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解体工事における事故災害調査

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Academic year: 2021

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(1)

Research of Accident Disaster in Demolition Work

Takashi SASAKI, Noboru YUASA and Yoshio KASAI

解体工事における事故災害調査

日大生産工 元日大生産工

○佐々木 隆 笠井 芳夫

日大生産工 湯浅 昇

1. はじめに

解体工事は、新築工事とは異なり一般に工 期が短く、解体現場の整理整頓なども手間が かかる。我が国は木造建築の伝統があり長い 歴史がある一方で、RC 造に関しては歴史が 浅く、解体に関する技術進歩が発展途上にあ ると言える。解体工事における労働災害は、

近年減少が見られない。また、解体工事業の 市場規模が建設業界全体の 1~2%であるに もかかわらず、解体工事における死亡事故は 建設工事全体の 5%超発生しており、無視で きない現象である1)

本報告は、建設業労働災害防止協会が発行 している建設業安全衛生年鑑を基に、平成10 年度から平成14年度の5年間における解体工 事における事故災害の状況を調査し、さらに 解体工事における死亡事故災害の新聞報道状 況について調査したものである。

2. 解体工事における労働災害の現状 2.1 死亡災害の種類別発生状況

図1は平成10年度から平成14年度までの 5年間における死亡災害の種類別発生状況

(建設業全体)である。このうち、解体工事 における死亡災害数を抽出したのが図2であ る。建設業全体における死亡災害は、墜落お よび建設機械等による災害が他に比し多くな っている。一方、解体工事においては墜落が 最も多く、次いで倒壊と建設機械等が多くな っている。

解体工事における傷害災害数の統計では、

図1 死亡災害の種類別発生状況

(建設業全体)

図2 死亡災害の種類別発生状況(解体工事)

0 50 100 150 200 250 300 350

墜落 倒壊 建設 機械等

飛来 落下

その他

死亡者数(人)

災害の種類

平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度

0 5 10 15 20

墜落 倒壊 建設 機械等

飛来 落下

その他

死亡者数(人)

災害の種類

平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度

−日本大学生産工学部第42回学術講演会(2009-12-5)−

― 89 ―

4-24

(2)

表1 死亡災害の地域別発生状況(建設業全体)

都道府県

死亡者数 (人)

(H10年度~

H14の合計)

1位 東京都 249

2位 北海道 224

3位 兵庫県 159

4位 大阪府 152

5位 愛知県 149

6位 千葉県 129

7位 福岡県 119

8位 静岡県 101

9位 広島県 87

10位 茨城県 86

※ :表2と重複している都道府県

飛来・落下の割合が高い 2)が、死亡に至る災 害については倒壊が多いことがわかる。

2.2 死亡災害の月別発生状況

図3は平成10年度から平成14年度までの 5 年間における死亡災害の月別発生状況(解 体工事)である。平成14年4月のように災害 の発生件数(死亡者数)が多い月も見受けら れるが、全体としてはおおむね4人以下に収 まっていた。5年間の平均でみると、2月、6

表2 死亡災害の地域別発生状況(解体工事)

都道府県

死亡者数(人)

(H10年度~

H14の合計)

1位 東京都 29

2位 大阪府 17

3位 茨城県 10

4位 静岡県 9

5位 千葉県 8

5位 埼玉県 8

7位 神奈川県 7

7位 兵庫県 7

7位 福岡県 7

10位 広島県 6

※ :表1と重複している都道府県

月および11月の発生件数(死亡者数)が少な いが、ばらつきは大きく、明確な傾向は得ら れなかった。

2.3 死亡災害の地域別発生状況

表1は平成10年度から平成14年度までの 5 年間における死亡災害数(死亡者数)が多 い都道府県(建設業全体)である。このうち、

解体工事における死亡災害数(死亡者数)を 抽出したのが表2である。死亡災害数は両者 図3 死亡災害の月別発生状況(解体工事)

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

死亡者数(人)

平成10年度 平成11年度 平成12年度

平成13年度 平成14年度 平均

― 90 ―

(3)

ともに都市部に多いことがわかる。また、両

者の上位10都道府県のうち8都道府県が重複

しており、両者の傾向に明確な差は見られな かった。

3. 解体工事における死亡事故の新聞報道例 表3は解体工事における死亡災害(平成14 年度)の新聞報道状況の例である。併せて、

平成15年度版建設業労働安全衛生年鑑に記 表3 解体工事における死亡災害(平成14年度)の新聞報道状況の例

建設業労働安全衛生年鑑の記載内容

新聞報道状況

(掲載新聞名、発行年月日)

発 生 地 区

発 生 月 日

齢 災害の発生状況

発 注 者

災 害 の 種 類

東 京

2 月 19 日

35

~ 39 歳

工場の地下槽をコンクリー トブレーカーにて解体作業 中に、幅 14m、高さ 6m、厚 さ 0.3m のコンクリート壁が 倒壊し、全身を強く打って死 亡した。

民 間 会 社

倒 壊

壁崩れ下敷き 運転手が死亡 日産村山工場跡地 19 日午後 3 時 40 分ごろ、東京都武蔵村山市榎 1 丁 目の日産自動車村山工場の組み立て工場跡地の機 械室(地下 10 ㍍)で、コンクリート壁が突然崩れ、パワ ーショベルで解体作業中の大田区南か蒲田 3 丁目、

運転手 K さんが下敷きとなり運転室に閉じ込められ た。約 1 時間後に救出されたが、全身圧迫で間もなく 死亡した。 (朝日新聞、平成 14 年 2 月 20 日)

宮 城

4 月

4 日

55

~ 59 歳

軽 量 鉄 骨 造 の 車 庫 解 体 中、梁解体のため被災者が 脚立に乗りボルトを緩めて い た とこ ろ バ ラ ン ス を 崩 し た。転倒の際鉄骨梁も倒壊 し下敷きになって頭を強く打 ち死亡した。

個 人

倒 壊

鉄骨倒れ、死亡

4 日午前 9 時ごろ、大和町吉岡の車庫解体作業現場 で解体中の鉄骨が倒れ、同町吉田、作業員 S さんが 鉄骨の下敷きなって頭を強く打ち、死亡した。

大和署によると、佐藤さんは脚立に乗ってボルトを緩 めていたといい、同署が事故原因を調べている。

(朝日新聞、平成 14 年 4 月 5 日)

神 奈 川

5 月 28 日

20

~ 24 歳

アスファルトプラント解体工 事中、クローラークレーンに バイブロハンマーを吊り下 げ基礎杭の引き抜き作業を 行なおうとしたところ、吊り 上げたバイブロハンマーが 落下し、側を歩いていた被 災者が下敷きになり死亡し た。

民 間 会 社

建 設 機 械 等

落下したハンマーが直撃して死亡

28 日午前 8 時 20 分ごろ、横浜市鶴見区生麦 2 丁目 の会社跡地で整地作業をしていた東京都江戸川区西 瑞江 3 丁目、解体会社社員 H さんが、クレーンから落 ちてきたハンマー(約 4.3 ㌧)の下敷きになり、まもなく 死亡した。(鶴見署調べ)

(朝日新聞、平成 14 年 5 月 28 日)

作業機具が落下し死亡

28 日午前 8 時 20 分ごろ、横浜市鶴見区生麦 2 丁目 の会社跡地で、整地作業をしていたクレーン車がアー ムを旋回させたところ、先端に取り付けられていた作 業器具(重さ約 4.3 ㌧)が落下。クレーン車付近で作業 をしていた江戸川区西瑞江 3 の会社員、H さんが下敷 きになった。病院に運ばれたが、全身を強く打っており 死亡した。クレーンを操縦していた川崎市麻生区栗木 台 1、クレーン運転手から業務上過失致死の疑いで事 情を聴いている=神奈川県警鶴見署調べ。

(毎日新聞、平成 14 年 5 月 28 日)

山 形

7 月

6 日

25

~ 29 歳

清掃工場のゴミ焼却炉のシ ューターを解体作業中、ガ ス溶断していたところシュー ターが被災者側に倒壊し、

全身を強く打ち死亡した。

公 共 工 事

倒 壊

機械の下敷きになり重体

6 日午前 9 時 40 分ごろ、寒河江市日田の西村山広 域行政事務組合寒河江地区クリーンセンターで、解体 作業中の山形市城西町 1 丁目、会社員 H さんが落ち てきた機械の一部の下敷きになり、全身を強く打って 重体。寒河江署の調べでは、橋本さんはごみ焼却炉 の残留物を排出するホッパーを解体中、ホッパーの 1 部(重さ約 3 ㌧)が約 3 ㍍の高さから落下し、下敷きに なったという。 (朝日新聞、平成 14 年 7 月 7 日)

長 野

9 月 20 日

35

~ 39 歳

木 造 建 築 物 の 解 体 作 業 中、廃材の積込みを終えた クラッシャーが、作業中、1 階の床上で廃材の分別中 に床を踏み抜き転倒し、ブ ームがダンプカー屋根上で 作業していた被災者にあた り地面に転落。全身を強く 打ち死亡した。

公 共 工 事

建 設 機 械 等

解体作業中に男性死亡(長野中央署)

20 日午前 9 時 10 分ごろ、上水内郡鬼無里村日影の

「国民宿舎」で、宿泊棟の解体作業中に重機が倒れ、

近くのトラックの上で作業していた長崎市三輪 9 丁目 の会社員 Y さんにあたり、山川さんが地面に転落。頭 などを強く打って死亡した。

調べでは、同僚が宿泊棟の床材の上で、重機を運転 しようとしたところ、床が抜け横転したという。

(朝日新聞、平成 14 年 9 月 20 日)

― 91 ―

(4)

載されている死亡災害事例を表記 した。なお、新聞記事中の被災者 の氏名は伏せてある。

解体工事における事故災害が新 聞報道される例は少なく、また、

報道される災害は、災害の規模が 大きい場合、解体中の建物が構造 的に特殊な場合、解体中の建物が 社会的に注目された場合などであ った。

図4は、平成14年2月19日に 発生した死亡災害の新聞報道例

(朝日新聞)である。このように、

新聞に記載される写真は事故の状 況を把握する貴重な資料になりう るが、災害発生状況の写真が新聞 に記載される例は非常に少ない。

また、解体工事現場は仮囲いが設 置されているため外部から災害の 様子を撮影することが難しく、新 聞に記載される写真はヘリコプタ ーからの撮影や近隣建物の上から 撮影されたものがほとんどであっ た。

4. むすび

本報告は、解体工事における事故災害の状 況を把握する方法として、建設業労働災害防 止協会が発行している建設業労働安全衛生年 鑑および新聞報道の状況の二方向から検討し たものである。このように、過去の災害事例 を調査、検証することにより、労働災害の防 止対策確立の一助となることを期待する。

謝辞

本研究は、桜門建築会材料施工研究会の若 手会の活動の一環であり、全国解体工事業団 体連合会の助成を受けて行っている研究であ る。

[参考文献]

1) 御子柴信也、湯浅昇、笠井芳夫、佐々木 隆、松井勇:解体工事における労働災害 と年齢・経験の関係、第41回日本大学生 産工学部学術講演会建築部会講演概要、

pp.71-74、2008.12

2) 社団法人全国解体工事業団体連合会:解 体工事における労働災害事例集、2008.3 3) 建設業労働災害防止協会:平成11、12、

13、14、15 年版建設業安全衛生年鑑、

1998-2002

朝日新聞

平成14年2月20日

図4 死亡災害の新聞報道例

― 92 ―

表 1  死亡災害の地域別発生状況(建設業全体) 都道府県  死亡者数  (人) (H10年度~ H14 の合計)  1 位  東京都  249  2 位  北海道  224  3 位  兵庫県  159  4 位  大阪府  152  5 位  愛知県  149  6 位  千葉県  129  7 位  福岡県  119  8 位  静岡県  101  9 位  広島県  87  10 位  茨城県  86  ※      :表 2 と重複している都道府県  飛来・落下の割合が高い 2) が、死亡に至る災

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