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博 士 学 位 論 文 審 査 要 旨

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Academic year: 2021

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(1)

[博士-審査要旨]

博 士 学 位 論 文 審 査 要 旨

学位申請者氏名 兵藤 孝次

論 文 題 目 STATISTICAL QUALITY CONTROL FOR CONSTITUENT YIELDS IN CIGARETTE SMOKE

審査委員(職名・氏名・印)

主 査 教 授 岩崎 学

審査委員 教 授 小口喜美夫

教 授 中野有紀子 教 授 長塚 豪己

論文審査結果(合 否) 合 格

論文審査の要旨

現在,紙巻たばこ製品の個装には,ISO規格で定められた機械喫煙条件下で測定された“たばこ1 本あたりの煙中のタール量およびニコチン量”がそれぞれ表示されている。そのため,“たばこ 1本 あたりの煙中のタール量およびニコチン量”は,たばこ製品における重要な品質管理特性として扱わ れている。しかし,たばこ製品の煙中成分量の変動には,化学分析に伴う変動に加え,長期のたば こ製造に伴う変動,農作物である葉たばこを使用していることに伴う変動等,様々な要因の存在が 挙げられる。そのため,たばこの煙中に含まれる新たな成分量の理解には,妥当性が確認された分 析法が必要不可欠であり,そのような分析法により得られた成分量,変動要因の把握が必要である。

本論文は,たばこ煙中のタール量,ニコチン量に加え新たな成分量に関する情報による,様々なた ばこ製品のより詳細な特徴付け,たばこ製品間の識別を目指し,煙中成分量の統計的品質管理に向 けた各種検討が扱われている。

本論文は大きく3部構成となっている。第1部は,煙中のタール量およびニコチン量の品質管理 をベースとした上で,それら以外の新たな煙中成分量の品質管理に関する検討として,ISO 規格等 で定められた標準的な機械喫煙条件下で捕集した煙中成分量の変動に関する3つのテーマが扱われ ている。第2部は,煙中成分量の予測に関する2つのテーマが扱われている。一点目は予測式の各 種検討,二点目は予測式の時系列安定性に関する検討が行われている。第3部は,喫煙者の喫煙行 動を反映した煙中成分量の把握に関する検討が行われている。

本論文は8章で構成されている。序章である第1章では,本論文が必要とされる背景を述べると ともに,論文全体の構成が示されている。本論文の主要な成果は第2章から第7章で述べられてお り,上述の第1部は第2章から第4章,第2部は第5章および第6章,第3部は第7章に該当する。

それらは申請者の公刊学術論文4報(第3,4,5,7章)および学会発表内容2報(第2,6章)に 対応している。そして最後の第8章では,全体の総括が行われている。以下,各章の内容を簡単に 紹介する。

(2)

[博士-審査要旨]

論文審査の要旨(続)

第 2 章は,” Long-term inter-laboratory comparisons of selected smoke constituents in KY2R4F

mainstream smoke” と称される章である。3試験所が試験用モニターたばこKY2R4Fを対象に,標準

の機械喫煙条件下で捕集した煙中の41種の成分の量を分析した。各試験所が開発した方法を用いて 3年間に亘る15回の分析結果より,長期の試験所間変動が明らかにされている。試験所間の変動は 1回の試験ではなく長期に亘る試験により把握することの重要性が示されている。

第3章は,”Selected constituent yield variation in the smoke of commercial cigarette brands on the

Japanese market”と称される章である。日本市場の主要な19種の銘柄のたばこ製品を用いて,標準の

機械喫煙条件下で捕集した煙中の11種の成分量の10か月の変動に着目した。10か月のたばこ製品 の製造に伴う煙中成分量の変動に,試験所間の変動を加味した変動も既存データより推定し,提示 されている。煙中成分量の品質管理に向けた管理幅を設定する場合には,成分量の分析の試験所間 変動,及び製品自体の変動を考慮することの必要性が示されている。

第4章は,” Five-year yield variation in N-nitrosonornicotine and (4-methylnitrosamino)-1-(3-pyridyl) -1-butanone from the smoke of commercial cigarette brands on the Japanese market” と称される章である。

日本市場の主要11種の銘柄のたばこ製品を用いて,標準の機械喫煙条件下で捕集した煙中NNN量,

NNK 量の 5 年間の変動に着目した。いずれのたばこ製品も煙中タール量,ニコチン量よりも煙中 NNN量,NNK量の変動が大きいことが明らかにされている。また煙中NNN量,NNK量は, たば こ刻中NNN量,NNK量との相関が高いことも示されている。

第5章は,“Evaluation of functional relationships for predicting mainstream smoke constituent machine yields for conventional cigarettes from the Japanese market” と称される章である。日本市場の106種の 銘柄のたばこ製品を用いて,標準の機械喫煙条件下で捕集した煙中の42種の成分量を対象に,それ らの予測式が明らかにされている。予測式の予測精度は分析の変動に起因する変動と同程度であり,

予測式の有効性が明らかにされている。更に主要なブレンドタイプであるアメリカンブレンドのた ばこ製品を対象として,本研究で扱った日本市場のたばこ製品とワールドワイドのたばこ製品の予 測式の切片,傾きを成分毎に比較したところ,概ね類似した予測式が得られた。そのため,予測式 は幅広いたばこ製品に対して適用可能な汎用性を有することが示されている。

第6章は,“Establishment of functional relationships for predicting mainstream smoke constituent yields for conventional cigarettes in the Japanese market” と称される章である。日本市場のたばこ製品を用い て,標準の機械喫煙条件下で捕集した煙中の45種の成分を対象に,それらの予測式の長期安定性を 扱っている。2002年,2005年の36種の銘柄のたばこ製品を対象に成分毎,年毎の予測式の切片,傾 きを比較したところ,有意差があるとはいえない結果であった。更に2007年のたばこ製品の煙中成

分量の80 %以上は当該成分の2005年の予測モデルの95%信頼区間内に存在した。そのため,予測

モデルは長期に亘り使用可能であることが示されている。

第7章は,“Estimation of mouth level exposure to smoke constituents of cigarettes with different tar levels

using filter analysis” と称される章である。これまでの章では,標準の機械喫煙条件下で捕集した煙

中成分量を対象としていた。標準の機械喫煙条件は全ての喫煙者の喫煙行動を反映している訳では ない。そのため,喫煙者の喫煙行動を反映した場合の煙中成分量を把握する方法,喫煙者の喫煙行 動を反映した場合の煙中成分量と標準の機械喫煙条件下で捕集した煙中成分量の関係を検討した。

(3)

[博士-審査要旨]

論文審査の要旨(続)

第8章は本論文で得られた知見が総括されている。本論文は,たばこ煙中のタール量およびニコ チン量に加え新たな成分量に関する情報による様々なたばこ製品のより詳細な特徴付け,更にはた ばこ製品間の識別を目的として,煙中成分量の統計的品質管理に向けた各種検討が行われている。

第1部は,煙中のタール量およびニコチン量の品質管理をベースとし,それら以外の新たな煙中 成分量の品質管理に関する検討がなされている。ここでは,たばこ製品の煙中成分量のばらつき低 減,若しくは品質の安定化に向けた有効な知見が得られている。対象とした煙中成分の中で最も大 きな変動を示した成分は,NNN,NNKであった。NNN,NNKのようなたばこ刻中に存在する成分 量は変動が大きくなることが想定されるため,煙中成分量のばらつき低減に向けては,たばこ煙中 に加え,刻中の成分量のモニタリングも必要であることが見出されている。10か月に亘る製造に伴 うたばこ製品の煙中成分量の変動に分析の試験所間変動を加えた変動が提示された。この情報は,

現実的なたばこ製品の煙中成分量の変動の理解に重要な知見であると考えられる。今後,分析手法 の煙中成分量への影響が確認された一部の成分の分析法を改善する必要があると思われる。

第2部は,既に日常的に品質管理を実施している煙中タール量を独立変数とした場合のたばこ製 品の煙中成分量の予測に関する検討であった。ここでは,たばこ製品の煙中成分量を煙中タール量 により簡便に理解する方法が提示されている。煙中成分量は,基本的に煙中タール量を独立変数と した単回帰式により予測可能であることが示されている。一方,NNN,NNK等の成分については 層別をすること,若しくは独立変数を煙中一酸化窒素量 (NO量) とすることで,予測式の決定係数 が高くなった。また,NNN,NNK等はたばこ製品群を特徴付ける成分であることが示されている。

多様なたばこ製品を有する日本市場を対象にした予測式の検討が,予測式を当てはめる製品群の選 定に有益な情報を与えると考えられる。予測式の予測精度は分析精度との比較により,適切な精度 であることが示されている。今後は,例えば現行の予測式に対象煙中成分のたばこ刻中の前駆体成 分量を加えることによる,更なる予測精度向上を検討することが考えられる。

第3部は,喫煙者それぞれの喫煙行動を反映した煙中成分量の把握に関する検討であった。ここ では,喫煙者の各成分のMLE量の簡便な理解を可能とする方法が提示されている。本論文では,

47種の成分中41種の成分で良好な単回帰モデルが得られた。一方,良好なモデルが得られなかっ た成分は,MLEを通じたたばこ製品の理解を促進する可能性が示唆される。今後は,更なるたばこ 製品の特徴付けに向け,異なる喫煙者を対象としたMLE量の理解の深化が必要と考えられる。

本論文は,煙中成分量に関する情報を用いた様々なたばこ製品のより詳細な特徴付け,たばこ製 品間の識別のための煙中成分量のばらつき低減・安定化に向けた知見の集約,更には機械喫煙条件 下で発生した煙中成分量,及び喫煙者の喫煙行動を反映した場合の煙中成分量を簡便に理解する手 法が網羅的に提示されている。

本論文の内容には,4編のレフェリー付き学術論文(申請者が筆頭筆者の海外学術ジャーナル)

として公刊されているものに加え,2編の学会発表(申請者が筆頭筆者で,全て国際学会での発表 内容)が含まれている。

以上の結果より,本論文は 博士(理工学)の学位にふさわしいものであると認められる。

(以 上)

参照

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