実践 の質(医療事故防止を含む)を担保しているものと考え られた. 以上の新人看護師に対する職場の支援体制において は,新人への支援は,受け持ち患者の看護が出来て,夜 勤が出来て,チームの一員として自覚し,成長して欲し いという期待と目標の下で進められているという【到達 目標】に向かって,新人看護師の実践力の向上,ひいて は成長過程を支える構図が示された.この【到達目標】 は,明文化されているわけではない.この【到達目標】 においては,これを成す『(新人は)受け持ちを持って, 夜勤も出来て,私はここの病院の,病棟の看護師の一人 として何とか仕事が出来るような時期になると,次々と 上手く進む』が示すように,受け持ち患者の看護や夜勤 を遂行できることは新人看護師が実践力を推進させ,職 務を継続する上で重要な意味を持つことを示唆してい る.これにより,新人看護師は職場に自分の居場所があ り(所属),周りの人の役に立ち(貢献),ありのままの 自分でいられることで(自己受容),周りの人たちに自分 の仕事を任せる(つまり,頼る)ことができる(信頼)プ ロセスを歩むという共同体感覚23) を育むことができると 考えられる.このように,新人看護師が所属感と貢献感 を持つことは,彼らの多重課題への対応力に繋がり,看 護の質向上はもとより,医療安全の確保,ひいては早期 離職防止の観点から極めて重要である.今回判明した新 人看護師に対する職場の支援体制は,受け持ち患者の看 護と夜勤導入を軸に,看護実践の質向上に資する強力な 業務支援と評価を通して,新人看護師が臨床で専門性を 発揮(つまり,成長)できる土台を提供するものと考え られた. 本研究の限界と課題 KJ 法では研究者が異なれば新たな発想が生まれ,これ に起因する研究上の限界は必然である.今後の研究では, 同じ研究課題に対して別の研究者の研究との生産的でダ イナミックな討論を通して研究を継続させ,定量調査に より検証する必要がある. 結 論 臨床では新人看護師が【職場の支援を受けられる体制 強化】の下で,【受け持ち患者の看護を中心とした先輩追 従による段階的な業務支援】を柱に,【実践力に応じた業 務制限】【夜勤導入の見極め】が行われる体制にあった. さらに,【受け持ち患者の看護を中心とした先輩追従によ る段階的な業務支援】は,【内省支援】と【精神的支援】 によって強化されていた.その一方で,多忙を極める臨 床では,自ずと【新人に主体的な報告・連絡・相談の実 践を求める相補的なサポート体制】にもあり,新人看護 師の主体的な報告・連絡・相談の実践が【実践力に応じ た業務制限】と【夜勤導入の見極め】において,重要な 指標となっていた.新人看護師に対する職場の支援体制 は,彼らが医療チームの一員として,受け持ち患者の看 護と夜勤を遂行できるという暗黙の【到達目標】に向かっ て,新人看護師の実践力の向上,ひいては成長過程を支 える構図が示された. 謝辞:本研究をまとめるにあたり,ご協力下さいました施設並び に対象者の皆様に深く感謝申し上げます. 利益相反:利益相反基準に該当無し 文 献 1)日本看護協会 中央ナースセンター事業部:2005 年新卒 看護職員の入職後早期離職防止対策 報告書.https://ww w.nurse-center.net/nccs/scontents/sm01/SM010801_S170 1.html,(accessed2016-02-05). 2)厚生労働省:新人看護職員の臨床実践能力の向上に関す る検討会報告書 平成 16 年 3 月 10 日.http://www.mhlw. go.jp/shingi/2004/03/s0310-6.html,(accessed 2016-02-05).
3)日本看護協会:医療安全推進のための標準テキスト 平 成 25 年 10 月.https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/ anzen/pdf/2013/text.pdf.(accessed 2016-02-05). 4)公益財団法人 日本医療機能評価機構:医療事故情報収 集等事業 平成 26 年 年報 2015 年 8 月 27 日.http://www. med-safe.jp/pdf/year_report_2014.pdf.(accessed 2016-02-05). 5)新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】平成 26 年 2 月 . http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-108000 00-Iseikyoku/0000049466_1.pdf(accessed 2016-02-05). 6)関井愛紀子:新人看護師の勤務継続意欲に関連する職場 環境因子.新潟医学会雑誌 124(9):501―511, 2010. 7)高橋友子,米山直樹:日本における新人看護職職場適応 に関する研究の現状と課題.臨床教育心理学研究 37: 11―17, 2011. 8)佐藤真由美:新卒看護師の成長を促進する関わり.日本 看護管理学会誌 14(2):30―38, 2010. 9)荒川千秋,細川淳子,小山内由希子,他:大卒新人看護師 の支援のあり方に関する研究.日本看護管理学会誌 10 (1):37―43, 2006. 10)小野田舞,内田宏美,津本優子:新卒看護師の職場適応と その影響因子に関する縦断的研究.日本看護管理学会誌 16(1):13―23, 2012. 11)川喜田二郎:続・発想法. 54 版. 東京,中央公論新社, 2003.
12)Duchscher JB: A process of becoming: the stages of new nursing graduate professional role transition. Journal of Continuing Education in Nursing 39 (10): 441―450, 2008. 13)Duchscher JB: From surviving to thriving: navigation
the first year of professional nursing practice (2nd
ed.). Sas-katchewan, Nursing the Future, 2012, pp 13―53.
14)平賀愛美,布施淳子:就職後 3 ヶ月時の新卒看護師のリ アリティショックの構成因子とその関連要因の検討.日本 看護研究学会雑誌 30(1):97―107, 2007. 15)赤塚あさ子:急性期病院における新卒看護師の職場適応 に関する研究―勤務継続を困難にする要因を中心に―.日 本看護管理学会誌 16(2):119―129, 2012. 16)吾妻知美,鈴木英子:大学病院に勤務する新卒看護師の 職業コミットメントに影響する要因.日本看護管理学会誌 11(1):30―40, 2007. 17)瀬川雅紀子,種田ゆかり,後藤姉奈,他:新卒看護師の職 業継続意識に影響を与えた体験.日本看護管理学会誌 13 (2):41―49, 2009. 18)中原 淳:職場学習論 仕事の学びを科学する. 第 5 版. 東京,東京大学出版会,2014, pp 47―70. 19)厚生労働省:看護基礎教育の充実に関する検討会報告書 平 成 19 年 4 月 16 日.http://www.mhlw.go.jp/shingi/200 7/04/dl/s0420-13.pdf.,(入手 2016-02-05) 20)箕浦とき子,高橋 恵:看護職としての社会人基礎力の 育て方.1 版.東京,日本看護協会出版会,2013, pp 2―5. 21)片岡睦子,藪田素子,伊藤由紀枝,他:新人看護師の多重 課題場面における行動の実態 統合分野新設後の初回卒業 生を対象に.中国四国地区国立病院附属看護学校紀要 8: 56―68, 2012. 22)川西美佐,眞崎直子,山村美枝,他:新人看護師が困難に なる多重課題場面―看護管理者への調査から―.日本赤十 字広島看護大学紀要 12:89―95, 2012. 23)小倉 広:アルフレッド・アドラー 人生に革命が起き る 100 の言葉.15 版.東京,ダイヤモンド社,2016, pp 66― 80. 別刷請求先 〒731―0153 広 島 県 広 島 市 安 佐 南 区 安 東 6― 13―1 安田女子大学看護学部看護学科 今井多樹子 Reprint request: Takiko Imai
Yasuda Women s University, Faculty of Nursing, School of Nursing, 6-13-1, Yasuhigashi, Asaminami-ku, Hiroshima-shi, Hiroshima, 731-0153, Japan
Support System in the Workplace to Improve the Quality of Nursing Practice by Newly Graduated Nurses: Analyzing Data Collected through Interviews with Nursing Managers, Using the KJ Method
Takiko Imai and Miyuki Takase
Yasuda Women s University
[Purpose] The purpose of this study was to clarify the support system in the workplace for newly gradu-ated nurses who experience difficulty in multitasking. [Method] Data were collected using semi-structured in-terviews with 7 nursing managers. The collected data were analyzed using the KJ method. [Results] Partici-pants reported limitations related to nursing work by newly graduated nurses owing to their ability and evaluation of whether newly graduated nurses are capable of carrying out night shift work in order to gain step-by-step nursing work support by senior nurses, with a focus on responsible patient care while building a strong support system in the workplace for newly graduated nurses in the clinical setting. In addition, step-by-step nursing work support by senior nurses, with a focus on responsible patient care was enhanced by the provision of reflexive and emotional support. On the other hand, a busy hospital ward was viewed as a complementary system that required newly graduated nurses to engage in active reporting, contact, and con-sultations. Additionally, the practical ability of newly graduated nurses to engage in active reporting, contact, and consultations was considered as an important indicator of limitations related to nursing work by newly graduated nurses owing to their ability and evaluation of whether newly graduated nurses are capable of car-rying out night shift work. An optimal workplace support system for newly graduated nurses improves their nursing practice ability and fosters their growth toward the implicit attainment target of providing responsi-ble patient care and working efficiently during the night shift, as a member of the medical team. [Discussion] Thus, a workplace support system for newly graduated nurses was thought to provide a foundation for their growth in the clinical setting, mainly with reference to responsible patient care and working efficiently during the night shift. This was possible through strong nursing work support and evaluation to improve the quality of nursing practice.
(JJOMT, 65: 111―117, 2017) ―Key words―
newly graduated nurses, nursing practice, support system