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LC/MSおよびGC/MSを用いたメタボローム解析手法の応用 緑茶葉のプロファイリング解析

Lifescience

LC/MSおよびGC/MSを用いたメタボローム解析手法の応用

緑茶葉のプロファイリング解析

島津アプリケーションノート No.10(ライフサイエンス)

メタボローム解析(メタボロミクス)とは,生体内における代 謝物を網羅的に解析することで,近年医療分野における診断 マーカー探索や病因解析,製薬分野における薬効や毒性を示 すマーカー探索,食品分野における品質管理や品質予測など 幅広い分野への応用がなされています1) メタボローム解析で対象となる代謝物は膨大な数であり, かつ化学的性質は広範に渡ります。このため,これら物質の網 羅的な分析には,一般に分離分析法を用いることが多く,ガス クロマトグラフィー質量分析法(GC/MS),液体クロマトグラ フィー質量分析法(LC/MS),キャピラリー電気泳動質量分析 法などによる方法が報告されています。 本資料では,LC/MSおよびGC/MSを用いたメタボローム 解析手法の応用として,緑茶葉のプロファイリング解析を行 い,品質に寄与する成分の探索と品質予測モデルを構築した 例をご紹介します。

1. はじめに

1

分析計測事業部 応用技術部

小倉泰郎

T. OGURA

坂本雄紀

Y. SAKAMOTO

apnote_ls_10.indd 1 apnote_ls_10.indd 1 2010/06/30 15:33:112010/06/30 15:33:11

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2. メタボローム解析における代表的な研究の流れ

メタボローム解析は実験の計画にはじまり,サンプル調達や 分析機器によるデータ測定,各種統計学的手法を用いた解析 を行います1)。 Fig.1に,メタボローム解析における代表的なスキーム例を 示します。 MS1 MS2 MS3 C14H16N10 HO HO OH O O OH OH HO O OH

1. 実験計画

2.サンプル調達

3.代謝物の抽出や誘導体化

4.データ採取

5.ピーク検出とリスト化

6.統計解析

7.未同定化合物の組成推定

8. 知見や仮説の創出

9. 新たな実験計画

Fig.1 メタボローム解析におけるスキーム例 apnote_ls_10.indd 2 apnote_ls_10.indd 2 2010/06/30 15:33:112010/06/30 15:33:11

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LC/MSおよびGC/MSを用いたメタボローム解析手法の応用 緑茶葉のプロファイリング解析

3. メタボローム解析と分析法

3.1 GC/MSによるメタボローム解析

GCは他のクロマトグラフィーに比べて分離能に優れてお り,構造の類似した揮発性代謝物や前処理により揮発性誘 導体化物に変換できる代謝物を効率良く精密に分離すること ができます。GC/MSでは,GCによる高分離と,MSによる質 量分離と高感度検出が可能であり,またMSのEI(Electron Ionization)法で得られる化合物ごとに特異的なマススペクト ルにより,化合物の同定が可能となります。 また,マススペクトルと保持時間を基準化した保持指標を データベース化することにより,代謝物の同定が容易であり, 島津GC/MS代謝成分データベースやマススペクトルライブラ リを用いることで,多くの代謝物を同定することが可能です。 GC/MSは脂質やエステル類などの低極性揮発性代謝物や 揮発性誘導体に変換させたアミノ酸や有機酸などの高極性 代謝物を分析することができます。 GC/MSによるメタボローム解析  脂質,エステル類などの低極性代謝物や,誘導体に変換したアミノ酸,有機酸などの高極性代謝物が分析対象  高い分離能力と高速スキャンにより,多数のピークの検出と同定が可能  島津GC/MS代謝成分データベースやNISTマススペクトルライブラリによる,化合物検索が可能 ガスクロマトグラフ質量分析計 GCMS-QP2010 Ultra <特長>  高感度,高速スキャン測定  Easy-sTop機能による待ち時間の短縮  エコロジーモードによる省エネ 島津GC/MS代謝成分データベース (アミノ酸・脂肪酸・有機酸) <特長>  約300種の代謝物情報を収載  保持指標付きデータベース メタボローム解析で対象となる代謝物は膨大な数であり, かつ化学的性質も広範に渡ります。このため,これら代謝物 の分析には,ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー などによる分離と質量分析による検出とを組み合わせたガス クロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)や液体クロマトグラ フィー質量分析法(LC/MS)などが有力な手段として用いら れます。GC/MSやLC/MSを駆使することにより,このような 複雑な代謝物のプロファイリングや同定を効率的に行うこと ができます。 apnote_ls_10.indd 3 apnote_ls_10.indd 3 2010/06/30 15:33:122010/06/30 15:33:12

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3.2 LC/MSによるメタボローム解析

LCはGCでは分析できない不揮発性化合物や誘導体化が 困難な代謝物も含め,低極性から高極性までの幅広い代謝物 に適用できる特長があります。LCはGCの優れた分離能には 及びませんが,近年充てん剤の微粒子化技術と装置性能の発 展により,超高速・高分離分析が可能となってきました。この 超高速LCと質量分析計を組み合わせたLC/MSは,大量の試 料を扱うメタボローム解析のハイスループット化に大きく貢献 します。また,分析のハイスループット化は,測定時間の短縮 に加えて測定試料や質量分析結果の安定性を維持するなど 二次的な効果も期待できます。 超 高 速 L C では 著しくピークがシャープ になるため, M S には高 速データ取り込 み性 能 が 求 められます。島 津 “LCMS-2020”および“LCMS-IT-TOF”は,高速スキャンと 高速極性切替による分析が可能で,超高速LCに適したMSで す。島津超高速LC“Prominence UFLC”とこれらMSとの組 み合わせは,メタボローム解析に適したシステムとなります。さ らに,LCMS-IT-TOFではMSn分析を用いた精密質量測定に より,高精度な組成推定および部分構造情報の取得が可能と なるため,汎用スペクトルライブラリがないLC/MSにおいて, 未知化合物探索に有効な装置です。 LC/MSによるメタボローム解析  アミノ酸,有機酸,糖など高極性代謝物やカテキン類などの二次代謝物が分析対象  超高速LCの使用により,従来に比べ大幅な高速・高分離化が可能  LCMS-2020では,プロファイリングやマーカー探索などが可能  LCMS-IT-TOFでは,プロファイリングやマーカー探索に加え,未知代謝物の化合物情報を得ることが可能 超高速液体クロマトグラフ “Prominence UFLC” 四重極型質量分析計 “LCMS-2020” <特長>  高速高分離によるハイスループット分析  優れたメンテナンス性  高いコストパフォーマンス 超高速液体クロマトグラフ “Prominence UFLC” イオントラップ-飛行時間型質量分析計 “LCMS-IT-TOF” <特長>  高速高分離によるハイスループット分析  高いスキャン感度  高精度MSn分析により未知代謝物の化合物情報を取得 apnote_ls_10.indd 4 apnote_ls_10.indd 4 2010/06/30 15:33:132010/06/30 15:33:13

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LC/MSおよびGC/MSを用いたメタボローム解析手法の応用 緑茶葉のプロファイリング解析

4. LC/MSおよびGC/MSを用いたメタボローム解析手法の応用(緑茶葉)

4.1 概要

品評会で順位付けされた9 種の高級 緑茶葉から分析試 料を調製し,Prominence UFLC/LCMS -IT-TOFおよび GCMS-2010 Plusを用いて測定しました。 測定結果を用い,多変量解析の一つである主成分分析を 実施し,順位への寄与が高い化合物を明らかにすることがで きました。その中で代表的な未知化合物に対してMSn分析を 行い,候補となる化合物を推定しました。

4.2 実験

4.2.1 機器

LC/MSには“Prominence UFLC/ LCMS -IT-TOF” を,データ処 理には“ L C M S s o l u t i o n”を用いました 。 GC/MSには“GCMS - QP2 010 Plus”を,データ処理には “G CMSsolution”を用いました。また,マススペクトルラ イブラリには,N IST2 0 0 8年度版と島津GC/MS 代謝成分 データベースを,多変量解析ソフトウエアにはUmetrics社の SIMCA-Pソフトウエアを用いました。

4.2.2 試料および前処理

A県茶葉品評会で順位づけされた緑茶葉のうち,順位が 5,10,15,... ,4550位の茶葉109点を用いました。緑茶葉は 既報の前処理手順2)3) に従い処理をおこないました。(Fig.2, Fig.3)

4.2.3 分析

緑茶に含まれていることが知られている化合物の標準試料 を用いて分離の確認を行い,分析条件(Tables 1-2)を検討し ました。

4.2.4 データ解析

LC/MSではMS1分析の結果からピークを検出し,各ピーク の面積値を用いてピークリストを作成しました。 GC/MSではTICクロマトグラムとマスクロマトグラムを用い てピークを検出し,GC/MS代謝成分データベースとNISTマ ススペクトルライブラリを用いて同定しました。同定されたピー ク面積と内標準物質(リビトール)との面積比を用いてピーク リストを作成しました。 これらのピークリストを併せて多変量解析を行いました。 37 ℃,30分間抽出 遠心分離 減圧遠心分離(メタノール除去) 凍結乾燥 0.1 %ぎ酸含有水/メタノール (1/4)溶液200 μL 0.2 μm PTFEフィルターでろ過 緑茶葉試料10 mg 上清200 μL 残渣 測定試料 液体窒素下にて破砕 水/メタノール/クロロホルム (1 / 2.5 / 1)溶液1 mL Fig.2 LC/MS分析用試料前処理手順 緑茶葉試料 30 mg 液体窒素下にて破砕 内標準(リビトール)添加 抽出液900 μL かく拌後,遠心分離 400 μL MilliQ水添加 かく拌後,遠心分離 上清400 μL 減圧遠心分離(メタノール除去) 凍結乾燥 残渣 200 μL メトキシアミン溶液 (20 mg/mL,ピリジン)を添加 30 ℃,90分間加温 100 μL MSTFAを添加 37 ℃,30分間加温 誘導体化試料 水/メタノール/クロロホルム (1 / 2.5 / 1)溶液1 mL Fig.3 GC/MS分析用試料前処理手順 apnote_ls_10.indd 5 apnote_ls_10.indd 5 2010/06/30 15:33:142010/06/30 15:33:14

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Table 1 LC/MS分析条件

装置 Prominence UFLC series,LCMS-IT-TOF

[LC条件]

 カラム Shim-pack XR-ODS (50 mm L. × 2.0 mm I.D. , 2.2 μm)

 移動相A 0.1% ぎ酸水溶液

 移動相B メタノール

 グラジエントプログラム B濃度 2 % (0 min) ‒ B 60 % (10 min) ‒ B 98 % (10.01-14 min) −B 2 % (14.01 min) ‒ STOP (19 min)

 流量 0.4 mL/min  カラム温度 40 ℃ [MS条件]  イオン化モード ESI (+/- switching)  測定範囲 m/z 100 ‒ 1000  CDL 温度 200 ℃  BH 温度 200 ℃ Table 2 GC/MS分析条件 装置 GCMS-QP2010 Plus,AOC-20i + s(オートインジェクタ) [GC条件]  カラム Rtx®

-5MS (30 m L. × 0.25 mm I.D. df=0.25 mm, Restek Corp.)

 注入温度 250 ℃

 カラム温度 80 ℃(2 min) ‒ (15 ℃/min) - 320 ℃ (20 min)

 注入モード スプリット

 キャリアガス He (Constant Linear Velocity)

 線速度 36.8 cm/sec  スプリット比 25:1  注入量 1 μL [MS条件]  イオン源温度 200 ℃  インターフェース温度 250 ℃  測定範囲 m/z 50 ‒ 1000  イベント時間 0.2 sec  スキャンスピード 5000 u/sec

4.2.5 LC/MSにおける未知合物の分析

多変量解析により重要性の示された未知化合物のm/zを もとにMS3分析による精密質量測定および組成推定を行いま した。Fig.4に,MSn分析による候補の絞込みの様子を示しま す。 MSn分析によって… 質量が小さくなる 質量が大きくなる 推定候補数が飛躍的に増える 推定候補数が飛躍的に減少する MS1 質量 候補数 MS1 MS2 MSn ◎MSn分析による 候補数の減少 質量と推定候補数の関係 MS1 MS2 MS3 MSn分析によるマススペクトル ×質量とともに推定候補数が増加 Fig.4 MSn 分析による候補の絞込み apnote_ls_10.indd 6 apnote_ls_10.indd 6 2010/06/30 15:33:142010/06/30 15:33:14

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LC/MSおよびGC/MSを用いたメタボローム解析手法の応用 緑茶葉のプロファイリング解析

4.3 結果

4.3.1 LC/MSによる分析結果

緑茶に含まれる代表的な化合物の標準試料を市販緑茶飲 料に添加し,それらの分離を確認しました。Fig.5に,その結 果を示します。10分間のグラジエント溶離で10成分の分離が 達成されました。 また,緑茶葉試料の分析において,最初に分析した試料を 連続分析の間に挟みこみ,繰り返し分析することで保持時間 およびピーク面積再現性を算出し,分析途中の経時変化によ るデータ変動を確認しました。Fig.6に,その結果を示します。 強度の高い5成分において,高い保持時間再現性が得られた ことが分かります。 Peaks

1: (-)-Gallocatechin, 2: Theophylline, 3: (+)-Catechin, 4: (-)-Epigallocatechin, 5: Caffeine, 6: (-)-Epigallocatechin gallate, 7: (-)-Epicatechin, 8: (-)-Gallocatechin gallate,9: (-)-Epicatechin gallate, 10: (-)-Catechin gallate

-:441.0829 (2.00) -:289.0725 (2.00) -:457.0791 (2.00) -:305.0686 (2.00) +:443.0973 (2.00) +:291.0848 (2.00) +:459.0927 (2.00) +:307.0800 (2.00) +:195.0882 (2.00) +:181.0707 (20.00) -:TIC +:TIC 1 2 3 4 5 6 8 9 7 10 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 0.0 2.5 5.0 7.5 Intensity (x100,000,000) min Fig.5 市販緑茶飲料水中カフェイン,テオフィリンおよびカテキン類のクロマトグラム

A

B

C

D

E

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 min 0.00 0.25 0.50 0.75 1.00 1.25 1.50 1.75 2.00 Intensity (x100,000,000) %RSD Area R.T. A 2.087 0.201 B 3.174 0.216 C 2.213 0.182 D 2.861 0.149 E 0.821 0.129 Fig.6 緑茶葉試料の重ね描きクロマトグラム(1, 20, 40, 60, 80回目の分析結果) apnote_ls_10.indd 7 apnote_ls_10.indd 7 2010/06/30 15:33:142010/06/30 15:33:14

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4.3.2 GC/MSによる分析結果

Fig.7に,緑茶葉試料のTICクロマトグラムを示します。 Table 4に,検出された約100ピークについてGC/MS代謝成分 データベースおよびNISTライブラリを用いて同定した結果を 示します。糖類,アミノ酸類および有機酸類など71化合物を同 定することができました。 (×10,000,000) TIC 1.25 1.00 0.75 0.50 0.25 0.00 5.0 7.5 10.0 12.5 15.0 17.5 20.0 22.5 25.0 Fig.7 緑茶葉抽出試料のTICクロマトグラム Table 4 同定された化合物と保持時間

ID Compound Name RT ID Compound Name RT

1 L-Alanine-2TMS 4.82 37 Lyxose methyloxime-TMS 1 10.11

2 Oxalic acid-2TMS 5.15 38 Asaparagine-3TMS 10.11

3 Malonic acid-2TMS 5.93 39 Lyxose methyloxime-TMS 2 10.22

4 Urea-2TMS 6.27 Ribitol-5TMS (IS) 10.58

5 Serine-2TMS 6.48 40 L-Glutamine-4TMS 10.58

6 Methyl 5-oxo-2-pyrrolidinecarboxylate 6.56 41 Xylonic acid-3TMS 10.66

7 Ethanolamine-3TMS 6.58 42 Theanine 10.83

8 L-Leucine-2TMS 6.63 43 L-Glutamine-3TMS 10.87

9 Phosphoric acid-3TMS 6.67 44 Shikimic acid-4TMS 11.11

10 L-Isoluecine-2TMS 6.85 45 Citric acid-4TMS 11.23

11 L-Threonine-2TMS 6.86 46 Caffeine 11.51

12 L-Proline-2TMS 6.89 47 Quinic Acid- TMS 11.57

13 Glycine-3TMS 6.98 48 Fructose-Methyloxime-5TMS 1 11.65

14 Succinic acid-2TMS 7.01 49 Fructose-Methyloxime-5TMS 2 11.72

15 Glyceric acid-3TMS 7.22 50 Glucose-Methyloxime-5TMS 11.83

16 Fumaric acid-2TMS 7.31 51 L-Lysine-4TMS 11.89

17 L-Serine-3TMS 7.50 52 Mannose-Methyloxime-5TMS 11.96

18 3,4-Bis[(trimethylsilyl)oxy]dihydro-2(3H)-furanone-2TMS 7.65 53 L-Tyrosine-3TMS 12.02

19 L-threonine-3TMS 7.75 54 Benzoic acid-4TMS 12.14

20 L-Aspartic acid-2TMS 8.05 55 Gluconic acid-5TMS 1 12.47

21 4-Ketoglucose methyloxime-3TMS 8.50 56 Palmitic acid-TMS 12.60

22 2-Methylmaric acid-3TMS 8.52 57 Gluconic acid-5TMS 2 12.62

23 Arabino-Hexos-2-ulose-4TMS 8.61 58 Inositol-6TMS 13.08

24 Malic acid-3TMS 8.64 59 Galactose-Methyloxime-5TMS 13.32

25 L-Aspartic acid-3TMS 8.91 60 Phosphoric acid propylester-4TMS 13.65

26 Pyroglutamic acid-2TMS 8.95 61 Stearic acid-TMS 13.79

27 4-aminobutyric acid-3TMS 8.98 62 L-Tryptophan-3TMS 13.82

28 L-Norvaline-3TMS 9.13 63 Xylopyranose-4TMS 14.37

29 L-Threonic acid-4TMS 9.28 64 Glucose-6-phosphate-Methyloxime-5TMS 1 14.40

30 Isopropylmalic acid-3TMS 9.40 65 Glucose-6-phosphate-Methyloxime-5TMS 2 14.47

31 Glycerol-3TMS 9.54 66 Glucoheptulose-Methyloxime-TMS 14.74

32 Ornithine-3TMS 9.65 67 Di-n-octyl phthalate 15.53

33 L-Glutamic acid-3TMS 9.70 68 Maltose-8TMS 15.79

34 Phenylalanine-2TMS 9.79 69 Sucrose-8TMS 16.16

35 Asparagine-4TMS 9.81 70 Arabinopyranose-4TMS 16.33

36 2,3,4,5-Tetrahydroxypentanoic acid-1,4-lactone-3TMS 10.01 71 Raffinose-8TMS 19.92

apnote_ls_10.indd 8

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LC/MSおよびGC/MSを用いたメタボローム解析手法の応用 緑茶葉のプロファイリング解析

4.3.3 主成分分析による品質に寄与する成分の探索

Fig.8に,LC/MSおよびGC/MSで検出された代謝物のピー クリストを用いて,主成分分析(PCA)を実施した結果を示し ます。 スコアプロット中の数字は品評会における順位を示してい ますが,順位の高い緑茶葉と低い緑茶葉がグラフの左右に分 かれており,第一主成分軸により順位の差異が示されているこ とがわかります。また,第一主成分軸(PC1)のローディングプ ロットから,各成分の品質への寄与がわかります。順位の高い 緑茶葉に多く含まれる化合物はプラス方向に,逆に順位の低 い緑茶葉に多く含まれる化合物はマイナス方向にプロットされ ています。 これら結果からGC/MSにおける有機酸やLC/MSにおける カテキン類など,それぞれの分析法で品質への寄与が高い成 分が確認されました。 続いて品質への寄与の高い未知成分の代表として,ピーク Xの化合物候補の推定を行いました。

a) PCA Score plot

-10 -5 0 5 10 -15 -10 -5 0 5 10 15 05 10 20 15 25 40 30 35 45 R2X(PC1) : 0.37 R2X(PC2) : 0.16 Q2 : 0.39

High Rank

Low Rank

b) Loading plot of PC1 amino acids saccharides s d i c a c i n a g r o xantines catechines Apparatus Analyte type GC/MS -0.15 -0.10 -0.05 -0.00 0.05 0.10 0.15 p[1] Peak X (Unknown) sugar alcohol LC/MS

High Rank

Low Rank

Fig.8 LC/MSおよびGC/MSによる緑茶葉試料の主成分分析(PCA)結果 apnote_ls_10.indd 9 apnote_ls_10.indd 9 2010/06/30 15:33:152010/06/30 15:33:15

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4.3.4 未知化合物の組成推定

ピークXのMS3分析のデータを用いて,精密質量情報より組 成式を推定しました。Fig.9に,その結果を示します。 組成推定ソフトウエアより,ピークXの組成式はC14H16O10で あると示されました。

C

14

H

16

O

10

Predicted formula of Peak1

345.0818 297.0826 223.0650 443.9989 265.2011 367.0695 153.0178 327.0712 153.0203 327.0672 309.0658 139.0469 MS1 MS2 MS3 100 200 300 400 m/z 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 Inten.(×1,000,000) 100 200 300 400 m/z 0.0 1.0 2.0 Inten.(×1,000,000) 100 200 300 400 m/z 0.0 0.5 1.0 1.5 Inten.(×100,000) Fig.9 ピークXのマススペクトルと組成推定結果 apnote_ls_10.indd 10 apnote_ls_10.indd 10 2010/06/30 15:33:152010/06/30 15:33:15

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LC/MSおよびGC/MSを用いたメタボローム解析手法の応用 緑茶葉のプロファイリング解析

4.3.5 未知化合物の化合物候補推定

4. 3.4において組成推定ソフトウエアにより得られた組成 式「C14H16O10」をWebで公開されているデータベースを用い て検索したところ,ポリフェノールの一種であるテオガリン (Theogallin)の可能性が示されました。 そこで,テオガリンの構造を元にマススペクトルの帰属を 行ったところ,ピークXはテオガリンであると示唆される結果 が得られました。(Fig.10) 345.0818 297.0826 223.0650 443.9989 265.2011 367.0695 153.0178 327.0712 MS1 MS2 MS3 m/zcalc.345.0822 0.4 mDa m/zcalc.327.0716 0.4 mDa 153.0203 327.0712 309.0628 139.0469 m/zcalc.327.0716 0.4 mDa m/zcalc.153.0188 1.0 mDa m/zcalc.153.0188 1.5 mDa m/zcalc.309.0610 1.8 mDa m/z 153 C7H5O4+ m/z 309 C14H12O8+ m/z 327 C14H14O9+

HO

OH

O

O

OH

OH

O

OH

HO

HO

Theogallin

C

14

H

16

O

10

Exact Mass : 344.0743

100 200 300 400 m/z 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 Inten.(x1,000,000) 100 200 300 400 m/z 0.0 1.0 2.0 Inten.(x1,000,000) 100 200 300 400 m/z 0.0 0.5 1.0 1.5 Inten.(x1,000,000) Fig.10 テオガリンの構造式とピークXのマススペクトルの帰属 apnote_ls_10.indd 11 apnote_ls_10.indd 11 2010/06/30 15:33:152010/06/30 15:33:15

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A改訂版発行 2010年6月 初 版 発 行 2010年4月 *本資料は発行時の情報に基づいて作成されており,予告なく改訂することがあります。 3218-06006-30A-IK 2010.6

5. まとめ

本資料では,メタボロミクスの概要説明と代表的な分析法 であるLC/MS, GC/MS,およびこれらによる実際の分析例と して緑茶葉の品質評価例についてご紹介しました。LC/MS やGC/MSは単独でも十分な分析能力を持っており,GC/MS のデータベース検索やLCMS -IT-TOFの組成推定能力など 各々の長所がメタボロミクスの分野で活用されています。ま た,これら分析法を組み合わせることにより,広範な特性をも つ代謝物を分析可能とし,メタボロミクスやその応用範囲にお いてより広範囲な網羅的解析が可能になります。

[謝辞]

本研究を行うにあたり,大阪大学大学院工学研究科生命先端工学専攻 教授 福崎英一郎先生,准教授 馬場健史先生ならびに 研究室の皆様に多大なご指導とご協力を賜りました。

[参考文献]

1) Fukusaki, E.; メタボロミクスの可能性と技術的問題. 生物工学 2006, 84, 231-234 2) Pongsuwan, W.; Fukusaki, E.; Bamba, T.; Yonetani, T.; Yamahara, T.; Kobayashi, A.

Prediction of Japanese Green Tea Ranking by Gas Chromatography/Mass Spectrometry-Based Hydrophilic   Metabolite Fingerprinting. J. Agric. Food Chem. 2007, 55, 231‒236.

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Table 1 LC/MS分析条件

参照

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