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斜面住宅地における地域住情報データベースの構築・活用手法に関する研究 [ PDF

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(1)斜面住宅地における地域住情報データベースの構築・活用手法に関する研究. 西崎 拓郎. 1. 研究の背景と目的. 3. 住情報 DB の構築. 人口減少社会を迎えたわが国において、住宅需要の. 3-1. 住情報 DB の枠組み. 減退による空家や空宅地の増加及び、住民の高齢化や. 住情報 DB の活用までの流れは、情報の収集から始. 不在住化に伴う管理能力の低下によって、住宅・宅地. まり、管理・更新、活用の三つの段階で行われる ( 図 1)。. の劣化が進み、住環境の荒廃を招くことが危惧される。. また、収集にあたっては、住民まちづくり活動の主体. こうした問題は早期に形成された斜面住宅地では既に. であるまちづくり協議会や自治会の範域における住情. 顕在化しており、増加する空家・空宅地の保全管理を. 報を対象にする。住情報の管理、活用には地理情報シ. 図りつつ、居住密度の低下に応じた住宅地の再編を誘. ステム ( 以下 GIS) を用い、専門家の技術支援を受け、. 導する仕組みづくりが急務となっている。. まちづくり活動を行う際の意思決定を手助けするツー. これに対し、地域住民組織の中には、空家・空宅地. ルとして機能することを想定している。. 対策を課題視し、その実態把握に取り組むものもみら. また、住情報 DB はそれぞれの画地注 2)が大きさと詳. れる。さらに、高齢世帯の情報など住民組織が把握し. 細な位置関係を持つベクタデータで構成し、画地単位. ている諸情報の中には住宅・宅地管理の不全化を事前. の DB として構築する。. に捉え、対策の立案に寄与する情報も少なくない。し. 3-2. 住情報 DB の構成. かし、こうした情報は、組織別、目的別に収集される. 住情報 DB を構築する上で解決が求められる課題は、. にとどまり、地域の住情報を一元的に管理・活用する. 1) 土地利用を把握しやすい構成であること。2) 住民. ためのシステム構築はなされていない。. による情報収集が可能なデータ形式であること。3) 情. 以上の問題意識より、本研究では居住収縮の進行す. 報の更新に用いる ID を作成し重複を避けること。4). る斜面住宅地を対象とし、住宅地に関する情報を管理・. 画地の分割・統合に対応すること。5) 年度毎の更新、. 活用するための地域住情報データベース ( 以下、住情. 情報の蓄積が可能であることが挙げられる。この 5 点. 報 DB) を構築し、住宅地の保全・再編のためのデータ. を考慮しながら住情報 DB を構築した。以下に、住情. ベース活用手法について考察することを目的とする。. 報 DB の特徴を記す。. 2. 研究対象地区の概要. 土地利用を把握しやすい構成とするため、土地利用. 本研究では、北九州市八幡東区枝光一区(2008 年人 注 1) . を示すレイヤを世帯レイヤ、建物レイヤ、宅地レイヤ. 、グロス面積 44.8ha). の三つに分類した ( 図 2)。それぞれのレイヤには DB. を 研究対象地区とする。当地区は、旧八幡製鉄所に近. から情報を統合し、属性情報をレイヤ別に表示するこ. 接し、標高 5 ~ 110m にかけて住宅が立地する斜面住宅. とが可能である。また、統合する情報は、地域住民に. 地であり、製鉄所の再編・合理化やモータリゼーショ. よる点検活動から収集可能な土地利用に関する情報及. ンの進展に伴う相対的な利便性の低下により、居住世. び地域住民組織が所有している居住世帯に関する情報. 帯の減少や高齢化が急激に進行している。. とする ( 表 1)。これらの情報は世帯毎、画地毎にひと. 口 3,430 人、高齢化率 36.2%. つのデータをもつ DB であるため、新しい情報の編集. 地域住情報 phase.1. 収集. 点検活動による土地利用や管 理主体に関する情報の収集。 自治会所有の居住世帯情報。. 町内会 / 自治会 点検活動のマニュアル化 ○防災点検区内巡視 ○総合点検まち歩き. phase.2. 管理 ・ 更新. 収集された住情報の一元化と 継続管理および経年的な情報 更新。. phase.3. が容易である。. 活用. さらに、土地利用を示すレイヤに加えて、住民によ. 地域の問題箇所や管理不全の 把握。まちづくり活動を進め る際の対策立案。. る管理行為を示す「管理レイヤ」を設けた。これは、. 自治会 / まちづくり協議会 / 市民センター. 空画地注 2)と管理世帯をラインで連結するものであり、. 専門家による技術支援 ( 地理情報システム ). 現在の管理状態を可視化するとともに、住民の不在住. ○GIS へ情報の統合 ○ツールの更新. ○現状把握 ○将来予測. 化によって連鎖的に発生する管理不全を捉えることが 可能となる。. 図 1. 地域住情報の管理活用の枠組み. 28-.

(2) 4. 住情報 DB の活用手法ー住宅地の現況把握. まず、相関係数の算出に用いる土地利用変化を図 5. 構築した住情報 DB の活用手法は、目的に応じた住. に示す。期首の土地利用状態を居住世帯のある画地、. 宅地の現況把握と土地利用推移の予測がある。. 空家のある画地、空宅地に分類し、その後、1) 居住世. まず、現況把握の一例に、住情報 DB に統合された. 帯が不在住化するか、から始まり、2) 空家に入居があ. 属性情報をレイヤ別に組み合わせて可視化した主題図. るか、3) 空家が除却されるか、4) 空宅地に新築され. を作成し、住宅・宅地の利用状態と管理世帯の空間的. るか、5) 空宅地が駐車場利用されるか、の 5 つの分岐. 分布を図 3 に示す。この図から、管理されていない空. を設定する。期末の土地利用状態としては、居住世帯. 家や空宅地だけでなく、管理世帯の高齢化が進み、近. のある画地、空家のある画地、駐車場利用される画地、. いうちに管理行為が不安定化する恐れのある土地・建. その他空宅地とした。. 物を把握することができ、対策を検討するための有効. 次に、相関係数の算出に用いる画地に関する指標を. な資料となる。. 表 2 に示す。土地利用に影響を与える画地の属性とし. 5. 住情報 DB の活用手法ー土地利用推移の予測. て道路・宅地基盤に関するもの、画地の状態に関する. 5-1. 土地利用推移の予測方法. もの、居住状態に関するものから指標を選択した。距. 次に、住情報 DB を用いて地区の土地利用推移の予. 離や集積量などいくつかは、GIS の空間解析機能を用. 測を行い、その結果について考察する。. いて算出している。これらの指標は、図 7 中の分類の. はじめに、将来予測の全体の流れを図 4 に示す。予. ように区分した。. 測の手順は、1)2003 ~ 2008 年の期間において、画地. 続いて、設定した相関係数の算出に用いる土地利用. の属性が土地利用変化に与える影響の度合いを、相関. 変化 ( 図 5) と画地に関する指標 ( 表 2) を用い、図 6. 係数として算出する。2) 相関係数と 2008 年の画地属. の方法で指標を数量化し、指標の区分毎に相関係数を. 性から 5 年後の 2013 年の土地利用を予測する。3) 同. 求めた ( 図 7)。世帯の不在住化に関する相関係数をみ. 様に 2013 年の画地属性から 2018 年の土地利用を予測. ると、特に高齢単身世帯の後期高齢者に該当する年齢. する。という流れで行う。なお、予測を行う対象は、. 区分で不在住化の傾向が強い。また、車輌進入不可の. 住宅用地のみとし、事業所が立地する画地や事業所専. 画地や面積規模が小さい画地で不在住化の傾向が読み. 用の駐車場は土地利用の変化がないと仮定する。. 取れる。空家入居に関する相関係数をみると、車輌進. ○管理世帯 ID ○空家 ID ○空宅地 ID. 管理レイヤ (polyline). 入可、画地周辺の最大高低差が小さいこと、周辺空家 密度が小さいことが特に空家入居に影響している。ま. ※管理レイヤへの情報は、ラインの端点であ る管理世帯と管理対象の画地からそれぞれの 属性情報を格納する。. ○住所 ○所属町会 ●世帯 ID. た、標高が低い場所での入居が多い。空家の除却に関 【世帯調査】 ○居住世帯の有無 ○世帯構成員の  基本属性. 【世帯 DB】 Excel ●世帯 ID ○世帯型 ○世帯構成員の属性. 世帯レイヤ (point). 【画地 DB】. ○住所 ●建物 ID. Excel. ●建物 ID ○建物用途 ○空家の状態 ○空家の劣化状態 ○空家の管理状態. 建物レイヤ (polygon) ○地番 ○画地内車輌進入可否 ●宅地 ID. 地の標高が低いこと、画地周辺の最大高低差が小さい. 【点検調査】 ○空画地の位置 ○空画地の状況 ○空画地化への  経緯. ●宅地 ID ○宅地用途 ○空宅地の状態 ○空宅地の劣化状態 ○空宅地の管理状態. 【ツールの作成・活用】 ○地域点検マップ ○地域住環境カルテ. 各住情報DBの内容. 情報収集と活用. 宅地レイヤ (polygon) ※建物のある画地では建物レイヤに建物情報を統合 し宅地レイヤに宅地情報を統合する。建物のない画 地では宅地レイヤに宅地情報のみ統合する。. GISデータベースの構成. 自 治 会. する相関係数をみると、前面道路の幅員 6 m以上、画. 図 2. 地域住情報データベースの構成 表 1. リソース情報の種類と収集方法 世帯 DB (Excel DB) 居住世帯に関する情報. 画地 DB (Excel DB) 画地に関する情報. 建物に関する情報. 空宅地に関する情報. 町丁名・住所・町会名. 町丁名・住所・町会名. 建物ID. 地番ID. 世帯ID. 用途. 空家の状態(未利用・転用). 空宅地の状態(未利用・転用). 世帯型. 車輌アクセス条件. 住宅形式. 滅失住宅形式. 世帯構成員の属性. 画地面積. 住戸数. 空宅地の劣化状態. 空家の劣化状態. 菜園利用者の基本属性. 管理状態の基本属性. 管理者の基本属性. 0 管理状態. 各種名簿 自治区会作成の世帯名簿 「ひとり暮らし高齢者 地域交歓のつどい」の 参加者名簿. 地域住民による点検活動および調査 防災区内巡視. 総合点検まちあるき. 凡 例. 空画地の補足調査. 目 防災・防犯上の危険箇所 的 の点検. 住宅・住環境の総合点検 空画地の状態の把握. 空画地の確定 空画地の老朽度調査. 方 法 まちあるきによる現地調査. まちあるきによる現地調査. 現地踏査 町会長へのヒアリング. 参 まち協役員・町内会長 加 研究室 者. 町内会長・研究室. 研究室. 20. 40m. その他の世帯 による管理 前期高齢世帯 による管理 後期高齢世帯 による管理. 居住世帯. 空家. 空宅地の用途. その他の世帯. 空家(老朽). 駐車場. 前期高齢世帯. 空家(非老朽). 菜園. 後期高齢世帯. 未利用地. ※ 長家住宅や共同住宅といった複数世帯が居住する建物には複数の居住世帯のポリゴンが描画される。. 図 3. 住宅・宅地利用と管理世帯の表示例. 28-.

(3) 表 2. 予測に用いる画地の指標と算出方法. こと、周辺空家密度が小さいことが空家の除却に影響 している。また、画地面積規模では大小二つの区分で. 指標. 算出方法. 車輌進入可否. 属性情報. 除却に影響している。これは、接道する 300 ㎡以上の. 道路・宅地 車輌進入可能道路までの距離区分 前面道路幅員区分 基盤. 画地は駐車場経営に向いていることから除却が促進さ. 画地の状態. れ、100 ㎡以下の画地では、除却・維持管理のコスト. 居住状態. の低さや転用への負担が少ないことによる除却が多い. 5mの画地バッファに重なる画地の最大標高値−最小標高値. 画地面積. GISで求積. 周辺空家密度. 半径50mバッファに重なる空家をカウントしha当たりに換算. 世帯型. 属性情報. 世帯主年齢. 属性情報. 例:車輌進入可道路幅員6m 以上と不在住化の 2 組のデータ 「車輌進入可道路幅員6m 以上」であれば「1」, 不在住化であれば「1」異なる場合は「0」とする. 画地面積規模 200 ㎡以上、標高が低いことが特に影響. 相関係数の算出 2組のデータ (xi,yi),(i=1,2,3,・・・・,n) が与えられた時. している。また、駐車場利用については、車輌進入可. ※ 相関係数は -1< r < 1 の実数値であり、rが1に近いときは2組のデータに強い相関関係があり、rが -1 に近いときは負の相関関係にある。. 図 6. 相関係数の算出方法. つ指標が少なく、道路幅員が広いほど、画地周辺の最. 不在住化. 大高低差が小さいほど、駐車場利用される傾向が強い。 世帯型と世帯主年齢区分. その他の世帯型. 0. ※ 1. を得た ( 図 8)。まず、空家についてみると、急峻な地 画地面積区分. 形条件をもつ地区の東側で多くの発生と集積が予測さ れた。駐車場は地区の全体に分布し、一方、その他空 宅地はさらに密度が高くなっている。比較的平坦で道. 車輌進入不可. 接道条件. 土地利用現況と 2018 年の土地利用の予測結果の分布. 車輌進入可. 以上の流れで土地利用推移の予測を行い、2008 年の. 画地標高区分. に入居 ( 空家への入居や空宅地への新築入居 ) すると. 画地周辺の最大高低差. 予測された画地が点在している。 次に、地区を 5 つのエリアに区分し、実績と予測結 果による空画地構成比と居住密度の推移を示す ( 図. 0.004. 65 ∼ 74 歳. 0.004. 75 ∼ 84 歳. 0.124. 85 歳∼. 0.139 -0.059. 6m∼. 0.057. 2018 年予測. 0.069. 空宅地での新築 に関する相関係数. 0.1 -0.1. 0.137. 0.085. 4m未満. -0.029. 0 ∼ 10m. -0.018. 0. 0.1. -0.029. 0.036. 0.597. -0.039 -0.094. -0.073. 0.038. 0.4. -0.015. -0.050. -0.076. -0.106. -0.053. -0.042. 30m∼. 0.024. -0.010. -0.056. -0.043. 0 ∼ 100 ㎡. 0.080. 100 ∼ 150 ㎡. 0.064. -0.021. -0.050. -0.062. -0.025. -0.090. 150 ∼ 200 ㎡. -0.071. 200 ∼ 300 ㎡. -0.035. -0.040 0.035. -0.085 0.054. 20 ∼ 40 ㎡. 0.002. 60 ∼ 80 ㎡. 0.054. -0.036. -0.068. -0.041. 0 ∼ 3m. -0.025 0.038. 0.095. 0.048. 0.138. 0.092. 0.352. 0.019. 0.079. 0.405 -0.103. 0.089. -0.032. -0.076. -0.070. 0.269. -0.025. -0.039. -0.001. 0.064. 0.006. 0.087. 0.030 -0.028. 0.067. 11m∼. -0.013. -0.022. -0.104. 0.001. 0.058. 0.132. 0.034. 0.467 -0.137. -0.093. 0.031. -0.054. -0.035. 0.097. -0.034. -0.046. 0.068. -0.008. 3 ∼ 6 棟 /ha. 0.023. 0.031. 7 ∼ 11m. 0.009. ※2. 0.072. 0.007. 80 ㎡∼. -0.067. -0.097. 0.133 -0.060. 40 ∼ 60 ㎡. 0.116. 0.108. 0.303. -0.062. 0.035. 6 ∼棟 /ha. 0. 0.372. 0.025. 0 ∼ 3 棟 /ha. -0.4. 0.067. 20 ∼ 30m. 0 ∼ 20 ㎡. 駐車場利用. に関する相関係数. 0.163. 10 ∼ 20m. 3 ∼ 7m. 周辺空家密度. 9)。最も地形が急峻で道路基盤が整っていない中腹 C. 0. -0.054. 85 歳∼. 300 ㎡∼. 路基盤が整った地区の西側では、2018 年までに空画地. 空家の除却. に関する相関係数. 0.1 -0.1. -0.071. 75 ∼ 84 歳. 4 ∼ 6m. 0. -0.092. 65 ∼ 74 歳. 前面道路幅員 可能道路までの距離. 5-2. 土地利用推移の予測結果. 高齢単身世帯. 将来推移の仮定と抽出方法は表 3 のとおりである。. 高齢者のみ世帯. した。なお、土地利用変化が起こる画地の設定に関し、. に関する相関係数. 0.1 -0.1. 0.023. 高齢者を含む世帯. 毎に相関係数の和をとり、その大小で土地利用を予測. 空家入居. に関する相関係数. -0.1. 最後に、予測期間における期首の画地に関する指標. 2013 年予測. xav = (Σxi)/n xi の平均 yav = (Σyi)/n yi の平均. 相関係数 R = Σ(xi - xav)(yi-yav)/(√(Σ(xi-xav)√(Σ(yi-yav)). の画地のみを対象に相関を求めており、負の相関を持. 2008 年 DB. 幅員区分毎にごく短い距離の道路バッファに重なる画地を抽出. 画地周辺の最大高低差. 属性情報である指標を数量化し2組のデータ (xi,yi) の作成. ためだと考えられる。空宅地での新築は、車輌進入可、. 2003 年 DB. 1m区分の道路バッファに重なる画地を抽出. 0.372 0.123 0.019. -0.038. 0.390. -0.044. -0.005. 0.013. 0.197. -0.019. -0.148. 0.036. 0.161. ※1 高齢者の有無及び人数の観点から分類し、複数住戸をもつ画地では「その他の世帯型」 「高齢者を含む世帯」 「高齢者のみ世帯」   「高齢単身世帯」の順に画地を代表する世帯型として扱う。 ※2 駐車場利用の有無は車輌進入可能道路のみを対象としているため車輌進入不可との相関係数は算出しない。. 土地利用変化を予測するための相関係数の算出 2003 年 画地に関する指標 土地利用分岐※における土地利用変化パターン. 図 7. 土地利用変化の分岐における指標毎の相関係数. 相関係数:指標毎の土地利用変化の傾向. 表 3. 土地利用変化の分岐における変化発生量の設定. 相関係数から土地利用変化の予測. 単位:画地数. 2008 年 画地に関する指標 土地利用分岐. 相関係数:指標毎の土地利用変化の傾向 土地利用変化の予測. 土地利用変化. 相関係数から土地利用変化の予測 2013 年 画地に関する指標 相関係数:指標毎の土地利用変化の傾向 算出に用いるもの. 算出するもの. 図 4. 土地利用推移の予測のフロー 居住世帯の ある画地. 空家②. 空家残留. 住環境悪化の要因. 除却 空宅地①. 空宅地①. その他 空宅地. 空宅地 新築. 空宅地. 駐車場. その他 空宅地. 将来推移の仮定. 相関係数の和が一定 以上の画地が駐車場 利用されると仮定す る。. 抽出の方法. 平均寿命を超える単 身者を抽出後、不在 住化に関する相関係 数の和が大きいもの から順に予測発生量 まで抽出する。 ※2. 空家入居に関する相 関係数の和が大きい ものから順に予測発 生量抽出する。. 空家除却に関する相 関係数の和が大きい ものから順に予測発 生量抽出する。. 空宅地新築に関する 相関係数の和が大き いものから順に予測 発生量抽出する。. 03 ∼ 08 年の駐車場 利用から基準を算出 し、期首の時点で駐 車場ではない画地か ら基準を上回る画地 を抽出する。 ※3. 978. 169. 67. 214. 146. 67. 9. 234. 136. 165. 901. 155. 62. 239. 177. 62. 8. 291. 161. 192. 7. 346. 177. 226. 将来推移の仮定の条件のもと土地利用変化発生量の予測値を算出. 駐車場 空宅地②. 除却. 居住世帯のある画地 の減少率と同じ割合 で住宅需要が減退す ると仮定する。. 2008 ∼ 2013 発生量の予測値. 空家① 空家. 空家残留. 空宅地②. 将来推移の仮定の条件のもと土地利用変化発生量の予測値を算出. 土地利用変化の分岐. 空家入居. 空家. 空宅地①. 居住世帯のある画地 の減少率と同じ割合 で空家の除却数が減 少すると仮定する。. 期末の土地利用状態. 不在住化. 継続居住 不在住化 空家入居. 空家②. 居住世帯のある画地 の減少率と同じ割合 で住宅需要が減退す ると仮定する。. 2003 ∼ 2008 発生量. 期首の土地利用状態. 継続居住. 空家①. 03 ∼ 08 年における 居住世帯のある画地 の減少率で今後も居 住世帯が減少すると 仮定する。 ※1. 土地利用変化の予測. ※ 図 5. 土地利用変化のフロー中の各土地利用分岐における相関係数を算出する。以後の土地利用変化の予測もこのフローに従う。 ※ シミュレーションの対象は住宅用地とし、事業所の用途に供する画地は対象から除外している。. 居住世帯の ある画地. 2013 ∼ 2018 発生量の予測値. 住環境悪化の要因. 空宅地に 新築入居 ※ 空宅地②において駐車場利用の分岐では「車輌進入可」の画地のみを対象とし、 「車輌進入不可」の画地はその他空宅地とする。. 図 5. 予測に用いる土地利用変化のフロー. 28-. 827. 144. 57. 264. 207. 57. ※1 国立社会保障・人口問題研究所「日本の市区町村別将来推計人口 (2008 年 12 月推計 )」より、対象地区が含まれる八幡東区の   人口推計が 2005 ∼ 2010,2010 ∼ 2015 年の各区間ともほぼ等しい減少率で減少していることから。 ※2 2008 年の平均寿命は男性 79.29 歳 , 女性 86.05 歳 ( 厚生労働省 ) である。 ※3 駐車場需要の限界がある一方で、比較的利便性の高い場所における駐車場利用は促進されるという考えから、相関係数の合計   を用い基準を設定する。基準は 03 ∼ 08 年で駐車場利用された画地の『相関係数の和の平均』とする。また、期首の時点で駐   車場である画地は期末においても駐車場利用されると仮定する。 ※4 20XX ∼ 20XX の画地数は期首の画地数を基準にしている。このため実際の土地利用変化である 2003 ∼ 2008 の期間では画地   の分割及び統合が発生しており 2008 ∼ 2013 の画地数とは異なる。例として 2003 ∼ 2008 の駐車場は 136 画地となっている   が、分割及び統合を考慮した場合 135 画地となる。また予測する上では画地の統合及び分割の可能性は考慮しない。.

(4) を筆頭に、山手、中腹 B において空画地の増加及び世. 2008 年. 空家 146 棟. 2018 年予測. 空家 207 棟. 2008 年. 駐車場 135 画地. 2018 年予測. 駐車場 177 画地. 2008 年. その他空宅地 164 画地. 帯の減少が著しい。一方、南斜面であり、他の中腹に 比べて標高が低い中腹 A と平地では、居住世帯数の減 少が緩やかであり、平地では空画地面積が減少すると 予測された。. 5-3. 地区の保全・再編についての考察 最後に、土地利用推移の予測結果をもとに、地区の 保全・再編のあり方について考察する。まず、図 9 を みると、山手、中腹 C、中腹 B では居住密度が ha 当た り 10 世帯以上低下することから、コミュニティの活 力低下が懸念される。さらに、山手、中腹 C では住民 の管理負担の程度を示す世帯当たりの空画地面積が急. 2018 年予測 その他空宅地 226 画地. 激に増加すると予測され、空画地の増加による住環境 悪化を嫌った住民流出が今後加速し、予測結果以上の 推移となる恐れすら考えられる。 このように、管理対象である空画地の増加とともに、 管理主体が減少する住宅地では、個人の管理負担を補 03 ∼ 08 年. うために、まちづくり協議会などの地域住民組織を中. 08 ∼ 18 年. 空画地入居 76 画地. 空画地入居 94 画地. 中腹 A 中腹 B. 心とした空家・空宅地の地域共同管理の在り方や支援 策の検討が必要である。また、世帯減少の著しいエリ アでは、居住密度の低下に起因するコミュニティの活. 山手. 平地. 力低下を防ぐとともに、社会サービスを受けやすい利. 中腹 C 0. 便性の高い箇所へ居住を促進するため、現在あるス トックを活用しながら居住に適した空家や宅地の流通. ※       ※. を促し、居住を誘導する仕組みづくりが課題であると. 図 8. 予測後の土地利用の分布. 考えられる。. エリア 区分. 6. まとめ. 年. 空家の画地面積 空宅地面積 ( 駐車場除く ) 構成比 構成比. 0. 10. 20. 30. 40. 50. 居住世帯密度 % 世帯 /ha. 準グロス 面積 (ha). 山手. 2008 年 2013 年. 2013 年. 6.08. 17.8% 23.7% 32.6% 38.1%. 54.6 48.1 38.0 34.6. 32.7 49.4 85.8 110.1. 5.26. 14.2% 17.0% 22.0% 32.0%. 52.9 49.6 43.0 36.7. 26.9 34.3 51.2 87.0. 3.88. 10.6% 12.2% 11.2% 12.9%. 45.7 43.3 40.5 38.2. 23.3 28.2 27.7 33.9. 11.34. 4.8% 6.7% 3.9% 3.6%. 62.3 58.5 57.7 57.4. 7.7 11.4 6.7 6.3. 30.09. 12.4% 15.3% 17.3% 20.6%. 54.2 50.1 45.6 43.1. 22.9 30.6 37.9 47.8. 2003 年. 中腹 B. 2008 年 2013 年 2018 年. 2) 画地の属性が土地利用変化に与える影響を数値化. 2003 年. 中腹 A. し、画地単位の土地利用推移の予測手法を構築した。. 2008 年 2013 年 2018 年. 3) 土地利用推移の予測から、空画地や利活用が期待で. 2003 年. 平地. きる画地を事前に把握するとともに、地域共同管理や. 2008 年 2013 年 2018 年 2003 年. 居住の誘導など保全・再編に向けた課題を提示した。 全体. 今後の研究課題は、集合住宅立地による多数の世帯. 2008 年 2013 年 2018 年. (㎡ / 世帯). 69.0 84.9 113.6 136.9. 2018 年. 1) 複数のレイヤ構成で土地利用や居住状態を表現し、 管理レイヤの構築により管理状態を視覚化した。. 2008 年. 居住密度 ( 世帯 /ha). 3.54. 2003 年. 中腹 C. 空画地 構成比. 38.7 34.8 29.4 26.9. 2018 年. 報と地域住民組織が所有する世帯情報から GIS を用い た住情報 DB を構築し、以下の成果を得た。. 500m. 26.7% 29.5% 33.4% 36.8%. 2003 年. 本研究では、地域における点検活動で収集可能な情. 100 200 300. 空画地入居は居住世帯のある画地のうち空棟もしくは空宅地に新しく世帯が入居した画地であり 2013 年と 2018 年の予測で空画地入居と予測された画地数を示している。実際には 2013, 2018 年の二回の予測で延べ 134 の空 画地入居が予測されたが、シミュレーションの性質上、一度不在住化と判定された空家に入居するという予測が 二度起こることがあり、実質 94 画地で空画地入居が確認されたことになる。 既往研究において地区を構成する 20 の町会を地形条件や道路条件から、5 つのエリアに分類している。. ど積極的な土地利用の可能性の考慮と実際の土地利用. ※ ※   ※   ※. 変化の事例から条件設定をより詳細にした精度の高い. 図 9. 実績及び予測による空画地構成比と居住密度の推移. 入居、利便性の高い施設の立地、空宅地の菜園利用な. 予測手法の開発が挙げられる。 注 1) 住民基本台帳による 2008 年 9 月 30 日現在の人口、年齢別人口の集計結果による。 2) 利用状況に応じた境界または物理的境界によって区切られたひとまとまりの宅地。 また、空家住棟の立地する宅地および空宅地を空画地と呼ぶ。. 28-. 空画地構成比は空画地 ( 駐車場除く ) 面積を準グロス面積 ( グロス面積より公園・道路・自然緑地を引いたもの ) で除したもの 2013、2018 年の居住世帯数は不在住化後、新しく世帯の入居や新築があると予測された画地では、居住世帯数1とカウントし ている。また、不在住化することなく居住世帯があると予測された画地は 2008 年時点と同じ居住世帯数としている。 2003 年の居住世帯に関する情報は得られていないため、2008 年の居住世帯数から推定した。両時点で居住世帯のある画地は  2008 年の世帯数を採用し、2003 年に居住世帯があり 2008 年に空家である画地は住戸数だけ居住世帯が存在するとした。 居住密度は居住世帯数を準グロス面積で除したもの. 謝辞 本研究にあたり、枝光第一自治区会ならびに枝光一区地域まちづくり協議会の皆様に 多大なご協力を頂きました。記して深謝いたします。 参考文献 1) 居住収縮の進行する斜面住宅地における地域住情報データベースの構築に関する研究 安部英輝 平成 19 年度人間環境学研究修士論文梗概集 2) 居住収縮が進行する斜面住宅地における住宅・宅地の利用動態 志賀勉ほか 平成 21 年度日本建築学会学術講演梗概集.

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参照

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