Title
冬季上向き雷で観測される放電現象( 内容と審査の要旨
(Summary) )
Author(s)
髙松, 謙与士
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第485号
Issue Date
2015-09-30
Type
博士論文
Version
ETD
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/53635
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。別紙様式第16号(論文内容の要旨及び論文審査の結果の要旨) 氏 名 ( 本 籍 ) 学 位 の 種 類 学 位 授 与 番 号 学 位 授 与 日 付 専 攻 学 位 論 文 題 目 学位論文審査委員 髙松 謙与士(愛知県) 博 士(工学) 甲第485号 平成27年9月30日 電子情報システム工学専攻 冬季上向き雷で観測される放電現象
( Several discharge phenomena observed in winter upward lightning) (主 査)准教授 王 道洪 (副 査)准教授 吉田弘樹 教授 高木伸之 論 文 内 容 の 要 旨 本論文は日本海側地方の冬季に地上の高建造物から発生する上向き雷の放電進展様相の特徴を明ら かにしている。 冬季の上向き負極性落雷では正極性リーダが高建造物から雷雲に向かって進展する。このとき、リ ーダの先端に近い数十メートルから百数十メートルの範囲で、リーダの通過後に再度数十マイクロ秒 発光する場合があることを明らかにした。この再発光現象について各種フィールド観測・データ解析 を行い、その特性を明らかにした。リーダの再発光現象であるリコイル・ストリーマは従来報告され ており、本研究で明らかにした再発光現象はこれと明確な違いがあり、別現象であることが分かった。 また、上向き落雷では通常の後続雷撃とは異なり、後続雷撃放電路が他の発光中の放電路に接続さ れる場合があることを発見している。他の放電路の接続直前電流および中和電荷と接続点高度には関 連性があることを明らかにしている。 さらに、落雷に伴う高々度発光現象であるスプライトを発生させた落雷の電流計測を世界で初めて 成功させている。その落雷は負極性上向き雷で、通常スプライトを発生させる大きな中和電荷を有す る正極性落雷とは全く異なっていた。 論文審査結果の要旨 化石燃料の枯渇や地球温暖化の防止のため再生可能エネルギーの導入が急がれている。欧米ではす でに大きな発電容量の風力発電施設が設置され稼働している。一方、日本では風況条件の良い日本海 側地方での冬季雷による被害が甚大であるために導入が遅れている。そのため風力発電施設の耐雷性 能を向上させることが急務となっている。 本論文は、風力発電施設の耐雷性能を向上させるための基礎的雷放電特性を明らかにしている。夏 季雷では落雷の大半を占める負極性落雷は負極性リーダによって引き起こされる。一方、冬季雷では 高建造物で発生する負極性落雷は正極性リーダによって引き起こされ、夏季雷より電流のピーク値、 大電流が発生する割合、中和電荷がいずれも大きい。本論文では負極性リーダ、正極性リーダいずれ でも見られる再発光現象の特性の違いを明らかにしており、これをもたらす電流伝搬メカニズムの違 いが、最終的な電流値等に影響を与える一因である可能性を示唆している。また、後続雷撃は第一雷
撃に比べて立ち上がり時間が短く、インダクタンス成分を有する部分では LdI/dt により大きなサージ 電圧を雷撃電流伝搬経路に引き起こし、被害を大きくする原因となっている。後続雷撃は送電線での 遮断器の再閉路失敗の一因でもある。新たな放電形式の後続雷撃を発見しており、この雷撃がこれま で特定できていなかった雷害の事故原因である可能性もある。本研究内容は風力発電施設の耐雷性能 を向上させるために寄与できるだけではなく、大気電気学の発展に大きく貢献している。 従って、学位審査委員会は、審査の結果、この論文を学位論文に値するものと判断した。 最終試験結果の要旨 学位審査委員会は、提出された学位論文の主要部分が、下記に示す査読付きジャーナル誌 1 編と査 読付き国際会議論文 2 編にすでに発表済みであることを確認するとともに、平成 27 年 8 月 7 日に開催 された学位論文公聴会における質疑応答と口頭試問などに基づいた審査の結果,論文提出者は学位授 与の基準を満たしていると判断し,最終試験の結果を合格とした。 発表論文(論文名、著者、掲載誌名、巻号、ページ)
1. Kaneyoshi Takamatsu, Nobuyuki Takagi, Daohong Wang, Characteristics of the brief but bright discharges that often occur along the trails of positive leaders, Journal of Atmospheric Electricity Vol.35, No.1, pp.17-30, (2015).
2. Kaneyoshi Takamatsu, Nobuyuki Takagi, Daohong Wang, Characteristics of leader/return stroke sequence along one of multiple branches of upward lightning discharges, Proceedings of 15th International Conference on Atmospheric Electricity, 15-20 June, Norman, Oklahoma, U.S.A (2014).
3. Ariadi Hazmi, Kaneyoshi Takamatsu, Nobuyuki Takagi, Daohong Wang, Simultaneous Observations of Red Sprite and its Parent Lightning Current, Proceedings of 14th International conference on atmospheric electricity, Brazil, 7-12 August, (2011).