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Academic year: 2021

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博士課程用(甲)

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(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

( 氏 名 ) 印

(学位論文のタイトル)

High Stromal TGFBI in Lung Cancer and Intratumoral CD8-Positive T Cells were Associated with Poor Prognosis and Therapeutic Resistance to Immune Checkpoint Inhibitors

(肺癌免疫治療において、癌間質TGFBIとCD8陽性T細胞発現は治療抵抗性に寄与する)

(学位論文の要旨)

1) 背景と目的

近年、非小細胞性肺癌の治療予後は、免疫チェックポイント阻害剤の開発・使用により改善しつつある。抗PD-1 抗体薬のニボルマブは細胞障害性T細胞の活性化を介して抗腫瘍効果を誘発する一方、治療効果を認める症例は 限られる。PD-L1発現や遺伝子変異数が治療効果予測のバイオマーカーとして使用されることが多いが、腫瘍内 発現の不均一性の存在や次世代シークエンサーが必要になるため課題も多い。そこでより効率的、簡便かつ安価 で検索しうるバイオマーカーの開発が必要とされている。近年の研究において、癌関連線維芽細胞におけるTGF- βシグナルの活性化が、免疫チェックポイント阻害剤の感受性に寄与していることが報告された。我々は以前よ りTGF-βシグナルの代表的な下流遺伝子であり、上皮間葉転換(EMT)や抗癌剤耐性に関与するTransforming growth factor-beta-induced protein (TGFBI)に着目し、他癌腫において諸検討を行ってきた。本研究の目的は、

ニボルマブ使用非小細胞性肺癌症例におけるTGFBI発現意義について、明らかにすることである。

2) 研究方法

2016年2月から2017年2月までの1年間で、群馬大学医学部附属病院と日高病院において、再発進行非 小細胞性肺癌に対しニボルマブ投与を行った33症例を対象とした。

それらの検体を用いてTGFBIの免疫組織学的染色を行い、Intensity scoreを使用して低発現群・高発現群に分類 し、TGFBI発現と臨床病理学的因子および治療効果・予後との関連について検討を行った。またPD-L1発現や細胞 障害性T細胞のマーカーであるCD8、制御性T細胞マーカーであるFoxp3、またEMTマーカーであるビメンチン

(VIM)においても免疫組織学的染色を施行し、治療効果・予後の検討や、TGFBI発現との関連について検討を行 った。さらにTGFBIは分泌蛋白として血中に分泌されることより、ニボルマブ投与前の血清を使用して TGFBI/TGF-β1濃度もELISAにて測定を行った。

3) 結果

癌細胞におけるTGFBI発現は、ニボルマブ感受性や予後との相関を認めなかったが、癌間質におけるTGFBI発現と 腫瘍組織内CD8発現においては、ニボルマブ感受性や予後との関連を認めた。つまり癌間質TGFBI高発現群は、低 発現群に比して治療効果が乏しく(p<0.0001)、腫瘍組織内CD8高発現群はニボルマブ投与回数が多く (p=0.0046)、治療効果においても良好の結果であった(p=0.0013)。PD-L1、Foxp3、VIMの検討においては、VIM 低発現群の方が高発現群に比して予後がいい傾向を認めた(p=0.06)。また癌間質TGFBIとVIM発現において、

TGFBI高発現群でVIM高発現となる傾向を認め(p=0.09)、TGFBIがEMT誘導に寄与している可能性を支持する結果と なった。さらに癌間質TGFBI高発現/腫瘍内CD8低発現群は、RECIST1.1を使用して評価を行うと全例Progressive

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博士課程用(甲)

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Disease (PD)であり、癌間質TGFBI低発現/CD8高発現群は全例Partial response+Stable disease(PR+SD)で あった。組織TGFBI発現と、血清TGFBI/TGF-β1濃度の検討においては有意な相関を認めず、また血清TGFBI/TGF- β1濃度においては、いずれも治療効果と相関を認めなかった。

4) 考察

TGFBIはTGF-βシグナルの活性化によって分泌される蛋白としても知られ、コラーゲンやフィブロネクチン、ラ ミニンなどの細胞外蛋白とインテグリンを介して接着することにより、細胞増殖や接着、遊走や分化と関連する と考えられている。こういった点より、癌間質でのTGFBI発現はより重要と考えられた。EMTは免疫チェックポイ ント阻害剤感受性に関連する。非小細胞性肺癌の肺癌細胞株A549を使用した実験において、EMTを誘導すると TGFBIの発現が増加すること、またTGFBIがマイクロRNAを介してEMT誘導因子として作用することが報告されてい る。我々の検討において、TGFBIとEMT関連マーカーであるVIMとは統計的有意差は認めないものの、両者の相関 傾向は認めた(p=0.07)。癌間質TGFBIにてEMTを、CD8にて抗腫瘍効果を評価することが、本検討では有用であっ た。血清TGFBI濃度においては、今回肺癌の検討では組織TGFBI発現や治療感受性と相関を認めず、肺癌において は癌間質組織内での発現がより重要と考えられた。

5) 結語

癌間質TGFBI発現と腫瘍組織内CD8発現を組み合わせて評価することが、ニボルマブの治療効果予測に対する有用 な予後予測マーカーとなると考えられた。

参照

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