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絵本は「子どもの幸せ」をどのように描いているか

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Academic year: 2021

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絵本は「子どもの幸せ

j

をどのように描いているか

学校教育専攻 幼年発達支援コース 河 野 礼 子 1 .問題の所在と研究の目的 f子どもの幸せJ とは何だろう。日々私が学 校や家庭で子どもと接するなかで、子どもって こんなことが好きなんだなあ、子どもってどう してこんなことに夢中になるんだろう、といっ たことを感じることがある。私達大人のものさ しでは測りきれない、子ども特有の幸せ観があ るのではないだろうか。この子ども特有の幸せ 観について深く知っておくことは教師として重 要なことであると考えた。 そこで f絵本jという方法を用いて、絵本の なかで「子どもの幸せjがどのように描かれて いるかを読み解き、子どもたちがどのような場 面で、どのような種類の幸せを感じるのかとい うことを分析・考察することにより、子どもた ちの心に追りたいと思うo

2.

研究方法 「子どもの心を理解するための絵本デ}タベ }スjを基に、大主題「心jのなかの主題「幸 せを感じるjで検索された121冊の絵本に描 かれた「子どもの幸せJについて分析・考察し、 幸せの要素を抽出する。抽出された幸せの要素 を分類 a分析し、「子どもの幸せJとして重要 であると思われるものについてさらに分類する と、「人とのかかわりがもたらす幸せj と「行 為そのものを楽しむ幸せ」という枠組みが抽出 された。以降、この分類に基づいて子どもの幸 せについて考察を行う。 指導教員 塩 路 品 子

3.

人とのかかわりがもたらす f子どもの幸せJ 絵本のなかで子どもがかかわる人とは、父親 や母親、祖父母、きょうだい、友達、その他の 人達である。まず、母親とのかかわりを通して 子どもが感じる幸せは、(1 )赤ちゃんの幸せは、 お母さんの抱っこ (2)母親と日常的な体験や 時聞を共有する幸せ (3)ありのままの自分を 認めてもらえる幸せである。一方、父親が子ど もにもたらす幸せとは、ダイナミックな遊びゃ スキンシップを通して、楽しさやたくましさを 子どもに感じさせることであり、このダイナミ ックな遊びやスキンシップの仕方は、静かで穏 やかな母親のそれとは違い、大きくて力強く子 どもに遊びの楽しさを教えてくれる、父親特有 のものである。祖父母の子どもへの大らかな余 裕ある態度は子どもに安らかさを与えると同時 に、子どもは親と同じように自分を愛してくれ ている祖父母の親とは違う考え方や価値観に触 れ、世の中には人によって違った考え方や多様 な価値観があることを知る。また、きょうだい の間には上下関係があるけれども、時には対等 な友達のような関係にもなるような往来の自由 な関係であり、このような関係は他の家族や友 達との聞には成り立たないきょうだい特有のも のである。このように、父母や祖父母、きょう だいは子どもとのかかわりにおいてそれぞれに 違った役割を担っていて、互いに補い合ってお 氏 U Q d t i

(2)

り、互いにあたたかい関係で結ぼれた家族のな かで日常生活を送ることは、子どもにとって大 きな幸せであるロ 子どもが友達とかかわることによって得られ る幸せは、友達と気持ちゃものや時間などを共 有することの喜びであり、その他の人達とかか わることによって得られる幸せは、他人とあた たかいかかわりをもっ喜びと価値の多様性を認 めることができる幸せである。私達は子どもが あたたかい関係を結ぶのは、親や家族でなけれ ばならないと思いがちだが、必ずしもそうでは なく、子どもは親や家族でなくても友達やそれ 以外の人とあたたかく深い関係を結ぶことがで き、それを通して幸せを感じることができるも のだということが、絵本には描かれている0

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行為そのものを楽しむf子どもの幸せj 本章では「プレゼントJ'¥

r

自然とのかかわ りJ、「将来の夢J、「音楽がもたらす幸せJ、「願 い・望みJ、「協力して働くことのすばらしさJ という幸せの要素について考察した。プレゼン トをもらう幸せは、単に物などを贈られた幸せ ではなく、自分が家族や友達など大好きな人達 から愛されていることを確認できたことの幸せ である。これに対してプレゼントをする幸せは、 贈ることそのものを楽しむということであるこ とが分かつた。自然とかかわることを通して得 られる幸せは、自分も自然の一部であるかのよ うに自然の中で生きることであり、子どもは自 然とかかわることを通して「幸せJを感じるた めの感性を身につけ、大切な人とのかかわりの なかで知的な欲求や表現の欲求を自発的にもつ ものであることが絵本に描かれている。将来の 夢や目標をもてることの幸せとは、子どもが尊 敬できる樺れの存在だと思えるような人に 出会えたことであり、その人が子どもの「やっ てみたいJ気持ちを受けとめ、子どもの努力や 頑張りの過程をきちんと認めてくれたことであ る。また、音楽がもたらす幸せは、音楽そのも のを楽しむ幸せであり、「頗い a望みJに描かれ ている子どもの幸せは、頗いや望みが何でもか なえられることではなく、家族や大事な人とい っしょにいることである。「協力して働くことJ が子どもにもたらす幸せは、怠けて楽をするよ りしんどくても体を動かして働く方がいいとい う働くことそのもののよさを知ること、人の役 に立つ喜びを知ること、自分だけのよさを認め られることである。

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.

研究のまとめと今後の課題 「子どもの幸せjを描いた絵本の半数以上が 「人とのかかわりJをテーマにしたものであり、 人とのかかわりが子どもに大きな幸せをもたら すことが確認された。また、「行為そのものを楽 しむ子どもの幸せJを描いた絵本にも人とのか かわりが描かれていない絵本はないことから、 子どもは様々な人達とのかかわりがあるからこ そ、子ども特有の行為そのものを楽しむ幸せを 味わうことができるということが明らかになっ た。また子ども特有の価値観は大人と切り離さ れたものではなく、「子どもの幸せJという一枚 の布の縦糸と横糸のように、子ども特有の幸福 観と生涯を通じて変わらない人間としての普遍 的な幸福観とが、絵本のなかに共に織り込まれ ていると考えた。 今後は子どもが幸せを感じる力、感性の問題 に取り組むと共に、子どもが幸せな経験を積み 重ねていくための学校現場での活動について模 索していきたい。 円 i Q d

参照

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