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外陰部乳頭腫,尖圭condylomaの臨床病理学的検討

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(1)

原 著

倭特薦89第犠,饗言〕

外陰部乳頭腫,尖圭condylomaの臨床病理学的検討

東京女子医科大学 産婦人科学教室 イソ ノ トシ 磯 野 聡 (主任 武田佳彦教授) コ 子 (受付 平成2年1月6日)

Clinicopathological Study of Papillomatosis and Condyloma

Acuminatum董n the Female Genital Tract

Toshiko ISONO

Department of Obstetrics and Gynecology(Director:Prof. Yoshihiko TAKEDA)

Tokyo Women’s Medical College

Condyloma acuminatum is one of the sexually transmitted diseases(STD), caused by Human Papillomavirus(HPV). It involves many problems on clinical practice such as frequent recurrence,

sequelae of uterine cervical cancer and birth canahnfection of postnatal laryngeal papillomatosis.

From April’85 to January’87, both 52 cases of condyloma acuminatum and 360f papillomatosis strictly confined to the minor labium were studied as for clinicopathological backgrounds and therapeutic responce.

Our policy of treatment for condyloma acuminatum was careful observation for 14 days at first, then 5−FU ointment was administered if condyloma persisted with no sign of spontaneous regression, and at last surgical therapy such as laser vaporization was indicated if 5−FU failed to cuナe. During

pregnancy, surgical resection was indicated to the persistent lesions following careful observation

b6fore delivery.

1) The occurrence rates of abnormal smear(class IIb or above), colposcopic findings(flat

condyloma), condylomatous dysplasia, positive histochemical staining for HPV antigen of the uterine

cervix, and positive serum Herpes simplex virus antibody were significantly less in patients with

papillomatous lesion in the minor labium than those in patients with condyloma.

2) In 6(15%)out of 41 with condyloma aculninatum, spontaneous regression were observed, and in 10(60%)of 17,5・FU ointment successfully relnoved condylomatous lesions.

In patients with papillomatosis in the minor labium, no spontaneolls regression and no beneficial effect of 5−FU was observed.

3)No reccurrence was observed in patients with condyloma acuminatum which were sponta一.

neously regressed or cured by 5−FU ointment for more than 6 months after treatment. In contrast,4(30%)out of 13 with surgically cured condyloma recurred.

Our data suggested that papillomatosis in the minor labium were clinicopathologically different

from condyloma acuminatum and its pathogenesis was not related to STD. The initial conservative

managements are critically important to treat condyloma acuminatum, since it could induse a defence mechanism enough strong to prevent the re¢urrence of HPV.

緒 言 外陰部は性交渉にともない病原微生物が侵入し たり月経血,帯下の流出や排尿便により汚染され るため,さまざまな特異的,非特異的な炎症が起 こりやすい.炎症として考えられていた尖圭con・ dylomaは1971年Orielらにより疫学的に一つの

(2)

疾患単位として認められD,次いでh㎜an papil− Ioma virus(HPV)による感染症であることが証 明された2).また遺伝子解析技術の進歩により子 宮頸癌,外陰癌よりHPV 16型3),18型4}が検出さ れるようになり,その発癌の初期過程にHPVが 関連していること,小児の喉頭乳頭腫からHPV が検出されたこと5)から妊娠中の発症では垂直感 染が起こりうることなど,単にSTD(sexually transmitted disease,性感染症)としてのみなら ず産婦人科のさまざまな問題に関連していること が知られるようになった. 今回,著者は尖圭condylomaと頸癌との関連 性を検討中に,尖圭condylomaは慢性化,再発化 しやすいが確立した治療方法がないこと,con− dylomaと類似しているが,臨床所見や治療に対 する反応性が異なる乳頭腫病変があることを見出 した.虚血condyiomaは経過中に自然治癒する ものが約1/4ある.一方,約1/4は慢性型,再発型 となり治癒困難である.自然治癒傾向を認めない ものでも,保存的治療(5FU軟膏塗布)で急速に 改善治癒するものと,治癒傾向なく1aser切除,蒸 散を余儀なくされるものとがある. 本論文では尖圭condylomaの自然治癒例,再 発例,また妊娠中の取扱い,管理法をいかにすべ きか,さらにcondylomaと類似する小陰唇内側 に限局した乳頭腫(sqUamous papillomatosis)の 病的な意義について検討を加えた. 対象および方法 1.研究対象 研究対象は当科外来を1985年4月∼1987年1月 に受診し,臨床的,病理組織学的に診断できた尖 圭condyloma 52例と小陰唇内側のみに限局した 乳頭腫36例である.年齢は17歳より61歳であった. 産血condyloma 52例はいずれも患者自身また は他医により指摘されたものである.来院時に外 陰,腔などを好発部位とした乳頭状,鶏冠状の表 面をもつ多発性の平出condylomaが観察された (写真1). 著者は,外陰部掻痒感などを主訴に婦人科受診 し,偶然に見出された小陰唇内側に限局したびま ん性ビロード状の乳頭腫を小陰唇内側乳頭腫と定 写真1 尖圭condyloma 写真2 小陰唇内側乳頭腫 義した.腔拡大鏡診ではイクラの願状ないし棍棒 状を呈し,角化傾向が少ないという特徴を有する (写真2)(文献上hairy nymphまたはsquamous papillomatosis6}と呼ばれるものと一致している と思われる). 2.研究方法 1)子宮頸部の病変には隆起性の尖圭con− dyloma(classical type)と非隆起性でcolposcope

(3)

写真3 尖圭condyloma患者の子宮頸部コルポ診 》 陽帝 、職・●

写真4 子宮興部細胞診 Koilocytotic atypia 診(以下コルポ診)上白色上皮や赤点斑,モザイ クに類似した欝欝を呈するもの(Hat type7)8))(写 真3)とがある.子宮頸部に尖圭condylomaを有 する症例を除く38例について子宮頸部病変,特に nat condylomaの有無を検討した.子宮頸部に尖 圭condylomaを有する症例14例では, con・ dyloma周囲の子宮頸部病変の有無を検討した. 研究対象患者には可及的に子宮頸部の細胞診,

。鋼協議

鱒,

1毅縫縮鞍懸藤無罪

写真5 子宮膣部組織診 Koilocyteを有する異形上皮 コルポ診,組織診,およびその生検材料について 牛papilloma virus抗原に対する抗体を用いた免 疫組織診を行った.細胞診ではパパニコロウ染色 により,核周囲が明るく輪状にぬけ軽い核異型を 有する細胞を認めた場合をkoilocytotic atypia, c1包ss IIb(写真4)とし,これに加え明らかな核 異型を示す場合をclass IIIとし,この両者を陽性 所見とした.コルポ頭上,白色上皮,赤点斑,モ ザイクの所見を認めれば陽性とし,子宮頸部生検 を行った.組織診では表層にkoilocyteを有する, 有しないにかかわらず深層,中層,表層に異型核 細胞を有するものを異型上皮として陽性所見とし た(写真5).

免疫組織染色はDAKO社製抗papilloma

virus抗体を用いた酵素抗体法によるもので方法 は図1に示す.パラフィン包埋切片を作製しこれ を脱パラフィン後,H202水で組織内の内因性per・ oxidaseを破壊しておく.次に正常ブタ血清をか け抗血清との非特異的反応を阻止し,bovine papillomavirus type 1をウサギに免疫した一次抗 体を結合させる.なおcontrolとして一次抗体の かわりに正常ウサギ血清を用いた.二次抗体とし てブタに免疫したウサギimmunoglobulin抗体を 用い,次に2っのウサギi㎜unoglobulin分子と

3つのperoxidaseで構成されるPAP complex

を結合させる.発色はDAB(3,3’・diamino ben・ zidine)で行い,核染色はカラチヘマトキシリンを 使用し脱水後封入した.免疫組織染色はduplicate

(4)

①組.織採取:性器尖圭condyloma,小陰唇内側乳頭腫患 者の子宮頸部を生検し,HE染色用の他に PAP用として無染色標本2枚を作製する ②脱パラフィン ③0.1%トリプシンTBS 10min ④3%H、0、5min

⑤pH7.60.05M TBS 5min 3∼4times cleansing ⑥Normal swlne serum 20min

⑦pH7.60.05M TBS 5min 3∼4times cleansing

⑧Rabbit antiserum to bovine papillomavirus type l, 4℃humid chamber ovemight

.Control:non−i㎜un囲rabbit駝rum

⑨pH7.60.05M TBS 5min 3∼4times cleansing

⑩1㎜unoglobulin fraction of swine antiserum to rab−

bit i㎜unoglobulins 20min

⑪pH7.60.05M TBS 5min 3∼4times cleansing ⑫PAP(Solub且e horseradish peroxidase・antihorse− radish peroxidase complex)20min

⑬pH7.60.05M TBS 5min 3∼4times cleansing ⑭0.02%DAB in pH7.60.05M TBS IOOm110min ⑮核染色カラチヘマトキシリン2min ⑯脱水 封入 免疫組織染色はdupHcateで行った.

箋,

図1 PAP法(peroxidase−antiperoxidase method)による子宮頸部Papillomavirus antigenの証明 写真6 PAP法陽性所見 で行った.主として表層側で細胞の核内にのみ特 異的に茶褐色に染色されるものを陽性所見とした (写真6). 2)細胞性免疫能の指標として,①遅延型皮膚ア レルギー反応(ツベルクリン反応),②モノクロー ナル抗体によるリンパ球表面マーカーから決定し

たリンパ球のサブタイプOKT4とT8の比

(OKT4/T8), natural killer(NK)細胞活性を検

討した.

3)二二condyloma以外のSTDの既往,合併

の有無を検討するため単純herpes,梅毒の血清抗 体価を検討した, 4)三門condyloma,乳頭腫の管理方針 (1)非妊婦の初発型31例に対しては特別な治療 を施さず可及的に2週間は治癒傾向の有無を観察 するのを原則とした.治癒傾向のないものに対し ては5fluorouracil(5FU)軟膏を3日に1度,4 ∼5回塗布させ2∼3週間経過を観察し,なお治 癒傾向のないものに対して外科的治療を行った. 外科的治療はcold knife切除またはlaser治療を 行った.Laser治療は炭酸ガスlaser, Medilaser Mic 30(持田製薬KK)により行った. o,5% xylocaineによる局所浸潤麻酔後,被照射面を

1aser光の焦点から約5cm離したdefocused

beamにより出力25Wで1秒毎に0.5秒間反復照

射し蒸散した. (2)再発・持続型の13例(他医治療後に再発ま たは治癒せず病巣が残存するもの)に対しては2 週間の観察期間をおかずすぐに5FU軟膏を塗布 した.なお症例によっては,すぐに外科的治療を 施行せざるをえないものもあった. (3)妊婦8例についても自然治癒傾向を2週間 は観察した.治癒傾向のないものに対しては,子 宮腔部,鼠壁の病巣は妊娠7ヵ月以後は観察が困 難になるので,妊娠6ヵ月頃までに1aser切除・蒸 散を行った.外陰部のものは分娩予定日の4週間 前までに治療した. (4)小陰唇内側乳頭腫36例については尖圭 condylomaの初発型の治療に準じた. 5)予後調査 対象88例中治療後6ヵ月まで経過を観察し得た 37例について臨床的予後ないし免疫能の推移につ いて検討した. 結 果 1.年齢分布 尖圭condyloma患者の年齢分布は17∼50歳, 平均26.7±7.2歳で図2に示すごとく20代がピー クであった.小陰唇内側乳頭腫患者では,18∼61 歳,平均29.1±9.2歳で図3に示すように20代に

(5)

10 甕 (暑)・ 匿コ婬婦 表1 副詞condyloma 52例 0 15 20 25 30 35 40 45 50 年齢(歳) 図2 尖圭condylomaの年齢別発生頻度(52例) (26.7±7.2歳) 1)病 型 II)病変部位 III)妊娠合併 初発 再発・持続 外陰 外陰・腔 外陰・子宮頸部 外陰・膣・子宮頸部 腔・子宮頸部 子宮頸部 無 有 38例 14例 35例 3例 3例 4例 1例 6例 44例 8例 妊婦 (7) (1) (5) (1) (2) 10 甕 ,警、・ 盟妊婦

・15、。253。、5、。、,亭’

年齢(蔵1 図3 小陰唇内側乳頭腫の年齢別発生頻度(36例) (29.1±9,2歳) ピークを認めるもののなだらかであり,尖圭con・ dyloma患者よりわずかに高年齢への偏りがみら れた.

2.尖圭condyloma患者の病変の拡がり(表

1) 尖圭condyloma 52例中,初発型は38例(うち妊 婦7例),再発・持続型は14例(うち妊婦1例)で あった.病変部位別に分類すると外陰のみに尖圭 condylomaを有するもの35例(うち妊婦5例),外 陰・腔に有するもの3例,外陰・子宮頸部に有す るもの3例,外陰・腔・子宮頸部に広汎に有する もの4例(うち妊婦1例),子宮頸部のみに有する もの6例(うち妊婦2例)であった.

病変部位は外陰を中心としたものが45例

(86.5%)と圧倒的に多いが,外陰に所見がないも のも7例(13,5%)有り,また子宮頸部に尖圭con・ dylomaを認めたものも14例(26.9%)と少なくな かった. 3.小陰唇内側乳頭腫 小陰唇内側乳頭腫36症例中,腔カンジダ症を伴 写真7 小陰唇内側乳頭腫 うものが20例と大半を占め,性交経験のないもの も2例認められた.病理組織学的には尖圭con− dylomaに比較しparakeratosis, koilocytos量s, paravasal cell hyperplasia等が軽度であるが質

的な差は認められない(写真7).免疫組織診で4 例中1例に陽性所見を認めた. 4.子宮頚部病変の有無(表2)

尖圭condyloma患者のうち子宮頸部に尖圭

condylomaを有しない38例の頸部病変を検討し た結果,細胞診で23例中13例(57%),コルポ診で 32例中17例(53%),組織診で32例中13例(40%), 免疫組織診で17例中6例(35%)に陽性所見が認 められた.子宮頸部に二二condylomaを有する 14症例の陽性所見出現頻度は,細胞診9例中5例

(6)

表2 尖圭cOIldylomaと小陰唇内側乳頭腫の子宮頸部細胞診, 陽性所見出現頻度 (%) コルポ診,組織診,免疫組織診 細胞診 kClas冒聖〕 コルポ診

kw胴灘〕

組織診

k異型痛

免疫組織診 pピローマウイルス @ 関連抗原 @ 陽性所見 頸部condyloma無 13/23 i57) 17/32 i53) 13/32 i40) 6/17 i35) 尖圭condyloma 頸部condyloma有

Z撫鍵ma離の

@検討した 5/9 i56) * 審 9/14 i64) 掌 8/13 i62) * * * 小陰唇内側乳頭腫 4/30 i13) 9/32 i28) 7/32 i22) 0/4 i0) *p〈0.05 (56%),コルポ診14例中9例(64%),組織診13例 中8例(62%)と,子宮頸部に血脈condylomaを 有しないものと比べ,コルポ診,組織診の陽性率 が高率であるが有意差はなかった. 一方,小陰唇内側乳頭腫患者36例においては, 細胞診30例中4例(13%),コルポ診32例中9例 (28%),組織診32例中7例(22%)が陽性で,免 疫組織診4例では陽性例がなく,いずれにおいて

も富鉱condyloma患者と比較し有意に低率で

あった(p<0.05). 4.他のSTD合併,血清抗体価の成績(表3) 俳画condyloma患者のうち1名が梅毒を合併 し,単純ヘルペス抗体を有するものは40例中23例 (58%)であった.小陰唇内側乳頭腫患者では梅毒 はなく,単純ヘルペス抗体は16例中5例(31%) で,有意に単純ヘルペス抗体保有率は低かった (p〈0.05). 5.細胞性免疫能の検討 非妊婦尖圭condyloma症例のうち,子宮頸部 に二三condylomaや病理組織学的にHat con− dylomaを有するものと,それらを有しないもの, および小陰唇内側乳頭腫症例の初診時細胞性免疫 能を比較した(表4).ツベルクリン反応陽性率,

OKT4/OKT8については3群で有意差を認めな

かった.しかしNK細胞活性値は,子宮頸部に condyloma病変を有するものでは19.8±12.5% と,有しないものの37.8±9.0%に比べp〈0.01で 表3 尖圭Condylomaと小陰唇内側乳頭腫の血清 ヘルペス抗体保有率(CF法) 例数 抗体+ 抗体一 未検 尖圭condyloma i26、7±7.2歳) 全 体 @初 発 ト発・持続 52 R8 P4 23(58%) I5 W * 17 P2 T 12 P1 P 小陰唇内側乳頭腫 i29.1±9.2歳) 全 体 37 5(31%) 11 21 ep<0,05) 有意に低かった.なお小陰唇内側乳頭腫のNK細 胞活性値は25.8±11.4と,尖圭condylomaの両 群と比べ有意差を認めなかった. なお尖圭condyloma例において治療予後と治 療前細胞性免疫能を検討した(表5).自然治癒し

たものはツベルクリン反応陽性83%,OKT4/

OKT81.67±0.65であったが,5FU使用例および 治療後再発例はツ反陽性率71%,66%,OKT4/ OKT81.48±0.39,1。48±0.33と自然治癒例に比 し免疫能の若干の低下が認められたものの有意差 はなかった. 6.治療成績 1)非妊婦初発例(表6)では,自然治癒したも のが29例中4例あり,5FUは12例に使用し8例が 治癒した.5FUで治癒傾向のない4例に対しては 外科的治療をおこない治癒せしめた.これら16症 例からは再発を認めていないが,やむをえずすぐ

に外科的切除を行った4例から再発1例を認め

(7)

表4 尖圭condylomaと小陰唇内側乳頭腫症例の初診時細胞性免疫能 ツベルクリン反応 OKT、/OKT、 NK細胞活性値(%) 陽性数 M±SD M±SD (%) (例数) (例数) 頸部に尖型 または日at 10/14(7/.4%) 1.33±0.40 19.8±12.5 condyloma(∋ (n=24) (n=13) ** 尖圭condyloma (非妊娠) 〃 e 7/12(58,3%) 1.53±0.36 37.8±9.0 (n=13) (n=6) 小陰唇内側乳頭腫 6/7(85.7%) 1.45±0.43 25.8±11.4 (非妊娠) (n=15) (n=9) **吹モO.01 表5 尖圭condylomaの予後と治療前細胞性免疫能 ツベルクリン反応 @陽性数(%) l±SD(例数)OKT4/OKT8 NK細胞活性(%)M±SD(例数) 自然治癒例 5/6(83%) 1.67±0.65 @(5例) / 5FU治癒例 5/7(71%) 1.48土0.39 @(9例) 22.2±13,5 @(5例) 切除後再発例 2/3(66%) 1,48±0.33 @(4例) 26.5±20.5 @(2例) た. 2)非妊婦再発。持続例(表7)では,自然治癒 したものは12例中2例で,5FUで治癒したものは 5例中2例であった.5FUに反応しなかった3例 に対し外科的治療を行ったがこのうち2例が再発 した.また5FUの塗布を行わずすぐに外科的治療 を行った2例のうち1例が再発した. 初発型に比べ,再発・持続型に特徴的なことは 5FUに対する反応の悪いこと,予後の判明した8 例のうち再発が3例と再発率の高いことであった. 3)妊娠合併8例(表8)では自然治癒したもの 2例で,他6例は外科的切除を行い治癒せしめた. 4)小陰唇内側乳頭腫36例(表9)では,自然治

癒は6例で5FUを用いたもので5FUのみで治癒

したものはなかった.希望者9例には外科的切除 を行った.自覚症状に乏しいため36例中25例では follow upできなかった. 考 察 尖圭condylomaの好発年齢は1971年Orielが 報告したように性行動が活発となりはじめる時期 に多く1),外性器ヘルペス症やクラミジア感染症 などのSTDと同様である.今回の臨床統計でも 年齢分布は20代がピークでありOrie1をはじめ諸 家の報告と一致していた.また,ウイルス疾患の 表6 尖圭cQndylomaの治療と予後(非妊婦初発型29例) 再 発 十 _* 予後不明 切 除 治癒4例 @ (レーザー4例) @ ↑初診一一一一→Follow up 治癒4例 @ ↓ 不明7例 @ 5FU 治癒8例 @ ↓ 不明2例 @ 切 除 治癒4例 @ (メス1例レーザー3例) 1例 O00 2例 Q例 R例 S例 1例 Q例 T例 O 合 計 20例 1例 11例 8例 串6ヵ月以上を経て再発ないもの

(8)

表7 尖圭condylomaの治療と予後(非妊婦再発・持続型12例) 再 発 予後不明 十 * 切 除 治癒2例 1例 1例 0 (メス2例) ↑ 初診一一一一一華Follow up 治癒2例 0 2例 0

! 糊2例

5FU 治癒2例 0 1例 1例

! 不明1例

切 除 治癒3例 2例 1例 0

¢.季.鋤

合 計 9例 3例 5例 1例 *6ヵ月以上を経て再発ないもの 表8 尖圭condylomaの治療と予後(妊婦8例) 再 発 十 _率 予後不明 0 2例 (メ 切 除 B.半田) 治癒6例 4例 初診一一一→Follow up ↑ 治癒2例 0 2例 0 合 計 8例 0 6例 2例 *6ヵ月以上を経て再発ないもの 表9 小陰唇内側乳頭腫の治療と予後(36例) 再 発 十 _串 予後不明 切 除 治癒4例 @ ¢.季一鋤 @ ↑初診一Follow up 治癒6例

@ ↓ 不明17例 不変2例

@ 5FU 不変1例

@ ↓ 不明2例

@ 切 除 治癒5例 @ ¢.謁移1) 00002例 3例 S例 O02例 1例 Q例 Q例 P例 P例 合 計 18例 2例 9例 7例 串6ヵ月以上を経て再発ないもの

(9)

常として尖圭condylomaは自然治癒するものも 少なからず認められたが,再発・持続型も26.9% と多く管理治療上問題が起こり易いことが示され た.病変部位としては外陰を中心としたものが 86.5%と多かったが,子宮頸部に病変を認めるも のも26.9%認められた,視診では子宮頸部に病変 が認められないものでも,細胞診,組織診,コル ポ診で異常所見の認められたものが40∼50%と高 率で,PAP法により子宮頸部生検材料の35%に HPV感染陽性の所見を認めた. 小陰唇内側乳頭腫は文献上もあまり報告がな く,慢性炎症によるものと考えられたり,尖圭 condylomaの一亜型として診断され治療されて いる症例も多いと思おれる.Growdonらが1985年 squamous papillomatosisとして12症例を報告し ている6).この報告によれば患者の平均年齢は 26.4歳ですべての患者は性行動が活発であり,6

人の患者のpartnerのうち4人用HPV感染を認

めたとしている.病理組織ではHPV感染を疑わ せるkoilocytotic changeを認め,2症例に免疫 組織染色で核にHPV抗原陽性所見を得たとし,

squamous papillomatosisはHPV感i染による

STDと推論した.治療はpodophyllin, cryother− apy, laserおよびそのcombirlationを行ったとし ている. 著者の臨床統計では,小陰唇内側乳頭腫は病理

組織学的には尖圭condylomaと類似した所見

で,4例に免疫組織染色を行い1例にHPV抗原

陽性を認めた.しかしながら,①病変は小陰唇内 側のみに限局していること,②子宮頸部病変を合 併することが有意に少ないこと(子宮頸部細胞診, 組織診所見が異なる),③5FUに反応せず治療に 対する態度が異なること,④他のSTD合併は画 意に少ないこと,⑤性交渉の経験のないものが2 例含まれていたこと,等,尖圭condylomaとは異 なる特徴を認めた.著者は小陰唇内側乳頭腫は STDとしての性格に乏しく,その発生については HPV以外の他の要因,例えば慢性的,機械的な外 因刺激による外陰皮膚粘膜の過剰反応等の要因も 考慮すべきと考えている. 治療についてであるが,多くは外陰部掻痒感を 除ぎ症状はまれで婦人科医に指摘されるまではそ の存在に気付いていない.合併するカンジダ症や 生理的な分泌物増量による外陰刺激を改善すれば 自覚症状は自然に改善するものが大多数である. 今回の検討結果から考察する限り病的意義は少な く,あえて患者を治療することは無為な心理的負 担となるので経過観察がよいと思われた. 尖圭condylomaについては52例中自然治癒が 6例あるものの再発・持続型が26。9%を占めてお り,外陰herpesなどと異なり治癒経過が悪いこと もあり管理上問題が多い.治療に使用される薬剤 としてはBleomycin9), Podophyllinlo),5FU11), Idoxuridine12)などがあるが,このうちPodophy1−

Iinは壊死誘発物質でIdoxuridineはDNA合成

阻害作用をもつ抗ウィルス剤である.Bleomydn, 5FUはDNA合成阻害作用を有する抗腫瘍剤で, いずれも問題点として妊婦に使用できないこと, 周囲の健常な粘膜や皮膚に炎症,びらん,潰瘍を 形成してしまうことがあげられる.著者はこれら 薬剤のうち現在まで丘rst choiceとして5FUを選 択し,その3日毎投与法を行ってきた. 著者の治療方針としてまず自然治癒傾向の有無 を観察したが非妊婦41例中6例が自然治癒し,こ の6例から再発は認められなかった.5FUで治療 したものは17例中10例で,この10例からも再発を 認めなかった.5FUに反応ぜず外科的治療を行っ た7例中2例,最初から外科的治療を行った6例 中2例に再発を認めた.外科的治療を行ったもの に再発例が多くみられたことは極めて興味深いと 思われる.白玉condylomaがHPV感染による疾 患であることを考えれば,その治癒率にウイルス のvirulenceの程度だけでなく,患類題の細胞性 免疫能を中心とする抵抗力が大きな影響をもつと 考えられる13).今回の検討では治療前の細胞性免 疫能を比較すると,子宮頸部に輪軸ないしHat condylomaを認めた症例では, NK細胞活性が病 変を有しないものに比べて有意に低値を示した. NK細胞活性で示される非特異的抵抗能が低いた めHPVの子宮頸部への蔓延を招き易いとも考え られる.しかし著者が治療し予後の判明した自然 治癒群,5FU治癒群,治療後再発群について治療

(10)

前細胞性免疫能を比較した成績では差がないの で,HPVに対する宿主の抵抗性については明瞭 に結論づけることはできなかった.初診時すぐに 切除せず経過観察したり5FU塗布などの保存的 治療を行うことはウイルスに対する細胞性免疫能 が誘導され,局所免疫などHPVに対する抵抗性 を高めて治癒を誘導する可能性も考えられた.外 科的切除はmacro的に認められる病変を取り除 くことであるが,condylOmaはしぼしぼ切除した 周囲から再発する.これは単に発現の遅れていた condylomaが時期を遅れて発症したとも考えら れるが,外科的切除が周囲皮膚・粘膜に影響を与 え潜伏感染が顕症化した可能性も考えられる.外 科的切除前に5FUなどを塗布することによりこ れを防止できる可能性もある.HPVに対し細胞 性免疫能を賦活させる保存的治療法としてinter− feronの局注14)やBCGなどのワクチン療法15)が 有効であるという報告もあるが,まだ確固たる評 価を得ていない.今回の検討でも自然治癒が6例 あり,宿主免疫能の問題は重要と思われるので今 後検討されるべき治療法と思われる.

妊婦の治療法についてはPodophyllinや5FU

などの薬剤は使用できない.また一般に妊娠中に 遅延型皮内反応の陰性化,リンパ球のPHAに対 する反応低下などが知られており免疫機能の抑制 状態にあるものと考えられ妊娠中の本症は重症化 することが懸念された.臨床的にも妊婦の罹患率 が高く重症例が多いとされており,Orielの報告 では141例中13例が妊婦であり,その13例中10例が 重症であったと述べている.当科においても尖圭 condyloma 52例中妊婦は8例(15,4%)と高率で ありそのうち1例は腎移植後の免疫抑制剤使用中 で重症例であった.しかしながら自然治癒した症 例も2例あり経過観察中に特に重症化したものも ないので,分娩間際の症例を除き必ずしもすぐに 治療すべぎとは思われない.ある程度自然経過を みて適当な方法で治療すべきと思われた. 結 語 1.小陰唇内側乳頭腫は 1)小陰唇内側のみに限局する,2)子宮頸部細 胞診,組織診所見が尖圭condylomaと異なる,3) 治療効果が尖圭condylomaと異なる,4)病理組 織学的所見,臨床像より文献上squamous papil− 101natosisとされているものと一致する,5)性行 為との関係は乏しく,STDの範疇には入らず,ま た病的意義は少ないと考える. 2.尖圭condylomaの治癒要因として 1)宿主の免疫能が高い,2)自然治癒力が強い, 3)Virusのvirulenceが低い, ことがあげられ,これらを有するものは5FUに反 応し再発率も低いと思われた. 稿を終えるにあたり,終始御懇篤な御指導,御校閲 を賜りました武田佳彦教授,ならびに直接の御指導, 御助言を賜りました滝沢 憲助教授に心より深謝致 します. 本論文の要旨の一部は第38回日本産科婦人科学会 総会,および第262回日本産科婦人科学会東京地方部 会例会において発表した. 文 献

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参照

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