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農牧交錯地帯における環境保全型畜産の展開に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

農牧交錯地帯における環境保全型畜産の展開に関する研究(

内容の要旨(Summary) )

Author(s)

韓, 柱

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第507号

Issue Date

2009-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/33648

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 点 会 韓 柱 (中華人民共和国) 博士(農学) 農博甲第507号 平成21年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 岐阜大学 農牧交錯地帯における衆境保全型畜産の展開に関する 研究 主査 岐阜大学 教 副査 岐阜大学 教 副査 信州大学 教 副査 静岡大学 教 淳 健一雄 光 睦 部 井藤嶋 安 今 加 小 授 授 授 授 論 文 の 内 容 の 要 旨 本論文は、生態環境保全のための「退耕運林■遺草」政策と「禁牧・休牧」プロジェクト の実施後の中国内モンゴル農牧交錯地帯における土地利用の変化と畜産経営構造の転換、 それに伴う家畜の過剰糞尿の発生、その処理対策として導入されたバイオガスプラントを 基軸にした環境保全型畜産の構築を分析したものである。内モンゴル北東部興安盟地域で 農牧複合経営の構造、土地利用、家畜糞尿処理方式等の各方面からの実態調査を行った。 経済発展が著しい中国では、所得増加に伴い乳製品・食肉等の畜産物消費が急増し、家 畜飼養頭数が急増した。内モンゴルでは、畜産の急激な拡大によって乱開墾や過放牧がす すみ、草原の荒廃・砂漠化を招いた。政府は、草原の生態環境保全に乗り出し、2000年か ら「退耕運林・遺草」政策と「禁牧・休牧」プロジェクトに取り組み、その結果、畜産の中 心は、草原の退化・砂漠化の著しい牧畜地域から飼料作栽培と自給が可能な農牧交錯地帯 へシフトした。農牧交錯地帯の土地利用が変化し、畜産経営構造が転換した。それに伴っ て生じた家畜の過剰糞尿による環境汚染の対策として、地域資源の循環利用を図る環境保 全型畜産の構築が行われた。 分析の結果、以下の知見を得た。 (1)農牧交錯地帯の畜産的土地利用は、改革開放以前は【自然草地主】、家畜構成は【羊 中心】、飼養方式は【夏季放牧・冬季舎飼】であった。1980年代の改革開放期と1990年代 以降の市場経済導入を経て、耕地化により放牧地が減少するなかで家畜頭数が急増し過放 牧が生じ生態環境が劣化した。 (2)生態回復・保全を目的に「禁牧・休牧」プロジェクトが実施され、重度退化した自然 草地を「禁牧」に、中軽度退化草地を「休牧」した。その結果、放牧地6割、自然草地4 割、耕地3割減り、羊の放牧頭数が減少した。かわって牛の舎飼頭数が急増し、耕地に飼

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ー48-料作物が導入され、【草地=放牧=自然革=羊】から【耕地=舎飼=飼料作物二牛】に畜産経営 稲造が転換した。 (3)飼養方式は放牧から舎飼に、家畜構成は羊中心から牛・J豚中心へ、飼料基盤は草地か ら耕地へと転換が進んだ。肉牛や養豚の集約化に伴って、「放牧地・採草地・耕地」の土地利 用は粗放的な土地利用方式から集約的な土地利用方式に再編された。 (4)家畜の舎飼化と牛豚など大中型畜産の増加により、放牧による家畜糞尿の自然処理が できなくなり、大量の糞尿は野積みにされ、新たな環境汚染を引起した。政府補助事業で 畜産農家は、家畜糞尿処理用バイオガスプラントを導入した。その結果、環境の改善と畜 産拡大が可能になり、資源循環型畜産が形成された。 (5)バイオガスプラントのための行政支援システムのもとで地域資源循環利用システム が構築された。 以上によって、農牧交錯地帯における土地利用の変化と畜産経営の構造変化、家畜糞尿 処理のためのバイオガスプラントを基軸とした環境保全型畜産の構築を明らかにした。 審 査 結 果 の 要 旨 本論文の公開学位論文発表会は、審査委員全員ならびに大学院生の出席のもと、 2009年1月20日午後3時より岐阜大学応用生物科学部A棟212号室において実施 された。 本論文は、中国における「退耕運林・還草」政策実施後の畜産経営を対象に、環境 保全型畜産の構築条件の解明を試みたもので、実証分析の対象地域は、耕種農業と畜 産との複合経営の中心である内モンゴル興安盟の農牧交錯地帯である。「退耕運林・ 遺草」政策とその一環の「禁牧・休牧」プロジェクトの実施によって畜産の中心は、 牧畜地帯から農牧交錯地帯に移行し、草原の自然草依存の放牧方式から耕地の飼料穀 物依存の舎飼方式に、畜産経営の構造と土地利用が変化した。それに伴って家畜糞尿 の処理方式は、草原・放牧での自然処理ができなくなり、家畜糞尿過剰による生活環 境汚染問題が発生した。しかし、従来の研究は、過耕作・過放牧によって生じた草原 の荒廃・砂漠化にたいし生態環境保全対策の一環として取り組まれた「退耕運林・還 草」政策とその実施状況の検証したにとどまり、分析対象地域はおもに牧畜地帯にし たものであった。 本論文は、一連の生態環境保全政策の進展に伴って、内モンゴル畜産の新しい中心 地帯の農牧交錯地帯に移行し、そこでの畜産経営構造と土地利用の変化、および畜産 糞尿に起因する生活環境汚染問題とその対策を分析し、環境保全型畜産について考察 したものである。農牧交錯地帯における環境保全型畜産研究の囁夫である。 本論文は、内モンゴル農牧交錯地帯における土地利用と畜産経営の構造転換過程と環 境保全型畜産の構築に関する実証的な分析を行った結果、以下のことを明らかにした。 (1)農牧交錯地帯の畜産的土地利用は、改革開放以前が【自然草地主】、家畜構成は【羊 中心】で、飼養方式は【夏季放牧・冬季舎飼】であった。1980年代の改革開放と1990年 代の市場経済の導入を経て、放牧地が耕地化され減少するなかで家畜飼養頭数が急増し、 過放牧によって生態環境が劣化した。その結果、従来の飼養方式のままでは畜産経営の 継続が困黄削こなった。

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-49-(2)生態回復を目的にした「禁牧■休牧」プロジェクトが実施され、自然草地の退化状況 に応じて重度退化草地を「禁牧」、中軽度退化草地を「休牧」し、放牧地6割、自然草地 4割、耕地3割減少し、羊の頭数が減少し、かわって牛の舎飼頭数が急増した。飼料作 物の耕地への導入によって、畜産経営構造は、【草地=放牧=自然革=羊】から【耕地=舎 飼=飼料作物=牛】に大きく転換した。 (3)飼養方式は放牧から舎飼に、家畜構成は羊中心から牛・豚中心へ、飼料基盤は草地 から耕地への転換が進んだ。集約的な肉牛・豚の飼養に伴い、従来の「放牧地・採草地・ 耕地」の粗放的な土地利用方式から集約的な土地利用方式に再編された。 (4)家畜の舎飼化と牛豚など大中型畜産の増加に連れて、放牧による家畜糞尿の自然処 理ができなくなり、大出の糞尿は野積みにされ、新たな環境汚染を引起した。これに対 して農家は政府の支援のもとで家畜糞尿処理利用のバイオガスプラントを導入した。そ の結果、環境の改善と畜産拡大が可能になり、資源循環型畜産が形成された。 (5)政府は、地域資源循環利用システムを構築するために、その構築に必要な行政支援 システムを作り、専門部署の設置とその補助事業、技術の開発と推進を行ってきた。そ して、バイオガスプラントを中核にした耕種と畜産を有機的に結合した地域資源循環利 用システムを構築したQ システム構築によって家畜の糞尿の適切な処理ができ、生活・ 生産環境の改善と生態環境の保全とに寄与し、飼料を経営内で自給し、畜産の規模拡大 が可能になった。 以上の分析の結果は、中国内モンゴル農牧交錯地帯における土地利用と畜産構造の変 化および環境保全型畜産構築に関する新たな知見を提供する先駆的な研究である。故に、 審査委員全委員一致で本論文が、岐阜大学連合虚学研究科の学位論文として十分価値あ るものとして認めた。 基礎となる学術論文 1. 中国内モンゴルにおける「禁牧・休牧」と畜産経営 一農牧交錯地帯を対 象に一.農業市場研究第17巻 第1号80・85(日本農業市場学会)・2008・ 韓柱・鄭青・安部淳・周忠 2. 農牧交錯地帯における地域資源の循環利用システムー中国内モンゴルの事 例を中心に-.農業経済研究別冊 2008年度日本農業経済学会論文集408-415(日本農業経済学会).2008.韓柱・安部淳・括紅

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