海外企業レポート(銘柄概要)
セールスフォース・ドットコム
(salesforce.com, inc.) ティッカー:CRM(NY
証券取引所)
STAGE
コード:04377 セクター:情報技術 業種:アプリケーション・ソフトウエア
クラウド型営業支援・顧客関係管理ソフトの最大手
ポイント
製品ラインアップの拡充にともない、大手顧客数が増加
繰延収益の拡大は、今後の売上高成長を示唆
AI 機能をサービスに追加し、顧客企業の生産性向上を支援
企業概要
1999 年設立のクラウド型企業向けソフトウエア最大手。クラウドサービスによる定期利用(サブスクリプション)
およびサポート収入が売上高の中心。主に営業支援・顧客関係管理(CRM)向け業務アプリケーションを手 掛け、自社開発および企業買収等を通じてサービスを拡充している。
業績推移 財務データ
17/1期(末)
売上高構成比
〈事業別〉(17/1期、%) 〈地域別〉(17/1期、%)
2017 年 9 月 13 日 投資情報部 安田 一隆
総資産 175.8 億ドル 有利子負債 20.1 億ドル 株主資本 75.0 億ドル 営業CF 21.6 億ドル
ROE 2.9 %
出所:ブルームバーグ等のデータよりみずほ 証券作成
31 41
54 67
84
0 20 40 60 80 100
13/1 14/1 15/1 16/1 17/1
売上高
(年次:2013~2017)
(億ドル)
(年/月)
出所:ブルームバーグ等の データよりみ ずほ証券 作成
0.41 0.35 0.52 0.75
1.01
0.48 0.39 0.42 0.07
0.26
1.0 0.5 0.0 0.5 1.0 1.5
13/1 14/1 15/1 16/1 17/1 非GAAP GAAP
EPS
(年次:2013~2017)
(年/月)
(ドル)
(注1)GAAP、非GAAPについては5ページ参照
(注2)GAAPは継続事業ベース
出所:ブルームバーグ等の データよりみ ずほ証券 作成
Sales Cloud 36
Service Cloud 28 Salesforce
Platform その他 17
11
出所:会社資料よりみずほ証券作成
プロフェッショナル・
サービス他 8 Marketing
Cloud
北米・
中南米 74 欧州 16
アジア 太平洋 10
出所:会社資料よりみずほ証券作成
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セールスフォース・ドットコム(CRM)
事業紹介 営業支援・顧客関係管理、カスタマーサービス、アプリ開発、マーケティング等を支 援する業務アプリケーションをクラウドサービスとして提供する。同社サービスを利用 することで顧客企業は従業員の生産性向上やチーム内連携の強化等ができる。
図表 1:主な製品の概要
Heroku クラウド環境でのカスタムアプリケーション開発 AppExchange 2,000以上のクラウドソリューションの検索・インストール Marketing
Cloud Commerce
マーケティング支援。Eメールやモバイル、Webやソーシャルメディア等、顧客とのあらゆる接点における1対1 のマーケティング活動を支援する。Sales CloudおよびService Cloudと見込み客のデータを連動させる Salesforce
Platform
カスタマーサービス支援。コールセンターのオペレーター等向けに、①必要な情報の一元化、②関係者の連 携、③作業指示の作成、④納入商品情報の管理、等を行う
Sales Cloud
営業支援・顧客関係管理(CRM)ツー ル。営業担当者向けに①営業活動履歴(営業日報)の管理、情報共 有、②商談、顧客管理、③営業計画(営業戦略)、売上予測、④営業分析、営業報告、等を行う
Service
Cloud
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セールスフォース・ドットコム(CRM)
ポイント解説 製品ラインアップ の 拡 充 に と も な い、大手顧客数が 増加
2015 年 8 月~16 年 7 月までの 12 ヵ月間、同社の売上高は約 6 割が既存顧客、約 4 割が新規顧客からもたらされた。顧客数は 15 万件を超えた。製品ラインアップの拡 充にともない、同社と複数のクラウドサービスを契約する顧客が増加している(図表 2)。また、大手顧客数も増加。同社クラウドサービスの年間利用額が 100 万ドルを超 える顧客数(16 年 5-7 月期)は約 1,300 件、同 1,000 万ドルを超える顧客数は 84 件 となり、前年同期から大幅に増加した(図表 3)。
図表 3:同社サービスの年間利用額別の顧客数推移
(注)顧客数は概算。16/7 の顧客数は 17/1 通期 見込みを含む
出所:会社資料よりみずほ証券作成
(注)16/7 の顧客数は 17/1 通期見込みを含む 出所:会社資料よりみずほ証券作成
図表 2:複数のクラウドサービスを契約している顧客の割合
出所:会社資料よりみずほ証券作成
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400
12/7 13/7 14/7 15/7 16/7 年間100万ドル以上
(年/月)
(件)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
12/7 13/7 14/7 15/7 16/7 年間1,000万ドル以上
(年/月)
(件)
13 20
75
46
75
95 76
97 99
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
12年5-7月期
(顧客:上位40社)
15年5-7月期
(顧客:上位100社)
16年5-7月期 (顧客:上位200社)
4種類以上 3種類以上 2種類以上
(%)
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セールスフォース・ドットコム(CRM)
繰 延 収 益 の 拡 大 は、今後の売上高 成長を示唆
顧客数の増加や 1 顧客当たりの売上高の増加にともない、繰延収益は着実に拡大し ている。繰延収益とは、成約済みの契約のうち翌(四半)期以降のサービスに対応し て受領した金額であり、貸借対照表上の項目である。サービスを提供する期が到来 すると繰延収益は売上高に振り替えられる。このため、定期利用型のソフトウエアや サポート等のサブスクリプション型事業を手掛ける企業では、将来の売上高を予測す る指標の 1 つとして繰延収益が使われることが多い。同社の 17/1 期末時点の繰延収 益は、未請求分との合計で 16/1 期比 28%増の 145 億ドルだった(図表 4)。
AI機能をサービス に追加し、顧客企 業 の 生 産 性 向 上 を支援
2016 年 9 月、同社は「Salesforce Einstein(アインシュタイン)」を発表し、同社が提供 するクラウドサービスに人工知能(AI)機能が組み込まれた。「Salesforce Einstein」で は、関連する本音や動機を自動探索し、将来の行動を予測し、次に実施するべき行 動を事前に提案し、さらに各種作業の自動処理を行う。顧客データ、チャット、メー ル、カレンダー、E コマースの活動データ、ツイートや画像等の SNS データ、IoT の信 号等、Salesforce のあらゆるデータが予測モデルの学習に利用される。
17 年 3 月、同社は IBM と戦略的提携を発表し、IBM の AI プラットフォームである「ワ トソン」と同社の「Salesforce Einstein」が連携された。
図表 5:AI 機能を活用した同社サービス 図表 4:繰延収益の推移
(年次:2011/1~2017/1)
0 20 40 60 80 100 120 140 160
11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 16/1 17/1 成約済み未請求繰延収益
繰延収益
(億ドル)
(年/月)
(注)成約済み未請求繰延収益は、定期利用契約を締結している顧客に対し、いまだ 請求していないため貸借対照表の繰延収益に未計上の契約価値合計 出所:会社資料よりみずほ証券作成
営業支援
Sales Cloud EinsteinCRM データを分析して、成立商談と不成立商談との違いを学習す る。優先的に対応すべき見込み客を明らかにし、商談成立に向けた 次のステップを示す
カスタマー サービス支援
Service Cloud Einstein
ケースの主要項目を自動入力して問題解決時間の短縮につなげ る。有力な解決方法の担当者への提案や解決時間の予測を行う マーケティング
支援
Marketing Cloud Einstein
すべての顧客の見込み度合いをメ ールを使って点数化し、行動予 測に基づいて対象ユーザを独自にセグメント化する。過去の顧客行 動に基づいてメッセージ送信の最適なタイミングを予測する
Eコマース支援
Commerce Cloud Einsteinおすすめ商品を購入者ごとにパーソナライズして提案し、検索結果
を見込み度合いに応じて独自に並べ替えることができる。商品購入
の相関関係を明らかにす るこ とで、小売業における販促活動や店
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セールスフォース・ドットコム(CRM)
市場シェア 同 社 は 各 ツ ー ル で市場シェア1位
同社資料によれば、同社は主力とする顧客関係管理アプリで市場シェアが 4 年連続 で 1 位であり、2 位のオラクルとの差は拡大し続けている。顧客関係管理アプリ市場 が売り切り型等のライセンス販売からクラウドによる定期利用にシフトするなか、クラウ ド専業の同社が市場シェアを拡大している。顧客関係管理アプリ以外にも、営業支 援、カスタマーサービス支援、マーケティング支援でもそれぞれ市場シェアが1位。
リスク・留意 事項
情報セキュリティに対する脅威
同社サービスでは顧客の機微情報、財務データ、個人情報等の保管や伝送が行わ れている。サイバー攻撃や同社従業員のミス等によって情報漏えいが発生すれば、
顧客の信頼を失い、顧客離れにつながる可能性がある。
データセンタ等のインフラの安定した利用
同社はデータセンタ運営会社等の第 3 者が購入したハードウエア、ソフトウエア、クラ ウドコンピューティングプラットフォームを利用してクラウドサービスを提供している。運 営会社側でシステム停止、利用料金の値上げ、データセンタの利用制限等が発生 すれば、同社の業務に支障をきたす可能性がある。
GAAP と非 GAAP の差異
GAAP:Generally Accepted Accounting Principles、一般に公正妥当と認められた会計原則。各国で定められており、米 国会計基準(US-GAAP)、日本版 GAAP 等がある。
非 GAAP:実質的な業績動向を示すために、企業が独自に定めた会計原則。リストラ費用、株式報酬費用等の特別項目 が調整されることがある。
海外企業レポート(銘柄概要)は企業の沿革、概要、事業、中長期的な競争優位性等の紹介に重点を置いた レポートです。当該企業の最新の決算情報、ニュース、トピックに関しては、海外企業レポート(銘柄フラッ シュ)をご参照ください。
図表 6:業務アプリ別の市場シェア(2016 年 7-12 月)
出所:会社資料よりみずほ証券作成
18
34 34
10
0 5 10 15 20 25 30 35 40
顧客関係管理 営業支援 カスタマー
サービス支援
マーケティング 支援 セールスフォース・ドットコム 2位 3位 4位 5位
(%)